JP3426209B2 - 鉄筋コンクリート床版の下面増厚補強工法 - Google Patents

鉄筋コンクリート床版の下面増厚補強工法

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JP3426209B2 JP2000362755A JP2000362755A JP3426209B2 JP 3426209 B2 JP3426209 B2 JP 3426209B2 JP 2000362755 A JP2000362755 A JP 2000362755A JP 2000362755 A JP2000362755 A JP 2000362755A JP 3426209 B2 JP3426209 B2 JP 3426209B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路橋床版、鉄道
橋床版、トラックターミナルや配送センターなど車両が
走行する鉄筋コンクリート製の既設床版を、下面から増
厚して補強する工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば既設の道路橋は、トラックなどの
自動車の輪荷重が直接、しかも繰り返し加わり、過酷な
荷重・応力を受ける。これに加えて、トラックの荷重制
限が緩和されたことにより、走行車両の輪荷重が設計時
の荷重よりも増大した。このため、床版等下面におい
て、一方向のクラックから縦横のクラックが発生し、さ
らにはこれらのクラックが成長して細網化し、最終的に
はコンクリートの剥落などが発生するおそれがある。
【0003】そこで、鉄筋コンクリート製の既設床版を
補強する必要性が生じているが、かかる床面の補強を行
おうとする場合、補強箇所により床面を上面から補強す
る上面補強工法と、下面から補強する下面補強工法とに
分別され、また、補強内容によって、床面の断面を増大
させる「増厚工法」「鋼板接着工法」「新素材シート接
着工法」などに分別される。そして、「増厚工法」は、
上面補強工法として床面を上面から増厚する「上面増厚
工法」と、下面補強工法として下面から増厚する「下面
増厚工法」とに大別され、「鋼板接着工法」「新素材シ
ート接着工法」はいずれも下面補強工法に属する。
【0004】「上面増厚工法」は、上面のアスファルト
層を除去してコンクリート面を露出させ、そこにファイ
バーコンクリートを打設するのが一般的であり、施工は
交通を遮断して行われるため、既設床版には自重だけし
かかかっておらず、増厚後は断面係数が増大して中立軸
が上方に移動するので、鉄筋コンクリート床版の耐荷力
は確実に増大し、活荷重の増大に対処する方法としては
力学的には有効な方法である。
【0005】しかしながら、施工を上面から行うために
交通を遮断する必要がある。また、施工した箇所は、走
行面が盛り上がって上昇するために、部分的に補強を実
施すると、補強しない部分との間に段差が生じてしま
う。このため、部分的な補強には適していない。
【0006】これに対して、「下面補強工法」は、道路
交通を遮断する必要がなく、また、部分的に補強して段
差が生じても、走行の支障とはならないことから、運用
面では有効な工法である。そして、この「下面補強工
法」には、前記のように下面の補強を必要とする部分に
鋼板を接着する「鋼板接着工法」、下面に炭素繊維やア
ラミド繊維などの新素材シートを接着する「新素材シー
ト接着工法」、あるいは、床版下面コンクリートを目荒
らしした後に鉄筋を配置してコンクリートまたはモルタ
ルなどの材料を型枠流し込み、または吹き付けによって
打設する「下面増厚工法」などがある。
【0007】前記「鋼板接着工法」は図11に示すように
鉄筋コンクリート性の既設の床版1の下面に鋼板21を接
着剤22で取り付けるものであるが、鋼板21の重量が大き
