JP5870562B2 - ダイヤモンド材料研磨用の研磨盤及びダイヤモンド材料の研磨方法 - Google Patents
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Description
本発明においては、焼結ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド及び単結晶ダイヤモンドを合わせて以下ダイヤモンド材料という。
スカイフ研磨では、鋳鉄板に埋め込んだダイヤ砥粒による機械的な摩耗に加え、ダイヤモンドと鋳鉄板とが化学的に反応することによってダイヤモンドが摩耗する化学的反応摩耗が生じる。
非特許文献1に、ダイヤモンド焼結体を研磨盤として、研究開発用の超高圧発生アンビルの研磨に適用した例が記載されているが、非特許文献1に記載されている研磨盤では研磨面積が小さい上、仕上げ研磨にのみ適用されており、研削能率が低くて研磨時間が長くかかるという問題がある。
すなわち、本発明は以下に記載する通りのダイヤモンド用の研磨盤及びこれを用いた研磨方法に係るものである。
(2)前記ダイヤモンド焼結体に含まれるダイヤモンド粒子の平均粒径が0.5μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
(3)前記ダイヤモンド焼結体中のダイヤモンド粒子の含有割合が、60体積%以上90体積%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
(4)前記ダイヤモンド焼結体の表面粗さ(Ra)が0.01μm以上5μm以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
(5)前記炭化物のダイヤモンド焼結体中における含有割合が5体積%以上30体積%以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤に、研磨すべきダイヤモンドを当接せしめ、酸素を含む雰囲気中で相対的に摺動させてダイヤモンドの表面を研磨することを特徴とするダイヤモンド材料の研磨方法。
このダイヤモンド焼結体は、ダイヤモンド粒子を60体積%以上90体積%以下含む。ダイヤモンド焼結体は、隣接する粒子同士が互いに結合して連続体となっており、剛性及びダイヤモンド粒子の保持力が高いため、研磨盤として被加工材である単結晶ダイヤモンドの耐摩耗性が高い面や多結晶ダイヤモンドを研磨しても、盤面の変形は生じにくく、高精度の研磨面を得ることができる。
この体積含有率は、焼結体を解砕してICP(誘導結合高周波プラズマ分光分析)による定量分析の他、SEMやTEMによる断面観察により測定できる。
平均粒径が10μmを超えると、研磨面の面精度が低下する。また、粒径が0.5μm未満であると焼結体の研削能率が低下する場合がある。
結合材が偏析して出現した領域の円相当径が100μmを超えると、ダイヤモンド焼結体の面粗さが悪くなり、ダイヤモンドの研磨面の面精度が低下する可能性がある。より高い研磨面の面精度を得るためには結合材の偏析は50μm以下であることが好ましい。
このようにして得られた焼結ダイヤモンドを研磨盤面とその背面が平行度<1μmとなるように加工した後、表面粗さをRaで0.01μm以上、1μm以下になるように、面精度を整えて、研磨盤として使用する。
ダイヤモンド研磨中に研磨盤とダイヤモンド材料との摺動表面は、局所的に高温になっており、雰囲気中に酸素を含むと雰囲気中の酸素によって、高温になったダイヤモンド表面の酸化が促進され、研磨を進行させることができる。
酸素分圧が高いと研磨速度を向上させるには好ましいが、大気中での摺動で十分な効果が得られる。
研磨のための具体的な設備としては、研磨盤を保持して回転ブレ無く高速に回転させる機構と、被加工体であるダイヤモンドを保持し、高速回転している研磨盤に一定圧力で当接せしめる機構と、研磨盤の径方向に被加工体を搖動させる機構とを有する設備を用いる。
高純度グラファイトを原料とし、超高圧・高温発生装置を用いて15GPa−2200℃で高圧・高温処理して、バインダを一切含まず、組織粒径がナノメートルオーダーの等方性多結晶ダイヤモンドを合成した。このナノ多結晶ダイヤモンド(NPD:Nano-Polycrystalline Diamond)から、レーザ加工により、5mm□×2mmtの板材を切り出して、研磨用試料を作製した。
<研磨盤の作製>
表1に記載のダイヤモンド粒子、結合材金属粉末を表1に示す所定の体積分率になるように秤量して、セラミックス製ポットに入れてテフロン(登録商標)コートを施した分散メディアを用いたボールミルにより均質に混合し、超高圧セルに充填して5〜6GPa、1300〜1500℃に保持し、表2に示す実施例1〜7のダイヤモンド焼結体を作製した。
なお、焼結体の原料粉末の混合には、分散メディアを用いずに、均質に分散・混合させることができるジェットミキサーや、スターバーストといった濃縮スラリ粉末を高圧で噴射混合する手法を用いても、乳鉢混合でも、作成する混合粉末の量に応じて混合方法を選択して良い。
