JP3420890B2 - 芳香族ポリカーボネート及びその組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート及びその組成物

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JP3420890B2
JP3420890B2 JP18356596A JP18356596A JP3420890B2 JP 3420890 B2 JP3420890 B2 JP 3420890B2 JP 18356596 A JP18356596 A JP 18356596A JP 18356596 A JP18356596 A JP 18356596A JP 3420890 B2 JP3420890 B2 JP 3420890B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエステル交換法によ
る芳香族ポリカーボネートに関するものである。さらに
詳しくは、本発明は色相、熱安定性、特に耐加水分解性
に優れた芳香族ポリカーボネート及びその組成物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化
合物とを反応させて芳香族ポリカーボネートを製造する
いわゆるエステル交換法は、工程が比較的単純であり、
操作、コスト面でホスゲン法(界面重合法)に比べ優位
性が発揮できるだけではなく、毒性の強いホスゲンや塩
化メチレン等のハロゲン系溶剤を使用しないという点に
おいて、環境保全の面からも最近注目されている。しか
しながら現在のところ、エステル交換法は大規模な工業
プロセスとしての採用は未だ少ない。その原因は、従来
のエステル交換法で製造されるポリカーボネートは物性
面でいくつかの欠点を有しているからであり、特に、加
熱による色相の悪化や、耐加水分解性の低下が大きな問
題となっている。これに対して、リン系の熱安定剤の添
加による改良が試みられているが(特願平3−2656
25号、同4−1229号、同5−9286公報)、必
ずしも十分ではなかった。
【0003】この原因は、芳香族ポリカーボネートの原
料、触媒、安定剤等に含まれる亜リン酸の混入のためと
考えられる。特に熱安定剤中の亜リン酸の混入のためと
考えられる。一般にリン系の熱安定剤は生成が不十分で
あると、亜リン酸等の熱安定剤製造原料由来の芳香族ポ
リカーボネートに悪影響を与える不純物が含まれる。ま
た熱安定剤の保存中にも加水分解し、亜リン酸等の不純
物を生じる。また触媒もリン系の触媒、例えばリン酸水
素2カリウム、リン酸水素2リチウム、テトラメチルア
ンモニウムテトラフェニルボレート等を用いる場合、上
記のような理由により亜リン酸が混入しやすい。非リン
系の熱安定剤や非リン系の触媒を用いる場合において
も、他のリン系の添加剤、例えば難燃剤の分解物として
の混入、貯蔵槽や使用器具からの混入(洗剤にリン化合
物が用いられる)等、亜リン酸が混入する機会が多く存
在する。しかし、従来は、それら原料に対しての亜リン
酸量をチェックせずに使用していたため、芳香族ポリカ
ーボネートの物性に重大な悪影響を与えて来ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温下にお
いても高い透明性と、良好な色相を維持する熱安定性を
有しながら、耐加水分解性にも優れたエステル交換法芳
香族ポリカーボネートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み、鋭意検討を行った結果、エステル交換法による
芳香族ポリカーボネートにおいて、例えば亜リン酸含量
が20ppm以下である熱安定剤を用いることにより、
亜リン酸含量が20ppm以下の芳香族ポリカーボネー
とし、且つ残留炭酸ジエステル量が500ppm以下
であることが、極めて優れた熱安定性と耐加水分解性を
付与できることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち本発明は、炭酸ジエステルと芳香族ジヒド
ロキシ化合物とを溶融重合して得られる芳香族ポリカー
ボネートであって、亜リン酸含量が20ppm以下で
且つ残留炭酸ジエステル量が500ppm以下であるこ
とを特徴とする芳香族ポリカーボネートを提供するもの
である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。本発明で用いられる芳香族ポリカーボネートは、
炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とを、エス
テル交換触媒を用いて溶融重合することにより得られ
る。本発明で用いられる炭酸ジエステルは、下記の一般
式(1)で表される化合物である。
【0007】
【化1】
【0008】(式中Rは1価の脂肪族又は1価の芳香族
基であり、Rは同一であっても異なっていてもよい。) 上記一般式(1)で表される炭酸ジエステルは、例え
ば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、
ジトリルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等
が例示されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネー
ト、置換ジフェニルカーボネートが挙げられる。これら
の炭酸ジエステルは単独或いは2種以上を混合して用い
てもよい。また、上記のような炭酸ジエステルと共に、
好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル
%以下の量でジカルボン酸或いはジカルボン酸エステル
を使用してもよい。このようなジカルボン酸或いはジカ
ルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル
等が用いられる。このようなカルボン酸或いはカルボン
酸エステルを炭酸ジエステルと併用した場合には、ポリ
エステルカーボネートが得られる。
【0009】本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化
合物は下記一般式(2)で表される化合物である。
【0010】
【化2】
【0011】(式中、Aは1〜15の炭素数を有する2
