JP2002275368A - 芳香族ポリカーボネート - Google Patents

芳香族ポリカーボネート

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JP2002275368A
JP2002275368A JP2001078098A JP2001078098A JP2002275368A JP 2002275368 A JP2002275368 A JP 2002275368A JP 2001078098 A JP2001078098 A JP 2001078098A JP 2001078098 A JP2001078098 A JP 2001078098A JP 2002275368 A JP2002275368 A JP 2002275368A
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optical disk
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aromatic
disk substrate
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JP2001078098A
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Masaaki Miyamoto
正昭 宮本
Takao Tayama
貴郎 田山
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学式ディスク基板にした際に、耐静電気性
が改良され、また色素塗布性の向上し、さらに色相や耐
湿熱性に優れている組成物を提供する。 【解決手段】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
テルとのエステル交換反応によって得られる芳香族ポリ
カーボネートであって、pKa値が2以下である非イオ
ウ系酸性化合物を芳香族ポリカーボネートに対して、
0.1〜20重量ppm含有する芳香族ポリカーボネー
ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、品質の優れた芳香
族ポリカーボネートに関するものであり、更に詳しくは
耐静電気性が改良され、また色素塗布性が向上し、さら
に色相や耐湿熱性も良好な芳香族ポリカーボネートに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネートは、耐衝撃性な
どの機械的特性に優れている上、透明性にも優れた樹脂
であり、幅広い分野で利用されている。特に、オーディ
オディスク、レーザディスク、光ディスクメモリ、また
は光磁気ディスク等のレーザ光を利用して情報の再生、
追記書換えを行なう光学式情報記録媒体に用いられる光
学式ディスクとして用途を拡げている。
【0003】このポリカーボネートの工業的製法として
は、ビスフェノールAとホスゲンを塩化メチレン溶媒中
で反応させる界面重合法が一般的であるが、この方法は
工業的に取り扱いの難しいホスゲンや塩化メチレンを用
いる必要があることから、近年、これらの化合物を用い
ず、ビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化合物
とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを原
料に、無溶媒下、エステル交換反応によりポリカーボネ
ートを製造する方法が一部工業化されている(例えば、
特開昭63−51429号、特開平2−153925号
及び特公平6−99552号公報等参照)。
【0004】しかしながら、エステル交換反応により製
造された芳香族ポリカーボネートは、エステル交換触媒
を使用しているため、光学式ディスクなどを高温成形す
ると熱分解が加速され、ポリマー色相が悪化するなどの
欠点を有していた。この問題を克服するため、以前から
イオウ含有酸性化合物および/または該酸性化合物から
形成される誘導体が塩基性のエステル交換触媒を中和
(失活)するために使用されていた(例えば、Hermann
Schnell "Chemistry and physics of Polycarbonate" J
ohn Wiley & Sons,Inc.,P.49,2(1964)、特公昭54−4
4303号及び特開平4−328124号公報等参
照)。
【0005】一方、上記エステル交換反応によって製造
されたコンパクトディスク(以下、「CD」という)
は、その特徴として、高い負の静電荷(典型的には−
2.0kV未満)が発生することが知られている(特開
平11−279396号公報)。この高い負の静電荷に
より、成形品は、ほこりを寄せ付け、そのようなディス
クの最終品質を落としてしまうことになる。
【0006】また、高い静電荷により、ディスク同士が
引き付けあい、輸送工程中、たとえば射出成形機からの
移送中にディスクが互いにくっついてしまうため、CD
製造を停止したりその歩留まりが落ちたりするという状
況に至ることにもなる。さらに、色素塗布時の濡れ性増
加により、色素塗布不良も発生していた。そのため、書
き換え可能な基板をディスク表面にスピンコートするC
D用途の場合、書き換え可能な層の均一な湿潤のために
は、低い負の静電荷ないしは正の静電荷が必要であっ
た。
【0007】上記問題を解決するべく、エステル交換反
応によって製造された芳香族ポリカーボネートから得ら
れ、CD作成時の高い負の静電荷を抑制する手法が開示
されている。例えば、特開昭62−207358号及び
特開平11−279396号公報では、芳香族ポリカー
ボネートに帯電防止剤を添加している。また、米国特許
6,022,943号では、芳香族ジヒドロキシ化合物
に対する炭酸ジエステルのモル比を通常より高く設定す
ることなどにより、末端OH基を全ての末端基に対して
10モル%以下に低減させようという試みがなされてい
た。
【0008】しかしながら、帯電防止剤の添加効果はほ
とんどなく、また末端OH基を低減させても問題解決に
は至らず、根本的な解決手法が強く望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記
のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするもの
