JP2001260032A - ビトリファイド砥石 - Google Patents

ビトリファイド砥石

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JP2001260032A JP2000076750A JP2000076750A JP2001260032A JP 2001260032 A JP2001260032 A JP 2001260032A JP 2000076750 A JP2000076750 A JP 2000076750A JP 2000076750 A JP2000076750 A JP 2000076750A JP 2001260032 A JP2001260032 A JP 2001260032A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】一般被削材のみならず、難削材についても加工
能率を向上することができ、環境に悪影響を及ぼす研削
液を使用する必要がなく、防錆性を有するビトリファイ
ド砥石を提供する。 【解決手段】ビトリファイド砥石が、砥粒とビトリファ
イド結合剤とからなり、ビトリファイド結合剤の主成分
が五酸化リンとアルミナとからなる。砥粒とビトリファ
イド結合剤の結合強度が高くなり、少ない結合剤で砥石
を製造することができる。砥石の切れ味がよくなり、研
削能率を向上でき、砥石の耐久性を高くでき、研削コス
トを低減できる。金属の被削材を加工したときには、結
合剤中のリン酸根により被削材がリン酸塩化し、被削材
の研削が容易になり、たとえ難削材であっても、研削能
率が向上できる。金属の被削材の表面にリン酸塩の薄層
が形成され、被削材の表面に錆が発生することを防止す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビトリファイド砥
石に関する。ビトリファイド砥石は、天然原料である長
石・陶石・カオリン質粘土等に、石灰石などの媒溶剤を
混合したビトリファイド結合剤に、ダイヤモンドやアル
ミナ等の砥粒を混合し成形・焼成して製造される。砥粒
とビトリファイド結合剤を混合したものは、ビトリファ
イド結合剤を充分溶融させ、砥粒を橋かけするために、
通常1200℃−1350℃の高温で焼成される。このようにし
て製造されたビトリファイド砥石は、ビトリファイド結
合剤によって保持された砥粒によって、被削材を機械的
に除去することができる。しかも、高弾性率を有するた
め主として精密研削に用いられる。本発明はこのような
ビトリファイド砥石に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、フリットを上記の天然原料からな
る結合剤に混合し、結合剤として使用したビトリファイ
ド砥石や、フリットのみを結合剤として使用したビトリ
ファイド砥石が作られている。このフリットとは、各種
薬品の調合物を溶融し、冷却・固化したものを粉砕した
粉末である。上記のような結合剤を使用したビトリファ
イド砥石は、砥粒と結合剤との接合強度が高くなり、結
合剤自体の強度も向上し、焼成温度が低下する。このた
め、ビトリファイド砥石自体の研削性が向上し、その製
造も容易になる。前記フリットの主骨格は珪酸SiO2
少量のアルミナAl2O3を配したアルミノ珪酸であり、融
点を下げ強度を向上するために酸化ナトリウムNa20、酸
化カリウムK2O 、酸化カルシウムCaO 、酸化マグネシウ
ムMgO 、酸化リチウムLi2O 等(以下修飾酸化物で示
す)を添加して作られる。最近では、研削砥石用に、さ
らに性能を向上するため、珪酸SiO2 や酸化ホウ素B2O3
を主骨格とし、上記のような修飾酸化物を添加したい
わゆるホウ珪酸フリットが主流となっており、焼成温度
も1200℃より低い、例えば800 ℃で行うこともできる。
このようなフリットを用いることで、ビトリファイド砥
石の製造が容易になり、ビトリファイド砥石の性能が向