価の炭化水素基、ハロゲン置換の2価の炭化水素基また
は−S−、−SO2−、−SO−、−O−、及び−CO
−のごとき2価の基を示し、Xはハロゲン原子、炭素数
1〜14のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、
炭素数1〜8のオキシアルキル基及び炭素数6〜18の
オキシアリール基を示す。mは0または1であり、yは
0〜4の整数である。)
【0012】上記一般式(2)で表される芳香族ジヒド
ロキシ化合物は例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス〔4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)
フェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4'−ジヒドロキ
シ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニ
ル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペン
タン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロ
ヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4'−ジヒドロキ
シジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'
−ジクロロジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシ
−2,5−ジエトキシフェニル)オキシド等が例示され
る。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独或いは2
種以上を混合して用いることができ、必要に応じて共重
合体とすることもできる。
【0013】また、本重合に用いる炭酸ジエステル、芳
香族ジヒドロキシ化合物の純度は高ければ高いほど良
く、ナトリウム量で0.1ppm以下、Fe量で0.5p
pm以下、加水分解性Cl量で0.3ppm以下、その
他の不純成分においても0.5ppm以下のものを原料
として使用するのが適当である。
【0014】本発明の芳香族ポリカーボネートはエステ
ル交換反応により製造されるが、最終的な末端水酸基量
は、仕込み時の原料モル比、触媒量、加熱温度、加熱時
間、減圧プロセス等により異なり、たとえこれらが同じ
であっても、発生する芳香族ヒドロキシ化合物や原料の
環流効率や、製造装置の熱的常数及びスケールによって
も異なってくる。しかし、製造装置その他の条件が変わ
らなければ、仕込み原料比でほぼ任意の末端水酸基量の
ポリマーを得ることが出来る。
【0015】本発明で用いる芳香族ポリカーボネートの
末端水酸基量はとくに限定はされないが、1,000p
pm以下であることが好ましい。またさらに好ましくは
700ppm以下、最も好ましくは500ppm以下が
適当である。末端水酸基量が1,000ppmより多い
場合では、熱安定剤を多量に添加しなければ所望の耐熱
物性が得られず、その場合、耐加水分解性を維持するの
が困難となる。
【0016】重合は一般には二段階以上の多段工程で実
施される。具体的には、第1段目の反応は常圧または減
圧下に120〜260℃、好ましくは180〜240℃
の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応
させる。ついで反応系の減圧度を上げながら反応温度を
高め、最終的には5mmHg以下の減圧下、240〜3
20℃の温度で重縮合反応を行う。
【0017】反応の形式は、バッチ式、連続式、或いは
バッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよ
く、使用する装置は、槽型、管型或いは塔型のいずれの
形式であっても使用できる。
【0018】本発明においては、分子量に特に制限はな
いが、粘度平均分子量(Mv)が10,000〜50,0
00の範囲であることが好ましい。
【0019】本発明の芳香族ポリカーボネートの製造に
おいては、エステル交換触媒として金属触媒を用いる。
ここでいう金属触媒とは、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、及び希土類を含む遷移金属元素からなる触媒のこ
とをいう。以上の中ではアルカリ金属触媒、希土類金属
触媒が特に好ましい。使用する触媒中の金属の量は、芳
香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01以上10μモ
ル/モル未満であり、好ましくは0.1〜5μモル/モ
ルであり、さらに好ましくは、0.2〜3μモル/モル
である。触媒中の金属の量が0.01μモル/モル未満
であれば所望の分子量のポリカーボネートを得ることが
難しく、10μモル/モル以上では物性が低下してしま
う。
【0020】本発明に使用できる触媒を例示すれば、ア
ルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリ
ウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステア
リン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素
ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素
ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、
安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水
素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸
2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリ
ン酸2リチウム、イミノカルボン酸ナトリウム塩、ビス
フェノールAの2ナトリウム塩、ビスフェノールAの2
カリウム塩、ビスフェノールAの2リチウム塩、フェノ
ールのナトリウム塩、フェノールのカリウム塩、フェノ
