JP3425412B2 - 清涼飲料の製造方法 - Google Patents

清涼飲料の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、昆布から抽出し
た可溶性固形分を含んだ栄養価の高い清涼飲料の製造方
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、昆布は、栄養価の高いアルカリ
性食品として知られている。特に、昆布のなかでも成長
の早い根の部分は、根昆布と呼ばれ、ミネラルやアミノ
酸、ビタミン類だけでなく、ガン細胞を死滅させるとの
報告がなされているフコイダンも豊富に含まれている。
このような根昆布は、主に乾燥根昆布として市販されて
いるが、この他にも根昆布を原料とした醤油やだし汁等
の調味料さらには飲料としての製造も試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、根昆布
を原料とした飲料の場合、飲み心地や飲み易さが要求さ
れ、調味料とする場合と比べて塩分を抑える必要があ
り、このため雑菌等が繁殖し易く、常温での長期保存が
困難である。また、根昆布独特の生臭さがあって、非常
に飲み難いといった問題がある。このため、調味料と比
べて、市場にあまり流通されていなかった。
【0004】なお、長期保存に関しては、特開昭58-149
666号公報にも開示されているように、加熱殺菌処理等
を施せば可能であるが、生臭かったり、塩辛かったりと
いったように飲み心地や飲み易さに関する問題は依然と
して解消することはできない。
【0005】また、果汁等を加えることで味付けして飲
み易くするといったこともなされているが、この場合、
根昆布が持つ旨味や風味までも損なわれてしまう。
【0006】そこで、この発明は、上記の不具合を解消
して、常温での長期保存が可能で、根昆布本来の旨味や
風味を有した飲み心地の良好な昆布を原料とした清涼飲
料の製造方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明の清涼飲料の製造方法は、昆布と水のみを
原料とし、昆布を水に浸漬して昆布の可溶性固形分を抽
出する抽出工程と、この抽出後に昆布を水から取り出し
て、この膨潤した昆布に含まれる液分を水に戻す液切り
工程と、この液切り後に昆布の可溶性固形分を含有する
水を濾過して浮遊固形分を取り除く濾過工程と、この濾
過後に昆布の可溶性固形分を含有する水全体に対する昆
布の可溶性固形分の重量配合比が0.4〜2.2%とな
るように、水の量を調整する補正工程と、この補正後に
おける昆布の可溶性固形分を含有する水を無菌化処理す
る無菌化工程と、この無菌化後における昆布の可溶性固
形分を含有する水を飲料用容器に封入する充填工程とを
含むことを特徴とする。
【0008】また、上記製造方法において、昆布の可溶
性固形分を含有する水に含まれるヨウ素を除去するヨウ
素除去工程を加えるようにする。
【0009】さらに、無菌化工程において、昆布の可溶
性固形分を含有する水を高温瞬間加熱して130〜14
0℃まで温度上昇させ、この状態で所定時間維持するよ
うにする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面
に基づいて詳細に説明する。この発明の一実施形態に係
る清涼飲料は、昆布の中でも特に栄養価の高い根昆布と
水のみを原料としており、根昆布を水に浸漬することに
よって根昆布の可溶性固形分を抽出し、この抽出液であ
る根昆布の可溶性固形分を含有する水(以下、「根昆布
水」と称する。)を無菌化処理して、飲料用容器として
のブリックパックに封入したものである。
【0011】この清涼飲料は、常温での長期保存が可能
で、賞味期間は約10カ月である。また、根昆布水全体
に対しての根昆布の可溶性固形分の重量配合比が、0.
