JPH1096051A - 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板又は溶融めっき鋼板用スラブ及びその製造方法 - Google Patents

深絞り性に優れた高強度冷延鋼板又は溶融めっき鋼板用スラブ及びその製造方法

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JPH1096051A
JPH1096051A JP27149296A JP27149296A JPH1096051A JP H1096051 A JPH1096051 A JP H1096051A JP 27149296 A JP27149296 A JP 27149296A JP 27149296 A JP27149296 A JP 27149296A JP H1096051 A JPH1096051 A JP H1096051A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性の阻害や製造コストの上昇を招くこと
なく、深絞り性に優れた高強度冷延鋼板及び溶融めっき
鋼板用スラブを製造する。 【解決手段】 このスラブは、C:0.0005〜0.
01%,Si:1.0%以下,Mn:0.5〜3.0
%,P:0.05〜0.2%,S:0.0005〜0.
02%,Al:0.005〜0.10%,N:0.00
7%以下,Ti:0.01〜0.1%及び/又はNb:
0.01〜0.1%を含み、残部が実質的にFeの組成
をもち、擬ベイナイト組織−ポリゴナルフェライト組織
の混合比率で擬ベイナイト組織が40%以下である。必
要に応じ、更にCu:0.03〜0.5%及びNi:
0.03〜0.5%,B:0.0002〜0.001
%,Zr:0.01〜0.1%,V:0.01〜0.1
%の1種又は2種以上を含むことができる。製造に際し
ては、凝固後のスラブが950〜750℃の温度域にあ
るとき、50℃/秒以下の冷却速度でスラブを冷却する
ことが必要である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度の加工性が要求さ
れる自動車の車体部品等に適した高強度冷延鋼板又は溶
融めっき鋼板用のスラブ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地球環境保護の運動が高まる中で、自動
車に関して排ガス対策,省エネルギー等を狙って燃費の
低減が従来以上に強く求められている。燃費低減の有力
な方策の一つに車体の軽量化があり、各種の高強度鋼板
が提案されている。高強度鋼板は、車体の安全性を向上
させる上でも有効な材料である。なかでも、フロントサ
イドメンバー等の自動車車体部品に使用される冷延鋼板
は、深絞り成形を主体とする過酷な成形が施され、しか
も製品そのものは重要な保安部品としての高い部品強度
が必要とされる。そのため、自動車車体部品において
は、従来よりも格段に優れた加工性をもち、しかも従来
以上の高強度を呈する冷延鋼板や溶融めっき鋼板が望ま
れている。
【0003】高加工性及び高強度の要求に応えるものと
して、たとえば特開昭61−276927号公報,特開
昭61−276930号公報等にみられるように、極低
炭素鋼にTi,Nb等の炭窒化物形成元素を含有させた
IF鋼をベースとし、Si,Mn,P等の固溶強化元素
を多量に含有させたスラブを使用し、各種の加工性に優
れた自動車用高強度冷延鋼板がこれまで製造されてき
た。しかも、自動車車体の構造部品は、重要保安部品と
しての価値が高いことから、年々その需要が増大し、少
量生産から通常材同様の大量生産といえる状況にまで発
展してきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】高強度化のため従来以
上にSi,Mn,P等の固溶強化元素を多量に添加し、
しかも生産性向上のために連続鋳造時に冷却速度を上げ
て製造したスラブでは、従来みられなかった硬質の擬ベ
イナイト組織が生成するようになる。硬質の擬ベイナイ
ト組織は、表面割れ等の欠陥を多数発生させる原因であ
り、結果として製品歩留りを低下させる。そのため、大
量生産を狙ったものの、逆に大幅な製造コストの上昇を
招くことになる。本発明は、このような問題を解消すべ
く案出されたものであり、Ti又はNbを添加した成分
系においてスラブの組成及び鋳造組織を特定することに
より、生産性の阻害や製造コストの上昇を招くことな
く、加工性に優れた高強度冷延鋼板及び溶融めっき鋼板
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の高強度冷延鋼板
又は溶融めっき鋼板用スラブは、その目的を達成するた
め、C:0.0005〜0.01重量%,Si:1.0
重量%以下,Mn:0.5〜3.0重量%,P:0.0
5〜0.2重量%,S:0.0005〜0.02重量
%,Al:0.005〜0.10重量%,N:0.00
7重量%以下,Ti:0.01〜0.1重量%及び/又
はNb:0.01〜0.1重量%を含み、残部が実質的
にFeの組成をもち、擬ベイナイト組織−ポリゴナルフ
ェライト組織の混合比率で擬ベイナイト組織が40%以
下である鋳造組織をもつことを特徴とする。
【0006】このスラブは、更にCu:0.03〜0.
