JP3717046B2 - ダイヤモンド研磨用砥石及びダイヤモンド研磨方法並びにダイヤモンド研磨用複合砥石 - Google Patents

ダイヤモンド研磨用砥石及びダイヤモンド研磨方法並びにダイヤモンド研磨用複合砥石 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多結晶ダイヤモンド、ダイヤモンド単結晶、ダイヤモンド薄膜(気相合成法により基板上に形成したダイヤモンド又はダイヤモンド自立膜(箔または板)を含む)、ダイヤモンド焼結体等の、ダイヤモンドそれ自体又はダイヤモンドを含む材料をクラックや破壊を生ずることなく効率良く研磨するためのダイヤモンド研磨用砥石及びダイヤモンド研磨方法並びにダイヤモンド研磨用複合砥石に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、ダイヤモンドを利用した材料の1つとしてダイヤモンド薄膜が注目されている。このダイヤモンド薄膜は気相合成法(CVD法)等により、工業的(人工的)に多結晶粒からなるダイヤモンド薄膜(基板上に形成された薄膜及びダイヤモンド膜被覆部材)又はダイヤモンド自立膜を製造することができるようになったが、上記合成法により得られた多数の結晶粒からなるダイヤモンド薄膜は凹凸の激しい表面を持っている。
このため、気相合成法により形成されたダイヤモンド薄膜を、電子部品、光学部品、超精密部品あるいは加工工具等に使用する場合には、ダイヤモンドの表面を平滑化することが必要となってくる。
【0003】
また、天然及び人工単結晶ダイヤモンド(超高圧合成、気相合成法等による)は、砥石のドレッサー、刃物、ダイス、ヒートシンク、X線窓等、各種の工業材料又は宝飾用品として使用されているが、最終的にそれぞれの用途に適用できる形状に仕上げる必要がある。
さらにダイヤモンドを利用したダイヤモンド焼結体は、その特性を利用して、自動車用エンジン等の高速精密研削又は研磨、超硬合金の精密研削又は研磨用工具、切削又は切断用刃物、耐磨耗機構用部品、通信機器用ヒートシンクあるいはパッケージ等に普及しつつある。
なお、ダイヤモンド焼結体は結合剤としてCo、WC、TiCなどが使用されているが、また結合剤を殆ど含まないあるいは全く含まないものもある。本発明では特に言及しない限り、これらの焼結体を全て含むものとする。
【0004】
ダイヤモンドは、それ自体が他の金属やセラミック等硬質材料の研磨あるいは宝石類の微細研磨に使用される程に、極めて硬い物質なので、ダイヤモンドを研磨することが難しいことは、誰でも容易に理解できる。
このような多数の凹凸を持つ多結晶ダイヤモンド膜又は自立体を平滑化する方法として、強靭鋳鉄板を高速回転させながらダイヤモンド粉を介在させ、共擦り(共削り)しながらダイヤモンドを研磨するスカイフ法が挙げられる。
この方法は、宝石のダイヤモンド研磨に用いられてきた手法であるが、上記人工ダイヤモンドを研磨する方法としては極めて加工能率が低く、残念ながら殆ど役に立たない。
【0005】
特に、上記ダイヤモンド単結晶は、結晶面あるいは結晶方位により、硬さの変化が著しく、現状で加工できる面は(100)面や(110)面等に限定され、硬さや熱伝導性等に最も優れている(111)面の研磨加工は、極めて困難であり、事実上不可能と言われている。
このようなことから、ダイヤモンド単結晶の研磨加工に際しては研磨可能な面を中心に、これらの結晶面や結晶方位を調べつつ研磨する高い熟練技術が必要とされており、ダイヤモンドの研磨加工を複雑かつコスト高にしていた。
【0006】
また、ダイヤモンド焼結体の研磨では、後述するようなダイヤモンド砥石(共ずり)による研磨方法では、ダイヤモンドと結合剤あるいはダイヤモンド相互の粒界面における硬さの差、又は焼結体中の多数のダイヤモンド粒子の脱落により、大きな段差(数μm程度)が生じ易く、上記のような加工具として使用する場合にはこのような段差に起因する転写等の加工精度の問題、そして耐磨耗性機構部品として使用する場合には摩擦特性が低下するという問題があり、また焼結体中のダイヤモンド自体も損傷したり、脱落するという問題が発生した。
【0007】
上記に述べたように、ダイヤモンドの硬さは代替物が無いほどに硬い材料なので、研磨材としてダイヤモンド(共擦り)以外にないと考えるのが普通であり、このために共擦り用のダイヤモンド砥粒を各種の結合材に埋め込んだ研磨用砥石が考えられている。
このような砥石例として、フェノール樹脂を用いたレジンボンド砥石、メタルボンド砥石、長石・石英を用いたビトリファイドボンド砥石、電着砥石などが挙げられる。
【0008】
これらの手法の基本は、被研磨体であるダイヤモンド(なお、本明細書において特に説明しない限り、ダイヤモンド薄膜や自立体だけでなく、単結晶ダイヤモンド、ダイヤモンド焼結体、前記以外の多結晶ダイヤモンド等の、ダイヤモンドそれ自体及びダイヤモンドを含む材料を意味する。)の表面をダイヤモンド砥粒で引掻いて磨くということであり、砥石に含まれるダイヤモンド砥粒の耐摩耗性、ダイヤモンド砥粒の数が加工能率を決めるポイントになり、またダイヤモンドの支持体となる各種ボンド材が研磨の支障にならず、さらにダイヤモンド砥粒が摩耗の度に常に新しく研磨面に表出してこなければならない。
【0009】
この手法の一つとして、鉄等の砥石ボンド材をダイヤモンドの摩耗に伴なって鉄を電気的に酸化(電解)させ(この場合、研磨に有効に作用するダイヤモンド砥粒が存在する間、鉄の酸化物不導体皮膜が形成されて砥石ボンド材が電解されない状態となっている)、ダイヤモンドの摩耗量に応じて自動的に、ダイヤモンド砥粒の新生面が出るようにした研磨方法がある。
この方法が上記の中では最も効率が高い方法と考えられるが、砥粒となる良質なダイヤモンド粉の選定、砥石ボンド材の選定と埋め込み作業及び品質の維持、電解設備とその条件設定、研磨操作と制御などが必要となり、これらがダイヤモンド研磨の良否を決定し、操作が煩雑、コスト高、研磨品質が安定しないという問題がある。
【0010】
また、被研磨材がダイヤモンド薄膜では、研磨加工に作用するダイヤモンド砥粒の数に比較して被研磨材であるダイヤモンド粒の数が圧倒的に多いため、加工速度、加工能率には自ずと限界がある。
このように、ダイヤモンド砥石を用いた研磨方法は、砥石の目減りが激しく、また精度が高く高圧力がかけられる高価な加工装置が必要であるという問題があった。
【0011】
上記以外の方法として、鉄やステンレス鋼をダイヤモンドに押し付けて研磨する提案がなされた。ダイヤモンドは常温では化学的に安定であるが、空気中で700°Cに加熱すると黒鉛化して燃焼し始め、真空中でも1400°C以上になると黒鉛化する。上記の方法はこのような高温における鉄とダイヤモンドとの反応を利用して研磨する方法である。
鉄とダイヤモンドの反応(ダイヤモンド成分の炭素が金属中に溶解する)は800°C程度から生じ、FeC(セメンタイト)が生成し、研磨中の摩擦面ではこれが剥離し、さらに研磨が進行することを利用したものと理解されている。
高温ではこの反応がさらに進行し易くなり、FeCの生成・分解が起り、研磨が進む。加工能率を考慮すると900°C以上が必要といわれている。
【0012】
この鉄又は鉄系材料は安価な研磨材を使用できるという点で良い方法と考えられたが、この方法の一番の問題は、高温に加熱しなければ効率的な研磨ができないと言うことである。ところが、ステンレスや鉄系材料は高温で軟化し、強度が著しく低下するので安定した研磨ができない。
