JP3425481B2 - ハロゲン化銀乳剤の製造方法 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤の製造方法

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JP3425481B2 JP28455794A JP28455794A JP3425481B2 JP 3425481 B2 JP3425481 B2 JP 3425481B2 JP 28455794 A JP28455794 A JP 28455794A JP 28455794 A JP28455794 A JP 28455794A JP 3425481 B2 JP3425481 B2 JP 3425481B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真の分野において有用
であるハロゲン化銀(以後、「AgX 」と記す)乳剤に関
し、特に主平面が{100}面である平板粒子を含有す
るAgX乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】主平面が{100}面である平板粒子を
含むAgX 乳剤に関しては特開昭51−88017号、欧
州特許第0,534,395A1号、特開昭63−27
1335号、特開平5−281640号、同5−313
273号、同6−59360号の記載を参考にする事が
できる。該平板粒子は異方成長を促進する結晶欠陥を有
する為に、平板状となる。従来の該欠陥形成法に関して
は、該欧州特許の記載を参考にする事ができる。該欧州
特許では核形成前に反応溶液中にI- を添加している。
ここへAg+ 塩液とX- 塩液(ハロゲン塩を「X- 塩」と
記す)を添加し、核を形成している。この場合、まずI
- 含率の高い核が形成される。即ち、まずより難溶性の
AgX核を形成している。また、該X- 塩液中にI-
混入している為に、該I- はホスト核中にほぼ均一に分
配される。この場合、該I- が該欠陥を形成する効率は
極めて悪くなる。このような方式で製造した該平板乳剤
は粒子形状、写真性において好ましい特性を示さない。
また、核形成前に反応溶液中にI- を添加すると、生成
核の結晶表面が{111}面化しやすくなり、双晶粒子
が混入しやすくなり、写真性を悪化させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は製造再
現性がよく、粒子間均一性がより優れ、感度、粒状性、
分光増感特性のより優れたAgX乳剤を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は次項によ
って達成された。 (1) 少なくとも分散媒とハロゲン化銀粒子を有するハロ
ゲン化銀乳剤の製造方法において、該ハロゲン化銀粒子
の投影面積の合計の30%以上が、主平面が{100}
面で、アスペクト比(直径/厚さ)が1.5以上の異方
成長性欠陥を有する平板粒子であり、かつ、該ハロゲン
化銀乳剤が次の過程を経て製造される事を特徴とするハ
ロゲン化銀乳剤の製造方法。 a)反応溶液中にAg+ とハロゲンイオンを添加し、ハロ
ゲン化銀ホスト核(AgX1)を形成し、次に該ホスト核より
もより難溶性のハロゲン化銀(AgX2)を形成しえるハロゲ
ン組成塩または該ハロゲン組成塩とAg+ を添加する。
b)次に、第1熟成する事によりホスト核に対して異方
成長性欠陥を実質的に形成する。 (2) 該b)の過程の温度がa)の過程の温度より2℃以
上高温である事を特徴とする前記(1) 記載のハロゲン化
銀乳剤の製造方法。 (3) 該a)の過程が、該ホスト核の形成と、次に実質的
に該ハロゲン組成塩のみを添加する事により行なわれる
事を特徴とする前記(1) 記載のハロゲン化銀乳剤の製造
方法。 (4) 該ホスト核がヨウ素イオンを実質的に含まない事を
特徴とする前記(1) 記載のハロゲン化銀乳剤の製造方
法。
【0005】(5) 該第1熟成の次に、Ag+ とハロゲンイ
オンを添加し、該ホスト核と実質的に同じハロゲン組成
の最外層核を形成する事を特徴とする前記(1) 記載のハ
ロゲン化銀乳剤の製造方法。 (6) 該第1熟成後、または該最外層核形成後、反応溶液
の温度を3℃以上昇温する昇温過程を有し、該昇温中に
少なくともAg+ を添加する事を特徴とする前記(1) また
は(5) 記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。 (7) 該第1熟成後、または該最外層核形成後、反応溶液
の温度を3℃以上昇温する昇温過程を有し、該昇温の最
初の少なくとも30℃までは、昇温速度が2.2℃/分
以下である事を特徴とする前記(1) または(5) 記載のハ
ロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0006】その他好ましい態様は次の通りである。 (8) 該Ag+ の添加モル量が、反応溶液中に存在するハロ
ゲン化銀モル量の0.1〜50倍である事を特徴とする
前記(6) 記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。 (9) 該昇温後から結晶成長開始までの間に、該反応溶液
を脱塩処理をし、該反応溶液中のCl- 濃度を10%以上
減少させる事を特徴とする前記(6) 乃至(8) 記載のハロ
ゲン化銀乳剤の製造方法。 (10)同一温度における(該AgX2の溶解度/該AgX1の溶解
度)=a1 が0.9以下である事を特徴とする前記(1)
記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。 (11)該AgX2の形成が2段以上で行なわれ、各段が前記(1
0)項の規定に従って行なわれる事を特徴とする前記(1)
記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0007】次に本発明を更に詳細に説明する。 A.AgX 乳剤 前記投影面積とはAgX 乳剤粒子を互いに重ならない状態
で、かつ、平板粒子は主平面が基板面と平行になる状態
で基板上に配置した時の粒子の投影面積を指す。本発明
のAgX 乳剤は少なくとも分散媒とAgX 粒子を有するAgX
乳剤であり、該AgX 粒子の投影面積の合計の30%以
上、好ましくは60〜100%、より好ましくは80〜
100%が主平面が{100}面で、アスペクト比(直
径/厚さ)が1.5以上、好ましくは2以上、より好ま
しくは3〜25、更に好ましくは3〜16の平板粒子で
ある。該平板粒子の直径とは粒子を電子顕微鏡で観察し
た時、粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径を
指すものとする。また厚さは平板粒子の主平面間の距離
を指す。該厚さは0.5μm 以下が好ましく、0.03
〜0.3μm がより好ましく、0.05〜0.2μm が
更に好ましい。該平板粒子の円相当投影粒径は10μm
以下が好ましく、0.2〜5μm がより好ましい。該平
板粒子全体のハロゲン組成はAgCl、AgBr、AgBrI および
それらの混晶であり、I- 含率は20モル%以下が好ま
しく、0〜10モル%がより好ましい。Cl- 含率は0〜
99.99モル%、好ましくは20〜99.9モル%、
より好ましくは50〜99.9モル%である。
【0008】該平板粒子の厚さ分布は単分散である事が
好ましく、該分布の変動係数(標準偏差/平均厚さ)は
0〜0.4が好ましく、0〜0.3がより好ましく、0
〜0.2が更に好ましい。該粒子の直径分布は単分散で
あることが好ましく、該分布の変動係数(標準偏差/平
均直径)は0〜0.4が好ましく、0〜0.3がより好
ましく、0〜0.2が更に好ましい。該平板粒子の主平
面の形状は、直角平行四辺形で、その隣接辺比率〔1
個の粒子の(長辺の長さ/短辺の長さ)〕が1〜10、