く、接着剤22のみでは取り付けることができないため、
床版1に下面から複数のアンカーボルト23を適宜間隔で
打設して鋼板21を保持するようにしている。図中2は既
設の床版1内に配筋されている鉄筋、3は鋼桁を示す。
【0008】しかしながら、この「鋼板接着工法」はア
ンカーボルト23の打設によって該アンカーボルト23周辺
のコンクリートにひび割れ24が発生し、これがかえって
床版1の耐荷性能を低下させる結果となることもある。
【0009】また、補強を必要とする既設のコンクリー
ト製の床版1は既に複数のクラックが発生しているのが
通常であり、コンクリート製の床版1の上面に防水層が
施されていない場合には、雨水がこのクラックを通じて
鋼板とコンクリートとの境界面に到達し、鋼板21の接着
部分の接着力を低下させることにもなる。
【0010】「新素材シート接着工法」は、鋼板に比較
して重量が軽いため、アンカーボルトを使用しなくても
床版1の下面に接着することができるが、ただ単に床版
下面に接着しただけでは、床版スパンの中央部分におい
て発生した引張応力を保持するだけの接着力が床版スパ
ンの両端部で得られないことが多く、期待した補強効果
を得ることが困難である。
【0011】「下面増厚工法」は、図12に示すように床
版1の下面の補強を必要とする箇所に補強鉄筋4を配置
して、この部分にモルタル25やコンクリートなどの材料
を吹き付けする工法である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この「下面増厚工法」
も、下面に追加補強された引張鉄筋(補強鉄筋4)が有
効に働くためにはその端部が既設のコンクリート製の床
版1に一体化されることが必要条件であり、これを満足
するためには鋼板接着工法と同様にコンクリート製の床
版1にアンカーボルト23を打設して補強鉄筋4とコンク
リートとの一体化を図っている。このため、このアンカ
ーボルト23の打設箇所からひび割れ24が発生し、アンカ
ーボルト23の打設箇所が弱点となって床版1の耐荷性能
を低下させ、所期の補強効果が得られないことがある。
【0013】また、吹き付けたモルタル25またはコンク
リートと既設コンクリートとの間に長期的な接着力が十
分に確保できないことがある。これは、モルタルやコン
クリートはセメントと水の水和反応が進行するにしたが
い発生する自己収縮や乾燥収縮などによって収縮するこ
とに起因し、既に収縮が終了している床版1の既設コン
クリートに接着した場合、小さな面積を対象とした「付
着力試験」では満足な結果が得られたとしても、面積の
大きい実際の床版1においてはモルタルやコンクリート
に発生したひび割れ部分から既設コンクリートとの接着
力が失われる現象が発生する可能性が大きいためであ
る。
【0014】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、既設のコンクリート製の床版の下面に追加補強する
鉄筋を既設コンクリートと容易かつ確実に一体化するこ
とができ、鉄筋に発生した引張応力を保持できるアンカ
ー力を得ることができ、また、新たに打設するモルタル
やコンクリートなどの材料と既設コンクリートとの長期
的な接着力も確保できる鉄筋コンクリート床版の下面増
厚補強工法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、第1に、既設コンクリート床版の補強を必要
とする部分のコンクリートを、補強箇所の少なくとも両
端部分を鉄筋の裏側まで除去し、鉄筋を露出させ、この
露出部分を結合部として露出した下端鉄筋に連結具を取
り付け、この連結具で補強鉄筋を結合し、この補強部分
に短繊維補強モルタルまたは短繊維補強コンクリートを
吹き付けて増厚することを要旨とするものである。
【0016】第2に、短繊維補強モルタルまたは短繊維
