JP3422878B2 - 大気中での耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼およびその製造方法 - Google Patents

大気中での耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気中での耐食性
に優れたフェライト系ステンレス鋼およびその製造方法
に関するものである。フェライト系ステンレス鋼は、安
価で熱膨張率が炭素鋼と近いために、屋根などの大気中
での外装用途に使用されることが多い。しかし、この場
合、微細な銹が発生して外観を汚すことがある。本発明
は、このような大気環境での微細な発銹について抵抗力
がある耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼および
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼は、耐食性に優れかつ澄ん
だ光沢と色調を有しているために、自動車部品、家電部
品あるいは建築部品などの装飾用途に使用されることが
多い。しかし、泥やほこりがたまり、その下では雨水が
長期間にわたって滞留する上に、温度がかなり高くなる
屋根は、屋内に比べて著しく腐食性が厳しい環境下にあ
る。このような用途には従来SUS304鋼が使用され
てきた。しかし、SUS304鋼は、Niを多量に含有
していることから高価な上に、海浜地区の屋根のような
腐食環境では耐食性が不十分であった。さらに、熱膨張
率が炭素鋼に比べると大きいために、鋼構造物への適用
では温度差による応力発生に苦慮してきた。
【0003】一方、耐食性の優れたフェライト系ステン
レス鋼には特開昭57−140860号公報にCu,N
bを含有するフェライト系ステンレス鋼が開示されてお
り、自動車のモール材などの発銹環境で使用され、相応
の効果を上げている。しかし、この成分の鋼でも雨水に
かかり泥やほこりがたまると、微細な発銹が生ずること
があり、外観を損ねることが多かった。このため、直接
雨水がかかる環境には、Crを増量したステンレス鋼を
用いる傾向にあった。特に海浜地区では発銹傾向が激し
いことから、25%以上のCrを含むステンレス鋼が用
いられてきた。
【0004】しかし、25%以上のCrを含有する鋼の
製造は、転炉法や電気炉法などの通常のステンレス鋼製
造方法では溶製が困難であること、たとえ溶製すること
ができても鋳造時に凝固割れを起こし鋳片鋼片の製造が
不可能であることから、製造は著しく困難である。この
ような事情から、25%以上のCrを含むステンレス鋼
は、屋根材のような安価で多量生産を要求される外装用
途には適用することができなかった。
【0005】ところで、従来より微細な腐食の起点はM
nSをはじめとする非金属介在物であることがよく知ら
れており、耐食性向上のためにMnSを低減したり、別
の硫化物に変えることが提案されてきた。例えば特開昭
57−134542号公報や特開昭59−166655
号公報には、Sを極限まで低減することで耐食性が向上
することが示されている。特開昭63−93820号公
報には、熱処理によりMnSの形態を変化させること
で、又特開平3−97829号公報や特開平4−274
5号公報にはMnSを微細分散することでいずれも耐食
性を向上させ得ることが開示されている。さらに、特開
昭55−158254号公報にはTi添加により、特開
昭63−157838号公報にはCa添加により、又、
特開平4−371553号公報にはCr/Mnの比を限
定することで、MnSをTiやCa,Crなどの他の硫
化物に変えて耐食性を向上させることが提案されてい
る。
【0006】しかし、これらの方法は、従来以上の高純
化処理が必要であったり、新たな工程や新たな元素の添
加が必要で、いずれもコストのかかる方法であった。本
発明は、前記特開昭57−140860号公報に記載さ
れた鋼を基に、屋根のような大気環境においても外観を
損ねる微細な腐食を発生しない安価で耐食性の優れたス