好ましくは1〜5、より好ましくは1〜2の態様、直
角平行四辺形の4個の角の内の1〜4個が非等価的に欠
落した形である態様、該4つの角の内の1〜4個が丸
味を帯びた態様、主平面を構成する4つの辺の内の少
なくとも相対する2つの辺が外側に凸の曲線である態
様、直角平行四辺形の4つの角の内の1つ以上が、直
方体状に欠落した態様、該4つの角が等価的に欠落し
た〔1つの粒子内で主平面の(最大欠落部面積/最小欠
落部面積)<2の態様〕を挙げることができる。その詳
細は特願平4−145031号、同6−47991号、
同5−264059号、特公昭64−8323号、特開
平5−313273号の記載を参考にすることができ
る。
【0009】の場合、(最大欠落体積/最小欠落体
積)が1.1以上、好ましくは2〜∞、より好ましくは
5〜∞、更に好ましくは10〜∞の場合を挙げる事がで
きる。欠落部の総体積は、欠落前の粒子の全体積の1%
以上が好ましく、3〜60%がより好ましく、6〜40
%が更に好ましく、12〜30%が最も好ましい。、
で該欠落部に{111}面を有する平板粒子がより好
ましい。該{111}面の面積はエッジ面の総面積の0
〜50%が好ましく、3〜40%がより好ましく、6〜
30%が更に好ましい。または、でエッジ面の総面
積の好ましくは0〜70%、より好ましくは2〜60
%、更に好ましくは10〜50%が{110}面である
態様が好ましい。
【0010】該平板粒子の粒子内のハロゲン組成分布に
関しては、特開平6−59360号、同5−31327
3号、特願平6−47991号、同5−27411号の
記載を参考にする事ができる。該明細書の粒子構造の図
面において、白地部と斜線部間で、Br- 含率、またはCl
- 含率が1〜70モル%、好ましくは5〜50モル%異
なる態様、またはI- 含率が0.3〜30モル%、好ま
しくは1〜20モル%異なる態様をあげる事ができる。
該粒子構造の斜線部は少なくとも3原子層以上の厚さを
示す。これらのハロゲン含率や該斜線部の厚さ分布は粒
子内および粒子間で実質的に均一に分布している事が好
ましい。その他、粒子表面層のSCN - またはI- 含率が
0.1モル%以上、好ましくは0.5〜50モル%の態
様を挙げる事ができる。また、該粒子表面層のBr- 含率
が1〜100モル%、好ましくは5〜80モル%の態様
を挙げる事ができる。ここで粒子表面層とは表面から1
〜3原子層の部分を指す。これらの含率および表面層の
厚さは粒子表面および粒子間において実質的に均一に分
布している事がより好ましい。これらの実質的に均一と
は、該含率のバラツキの変動係数(標準偏差/平均含
率)が、好ましくは0〜0.4、より好ましくは0〜
0.2、更に好ましくは0〜0.1を指す。
【0011】B.AgX 乳剤粒子の核形成 該平板粒子は主平面よりもエッジ面の方が速く成長する
為に得られる。これはエッジ面上に結晶成長を促進する
結晶欠陥が存在する為である。該欠陥は、本発明では次
の過程を経て形成される。まず、分散媒と水を含む反応
溶液中に攪拌しながらAg+ 塩液とハロゲンイオン(以後
「X- 」と記す)塩液を添加し、AgX ホスト核(AgX1)を
形成する。次に核ホスト核よりもより難溶性のAgX2を形
成しえるハロゲン組成塩、または該ハロゲン組成塩とAg
+ 塩液を添加し、AgX3のシェル核を形成する。より難溶
性とは同一温度における(AgX2の溶解度/AgX1の溶解
度)=a1 が、a1 ≦0.9、好ましくはa1 =10-5
〜0.7、より好ましくは10-3〜0.3を指す。ここ
で溶解度とは水1リットル中に溶解するAgX のモル量を
指す。
【0012】該難溶性ハロゲン組成塩の液を添加する場
合、1)2種以上のX- 塩を一緒に混合状態で添加する方
法、2)別々に添加する方法がある。この場合、1)の方が
より好ましい。次に第1熟成する事により、該欠陥を形
成する。AgX1核が形成された時点では、該欠陥は実質的
に形成されていない。即ち、最終的に得られる平板粒子
の内、好ましくは30〜100%、より好ましくは50
〜100%、更に好ましくは70〜100%の粒子の核
が、該シェル核形成開始から第1熟成終了の間に形成さ
れる。
【0013】ここでAg+ 塩液は可溶性銀塩溶液を表し、
通常はAgNO3 水溶液が用いられる。X- 塩液は可溶性ハ
ロゲン塩溶液を表し、通常、Na塩、カリウム塩、アンモ
ニウム塩が用いられる。該ホスト核はヨウ素イオンを実
質的に含まない事が好ましい。ここで実質的に含まない
とは、該I- 含有により、該ホスト核中に該欠陥が実質
的に生成しないレベルのI- 含量を指す。即ち、最終的
に得られた平板粒子の内、その核が該ホスト核形成時に
生じた平板粒子が占める割合が、好ましくは20%以
下、好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜3%を
指す。該ホスト核に該ハロゲン組成塩、または該ハロゲ
ン組成塩とAg+ 塩液を添加するが、(該Ag+ 塩液の添加
モル量/該ハロゲン組成塩の添加モル量)=a2 は、a
2 <1が好ましく、a2 =0〜0.9がより好ましく、
0〜0.5が更に好ましく、0〜0.2が最も好まし
い。
【0014】該シェル核の形成を2段階以上で行なう事
がより好ましく、2〜4段階が更に好ましい。この場
合、第1シェル核に対して第2シェル核AgX はより難溶
性で、第2シェル核に対して第3シェル核はより難溶性
で、第nシェル核に対して、第(n+1) シェル核はより難
溶性である事が好ましい。ここで、より難溶性とは前記
規定に従う。該シェル核の添加量は、最終的に目的とす
る平板粒子が得られる量であり、それぞれの場合、実験
的に最適量を求める事が好ましい。AgCl含率≧50モル
%の場合、(ホスト核のAgX 量>シェル核のAgX 量)と
なる事が多く、AgBr含率≧50モル%の場合、(ホスト
核のAgX 量<シェル核のAgX 量)となる事が多い。該ホ
スト核を形成した後、該シェル核形成開始までの時間
は、最適時間を選ぶ事ができる。通常、0.1〜20分
間が好ましく、0.5〜10分間がより好ましい。該時
間依存性は、該時間が長くなる程、ホスト核のサイズが
大きくなる為と解せられる。
【0015】該シェル核形成のみでは、該欠陥の生成確
率は低い。ハロゲン組成の異なるAgX1とAgX2がエピタキ
シャル状に接合したような態様をとる為と思われる。シ
ェル核形成に続く第1熟成で再結晶化反応が進み、この
時に該欠陥が形成されると考えられる。それは次の現象
に基づく。シェル核形成後、時間を開けずに続けて最外
層核AgX4を沈積させると、最終的に得られるAgX 乳剤中
の平板粒子比率が大きく減少する事。シェル核形成と最
外層核AgX4を30℃以下の低温で行なった場合は、熟成
速度が遅い為、両者の時間間隔を開けても、平板粒子核
の生成確率が低い事である。従って該シェル核形成後、
第1熟成する。第1熟成時間と温度は、最終的に最適の
AgX 粒子が得られる組み合わせを選ぶ事が好ましい。第
1熟成温度は、シェル核形成温度より好ましくは2℃以
上、より好ましくは5〜50℃、更に好ましくは10〜
30℃だけ高温にする事が好ましい。第1熟成時間は
0.5〜50分間が好ましく、1〜30分間がより好ま
しい。
【0016】ホスト核よりもより難溶性のAgX の具体例
は次の通りである。AgX の溶解度はAgCl>AgClBr>AgBr
>AgBrI >AgI 、である。AgClBrではBr- 含率が増す
程、またAgBrI ではI- 含率が増す程、より難溶性であ
る。この順序はAg-Xの間の共有結合性が増す順序であ
る。従って、この現象はAg-X間の結合性が増し、難溶性
になる為と解される事もある。しかし、そのNa+ 塩、K
+ 塩を1000gの水に対する溶解モル数で比較する
と、20℃でKI(8.66)>KBr(5.46) >KCl(4.59) 、およ
び60℃でNaI(19) >NaBr(11.4)>NaCl>NaF(1.09) 、
