JP4249324B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリカーボネート組成物それからなる光記録媒体基板およびポリカーボネートの流動性改善剤に関する。さらに詳しくは、耐熱性、耐衝撃性、透明性を低下させることなく流動性を改善したポリカーボネート組成物、それからなる光記録媒体用基板、およびポリカーボネートの流動性改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性、機械的強度等の多くの、優れた物性を有するために、幅広い分野で多量に使用されている。特に、ポリカーボネートは、透明性がよく、使用時の高温環境下での耐熱性、取り扱い上の耐衝撃性に優れているため、光ディスク基板用に多量に使用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は、他の射出成形用の熱可塑性樹脂に比して、溶融粘度が高く、流動性が低く成形性に劣るという難点を持つ。この解決策の一つに流動性をよくするため重合度の低いポリカーボネートを使用したり、あるいはポリカーボネートの重合体鎖構造の一部に柔軟鎖構造を導入する方法が提案されている。
【0003】
米国特許第4,216,305号には下記式(3)
【0004】
【化6】
【0005】
(式中、R1は炭素数6〜30の二価の芳香族基であり、R2は炭素数1〜13のアルキレン又はアルキレンアリレン基である)
で示される構造単位を1重量%以上共重合させたポリカーボネート樹脂が提案されている。しかしながら、この共重合ポリカーボネート樹脂は、流動性はある程度改良されているものの、耐熱性が大幅に低下する問題が生じている。
【0006】
例えば上記米国特許の実施例では、ガラス転移温度がベースポリカーボネートの150℃に比べ125℃と大幅に低下した共重合ポリカーボネートが得られている。さらに重要な点はポリカーボネートの、構造中に導入されているアルキレン残基のため空気中での熱分解開始温度が大幅に低下し、その為、成形時ポリマーが熱分解する問題が発生する。従って実際には、かかる問題を避ける為、添加成分を導入することなく、単に重合度を低下させ、流動性を向上させたポリカーボネート樹脂が使用されている。
【0007】
しかしながら、ポリカーボネートの重合度を低下させると、ポリカーボネート樹脂の特徴の一つである耐衝撃性を悪化させる問題が発生する。このため特にポリカーボネートの重合度を低下させることなく、成形性を向上させ、ポリカーボネート樹脂本来のもつ耐熱性、耐衝撃性、透明性を保持する技術の出現が待たれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、本発明の上記ポリカーボネート組成物を与えるに好適な、ポリカーボネートの流動性改善剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明の上記ポリカーボネート組成物より、ポリカーボネート本来の性質すなわち透明性、耐熱性、耐衝撃性を備えた光記録媒体用基板を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記本発明の基板を用いた光記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、
(A)線状芳香族ポリカーボネート100重量部および
(B)下記式(1)
【0010】
【化7】
【0011】
(ここで、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10アルキリデン基、炭素数6〜10のシクロアルキリデン基、炭素数6〜10のシクロアルキレン基、炭素数7〜11のフェニル基置換アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基またはスルホン基である。XおよびX’は同一もしくは異なり、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、ハロゲン原子炭素数1〜10のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリール基でありそしてnは1〜6の数である)
で表わされる環状芳香族カーボネート0.001〜100重量部
からなることを特徴とするポリカーボネート組成物によって達成される。
【0012】
本発明で対象とする線状芳香族ポリカーボネート(A)は、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させて得られる線状芳香族ポリカーボネートである。ここで使用する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば下記式(4)に示される化合物が好ましく用いられる。
【0013】
【化8】
【0014】
(上記式(4)において、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ミクロアルキル基またはフェニル基であり、そしてWは炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のシクロアルキリデン基、炭素数6〜10のシクロアルキレン基、炭素数7〜11のフェニル基置換アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基またはスルホン基である。)
【0015】
このような芳香族ジヒドロキシ化合物としては具体的にはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ビドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェ二ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)−プロパン、ビス(4−ヒドロキジフェニル)オキサイド、ビス(3,5−シクロロ−4−ヒドロキシフェニル)オキサイド、p,p’−ジヒドロキジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等が挙げられる。これらのうち、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0016】
またこれら芳香族ジヒドロキシ化合物の芳香環はアルキル基、フェニル基、シクロアルキル基で置換されていてもよい。又これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で用いても、あるいは2種以上を併用してもよい。
【0017】
カーボネート前駆体としては、例えばカルボニルハライド、炭酸ジエステル、ハロホーメート等が挙げられる。
【0018】
具体的にはホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、並びに、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(o−クロロフェニル)カーボネート、ビス(p−ニトロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの如き炭酸ジエステル等が挙げられる。
【0019】