上したが、更なる研削性能の向上や加工の能率化が求め
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、ホウ珪酸フ
リット等を結合剤として用いることによって、砥粒と結
合剤との結合強度や結合剤自体の強度が高くなり、鋳物
や炭素鋼等の一般被削材の研削性能は向上したが、高速
度鋼や型鋼、耐熱合金等の難削材のように、硬度が高
く、靭性に優れた材質を研削した場合には、切れ味が悪
くなり、加工効率が低くなるという問題がある。さら
に、塩素系や硫黄系の添加物を含んだ砥石を使用した
り、塩素や硫黄を含んだ研削液を使用すれば、界面活性
効果により砥石の切れ味をあげて、研削性能を向上する
ことができるが、砥石や研削液に含まれている塩素や硫
黄が環境に悪影響を与えるので、使用が制限されつつあ
るという問題がある。しかも、研削液には、被削材や研
削盤の錆を防止するために防錆剤が含まれており、環境
に悪影響を与えるので、使用が制限されつつあるという
問題もある。
【0004】本発明はかかる事情に鑑み、一般被削材の
みならず、難削材に対しても加工能率を向上することが
でき、環境に悪影響を及ぼす研削液を使用する必要がな
く、防錆性を有するビトリファイド砥石を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1のビトリファイ
ド砥石は、砥粒とビトリファイド結合剤とからなり、前
記ビトリファイド結合剤の主成分が五酸化リンとアルミ
ナとからなることを特徴とする。
【0006】請求項1の発明によれば、砥粒とビトリフ
ァイド結合剤の結合強度が高くなり、少ない結合剤で砥
石を製造することができる。このため、砥石の切れ味が
よくなり、研削能率を向上でき、砥石の耐久性を高くで
き、研削コストを低減できる。また、鉄等の金属の被削
材を加工したときには、砥粒や結合剤が被削材と接触し
たとき、機械的エネルギーによって、結合剤中のリン酸
根による被削材のリン酸塩化が促進される。よって、被
削材が研削しやすいリン酸塩に変質するので、砥粒によ
る被削材の研削が容易になり、たとえ難削材であって
も、研削能率が向上できる。しかも、鉄等の金属の被削
材の表面には、化学的に安定なリン酸塩の薄層が形成さ
れるので、被削材の表面に錆が発生することを防止する
ことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施形態を説明
する。本実施形態のビトリファイド砥石を製造するため
の原料は、以下の(1)および(2)である。 (1)砥粒 (2)主成分が五酸化リンP2O5とアルミナAl2O3 とから
なるビトリファイド結合剤(以下このビトリファイド結
合剤をリン酸アルミニウムボンドで示す)かかるリン酸
アルミニウムボンドをビトリファイド砥石の原料とした
ことが、本発明の特徴である。
【0008】(1)砥粒は、アルミナや炭化ケイ素等の
一般砥粒を使用すればよく、粒度は例えばF30 〜F1200
や#240〜#8000 であればよい。なお、砥粒は、ダイヤモ
ンドや立方晶窒化ホウ素(cBN )であってもよく、種々の
素材を採択しうる。
【0009】さて、本発明で重要な(2)リン酸アルミ
ニウムボンドを説明する。 (2)リン酸アルミニウムボンドは、主骨格が五酸化リ
ンP2O5とアルミナAl2O 3 であって、修飾酸化物が、酸化
ナトリウムや酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグ
ネシウム、酸化リチウム等である。また、酸化ホウ素や
酸化亜鉛等を、網目形成物として添加することもでき
る。
【0010】五酸化リンは、それ自体は結合強度が弱
く、耐候性や耐水性が悪いものであるが、アルミナと混
合することによって、強度が強くなり、耐候性や耐水性
を向上させることができる。この五酸化リンとアルミナ
の混合物を砥石の結合剤として用いた場合、この混合物