であり、逆の順序になっている。また、{Ag-Xの結晶格
子の結合Gibbs 自由エネルギー(△GLO}を比較する
と、表1に示される如く、AgCl≒AgBr<AgI 、であり、
Ag-Iの結合は弱い。従ってこの現象は、一般に次の考え
で説明されており、その方が妥当である。〔(Ag+ とX
- の水和Gibbs 自由エネルギー△GHO) −(△GLO)〕
の値が大きければ大きい程、溶解度が大きい。
【0017】△GLOの大きさはAgCl≒AgClBr≒AgBr>Ag
BrI >AgI の順である。即ち、Ag-X間の結合エネルギー
は、(ホスト核≧シェル核)の関係にある。従って、シ
ェル核を加えただけでは、両者は混ざり難い。従って該
欠陥が導入され難い。第1熟成を加える事により、ホス
ト核の一部とシェル核が溶解し、混晶を形成し、ホスト
核の{100}結晶面上に再沈積する。その時、該欠陥
が組み込まれるものと考えられる。{100}結晶面上
に沈積する事により、{100}面に平行な方向に転位
線が形成される確率が高くなるものと考えられる。な
お、種々のハロゲン化塩の△GLOと△GHOの値、および
種々のイオンの水和Gibbs 自由エネルギー値△Ghoを表
1に示した。
【0018】
【表1】
【0019】なお、AgX の溶解度は、溶解のGibbs 自由
エネルギー(△GSO)=△Gho−△GLO=-RTlnKsp, 式
を用い、熱力学的データ値より求める事もできる。ここ
でR=気体定数、T=絶対温度、Kps =溶解度積=〔Ag
+〕・〔X- 〕=(溶解度) 2 である。
【0020】しかし、種々の実験条件下におけるAgX の
溶解度は、簡便的に次の方法で求める事ができる。一定
温度で攪拌しながら、Ag+ とX- を添加し、添加量に対
する溶液の電気電導度の増加率が減少し始める添加量を
求める方法。該電気導電度の代わりに紫外〜可視域の光
学濃度を求める方法。この場合、図1に示すようにマル
チチャネル光ファイバースコープ端と、反射鏡との間の
光路の光学濃度変化を測定する。発生したAgX 微粒子の
光散乱濃度の出現点より、溶解度を求めればよい。該光
路長を長くとる事により、該検出感度が高くなる。該ス
コープは白色光照射用光ファイバーと受光用ファイバー
が一緒に束になっており、好ましくは該照射用ファイバ
ーが真中に配置されている。受光ファイバーに入った光
は、回折格子またはプリズムを通して分光され、100
〜1000個のフォトダイオードアレイで検知される。
この場合、該スコープが反応溶液で汚染される事がな
く、かつ、反応溶液条件をほぼ自由に選ぶ事ができる。
該反射鏡は、反応容器の外側に、該スコープと相対向さ
せて設置する事もできる。該測定装置に関しては、'92/
'93科学機器総覧、第3−2節、東京科学機器協会(19
92年)、カール・ツアイス社カタログの記載を参考にす
る事ができる。
【0021】ホスト核に対するより難溶性塩の別の尺度
として、次の尺度を挙げる事ができる。ホスト核よりも
好ましくはBr- 含率が10モル%以上、より好ましくは
30〜100モル%、更に好ましくは50〜90モル%
多いハロゲン組成塩、またはホスト核よりも、好ましく
はI- 含率が5モル%以上、より好ましくは10〜10
0モル%、更に好ましくは30〜90モル%多いハロゲ
ン組成塩。該欠陥形成条件は重要である。例えばAgClと
AgBrの含率差でハロゲン組成ギャップを形成した場合に
比べて、AgClとAgI 含率差、AgBrとAgI 含率差でハロゲ
ン組成ギャップを形成した方がより薄い平板粒子が生成
する。これはI- 原子が大きい為に、より歪の大きい欠
陥が形成された為と考えられる。欠陥のstep段差が大き
い程、成長活性が高いからである。しかし、同時に厚い
低アスペクト比粒子の混入比率も増加する。これは、歪
が大きい為に、欠陥形成のバランスが少しずれた場合、
多数の線欠陥が導入され、{100}面に非平行な方向
にも線欠陥が入る為と考えられる。
【0022】薄い平板粒子の比率を高くし、厚い粒子の
比率を低くする為には、成長活性の高い線欠陥を形成
し、かつ、主平面に対して非平行な線欠陥が入らないよ
うに欠陥を形成する必要がある。該欠陥は線欠陥であ
り、より具体的には転位線と考えられる。転位線形成エ
ネルギーは、転位線のベクトル方向により異なる。NaCl
型結晶では{100}面に平行な方向の転位線の形成エ
ネルギーは低いとされている。それは、{100}面は
完全結晶面に近い為、その面で、結晶面がずれ易い為で
ある。その為、後述の小棒状粒子や、該平板状粒子の生
成確率が高いと考えられる。また、{n10}面(但
し、nはn≧1の整数)の〔100〕方向の原子列間隔
は広い{例えば(110)面では20.5 C}為、余分な
原子列が入り易い。ここでCは{100}面上の隣接Ag
+ −X- の中心間隔を表す。{n10}面でnの大きい
程、該原子列間隔が大きくなり、余分な原子列が入り易
い。該欠陥形成条件を均一化し、主平面に平行な方向の
該線欠陥のみを作り分ければよい。
【0023】第1熟成で生成した欠陥種は次の方法で確
認する事ができる。該欠陥形成後、Ag+ 塩液とX- 塩液
を新核を発生させず、かつ、オストワルド熟成が生じな
い条件で、種晶の殆どすべてを、立方体粒子生成条件下
で成長させる。成長した粒子のレプリカの透過型電子顕
微鏡写真像(以後、「TEM 像」と記す)を観察し、粒子
形状を観察する。具体的には低温(50℃以下、好まし
くは30〜45℃)で粒子を成長させればよい。低温で
粒子を成長させると該欠陥の特異成長性が低下するが、
低メチオニン含率ゼラチン(該含率≦20μmol /g)
下で成長させれば支障はない。
【0024】b1 =立方体小粒子、b2 =小棒状粒子
(立方体小粒子が棒状に該辺長の1.2〜3倍程度に成
長促進を受け、長くなった粒子)、b3 =平板粒子、b
4 =立方体大粒子(立方体小粒子が互いに直交するx、
y、zの3つの〔100〕方向に成長促進を受けた粒
子)、b5 =大棒状粒子が観察される。粒子数比率は通
常、b1 >b2 >b3 >b4 >b5 、の順である事が好
ましい。b4 が多くなる条件では、平均アスペクト比の
低い乳剤粒子しか得られない為である。b2 は2つの
{100}面に平行に転位線が1本入った態様を、b5
は2つの{100}面に平行で、かつ、互いに平行な転
位線が2本入った態様を、b3 は例えば図2〜図4の態
様で転位線が入った態様を、b4 はx、y、z方向にベ
クトルを持つ転位線が1本以上入った態様と考えられ
る。第2熟成すると、b1 、b2 が溶解し減少し、b3
の比率が増す。なお、従来の該AgCl平板粒子で、結晶成
長途中で、ClI 液(I- 含率=1〜2モル%)とAg+
を添加し、0.1μm 程度の該AgClI 0.01〜0.0
2層を積層させ、その後、再びAgCl層を積層させた平板
粒子を形成し、その低温TEM 像を観察した観察例を図5
に示した。該AgClI層と種々のタイプの線欠陥が観察さ
れている。
【0025】ホスト核と実質的に同一のハロゲン組成の
該平板粒子を形成する場合は第1熟成後に、Ag+ とI-
を添加し、該ホスト核と実質的に同じハロゲン組成の最
外層核を形成する事が好ましい。次の第2熟成で非平板
粒子が消滅し、平板粒子が成長する時に、平板粒子に該
難溶性X- が沈積し、平板粒子に更に欠陥を形成する事
を防止する為である。ここで実質的に同じハロゲン組成
とは、いずれの場合もCl- 、Br- およびI- 含率差が好
ましくは50モル%以内、より好ましくは0〜20モル
%である事を指す。最外層核の添加量は反応溶液中に存
在するAgX 量の0〜30倍が好ましく、0〜8倍がより
好ましく、0〜2.5倍が更に好ましく、0〜1倍が最
も好ましい。
【0026】Ag+ とX- 添加方法としては、1)Ag+ 塩液
とX- 塩液を添加する方法、2)予め形成した好ましくは
直径0.15μm 以下、より好ましくは0.01〜0.