特に、高温の鉄を用いる場合には、鉄の酸化を防止するために、真空中あるいは還元性雰囲気中で研磨を実施する必要があるため、設備の面でも又研磨作業が煩雑である(自在にできない)という点でも問題がある。
【0013】
さらにまた、上記のような高温加熱は被研磨体であるダイヤモンドに影響を与え、摩擦や加熱時の急激な温度勾配による熱応力に起因して、ダイヤモンドにクラックが発生したり、破壊するなどの問題を生じた。
このため、この鉄に替えて炭素との親和力が大きいクロムやチタンを使用したが、前者は脆くて加工ができず、また後者は鉄と同様に軟らか過ぎ又酸化しやすく酸化チタンとなり研磨材として使用できなかった。
この他レーザ加工等が考えられるが、面精度が劣り使用に耐えるものではなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
以上から、本発明はダイヤモンド単結晶、ダイヤモンド薄膜(気相合成法により基板上に形成したダイヤモンド又はダイヤモンド自立膜(箔または板)を含む)、ダイヤモンド焼結体、その他の多結晶ダイヤモンド等の、ダイヤモンドそれ自体又はダイヤモンドを含む材料をクラックや破壊あるいは品質の劣化を生ずることなく低温(室温を含む)で研磨することができ、また研磨材の安定した性能を維持し、かつ平面研削、ラップ研削、その他の従来の研磨装置を使用することができ、さらに操作が簡単で研磨品質が安定した低コストのダイヤモンド研磨用砥石及びダイヤモンド研磨方法並びにダイヤモンド研磨用複合砥石を得ることを課題とする。
また、本発明の方法を用いることにより、今後ダイヤモンド膜の応用の進展に伴って急増することが予想される3次元形状のダイヤ膜部材、ダイヤモンド膜被覆部材の研削及び研磨加工も効率良く、低コストで行うことを課題とする。
本発明者は、すでにAl、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群から選択した1種または2種以上の元素とTi元素との金属間化合物を主成分とする優れたダイヤモンド研磨用砥石を提案している(特願平11−130991号、特願平11−218850号、特願平11−320523号)。本発明は、さらにこれらを展開し、有用なダイヤモンド研磨用砥石を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、特殊な金属材料がダイヤモンドとの反応を効率よく行うことができ、かつ低温若しくは常温(室温)または加熱下での研磨が可能であり、さらに研磨材の摩耗と劣化をたとえ大気中においても極力抑えることができるとの知見を得た。
この知見に基づき、本発明は
1.Al、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群から選択した1種若しくは2種以上の元素とZr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種若しくは2種以上の元素との金属間化合物を90体積%以上含有し砥石として機能する主成分であることを特徴とするダイヤモンド研磨用砥石
2.Al、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群から選択した1種若しくは2種以上の元素とZr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種若しくは2種以上の元素との金属間化合物及びAl、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptの群から選択した1種若しくは2種以上の元素とTi元素との金属間化合物を90体積%以上含有し砥石として機能する主成分であることを特徴とするダイヤモンド研磨用砥石
3.Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptの群から選択した1種若しくは2種以上の元素とTi、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種若しくは2種以上の元素との金属間化合物を90体積%以上含有し砥石として機能する主成分であることを特徴とするダイヤモンド研磨用砥石
4.Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptの群から選択した1種若しくは2種以上の元素とTi、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種若しくは2種以上の元素との金属間化合物及びAl、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群から選択した1種または2種以上の元素とTi、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種または2種以上の元素との金属間化合物を90体積%以上含有し砥石として機能する主成分であることを特徴とする上記3記載のダイヤモンド研磨用砥石
5.金属間化合物の含有量が90体積%以上であり、残余が金属間化合物以外の金属若しくは合金、半金属元素、非金属元素、セラミックス、有機化合物又は不可避的不純物であることを特徴とする上記1乃至4のいずれかに記載のダイヤモンド研磨用砥石
6.ダイヤモンド研磨用砥石の1部または全部が前記金属間化合物であることを特徴とする上記1乃至4のいずれかに記載のダイヤモンド研磨用砥石
を提供する。
【0016】
また、本発明は
7.上記1乃至6のそれぞれに記載の金属間化合物を主成分とする砥石によりダイヤモンドを研磨する際に、研磨部を100〜800°Cに加熱しながら研磨することを特徴とするダイヤモンド研磨方法
8.研磨部を300〜500°Cに加熱することを特徴とする上記7記載のダイヤモンドの研磨方法
9.金属間化合物の含有量が90体積%以上であり、残余が金属間化合物以外の金属若しくは合金、超硬合金、半金属元素、非金属元素、セラミックス、ダイヤモンド砥粒、有機化合物又は不可避的不純物である上記1乃至4のいずれかに記載のダイヤモンド研磨用砥石によりダイヤモンドを研磨する際に、研磨部を100〜800° C に加熱しながら研磨することを特徴とするダイヤモンド研磨方法
10.90体積%以上の金属間化合物とダイヤモンド砥粒、超硬合金又はセラミックスとを複合させたことを特徴とする上記1乃至6のいずれかに記載のダイヤモンド研磨用複合砥石
を提供するものである。
なお、本明細書において記載する金属間化合物は、複合金属間化合物を包む。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のダイヤモンド研磨用砥石は、例えば粉末冶金法によって製造することができる。この場合、原料粉末としてそれぞれ平均粒径150μm以下(好ましくは10μm以下)のTi、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種または2種以上の粉末とAl、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptの群から選択した1種または2種以上の粉末(以下、特に記載しない限り「砥石用粉末」と言う。)とを、それぞれの金属間化合物(以下、特に記載しない限り、「金属間化合物の含有量が90体積%以上であるもの」を含む。)が、本発明の金属間化合物の砥石となる組成及び比率に調合し、これらをボールミルで混合し、乾燥して混合粉とする。
