JP5870562B2 - ダイヤモンド材料研磨用の研磨盤及びダイヤモンド材料の研磨方法 - Google Patents

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本発明は、ダイヤモンド材料の加工技術に関し、ダイヤモンド材料を応用した工具・半導体素子及び光学部品の高精度な研磨面を得るための研磨盤及びダイヤモンド材料の研磨方法に関する。
ダイヤモンドは物質中で最も高い硬度を持つ上、紫外から中赤外に及ぶ広波長域にわたって光学材料として使用できるうえ、耐腐食性、耐熱性、電気的特性や熱的特性に優れにもすぐれることから、工具、光学材料、電子材料として幅広く実用化が進められている。これらの用途に適用するには、工具の刃先や光学窓・レンズ、板材の表面を精密な平滑面とする必要がある。例えば、ダイヤモンドからなる超精密工具の場合は刃先の面精度が加工物の仕上げ面精度に顕著に影響する。また、ダイヤモンドは光学部品として可視〜赤外窓に加えて、放射光用の分光結晶としても応用されているが、高精度な研磨面が必要で、分光性能を左右する。
これらの用途に実用化が進められているダイヤモンド材料としては、天然及び超高圧・高温下で合成される単結晶ダイヤモンドと、人工的に合成される多結晶ダイヤモンドとがある。一部では、天然に採取される極めて結晶性の悪いボーツと呼ばれる多結晶ダイヤモンドも利用されるが、極めて少量に過ぎない。人工合成のダイヤモンドには、ダイヤモンド砥粒と金属若しくはセラミックス結合材を超高圧高温下に保持して焼結させて得られる焼結ダイヤモンド、バインダを一切含まず、炭素同素体原料より直接変換合成により得られる多結晶ダイヤモンド、気相合成法により成長させて得られる多結晶ダイヤモンド及び、単結晶ダイヤモンドなどがある。
本発明においては、焼結ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド及び単結晶ダイヤモンドを合わせて以下ダイヤモンド材料という。
ダイヤモンドの研磨には、鋳鉄板にダイヤモンドの遊離砥粒を埋め込み、鋳鉄板を高速回転させ、この鋳鉄板にダイヤモンドを当接せしめて研磨するスカイフ研磨という手法が、従来から用いられている。
スカイフ研磨では、鋳鉄板に埋め込んだダイヤ砥粒による機械的な摩耗に加え、ダイヤモンドと鋳鉄板とが化学的に反応することによってダイヤモンドが摩耗する化学的反応摩耗が生じる。
しかしながら、鋳鉄板は、ダイヤモンドよりも柔らかいため、ダイヤモンドの研磨の進行に伴い、表面にダイヤモンド砥粒による傷やうねりを生じてしまう。また、ダイヤモンドと鋳鉄板との化学的な反応摩耗によって、鋳鉄板の表面に形成されたうねりや砥粒による傷がダイヤモンドの表面に転写されてしまう。ダイヤモンド砥粒の表面状態によっては砥粒による研削痕が残ってしまうなどの問題がある。砥粒による研削痕が明瞭についてしまう場合には、研磨面のモフォロジーのみでなく、砥粒による機械的ダメージが加わるため、いずれの用途においても十分な性能を発揮することができない。高精度な研磨面を得るためには、盤面精度の精密な管理が必要であるが、極めて難度が高く、習熟を要する技術である。
スカイフ研磨の他に樹脂やセラミックスまたは金属の結合材にダイヤモンド砥粒を均一に分散させて焼結したダイヤモンド砥石を用いて研磨する場合があるが、通常これらの砥石に含まれるダイヤモンド砥粒は25体積%程度であり、基体となる樹脂やセラミックス及び、金属はダイヤモンドに比べはるかに柔らかいため、研磨の進行に伴って盤面が変形してしまう。盤面の変形によって基体中に分散しているダイヤモンド砥粒が脱落し、ダイヤモンドに研磨傷が付いてしまい、スカイフ研磨と同様の問題がある。
単結晶ダイヤモンドは機械的特性の結晶異方性が強く、極めて摩耗量が少ない結晶方位と、摩耗しやすい結晶面方位がある。従来単結晶ダイヤモンドはスカイフ研磨により摩耗しやすい方位に特化して、形状素加工を行っていた。このため、最も摩耗が進行しないことで知られる(111)面はその難加工性がネックとなっており、ダイヤモンドの(111)面を工具の摩耗方向に適用してダイヤモンドの材質性能を最大に引き出すという利用方法は不可能であった。
一方、あらゆる面方位が表れる多結晶ダイヤは、最も摩耗が進行しない面方位の粒子も多数が加工面に現れるため加工が困難であり、焼結ダイヤモンド、CVD多結晶ダイヤモンド、超高圧高温下で直接変換法により得られる多結晶ダイヤモンドは、ダイヤモンド砥粒を用いて長時間をかけて共削りせざるをえない。さらに、加工時間がかかるのみでなく、被加工体であるダイヤモンドが極めて硬く、研磨盤を変形させてしまうために、高い面精度の平滑な研磨面が得られないという問題があった。