1μm のAgX 微粒子を添加する方法、3)それらの併用法
を挙げる事ができる。この場合、Ag+ の添加量の内、3
0〜100%、好ましくは60〜100%を該2)の方法
で添加する事がより好ましい。該サイズは、第1熟成で
生成した平板粒子より小さいサイズがより好ましく、該
微粒子は該欠陥または双晶面を実質的に含まない事がよ
り好ましい。即ち、双晶面を含む粒子の数比率は1%以
下が好ましく、0.1%以下がより好ましく、0〜0.
01%が更に好ましい。一方、該欠陥を含む粒子の数比
率は5%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0
〜0.1%が更に好ましい。該微粒子添加法のその他の
詳細に関しては、特開平4−34544号の記載を参考
にする事ができる。この場合、該微粒子の殆どは、核の
上に沈積しないが、前記効果を有する為に好ましく用い
る事ができる。
【0027】C.第2熟成過程 最外層核を形成した後、温度を好ましくは3℃以上、よ
り好ましくは10〜70℃、更に好ましくは20〜60
℃だけ上昇させる。この場合の昇温速度は、平板粒子の
成長速度に合わせて昇温する事がより好ましい。昇温速
度が速すぎると、非平板粒子間でオストワルド熟成を起
こし、より大きい非平板粒子が生成する。これは、第2
熟成で消失しがたい為に好ましくない。また昇温速度が
速すぎると、平板粒子がまだ育っていない時に強いオス
トワルド熟成条件にさらされる為、小さい平板粒子核の
一部も溶解され、消失する。これも好ましくない。従っ
て生成した平板粒子核の30〜100%、好ましくは6
0〜100%、より好ましくは80〜100%、最も好
ましくは90〜100%が該昇温後に残存するように昇
温速度を選ぶ事が好ましい。より具体的には、昇温の最
初の少なくとも30℃までは好ましくは5℃/分以下、
より好ましくは0.05〜2.3℃/分、更に好ましく
は0.1〜1.2℃で昇温する。
【0028】平板粒子核の比率が高く、非平板粒子比率
が少ない場合、該昇温中に非平板粒子の殆どが消失し、
次に平板粒子間でオストワルド熟成が生じる。その為に
平板粒子数の減少や、平板粒子が厚くなったり、更には
平板粒子サイズのバラツキが大きくなったりする。この
場合、前記態様が達成されない。この場合は、1)昇温中
にAg+ とX- を低速で供給しながら昇温する事が好まし
い。Ag+ とX- の添加方法としては、前記最外層核形成
の項の記載を参考にする事ができる。Ag+ とX - の添加
速度と添加量は前記目的を達成するに必要な態様で行な
う。該添加量は反応溶液中に存在するAgX 量の0.1〜
50倍が好ましく、1〜50倍がより好ましく、3〜3
0倍が更に好ましい。非平板粒子を成長させずに平板粒
子を選択的に成長させる条件で添加する事が好ましい。
該条件は反応溶液のpH、X- 塩濃度、温度、分解媒の
種類、過飽和度等に依存する。pH、X- 濃度、分散媒
の種類、過飽和度に関しては後述の記載を参考にする事
ができる。このようにして、非平板粒子を成長させず
に、または消失させながら平板粒子を選択的に成長さ
せ、両者のサイズ差を大きくする。次の第2熟成で、そ
のサイズ差を利用して、残留非平板粒子を消失させれば
よい。
【0029】その他、次の手法も好ましく用いる事がで
きる。2)昇温を開始し、非平板粒子数の好ましくは30
〜100%、より好ましくは60〜97%が消失した時
点で、該Ag+ とX- の添加を開始する方法。3)昇温を開
始し、非平板粒子数の好ましくは50〜100%、より
好ましくは70〜100%、より好ましくは85〜10
0%が消失した時点で昇温を停止し、成長工程に入る方
法。該Ag+ とX- の添加方法と添加量に関しては前記記
載を参考にする事ができる。該昇温中にAg+ とX- を添
加する場合、該添加は前記最外層核の働きもする。従っ
てこの場合は、該最外層核の形成を省く事もできる。こ
のようにして昇温熟成した後、次の第2熟成に入る。残
存する非平板粒子を次の第2熟成で消失させる。4)該熟
成で非平板粒子の殆ど(数で好ましくは70〜100
%、より好ましくは90〜100%)を消失させる事が
できる。その他、5)該熟成による非平板粒子の消失を数
で好ましくは70%より小、好ましくは10〜50%に
する方法を挙げる事ができる。いずれの場合も、第2熟
成後に残留した非平板粒子は、次の粒子成長時に次の方
法で消失させる事ができる。6)Ag+ 塩液とX- 塩液を低
過飽和条件で添加しながら、消失させる方法、または7)
Ag+ 塩液とX- 塩液を低過飽和条件で添加し、平板粒子
をエッジ方向に優先的に成長させ、非平板粒子とのサイ
ズ差を大きくした後、第3熟成をし、非平板粒子を消失
させる方法。
【0030】該熟成時のAgX 乳剤のAgCl含率が50〜9
9.99モル%で、かつ、該熟成で非平板粒子が消滅し
がたい場合、次の方法を好ましく用いる事ができる。8)
該熟成時のCl- 濃度を増す程、AgX の溶解度が増し、非
平板粒子の消滅速度が増し、ついには非平板粒子をほぼ
完全に消滅させる事ができる。この場合、最初からCl-
濃度の高い条件で第2熟成をすると、生成平板粒子が厚
くなる。この場合、まず、低Cl- 濃度下で第2熟成し、
平板粒子を薄い状態で成長させた後、Cl- 塩液を添加
し、熟成し、残りの非平板粒子を消滅させればよい。こ
の場合、前のCl-濃度に対し、後のCl- 濃度は好ましく
は1.2倍以上、より好ましくは1.6〜30倍、更に
好ましくは2〜10倍である。
【0031】D.結晶成長 第2熟成の終了時点で粒子形成工程を終了とする事もで
きる。しかし、多くの場合、所望サイズにする為に結晶
成長過程に入る。第2熟成終了時の、反応溶液のCl-
濃度が次の成長過程の該濃度より高い場合、結晶成長前
に次の処置をする事が好ましい。1)Ag+ 塩液を添加し、
Cl- 塩濃度を低下させる。2)脱塩処理をし、Cl- 濃度を
10%以上、好ましくは30〜100%、より好ましく
は60〜100%だけ低下させる事が好ましい。脱塩処
理法としては、従来公知の方法を用いる事ができ、後述
の文献の記載を参考にする事ができる。凝集沈降脱塩
法、遠心分離法、限外濾過法、電気透析法、ヌーデル水
洗法、およびそれらの2種以上の併用法を挙げる事がで
きる。1)の場合、Cl- 塩濃度の高い領域でAg+ 塩液を添
加する事になり、該中和時に平板粒子の厚味方向への成
長が増す。従って、より高アスペクト比の平板粒子を形
成する場合は、2)の方が好ましい。
【0032】結晶成長時のAg+ とX- の添加方法とし
て、1)Ag+ 塩液とX- 塩液を添加して成長させるイオン
添加法、2)予め反応容器外でAgX 微粒子を形成し、該微
粒子を添加して成長させる微粒子添加法、3)両者の併用
法、を挙げることができる。該微粒子は直径が、好まし
くは0.15μm 以下、より好ましくは0.01〜0.