5重量%及びNi:0.03〜0.5重量%を含むこと
ができる。また、更にB:0.0002〜0.001重
量%,Zr:0.01〜0.1重量%,V:0.01〜
0.1重量%の1種又は2種以上を含んだ組成のスラブ
も使用される。製造に際しては、凝固後のスラブが95
0〜750℃の温度域にあるとき、50℃/秒以下の冷
却速度でスラブを冷却することが必要である。
【0007】
【実施の形態】本発明者等は、冷延鋼板及び溶融めっき
鋼板の強度や耐食性に応じて設定される成分・組成をも
つスラブにおいて、連続鋳造されたスラブの鋳造組織が
冷延鋼板及び溶融めっき鋼板の特性に及ぼす影響を種々
調査・研究した。その結果、Ti及び/又はNbを含む
成分系をもつスラブのミクロ組織における擬ベイナイト
組織を40%以下に規制するとき、生産性の阻害及び製
造コストの上昇を招くことなく、加工性に優れた高強度
冷延鋼板及び溶融めっき鋼板を製造できることを見い出
した。強度向上のためにSi,Mn,P等の固溶強化元
素を多量に添加した鋼材を連続鋳造すると、擬ベイナイ
トが生成し易い。擬ベイナイトは、凝固後のスラブの冷
却速度が遅くなるほど生成量が少なくなるが、過度に遅
い冷却速度では生産性が阻害される。本発明者等の研究
によるとき、950〜750℃の温度域における冷却速
度を50℃/秒以下にすると、擬ベイナイト組織の混合
比率が40%以下に規制され、擬ベイナイトに起因する
表面割れが抑制され、生産性を低下させることなく加工
性に優れた高強度冷延鋼板及び溶融めっき鋼板用のスラ
ブが得られることが判った。
【0008】以下、本発明スラブの合金成分,含有量,
製造条件等を説明する。 C:0.0005〜0.01重量% TiC,NbC等の炭化物として固定される成分である
が、C含有量が低いほどランクフォード値や伸びが改善
され、Cの固定化に必要なTi,Nb等の添加量を低減
できる。そのため、本発明においては、C含有量の上限
を0.01重量%に規定した。しかし、極端にC含有量
を下げるためには製鋼工程で過度の脱炭精錬を必要と
し、製造コストの上昇を招くことから、C含有量の下限
を0.0005重量%に規定した。 Si:1.0重量%以下 鋼材を強化する作用を呈し、必要とする強度に応じて添
加量が決定される。しかし、Si含有量が1.0重量%
を超えると、化成処理性,めっき性等が低下する傾向が
みられる。
【0009】Mn:0.5〜3.0重量% Siと同様に鋼材を強化する作用を呈し、必要とする強
度に応じて添加量が決定される。鋼材を強化する作用
は、0.5重量%以上のMn含有量で顕著になる。しか
し、3.0重量%を超える多量のMnが含まれると、A
3 変態点が急激に低下し、再結晶焼鈍がγ域になり、
ランクフォード値や伸びが低下しやすい。 P:0.05〜0.2重量% Siと同様に鋼材を強化する作用を呈し、目標強度に応
じて必要量が添加される。しかし、0.05重量%未満
のP添加では、鋼材を強化する作用が不十分である。逆
に0.2重量%を超える多量のPが添加されると、加工
性,耐二次加工性,めっき性等が劣化する。
【0010】S:0.0005〜0.02重量% Mn,Ti等と硫化物を形成し、炭化物系析出物の生成
に影響を及ぼし、ランクフォード値を向上させる作用を
呈する。しかし、熱間加工時の割れを誘発させる成分で
あるため、上限を0.02重量%に規制した。また、S
含有量を過度に低減することは、製鋼工程で脱硫精錬に
多大なコストがかかることから、S含有量の下限を0.
