JP3421448B2 - カメラの操作機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば、シャッタース
ピード等の複数の撮影パラメータを各種の撮影パラメー
タに変更可能としたカメラの操作機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】撮影者が設定するカメラの撮影パラメー
タには、シャッタースピード、絞り、使用フィルムのＩ
ＳＯ感度等があり、更には、複数の撮影モード（自動露
出モード等）や、複数のオートズームモードを有するカ
メラでは、それらのうちから１つのモードを選択するこ
とも、撮影パラメータの設定のうちに含まれ、また、選
択的に使用する機能（遠隔シャッター操作等）を備えた
カメラでは、その機能の選択の有無を設定することも、
撮影パラメータの設定に含まれる。現在の高度に電子化
されたカメラが出現する前は、シャッタースピードはシ
ャッターダイヤルで設定し、絞りはレンズの絞りリング
で設定し、また、フィルムのＩＳＯ感度も、それ専用の
設定ダイヤルで設定するようにしていた。

【０００３】近年、カメラが高度に電子化され、更に多
くの種類の撮影モードに対応するようになったため、各
々の設定パラメータごとに個別に設定ダイヤル等の設定
操作機能を備えるようにすると、操作機構の数が余りに
も多くなり、操作性が低下するおそれがあることから、
様々な種類の撮影パラメータの設定を単一の電子ダイヤ
ルで行なう方式が一般化してきている。電子ダイヤルを
採用した場合には、一般的に、設定対象の撮影パラメー
タを選択してＬＣＤ等の表示手段に表示させた上で、電
子ダイヤルを回転操作することによってその撮影パラメ
ータの設定を変更するようにしている。そして、電子ダ
イヤル自体は、設定対象の撮影パラメータが多くの種類
に亙るため、その設定結果を表示するための表示機能を
備えていない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の電子ダイヤルを用いたカメラでは、多種
類の撮影パラメータを単一のダイヤルで設定できるとい
う利点があるものの、ＬＣＤ等の表示装置の表示内容を
見ながらダイヤル操作を行なうため、単一の設定機能を
もたせた操作機構で設定する場合と比較して、操作に時
間がかかるという問題があった。例えば、各コマごとに
シャッタースピードを変更して撮影する必要がある場合
には、シャッタースピードの設定機能だけを備えた伝統
的なシャッターダイヤルの方が、電子ダイヤルよりも速
やかにシャッタースピードの設定変更を行なえ、従って
操作性に優れることは明らかである。

【０００５】本発明は前記事情に鑑み案出されたもので
あって、本発明の目的は、例えばシャッタースピードの
設定等の、特に頻用される種類の撮影パラメータの設定
に関しては、単一の撮影パラメータに対応した従来から
の専用設定ダイヤルの操作性を維持し、それと同時に、
必要に応じてその他の様々な撮影パラメータを設定する
ための設定モードにモード変換して、別の設定パラメー
タを設定することも可能にしたカメラの操作機構を提供
することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係るカメラの操作機構は、複数の撮影パラ
メータの設定を切換え可能に行なうカメラの操作機構で
あって、カメラボディに対して回動可能に支持された中
空状の外ダイヤルと、前記外ダイヤルの内部で外ダイヤ
ルと同一の中心軸線の回りに回動可能且つ前記中心軸線
の延在方向の第１位置と第２位置との間で移動可能に配
設された内ダイヤルと、前記外ダイヤルの内側で外部か
ら視認できる内ダイヤル箇所に形成された撮影パラメー
タ設定用の表示部と、前記内ダイヤルが前記第１位置に
移動した状態で内ダイヤルが外ダイヤルと一体回動可能
に係合する係合機構と、前記内ダイヤルが前記第２位置
に移動した状態で内ダイヤル側と係合し前記内ダイヤル
の回動を阻止する回動阻止機構と、前記内ダイヤルが前
記第１位置に位置するか第２位置に位置するかを検知す
る位置検出手段と、前記外ダイヤルの回転方向および回
転量を検出する回転検出手段とを備えたことを特徴とす
る。