は、単独では融点が1500℃以上になるため、砥石の焼成
が困難であった。しかし、上記のような修飾酸化物等を
添加することによって、軟化温度が低くなり、砥石の結
合剤として使用することができるようになった。なお、
リン酸アルミニウムボンドに添加する修飾酸化物や網目
形成物は上記のものに限られない。
【0011】前記リン酸アルミニウムボンドのうち、五
酸化リンとアルミナの合量が占める比率は、例えば重量
割合で20〜80%であり、好ましくは35〜75%で
ある。
【0012】もし、リン酸アルミニウムボンドのうち、
五酸化リンとアルミナの合量が占める重量割合が20%
よりも少なくなれば、ビトリファイド結合剤と砥粒との
結合力が低下してしまい、逆に、80%よりも多ければ
軟化温度が高くなりすぎ、砥石の焼成が困難になる。し
たがって、リン酸アルミニウムボンドに含まれる五酸化
リンとアルミナの合量の重量割合は、20〜80%が好
適であり、最も好ましくは35〜75%前後である。
【0013】つぎに、本実施形態のビトリファイド砥石
の製造工程を説明する。前記(1)砥粒と、前記(2)
リン酸アルミニウムボンドとを、例えば砥粒100 重量部
に対しリン酸アルミニウムボンド10重量部で混合した
混合物を成形し乾燥後、焼成すれば、本実施形態のビト
リファイド砥石を製造することができる。焼成するとき
の温度(焼成温度)を約550 〜1000℃に設定すれば、リ
ン酸アルミニウムボンドが十分に溶融するので、砥粒を
リン酸アルミニウムボンドによって橋かけすることがで
き、しかも砥粒と結合剤との結合強度を高くすることが
できるので好適である。
【0014】上記のようにして製造されたビトリファイ
ド砥石は、その全体の体積に占める砥粒の体積割合(砥
粒率)が35〜52%、リン酸アルミニウムボンドの体
積割合(結合剤率)が4〜30%、気孔の体積割合(気
孔率)が18〜61%のものが製造される。
【0015】つぎに、本実施形態のビトリファイド砥石
の作用と効果を説明する。本実施形態のビトリファイド
砥石によって、各種金属やセラミック等の被削材を研削
すると、砥粒によって、被削材の表面が機械的に削り取
られる。このとき、砥粒には被削材から研削抵抗が加わ
るが、砥粒とリン酸アルミニウムボンドとの結合強度が
高いので、リン酸アルミニウムボンドの量が少なくて
も、砥粒の脱落を少なくすることができる。つまり、少
ない結合剤で砥石を製造することができる。したがっ
て、砥石の気孔率が高くなるので、砥石の切れ味がよく
なり、研削能率を向上でき、砥石の耐久性を高くでき、
研削コストを低減できる。
【0016】しかも、鉄材を研削する場合、研削点にお
いて砥粒やリン酸アルミニウムボンドが鉄材と接触する
と、機械的エネルギーによって、リン酸アルミニウムボ
ンドに含まれるリン酸根による鉄材のリン酸塩化が促進
される。このリン酸塩(リン酸第一鉄Fe3 (PO4 )2
、リン酸水素第一鉄(FeHPO4 )等)は、もろいもの
であるため、研削点での研削が容易になる。
【0017】さらに、砥粒によって研削された面には、
上記のようなリン酸塩の薄層が形成される。このため、
つぎに砥粒が研削するときには、前記リン酸塩の薄層を
研削するので、研削が容易になる。したがって、砥粒に
加わる研削抵抗が小さくなり、研削能率が向上し、砥石
の耐久性も高くすることができる。しかも、上記のよう
なリン酸塩は、水に不溶性であり、かつ化学的に安定で
あるため、研削終了後には鉄材の被削材をリン酸塩の表
層が保護し、被削材に錆が発生することを防ぐことがで
きる。
【0018】また、たとえ被削材が高速度鋼や型鋼であ
ったり、チタン合金やコバルト合金などの耐熱合金であ
っても、上記のように研削点において、被削材のリン酸
塩化が生じ、被削材を削りやすいリン酸塩に変質させて
いるので、砥石による研削がしやすくなり、研削能率を
向上することができる。
【0019】上記のごとく、本実施形態のビトリファイ
ド砥石によれば、砥粒とビトリファイド結合剤の結合強