0005重量%に設定した。 Al:0.005〜0.10重量% 脱酸剤として添加されると共に、Nを固定する作用を呈
する。このような作用は、0.005重量%以上のAl
含有量で顕著になる。しかし、0.10重量%を超える
多量のAlが含まれると、酸化物系介在物が増加し、加
工性,表面性状等が劣化する。
【0011】N:0.007重量%以下 不可避的に含まれる成分であり、Ti等で固定される。
しかし、0.007重量%を超える多量のNが含まれる
と、Nの固定に必要なTi,Nb等の添加量を多くする
ことが要求され、析出物の増加に起因して加工性が劣化
する。 Ti:0.01〜0.1重量% 鋼中に侵入型として固溶するC及びNを炭窒化物として
固定すると共に、Sと結合して硫化物を形成する合金成
分である。硫化物を形成し、固溶状態のC及びNを十分
に減少させることにより加工性の向上を図るためには、
0.01重量%以上のTiが必要とされる。しかし、
0.1重量%を超える多量の添加は、Tiによる加工性
改善効果が飽和し、却って製造コストの上昇を招く。
【0012】Nb:0.01〜0.1重量% Tiと同様の炭窒化物形成元素であり、鋼中のC及びN
を固定し、加工性を向上させる作用を呈する。また、T
iとの複合添加では、複合析出物を形成し、比較的粗大
な析出物とすることによっても加工性が改善される。こ
のような効果は、Nb含有量が0.01重量%以上で顕
著になり、0.1重量%で飽和する。 Cu:0.03〜0.5重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、耐食性を改善
する作用を呈する。Cuの添加効果は、0.03重量%
以上の含有量で顕著になり、0.5重量%で飽和する。
【0013】Ni:0.03〜0.5重量% Cuに起因した熱間脆性を防止する作用を呈することか
ら、耐食性を改善するためにCuを添加した系で有効な
合金成分である。このような作用を得るためには、Cu
含有量とほぼ同量のNi含有量にすることが好ましく、
そのためNiを添加する場合にはその範囲を0.03〜
0.5重量%に設定する。 B:0.0002〜0.001重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、優先的に結晶
粒界に偏析し、Pに起因する粒界脆化を抑制する作用を
呈する。また、プレス成形時に二次加工割れを防止する
作用もある。このような作用は、0.0002重量%以
上のBで顕著になる。しかし、0.001重量%を超え
る多量のBが含まれると、結晶粒の成長が阻害され、却
って加工性が劣化する。 Zr及びV:0.01〜0.1重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、炭窒化物を形
成してCやNを固定する作用を呈する。また、Ti,N
b等と複合添加するとき、加工性を向上させる作用も呈
する。これらの作用は、0.01重量%以上のZr又は
Vで顕著になるが、0.1重量%で飽和する。
【0014】鋳造組織:擬ベイナイト組織が40%以下
の擬ベイナイト −ポリゴナルフェライトの混合組織 以上のように成分・組成が調整された溶鋼を連続鋳造
し、スラブとする。得られるスラブは、冷却速度に応じ
て低温変態生成物の一つである擬ベイナイト組織やポリ
ゴナルフェライト組織等に変化するミクロ組織を持って
いる。擬ベイナイト組織は、特に転移密度が高く硬質で
あり、スラブに表面割れ等の欠陥を発生させる原因とな
る。他方、ポリゴナルフェライト組織は、転移密度が小
さく軟質であり、表面割れに対する抵抗力が大きい。表
面割れに及ぼす擬ベイナイト組織及びポリゴナルフェラ
イト組織の影響を調査・研究した結果、擬ベイナイト組
織−ポリゴナルフェライト組織の混合比率で擬ベイナイ
ト組織を40%以下に規制すると、擬ベイナイト組織の
影響が抑制され、スラブに表面割れ等の欠陥が全く発生
しないことを解明した。この理由については必ずしも明
確ではないが、軟質のポリゴナルフェライト組織が支配
的になっていることに原因があるものと推察される。
【0015】スラブの冷却条件:950〜750℃の温
度域を50℃/秒以下の冷却速度 擬ベイナイト組織が40%以下のミクロ組織を得るため