テンレス鋼を低コストで提供するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、特開昭5
7−140860号公報に記載された鋼を用いて大気中
で腐食させ、発銹部位を詳細に検討したところ、従来か
ら指摘されているとおり大半の発銹が介在物、特に硫化
物系の介在物を起点としていることが確認された。従来
は、この知見に基づき、S含有量を極限まで低減した
り、化学的に比較的安定な硫化物に変えるよう努力を重
ねてきた。しかし、S含有量の低減は技術的にもコスト
的にも限界があり、その限界でも発銹の起点を消滅させ
るという点からは不十分であることもわかった。又、化
学的に比較的安定な硫化物に変える方法は、考え方とし
ては有利な方法と思われるが、これまでは例えばREM
などの特殊な元素の添加が必要となり、コスト的に不利
となるだけでなく、加工性や材質に問題を生ずるなど作
りにくく使いにくい材料となるため、実用化はなされな
かった。
【0008】本発明は、以上述べた従来知見の考え方を
基にし、発銹の起点を極限まで低減し、大気中での耐食
性を向上させる方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、発銹の起点
を消滅させるためには、硫化物を消滅させることが必要
であると考えた。しかし、Sの低減は技術的にもコスト
的にも限界にあることから、硫化物の形態を変更するこ
とを試みた。しかし、従来試験されたようなREMなど
の追加ではなく、鋼中に添加したCuと反応させCuを
含む硫化物とすることを試みた。
【0010】通常、フェライト系ステンレス鋼中の硫化
物はMnSとして存在する。Tiを添加した場合は、一
部がTiSないしTi4 2 2 などに変化するもの
の、MnSと共存したり複合化合物として存在する。し
かし、MnSはpHが低い水溶液中では化学的に溶出し
たり、電気化学的に分解してH2 Sを発生したりする。
これが大気中での微細な腐食になることは、従来からよ
く知られている。
【0011】特開昭57−140860号公報に記載さ
れた鋼も、Sは大半がMnSとして存在する。ところ
が、Sの化合物にはCuSがあり、MnSに比べると化
学的にはかなり安定である。本発明は鋼中に添加したC
uとSを反応させ、MnSからCuを含む硫化物に変え
ようとするものである。
【0012】一般に、Cuを添加する場合、CrやMn
などと比べてCuの平衡蒸気圧が高いことや、Cu原料
は純Cuの屑を用いることが多く原料中にOや多元素が
ほとんど含まれていないことから、溶製の最終時点で添
加することが多い。これに対して、本発明者は脱炭精練
後にCu原料を添加し、その後Mn原料を添加すること
を試みた。その結果、Sは大半がCuを含む硫化物とな
ることが判明した。
【0013】MnSより生成自由エネルギーの高いCu
SないしCuを含むMnSすなわち(Mn,Cu)Sが
生成する理由は、鋭意検討中であるが、Cuが多いこと
による非平衡相の残留ではないかと予想している。従っ
て、凝固時の冷却速度を小さくすることでこの効果は消
滅することも考えられる。
【0014】本発明の第1は、以上の知見を基になされ
たものであって、重量%で、少なくともS:0.007
%以下、Cr:15.0%超25.0%以下、Cu:
0.2%以上1.2%以下を含み、S系介在物をCuを
含む硫化物としたことを特徴とする大気中での耐食性に
優れたフェライト系ステンレス鋼である。
【0015】フェライト系ステンレス鋼では、冷却途中
でCr236 炭化物が生成し、その近傍に必ずCrの欠
乏相が生ずる。すると、そこを起点とする腐食の防止が
困難であるために、CをCr以外の安定な炭化物として
おくことが適切である。この考え方に基づく第2の発明
は、Nbを添加した実用鋼、すなわち、重量%で、C
:0.02%以下、 N :0.01%以上
0.04%以下、Si:1.0%以下、 M
n:0.7%以下、S :0.007%以下、
Cr:15.0%超25.0%以下、Cu:0.2%以
上1.2%以下、Nb:Nb−8×(%C+%N)で