原料粉としては、微細なアトマイズ粉を使用することができる。予めメカニカルアロイング法により所定の比率に合金化した砥石用粉末を用いることもできる。
微細かつ均一な混合粉末を使用した場合には、焼結体の密度が高く、その結果均一かつ緻密な砥石が得られるという利点がある。
これらの粉末は、単独の金属粉末であっても良いし、予め合金(金属間化合物)とした粉末、さらにこれらの複合粉末であっても良い。
【0018】
次に、上記混合粉砕粉をモールドに入れ予備成形した後、例えば冷間静水圧処理(CIP処理)し、さらに1000〜1300°C、圧力500Kgf/cmの条件でホットプレス焼結(HP処理)するか、又はCIP処理した後、同様に1000〜1300°C、圧力500Kgf/cmの条件で熱間静水圧焼結(HIP処理)して高密度(相対密度99%以上であることが望ましい)の焼結体とする。
CIP処理、HP処理、HIP処理等の温度、圧力等の条件は上記に限らず、原料の種類又は目的とする焼結体の密度等を考慮して他の条件を設定してもよい。
また、上記のようなCIP処理、HP処理、HIP処理等に替えて、黒鉛製のモールドに混合粉末を充填し、これを上下パンチ(電極)間で圧縮しながらパルス通電により加熱する方法、すなわちパルス通電焼結法により焼結体とすることもできる。この場合、特に上記メカニカルアロイ粉を使用すると緻密かつ均一な焼結体を得ることができる。
【0019】
本発明の金属間化合物を主成分とする合金砥石は、真空アーク溶解、プラズマ溶解、電子ビーム溶解、誘導溶解等の溶製法によっても製造できる。これらの溶解に際してはガス、特に酸素の混入が著しく、また上記アルミニウム等の金属間化合物を形成する元素およびチタンはいずれも酸素との結合力が強いので、真空中又は不活性ガス中で溶解することが必要である。
また、これらの金属間化合物を主成分とする合金砥石の鋳造品は機械的強度が焼結品よりも劣る傾向があるので、溶解、凝固過程において偏析の発生や結晶粒が粗大化しないように、温度コントロールを実施して製造することが必要である。
上記粉末冶金法又は溶製法によって得られた焼結体又はインゴットから必要な砥石形状に切り出し、平面研削盤、ラップ研削盤等の砥石に適合する形状に仕上げ、かつこの合金砥石保持具等の構成部品等で固定してダイヤモンド研磨用砥石工具とする。
【0020】
被研磨体の一例として、ダイヤモンド薄膜又はダイヤモンド自立体を挙げると、このダイヤモンド薄膜又はダイヤモンド自立体は一般に知られている気相成長法(CVD法)によって作成できる。
例えば、高温(2000°C前後)に加熱したタングステンフィラメントの近傍位置に開口する石英管を配置し、この石英管を通してメタン等の炭化水素ガスを水素で希釈した混合ガスを導入し、500°C〜1100°Cに加熱した基板上にダイヤモンドを前記混合ガスから分解析出させる方法、上記タングステンフィラメントに替えて、プラズマ放電を利用したマイクロ波プラズマCVD法、RF(高周波)プラズマCVD法、DC(直流)アークプラズマジェット法、さらには大気中で酸素アセチレンの火炎を高速で基板に当て、ダイヤモンドを炭化水素含有ガスから分解析出させる方法がある。
本発明においてはこれらの方法あるいは他の方法によって製作されたダイヤモンド薄膜又はダイヤモンド自立体に適応できる。
【0021】
天然のダイヤモンド又は人工ダイヤモンドも容易に研磨できる。特にダイヤモンド単結晶(111)面の研磨が従来技術では不可能と言われているが、本発明の砥石によれば、この(111)面の研磨がわずか数分で進行するという驚異的な性能を有している。
この(111)面の研磨が可能となったことにより、切削工具のすくい面に高品質の(111)面を使用することができ、また砥石の精密ツルアーとして(111)面を用いた高性能ダイヤモンド単石ドッレッサー、高熱伝導ヒートシンクなどの高性能で付加価値の高いダイヤモンド単結晶を得ることができる。
【0022】
被研磨体がダイヤモンド焼結体の場合にも極めて良質の研磨が可能である。ダイヤモンド砥石(共ずり)研磨方法で発生するような、ダイヤモンドと結合剤あるいはダイヤモンド相互の粒界面における硬さの差又はダイヤモンド砥粒の脱落による段差が発生することが殆どなく、このような段差に起因する転写の問題が発生しない。
また、耐磨耗性機構部品として使用する場合に発生しがちな摩擦特性の低下という問題もなく、極めて均質なダイヤモンド焼結体の研磨ができる。
【0023】
本発明の砥石による研磨に際しては、研磨部を室温(常温)で、あるいは100〜800°Cに加熱しながらダイヤモンドに対して相対的に回転又は移動させながら、押し付けて該ダイヤモンドを研磨する。
上記のように基板上に形成されたダイヤモンド薄膜等の厚みが薄い場合、例えば10μm程度であると、ダイヤモンド表面の凹凸が数μm程度なので、研磨の抵抗が小さく、常温でも十分に研磨できる。
ダイヤモンドと砥石の接触点では、摩擦熱により、局部的にかなりの高温となるが、このような状況において、例えばTiC、TiAlC、TiAlCNなどの本発明の砥石成分(Al、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、PtあるいはTi、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、W)との脆い炭化物、炭窒化等が生成し、かつこれが剥離するなどによって、より効果的にダイヤモンドの研磨(化学的研磨)が進行しているものと推測される。
【0024】
これに対し、ダイヤモンドの厚みが大きく、結晶粒径が大きい(数十μm以上の膜厚を有し、数μm〜数十μmの結晶粒を持つケース)場合、研磨の抵抗が増加するが、このような場合に加熱が有効である。
この場合の加熱に際しては、砥石及び又は研磨する個所の少なくとも一部を加熱し、研磨部の温度が上記100〜800°Cになるように調節して研磨する。外部から加熱の温度が100°C未満では合金砥石の靭性が劣り、砥石の割れが発生し易くなる。また、ダイヤモンド自体も上記加熱及び摩擦熱によりほぼ同等の加熱を受けるが、800°Cを超えるとダイヤモンド等が受ける熱影響によりクラックが生じたり、割れたりすることが多くなり、ダイヤモンド等を損傷し易くなるので避ける必要がある。この加熱温度としては300〜500°Cがより好適である。
研磨部にかかる外部加熱の全熱が上記の温度範囲となるように調節する。摩擦熱による温度上昇を考慮して、温度設定することが必要であるが、摩擦熱により突発的に800°Cを超える場合があってもよい。本発明において設定する加熱温度は、そのような突発的温度上昇は本発明の加熱温度に含めない。
【0025】
本発明のダイヤモンド研磨用砥石は、ステンレス鋼に比べ室温での硬さが極めて大きいという特徴がある。粉末法によって得た本発明の金属間化合物砥石の硬度がHv500〜1000Kg/mmに達するのに対して、ステンレス鋼のそれはHv〜200Kg/mm程度に過ぎない。すなわち本発明の金属間化合物砥石の硬度はステンレス鋼の2.5〜5倍に達する。