これらを解決するために、より硬質で高精度に研磨盤の盤面形状精度を維持することができる方法として、焼結ダイヤモンドを研磨盤としてダイヤモンドを研磨する手法が提案された。
非特許文献1に、ダイヤモンド焼結体を研磨盤として、研究開発用の超高圧発生アンビルの研磨に適用した例が記載されているが、非特許文献1に記載されている研磨盤では研磨面積が小さい上、仕上げ研磨にのみ適用されており、研削能率が低くて研磨時間が長くかかるという問題がある。
特許文献1には、金属バインダを含むダイヤモンド焼結体を研磨盤として用いてダイヤモンドを研削する方法が記載されているが、研磨盤の研削効率が低く、被加工体であるダイヤモンドの摩耗進行が遅いために、研磨盤である焼結ダイヤモンドと被加工体のダイヤモンドのクリアランスを精緻に合わせておかなければ、研削抵抗が高くなりすぎて、ダイヤモンドに欠けやクラックを生じてしまうという問題があり、このため焼結ダイヤモンドの研磨盤に放電加工やポリッシングを行い高精度に盤面の精度を出す必要があった。
特開2011−88264号公報
AIRAPT,AIP Conf. Proc.,309(1993)1619
本発明は従来のスカイフ研磨よりも高い研磨面精度をもち、ダイヤモンドの加工を高速に行うことができ、従来研磨が困難であった耐摩耗性の高い面方位を含み、研磨が極めて困難な多結晶ダイヤモンドの研磨においても高速かつ高い面精度で研磨を行うことができるダイヤモンド研磨用の研磨盤及びこれを用いた研磨方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、ダイヤモンド砥粒と結合材とからなる焼結体であって、隣接するダイヤモンド粒子が互いに結合して連続した構造を有しており、結合材がNi,Co,Fe,からなる群より選ばれる1種以上の元素と、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo及び、Wからなる群より選ばれる1種以上の元素とを含んでおり、これらの元素の1種以上が炭化物として結合材中に存在しているダイヤモンド焼結体を研磨盤として用いることによって上記課題を解決することができることを見いだして本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下に記載する通りのダイヤモンド用の研磨盤及びこれを用いた研磨方法に係るものである。
(1)ダイヤモンド材料研磨用の研磨盤であって、少なくとも研磨盤の研磨面がダイヤモンド粒子と結合材とからなり、隣接するダイヤモンド粒子が互いに結合して連続した構造を有しており、前記結合材は、Ni,Co,及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,及びWからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,及びWからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の炭化物を含むダイヤモンド焼結体からなることを特徴とするダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
(2)前記ダイヤモンド焼結体に含まれるダイヤモンド粒子の平均粒径が0.5μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
(3)前記ダイヤモンド焼結体中のダイヤモンド粒子の含有割合が、60体積%以上90体積%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
(4)前記ダイヤモンド焼結体の表面粗さ(Ra)が0.01μm以上5μm以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
(5)前記炭化物のダイヤモンド焼結体中における含有割合が5体積%以上30体積%以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤に、研磨すべきダイヤモンドを当接せしめ、酸素を含む雰囲気中で相対的に摺動させてダイヤモンドの表面を研磨することを特徴とするダイヤモンド材料の研磨方法。