1μm であり、双晶面または該欠陥を実質的に含まない
事が好ましく、その詳細に関しては前記B項の記載を参
考にする事ができる。Ag+ の添加量の内、30〜100
%、好ましくは60〜100%、より好ましくは80〜
100%を該2)の方法で添加する事がより好ましい。前
記B、CおよびDの過程の反応溶液中のpHは1〜1
2、好ましくは2〜10、Cl- 濃度は10-1〜10-5
ル/リットル、好ましくは10-1.6〜10-4モル/リッ
トル、Br- 濃度は10-1.6〜10-6モル/リットル、好
ましくは10-2〜10-5モル/リットル、分散媒濃度は
0.1〜10g/リットル、好ましくは0.5〜5g/
リットル、温度は5〜95℃、好ましくは10〜85℃
の内の最も好ましい組合せ条件を用いる事が好ましい。
【0033】ホスト核形成時の温度は5〜60℃がより
好ましく、15〜50℃が更に好ましい。該粒子形成時
の分散媒としてはゼラチンをはじめとする従来公知の水
溶性分散媒を用いる事ができ、その詳細に関しては後述
の文献および、長友新治編、新・水溶性ポリマーの応用
と市場、シーエムシー(1988年)、三沢忠則編、新
増補二版・水溶性高分子、科学工業社(1987年)の
記載を参考にする事ができる。通常はゼラチンが好まし
く、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、修飾ゼラ
チン、酸化処理ゼラチンを用いる事ができる。AgX 粒子
への吸着性の弱い分散媒下で平板粒子を成長させた方
が、該エッジ面の成長活性が高くなり、薄い平板粒子が
得られる。該分散媒として(メチオニン含率=0〜40
μmol /g、好ましくは0〜20μmol /g)のゼラチ
ン、-NH2基の化学修飾率=0〜100%、好ましくは3
0〜100%の修飾ゼラチン(例えばフタル化ゼラチ
ン)、および両者の特性を有するゼラチン、特公昭52
−16365号記載の分散媒、ポリビニルアルコール、
寒天を挙げる事ができる。しかし、AgX 粒子への吸着性
の弱い分散媒の存在下で核形成をすると、双晶粒子の混
入率が高くなるという欠点を有する。
【0034】これに対する処置法としては、1)核形成後
に分散媒の態様を前記態様に変える事であり、特願平6
−102485号、同6−184128号の記載を参考
にする事ができる。その他、2)下記記載の{100}面
形成促進剤を核形成前に添加する事である。1)の方法と
しては特に、核形成開始前200分から結晶成長終了の
10分前までの間に、ゼラチンのメチオチン基を酸化す
る酸化剤を分散媒重量に対し100〜30,000ppm
、好ましくは600〜9000ppm だけ添加する方法
がより好ましい。
【0035】酸化剤の具体例としては、O2 、O3 、酸
素を放出しやすい化合物(例えばH2O2、有機チオスルフ
ォン化合物、AgO 、Ag2O等)、過酸化物または酸化の度
の高い酸化物(例えばMnO2、PbO2、NiO2等)、オキソ酸
(例えば塩素酸、ヨウ素酸、リン酸、硫酸、硝酸、亜硝
酸、過マンガン酸、クロム酸、次亜塩素酸)およびその
塩類、ペルオキソ酸(例えばHNO4、H3PO5 、H4P2O8、H2
SO5 、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸等)およびその塩
類、ハロゲン(Cl2 、Br2 、I2)、有機ニトロ化合物、
2種以上の電気原子価を有する金属塩で原子価数の高い
方の金属の塩(例えばFeCl3 、CuCl2 等)を挙げること
ができ、これらの単独または2種以上を併用して添加す
ることができる。これらの中で該酸化反応生成物が、写
真性に害を与えない酸化剤が好ましく、H2O2、Na2O2
次亜塩素酸、亜塩素酸、PbO2、ペルオキソ酢酸、O3
好ましく、H2O2、ペルオキソ酢酸がより好ましい。標準
酸化電位のより高い酸化剤の方がより酸化力が強く、よ
り迅速に酸化処理を終了させることができる。その他、
AgX 乳剤中に不活性電極を入れ、基準電極に対する電位
を選ぶことにより、AgX 乳剤を酸化し、前記目的を達す
ることができる。基準電極にはアース電極または前記参
照電極を用いることができる。不活性電極としては公知
のあらゆる電極を用いることができるが、白金電極、ネ
サガラス電極を好ましく用いることができる。不純物混
入が避けられる為、好ましい。
【0036】核形成時に双晶粒子が生成する事を抑える
には、{100}面形成促進剤を共存させる事が好まし
い。また、それ以降の工程においても、平板粒子のエッ
ジ方向への選択成長性を上げる為に、該促進剤を共存さ
せる事が好ましい。その共存量は、その時に存在するAg
X 粒子に対して、飽和吸着量の5%以上が好ましく、1
0〜300%がより好ましい。該促進剤はそれを該濃度
で共存させた場合、AgBr粒子の平衡晶癖電位を5mV以
上、好ましくは10〜20mVだけ下げる化合物を指す。
ここで平衡晶癖電位とは同一の種晶を同一AgBr量だけ、
一定銀電位の元で成長させた時、{(100)面の面積
/(111)面の面積}比の同一の粒子が生成する時の
銀電位を指す。この場合の比較条件は、分散媒として、
通常用いられている分子量9万以上のアルカリ処理骨ゼ
ラチンの3重量%液、温度60℃、pH6.5を指す。
該銀電位は銀イオン選択電極(例えば、銀、AgBr、AgI
、Ag2Sの単独または2種以上の混合)と飽和カロメル
電極用の電位差を求める、いわゆるポテンショメトリッ
ク法で求める事ができる。
【0037】該促進剤はかぶり防止剤、界面活性剤、現
像促進剤、増感色素および前記水溶性分散媒の中から選
択する事ができる。具体例として、ポリビニルアルコー
ル、ベンズイミダゾール類、特公昭52−16365号
記載の分散媒を挙げる事ができる。結晶成長時における
反応溶液の過飽和濃度は、臨界添加速度の98%以下が
好ましく、1〜50%の内、最も好ましい過飽和濃度を
選ぶ事ができる。臨界添加速度はそれ以上の添加速度で
Ag+ とX- を添加すると、新核が発生しはじめる添加速
度を指す。
【0038】前記B、C、Dの工程で反応溶液中にAg+
とX- を添加する時、各々、添加孔数は1個以上、好ま
しくは5〜1015個、より好ましくは20〜1010個で
あり、ゴム弾性体多孔添加孔がより好ましい。また添加
するAg+ 塩液および/またはX- 塩液に分散媒を共存さ
せる事ができる。分散媒濃度は0〜5重量%が好まし
く、0.1〜2重量%がより好ましい。これらの詳細に
関して、およびその他のAgX 乳剤製造方法の詳細に関し
ては特開平4−193336号、同3−21339号、
同4−330427号、同3−155539号、同3−
200952号、同4−283741号、同5−113
77号、同6−86923号、特願平4−302605
号の記載を参考にする事ができる。該B、C、Dの工程
を経て、AgCl、AgBr、AgBrI(I- 含率=0〜30モル
%)、およびそれら2種以上のあらゆる混晶比率の該平
板粒子が形成される。
【0039】該欠陥はらせん転位だとする考えがMigno
t,Journal of Crystal Growth. に記載されている。し
かし、該平板粒子の−100℃以下の低温における透過
型電子顕微鏡写真像(以後、「低温TEM 像」と記す)を
観察すると、観察される転位線はらせん転位で説明され