また、本発明の金属間化合物砥石は高温になっても硬さの減少が少なく、約600°Cまでは温度上昇と共に強度が上昇するという優れた性質を持っている。本発明のダイヤモンド研磨用砥石において、さらに重要なことは、ダイヤモンドに対して驚くほど大きな耐摩耗性を示すことである。これは硬さがはるかに大きい超硬合金(WC+16%Co:Hv〜1500Kg/mm)よりも少ない摩擦減量を示すことからも容易に理解できる。
【0026】
本発明のダイヤモンド研磨用砥石の少ない摩耗減量はダイヤモンドの研磨に好適なばかりでなく、ダイヤモンドの摩耗量が著しく増大するという特徴を有している。
単独のTi、Ni等は炭素との反応を促進するが、温度上昇と共に軟化し、特に大気中では、容易に酸化して酸化チタンを生成するため、殆ど研磨材としての役割を持たない。
しかし、本発明のダイヤモンド研磨用砥石は、室温または100〜800°Cに加熱しながら押し当て、相対的に回転又は移動することにより、割れを発生することなく研磨することが可能となった。
外部加熱を行って研磨する場合の、特に有効な加熱温度範囲は300〜500°Cである。ダイヤモンドは上記加熱による熱影響を受け、本発明のダイヤモンド研磨用砥石との反応性が高まり、ダイヤモンドの成分の炭素と砥石中のTiとの反応が容易になり、ダイヤモンドの結晶粒の微細な突起部が効果的に摩耗減少する。
【0027】
上記のような、ダイヤモンドの薄膜の製造工程において、特に厚いダイヤモンドの膜を形成する場合には、ダイヤモンドの結晶粒が粗大化し、かつ結晶表面の凹凸が激しくなって研磨が著しく困難となるが、本発明の砥石を使用して100〜800°Cに加熱しながら研磨することにより、このような難研磨性のダイヤモンドも砥石の破壊や極端な摩耗を発生することなく容易に研磨することが可能となった。さらに、上記温度範囲への加熱により、合金砥石の結晶粒界が強化され、粒界割れが起こりにくくなることが確認された。
ダイヤモンドと砥石の接触点では、摩擦熱と外部加熱により、炭化物、炭窒化物の生成による化学的研磨が強く起こり、より効果的なダイヤモンドの研磨が進行しているものと推測される。
【0028】
本発明の砥石のこのような著しい特徴を利用し、他のダイヤモンド研磨方法の一部にこの砥石を利用することも当然可能である。本発明はこのような使用の全てを包含するものである。
単体の金属間化合物からなるダイヤモンド研磨用砥石を製造しようとする場合、金属間化合物以外の成分として、該金属間化合物の個々の成分元素が単体として存在したり、又は微量の不純物が混入する場合がある。しかし、この場合、砥石の中に本発明の金属間化合物が90体積%以上含有量していれば、砥石としての機能を十分に発揮させることができる。
なお、本発明の砥石は、後述するように金属間化合物を構成する元素(金属)又は該金属間化合物を構成する金属以外の金属若しくは合金、又は超硬合金、半金属元素、非金属元素、セラミックス(含むガラス)、ダイヤモンド砥粒、有機化合物(ポリマー)等と複合又は混合させて使用することができる。したがって、上記90体積%以上の金属間化合物は、これを単体として砥石に使用する場合の好適な例を示しているだけで、本発明の砥石等は、上記の割合に制限されるものではない。
【0029】
例えば、本発明の金属間化合物からなるダイヤモンド研磨用砥石の強度又は靭性等を増すために、金属間化合物を構成する主たる元素であるAl、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptの群から選択した1種または2種以上の元素若しくはTi、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種または2種以上の元素又はこれら以外の元素をさらに付加的に添加することができる。
金属間化合物の種類によっては、それ単独では脆すぎて砥石にできない場合がある。しかし、上記のように強度又は靭性を向上できる材料と組み合わせることにより、また他の金属間化合物との複合金属間化合物とすることにより、強度を向上させることができる。したがって、単独では砥石にできない場合でも、上記のようにすることにより、砥石として使用することが可能であり、本発明はこのような砥石をも包含する。
また、ダイヤモンド研磨用砥石の硬さを向上させるために、セラミックス又は超硬合金等を添加することもできる。本発明はこれらを全て包含する。
また、本発明はダイヤモンド研磨用砥石の1部または全部を前記金属間化合物とするものであり、これによって、砥石の機能を飛躍的に向上させることができる。例えば、従来のダイヤモンド砥石と同様に、ダイヤモンド砥粒を金属間化合物で担持した複合砥石、本発明の金属間化合物とセラミックスとの複合砥石、金属間化合物を砥粒とした同金属間化合物と金属又は超硬工具材等との複合砥石、並びにこれらの複合体とすることができる。
なお、上記の通り、複合砥石又は混合砥石とする場合、これらの材料の配合割合(体積率)や結合剤等の体積率等は加工目的や用途に応じて任意に選択できるものであり、特に制限されない。また、従来の砥石セグメントの一部に、上記の砥石を併用することもできる。これらは全て本発明に含まれるものである。
【0030】
本発明の方法により容易かつ精度よく研磨した平滑面を持つダイヤモンド、特に、単結晶ダイヤモンドは高性能ダイヤモンド単石ドッレッサー、高熱伝導ヒートシンクなど、またダイヤモンド焼結体の研磨により、精密なダイヤモンド焼結体加工具又は耐磨耗性機構部品として、さらに本発明の方法により得られたダイヤモンド薄膜又はダイヤモンド自立体は、回路基板、高周波デバイス、ヒートシンク、各種光学部品、表面弾性波素子(フイルター)、平面ディスプレー、半導体や放射線センサー等の電子デバイス部品、精密機械部品、各種摺動部品等に好適な材料として、性能に優れたダイヤモンド材料の飛躍的な用途が拡大できる効果を有する。
【0031】
【実施例および比較例】
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例は好適な例を示し、かつ本発明の理解を容易にするためのものであり、これらの例によって本発明が制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲における他の態様および例は、当然本発明に含まれるものである。
【0032】
(砥石及びその製造条件)
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種または2種以上の粉末とAl、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptの群から選択した1種または2種以上の粉末を、それぞれの本発明の金属間化合物が形成できる比率に調合し、それぞれの材料の粉末(2〜10μm)を、ボールミル中に装填し100〜300時間程度ミリングしてメカニカルアロイング粉とした後、これらの粉末をパルス通電焼結法により、50MPaの加圧下、900°Cで5分間焼結して、各金属間化合物焼結体砥石を得た。
(被削体)
・ダイヤモンド薄膜:H/CH混合ガスを用い、厚み4mmの多結晶Si基板に熱フィラメント法によりダイヤモンド薄膜を形成する。
ダイヤモンド薄膜の厚さ:10μm(凹凸は数μm以下)、300μm、500μm
寸法:19mm×19mm
・ダイヤモンド焼結体
・ダイヤモンド単結晶
(砥石による研磨条件)