本発明の研磨盤を用いてダイヤモンドを研磨することにより、従来のスカイフ研磨よりも高い研磨面精度でダイヤモンドを高速に研磨することができ、また、従来研磨が困難であった耐摩耗性の高い面方位を含み、研磨が極めて困難な多結晶ダイヤモンドの研磨も従来法よりも高速かつ高い面精度で行うことができる。また、従来の金属バインダを含むダイヤモンド焼結体を研磨盤として用いた場合には放電加工やポリッシングによる研削盤の前加工が必要であったが本発明の研磨方法では研削能が高い為、このような高精度の盤面前加工は不要である。
本発明の研磨盤を構成するダイヤモンド焼結体はダイヤモンド粒子と結合材とを少なくとも含むものであり、不可避不純物を含んでいても差し支えない。
このダイヤモンド焼結体は、ダイヤモンド粒子を60体積%以上90体積%以下含む。ダイヤモンド焼結体は、隣接する粒子同士が互いに結合して連続体となっており、剛性及びダイヤモンド粒子の保持力が高いため、研磨盤として被加工材である単結晶ダイヤモンドの耐摩耗性が高い面や多結晶ダイヤモンドを研磨しても、盤面の変形は生じにくく、高精度の研磨面を得ることができる。
ダイヤモンドの割合が60体積%未満であると、隣接するダイヤモンド粒子同士が接触できない可能性があり、互いに結合した連続構造をとることができず、剛性に劣り盤面の変形が大きくなり、高精度研磨ができない場合がある。一方、90体積%を超えると、ダイヤモンドに対する結合材の存在量が減少し、結合材による化学的反応摩耗が促進されず、研磨レートが著しく低下する場合がある。
広く利用されているダイヤモンド焼結体中に含まれる結合材は、不可避的混入不純物とダイヤモンド⇔グラファイト変換の触媒作用を持つCo、Fe、Niなどの鉄系金属である。これらを1種以上含むことにより、ダイヤモンド粒子同士を接合させ連続体とする反応を促進させ、研磨による盤面の変形が無い剛性の高いダイヤモンド焼結体を得ることができる。
また、このダイヤモンド焼結体の結合材中に、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo及び、Wからなる炭化物形成傾向の高い遷移金属元素群から選ばれる1種以上の元素を含むことにより、炭化物を形成するダイヤモンドとの化学的反応摩耗を促進させ、高速に研磨することが可能であり、これらの遷移金属元素を添加しない場合に比べて、高い面精度の研磨面が得られる。この遷移金属元素のダイヤモンド焼結体中の含有量は、5体積%以上であることが望ましく、研磨速度を速くする場合には10体積%以上であることが望ましい。
更に、前記遷移金属の炭化物を焼結体中に含むと、更に面精度が高く研磨による機械的ダメージの少ない加工が可能であり、前記遷移金属の炭化物のダイヤモンド焼結体中における含有割合が5体積%以上30体積%以下であることが好ましく、添加する遷移金属元素のうちの20体積%以上が炭化物として存在するとより効果的である。
この体積含有率は、焼結体を解砕してICP(誘導結合高周波プラズマ分光分析)による定量分析の他、SEMやTEMによる断面観察により測定できる。
上記ダイヤモンド焼結体に含まれるダイヤモンド粒子の平均粒径は、0.5μm以上10μm以下であることが望ましい。なお、本発明でいう平均粒径は面積平均粒径であり、その測定方法について後述する。
平均粒径が10μmを超えると、研磨面の面精度が低下する。また、粒径が0.5μm未満であると焼結体の研削能率が低下する場合がある。
結合材が偏析して出現した領域の円相当径が100μmを超えると、ダイヤモンド焼結体の面粗さが悪くなり、ダイヤモンドの研磨面の面精度が低下する可能性がある。より高い研磨面の面精度を得るためには結合材の偏析は50μm以下であることが好ましい。
上記ダイヤモンド焼結体の表面粗さは、Raで0.01μm以上5μm以下であることが望ましい。Raが0.01μmより小さくなると、研削抵抗が低くなりすぎて研磨速度が極端に遅くなる場合がある。一方Raが5μmより大きくなると、研磨面の面粗さが悪くなる、研削抵抗が高くなりすぎて機械的なダメージを与えてしまうなどの問題が生じる可能性がある。