補強コンクリートは、高靱性の繊維補強セメント複合材
料(高靱性FRC材料)であることを要旨とするもので
ある。
【0017】第3に、補強を必要とするコンクリートの
除去は、ノズル装置からのウォータージェットにより行
うこと、第4に、ノズル装置によるウォータージェット
は、一対のノズルからウォータージェットが互いに衝突
するように一定の角度で噴射させることを要旨とするも
のである。
【0018】請求項1記載の本発明によれば、新たに配
置する補強鉄筋は、既設コンクリートに既に配筋されて
いる既設の下端鉄筋と、連結金具で結合されるから、既
設コンクリートと確実に一体化することができ、連結金
具を介して既設の下端鉄筋で補強鉄筋に発生した引張応
力を保持できるアンカー力を得ることができる。この場
合、連結金具による連結箇所は、既設コンクリートを除
去して既設の下端鉄筋を露出させた状態で連結金具を結
合しているから、従来のようにアンカーボルトの打ち込
み箇所から既設コンクリートにひび割れが発生すること
もない。
【0019】請求項2記載の本発明によれば、前記作用
に加えて、補強部分に吹き付ける材料を高靱性の繊維補
強セメント複合材料(高靱性FRC材料)とすること
で、収縮ひび割れを数多くの微小ひび割れとして存在さ
せることができ、既設コンクリートとの境界面の付着低
下を防止できる。
【0020】請求項3記載の本発明によれば、前記作用
に加えて、補強を必要とするコンクリートの除去は、ノ
ズル装置からのウォータージェットにより行うようにし
たから、容易に除去することができ、さらに、請求項4
記載の本発明によれば、前記作用に加えて、ノズルの角
度を調節することによって切削深さを確実に制御できる
から、既設コンクリートを鉄筋の裏側まで確実に除去す
ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施
の形態を詳細に説明する。図1は本発明の鉄筋コンクリ
ート床版の下面増厚補強工法の実施形態を示す第1工程
の縦断正面図で、図9に示した従来例と同一の構成要素
には同一の参照符号を附してある。
【0022】本発明は、既設のコンクリート床版とし
て、橋軸方向に設置されている鋼桁3および鉄筋コンク
リート製の床版1からなる道路橋を例にとって、鉄筋コ
ンクリート製の床版1が全体として大きく損傷していな
い場合を想定して説明する。
【0023】まず、図1に示すように第1工程として既
設の床版1の端部をウォータージェット工法によるノズ
ル装置5でコンクリート部分のみハツリ出し、鉄筋2の
うちの下端主筋2aを露出させ、次いで第2工程とし
て、図2に示すように露出した下端主筋2aに連結金具
6を取り付け、さらに、この連結金具6に増厚部分の補
強鉄筋4を取り付けて、連結金具6を介して補強鉄筋4
を下端主筋2aに剛結合する。
【0024】ここで、補強鉄筋4を固定する方法として
これを下端主筋2aに結合する方法とした理由を説明す
る。コンクリート製の床版1は橋軸直角方向に鉄筋2
(主筋)を配置した一方向スラブ構造であるから、下面
増厚による補強方法では、既設の床版1の下面に補強鉄
筋4(補強主筋および配力筋)を配置するとともにモル
タルなどの材料を吹き付けによって打設する。
【0025】そして、増厚部分が既設の床版1と一体化
した後には、スラブ中央に曲げモーメントが発生して既
設の床版1中の下端主筋と増厚部分の補強主筋には引張
応力が発生する。この場合、増厚部分のコンクリート断
面が鋼桁3の箇所で途切れるため、従来の方法では補強
主筋の端部をコンクリート中に十分定着できない。鋼桁
3の部分のコンクリート断面が小さくなる変断面でも、
新設であれば下端主筋の端部を折り曲げて必要な定着長
をとることができるが、増厚では既設のコンクリート中
に定着することはできない。
【0026】そこで本発明では前記のように既設の床版