・温度 :室温(15〜30°C)または研磨部を100〜800°Cに加熱
・回転速度 :400〜3000rpm
・砥石形状 :φ30mm
・押し付け荷重:1kgf〜10kgf
・時間:1〜10分
【0033】
(実施例1)
Zr−Ni金属間化合物(ZrNi10)砥石を上記条件で製造し、気相合成ダイヤモンド薄膜と超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の双方に対して、室温で研磨を実施した。
砥石形状は同様にφ30mmとし、加工装置としてフライス盤を用い、砥石の回転速度3,000rpmで、1分間の研磨を行った。
図1に、気相合成ダイヤモンド薄膜の研磨結果を示す。図1は研磨後の気相合成ダイヤモンド薄膜表面の光学顕微鏡写真(倍率×625)である。
黒い部分は未研磨ダイヤモンド粒子を示し、灰色部分乃至白色部分は研磨された面を示す。同図において結晶粒に沿う段差は殆ど見られず、1分間という僅かな時間でダイヤモンド粒子部分の研磨が進んでいることが分かる。
図2は、超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の研磨後の光学顕微鏡写真(倍率×625)である。同様に、黒い部分はダイヤモンド粒子の未研磨部を示し、灰色部分乃至白色部分は研磨された面を示す。
同図において結晶粒に沿う段差は殆ど見られず、1分という僅かな時間で急速に研磨が進んでいることが分かる。
また、上記の金属間化合物砥石は、室温で研磨を実施しているにもかかわらず、砥石の磨耗が少なく割れや亀裂も発生しないという、極めて強い研磨能力を示した。
【0034】
(実施例2)
次に、Zrの代わりにNbを用い、Nb−Co金属間化合物(NbCo)砥石を上記条件で製造し、気相合成ダイヤモンド薄膜と超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の双方に対して、室温で研磨を実施した。
研磨条件は実施例1と同様に砥石形状をφ30mmとし、フライス盤を用いて砥石の回転速度3,000rpmで、1分間の研磨を行った。
図3に、超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の研磨後の光学顕微鏡写真(倍率×625)を示す。黒い部分はダイヤモンド粒子の未研磨部を示し、灰色部分乃至白色部分は研磨された面を示す。
上記と同様に、1分間という僅かな時間でダイヤモンド粒子の研磨が急速に進行しているのが分かる。
図示しないが、気相合成ダイヤモンド薄膜の研磨結果でも、実施例1の場合と同様の1分間という僅かな時間でダイヤモンドの研磨が進む優れた研磨結果が得られた。
また、Nb−Al金属間化合物(NbAl)砥石を製造し、気相合成ダイヤモンド薄膜と超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の双方に対して、室温で研磨を実施したが、上記Nb−Co金属間化合物(NbCo)砥石で研磨した場合と同様の結果が得られた。
以上に示す通り、本実施例の金属間化合物砥石は、室温で研磨を実施しているにもかかわらず、砥石の磨耗が少なく割れや亀裂も発生しないという、極めて強い研磨能力を示した。
【0035】
(実施例3)
次に、Ni−Nb金属間化合物(NiNb)砥石を上記条件で製造し、気相合成ダイヤモンド薄膜と超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の双方に対して、室温で研磨を実施した。
研磨条件は実施例1と同様に砥石形状をφ30mmとし、フライス盤を用いて砥石の回転速度3,000rpmで、1分間の研磨を行った。
図4に、気相合成ダイヤモンド薄膜の研磨後の光学顕微鏡写真(倍率×625)を示す。黒い部分はダイヤモンド粒子の未研磨部を示し、灰色部分乃至白色部分は研磨された面を示す。
上記と同様に、1分間という僅かな時間でダイヤモンド粒子の研磨が急速に進行しているのが分かる。
また、超高圧ダイヤモンド焼結体の研磨結果でも、上記と同様の1分間という僅かな時間でダイヤモンドの研磨が進む優れた研磨結果が得られた(図示せず)。以上に示す通り、本実施例の金属間化合物砥石は、室温で研磨を実施しているにもかかわらず、砥石の磨耗が少なく割れや亀裂も発生しないという、極めて強い研磨能力を示した。
【0036】
(実施例4)
次に、Ti−Pt金属間化合物(TiPt)及びTa−Ru金属間化合物(TaRu)砥石を上記と同様の条件で製造し、気相合成ダイヤモンド薄膜と超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の双方に対して、室温で研磨を実施した。
研磨条件は実施例1と同様に砥石形状をφ30mmとし、フライス盤を用いて砥石の回転速度3,000rpmで、1分間の研磨を行った。
研磨性能は上記本実施例に用いた金属間化合物砥石と同様に、良好な結果が得られた。以上の通り、本実施例の金属間化合物砥石は、室温で研磨を実施しているにもかかわらず、砥石の磨耗が少なく割れや亀裂も発生しないという、極めて強い研磨能力を示した。
また、Rh、Pd、Os、Irの他の白金族元素と、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群との組み合わせにおいても、同様の結果が得られることが確認できた。この白金族元素の砥石を使用する場合は、特に被研磨体への不純物の混入を嫌う場合に有効である。
【0037】
(実施例5)
次に、Ti−Ni金属間化合物(TiNi)とNb−Co金属間化合物(NbCo)からなる複合金属間化合物の砥石を上記条件で製造し、気相合成ダイヤモンド薄膜と超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の双方に対して、室温で研磨を実施した。
砥石形状は同様にφ30mmとし、加工装置としてフライス盤を用い、砥石の回転速度3,000rpmで、1分間の研磨を行った。
図5に、超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の研磨結果を示す。図5は研磨後のダイヤモンド焼結体の光学顕微鏡写真(倍率×625)である。
黒い部分は未研磨ダイヤモンド粒子を示し、灰色部分乃至白色部分は研磨された面を示す。1分間という僅かな時間でダイヤモンド粒子部分の研磨が進んでいることが分かる。また、ダイヤモンド砥粒の脱落(黒色部)が著しく少ないことが確認できた。
図示しないが、気相合成ダイヤモンド薄膜の研磨においても上記と同様に、1分間という僅かな時間でダイヤモンド粒子部分の研磨が進んだ。研磨性能はこれまでの本実施例と同様に良好な結果が得られた。
【0038】
(実施例6)
次に、Ti−Al金属間化合物(TiAl)、Ti−Cr金属間化合物(TiCr)及びZr−Co金属間化合物(ZrCo)からなる複合金属間化合物の砥石、並びにTi−Ni金属間化合物(TiNi)とZr−Ni金属間化合物(ZrNi10)からなる複合金属間化合物の砥石を上記条件で製造し、気相合成ダイヤモンド薄膜と超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の双方に対して、室温で研磨を実施した。
砥石形状は同様にφ30mmとし、加工装置としてフライス盤を用い、砥石の回転速度3,000rpmで、1分間の研磨を行った。