であり、耐静電気性が改良され、また色素塗布性が向上
し、さらに色相や耐湿熱性も良好な芳香族ポリカーボネ
ートを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は耐静電気性が
改良され、また色素塗布性が向上し、さらに色相や耐湿
熱性も良好な芳香族ポリカーボネートを見い出すべく鋭
意検討したところ、特定の酸性化合物を特定量含有した
芳香族ポリカーボネートが、耐静電気性が改良され、ま
た色素塗布性が向上し、さらに色相や耐湿熱性も良好な
ものが得られることを見い出し、本発明を完成するに至
った。
【0011】すなわち、本発明は、芳香族ジヒドロキシ
化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応によって
得られる芳香族ポリカーボネートであって、pKa値が
2以下である非イオウ系酸性化合物を芳香族ポリカーボ
ネートに対して、0.1〜20重量ppm含有すること
を特徴とする芳香族ポリカーボネートに関する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明の芳香族ポリカーボネートは、原料とし
て芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを用
い、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応によ
って得ることができる。
【0013】本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化
合物は、通常、下記の一般式(1)で表される。
【0014】
【化1】
【0015】(式中、Wは単結合、炭素数1〜8のアル
キレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜
15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロア
ルキリデン基又は、−O−,−S−,−CO−,−SO
−,−SO2−で示される2価の基からなる群から選ば
れるものであり、Y及びZは、ハロゲン又は炭素数1〜
6の炭化水素基であり、p及びqは0〜2の整数であ
り、YとZ、pとqは、いずれも、同一であっても異な
っていてもよい。) 上記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物
としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)
メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニ
ル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジ
ヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフ
ィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が例示されるが、
特に好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略す)が
挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独
でも、2種以上を混合してもよい。
【0016】本発明で使用される炭酸ジエステルは下記
の一般式(2)で表される。(式中A及びA’は炭素数
1〜18の置換してもよい脂肪族基、又は芳香族基もし
くは置換芳香族基であり、同一であっても異なっていて
もよい。)
【0017】
【化2】
【0018】上記一般式(2)で表される炭酸ジエステ
ルは、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、ジ−t−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキ
ル化合物、ジフェニルカーボネート、およびジトリルカ
ーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが例示
されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジ
フェニルカーボネートであり、特にジフェニルカーボネ
ートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは単独、ある
いは2種以上を混合してもよい。
【0019】本発明で芳香族ポリカーボネートを製造す
るには、特に芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェ
ノールAと炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネー
トが用いられ、ジフェニルカーボネートはビスフェノー
ルA1モルに対して、1.001〜1.30モル、好ま
しくは1.02〜1.20の量で用いられることが好ま
しい。モル比が1.001より小さくなると、製造され
た芳香族ポリカーボネートの末端OH基が増加して、ポ
リマーの熱安定性が悪化する傾向があり、また、モル比
が1.3より大きくなると、同一条件下ではエステル交
換反応の速度が低下し、所望の分子量の芳香族ポリカー
ボネートの製造が困難となる傾向がある。
【0020】本発明において、芳香族ポリカーボネート
を得るためには、エステル交換触媒が使用される。該触
媒としてはアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類
金属化合物が使用され、補助的に、塩基性ホウ素化合
物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、あ
るいはアミン系化合物などの塩基性化合物を併用するこ
とも可能であるが、物性面や取り扱いの面で、アルカリ
金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が単独で
使用されることが特に好ましい。
【0021】この触媒量としては、芳香族ジヒドロキシ
化合物1モルに対して、1×10-7〜9×10-7モルの
範囲で用いられるのが好ましく、さらに好ましくは1.