ールのリチウム塩、テトラメチルホウ素、テトラエチル
ホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、
トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、
トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、
トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ
素、トリブチルメチルホウ素、トリブチルベンジルホウ
素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ
素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニル
ホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、
カリウム塩、リチウム塩、セシウム塩、或いはストロン
チウム塩等があるが、好ましくは炭酸塩、リン酸塩、ほ
う酸塩、4級アンモニウム塩であり、更に好ましくは、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フェニ
ルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フ
ェニルリン酸2セシウム、テトラフェニルほう酸ナトリ
ウム、テトラフェニルほう酸カリウム、テトラフェニル
ほう酸セシウム等を単独或いは併用するのが適当であ
る。
【0021】また、アルカリ土類金属化合物としては、
水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸
水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロ
ンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バ
リウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バ
リウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステ
アリン酸バリウム、ステアリン酸ストロンチウム等が例
示できる。
【0022】希土類金属触媒としては、ランタン、セリ
ウム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、ジスプ
ロシウム、エルビウム、イッテルビウム等の酸化物、水
酸化物、炭酸塩、酢酸塩、芳香族または脂肪族アルコー
ルの塩、リン酸または酸性リン酸エステルの塩及びハロ
ゲン化物等が挙げられるが、好ましい金属としてはラン
タン、セリウムであり、酸化ランタン、炭酸ランタン、
酢酸ランタン、ランタンフェノキシド、ランタンメトキ
シド、炭酸セリウム、酸化セリウム、セリウムフェノキ
シド等が例示できる。その他の遷移金属触媒としては、
酸化チタン、酸化ニッケル、二酸化マンガン、酢酸コバ
ルト、酢酸ニッケル、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウ
ム等が挙げられる。
【0023】また本発明では、前述の金属触媒と併用し
てホウ素系化合物、アミン系化合物、アンモニウム化合
物或いはリン化合物等の非金属系化合物触媒も使用でき
る。これらは、1種類で使用してもよく、2種以上を組
み合わせて使用してもよい。これらの触媒の使用量は、
通常は触媒中の金属の量が、芳香族ジヒドロキシ化合物
に対して0.001〜1,000μモル/モル、好ましく
は0.01〜100μモル/モル、より好ましくは0.1
〜10μモル/モルの範囲で用いられる。
【0024】これらの化合物として、例えば、4−アミ
ノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−
4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2
−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メ
トキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2
−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプ
トイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノ
リン、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テト
ラエチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラプロピル
アンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウ
ムヒドロキサイド、トリメチルエチルアンモニウムヒド
ロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキ
サイド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキサイ
ド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、
トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキサイド、トリ
ブチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチ
ルフェニルアンモニウムヒドロキサイド、テトラフェニ
ルアンモニウムヒドロキサイド、ベンジルトリフェニル
アンモニウムヒドロキサイド、ベンジルトリフェニルア
ンモニウムヒドロキサイド、メチルトリフェニルアンモ
ニウムヒドロキサイド、ブチルトリフェニルアンモニウ
ムヒドロキサイド、テトラエチルホスホニウムテトラヒ
ドロキシボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ
ヒドロキシボレート等が例示される。
【0025】本発明においては、炭酸ジエステルと芳香
族ジヒドロキシ化合物とを溶融重合して得られる芳香族