図示しないが、気相合成ダイヤモンド薄膜の研磨においても上記と同様に、1分間という僅かな時間でダイヤモンド粒子部分の研磨が進んだ。研磨性能はこれまでの本実施例と同様に良好な結果が得られた。
【0039】
(実施例7)
次に、Ti−Al金属間化合物(TiAl)−2Cr(メタル)とNb−Co金属間化合物(NbCo)からなる金属間化合物(金属が複合する)の砥石を上記条件で製造し、気相合成ダイヤモンド薄膜と超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の双方に対して、室温で研磨を実施した。
砥石形状は同様にφ30mmとし、加工装置としてフライス盤を用い、砥石の回転速度3,000rpmで、1分間の研磨を行った。
図6に、超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の研磨結果を示す。図6は研磨後のダイヤモンド焼結体の光学顕微鏡写真(倍率×625)である。
黒い部分は未研磨ダイヤモンド粒子を示し、灰色部分乃至白色部分は研磨された面を示す。1分間という僅かな時間でダイヤモンド粒子部分等(焼結助剤部を含む)の研磨が進んでいることが分かる。研磨性能は上記本実施例に用いた金属間化合物砥石と同様、良好な結果が得られた。
図示しないが、気相合成ダイヤモンド薄膜の研磨においても上記と同様に、1分間という僅かな時間でダイヤモンド粒子部分の研磨が進んだ。研磨性能はこれまでの本実施例と同様に良好な結果が得られた。
【0040】
近年、ダイヤモンド薄膜の高い音速を利用して、研磨加工処理したダイヤモンド薄膜表面にZnO膜等を成膜し、櫛形電極を配置したダイヤモンド薄膜表面弾性波デバイスがGHz帯通信における高周波帯域フイルター又は光通信タイミングクロックとして利用が検討されているが、この場合従来の技術では、ダイヤモンド薄膜の加工面の段差が0.02〜0.04μm以上であり、このようなダイヤモンド膜表面の大きな段差は、櫛形電極間距離のばらつき、あるいは電極を含む圧電体薄膜の動作の不安定性を誘発し、表面弾性波デバイスの性能低下やばらつきの原因となっていた。
しかながら、上記実施例に示す通り、本発明の砥石による研磨後のダイヤモンド薄膜研磨加工体は、結晶粒の境界部段差が極めて小さく、高荷重下の摺動材料として、あるいは表面弾性波デバイスとして極めて有効である。
【0041】
(比較例1)
比較として非常に強度及び靭性が高いTi−6wt%Al−4wt%V合金を用いて、ダイヤモンド薄膜に対し室温で研磨を実施した。この場合のTi−6wt%Al−4wt%V合金は溶製品を使用した。砥石回転速度は3000rpmで、5分間の研磨を行った。
この結果、Ti−6wt%Al−4wt%V合金がダイヤモンドの表面に付着し、該合金が急速に摩減するだけで、ダイヤモンド薄膜は全く研磨できなかった。これにより、TiとAlを含有するというだけの合金組成では、ダイヤモンドの研磨ができないことが確認できた。
【0042】
(実施例8)
上記実施例1について、研磨が難しいとされている結晶粒が粗いダイヤモンド自立体(500μm厚)に対して、200°C、300°C、400°C、500°C、600°C、700°C、800°Cの各温度で、押し付け圧力、旋盤の回転数、研磨時間を変えて研磨を実施した。
この結果、加熱することにより、研磨が容易となった。しかし、100°C未満では金属間化合物円板の砥石靭性が低下し、砥石にクラックが入るので、このように結晶粒径が大きいダイヤモンドでは、この温度未満では研磨性に劣ることが分かった。
また、800°Cを超えると、ダイヤモンドにクラックや割れが発生し易くなり、好ましくないことが分かった。加熱温度条件として、より好ましい範囲は300〜500°Cである。
【0043】
特に、この300〜500°Cの温度では、金属間化合物砥石にクラックや割れが発生することなく、強度及び硬度が高い状態に維持でき、品質の安定した迅速な研磨が可能であり、摩耗も少ないという極めて好適な条件であることが確認できた。
ダイヤモンドと砥石の接触点では、摩擦熱と外部加熱によりかなりの高温となるが、このような状況においては、炭化物、炭窒化物が生成するなどにより化学的な研磨が生起し、より効果的にダイヤモンドの研磨が進行しているものと推測される。
また、この温度範囲はダイヤモンドを損傷させることもなく、いずれの場合にも優れた条件であることが分かった。
【0044】
以上から、ダイヤモンドの研磨時の加熱は、ダイヤモンド膜厚みが数十ミクロン以上の膜において、特に重要である。
一般に、数十ミクロン以上のダイヤモンド膜では、膜の成長とともに、膜表面に数ミクロンから数十ミクロンの結晶方位の異なる結晶粒ができ、これらの結晶粒同士で激しい凹凸が形成される。上記の500μm厚のダイヤモンドでは、膜表面の結晶凹凸が数十μm程度になっていた。
このようなダイヤモンド膜の研磨では、砥石研磨面内に不均一な引張り、圧縮歪が発生し、該砥石中に脆性モード破壊の起点を多数提供することになる。
そして、この場合室温で研磨すると砥石の磨耗が激しくなり、また上記のような激しい凹凸により砥石に微小な亀裂が発生し、それらが研磨の進行とともに拡大して研磨加工中の破壊となることがある。研磨部の加熱はこのような破壊起点を鈍化させることができるという特徴を有している。
【0045】
本実施例では研磨部の加熱方法としてガスバーナを用いたが、他の加熱方法も当然利用できる。特に、砥石への直接通電加熱、RF誘導加熱等が有効である。また、上記にも述べたように、本発明の研磨加工は砥石をダイヤモンド膜に接触させて加工する方法であるから、接触部の摩擦熱が当然発生する。したがって、砥石等の加熱操作は外部加熱と摩擦熱の双方を総合した熱を考慮して決定する。
なお、押し付け圧力や砥石の回転数が大きいと、相互に過剰な力がかかり、ダイヤモンドや砥石を損傷させることがあるが、この条件は必要により任意に変えられるものであり、特に固定された制限的要件になるものではない。
また、研磨時間は適宜変更できるものであるが、本発明の砥石を使用した場合には、短時間で研磨が効率よく実施できるので、特に研磨時間の長短が問題となることはない。
【0046】
(摩擦・摩耗試験)
上記実施例1で得られたダイヤモンド研磨加工体及びこれと同一条件で作製した厚み500μmの多結晶ダイヤモンド膜を基板を除去せずに従来のダイヤモンド砥石を用いて研磨加工したものを比較材として、双方の摩擦・摩耗試験を行った。
摩擦・摩耗試験は、先端曲率半径を種々変化させた棒状単結晶ダイヤモンドピン(曲率半径R=0.025mm、0.25mm)を用い、大気中無潤滑下でピン・オン・ディスクの摩擦・摩耗試験を実施した。
なお、上記試験前の測定によれば、比較材のダイヤモンド研磨加工体結晶粒境界部の研磨面平均段差は0.12μmであり、実施例1で得られたダイヤモンド研磨加工体の結晶粒境界部の研磨面の平均段差は0.03μmであった。
上記のそれぞれについて、荷重と平均動摩擦係数をすべり距離500m付近の安定した値で比較計測すると、いずれも0.02〜0.03の低い値を示した。しかし、荷重の増加に伴い比較材では、特にピン曲率半径がR=0.025mmの場合、摩擦後の加工面体の最大粗さが急激に増加し、荷重が1.96Nでは表面粗さRyが1μmを超えた。
この比較材をレーザ顕微鏡で摩耗面を観察すると、摩耗痕の両側にはピンの摩耗粒子が存在していることが確認され、また荷重の増加(ヘルツ最大接触圧力の増加)に伴い加工面体の摩耗率も急激に増加した。