このようにして得られたダイヤモンド焼結体をφ50mmに切断し、先端がφ50mmで、クランプ部分がφ30mm×60mmの逆T字型金属製円筒ホルダの先端に接合し、研削機の砥石軸にクランプできるようにして研磨盤を作成した。研磨盤の盤面は、クランプ軸に対する垂直度1μm以下かつ、平面度1μm以下に研削加工により整えた。ダイヤモンド焼結体の形状加工には放電加工を用いることも有用である。
研磨用試料のクランプ部は下台にエアシリンダーによる研削荷重制御機構を設け、研磨中の研磨盤への試料の押しつけ荷重が一定となるように制御した。
研磨盤は3000rpmで回転させ、試料は200gfの一定荷重で5mm□の面をそれぞれの研磨盤で約10分間研磨した。
(研磨速度)
研磨後の試料について、摩耗量(板厚の減少量)を測定した。
また、その結果を表1に、後述する比較例1に示す汎用されている焼結ダイヤモンドを用いた場合の摩耗量を基準値1とした場合の相対比較値で示した。この値は研磨速度の相対比較値を示すものである。
(表面粗さRa)
研磨後の試料について、表面粗さ(Ra)を原子間力顕微鏡(AFM:SII社製 Nano Navi II )により測定した。
本発明の実施例では原料の非ダイヤモンド型炭素として黒鉛焼成体を用いた。本発明においては原料黒鉛焼成体中のグラファイト粒子及びダイヤモンド多結晶体中のダイヤモンド焼結粒子の平均粒径(D50)及び最大粒径(Dmax)は走査型電子顕微鏡により倍率10〜50万倍で写真撮影像を元にして画像解析を実施することで得た。
以下にその詳細方法を示す。
まず、試料表面を仕上げ研磨もしくはCP加工し、該試料を走査型電子顕微鏡で撮影した撮影像を元に焼結体を構成する結晶粒の粒径分布を測定する。具体的には、画像解析ソフト(例えば、Scion Corporation社製、ScionImage)を用いて、個々の粒子を抽出し、抽出した粒子を2値化処理して各粒子の面積(S)を算出する。そして、各粒子の粒径(D)を、同じ面積を有する円の直径(D=2√(S/π))として算出する。
次に、上記で得られた粒径分布をデータ解析ソフト(例えば、OriginLab社製Origin、Parametric Technology社製Mathchad等)によって処理し、D50粒径、最大粒径Dmaxを算出する。
以下に記載する実施例、比較例では走査型電子顕微鏡として日本電子製JSM−7600Fを用いた。
表1に記載の粒度のダイヤモンド粒子、結合材金属粉末を焼結後に表1に示す所定の体積分率になるように秤量して原料粉末混合物とした以外は実施例1と同様にしてダイヤモンド焼結体を作製した。
得られたダイヤモンド焼結体を研磨盤として実施例1と同様にして研磨試験、評価を行った。
比較例2の研磨盤としてスカイフ研磨を行なうための鋳鉄製の研磨盤を用いた。
研磨材としては0.5〜2μmのダイヤモンド粒子を用いた。
研磨盤としてφ300mmのものを用い、2000rpmで回転させて研磨したことを除いては実施例1と同様にして研磨試験、評価を行った。
比較例3の研磨盤としてメタルボンド砥石を用いた。
メタルボンド砥石は#3000−集中度100のものを用いた。
研磨盤としてφ300mmのものを用い、2000rpmで回転させて研磨したことを除いては実施例1と同様にして研磨試験、評価を行った。
評価結果を表1に示した。
Claims (6)
- ダイヤモンド材料研磨用の研磨盤であって、少なくとも研磨盤の研磨面がダイヤモンド粒子と結合材とからなり、隣接するダイヤモンド粒子が互いに結合して連続した構造を有しており、前記結合材は、Ni,Co,及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,及びWからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,及びWからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の炭化物を含むダイヤモンド焼結体からなることを特徴とするダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
- 前記ダイヤモンド焼結体に含まれるダイヤモンド粒子の平均粒径が0.5μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
- 前記ダイヤモンド焼結体中のダイヤモンド粒子の含有割合が、60体積%以上90体積%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
- 前記ダイヤモンド焼結体の表面粗さ(Ra)が0.01μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
- 前記炭化物のダイヤモンド焼結体中における含有割合が5体積%以上30体積%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤に、研磨すべきダイヤモンドを当接せしめ、酸素を含む雰囲気中で相対的に摺動させてダイヤモンドの表面を研磨することを特徴とするダイヤモンド材料の研磨方法。
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