には、凝固後のスラブが950〜750℃の温度域にあ
るとき、50℃/秒以下の冷却速度でスラブを冷却する
ことが必要である。この温度域は、フェライトとオース
テナイトの2相域にあり、γ相からポリゴナルフェライ
ト組織又は擬ベイナイト組織を生成させる上で有効であ
る。温度域が特定条件を外れると、擬ベイナイト相40
%以下の組織が得られない。また、50℃/秒を超える
冷却速度では、何れの鋼成分においても擬ベイナイト相
40%以下の組織が得られない。ただし、過度に遅い冷
却速度は生産性を低下させる要因となるので、冷却速度
の下限を5℃/秒に設定することが好ましい。本発明に
従って組成及び組織が調整されたスラブは、熱間圧延,
酸洗,冷間圧延工程を経て、再結晶焼鈍された高強度冷
延鋼板、或いは再結晶焼鈍後に溶融めっきされた溶融め
っき鋼板として使用される。
【0016】熱間圧延では、加熱温度1000〜120
0℃の低温加熱を使用し、仕上げ温度Ar3 変態点以
上,600℃以上の高温巻取りを採用することが好まし
い。低温加熱及び高温巻取りは、鋼中に侵入型として固
溶しているC及びNをFe3 C,AlN等の炭化物,窒
化物,炭窒化物として固定し、加工性を改善する上で有
効である。また、Ar3 変態点に達しない仕上げ温度で
熱延すると、加工性劣化の原因となる熱延集合組織が形
成される。熱延コイルは、脱スケール酸洗後、冷間圧延
される。冷間圧延では、十分な深絞り性を得るために、
圧下率を60%以上に設定することが好ましい。冷間圧
延後の再結晶焼鈍は、連続焼鈍工程、又はZn,Al等
の溶融めっきを施す場合には溶融めっき設備内の還元焼
鈍炉で施される。なお、めっき条件は特に規制されるも
のではなく、工業的に通常採用されている条件が選定さ
れる。また、焼鈍後の冷延鋼板及び溶融めっき後の溶融
めっき鋼板に対しては、5%以下の調質圧延を施すこと
もできる。
【0017】
【実施例】溶解炉で溶鋼を表1の組成に調整した後、連
鋳鋳型に注入し、凝固後の冷却過程で950〜750℃
の温度域における冷却速度を10〜120℃/秒の範囲
で変化させて鋳造し、50kgの鋼塊を製造した。
【0018】
【0019】得られた鋼塊の表面を肉眼で観察し、表面
割れの有無を調査した。引き続き、磁粉探傷試験で表面
割れの個数をカウントした。また、光学顕微鏡を用いて
鋼塊のミクロ組織を観察した。調査結果を表2に示すよ
うに、本発明に従って鋼塊の冷却速度を50℃/秒以下
に規制するとき、擬ベイナイトの組織比率が40%以下
に抑えられ、表面割れが発生ないことが判った。これに
対し、鋼塊の冷却速度を50℃/秒を超える試験番号
5,7の比較例では、擬ベイナイトの組織比率が40%
を大きく超え、表面割れが多発した。また、表面割れの
発生及びミクロ組織と鋳造時の冷却速度との関係を調査
したところ、両者の間に図1に示す関係が成立してい
た。すなわち、ミクロ組織において擬ベイナイト組織−
ポリゴナルフェライト組織の混合比率で擬ベイナイト組
織が40%以下の場合及び凝固後950〜750℃の温
度領域を50℃/秒以下の冷却速度で冷却して鋳造する
場合には、何れも表面割れの発生が全く観察されず、良
好なスラブが得られることが判る。
【0020】
【0021】表面割れのない鋼塊を厚さ35mmの鋼片
に熱間鍛造した後、1130℃に加熱し、熱間圧延し
た。熱間圧延の仕上げ温度は、890〜930℃で且つ
Ar3変態点以上に設定した。仕上げ板厚は、後続する
冷間圧延での圧延率を考慮し、5mmに設定した。熱延
仕上げ後、650〜720℃に加熱したソルトバス中に
鋼帯を装入して所定温度に加熱し、約2時間保持するこ
とにより、熱延鋼帯の巻取りに相当する処理を施した。
引き続き、脱スケール酸洗し、圧延率80%の冷間圧延
により板厚1.0mmの冷延鋼板とした。この冷延鋼板
を、再結晶温度以上の温度850℃で連続焼鈍した。
【0022】得られた冷延鋼板の機械的性質を、JIS
5号引張試験片を使用して測定した。ランクフォード
値は、15%の引張予歪みを与えた後、3点法で測定
し、L方向(圧延方向),D方向(圧延方向に45度方
向)及びC方向(圧延方向に直交する方向)の平均値
[(rL +2rD +rC )/4]として求めた。また、
直径90mmに打ち抜いたブランクを用いて絞り比2.