【0047】
一方、実施例1で得られたダイヤモンド研磨加工体の同様な試験結果では、ピン曲率半径がR=0.025mm、荷重が1.96Nにおいて、表面粗さRyは初期の粗さを維持し、摩耗率も4.0x10−12mm/mm以下の非常に小さい値を示した。
以上から、ヘルツ最大接触圧力下では、部分的に加工面段差部で亀裂が伝播し、摩耗が進行することを示している。このように、摩擦・摩耗試験ではダイヤモンド研磨加工体結晶粒境界部の研磨面段差が強く影響を与えていることが分かる。
上記の通り、本発明において研磨加工面段差が0.1μm以下であるダイヤモンド研磨加工体が実現でき、低い摩擦係数、長期に渡る信頼性の高い摩擦挙動、さらには過酷な条件下での安定した低摩耗特性を備え、超精密機械部品、人工関節、歯科用部品等、工学や医学面での利用価値が極めて高いという特徴を有する。
【0048】
(比較例2)
次に、超硬合金(WC+16%Co)の砥石を使用して、上記実施例と同様にダイヤモンド自立体を使用し、かつ同一条件で研磨を実施した。この結果、100〜800°Cの温度の加熱では、全く研磨ができなかった。すなわち、砥石が逆に削られる結果となった。
このため、さらに温度を1000°Cに上げ研磨したところ、研磨初期に一部ダイヤモンドと反応し、ダイヤモンド膜は研磨されたが、研磨用砥石が軟化し、その後持続して研磨することはできなかった。
【0049】
(比較例3)
外径φ204mm×厚み5mm円板状SUS304ステンレス鋼の砥石の外周を使用して、同様なダイヤモンド自立体を使用し、平面研削盤にて室温で研磨を実施した。砥石外周の円板先端幅は0.1mm厚みに形成し、回転速度は5,000rpmとした。
上記の条件で、Z方向の強制切り込み量を変化させながら研磨を約20秒実施した。最大荷重が250kg/cm以下(Z方向反力3kgf)では砥石が削れるだけで、ダイヤモンドは研磨されなかった。
最大荷重を540kg/cm(Z方向反力8kgf)としたところ、火花を発生しながらダイヤモンドは研磨されたが、研磨部には砥石成分が強固に溶着し、この溶着物は強酸でもなかなか除去できなかった。そして上記の場合、いずれもダイヤモンド体には割れが発生した。
さらに研磨能力を向上させるために、砥石を1000°C程度まで加熱し研磨を実施した。これによりダイヤモンドの研磨はやや促進するが、砥石成分の溶着が一層激しくなり、かつ全ての加熱研磨テストでもダイヤモンド体は破損した。上記円板砥石端面を用いた定圧切り込み研磨テストも実施したが、研磨結果は同様であった。
【0050】
上記の砥石は熱膨張が大きいため、高温に加熱すればするほど加工中のわずかな温度変化により研磨接触位置が変化して安定せず、過大な研磨圧力が付加され、ダイヤモンド膜加工中の破壊の原因となる。
さらに、ダイヤモンドへの熱衝撃によりクラックを発生し、またあるものは破損して研磨不能となる。他の超硬合金や硬質あるいは軟質金属の砥石を使用しても、殆ど同じような結果となった。
以上から、本発明の砥石に比べ明らかに研磨性に劣り、また本発明の砥石と同等の研磨特性を有するものを既存の材料から見出すことはできなかった。
【0051】
(比較例4)
ダイヤモンド自立体(500μm厚)を、外部加熱をせずに室温とし、実施例1の金属間化合物砥石を使用して研磨を実施した。
この結果、金属間化合物砥石にクラックや割れが発生し、むしろ凹凸の激しいダイヤモンド膜で金属間化合物砥石が研磨される状況を呈した。
以上から、結晶粒サイズは〜10μm以上の場合、特に数十μm以上のダイヤモンドの厚膜では、膜の成長とともに膜表面に結晶方位の異なる結晶粒同士で数μm〜数十μmの凹凸が生じていたが、これが室温での研磨を困難にしていることが分かった。
したがって、ダイヤモンドの結晶面の状況、すなわち結晶粒が粗大化し、膜表面の凹凸が著しい場合には、外部加熱が有効であることが分った。
【0052】
(実施例9)
次に、実施例1の金属間化合物砥石を使用し、天然ダイヤモンドを研磨した。天然1b型斜方12面体ダイヤモンド単結晶を固定治具で固定し、さらに面方位を特定して(111)面を室温で研磨を実施した。
砥石の回転数2,250rpm、研磨時間3分間、研磨した。その結果、3分間という僅かな時間で、研磨が極めて困難であったダイヤモンド単結晶(111)面が、良好に研磨されていた。
【0053】
(実施例10)
同様に、実施例1の金属間化合物砥石を使用し、NiとTiCを結合剤として使用し、超高圧で焼結したダイヤモンド焼結体の研磨を実施した。加工装置としてフライス盤を用い、砥石の回転速度は2,250rpmで、30分間の室温における研磨を行った。
この結果、30分間という僅かな時間でダイヤモンド粒子部分及び結合剤部分双方とも良好に研磨が進んでいた。
この研磨後に粗さを調べたところ、ダイヤモンド粒子/結合剤の境界部には殆ど段差が認められず、表面粗さも0.5μm以下と極めて優れた研磨面が得られていることが分かった。
本実施例のダイヤモンド焼結体の結合剤としてNiとTiCを使用したが、他の結合剤を使用しても同様の結果が得られた。また、本実施例では砥石として実施例1の金属間化合物砥石を使用したが、本発明の他の砥石でも同様の結果が得られた。
【0054】
(実施例11)
次に、本発明の実施例1の金属間化合物にダイヤモンド砥粒を混合し、金属間化合物/ダイヤモンド複合砥石を作成し、これを用いて気相成長ダイヤモンド薄膜及びダイヤモンド焼結体の研磨を実施した。
金属間化合物/ダイヤモンド複合砥石は実施例1の金属間化合物に#325/400メッシュダイヤモンド砥粒を15vol%(体積%)混合し、φ32mmの砥石外周に一体焼結したものを用いた。加工装置としてはボール盤を用い、砥石の回転数3,000rpmで研磨を実施した。比較のために従来使用されているメタルボンドダイヤモンド砥石で同様の研磨を実施した。
研磨加工能率は本実施例の金属間化合物/ダイヤモンド複合砥石によるものの方が圧倒的に高い。また、ダイヤモンド薄膜及びダイヤモンド焼結体の割れや欠け等の損傷は全く認められなかった。
これに対し、従来のメタルボンドダイヤモンド砥石による研磨では、ダイヤモンド薄膜及びダイヤモンド焼結体に亀裂の発生があり、また砥石自体にも欠け落ちの損傷があった。
本実施例により、金属間化合物/ダイヤモンド複合砥石の著しい効果が確認できた。
【0055】
上記複合金属間化合物(金属単体も含む)からなる砥石の製造は、出発原料としてそれぞれの構成成分の単独粉末から製造しても良いし、予め所定の金属間化合物の粉末を製造し、それらを混合し焼結して砥石を製造することもできる。
また、実施例の多くは、常温で研磨を実施した例を示したが、上記の通り適宜加熱して研磨することができる。この加熱により研磨能は一層向上する。しかし、加熱が特に要求されない又は被研磨材により加熱が望ましくない場合には、常温で実施することができる。
本発明の砥石は、成分調整が容易で、偏析がなく、また粗大結晶を生じないという理由から粉末冶金によって製造するのが良いが、製造の容易性から溶製法を用いることもできる。この砥石の製造方法は、特に制限されるものではなく、用途に応じて適宜選択できる。