難い。通常、光学顕微鏡等でも観察されている結晶のら
せん転位模様の直径はかなり大きい。そのステップに沿
って結晶欠陥段差が存在するならば、図6のように平行
な転位線が多数観察されるはずであるが、観察されな
い。Frank らの提案したらせん転位欠陥と、砂川らが観
察したらせん転位模様は異なると考えられる。Frank ら
の欠陥は光学顕微鏡で観察される程、広範囲に及ぶ欠陥
ではない為である。該平板の欠陥は、平板のエッジの
{100}表面上にステップ段差を形成するが、主平面
上には形成しない。かつ、結晶成長と共に該段差は消滅
しないタイプの線欠陥であり、表面にステップ段差を有
する刃状転位欠陥である可能性が高い。
【0040】その他、前記B項の該難溶性ハロゲン組成
塩中にイオウ、セレン、テルル、SCN - 、SeCN- 、TeCN
- 、CN- 、Ag+ 以外の金属イオン、および該金属イオン
の錯体(リガンドとしてはX- リガンド、CN- リガン
ド、イソシアノ、ニトロシル、チオニトロシル、アミ
ン、ヒドロキシルを挙げることができる)の少なくとも
1種以上の含有率が好ましくは0.1〜80モル%、よ
り好ましくは1〜60モル%、更に好ましくは10〜4
0モル%である態様を挙げることができる。Ag+ 以外の
金属イオンの代表例として周期律表の第8族金属イオ
ン、Cu、Zn、Cd、In、Sn、Au、Hg、Pb、Cr、Mnの各金属
イオンを挙げることができる。
【0041】その他、これらの不純物イオンをAgX 粒子
全体にドープした態様、AgX 粒子内の特定場所にドープ
した態様、粒子表面から0.1μm 以内に局在させてド
ープさせた態様を挙げることができる。この場合のドー
プ濃度は10-8〜10-1モル/モルAgX が好ましく、1
-7〜10-2モル/モルAgX がより好ましい。これらの
不純物イオンの具体的化合物例、AgX 相へのドープ方法
の詳細に関しては Research Disclosure、307巻、ア
イテム307105、11月、1989年、米国特許第
5,166,045号、同4,933,272号、同
5,164,292号、同5,132,203号、同
4,269,927号、同4,847,191号、同
4,933,272号、同4,981,781号、同
5,024,931号、特開平4−305644号、同
4−321024号、同1−183647号、同2−2
0853号、同1−285941号、同3−11853
6号に記載を参考にすることができる。
【0042】該粒子の大部分が{100}面である為、
粒子表面のAg+ に対するゼラチンの吸着基(例えばメチ
オニン基)の吸着が強い。この為に分光増感色素やかぶ
り防止剤や他の写真用添加剤の吸着が疎外されることが
ある。この場合、最適のメチオニン含率の分散媒ゼラチ
ンを選ぶことができる。具体的には感光材料のAgX 乳剤
層中のゼラチンの平均メチオニン含率が好ましくは0〜
50μmol /g、より好ましくは3〜30μmol /gの
態様をとることができる。該AgX 乳剤に化学増感剤を1
-2〜10-8モル/モルAgX 、好ましくは10-3〜10
-7モル/モルAgX 、増感色素を飽和吸着量の好ましくは
5〜120%、好ましくは10〜100%で添加し、増
感することができる。該平板状粒子の分光増感色素とし
て、特に粒子表面のCl- 濃度が10〜100モル%の場
合、米国特許第4,987,064号記載の増感色素を
より好ましく用いることができる。本発明の乳剤は特開
昭62−269958号、同62−266538号、同
63−220238号、同63−305343号、同5
9−142539号、同62−253159号、特開平
1−131541号、同1−297649号、同2−4
2号、同1−158429号、同3−226730号、
同4−151649号、特願平4−179961号、欧
州特許0,508,398A1号の実施例の感光材料の
構成乳剤として好ましく用いることができる。
【0043】本発明の平板状粒子はかぶり核が生じやす
い条件下で調製される為に得られた乳剤のかぶり濃度が
高いことがある。通常、かぶりは温度が高い程、またp
Hが高い程、更にはAg+ 濃度が高い程、高くなる。前
記粒子形成過程で生じたかぶりは、各工程後に、もしく
は粒子形成の全工程の終了後に銀核を酸化する処理を施
すことにより、かぶりを除去することができる。系の酸
化電位を銀核の酸化電位より大きくすればよい。その詳
細に関しては特願平4−145031の記載を参考にす
ることができる。また、該かぶり濃度を低下させる為
に、粒子形成中、粒子形成後にチオスルフォン酸化合物
を添加することもできる。これらに関しては特開平4−
156448、欧州特許0435355A1、同043
5270A1、同0348934A2の記載を参考にす
ることができる。該粒子形成中にハロゲン組成gap
法、ハロゲンコンバージョン法、エピタキシャル成長法
およびそれらの組合せ法により、粒子に転位線を導入す
ることができる。圧力かぶり特性、相反則特性色増感特
性が更に改良され、好ましい。これに関しては特開昭6
3−220238、同64−26839、特開平2−1
27635、同3−189642、同3−17544
0、同2−123346、欧州特許0460656A1
Journal of Imaging Science 、32巻、160〜17
7(1988)の記載を参考にすることができる。
【0044】得られた粒子をホスト粒子とし、エピタキ
シャル粒子を形成して用いてもよい。また、該粒子をコ
アとして内部に転位線を有する粒子を形成してもよい。
その他、該粒子をサブストレートとして、サブストレー
トと異なるハロゲン組成のAgX層を積層させ、種々の
既知のあらゆる粒子構造の粒子を作ることもできる。こ
れらに関しては後述の文献の記載を参考にすることがで
きる。また、該平板粒子をコアとして、浅内潜乳剤を形
成して用いてもよい。また、コア/シェル型粒子を形成
することもできる。これについては特開昭59−133
542号、同63−151618号、米国特許第3,2
06,313号、同3,317,322号、同3,76
1,276号、同4,269,927号、同3,36
7,778号の記載を参考にすることができる。
【0045】本発明の方法で製造したAgX乳剤粒子を
他の1種以上のAgX乳剤とブレンドして用いることも
できるし、粒径の異なる本発明の乳剤粒子を2種以上ブ
レンドして用いることもできる。ブレンド比率(ゲスト
AgX乳剤モル/ブレンド後のAgX乳剤モル)は好ま
しくは0.99〜0.01の範囲で適宜、最適比率を選
んで用いることができる。これらの乳剤に粒子形成から
塗布工程までの間に添加できる添加剤およびその添加量
に特に制限はなく、従来公知のあらゆる写真用添加剤を
最適添加量で添加することができる。例えばAgX溶
剤、AgX粒子へのドープ剤(例えば第8族貴金属化合
物、その他の金属化合物、カルコゲン化合物、SCN化
物等)、分散媒、かぶり防止剤、増感色素(青、緑、
赤、赤外、パンクロ、オルソ用等)、強色増感剤、化学
増感剤(イオウ、セレン、テルル、金および第8族貴金
属化合物、リン化合物、ロダン化合物、還元増感剤の単
独およびその2種以上の併用)、かぶらせ剤、乳剤沈降
剤、界面活性剤、硬膜剤、染料、色像形成剤、カラー写