度が高くなり、少ない結合剤で砥石を製造することがで
きる。このため、砥石の切れ味がよくなり、研削能率を
向上でき、砥石の耐久性を高くでき、研削コストを低減
できる。また、鉄等の金属の被削材を加工したときに
は、砥粒や結合剤が被削材と接触したとき、機械的エネ
ルギーによって、結合剤中のリン酸根による被削材のリ
ン酸塩化が促進される。よって、被削材が研削しやすい
リン酸塩に変質するので、砥粒による被削材の研削が容
易になり、たとえ難削材であっても、研削能率が向上で
きる。しかも、鉄等の金属の被削材の表面には、化学的
に安定なリン酸塩の薄層が形成されるので、被削材の表
面に錆が発生することを防止することができる。
【0020】つぎに、本実施形態のビトリファイド砥石
を使用した実施例を示す。
【0021】実施例1 図1は実施例1に使用した砥石の結合剤と比較例1およ
び比較例2に使用した砥石の結合剤の成分を比較した表
である。各成分の割合は、結合剤全体を100 重量部とし
たときの、重量割合として示している。同図上段に示す
ように、本発明の実施例1は、前述のリン酸アルミニウ
ムを主成分としたビトリファイド結合剤を用いたビトリ
ファイド砥石である。以下に実施例1の砥石の詳細を示
す。 砥石成分 砥粒 :白色溶融アルミナ(粒度F90 ) 結合剤 :リン酸アルミニウムボンド 砥粒率 :46 vol% 結合剤率 :7.5vol% 気孔率 :46.5vol% 砥石性質 焼成温度 :900℃ 弾性率 :40.5 kN/mm2 曲げ強さ :35 MPa 大越結合度:K
【0022】図1中段に示すように、比較例1は、天然
原料の結合剤を用いた砥石である。以下に比較例1の砥
石の詳細を示す。 砥石成分 砥粒 :白色溶融アルミナ(粒度F90 ) 結合剤 :天然産 砥粒率 :46vol % 結合剤率 :11vol % 気孔率 :43vol % 砥石性質 焼成温度 :1280℃ 弾性率 :43.4 kN/mm2 曲げ強さ :23 MPa 大越結合度:K
【0023】図1下段に示すように、比較例2は、硼硅
酸質結合剤(ホウ珪酸フリットボンド)を用いた砥石で
ある。以下に比較例2の砥石の詳細を示す。 砥石成分 砥粒 :白色溶融アルミナ(粒度F90 ) 結合剤 :硼硅酸フリットボンド 砥粒率 :46vol % 結合剤率 :8.5vol % 気孔率 :45.5vol % 砥石性質 焼成温度 :1000℃ 弾性率 :37.8 kN/mm2 曲げ強さ :30 MPa 大越結合度:J
【0024】砥石は、実施例1、比較例1および比較例
2のいずれも以下に示す同寸法に成形した。 外径(D) :205mm 厚み(T) :13mm 孔径(H) :50.8mm
【0025】比較方法は、前記実施例1の砥石と比較例
1および比較例2の砥石を用いて、冷間金型鋼(ロック
ウェルC硬度:58)を横軸レシプロ研削したときの、
研削中の砥石に加わる接線抵抗および両分力比、研削後
の被削材の面粗さ(中心線平均粗さ:Ra)および研削
比を比較した。被削材の面粗さは表面粗さ形状測定機
(サーフコム110B:株式会社東京精密製)を用いて測定
した。また、接線抵抗及び両分力比は、ひずみゲージ
(KISTLER社製:Type5011)を砥石に貼り付けて測定し
た。
【0026】なお、ここでいう研削比とは、砥石の摩耗
量(容積)によって研削除去容量(容積)を除した無次
元数を表しており、値が大きいほど砥石の耐久性や研削
能率が高いことを示している。さらになお、両分力比と
は、砥石に加わる力のうち、砥石と被削材との接触点に
おいて、被削材の法線方向に作用する背分力(Fn)
と、砥石外周の接線方向に作用する主分力(Ft)との
比(Fn/Ft)である。この値が小さいほど有効に除
去が行われていることを示している。
【0027】研削は、一般的な横軸レシプロ平面研削盤
(岡本平面研削盤:出力2.2 kw)を用いて行った。研削
条件は、砥石周速度33m/s 、テーブル移動速度0.1