【０００７】また、本発明に係るカメラの操作機構は、
前記内ダイヤルを前記第１位置に付勢するバネと、前記
内ダイヤルを前記第２位置に押付けるための押圧部が該
内ダイヤルに設けられていることを特徴とする。また、
本発明に係るカメラの操作機構は、前記外ダイヤルには
回転板が固定され、前記外ダイヤルの回動方向および回
転量の検出が前記回転板を介して行われることを特徴と
する。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明
する。尚、本実施例では、操作機構としてシャッターダ
イヤルに適用した場合を例に採って説明する。図１は本
実施例のシャッターダイヤルを示す平面図、図２はシャ
ッターダイヤルを示す正面図、図３はシャッターダイヤ
ルを示す縦断面図、図４はシャッターダイヤルを示す底
面図である。

【０００９】本実施例のシャッターダイヤル（操作機
構）１は、例えば、図１および図２に示すように、カメ
ラボディ３の上部に設けられ、シャッターダイヤル１
は、図３に示すように、カメラボディ３の上面上に露出
する外ダイヤル５及び内ダイヤル７と、カメラボディ３
の内部に配設されるクリック板（回転板）９等を備えて
いる。前記外ダイヤル５は、図３に示すように、基端部
に円筒軸部１１を有し、この円筒軸部１１の上部には円
板１３が一体に形成され、円板１３の周縁部の上部には
外筒部１５が一体に固着されている。前記外筒部１５の
上部開口部分には透明板１７が取り付けられ、前記外筒
部１５の周面には滑り止め１９が設けられている。ま
た、前記円筒軸部１１は、カメラボデイ３に固設された
軸受部２１により回動可能に支持されている。

【００１０】前記外ダイヤル５の内部には内ダイヤル７
が配設されている。前記内ダイヤル７は、前記円筒軸部
１１内に、回転可能かつこの回転中心軸に沿った第１位
置と第２位置にわたって上下動可能に支持された軸部２
３と、この軸部２３の上端に一体に形成された平面視円
形の表示板（表示部）２５とを備えている。前記表示板
２５には、図１に示すように、複数のシャッタースピー
ドを表示する数字が順次形成されており、前記表示板２
５と外ダイヤル５の円筒軸部１１との間には、表示板２
５を常時上方へ付勢するコイルスプリング２７が配設さ
れている。

【００１１】さらに、前記内ダイヤル７の表示板２５と
前記外ダイヤル５の外筒部１５には係合機構３１が設け
られている。前記係合機構３１は、前記表示板２５の上
部周縁部と前記外筒部１５の上部隅部に設けられて互い
に係合する複数の歯部により構成され、前記複数の歯部
がそれぞれ周方向に沿って設けられている。そして、前
記コイルスプリング２７の付勢により内ダイヤル７が外
ダイヤル５内で上方の第１位置に移動した状態で前記表
示板２５と外筒部１５の歯部が係合し、外ダイヤル５を
回動することにより、内ダイヤル７が外ダイヤル５とと
もに一体に回動するように構成されている。

【００１２】前記表示板２５の上部中央部には押圧部３
３が一体に突設され、この押圧部３３が上述した外ダイ
ヤル５の透明な表面板１７に形成された穴部１７ａに上
下移動可能に挿通され、押圧部３３の先端部分が表面板
１７から所定長だけ突出するように配設されており、前
記押圧部３３を下方へ押し下げると、内ダイヤル７が下
方へ移動し、内ダイヤル７と外ダイヤル５の係合状態が
解除される。

【００１３】また、外ダイヤル５の円板１３上には、前
記内ダイヤル７が下方の第２位置に移動したことを検知
する位置検出スイッチ（位置検出手段）３５が設けら
れ、このスイッチ３５がカメラボデイ３内に設けられた
検出回路に接続されており、係合機構３１による外ダイ
ヤル５と内ダイヤル７の係合状態が解除されて内ダイヤ
ル７が下方の第２位置に移動したことが検出される。

【００１４】前記円筒軸部１１の下端側にはクリック機
構３７が設けられている。このクリック機構３７は、図
３および図４に示すように、前記外ダイヤル５の円筒軸
部１１に固着されたクリック板（回転板）９と、このク
リック板９の周縁部に周方向へ形成された曲線状の凹部
９ａに係合する球体３９とから構成されている。前記球
体３９はコイルスプリング４１によりクリック板９に向
けて付勢されており、前記コイルスプリング４１は前記
軸受部２１に固定された支持部材４３に支持されてい
る。そして、外ダイヤル５を回動すると、これに伴って
クリック板９が回動し、クリック板９の周縁部に設けら
れた凹部９ａに球体３９が係合し、クリック感が得られ
ると共に、凹部９ａが設けられた角度毎に外ダイヤル５
の回転状態は係止可能となる。