真用添加剤、可溶性銀塩、潜像安定剤、現像剤(ハイド
ロキノン系化合物等)、圧力減感防止剤、マット剤、帯
電防止剤、寸度安定剤等をあげることができる。
【0046】本発明法で調製したAgX乳剤は、従来公
知のあらゆる写真感光材料に用いることができる。例え
ば、黒白ハロゲン化銀写真感光材料〔例えば、Xレイ感
材、印刷用感材、印画紙、ネガフィルム、マイクロフィ
ルム、直接ポシ感材、超微粒子乾板感材(LSIフォト
マスク用、シャドーマスク用、液晶マスク用)〕、カラ
ー写真感光材料(例えばネガフィルム、印画紙、反転フ
ィルム、直接ポジカラー感材、銀色素漂白法写真など)
に用いることができる。更に拡散転写感光材料(例え
ば、カラー拡散転写要素、銀塩拡散転写要素)、熱現像
感光材料(黒白、カラー)高密度 digital記録感材、ホ
ログラフィー用感材などをあげることができる。塗布銀
量は0.01g/m2以上の好ましい値を選ぶことができ
る。AgX乳剤製造方法(粒子形成、脱塩、化学増感、
分光増感、写真用添加剤の添加方法等)および装置、A
gX粒子構造、支持体、下塗り層、表面保護層、写真感
光材料の構成(例えば層構成、銀/発色材モル比、各層
間の銀量比等)と製品形態および保存方法、写真用添加
剤の乳化分散、露光、現像方法等に関しても制限はな
く、従来もしくは今後公知となるあらゆる技術、態様を
用いることができる。これらの詳細に関しては下記文献
の記載を参考にすることができる。
【0047】リサーチ ディスクロージャー( Reserch
Disclosure ) 、176巻(アイテム17643)(1
2月、1978年)、同307巻(アイテム30710
5、11月、1989年)、ダフィン( Duffin ) 著、
写真乳剤化学(PhotographicEmulsion Chemistry )、Fo
cal Press, New York (1966年)、ビル著 (E. J.B
irr )、写真用ハロゲン化銀乳剤の安定化( Stabiliza
tion of PhotogrphicSilver Halide Emulsion )、フォ
ーカル プレス( Focal Press )、ロンドン(1974
年)、ジェームス編( T. H. James )、写真過程の理論
( The Theoryof Photographic Process )第4版、マ
クラミン( Macmillan )、ニューヨーク(1977年)
【0048】グラフキデ著( P. Glafkides ) 、写真の
化学と物理( Chimie et PhysiquePhotographique )、
第5版、エディション ダ リジンヌヴェル( Edition
del, Usine Nouvelle ,パリ(1987年)、同第2
版、ポウル モンテル、パリ(1957年)、ゼリクマ
ンら( V. L. Zelikman et al.),写真乳剤の調製と塗
布( Makig and Coating Photographic Emulsion ), Fo
cal Press (1964年)、ホリスター( K. R. Holli
ster )ジャーナル オブ イメージング サイエンス
( Journal of Imaging science ),31巻、P.14
8〜156(1987年)、マスカスキー( J. E. Mas
kasky ) ,同30巻、P.247〜254(1986
年)、同32巻、160〜177(1988年)、同3
3巻、10〜13(1989年)、
【0049】フリーザーら編、ハロゲン化銀写真過程の
基礎( Die Grundlagen Der Photogrphischen Prozesse
Mit Silverhalogeniden ),アカデミッシェ フェルラ
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t ),フランクフルト(1968年)。日化協月報19
84年、12月号、P.18〜27、日本写真学会誌、
49巻、7〜12(1986年)、同52巻、144〜
166(1989年)、同52巻、41〜48(198
9年)、特開昭58−113926〜113928、同
59−90841号、同58−111936、同62−
99751、同60−143331、同60−1433
32、同61−14630、同62−6251、
【0050】特開平1−131541、同2−838、
同2−146033、同3−155539、同3−20
0952、同3−246534、同4−34544、同
2−28638、同4−109240、同2−7334
6、特願平2−326222、同6−215513号、
AgX写真分野のその他の日本特許、米国特許、欧州特
許、世界特許、ジャーナル オブ イメージ サイエン
ス( Journal of Image Science )、ジャーナル オブ
フォトグラフィック サイエンス( Journalof Photo
graphic Science )、フォトグラフィック サイエンス
アンド エンジニアリング( Photographic Science a
nd Engineering ) 、日本写真学会誌、日本写真学会講
演要旨集、International Congress of Photographic S
cienceおよび The International East-West Symposium
on the Factors Influencing Photographic Sensitivit
y の講演要旨集。
【0051】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではな
い。 実施例1 反応容器にゼラチン水溶液(H2O 1.2リットル、empty ゼ
ラチン25g、H2O20.31g、NaCl0.8gを含み、
pH4.0)を入れ、36℃に恒温し、攪拌しながらAg
-1液(AgNO3 0.2g/ml)とX-1 液(NaCl0.07g
/ml)を50ml/分で30秒間、同時混合添加し、ホス
トAgCl核を形成した。2分間攪拌した後、次にX-2 液
(100ml中にKBr 1.05g、NaCl0.12g、平均
分子量2万のゼラチン1gを含む)を60ml/分で28
mlだけ添加した。次に4分間かけて温度を40℃に上
げ、更に2分間攪拌し、第1熟成を行った。次にAg-1液
とX-1 液を50ml/分で30秒間添加した。NaCl-1液
(NaCl0.1g/ml)を16ml添加し、NaOH液でpH
5.2とした。
【0052】次に温度を1.2℃/分の昇温速度で昇温
を開始し、該開始後、10分後から、Ag-1液とX-1 液を
2.5ml/分で添加した。75℃まで昇温し、該添加を
停止した。更に15分間、第2熟成した後、Ag-1液を5
ml/分で添加し、pCl =2.0に調節した。次にAg-1液
とX-1 液を用い、該pCl 値に保ちながらCDJ 添加し、結
晶成長させた。6ml/分で30分間添加した。2分間攪
拌した後、Ag-1液とX-3 液(100ml中にNaCl7g、KB
r 2.1gを含む。即ち、Br- 含率12.8モル%)を
5ml/分で3分間添加した。温度を40℃に下げ、増感
色素1を飽和吸着量の65%だけ添加した。7分間攪拌
した後、沈降剤を加え、温度を29℃に下げ、pH4.