4〜2.2%好ましくは1.1〜1.5%となるように
設定されており、生臭かったり、塩辛過ぎたりせず、ま
た根昆布の旨味や風味がわからないといったこともな
く、さっぱりとしていて飲み易い状態に仕上がってい
る。なお、根昆布水全体に対しての根昆布の可溶性固形
分の重量配合比を1.1〜1.5%とした場合の塩分
は、モール法で0.5W/V%以下に抑えられている。
【0012】上記清涼飲料の製造にあたっては、図1に
示すように、まず原料計量工程(1)において、75.0
Kgの北海道道南産の乾燥根昆布の粗砕品を計量する。
【0013】そして、抽出工程(2)において、計量した
乾燥根昆布を抽出カゴに入れた状態で、約2500lの
高温の水(熱水)に浸漬して根昆布の可溶性固形分を抽出
する。このときの熱水の温度は、80〜85℃としてお
り、浸漬時間は、約40分間に設定している。これによ
って、低温の水に1晩浸漬したときとほぼ同じ旨味や風
味を確保しながら、根昆布の可溶性固形分の抽出を早め
て工程時間を短縮することができる。
【0014】また、約40分間の浸漬時間のうち、最初
の10分間は静置し、10分間経過後は抽出カゴを1ス
トローク10秒で上下動させて撹拌する。これにより、
可溶性固形分の抽出効率を高めることができる。
【0015】なお、この抽出工程(2)の前に計量した乾
燥根昆布の水洗いをしなかったのは、水洗いによるフコ
イダン等の有効成分の流出をなくすためである。もっと
も、乾燥根昆布を製造する段階で、簡単な水洗いはなさ
れているので、砂や微生物等の異物は取り除かれた状態
にある。
【0016】次に、液切り工程(3)において、根昆布の
入った抽出カゴを熱水から取り出し、この抽出カゴを熱
水の上方で約7分間静置させて、膨潤した根昆布に含ま
れる液分を熱水に戻す。
【0017】続いて、濾過工程(4)において、根昆布を
取り出した後の根昆布水を、40メッシュストレーナー
及び80メッシュストレーナーを使用して2段階に濾過
し、根昆布水に含まれる根昆布の微粉等の浮遊固形分を
取り除く。このように、2段階に濾過するようにしたの
は、目詰まりを防止するためである。
【0018】次に、ヨウ素除去工程(5)において、根昆
布水に含まれるヨウ素を除去する。上述したように抽出
工程(2)の前に、計量した乾燥根昆布の水洗いをしてい
ないので、有効成分の流出をなくすことができるが、こ
れと同時に人体にとって過剰摂取は好ましくないとされ
ているヨウ素も多く残留することになる。そこで、この
ヨウ素除去工程(5)において、イオン交換によりヨウ素
を除去するようにしている。すなわち、根昆布水をイオ
ン交換樹脂に通して、この根昆布水に含まれるヨウ素イ
オンをイオン交換樹脂に吸着させて、代わりに塩素イオ
ンを放出させることによってヨウ素を除去する。
【0019】これまでの工程が経過した段階で、当初2
500lあった水は、膨潤した根昆布により持ち出され
たり、蒸発する等して、2500lよりも少なくなって
いる。具体的には、約2200lまで減少している。こ
れによって、当初予定していた根昆布水全体に対する根
昆布の可溶性固形分の重量配合比に狂いが生じてくる。
【0020】そこで、次の補正工程(6)において、まず
高温の根昆布水を強制冷却して30℃以下の常温に戻
し、根昆布水全体に対する根昆布の可溶性固形分の重量
配合比が、当初予定していた0.4〜2.2%好ましく
は1.1〜1.5%となるように、加水して定容の25
00lに戻す。ここで、根昆布水を常温に戻すようにし
たのは、水が膨張して容積が増えている高温状態のまま
では、正確な補正ができないからである。また、根昆布
の可溶性固形分の重量配合比を0.4〜2.2%に設定
したのは、0.4%よりも低い(可溶性固形分が少ない)
と、根昆布の旨味や風味が感じられず、有効成分も検出
し難くなり、2.2%よりも高い(可溶性固形分が多い)
と、生臭くなったり、また可溶性固形分に含まれる塩分
により塩辛くなって飲み難くなるからである。
【0021】また、加水に際しては、この時点での根昆
布水の外観、香味、塩分、ブリックス、pH値等といっ
た各種要因を測定して、これら各種要因とテーブルスケ
ールでの各種要因とを比較して得られた量(理論値)だけ
水を加えるようにして、当初の定容2500lに戻すよ
うにする。このように多数の要因で比較するようにした
のは、加える水の量を正確に求めて、重量配合比のぶれ
を小さく抑えるためである。