【００１５】前記クリック板９の中央部分には前記内ダ
イヤル７の軸部２３が挿通できる穴９ｂが形成され、こ
の穴９ｂから突出するように前記内ダイヤル７の軸部２
３の下端側が延設されている。前記軸部２３の下端部に
は、内ダイヤル７が下方に移動し第２位置に位置した状
態で内ダイヤル７の回動を阻止させる回動阻止機構４５
が設けられている。前記回動阻止機構４５は、図３およ
び図４に示すように、前記軸部２３の下端にネジ４７に
より固着された円板状の係止板４９と、この係止板４９
の周縁部に形成された複数の歯車状の凹部４９ａに係止
する係止突起５１とから構成されている。前記凹部４９
ａは係止板４９の周方向に連続的に設けられ、前記係止
突起５１は前記軸受部２１に固定され、前記内ダイヤル
７が下方の第２位置に移動した際に前記複数の凹部４９
ａのうちの１つの凹部４９ａに係止できる箇所に配設さ
れている。そして、内ダイヤル７が係合機構３１による
係合状態から解除されて下方に移動し第２位置に位置し
た状態で、前記係止板４９の凹部４９ａと係止突起５１
の先端が係止し、内ダイヤル７の回動が阻止される。

【００１６】さらに、前記クリック板９の下面には前記
外ダイヤル５の回転方向および回転量を電気的に検出す
る回転検出手段５３が設けられている。前記回転検出手
段５３は、図４に示すように、環状の導通部５５ａと、
この導通部５５ａから所定間隔で放射状に延在する複数
の回動接点５５ｂと、環状の導通部５５ａに摺接する第
１接点５７と、この第１接点５７の両側に配設されて放
射状に形成された各回動接点５５ｂに摺接する第２およ
び第３接点５９ａ、５９ｂとから構成されている。前記
環状の導通部５５ａと回動接点５５ｂは前記クリック板
９の下面に形成されており、前記第１〜第３接点５７、
５９ａ、５９ｂは基端部が前記支持部材４３に支持され
ている。そして、これらの第１〜３接点５７、５９ａ、
５９ｂは、カメラボディ３に内蔵された回転検出部に接
続され、各回動接点５５ａに摺接する第２および第３接
点５９ａ、５９ｂから検出されるパルスに基づいて、外
ダイヤル５の回転方向や回転量の検出が行えるようにな
っている。尚、前記クリック板９の凹部９ａ、係止板４
９の凹部４９ａ、および放射状に配設された回動接点５
５ｂは、同数設けられ、且つ、互いに対応する位置に配
設されている。

【００１７】このようなカメラの操作機構１において、
従来のようにシャッタースピードを設定するには、図３
の実線で示すように、通常の状態ではコイルスプリング
２７により内ダイヤル７が上方に付勢され、第１位置に
おいて外ダイヤル５と内ダイヤル７の双方が係合機構３
１により係合されている。そして、外ダイヤル５を回動
すると、外ダイヤル５とともに内ダイヤル７が回動する
ことになり、外ダイヤル５を回動させて表示板２５の目
盛りを所定の箇所に合せると、回転検出機構５３の回動
接点５５ｂと第２および第３の接点５９ａ、５９ｂを通
じて外ダイヤル５の回転方向と回転量が検出され、これ
により必要なシャッタースピードに設定される。

【００１８】シャッタースピードを設定するモードから
他の撮影パラメータを設定するモードへ変更する際に
は、図３の２点鎖線で示すように、押圧部３３をコイル
スプリング２７の付勢力に抗して押し下げると、内ダイ
ヤル７と外ダイヤル５とを係合する係合機構３１が解除
され、第２位置において内ダイヤル７の軸部２３の下端
に設けられた係止板４９の凹部４９ａに係止突起５１が
係止し、内ダイヤル７の回動が阻止される。これと同時
に、内ダイヤル７の表示板２５の下面の当接により、位
置検出スイッチ３５がオンに投入され、この位置検出ス
イッチ３５のオン動作により、シャッタースピード設定
モードから他の撮影パラメータを設定するモードに変更
されて切換えられる。そして、この状態で、外ダイヤル
５を回動すると、他の撮影パラメータの設定が可能とな
る。