0.1%以上0.8%以下を含み、残部はFeおよび不
可避不純物からなり、S系介在物をCuを含む硫化物と
したことを特徴とする大気中での耐食性に優れたフェラ
イト系ステンレス鋼である。
【0016】さらに、使用環境が海浜地区の場合、介在
物起因以外に付着した海塩粒子直下などから発生する隙
間腐食が微細な腐食原因となるため、耐隙間腐食性を向
上させるべくMoやNiの添加が有効である。従って、
これらの知見に従い、Mo,Niを添加した第3の発明
は、重量%で、C :0.02%以下、 N
:0.01%以上0.04%以下、Si:1.0%以
下、 Mn:0.7%以下、S :0.00
7%以下、 Cr:15.0%超25.0%以
下、Cu:0.2%以上1.2%以下、Nb:Nb−8
×(%C+%N)で0.1%以上0.8%以下、および
Mo:0.1%以上1.8%以下、Ni:0.1%以上
2.0%以下の1種又は2種を含み、残部はFeおよび
不可避不純物からなり、S系介在物をCuを含む硫化物
としたことを特徴とする大気中での耐食性に優れたフェ
ライト系ステンレス鋼である。
【0017】そして、第4の発明は、「前記各成分を含
有するフェライト系ステンレス鋼を溶製するに際して、
Mn原料の添加に先立ちCu原料を添加することを特徴
とする大気中での耐食性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼の製造方法。」である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
まず本発明の限定条件について述べる。Sは、鋼中では
MnSとなって微細な腐食の起点となる。本発明では、
MnSをCuを含む硫化物に変化させて化学的に安定化
し、微細な腐食の起点とならないようにするものであ
る。しかし、Sが多量にあるとCuを含む硫化物が多量
に生成し、しかも硫化物中のCu量が相対的に少なくな
って安定化効果が低減することから、Sそのものの低減
も不可欠である。この場合、0.007%を超えるとC
uを含む硫化物とした化学的安定化効果が低減すること
から、0.007%を上限とした。
【0019】対象とする鋼のCr量は、15.0%以下
では外装用途としての基本的な耐食性が不足するので1
5.0%超とした。又、25.0%を超えるとコスト的
に高価になり、特別な溶製方法鋳造方法を用いる必要が
あり低コストで多量生産を要求される用途では経済的に
製造することができないため、25.0%を上限とし
た。
【0020】Cuは、硫化物をMnSからCuを含む硫
化物に変化させるために不可欠で、熱力学的に生成自由
エネルギーが低く生成しやすいMnSより生成を優先さ
せるためには、大きな活量が必要である。Mn量が0.
7%以下の場合、0.2%未満ではCuを含む硫化物に
ならず、たとえCuを含む硫化物となったものがあって
も硫化物中のCu量が少なく、その効果が極めて小さい
ために、0.2%を下限とした。Cu量が多いほど、C
uを含む硫化物が増加したり硫化物中のCu含有量が増
加し化学的安定度は増すが、1.2%を超えて添加する
といわゆるCu脆性が生じ、製造が不可能になったり歩
留りが著しく低下するだけでなく、製品薄板の外観を劣
化させたり耐食性を劣化させる表面疵が発生するため
に、1.2%を上限とした。溶鋼中へのCuの添加は、
脱炭精練後にMn原料の投入に先立って行なうことがC
uを含むS系介在物の形成に必要である。
【0021】次に、本発明の実施態様である第2,第3
の発明において添加するCとNは、Nbの歩留りの点か
らは極力低減することが望ましい。従って、Cは0.0
2%を、又Nは0.04%をそれぞれの上限とした。し
かし、Nは0.01%未満に低減すると高温で析出物が
完全固溶することとなり結晶粒が著しく粗大化する上に
再結晶が困難となって加工後の肌荒れやリジング性が極
端に劣化するために、0.01%を下限とした。
【0022】Siは、脱酸のために必要である他、非晶
質の酸化物として皮膜を構成し耐銹性を向上させるので
必ずしも低減する必要はないが、1.0%を超えて添加