0とし、乳剤を沈降させた。沈降乳剤を水洗し、38℃
でゼラチン溶液を加え、乳剤を再分散させ、pH6.
2、pCl 2.8とした。
【0053】乳剤の1部をサンプリングし、乳剤粒子の
レプリカのTEM像(透過型電子顕微鏡写真像)を観察
した。それによると全AgX 粒子の投影面積の95%が、
主平面が{100}面、直角平行四辺形で、アスペクト
比が3以上の平板粒子であり、該平板粒子の平均粒径は
1.5μm 、平均アスペクト比7.6、直径分布の変動
係数(直径分布の標準偏差/平均直径)=C.V.は0.2
3であった。
【0054】実施例2 実施例1で第1熟成の為の昇温を省略した。即ち、36
℃のまま7分間経時させた後、Ag-1液とX-1 液を50ml
/分で30秒間添加した。次に温度を4分間で40℃に
上げた後、あとは実施例1と同じにした。得られたAgX
粒子のレプリカのTEM 像を観察した所、全AgX 粒子の投
影面積の90%が、主平面が{100}面、直角平行四
辺形で、アスペクト比が3以上の平板粒子であり、核平
板粒子の平均粒径は1.55μm 、平均アスペクト比
7.8で、C.V.は0.26であった。
【0055】実施例3 実施例1で75℃への昇温中のAg-1液とX-1 液の添加を
省いた。そしてpCl =2.0でのCDJ 添加時間を約10
分間延長し、総添加銀量は同じにした。その他は実施例
1と同じにした。得られたAgX 粒子のレプリカのTEM 像
を観察した所、全AgX 粒子の投影面積の91%が主平面
が{100}面、直角平行四辺形で、アスペクト比が3
以上の平板粒子であり、該平板粒子の平均直径は1.5
μm 、平均アスペクト比6.8、C.V.は0.26であっ
た。
【0056】実施例1 実施例1において、X-2 液の添加までを同じにした。次
に34℃で7分間経時させた後、Ag-1液とX-1 液を50
ml/分で30秒間添加した。NaCl-1液を16ml添加し、
NaOH液でpH5.2とした。次に温度を1.2℃/分の
昇温速度で75℃まで昇温した。更に15分間第2熟成
をした後、あとは実施例3と同じにした。得られたAgX
粒子のレプリカのTEM 像を観察した所、全AgX 粒子の投
影面積の89%が主平面が{100}面、直角平行四辺
形でアスペクト比が3以上の平板粒子であり、該平板粒
子の平均直径は1.43μm 、平均アスペクト比6.
6、C.V.=0.27であった。
【0057】比較例1 実施例4において、75℃への昇温速度を7℃/分とす
る以外は実施例4と同じにした。得られたAgX 粒子のレ
プリカのTEM 像を観察した所、全AgX 粒子の84%が主
平面が{100}面で、直角平行四辺形で、アスペクト
比が3以上の平板粒子であり、該平板粒子の平均直径は
1.4μm 、平均アスペクト比6.2、C.V.=0.30
であった。実施例1〜4と比較例1の乳剤にそれぞれ次
の増感処理を施し、増感粘剤、塗布助剤を加えて、TAC
ベース上に保護層と共に塗布した。次に乾燥し、順に塗
布試料A〜Eとした。増感色素:実施例1と比較例2の
乳剤を55℃とし、NaCl液を加え、pCl 2.2とした。
ハイポを2.5×10-5モル/モルAgX だけ添加し、塩
化金酸を10-5モル/モルAgX だけ添加し、熟成した
後、温度を40℃とし、かぶり防止剤1を2×10-3
ル/モルAgX だけ添加した。
【0058】該塗布試料をマイナス青フィルター(52
0nm以上の光を通す)を通して10-2秒間の露光をし、
現像し、停止液、定着液、水洗液を通し、乾燥させた。
該写真特性の結果は(感度値/粒状度)の比較におい
て、比較例1を100とした時、実施例1(120)、実施
例2(114)、実施例3(115) 、実施例4(110)であり、
本発明法の優位性が確認された。また、実施例2、3、
4の併用法である実施例1の方法の更なる優位性が確認
された。
【0059】但し、現像はMAA-1 現像液〔Journal of P
hotographic Science,23巻、249〜256、197
5年参照〕のKBr を等モル濃度のNaClに置き換えた現像
液で、20℃で4分間行なった。
【0060】
【化1】
【0061】
【発明の効果】製造再現性がよく、粒子間均一性がより
優れ、感度、粒状性、分光増感特性のより優れたAgX 乳
剤が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一定温度におけるAgX の溶解度を測定する装置
例を示す。
【図2】平板粒子の主平面と線欠陥の対応例を表し、1
本の線欠陥により形成された平板粒子例を表す。
【図3】図2と同様に、2本の線欠陥により形成された
平板粒子例を表す。
【図4】図2と同様に、2本の線欠陥により形成された
平板粒子例を表す。
【図5】(写真)従来のAgCl平板粒子の低温透過型電子
顕微鏡写真像による構造例を示す。
【図6】らせん転位を有する平板粒子と観察されるべき
欠陥線を表す。
【符号の説明】
11は光源と光検知部 12はファイバースコープ束 13は光反射鏡 14は攪拌羽根 15は容器の器壁 16は温度制御用ヒーター 17は水または分散媒溶液 18は容器のフタ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 1/015 G03C 1/035 G03C 1/06 502 G03C 1/07

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも分散媒とハロゲン化銀粒子を
    有するハロゲン化銀乳剤の製造方法において、該ハロゲ
    ン化銀粒子の投影面積の合計の30%以上が、主平面が
    {100}面で、アスペクト比(直径/厚さ)が1.5
    以上の異方成長性欠陥を有する平板粒子であり、かつ、
    該ハロゲン化銀乳剤が次の過程を経て製造される事を特
    徴とするハロゲン化銀乳剤の製造方法。 a)反応溶液中にAg+ とハロゲンイオンを添加し、ハロ
    ゲン化銀ホスト核を形成し、次に該ホスト核よりもより
    難溶性のハロゲン化銀を形成しえるハロゲン組成塩また
    は該ハロゲン組成塩とAg+ を添加する。b)次に、第1
    熟成する事によりホスト核に対して異方成長性欠陥を実
    質的に形成する。
  2. 【請求項2】 該b)の過程の温度がa)の過程の温度
    より2℃以上高温である事を特徴とする請求項1記載の
    ハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 該a)の過程が、該ホスト核の形成と、
    次に実質的に該ハロゲン組成塩のみを添加する事により
    行なわれる事を特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀
    乳剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 該ホスト核がヨウ素イオンを実質的に含
    まない事を特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀乳剤
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 該第1熟成の次に、Ag+ とハロゲンイオ
    ンを添加し、該ホスト核と実質的に同じハロゲン組成の
    最外層核を形成する事を特徴とする請求項1記載のハロ
    ゲン化銀乳剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 該第1熟成後、または該最外層核形成
    後、反応溶液の温度を3℃以上昇温する昇温過程を有
    し、該昇温中に少なくともAg+ を添加する事を特徴とす
    る請求項(1) または(5) 記載のハロゲン化銀乳剤の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 該第1熟成後、または該最外層核形成
    後、反応溶液の温度を3℃以上昇温する昇温過程を有
    し、該昇温の最初の少なくとも30℃までは、昇温速度
    が2.2℃/分以下である事を特徴とする請求項(1) ま
    たは(5) 記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
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