本発明の線状芳香族ポリカーボネートには、ガラス転移温度の低減あるいばその他の必要に応じ、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール類、例えばコハク酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類、あるいは例えばp−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、乳酸等のオキシ酸類の一種またはそれ以上を含有させてもよい。
【0020】
ポリカーボネートの代表的な製造法としては、通常溶液重縮合法(界面重縮合法)及び溶融重縮合法(エステル交換法)がある。
【0021】
ホスゲンを使用する界面重縮合法では、通常、酸結合剤の水溶液に、芳香族ジヒドロキシ化合物を溶解し、溶媒の存在下に反応させる。
【0022】
酸結合剤としては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく使用され、溶媒としては、たとえば塩化メチレン、クロルベンゼン、等のハロゲン化炭化水素が好ましく使用される。
【0023】
重合反応に際し通常末端停止剤が使用される。末端停止剤としては、例えばp−tert−ブチルフェノール、クミルフェノールのような芳香族モノヒドロキシ化合物が好ましく使用される。その使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し0.01〜10モル%、好ましくは0.03〜8モル%である。
【0024】
反応温度は、0〜40℃、好ましくは、20〜30℃であり、反応時間は、10分〜10時間程度である。反応の進行にともない、反応系のpHを9以上に保持するのが好ましい。又反応を促進させるために触媒を使用してもよい。触媒としては例えば、トリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、等の三級アミン、四級アンモニウム化合物、四級ホスホニウム化合物等が挙げられる。
【0025】
炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物を使用するエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下、好ましくは触媒の存在下、加熱、攪拌し芳香族ヒドロキシ化合物を留出させることで行われる。
【0026】
反応温度は、通常120℃〜300℃の範囲である。生成する芳香族モノヒドロキシ化合物の留出を促進するため、反応初期においては、200〜100mmHgの弱真空下、120〜250℃の反応温度で、又反応後期においては10mmHg以下の高真空下、200〜300℃の反応温度で反応させる。
【0027】
反応時間は通常1時間〜10時間で所望の重合度に達するまで行われる。
重合触媒としては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの如きアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属の水酸化物、硼素や、アルミニウムの水素化物の塩、硼素や、アルミニウムのアルコキシド、一価あるいは二価以上の多価有機酸のフェノラート、有機酸塩、炭酸塩、炭化水素化合物、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、硼酸塩、あるいは有機スズ化合物、亜鉛化合物、珪素化合物、ゲルマニウム化合物、鉛化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物その他含窒素塩基性化合物等の通常のエステル交換触媒、エステル化触媒が使用される。触媒は単独で用いても又二種以上併用してもよい。触媒の使用量はアルカリ金属化合物では通常、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し1×10-8〜1×10-5、ポリマー物性上好ましくは1×10-7〜1×10-6モル、より好ましくは、1×10-7〜2×10-6モル使用することができる。
また、線状芳香族ポリカーボネートは、下記式(2)
【0028】
【化9】
【0029】
(ここで、A1は置換基を有していてもよいm価の炭化水素基であり、Y1は単結合または酸素原子であり、X1は2級または3級の1価の炭化水素基、アンモニウムカチオンまたはホスホニウムカチオンであり、mは1〜4の整数である。)で表わされる化合物の添加によって安定化されているのが好ましい。
【0030】
上記式(2)で表わされる化合物の具体例としては、例えば下記の化合物を挙げることができる。
【0031】
Y1が単結合であり、X1が2級または3級の1価の炭化水素基でありそしてmが1である場合の化合物として、ベンゼンスルホン酸ベンジル、ベンゼンスルホン酸2−フェニル−2−プロピル、ベンゼンスルホン酸2−フェニル−2−ブチル、トルエンスルホン酸ベンジル、トルエンスルホン酸2−フェニル−2−プロピル、トルエンスルホン酸2−プロピル−2−ブチル、オクチルベンゼンスルホン酸ベンジル、オクチルベンゼンスルホン酸2−フェニル−2−プロピル、オクチルベンゼンスルホン酸2−フェニル−2−ブチル、ドデシルベンゼンスルホン酸ベンジル、ドデシルベンゼンスルホン酸2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸2−フェニル−2−ブチルなどをあげることができる。
【0032】
Y1が単結合であり、X1がホスホニウムカチオンでありそしてmが1である場合の化合物として、ヘキシルスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ヘキシルスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ヘキシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ヘキシルスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ヘキシルスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、オクチルスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、オクチルスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、オクチルスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、オクチルスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、ヘキサデシルスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ヘキサデシルスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ヘキサデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ヘキサデシルスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ヘキサデシルスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、トルエンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、トルエンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、トルエンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、トルエンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、トルエンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩等が挙げられる。
