JPH08243926A - 超砥粒砥石及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量で高い耐加工圧特性を有する超砥粒砥石
を提供する。 【構成】 結合相がＣｕ33〜75重量％、Ｓｎ18〜55重量
％、黒鉛０〜25重量％により構成される砥粒層１と、Ｓ
ｉ20〜50重量％を含有するＡｌ台金２とが、一体に焼
結、接合されてなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はガラス、セラミックス、
超硬合金、石材などの非鉄材料、炭素鋼、合金銅、ハイ
スなどの鉄鋼材料の研削加工或いは砥石のドレッシング
に使用されるダイヤモンド、ＣＢＮのような超砥粒を用
いた超砥粒砥石に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の砥石としては、超砥粒の結合相
を金属粉の焼結体によって形成したメタルボンド砥石が
よく知られている。出願人は、この結合相を、高Ｓｎ組
成のブロンズとしその組織を高硬度かつ高ヤング率のε
相を主成分とすることにより、高い砥粒保持力と高い耐
加工圧力特性を持たすと共に、黒鉛を添加することによ
り良好なドレッシング性を付与し、極めて良好な切れ味
と十分な砥石寿命が得られる砥石を開発し、提供してき
た（精密機械51／４／1985）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記砥石は、通常のメ
タルボンド砥石と同様、砥粒層は焼結と同時に台金に接
合されるが、上記結合相は、極めて良好な研削特性を持
っている反面、非常に脆い特性を持ち合わせているた
め、製法上に特別な制約があった。即ち本発明の対象と
する砥粒層の抗折力は、表１にその代表的な構成のもの
について示すように低い。

【０００４】

【表１】

【０００５】そして、そのものの熱膨張係数は表２に示
す通りである。それに対し、台金として一般に用いられ
る鋼（Ｓ25Ｃ）の熱膨張係数は11.7×10^-6／℃、Ａｌ
（Ａ2024）は23.0×10^-6／℃である。

【０００６】

【表２】

【０００７】前記砥粒層の焼結における台金との同時接
合は、円板状中央の台金部の外周縁上に砥粒層部を配置
して、加熱焼結して行うものであるから、台金の熱膨張
係数が砥粒層の熱膨張係数より小さいと、砥粒層は冷却
過程で半径方向にクラックが発生する。この傾向は砥粒
層の抗析力が表１に示すような低いものにおいて最も著
しい。

【０００８】逆に台金の熱膨張係数が砥粒層より大きい
と台金と砥粒層の接合境界で円周方向に接合外れを起こ
して実用にならない。従って、従来この種砥石において
は、Ａｌ台金は用いられず、熱膨張係数が砥粒層に近似
して低い鋼台金が用いられている。しかもその使用に際
しては、図２に示すように、鋼台金３と砥粒層１の間に
熱膨張係数がほぼ砥粒層１と同じで、強度の高い中間層
５を介在さすなどの工夫が施されている。

【０００９】上記工夫により、強度的には充分である
が、鋼製のため重く、錆びやすい欠点がある。また製作
工数が多く製造日数、製造単価上の問題や、振動の減衰
性が低いなどの品質上の問題を残している。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、これらの問題
点を解決するためになされたもので、図１に示すように
台金をＡｌを主成分とする金属粉の焼結体２とし、砥粒
層１と台金を一度に成形、焼結する事を特徴とするもの
である。台金の材質をＡｌ合金とすることにより軽量化
および振動の減衰性、防錆性が得られ、台金層を砥粒層
と同時に焼結することにより生産性の向上が得られる。
さらに、砥粒層の焼結体組成および砥粒含有率で決まる
砥粒層の熱膨張係数に見合うように、台金のＡｌ合金の
熱膨張係数をＳｉの含有率を20〜50重量％とし、熱膨張
係数を10〜18×10^-6／℃の範囲に調整した。表３に代表
的な台金組成と熱膨張係数を示す。

【００１１】

【表３】

【００１２】台金の熱膨張係数は、砥粒層の熱膨張係数
の±２×10^-6／℃の範囲が好ましい。これにより、焼結
後の冷却過程における砥粒層の半径方向のクラックや砥
粒層と台金の接合部境界の円周方向のクラックをなくす
ことができる。

【００１３】

【実施例】

（実施例１）下記の砥粒層構成混合粉と、比較例１，
２、実施例１の各台金構成金属粉を夫々組合せて、夫々
450℃で一度に成形、焼結した。熱膨張係数が砥粒層よ
り小さい比較例１の鋼台金は砥粒層の半径方向にクラッ
クが発生し、熱膨張係数の大きい比較例２のＡｌ台金は
砥粒層と台金の境界で接合はずれをおこした。Ａｌ合金
の組成を記載のように特定した実施例１の台金は砥粒層
のクラックや接合はずれを生ずることはなかった。、