1の端部をコンクリート部分のみハツって、下端主筋2
aを露出させ、この下端主筋2aに連結金具6を介して
補強鉄筋4を剛結合するようにした。これにより、補強
鉄筋4を既設のコンクリート中に定着することができ
る。
【0027】また、既設の床版1の端部をコンクリート
部分のみハツル方法に、ウォータージェット工法による
ノズル装置5を採用することで、既設の鉄筋コンクリー
ト製の床版1の任意の位置でハツリ深さを制御しながら
下端主筋2aの裏側まできれいにハツリ出すことができ
る。なお、床版1をウォータージェット工法でハツリ出
したときに、その端部の床版1は剪断力が低下するが、
この剪断力低下が安全面で問題となるような場合は、床
版1の中央付近を下方からサポート11で支持して剪断力
低下に対処する。
【0028】ウォータージェット工法によるノズル装置
5は、例えば特許第3043334 号などによるものを使用す
る。特許第3043334 号によるものは、一対のノズルから
ウォータージェットを一定角度で衝突させて被切削物を
切削するノズル装置において、軸と、その軸に対して直
角方向両方向に延びる分岐管と、その分岐管に対して回
動自在に設けられた別の分岐と、その別の分岐管に対し
て相対する方向に回動できるノズルを設け、前記軸と分
岐管と別の分岐管とはノズルに至る高圧水の流路を有し
ているものである。
【0029】よって、かかるノズル装置5を使用するこ
とで、一対のノズルの衝突角を設定することにより、切
削深さを制御でき、下端主筋2aの背部のコンクリート
を一定の深さだけ除去でき、また、下端主筋2aの周囲
に付着したコンクリートも除去できて連結金具6の下端
主筋2aへの取付が可能となる。
【0030】次に、連結金具6の構成について説明す
る。連結金具6は、図6、図7にも示すように既設の下
端主筋2aを挟み込む鋼板製の挟み込み部6aと、補強
鉄筋4を保持する保持部6cと、挟み込み部6aと保持
部6cとを結合する連結部6bとで構成される。連結部
6bは主筋方向に剛性を有する正面長方形の鋼板で形成
し、この上部にシャックル形状の挟み込み部6aのU字
形の本体をボルト8とナット9で着脱自在に取付け、連
結部6bの下端に、例えばネジ節鉄筋用の長ナットを使
用する円筒状の保持部6cを横向きに溶接により固定し
た。なお、保持部6cは前記のように必ずしも長ナット
で構成する必要はなく、円筒体の端部にナットを設けた
構造とすることもできる。さらに、下方の保持部6cも
上方の挟み込み部6aと同様にシャックル形状とするこ
ともできる。
【0031】かかる連結金具6を前記のように図2に示
す第2工程で下端主筋2aに取り付ける具体的方法を説
明する。まず、挟み込み部6aを連結部6bから分離し
て挟み込み部6aのU字形の本体を既設の下端主筋2a
に上方から被せ、吊り下げるような状態する。この状態
から、U字形の本体の下部の開口からスペーサ7と連結
部6bの上部を挿入し、ボルト8とナット9で連結部6
bを挟み込み部6aに締めつけ固定する。
【0032】次に第3工程として、同じ図2に示すよう
にハツリ出したコンクリートの除去部分にモルタル10な
どの充填材料を吹き付けて一旦現状回復する。なお、こ
のモルタル10の吹き付けは必ずしも行わなくてもよい。
この状態で、既設の床版1の下面から下端主筋2aに結
合された連結金具6の連結部6bの下部と保持部6cと
が突出する。
【0033】次に第4工程として図3に示すように補強
を必要とする床版1の残りの部分の下面をウォータージ
ェットまたはサンドブラストなどの方法で目荒らし12処
理を行う。この目荒らし12処理は、既設コンクリートと
後打ちのコンクリートとの付着力を確保するためのもの
である。
【0034】次に第5工程として同じ図3に示すように
コンクリートの床版1の他方の端部を第1工程と同様に