ポリカーボネートであって、亜リン酸含量が20ppm
以下であることが必要である。通常、モノマー、触媒、
安定剤、失活剤等に由来する亜リン酸の混入があり得る
が、これらの総計として20ppm以下であることが必
要である。中でも、熱安定剤由来の亜リン酸が支配的で
ある。極少量の亜リン酸は、熱安定性を改善する場合が
あり、完全にポリマー中の亜リン酸含量をゼロにする必
要もないが、20ppmを越える亜リン酸と各種安定剤
が同時に存在すると、耐加水分解性が著しく低下する。
【0026】本発明で用いられる熱安定剤としては、例
えばヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等のも
のがあり、その一部を例示すれば、n-オクタデシル-
〔3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)
プロピオネート〕、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-
(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−
(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3
−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカ
ン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチル
フェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジ
ホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−
5−メチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホ
ナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフ
ェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、チ
オジエチレン ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシ)ヒドロシンナメート、トリメチルホスフィ
ン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピル
ホスフィン、トリブチルホスファイト、トリフェニルホ
スファイト、亜リン酸等が挙げられる。添加量としては
1ppm〜1,000ppmの範囲で用いるのが好まし
い。ただし、亜リン酸としては、20ppm以下にする
必要があることは言うまでもない。
【0027】熱安定剤としてリン系の化合物を用いる場
合には特に注意が必要である。リン系の熱安定剤では、
製造時の不純物として亜リン酸が混入するほか、保存時
の加水分解により亜リン酸が生じるので、亜リン酸が2
0ppmを越えている場合には、洗浄等による精製をし
た後用いる必要がある。また、亜リン酸の混入を低減さ
せるため、熱安定剤としてヒンダードフェノール等の非
リン系の化合物を用いることは有効ではある。しかし、
必ずしも亜リン酸の混入が皆無とは限らないので注意が
必要である。また、このような非リン系の安定剤のみを
使用する場合、亜リン酸等の酸を併用することができ
る。ただし、亜リン酸量は20ppmを越えないように
することが必要である。
【0028】本発明の芳香族ポリカーボネート組成物に
おいては、また、ポリカーボネートの色相の改良の目的
で触媒の失活剤を配合することが好ましい。失活剤は、
エステル交換触媒の作用を停止させ、重合の進行や得ら
れたポリカーボネートの分解を防ぐ作用がある。失活剤
は、芳香族ポリカーボネートの重合終了後、任意の時期
に添加することができる。この際、添加剤も同時に添加
してもよいが、好ましくは、失活剤をポリカーボネート
に添加し、その後で他の添加剤を添加するのがよい。触
媒の失活剤としては、芳香族スルホン酸化合物が有効で
あり、特にp−トルエンスルホン酸、p−トルエンスル
ホン酸エステルが適当であり、好ましくはp−トルエン
スルホン酸、p−トルエンスルホン酸ブチルを用いるの
が望ましい。p−トルエンスルホン酸エステルとして
は、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスル
ホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、p−
トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ペ
ンチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル、p−トルエ
ンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニ
ル、p−トルエンスルホン酸フェネチル、p−トルエン
スルホン酸ナフチル等が例示される。添加量としては、
触媒の金属量の1〜10倍モル添加するのが適当であ
り、この範囲から外れると十分な失活作用が得られない
か、または余剰のp−トルエンスルホン酸、或いはp−
トルエンスルホン酸エステルがポリカーボネートの物性
に悪影響を与える。
【0029】また、本発明における芳香族ポリカーボネ
ートでは、樹脂中に残存する炭酸ジエステル量として
は、500ppm以下のものが適当であり、好ましく
は、300ppm以下、更に好ましくは、100ppm
以下が望ましく、これ以上残存していると十分な耐熱物
性が得られない。残存する炭酸ジエステル量を低減させ
るためには任意の方法でよく、例えば、溶媒による洗浄
又は抽出、他の化合物添加による分解または反応等があ
るが、好ましくは、押出機を用いて各種添加剤を添加し
ペレット化する際に、減圧処理して低減することであ
る。さらに注水脱揮することが好ましいが、この場合、
熱安定剤を添加する前に注水して脱揮することが好まし
い。
【0030】本願の製造法で得られる芳香族ポリカーボ
ネート組成物は、その物性を損なわない範囲で目的に応
じ、界面重合法ポリカーボネートで一般に用いられてい
る紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、帯電防