5×10-7〜8×10-7モルの範囲で、特に好ましくは
2×10-7〜7×10-7モルの範囲で用いられる。この
量より少なければ、所定の分子量、末端ヒドロキシ基量
のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得
られない傾向があり、この量より多い場合は、ポリマー
色相が悪化し、分岐が多くなりポリマーの成形性が損な
われる傾向がある。
【0022】アルカリ金属化合物としては、例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水
酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢
酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシ
ウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウ
ム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水
素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化
ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホ
ウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル
化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香
酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、
安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水
素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セ
シウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸
2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン
酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシ
ウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールA
の2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セ
シウム塩などが挙げられる。
【0023】また、アルカリ土類金属化合物としては、
例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウ
ム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水
素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウ
ム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロン
チウムなどが挙げられる。
【0024】塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テ
トラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピ
ルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ
素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホ
ウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホ
ウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジル
ホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホ
ウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニ
ルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素などのナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム
塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙
げられる。
【0025】塩基性リン化合物としては、例えば、トリ
エチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、ト
リイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、
あるいは四級ホスホニウム塩などが挙げられる。塩基性
アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルア
ンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒ
ドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシ
ド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチ
ルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジ
ルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアン
モニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウム
ヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロ
キシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ト
リブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフ
ェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニ
ルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアン
モニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウ
ムヒドロキシドなどが挙げられる。
【0026】アミン系化合物としては、例えば、4−ア
ミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル
−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、
2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−
メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、
2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカ
プトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキ
ノリンなどが挙げられる。
【0027】エステル交換反応は一般には2段階以上の
多段工程で実施される。具体的には、第1段目の反応
は、9.3×104〜1.33×103Paの減圧下に1
20〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で
0.1〜5時間、好ましくは0.1〜3時間反応させ
る。ついで、反応系の減圧度を上げながら反応温度を高
め、最終的には133Pa以下の減圧下、240〜32
0℃の温度で重縮合反応を行う。反応の形式は、バッチ
式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせの
いずれの反応でもよく、使用する装置は、槽型、管型、
あるいは塔型のいずれの形式であってもよい。
【0028】本発明における芳香族ポリカーボネートの
粘度平均分子量は、好ましくは12,000〜20,0
00の範囲であり、さらに好ましくは、13,000〜
19,000の範囲である。粘度平均分子量が低すぎる
と強度が実用上、耐えられなくなり、高すぎると成形
性,光学的特性の点で十分な性能を得られなくなる。本
発明の芳香族ポリカーボネートは、pKa値が2以下で
ある非イオウ系酸性化合物を含有していることが必要で
ある。ここで、本発明における非イオウ系酸性化合物と
は、分子中にイオウ原子を有しない化合物のことであ
る。
【0029】また、本発明において、このpKa値は2
5℃の水中での値であり、pKa値が2以下である非イ
オウ系酸性化合物とは、具体的には、亜リン酸、ピロリ
ン酸、マレイン酸、しゅう酸、トリクロロ酢酸、ホスフ
ィン酸であり、特に好ましくは亜リン酸、ピロリン酸、
ホスフィン酸である。これらは、単独で使用しても、ま
た、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】pKa値が2以下である非イオウ系酸性化
合物を含有する芳香族ポリカーボネートを用いて光学式
ディスク基板を製造すると、光学式ディスク基板の帯電
圧の値が−2.0kVより大きな値になり、ほこりを寄
せ付けつけなくなったり、さらには、色素塗布時の濡れ
性が低下し、色素塗布不良が起こりにくくなる。さら
に、光学式ディスク基板の高温成形にもかかわらず、該
基板の色相は良好であり、耐湿熱性にも優れている。
【0031】一方、pKa値が2を越える非イオウ系酸
性化合物を含有する芳香族ポリカーボネートを用いて光
学式ディスク基板を製造すると、pKa値が2を越える
非イオウ系酸性化合物はエステル交換触媒を中和できな
いため、光学式ディスク基板の高温成形により、該基板
の色相が悪化するので好ましくない。これら非イオウ系
酸性化合物は、製造した芳香族ポリカーボネートに対し
て0.1〜20重量ppm、好ましくは0.2〜15重
量ppm、特に好ましくは0.5〜10重量ppmの範
囲で添加する。0.1重量ppmより少ない場合は、エ
ステル交換触媒を中和できずに、光学式ディスク基板の
高温成形により、該基板の色相が悪化し、20重量pp
mより多い場合は、該基板の耐湿熱性試験後、加水分解
性白点が多数発生するので好ましくない。
【0032】さらに、本発明の芳香族ポリカーボネート
中において、イオウ含有酸性化合物および/または該酸
性化合物から形成される誘導体を実質含まない、または
含有されている場合でも少ない方が好ましく、具体的に
は、0.1重量ppm以下であることが好ましい。さら
に好ましくは0.05重量ppm以下であり、特に好ま
しくは0.01重量ppm以下である。
【0033】芳香族ポリカーボネート中において、イオ
ウ含有酸性化合物および/または該酸性化合物が0.1
重量ppmを越える量含有された芳香族ポリカーボネー
トを用いて光学式ディスク基板を製造すると、光学式デ
ィスク基板の帯電圧の値が−2.0kVより小さな値に
なり、ほこりを寄せ付け易いくなったり、さらに、色素
塗布時の濡れ性増加により、色素塗布不良が発生しやす
くなる。
【0034】本発明の芳香族ポリカーボネートにより製
造した光学式ディスク基板の帯電圧は、−2〜8kVの
範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは−1.5
〜7.5kVの範囲であり、特に好ましくは、−1.0
〜7.0kVの範囲である。これに加えて、該光学式デ
ィスク基板の水滴接触角が78度以上であることが好ま
しく、さらに好ましくは80度以上、特に好ましくは、
82度以上である。光学式ディスク基板の水滴接触角が
78度以上になると、色素塗布時の濡れ性が低下し、色
素塗布不良が起こりにくくなり、反対に小さくなると、
色素塗布時の濡れ性増加により、色素塗布不良が発生し
やすくなる傾向がある。
【0035】前記非イオウ系酸性化合物を添加する時期
としては、重縮合反応後であれば、いつでもよく、添加
方法にも特別な制限はなく、非イオウ系酸性化合物の性
状や所望の条件に応じて、直接添加する方法、適当な溶
媒に溶解して添加する方法、或いはペレットやフレーク
状のマスターバッチを使用する方法等のいずれの方法で
も良い。
【0036】本発明の芳香族ポリカーボネートには、本
発明の効果を損なわない範囲で、安定剤、紫外線吸収
剤、離型剤、着色剤等の添加剤を添加してもよい。
【0037】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を説明
する。なお、以下の実施例において得られた芳香族ポリ
カーボネートの物性及び評価は以下のようにして測定し
た。 (1)粘度平均分子量(Mv):6g/lの塩化メチレ
ン溶液をウベローデ粘度計を用い固有粘度を測定し、次
式により粘度平均分子量を求めた。
【0038】
【数1】[η]=1.23×10-4(Mv)0.83 (2)帯電圧(単位:kV):製造した芳香族ポリカー
ボネートを射出成形(成形温度:330℃、金型温度:
80℃)し、光ディスク基板(基板サイズ:130mm
φ、厚み0.6mm)を得た後、成形直後の帯電圧をミ
ーチ980静電場計(ミーチ社製)を用い、基板から
5.0cmの距離のところで測定した。
【0039】(3)水滴接触角(単位:度):(2)と