すると加工性が著しく劣化するために、1.0%を上限
とした。Mnは、多量に添加すると硫化物をCuを含む
硫化物とするために必要なCuが多量に必要となり、前
述したようにCu脆性が発生しやすくなることから、
0.7%を上限とした。
【0023】本発明で利用するNbの効果は、鋼中の炭
素窒素を炭窒化物として安定化し、Cr236 などのC
r炭窒化物の析出を防止し、その近傍に生じて微細な腐
食の起点となるCr欠乏相の生成を抑制することにあ
る。従って、鋼中のC,N量に対応する当量以下ではそ
の効果は見込めない。さらに、Nb−8×(%C+%
N)で計算されるNb量が0.1%未満では、鋼中の
C,Nを確実にNb炭窒化物にするためには不十分であ
る。このため、Nb−8×(%C+%N)で計算される
Nb量で0.1%を下限とした。しかし、0.8%を超
えて添加すると熱間加工性が著しく劣化するだけでな
く、鋼中で金属間化合物が生成し鋳片や熱延コイルの靭
性が著しく低下するために上限とした。
【0024】次に、本発明の実施態様である第3の発明
において任意に添加するMoは、塩分を含む環境での耐
食性向上に効果の大きい添加元素であるが、0.3%未
満ではその効果が認められず、1.8%を超えて添加す
ると耐食性はそれに応じて向上するものの、鋼中で金属
間化合物が生成し鋳片や熱延コイルの靭性が著しく低下
するために、0.1〜1.8%とした。
【0025】同じくNiは、必ずしも必要な元素ではな
いが、工業地帯などでは鋼のアノード反応を抑制し耐食
性向上に効果が認められるので、必要に応じて添加する
ことができる。この場合、0.2%未満では効果がな
く、2.0%を超えて添加すると高温で一部がオーステ
ナイト相に変態し、常温でマルテンサイト相となって硬
化するために、0.2〜2.0%とした。
【0026】本発明は、硫化物をMnSからCuを含む
硫化物に変え、化学的に安定化したものである。この結
果、化学分析などで示される化学成分は、従来からの公
知成分であるにもかかわらず、微細な腐食の起点となる
硫化物系の介在物が化学的に安定化したことで、大気中
での耐食性が向上した。
【0027】大気中の湿分によって生ずる液膜や雨水に
は、大気中のCO2 が溶解しているためにpHが低い。
さらに、大気中には排気ガスなどの起因するNOx やS
xが存在し、これらが液膜や雨滴に溶解すると一層p
Hを下げることとなる。一方、従来鋼中に存在するMn
Sは、pHの低い水溶液には溶解し分解してH2 Sのよ
うな腐食性ガスを発生したり、不働態皮膜の生成してい
ない活性金属面を露出させたりする。この結果、大気中
で微細な腐食が発生するのである。
【0028】これに対して、本発明では鋼中の硫化物系
介在物をpHの低い水溶液に対して化学的に安定なCu
を含む硫化物に変えたために、硫化物系介在物は従来鋼
に比べて液膜や雨水の液滴などに溶解しにくくなってい
る。このため、その溶解によって誘起されるH2 Sのよ
うな腐食性ガスの発生や、不働態皮膜の生成していない
活性金属面の露出はなくなる。この結果、大気中で微細
な腐食に対する耐食性が向上したのである。
【0029】さらに実施態様に示したように、Nbを添
加してCr236 などのCr炭窒化物の析出を防止し、
その近傍に生じて微細な腐食の起点となるCr欠乏相の
生成を抑制したことから、一層大気中での微細な腐食に
対する耐食性が向上した。ところで、本発明鋼は前述し
たように化学分析などで示される化学成分そのものは、
従来から用いられる成分である。このような成分の鋼に
おいて、微細な腐食の起点となる硫化物系の介在物を化
学的に安定化したことで、大気中での耐食性が向上した
ものである。従って、酸中での溶解のように腐食の起点
が溶解してしまうような活性溶解を起こす環境では、従
来鋼と耐食性(溶解速度)に差はない。
【0030】
【実施例】表1に示した化学組成の鋼を溶製した。その
際、MnおよびCuなどの副原料の添加の順序を変え
た。No.1,3,5,7の鋼は、脱炭精練後にCu原料
を添加し、その後にMn原料を投入した。一方、No.