研磨盤となるダイヤモンド焼結体は、平均粒径が0.2〜10μmのダイヤモンド粒子と、Ni,Co,及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の単体金属及び/又は化合物と、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,及びWからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の金属単体及び/又はその化合物を含み、更にTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,及びWから選ばれた少なくとも一種の元素の炭化物を、焼結体中にダイヤモンド粒子が70〜90vol%含まれるように秤量し、均質に分散されるように粉末を混合した後、5〜7GPa,1300〜1500℃の超高圧・高温下に保持して得ることができる。
このようにして得られた焼結ダイヤモンドを研磨盤面とその背面が平行度<1μmとなるように加工した後、表面粗さをRaで0.01μm以上、1μm以下になるように、面精度を整えて、研磨盤として使用する。
本発明の研磨方法は、研磨盤として本発明の研磨盤を使用し、この研磨盤に研磨すべきダイヤモンド材料を当接せしめ、酸素を含む雰囲気中で両者を相対的に摺動させてダイヤモンドの表面を研磨するものである。
ダイヤモンド研磨中に研磨盤とダイヤモンド材料との摺動表面は、局所的に高温になっており、雰囲気中に酸素を含むと雰囲気中の酸素によって、高温になったダイヤモンド表面の酸化が促進され、研磨を進行させることができる。
酸素分圧が高いと研磨速度を向上させるには好ましいが、大気中での摺動で十分な効果が得られる。
研磨のための具体的な設備としては、研磨盤を保持して回転ブレ無く高速に回転させる機構と、被加工体であるダイヤモンドを保持し、高速回転している研磨盤に一定圧力で当接せしめる機構と、研磨盤の径方向に被加工体を搖動させる機構とを有する設備を用いる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳述する。これらの実施例は例示であって、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲の範囲によって示され、特許請求の範囲の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
<研磨用試料のダイヤモンドの作製>
高純度グラファイトを原料とし、超高圧・高温発生装置を用いて15GPa−2200℃で高圧・高温処理して、バインダを一切含まず、組織粒径がナノメートルオーダーの等方性多結晶ダイヤモンドを合成した。このナノ多結晶ダイヤモンド(NPD:Nano-Polycrystalline Diamond)から、レーザ加工により、5mm□×2mmtの板材を切り出して、研磨用試料を作製した。
[実施例1〜7]
<研磨盤の作製>
表1に記載のダイヤモンド粒子、結合材金属粉末を表1に示す所定の体積分率になるように秤量して、セラミックス製ポットに入れてテフロン(登録商標)コートを施した分散メディアを用いたボールミルにより均質に混合し、超高圧セルに充填して5〜6GPa、1300〜1500℃に保持し、表2に示す実施例1〜7のダイヤモンド焼結体を作製した。
なお、焼結体の原料粉末の混合には、分散メディアを用いずに、均質に分散・混合させることができるジェットミキサーや、スターバーストといった濃縮スラリ粉末を高圧で噴射混合する手法を用いても、乳鉢混合でも、作成する混合粉末の量に応じて混合方法を選択して良い。
このようにして得られたダイヤモンド焼結体をφ50mmに切断し、先端がφ50mmで、クランプ部分がφ30mm×60mmの逆T字型金属製円筒ホルダの先端に接合し、研削機の砥石軸にクランプできるようにして研磨盤を作成した。研磨盤の盤面は、クランプ軸に対する垂直度1μm以下かつ、平面度1μm以下に研削加工により整えた。ダイヤモンド焼結体の形状加工には放電加工を用いることも有用である。
<研磨試験>
研磨用試料のクランプ部は下台にエアシリンダーによる研削荷重制御機構を設け、研磨中の研磨盤への試料の押しつけ荷重が一定となるように制御した。
研磨盤は3000rpmで回転させ、試料は200gfの一定荷重で5mm□の面をそれぞれの研磨盤で約10分間研磨した。
<評価>
(研磨速度)
研磨後の試料について、摩耗量(板厚の減少量)を測定した。
また、その結果を表1に、後述する比較例1に示す汎用されている焼結ダイヤモンドを用いた場合の摩耗量を基準値1とした場合の相対比較値で示した。この値は研磨速度の相対比較値を示すものである。
(表面粗さRa)
研磨後の試料について、表面粗さ(Ra)を原子間力顕微鏡(AFM:SII社製 Nano Navi II )により測定した。