してウォータージェットでハツって、下端主筋2aを露
出させる。
【0035】第6工程として、図4に示すように床版1
の一端に先に設置した連結金具6の連結部6bの下端に
溶接固定されている保持部6cに例えばネジ節鉄筋によ
る補強鉄筋4を端部から挿入する。これにより、連結金
具6を介して補強鉄筋4の一端が下端主筋2aに連結さ
れる。
【0036】次に、補強鉄筋4の他端に別の連結金具6
の保持部6cを取り付け、該連結金具6の挟み込み部6
aを第5工程で新たに露出させた下端主筋2aに接合す
る。これにより、補強鉄筋4はその両端部が連結金具6
を介して下端主筋2aに結合した状態となる。
【0037】最後に第7工程として補強鉄筋4の上面に
配力筋を配置して、図5に示すように所定の厚さ分だけ
モルタル、コンクリート等の吹き付け材料を吹き付けて
増厚する。この増厚部13の厚みは、一般的には既設のコ
ンクリートの床版1の下面にハンチが突出しているか
ら、このハンチの突出分を目安にして増厚する。
【0038】この増厚のためのモルタルなどの打設作業
を車両を走行させながら施工する場合は、車両走行荷重
によって発生する既設の床版1のたわみや振動に対し
て、床版1をサポート11により支持して床版中央部に作
用する曲げモーメントを小さくすることにより、増厚部
13を既設部分と一体化させた後の下端主筋2aおよび補
強鉄筋4の発生応力差を小さくすることができ、より大
きい補強力が得られる。
【0039】増厚部13を形成する吹き付け材料には、無
収縮モルタルやひび割れを抑制するための短繊維補強モ
ルタルまたは短繊維補強コンクリートの使用が考えられ
るが、増厚部13を形成する補強モルタル(または補強コ
ンクリート)と既設コンクリートとの長期的な接着力を
確保するためには、高靱性の繊維補強セメント複合材料
(高靱性FRC材料)を使用することが望ましい。
【0040】この高靱性の繊維補強セメント複合材料
(高靱性FRC材料)は、セメントモルタルにひび割れ
が入ったときに、そのひび割れ部分に存在するビニロン
短繊維の架橋構造がひび割れ幅の拡大を阻止し、新たな
微小ひび割れを別の箇所に発生させる、という微小ひび
割れの分散機能を有する部材である。
【0041】よって、モルタル(またはコンクリート)
が長期的に収縮する性質を有していても、ひび割れの大
きさを50μm〜100 μmに制限して分散して発生させる
ことができ、収縮ひび割れを数多くの微小ひび割れとし
て存在させるために、繰り返し荷重を受けた場合の疲労
強度に優れ、高靱性の繊維補強セメント複合材料(高靱
性FRC材料)と既設コンクリートとの境界面の付着が
ひび割れや剥離によって損なわれることはない。
【0042】なお、この高靱性の繊維補強セメント複合
材料(高靱性FRC材料)は、例えば出願人が先に出願
した特願平2000-102317 号「構造部材の断面修復工法」
に記載のものを使用し、第一例は、材令28日の硬化体の
引張試験において引張ひずみが1%以上を示すクラック
分散型であって、下記〔F1〕のPVA(Polyvi
nyl Alcohol)短繊維を、水結合材比40%以
上で、かつ、砂セメント比/(S/C)が1.0以下
(0を含む)の調合マトリクスに、1.5越え3Vo
l.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものであ
る。 〔F1〕 繊維径:40〜50μm、繊維長:5〜20mm、
繊維引張強度:1000MPa〜1500MPa未満、みかけの
繊維引張強度:700 MPa〜1000MPa未満である。
【0043】高靱性FRC材料の第2例は、材令28日の
硬化体の引張試験において引張ひずみが1%以上を示す
クラック分散型であって、下記〔F2〕のPVA(Po
lyvinyl Alcohol)短繊維を、水結合材
比30%以上で、かつ、砂セメント比/(S/C)が1.