7の三段階絞りで直径33mmの平底円筒カップを成形
した後、液体窒素及び有機溶剤からなる各種温度の冷媒
に浸漬しながら、先端角60度のポンチを円筒上部から
押し込み、脆性割れが発生しない最低温度を測定した。
この測定温度を、二次加工割れ発生温度とした。
【0023】調査結果を表3に示すように、本発明に従
って冷却速度が規制された鋼塊から製造された冷延鋼帯
では、0.2%耐力,引張強さ,伸び共に優れ、ランク
フォード値が1.2以上,二次加工割れ脆化温度が−1
00℃以下と加工性に優れていることが判る。これに対
し、スラブの冷却速度が本発明で規定した50℃/秒以
下であっても、組成に関する条件を満足しない試験番号
15では、ランクフォード値が低く、二次加工割れ脆化
温度も高いことから、二次加工割れが発生し易い材料で
あった。
【0024】
【0025】実施例2:表4に示す組成をもつ溶鋼を転
炉及び脱ガス炉で精錬し、連続鋳造時の引抜き速度,冷
却水量等を調節してスラブの冷却速度を変化させながら
厚み250mm,単重13トンのスラブを製造した。
【0026】
【0027】得られたスラブについて、表面割れ,ミク
ロ組織等を実施例1と同様に調査した。表5の調査結果
にみられるように、本発明に従って鋼塊の冷却速度を5
0℃/秒以下に規制するとき、擬ベイナイトの組織比率
が40%以下に抑えられ、表面割れが発生しないことが
判った。これに対し、鋼塊の冷却速度を50℃/秒を超
える試験番号20,25の比較例では、擬ベイナイトの
組織比率が40%を大きく超え、表面割れが多発した。
【0028】
【0029】スラブ段階で表面割れの発生した比較例で
は、熱間圧延以降の工程通板ができなかったので、表面
割れのないスラブのみを加熱炉で1130℃に加熱し、
熱間圧延した。熱間圧延の仕上げ温度を890〜910
℃で且つAr3 変態点以上に、仕上げ板厚を5mmに、
巻取り温度を650〜720℃に設定した。熱延鋼帯を
塩酸系酸洗液槽を備えた連続酸洗ラインに通板して脱ス
ケール酸洗した後、冷間圧延機に送り、冷延率80%で
冷間圧延した。得られた板厚1.0mmの冷延鋼板を焼
鈍工程に送り、再結晶温度以上で焼鈍し、冷延鋼板の製
品とした。一部の鋼帯については、再結晶温度以上で還
元焼鈍を施し、めっき浴温を450℃とした連続溶融め
っきラインに通板し、溶融亜鉛めっき鋼板の製品とし
た。得られた各製品の機械的性質を実施例1と同様に調
査した。表6の調査結果にみられるように、何れの製品
鋼帯も0.2%耐力,引張強さ等の機械的特性に優れ、
高い伸び,ランクフォード値及び低い二次加工割れ脆化
温度を示すことから良好な加工性をもつことが判る。
【0030】
【0031】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、組成が特定されたTi,Nbを含む成分系の鋼材を
使用し、鋳造スラブのミクロ組織及び連続鋳造時の冷却
速度を制御することにより、生産性の阻害及び製造コス
トの上昇を招くことなく、高品質のスラブが製造され
る。得られたスラブは、深絞り性に優れた高強度冷延鋼
板及び溶融めっき鋼板用に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ミクロ組織及び表面割れの発生に及ぼす鋳造
時の冷却速度の影響
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23C 2/02 C23C 2/02 (72)発明者 田中 照夫 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株式 会社技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.0005〜0.01重量%,S
    i:1.0重量%以下,Mn:0.5〜3.0重量%,
    P:0.05〜0.2重量%,S:0.0005〜0.
    02重量%,Al:0.005〜0.10重量%,N:
    0.007重量%以下,Ti:0.01〜0.1重量%
    及び/又はNb:0.01〜0.1重量%を含み、残部
    が実質的にFeの組成をもち、擬ベイナイト組織−ポリ
    ゴナルフェライト組織の混合比率で擬ベイナイト組織が
    40%以下である鋳造組織をもつ加工性に優れた高強度
    冷延鋼板又は溶融めっき鋼板用スラブ。
  2. 【請求項2】 更にCu:0.03〜0.5重量%及び
    Ni:0.03〜0.5重量%を含む組成をもつ請求項
    1記載の高強度冷延鋼板又は溶融めっき鋼板用スラブ。
  3. 【請求項3】 更にB:0.0002〜0.001重量
    %,Zr:0.01〜0.1重量%,V:0.01〜
    0.1重量%の1種又は2種以上を含む組成をもつ請求
    項1又は2記載の高強度冷延鋼板又は溶融めっき鋼板用
    スラブ。
  4. 【請求項4】 凝固後のスラブが950〜750℃の温
    度域にあるとき、50℃/秒以下の冷却速度でスラブを
    冷却する請求項1〜3の何れかに記載の加工性に優れた
    高強度冷延鋼板又は溶融めっき鋼板用スラブの製造方
    法。
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KR20160144012A (ko) 2015-06-05 2016-12-15 주식회사 포스코 드로잉성 및 소부경화성이 우수한 고강도 박강판 및 그 제조방법
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