<平均粒径>
本発明の実施例では原料の非ダイヤモンド型炭素として黒鉛焼成体を用いた。本発明においては原料黒鉛焼成体中のグラファイト粒子及びダイヤモンド多結晶体中のダイヤモンド焼結粒子の平均粒径(D50)及び最大粒径(Dmax)は走査型電子顕微鏡により倍率10〜50万倍で写真撮影像を元にして画像解析を実施することで得た。
以下にその詳細方法を示す。
まず、試料表面を仕上げ研磨もしくはCP加工し、該試料を走査型電子顕微鏡で撮影した撮影像を元に焼結体を構成する結晶粒の粒径分布を測定する。具体的には、画像解析ソフト(例えば、Scion Corporation社製、ScionImage)を用いて、個々の粒子を抽出し、抽出した粒子を2値化処理して各粒子の面積(S)を算出する。そして、各粒子の粒径(D)を、同じ面積を有する円の直径(D=2√(S/π))として算出する。
次に、上記で得られた粒径分布をデータ解析ソフト(例えば、OriginLab社製Origin、Parametric Technology社製Mathchad等)によって処理し、D50粒径、最大粒径Dmaxを算出する。
以下に記載する実施例、比較例では走査型電子顕微鏡として日本電子製JSM−7600Fを用いた。
[比較例1]
表1に記載の粒度のダイヤモンド粒子、結合材金属粉末を焼結後に表1に示す所定の体積分率になるように秤量して原料粉末混合物とした以外は実施例1と同様にしてダイヤモンド焼結体を作製した。
得られたダイヤモンド焼結体を研磨盤として実施例1と同様にして研磨試験、評価を行った。
[比較例2]
比較例2の研磨盤としてスカイフ研磨を行なうための鋳鉄製の研磨盤を用いた。
研磨材としては0.5〜2μmのダイヤモンド粒子を用いた。
研磨盤としてφ300mmのものを用い、2000rpmで回転させて研磨したことを除いては実施例1と同様にして研磨試験、評価を行った。
[比較例3]
比較例3の研磨盤としてメタルボンド砥石を用いた。
メタルボンド砥石は#3000−集中度100のものを用いた。
研磨盤としてφ300mmのものを用い、2000rpmで回転させて研磨したことを除いては実施例1と同様にして研磨試験、評価を行った。
評価結果を表1に示した。
Figure 0005870562
Figure 0005870562
上記表1に示された結果から、本発明の研磨方法は従来の研磨方法と比較して、非常に高速かつ、高い面精度で研磨できることが分かる。

Claims (6)

  1. ダイヤモンド材料研磨用の研磨盤であって、少なくとも研磨盤の研磨面がダイヤモンド粒子と結合材とからなり、隣接するダイヤモンド粒子が互いに結合して連続した構造を有しており、前記結合材は、Ni,Co,及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,及びWからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,及びWからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の炭化物を含むダイヤモンド焼結体からなることを特徴とするダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
  2. 前記ダイヤモンド焼結体に含まれるダイヤモンド粒子の平均粒径が0.5μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
  3. 前記ダイヤモンド焼結体中のダイヤモンド粒子の含有割合が、60体積%以上90体積%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
  4. 前記ダイヤモンド焼結体の表面粗さ(Ra)が0.01μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
  5. 前記炭化物のダイヤモンド焼結体中における含有割合が5体積%以上30体積%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のダイヤモンド材料研磨用の研磨盤に、研磨すべきダイヤモンドを当接せしめ、酸素を含む雰囲気中で相対的に摺動させてダイヤモンドの表面を研磨することを特徴とするダイヤモンド材料の研磨方法。
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