2,4,6,8の鋼は、逆に、Mn原料を先行して投入
し、その後にCu原料を投入した。その後、熱間鍛造、
熱間圧延、熱延板焼鈍、冷間圧延および930℃−1分
の最終焼鈍を施して、0.5mm厚の冷延焼鈍板を製造し
た。この冷延焼鈍板に最終が#600の湿式研磨を行な
い、塩水噴霧試験を行なった。
【0031】塩水噴霧試験の条件は、噴霧液を35℃の
0.2%H2 2 +0.5%NaCl水溶液としたが、
他の条件はJIS−Z2371に準拠した。腐食時間
は、1h噴霧その後1h試験槽内に放置および4h連続
噴霧とした。塩水噴霧試験後の試験片は、試験面50mm
×50mmを光学顕微鏡観察し、微細な腐食発生の数を測
定し評価した。なお、鋼No.9は、4h連続噴霧試験で
一部に流れ錆が発生した。しかしそれ以外の試料は、い
ずれの試験でも流れ出すような赤錆は認められず、点状
の微細な発銹のみであった。
【0032】表2に、表面層をわずかに研磨し直して評
価した硫化物系介在物の種類と、加速塩水噴霧試験の結
果をまとめた。この結果から、Cr量およびMo量など
による差異は認められるものの、同程度の成分の鋼の間
では、硫化物系介在物がMnSの鋼よりCuを含む硫化
物に変えた鋼の方が腐食の発生点は少なく、微細な腐食
に対する耐食性が優れていることが明らかである。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】以上示したとおり、高価な添加元素を用
いることなく、しかも製造性を阻害することなく、大気
中での耐食性を向上させることに成功した。しかも、特
別な成分元素を用いることもないことから、コスト的に
も従来材と変わらない。このため、大気環境で使用する
場合には、いたずらに高Cr鋼や高価な元素を含む鋼を
使用する必要がなくなった。この結果、材料コストが低
下したり貴重な資源の無駄使いがなくなるなど、工業的
利益は大きい。又、従来から用いられている用途におい
ても、微細な腐食がなくなり、景観的にも美麗な環境を
維持することが容易になった。この結果、清潔な環境を
維持しやすくなり、社会的利益も大きい。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、少なくともS :0.007
    %以下、 Cr:15.0%超25.0%以下、 Cu:0.2%以上1.2%以下を含み、S系介在物を
    Cuを含む硫化物としたことを特徴とする大気中での耐
    食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で、C :0.02%以下、 N :0.01%以上0.04%以下、 Si:1.0%以下、 Mn:0.7%以下、 S :0.007%以下、 Cr:15.0%超25.0%以下、 Cu:0.2%以上1.2%以下、 Nb:Nb−8×(%C+%N)で0.1%以上0.8
    %以下を含み、残部はFeおよび不可避不純物からな
    り、S系介在物をCuを含む硫化物としたことを特徴と
    する大気中での耐食性に優れたフェライト系ステンレス
    鋼。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の鋼に、さらに重量%とし
    て、Mo:0.1%以上1.8%以下、 Ni:0.1%以上2.0%以下の1種又は2種を含む
    ことを特徴とする請求項2記載の大気中での耐食性に優
    れたフェライト系ステンレス鋼。
  4. 【請求項4】 請求項1,2および3のいずれかに記載
    のフェライト系ステンレス鋼を溶製するに際して、Mn
    原料の添加に先立ちCu原料を添加することを特徴とす
    る大気中での耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼
    の製造方法。
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