【００１４】 砥石形状寸法 ストレート砥石 直径 200mm−幅 10mm −厚み 3mm 砥粒層 ダイヤモンド砥粒 ＃140/170 ( 集中度 75 ） 熱膨張係数 50％Ｃｕ−40％Ｓｎ−10％Ｇｒ 13.5×10^-6 台金 比較例１ 鋼 （Ｓ25Ｃ） 11.7×10^-6 比較例２ Ａｌ（Ａ2024） 23.0×10^-6 実施例１ Ａｌ−40％Ｓｉ−2.4 ％Ｃｕ−１％Ｍｇ 13.6×10^-6

【００１５】（実施例２）下記の砥粒層構成混合粉と、
比較例３，４、実施例２の各台金構成金属粉を夫々組合
せて、夫々 500℃で一度に成形、焼結した。実施例１同
様、熱膨張係数が砥粒層より小さい比較例３の鋼台金は
砥粒層の半径方向にクラックが発生し、熱膨張係数の大
きい比較例４のＡｌ台金は砥粒層と台金の境界で接合は
ずれをおこした。Ａｌ合金の組成を記載のように特定し
た実施例２の台金は砥粒層のクラックや接合はずれを生
ずることはなかった。

【００１６】 砥石形状寸法 ストレート砥石 直径 350mm−幅 25mm −厚み 3mm 砥粒層 ダイヤモンド砥粒 ＃100/120 （集中度 100） 熱膨張係数 70％Ｃｕ−30％Ｓｎ 14.4×10^-6 台金 比較例３ 鋼 （Ｓ25Ｃ） 11.7×10^-6 比較例４ Ａｌ（Ａ2024） 23.0×10^-6 実施例２ Ａｌ−40％Ｓｉ−2.4 ％Ｃｕ−１％Ｍｇ 13.6×10^-6

【００１７】なお上記実施例１，２のようにＳｉの含有
量を40％とした焼結体を台金としたものは、従来のスチ
ール製の台金を用いた砥石に比し、使用時の回転と熱に
よる台金の外径変位度が低いと言う特徴が見られた。因
みに、実施例１，２の砥石の周速80ｍ／ｓの高速域にお
ける台金半径の変位度 0.029mm程度で、スチール製の0.
033mm程度より低く、それだけワークの加工精度を向上
することができる。

【００１８】

【発明の効果】本発明により従来の鋼製台金の砥石に比
し、ほぼ１／３軽量で錆の心配もない砥石が提供され、
研削加工の作業性が向上される。また砥石の製作は一体
焼結により、短工程で行われるため、製造日時が短縮さ
れその価格も低減される。しかも、研削加工時における
研削音が比較的小さく、回転と熱による台金の外径変位
度が低く、加工精度を向上せしめることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】超砥粒砥石の実施例を説明する１部縦断側面図
である。

【図２】従来の超砥粒砥石を説明する１部縦断側面図で
ある。

【符号の説明】

１ 超砥粒層 ２ 台金（Ａｌ合金焼結体） ３ 鋼台金 ４ 軸孔 ５ 中間層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 台金の外面に砥粒層を具備する砥石にお
   いて、砥粒層の結合相はＣｕ33〜75重量％、Ｓｎ18〜55
   重量％、黒鉛０〜25重量％、またはこれにＦｅ、Ｃｏ、
   Ｎｉ、Ｚｎ、Ａｇ、Ｔｉ、Ｍｎ、Ｃｒ、Ｗの１種以上を
   添加してなる金属粉で、台金はＡｌを主体としＳｉ20〜
   50重量％、またはこれにＣｕ、Ｍｇ、Ｆｅ、Ｍｎ、Ｎ
   ｉ、Ｚｎの１種以上を添加してなる金属粉で構成され、
   砥粒層と台金を一体に焼結、接合されてなることを特徴
   とする超砥粒砥石。
2. 【請求項２】 台金はＡｌを主体としＳｉ20〜50重量
   ％、またはこれにＣｕ、Ｍｇ、Ｆｅ、Ｍｎ、Ｎｉ、Ｃ
   ｒ、Ｔｉ、Ｚｎの１種以上を添加してなり、かつその焼
   結体の熱膨張係数が10〜18×10^-6／℃であることを特徴
   とする請求項１記載の超砥粒砥石。
3. 【請求項３】 砥粒層を構成する超砥粒とＣｕ33〜75重
   量％、Ｓｎ18〜55重量％、黒鉛０〜25重量％、またはこ
   れにＦｅ、Ｃｏ、Ｎｉ、Ｚｎ、Ａｇ、Ｔｉ、Ｍｎ、Ｃ
   ｒ、Ｗの１種以上を添加してなる結合相金属粉との混合
   物またはその圧粉体と、台金を構成するＡｌを主体とし
   Ｓｉ20〜50重量％、またはこれにＣｕ、Ｍｇ、Ｆｅ、Ｍ
   ｎ、Ｎｉ、Ｚｎの１種以上を添加してなる金属粉または
   その圧粉体とを直接接して配置し、 400〜580 ℃に加熱
   して一体に焼結することを特徴とする超砥粒砥石の製造
   方法。