上記実施例においては、比較的簡単な成分組成について例示したが、金属間化合物以外に、金属単体を含ませる(複合させる)こともできるし、またダイヤモンド砥石と複合させたり、セラミックスを複合させることもできる。砥石としての機能を備えかつ砥石の一部に本砥石が使用されるものは、全て本発明に含まれるものである。
【0056】
【発明の効果】
以上、本発明は、主成分としてTi、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種または2種以上の粉末とAl、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptの群から選択した1種または2種以上の粉末を、それぞれ本発明の金属間化合物が形成できる組成及び比率に調合した砥石を使用することにより、また必要により研磨部を100〜800°Cに加熱しながら相対的に回転又は移動する被研磨体であるダイヤモンドに押し当てて研磨することにより、単結晶ダイヤモンド、気相合成法により基板上に形成したダイヤモンド薄膜あるいはダイヤモンド自立膜、ダイヤモンド焼結体、その他の多結晶ダイヤモンド等に、クラックや破壊あるいは品質の劣化を生ずることなく低温で研磨することができる優れた効果を有する。
また砥石の寿命を大きく延ばすことができると共に安定した研磨性能を維持し、かつ平面研削等の従来の研磨装置を使用することができ、かつ3次元形状のダイヤモンド膜被覆部材の研磨加工も効率良く行うことができる特徴を有する。
単結晶ダイヤモンドの研磨においては、従来不可能と考えられていた高硬度の(111)面の研磨加工が容易に行うことができ、硬度及び熱伝導性に優れた同面の特性を生かした高性能の単結晶ダイヤモンドが得られる著しい特徴を有する。さらに一般に研磨あるいは研削の工具材として、あるいは各種耐磨耗性機構材料や電子部品として使用されるダイヤモンド焼結体の研磨加工が容易にできる効果を有する。
また、本発明は、研磨加工後のダイヤモンド研磨面の結晶粒境界部段差が著しく少なく形状精度に優れた研磨加工体を得ることができ、操作が簡単で研磨品質が安定した低コストのダイヤモンドの研磨ができるという著しい効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】Zr−Ni金属間化合物(ZrNi10)砥石を使用した研磨後の気相合成ダイヤモンド薄膜表面の光学顕微鏡写真(倍率×625)である。
【図2】同上の砥石を使用したダイヤモンド焼結体の研磨後の光学顕微鏡写真(倍率×625)である。
【図3】Nb−Co金属間化合物(NbCo)砥石を使用した研磨後のダイヤモンド焼結体光学顕微鏡写真(倍率×625)である。
【図4】Ni−Nb金属間化合物(NiNb)砥石を使用した研磨後の気相合成ダイヤモンド薄膜の光学顕微鏡写真(倍率×625)である。
【図5】Ti−Ni金属間化合物(TiNi)とNb−Co金属間化合物(NbCo)からなる複合金属間化合物の砥石を使用した研磨後のダイヤモンド焼結体の光学顕微鏡写真(倍率×625)である。
【図6】Ti−Al金属間化合物(TiAl)−2Cr(メタル)とNb−Co金属間化合物(NbCo)からなる複合金属−金属間化合物の砥石を使用した研磨後のダイヤモンド焼結体の光学顕微鏡写真(倍率×625)である。

Claims (10)

  1. Al、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群から選択した1種若しくは2種以上の元素とZr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種若しくは2種以上の元素との金属間化合物を90体積%以上含有し砥石として機能する主成分であることを特徴とするダイヤモンド研磨用砥石。
  2. Al、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群から選択した1種若しくは2種以上の元素とZr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種若しくは2種以上の元素との金属間化合物及びAl、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptの群から選択した1種若しくは2種以上の元素とTi元素との金属間化合物を90体積%以上含有し砥石として機能する主成分であることを特徴とするダイヤモンド研磨用砥石。
  3. Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptの群から選択した1種若しくは2種以上の元素とTi、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種若しくは2種以上の元素との金属間化合物を90体積%以上含有し砥石として機能する主成分であることを特徴とするダイヤモンド研磨用砥石。
  4. Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptの群から選択した1種若しくは2種以上の元素とTi、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種若しくは2種以上の元素との金属間化合物及びAl、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群から選択した1種または2種以上の元素とTi、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種または2種以上の元素との金属間化合物を90体積%以上含有し砥石として機能する主成分であることを特徴とする請求項3記載のダイヤモンド研磨用砥石。
  5. 金属間化合物の含有量が90体積%以上であり、残余が金属間化合物以外の金属若しくは合金、半金属元素、非金属元素、セラミックス、有機化合物又は不可避的不純物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のダイヤモンド研磨用砥石。
  6. ダイヤモンド研磨用砥石の1部または全部が前記金属間化合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のダイヤモンド研磨用砥石。
  7. 上記請求項1乃至6のそれぞれに記載の金属間化合物を主成分とする砥石によりダイヤモンドを研磨する際に、研磨部を100〜800°Cに加熱しながら研磨することを特徴とするダイヤモンド研磨方法。
  8. 研磨部を300〜500°Cに加熱することを特徴とする請求項7記載のダイヤモンドの研磨方法。
  9. 金属間化合物の含有量が90体積%以上であり、残余が金属間化合物以外の金属若しくは合金、超硬合金、半金属元素、非金属元素、セラミックス、ダイヤモンド砥粒、有機化合物又は不可避的不純物である請求項1乃至4のいずれかに記載のダイヤモンド研磨用砥石によりダイヤモンドを研磨する際に、研磨部を100〜800° C に加熱しながら研磨することを特徴とするダイヤモンド研磨方法
  10. 90体積%以上の金属間化合物とダイヤモンド砥粒、超硬合金又はセラミックスとを複合させたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のダイヤモンド研磨用複合砥石
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