6m/s 、切込み量はテーブルが一行程分移動するごとに
10μm である。また、砥石の研削個所に、水道水を供
給し、砥石を冷却した。
【0028】まず、各砥石の性質を比較すると、実施例
1に使用した砥石は、弾性率では比較例1に使用した砥
石に劣るものの、曲げ強さでは、比較例1および比較例
2よりも大きい。また、実施例1の結合剤率は7.5vol%
であり、比較例1の11.0 vol%および比較例2の8.5vol
%に比べて少ない体積割合である。しかも、ビトリファ
イド結合剤の軟化温度も低いため、低い焼成温度で、砥
石を製造することができる。つまり、本実施形態のビト
リファイド結合剤を用いれば、結合剤の量を少なくして
も、十分な強度をもつ砥石を容易に製造することができ
る。
【0029】図2は実施例1と比較例1および比較例2
の研削結果を比較した表である。上段に実施例1、中段
に比較例1、下段に比較例2の各数値を示している。図
2に示すように、実施例1と比較例2では加工後の冷間
金型鋼の面粗さは同じであるが、研削比は実施例1が、
比較例1の約2.5倍、比較例2の約1.5の値を示し
ている。つまり、同じ面粗さに仕上げても、実施例1の
砥石の方が、比較例1や比較例2よりも、能率が良く研
削することができ、砥石自体の耐久性に優れていること
が確認できる。また、実施例1は、研削中に砥石が被削
材から受ける接線抵抗が、比較例1および比較例2より
も小さい。しかも、砥石に加わる両分力比も、比較例1
および比較例2よりも小さくなる。したがって、実施例
1は、該砥石が比較例1および比較例2に比べ切れ味の
良い砥石であることを示している。さらに、比較例1お
よび比較例2では、加工後、被削材の表面に錆が発生し
たが、実施例1では錆の発生はほとんど見られず、防錆
効果が確認できる。
【0030】上記のごとく、本実施形態のビトリファイ
ド砥石によれば、砥粒とビトリファイド結合剤の結合強
度が高くなり、少ない結合剤で砥石を製造することがで
きる。このため、砥石の切れ味がよくなり、研削能率を
向上でき、砥石の耐久性を高くでき、研削コストを低減
できる。また、鉄等の金属の被削材を加工したときに
は、砥粒や結合剤が被削材と接触したとき、機械的エネ
ルギーによって、結合剤中のリン酸根による被削材のリ
ン酸塩化が促進される。よって、被削材が研削しやすい
リン酸塩に変質するので、砥粒による被削材の研削が容
易になり、たとえ難削材であっても、研削能率が向上で
きる。しかも、鉄等の金属の被削材の表面には、化学的
に安定なリン酸塩の薄層が形成されるので、被削材の表
面に錆が発生することを防止することができる。したが
って、塩素系や硫黄系の添加剤や防錆剤を多量に含む研
削液を使用せず、水道水のみを使用して冷却や潤滑を行
っても、研削が可能である。
【0031】また、リン酸塩は局部的に有効に働く結
果、砥石の冷却に使用した後の水に含まれる燐の分析値
は0.08ppm と非常に低く、環境に対してまったく問題な
い程度であった。
【0032】実施例2 本発明の実施例2に用いた本実施形態のビトリファイド
砥石の詳細を以下に示す。 砥石成分 砥粒 :ダイヤモンド(粒度1〜2μm (#7000)) 結合剤 :リン酸アルミニウムボンド 砥粒率 :50vol % 結合剤率 :14vol % 気孔率 :36vol % 砥石性質 焼成温度 :650℃ 弾性率 :48.5 kN/mm2 曲げ強さ :42.5 MPa 大越結合度:J
【0033】比較例3に用いた硼硅酸質結合剤を用いた
砥石の詳細を以下に示す。 砥石成分 砥粒 :ダイヤモンド(粒度1〜2μm (#7000)) 結合剤 :硼硅酸ボンド 砥粒率 :50vol % 結合剤率 :14vol % 気孔率 :36vol % 砥石性質 焼成温度 :800℃ 弾性率 :35.2 kN/mm2 曲げ強さ :28.3 MPa 大越結合度:J
【0034】砥石は、実施例2、比較例3のどちらも以
下に示す同寸法に成形した。 外径(D) :100mm 厚み(T) :5mm 孔径(H) :16mm 砥石層の幅(x):3mm