【００１９】押圧部３３を離すとバネ２３により内ダイ
ヤル７が第１位置に復帰し、内ダイヤル７が係合機構３
１により外ダイヤル５に係合し、再びシャッタースピー
ドの設定を行なうことができるようになる。内ダイヤル
７が第２位置にある間は、内ダイヤル７の表示板２５が
元の位置のままで係止されているので、外ダイヤル５の
回動によって内ダイヤル７の表示目盛りの位置が変化し
てしまうことはない。従って、従来からある独立したシ
ャッターダイヤル１としての操作性を維持すると共に、
必要に応じて各種の撮影パラメータに変更して設定する
こともできる。

【００２０】尚、前記実施例では、コイルスプリング２
７と押圧部３３を用いて内ダイヤル７を、第１位置と第
２位置の間で移動させるようにしたが、これに限らず、
レバー機構や電気的な駆動源を用いて、内ダイヤル７を
第１位置と第２位置の間で移動させることもできる。ま
た、前記外ダイヤル５の回転方向および回転量を検出す
る回転検出手段５３としては、電気的ではなく、光学的
に構成するようにしてもよい。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係るカメラ
の操作機構は、複数の撮影パラメータの設定を切換え可
能に行なうカメラの操作機構であって、カメラボディに
対して回動可能に支持された中空状の外ダイヤルと、前
記外ダイヤルの内部で外ダイヤルと同一の中心軸線の回
りに回動可能且つ前記中心軸線の延在方向の第１位置と
第２位置との間で移動可能に配設された内ダイヤルと、
前記外ダイヤルの内側で外部から視認できる内ダイヤル
箇所に形成された撮影パラメータ設定用の表示部と、前
記内ダイヤルが前記第１位置に移動した状態で内ダイヤ
ルが外ダイヤルと一体回動可能に係合する係合機構と、
前記内ダイヤルが前記第２位置に移動した状態で内ダイ
ヤル側と係合し前記内ダイヤルの回動を阻止する回動阻
止機構と、前記内ダイヤルが前記第１位置に位置するか
第２位置に位置するかを検知する位置検出手段と、前記
外ダイヤルの回転方向および回転量を検出する回転検出
手段とを備える構成とした。そのため従来からある独立
した操作ダイヤルとしての操作性を維持すると共に、必
要に応じてその他の各種の撮影パラメータを設定するモ
ードに変更して、別の撮影パラメータを設定することも
可能な優れたカメラの操作機構が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係り、シャッターダイヤル
をカメラボデイとともに示す平面図である。

【図２】シャッターダイヤルをカメラボディとともに示
す正面図である。

【図３】シャッターダイヤルを示す縦断面図である。

【図４】シャッターダイヤルを示す底面図である。

【符号の説明】

１ 操作機構 ３ カメラボディ ５ 外ダイヤル ７ 内ダイヤル ９ 回転板 ２５ 表示部 ２７ バネ ３１ 係合機構 ３３ 押圧部 ３５ 位置検出手段 ５３ 回転検出手段

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の撮影パラメータの設定を切換え可
   能に行なうカメラの操作機構であって、 カメラボディに対して回動可能に支持された中空状の外
   ダイヤルと、 前記外ダイヤルの内部で外ダイヤルと同一の中心軸線の
   回りに回動可能且つ前記中心軸線の延在方向の第１位置
   と第２位置との間で移動可能に配設された内ダイヤル
   と、 前記外ダイヤルの内側で外部から視認できる内ダイヤル
   箇所に形成された撮影パラメータ設定用の表示部と、 前記内ダイヤルが前記第１位置に移動した状態で内ダイ
   ヤルが外ダイヤルと一体回動可能に係合する係合機構
   と、 前記内ダイヤルが前記第２位置に移動した状態で内ダイ
   ヤル側と係合し前記内ダイヤルの回動を阻止する回動阻
   止機構と、 前記内ダイヤルが前記第１位置に位置するか第２位置に
   位置するかを検知する位置検出手段と、 前記外ダイヤルの回転方向および回転量を検出する回転
   検出手段と、 を備えたことを特徴とするカメラの操作機構。
2. 【請求項２】 前記内ダイヤルを前記第１位置に付勢す
   るバネと、前記内ダイヤルを前記第２位置に押付けるた
   めの押圧部が該内ダイヤルに設けられている請求項１記
   載のカメラの操作機構。
3. 【請求項３】 前記外ダイヤルには回転板が固定され、
   前記外ダイヤルの回動方向および回転量の検出が前記回
   転板を介して行われる請求項記１又は２載のカメラの操
   作機構。