同様に、成形直後の光ディスク基板の表面に超純水を滴
下し、接触角計(液適法:協和科学株式会社製)によ
り、その液滴の半径r、高さhを測定し接触角θを計算
した。
【0040】
【数2】θ=2×tan-1(h/r) (4)色相:前記(2)で得られた光ディスク基板につ
いて、カラーテスター(スガ試験機株式会社製SC−1
−CH)で、色の絶対値である三刺激値XYZを測定
し、次の関係式により黄色度の指標であるYI値を計算
した。
【0041】
【数3】YI=(100/Y)×(1.28×X−1.
06×Z) このYI値が大きいほど着色していることを示す。 (5)湿熱試験後の加水分解性白点数:前記(2)で得
られた光ディスク基板について、120℃、100%R
H、24時間の湿熱試験を行った後、光ディスク基板上
の加水分解性白点数を測定した。加水分解性白点数が多
いほど、耐湿熱性に劣ることを示す。
【0042】[実施例1]コンデンサーを具備したステ
ンレス製20リットルの竪型攪拌反応装置にビスフェノ
ールA2283g(10.0モル)、ジフェニルカーボ
ネート2290g(10.7モル)、触媒として0.0
1N水酸化ナトリウム0.7ml(ビスフェノールA1
モルに対して7×10-6モル)を仕込み窒素置換を行っ
た。この混合物を220℃で40分かけて原料モノマー
を溶融した後、220℃/1.33×104Paで60
分、240℃/2.00×103Paで60分、270
℃/66.7Paで60分間反応を行った後に、さらに
pKa1.5(水中、25℃)の亜リン酸を非イオウ系
酸性化合物として芳香族ポリカーボネートに対して2重
量ppm添加し反応を終了させた。その結果、粘度平均
分子量15,400の芳香族ポリカーボネートが得ら
れ、カッターで切断してペレットとした。
【0043】得られた芳香族ポリカーボネートの粘度平
均分子量(Mv)および該樹脂を光ディスク基板に射出
成形した後測定した帯電圧と水滴接触角の値を表1に、
また光ディスク基板の色相及び湿熱試験後の加水分解性
白点数を表1に示す。 [実施例2]実施例1において、亜リン酸を6重量pp
m添加した他は、実施例1と同様にして芳香族ポリカー
ボネートを得た。
【0044】得られた芳香族ポリカーボネートの粘度平
均分子量(Mv)および該樹脂を光ディスク基板に射出
成形した後測定した帯電圧と水滴接触角の値を表1に、
また光ディスク基板の色相及び湿熱試験後の加水分解性
白点数を表1に示す。 [実施例3]実施例1において、亜リン酸に代えてpK
a0.8(水中、25℃)のピロリン酸を2重量ppm
添加した他は、実施例1と同様にして芳香族ポリカーボ
ネートを得た。
【0045】得られた芳香族ポリカーボネートの粘度平
均分子量(Mv)および該樹脂を光ディスク基板に射出
成形した後測定した帯電圧と水滴接触角の値を表1に、
また光ディスク基板の色相及び湿熱試験後の加水分解性
白点数を表1に示す。 [実施例4]実施例1において、亜リン酸に代えてpK
a1.2(水中、25℃)のホスフィン酸を2重量pp
m添加した他は、実施例1と同様にして芳香族ポリカー
ボネートを得た。
【0046】得られた芳香族ポリカーボネートの粘度平
均分子量(Mv)および該樹脂を光ディスク基板に射出
成形した後測定した帯電圧と水滴接触角の値を表1に、
また光ディスク基板の色相及び湿熱試験後の加水分解性
白点数を表1に示す。 [比較例1]実施例1において、亜リン酸を添加しない
他は、実施例1と同様にして芳香族ポリカーボネートを
得た。
【0047】得られた芳香族ポリカーボネートの粘度平
均分子量(Mv)および該樹脂を光ディスク基板に射出
成形した後測定した帯電圧と水滴接触角の値を表1に、
また光ディスク基板の色相及び湿熱試験後の加水分解性
白点数を表1に示す。 [比較例2]実施例1において、亜リン酸を25重量p
pm添加した他は、実施例1と同様にして芳香族ポリカ
ーボネートを得た。
【0048】得られた芳香族ポリカーボネートの粘度平
均分子量(Mv)および該樹脂を光ディスク基板に射出
成形した後測定した帯電圧と水滴接触角の値を表1に、
また光ディスク基板の色相及び湿熱試験後の加水分解性
白点数を表1に示す。 [比較例3]実施例1において、亜リン酸に代えてpK
a4.2(水中、25℃)の安息香酸を6重量ppm添
加した他は、実施例1と同様にして芳香族ポリカーボネ
ートを得た。
【0049】得られた芳香族ポリカーボネートの粘度平
均分子量(Mv)および該樹脂を光ディスク基板に射出
成形した後測定した帯電圧と水滴接触角の値を表1に、
また光ディスク基板の色相及び湿熱試験後の加水分解性
白点数を表1に示す。 [比較例4]実施例1において、亜リン酸に代えてpK
a1.2(水中、25℃)のp−トルエンスルホン酸を
6重量ppm添加した他は、実施例1と同様にして芳香
族ポリカーボネートを得た。
【0050】得られた芳香族ポリカーボネートの粘度平
均分子量(Mv)および該樹脂を光ディスク基板に射出
成形した後測定した帯電圧と水滴接触角の値を表1に、
また光ディスク基板の色相及び湿熱試験後の加水分解性
白点数を表1に示す。 [比較例5]実施例1において、亜リン酸に代えてpK
a1.2(水中、25℃)のp−トルエンスルホン酸ブ
チルを6重量ppm添加した他は、実施例1と同様にし
て芳香族ポリカーボネートを得た。
【0051】得られた芳香族ポリカーボネートの粘度平
均分子量(Mv)および該樹脂を光ディスク基板に射出
成形した後測定した帯電圧と水滴接触角の値を表1に、
また光ディスク基板の色相及び湿熱試験後の加水分解性
白点数を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネートを用い
た光学式ディスク基板は、耐静電気性が改良され、また
色素塗布性の向上し、さらに色相や耐湿熱性に優れてい
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
    テルとのエステル交換反応によって得られる芳香族ポリ
    カーボネートであって、pKa値が2以下である非イオ
    ウ系酸性化合物を芳香族ポリカーボネートに対して、
    0.1〜20重量ppm含有することを特徴とする芳香
    族ポリカーボネート。
  2. 【請求項2】 前記芳香族ポリカーボネート中におい
    て、イオウ含有酸性化合物および/または該酸性化合物
    から形成される誘導体を実質的に含まないか、又は0.
    1重量ppm以下であることを特徴とする請求項1記載
    の芳香族ポリカーボネート。
  3. 【請求項3】 前記芳香族ポリカーボネートの粘度平均
    分子量が12,000〜20,000であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の芳香族ポリカーボネート。
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