【0022】そして、このような補正工程(6)が終了す
ると、次の無菌化工程(7)において、高温瞬間加熱によ
り根昆布水を約140℃まで温度上昇させて、約30秒
間維持する。これにより、外観や旨味、風味を損なうこ
となく、根昆布水に含まれる雑菌を完全に死滅せしめ
る。なお、この場合の加熱温度は、130〜140℃の
範囲であれば良い。
【0023】最後に、無菌化処理した後の根昆布水を強
制冷却して24〜28℃の常温に戻し、充填工程(8)に
おいて、この根昆布水を予め殺菌処理した容量200m
lのブリックパックに封入する。これにより、常温での
長期保存が可能で、根昆布特有の旨味や風味を有し、フ
コイダン等の有効成分が安定して存在した飲み心地の良
い根昆布を原料とした清涼飲料を得ることができる。な
お、この清涼飲料においては、根昆布水200ml当た
り約40mgのフコイダンが含まれている。
【0024】この発明は上記実施形態に限定されるもの
ではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修
正及び変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記
の実施形態の清涼飲料においては、昆布の根の部分すな
わち根昆布を使用しているが、根昆の根以外の部分を
料としても良い。さらに、無菌化工程においては、高温
瞬間加熱による無菌化だけに限らず、根昆布水をφ0.
1〜0.2μmの膜に通して雑菌を除去する膜濾過によ
って無菌化するようにしても良い。
【0025】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この発
明では、昆布の可溶性固形分を含有する水を無菌化処理
して、飲料用容器に封入しているので、常温での長期保
存が可能で、しかも昆布の可溶性固形分を含有する水全
体に対する昆布の可溶性固形分の重量配合比を、0.4
〜2.2%としているので、生臭かったり、塩辛過ぎた
りせず、また根昆布の旨味や風味がわからないといった
こともなく、さっぱりとしていて飲み易い状態にあり、
しかも有効成分が安定して存在する清涼飲料を得ること
ができる。
【0026】また、昆布の可溶性固形分を含有する水に
含まれるヨウ素を除去しているので、ヨウ素の過剰摂取
に伴う人体への悪影響を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る清涼飲料の製造工
程を示す図である。
【符号の説明】
(2) 抽出工程 (3) 液切り工程 (4) 濾過工程 (5) ヨウ素除去工程 (6) 補正工程 (7) 無菌化工程 (8) 充填工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 2/00 - 2/52 A23L 1/337

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昆布と水のみを原料とした清涼飲料の製
    造方法であって、昆布を水に浸漬して昆布の可溶性固形
    分を抽出する抽出工程と、この抽出後に昆布を水から取
    り出して、この膨潤した昆布に含まれる液分を水に戻す
    液切り工程と、この液切り後に昆布の可溶性固形分を含
    有する水を濾過して浮遊固形分を取り除く濾過工程と、
    この濾過後に昆布の可溶性固形分を含有する水全体に対
    する昆布の可溶性固形分の重量配合比が0.4〜2.2
    %となるように、水の量を調整する補正工程と、この補
    正後における昆布の可溶性固形分を含有する水を無菌化
    処理する無菌化工程と、この無菌化後における昆布の可
    溶性固形分を含有する水を飲料用容器に封入する充填工
    程とを含むことを特徴とする清涼飲料の製造方法。
  2. 【請求項2】 昆布の可溶性固形分を含有する水に含ま
    れるヨウ素を除去するヨウ素除去工程を加えるようにし
    請求項1記載の清涼飲料の製造方法。
  3. 【請求項3】 無菌化工程において、昆布の可溶性固形
    分を含有する水を高温瞬間加熱して130〜140℃ま
    で温度上昇させ、この状態で所定時間維持するようにし
    請求項1又は2記載の清涼飲料の製造方法。
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