0以下(0を含む)の調合マトリクスに、1越え3Vo
l.%の配合量で、3次元ランダムに配合したものであ
る。 〔F2〕 繊維径:70μm以下、繊維長:5〜30mm、
繊維引張強度:1500MPa〜2400MPa未満、みかけの
繊維引張強度:1000MPa〜1800MPa以下である。
【0044】なお、既設コンクリートの床面1に劣化が
みられる場合には、劣化箇所をウォータージェットによ
ってハツリ補修、補強を同時に行うことも可能である。
【0045】また、既設の下端主筋2aと補強鉄筋4と
を連結する連結金具の形態は、前記連結金具6のものに
限定されるものでなく、図8〜図10に示すように、鉄筋
14を螺旋状に巻回したものを使用することもでき、現場
で下端主筋2aに巻回し、その内部に補強鉄筋4を挿入
すればよい。なお、連結金具は、既設の下端主筋2aと
補強鉄筋4とに対する係止部があればよく、両端部にフ
ック状の係止部を形成した線状部材で構成することも可
能である。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように本発明の鉄筋コンクリ
ート床版の下面増厚補強工法は、既設のコンクリート床
面を下面増厚工法で補強する場合に、既設のコンクリー
ト製の床版の下面に追加補強する鉄筋を、既設コンクリ
ートをハツって露出させた既設の鉄筋と連結金具で剛に
結合したから、既設コンクリートと容易かつ確実に一体
化することができ、鉄筋に発生した引張応力を保持でき
るアンカー力を得ることができる。また、ハツリ作業に
はウォータージェット工法を使用することで既設コンク
リートを傷めることなく下端主筋を裏側まで容易に露出
できる。
【0047】そして、新たに打設する材料を高靱性の繊
維補強セメント複合材料(高靱性FRC材料)とするこ
とで、既設コンクリートとの長期的な付着力も確保でき
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄筋コンクリート床版の下面増厚補強
工法の実施形態を示す第1工程の縦断正面図である。
【図2】本発明の鉄筋コンクリート床版の下面増厚補強
工法の実施形態を示す第2、第3工程の縦断正面図であ
る。
【図3】本発明の鉄筋コンクリート床版の下面増厚補強
工法の実施形態を示す第4、第5工程の縦断正面図であ
る。
【図4】本発明の鉄筋コンクリート床版の下面増厚補強
工法の実施形態を示す第6工程の縦断正面図である。
【図5】本発明の鉄筋コンクリート床版の下面増厚補強
工法の実施形態を示す第7工程の縦断正面図である。
【図6】本発明方法で使用する連結金具の正面図であ
る。
【図7】本発明方法で使用する連結金具の側面図であ
る。
【図8】本発明の鉄筋コンクリート床版の下面増厚補強
工法の実施形態を示す他の連結金具を使用する第7工程
の縦断正面図である。
【図9】本発明の鉄筋コンクリート床版の下面増厚補強
工法の実施形態を示す他の連結金具を使用する第7工程
の要部の縦断正面図である。
【図10】本発明の鉄筋コンクリート床版の下面増厚補
強工法の実施形態を示す他の連結金具を使用する第7工
程の他の要部の縦断正面図である。
【図11】鋼板接着工法を示す縦断正面図である。
【図12】従来の下面増厚工法を示す縦断正面図であ
る。
【符号の説明】
1…床版 2…鉄筋 2a…下端主筋 3…鋼桁 4…補強鉄筋 5…ノズル装置 6…連結金具 6a…挟み込み部 6b…連結部 6c…保持部 7…スペーサ 8…ボルト 9…ナット 10…モルタル 11…サポート 12…目荒らし 13…増厚部 14…鉄筋 21…鋼板 22…接着剤 23…アンカーボルト 24…ひび割れ 25…モルタル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 閑田 徹志 東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−217226(JP,A) 特開 平6−50006(JP,A) 特開 平1−190891(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04G 23/02 E01D 21/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既設コンクリート床版の補強を必要とす
    る部分のコンクリートを、補強箇所の少なくとも両端部
    分を鉄筋の裏側まで除去し、鉄筋を露出させ、この露出
    部分を結合部として露出した下端鉄筋に連結具を取り付
    け、この連結具に補強鉄筋を結合し、この補強部分に短
    繊維補強モルタルまたは短繊維補強コンクリートを吹き
    付けて増厚することを特徴とする鉄筋コンクリート床版
    の下面増厚補強工法。
  2. 【請求項2】 短繊維補強モルタルまたは短繊維補強コ
    ンクリートは、高靱性の繊維補強セメント複合材料(高
    靱性FRC材料)である請求項1記載の鉄筋コンクリー
    ト床版の下面増厚補強工法。
  3. 【請求項3】 補強を必要とするコンクリートの除去
    は、ノズル装置からのウォータージェットにより行う請
    求項1記載の鉄筋コンクリート床版の下面増厚補強工
    法。
  4. 【請求項4】 ノズル装置は、一対のノズルからウォー
    タージェットが互いに衝突するように一定の角度でウォ
    ータージェットを噴射させる請求項3記載の鉄筋コンク
    リート床版の下面増厚補強工法。
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