【0035】比較方法は、前記実施例2の砥石と比較例
3の砥石を用いて、シリコン半導体を平面研削したとき
の、被削材の面粗さ(十点平均粗さ:Rz)、砥石表面
の欠損(スクラッチ)、研削比を比較した。被削材の面
粗さは、表面粗さ形状測定機(サーフコム110B:株式会
社東京精密製)を用いて測定した。なお、ここでいう研
削比とは、砥石の摩耗量(容積)によって研削除去容量
(容積)を除した無次元数を表しており、値が大きいほ
ど砥石の耐久性や研削能率が高いことを示している。
【0036】研削は、一般的な横軸ロータリ平面研削盤
(東和ロータリ平面研削盤:出力4.4 kw)を用いて行っ
た。研削条件は、砥石周速度25m/s 、テーブル移動速
度0.05m/s 、テーブル回転数70min-1 であり、切込み量
は、テーブルが一行程分移動するごとに10μm であ
る。また、砥石の研削個所に、水道水を供給し、砥石を
冷却した。
【0037】図3は実施例2と比較例3を比較した表で
ある。上段に実施例2、下段に比較例3の各数値を示し
ている。図3に示すように、加工後のシリコン半導体の
面粗さは、実施例2と比較例3のどちらも0.3μmの値を
示しているが、研削比は実施例2が比較例3の約3倍の
値を示している。つまり、同じ面粗さに仕上げても、実
施例2の砥石の方が、能率良く研削することができ、砥
石自体の耐久性に優れていることが確認できる。しか
も、研削後において、比較例3では砥石表面にはスクラ
ッチが発生したのに対し、実施例2ではスクラッチは発
生しない。また、実施例2では、曲げ強さ、弾性率とも
に比較例3よりも大きく、砥石の強度が高い。したがっ
て、さらに切り込みを深くしても砥粒の脱落が生じず、
作業能率の向上をはかることができ、しかも、作業ミス
により砥石が破損する可能性も少ないので砥石の取扱い
が容易である。さらに、比較例3によって被削材を研削
した研削盤には、作業後、錆が発生したのに対し、実施
例2によって被削材を研削した研削盤には、作業後、錆
が発生せず、実施例2の砥石は、研削盤の防錆効果もあ
ることが示されている。しかも、砥石の冷却に使用した
後の水に含まれる燐の分析値は非常に低く、環境に対し
てまったく問題ない程度であった。
【0038】上記のごとく、本実施形態のビトリファイ
ド砥石によれば、砥粒とビトリファイド結合剤の結合強
度が高くなり、少ない結合剤で砥石を製造することがで
きる。このため、砥石の切れ味がよくなり、研削能率を
向上でき、砥石の耐久性を高くでき、研削コストを低減
できる。 しかも、作業ミスにより砥石が破損する可能
性も少ないので砥石の取扱いが容易である。さらに、作
業後の研削盤には錆が発生せず、砥石の冷却に使用した
後の水に含まれる燐の分析値は(0.08ppm )と非常に低
く、環境に対してまったく問題ない程度であった。
【0039】
【発明の効果】請求項1のビトリファイド砥石によれ
ば、砥石自体の切れ味を向上することができ、研削能率
が向上し、砥石の耐久性を高くでき、研削コストを低減
でき、砥粒による被削材表面の研削が容易になり、被削
材の表面に錆が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に使用した砥石の結合剤と比較例1お
よび比較例2に使用した砥石の結合剤の成分を比較した
表である。
【図2】実施例1と比較例1および比較例2の研削結果
を比較した表である。
【図3】実施例2と比較例3の研削結果を比較した表で
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】砥粒とビトリファイド結合剤とからなり、
    前記ビトリファイド結合剤の主成分が五酸化リンとアル
    ミナとからなることを特徴とするビトリファイド研削砥
    石。
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