止剤、顔料、染料等の他の添加剤との併用も可能であ
る。また、添加時期については特に制限はないが、重合
終了後の溶融状態にある間、或いは、ペレット化後の成
形時等が好ましい。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例によりなんらの制限を受け
るものではない。なお、得られたポリカーボネートの評
価は、以下の方法により行った。 (1)分子量 ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中20℃の極
限粘度[η]を測定し、以下の式より粘度平均分子量
(Mv)を求めた。 [η]=1.11×10-4×(Mv)0.83
【0032】(2)末端OH量 四塩化チタン/酢酸法(Makromol Chem.88 215(1965))
により比色定量を行った。
【0033】(3)ヘイズ(HAZE)値 得られたポリカーボネートより直径50mmφ、3mm
厚の円板状の射出成型品を製作し、東京電色製オートマ
チックカラーアナライザーMODEL TC−1800
MKIIによりヘイズ値を測定した。(値が小さい方が良
好)
【0034】(4)残留モノマー 得られたポリカーボネート5gを塩化メチレン15ml
に溶解し、アセトンにより再沈した。これを濾過後、濾
液を蒸発乾燥し残留物をクロロホルムに溶解しこれを試
料とした。ガスクロマトグラフィー(島津製 GC-14PF 1
00V)にてDPCの定量を行った(カラム:Silicone OV
-17 ガスクロ工業(株))。また、GPC(島津製 SPD
-6A)にて残留BPA及びフェノールの定量を行った
(カラム:Shodex,k-806M×2.k803.K-802×2)。
【0035】(5)亜リン酸量 熱安定剤、ポリマー中の亜リン酸量は、必要に応じて粉
砕後、熱水抽出を行い、DIONEX社DX100を用
いて、イオンクロマトグラフィー法により定量を行っ
た。
【0036】実施例 1 ジフェニルカーボネート(以下、DPC)及び2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ
ールA:以下、BPA)を溶解槽にて窒素雰囲気下、1
50℃でモル比(DPC/BPA)1.145で溶解混
合した。第一槽210℃−100mmHg下で水酸化ナ
トリウムを1.0μモル/モル(BPAに対して)の比
で添加し、第二槽 240℃−15mmHg、第三槽 2
80℃−0.5mmHgの条件で、各槽滞留時間1時間
で連続的に重合反応を行ってポリカーボネートを得た。
第三槽より溶融状態のポリカーボネートを二軸押出機に
送り、二軸押出機にてp−トルエンスルホン酸ブチル
(以下p−TSB)を4.0μモル/モル(BPAに対
して)添加し、3ベント各部でモノマー及び低分子量体
を注水脱揮し、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)
ホスファイト(アデカアーガス(株)社製:A211
2)(亜リン酸含量<1ppm)を100ppmの割合
で添加混練した後、ペレタイザーによりペレットとし
た。得られたポリカーボネートは、Mv=14800、
末端OH=350ppm、残留DPC=210ppmで
あった。次に、射出成型機にて直径50mmφ、3mm
厚の円板を製作した。得られた円板を、120℃の飽和
水蒸気下で100時間のプレッシャークッカー試験(P
CT)を行った。試験後の円板のヘイズ値は8.6であ
った。 実施例2〜3、比較例1〜 安定剤種及び/または総亜リン酸含量を、表1に示すよ
うに変えた外は、実施例1と同様な方法で芳香族ポリカ
ーボネートを製造、評価を行った。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明の構成により、芳香族ポリカーボ
ネート中の亜リン酸の含量を特定の値以下とすることに
より、優れた耐加水分解性を有するポリカーボネートと
することができ、工業的にも極めて有効な方法である。
フロントページの続き (72)発明者 木村 昌敏 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社 横浜総合研究所内 (72)発明者 川井 道生 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学 株式会社 四日市総合研究所内 (56)参考文献 特開 平5−239333(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42 C08L 69/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化
    合物とを溶融重合して得られる芳香族ポリカーボネート
    であって、亜リン酸含量が20ppm以下で、且つ残留
    炭酸ジエステル量が500ppm以下であることを特徴
    とする芳香族ポリカーボネート。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリカーボネートが、エステル交
    換触媒0.01〜10μモル/モル未満(芳香族ジヒド
    ロキシ化合物に対する触媒中の金属の量)の存在下、炭
    酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とを溶融重合
    して得られる芳香族ポリカーボネートであることを特徴
    とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート。
  3. 【請求項3】 炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化
    合物とを溶融重合して得られる芳香族ポリカーボネート
    に、リン系の安定剤を配合したポリカーボネート組成物
    であって、該組成物中の亜リン酸含量が20ppm以下
    であることを特徴とする、芳香族ポリカーボネート組成
    物。
  4. 【請求項4】 更に触媒失活剤として芳香族スルホン酸
    化合物を触媒金属量の1〜10倍当量含有することを特
    徴とする請求項3に記載の芳香族ポリカーボネート組成
    物。
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