【0033】
Y1が酸素原子であり、X1が2級もしくは3級の1価の炭化水素基でありそしてmが1である場合の化合物としては、A1とX1の炭素数の合計が8〜40であるのが好ましい。かかる具体例として、ジブチルサルフェート、ジペンチルサルフェート、ジヘキシルサルフェート、ジオクチルサルフェート、ジノニルサルフェート、ジデシルサルフェート、ジトリデシルサルフェート、ジテトラデシルサルフェート、ジヘキサデシルサルフェート、ジシクロヘキシルサルフェート、ジベンジルサルフェート等が挙げられる。これらの具体例のアルキル基はいずれも2級もしくは3級であると理解されるべきである。
【0034】
Y1が酸素原子であり、X1がアンモニウムカチオンである場合の化合物として、アンモニウムオクチルサルフェート、アンモニウムデシルサルフェート、アンモニウムドデシルサルフェート、アンモニウムヘキサデシルサルフェートの如きアンモニウム塩があげられる。
【0035】
また、メチルアンモニウムヘキシルサルフェート、メチルアンモニウムオクチルサルフェート、メチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、エチルアンモニウムヘキシルサルフェート、ブチルアンモニウムノナデシルサルフェート、ヘキシルアンモニウムオクタデシルサルフェート、デシルアンモニウムエチルサルフェート、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルアンモニウムオクチルサルフェート、テトラデシルアンモニウムブチルサルフェート、ペンタデシルアンモニウムメチルサルフェート、ヘキサデシルアンモニウムブチルサルフェート、ヘキサデシルアンモニウムオクチルサルフェート、ヘキサデシルアンモニウムデシルサルフェート、ヘキサデシルアンモニウムドデシルサルフェートの如き1級アンモニウム塩があげられる。
【0036】
またジメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、ジメチルアンモニウムオクチルサルフェート、ジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、ジエチルアンモニウムオクタデシルサルフェート、ブチルメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、ヘキシルメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、デシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、デシルエチルアンモニウムエチルサルフェート、デシルメチルアンモニウムオクチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラデシルエチルアンモニウムサルフェート、ペンタデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ペンタデシルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ヘキサデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ヘキサデシルエチルアンモニウムエチルサルフェートの如き2級アンモニウム塩があげられる。
【0037】
また、トリメチルアンモニウムオクチルサルフェート、トリメチルアンモニウムデシルサルフェート、ブチルジメチルアンモニウムデシルサルフェート、ヘキシルジメチルアンモニウムドデシルサルフェート、デシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、デシルジメチルアンモニウムトリデシルサルフェート、ドデシルジエチルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルジブチルアンモニウムブチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラデシルメチルエチルアンモニウムメチルサルフェート、ペンタデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ヘキサデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ヘキサデシルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェートの如き3級アンモニウム塩があげられる。
【0038】
また、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、テトラエチルアンモニウムトリデシルサルフェート、ブチルトリメチルアンモニウムオクチルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、デシルトリエチルアンモニウムエチルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、ペンタデシルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ペンタデシルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェートの如き4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0039】
この中で、リチウムデシルサルフェート、ナトリウムデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、リチウムテトラデシルサルフェート、ナトリウムテトラデシルサルフェート、リチウムヘキサデシルサルフェート、ナトリウムオレイルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、デシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、デシルエチルアンモニウムエチルサルフェート、テトラデシルエチルアンモニウムエチルサルフェート、テトラデシルメチルエチルアンモニウムメチルサルフェート、ペンタデシルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ヘキサデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ヘキサデシルエチルアンモニウムエチルサルフェート、デシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ヘキサデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ペンタデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ヘキサデシルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ペンタデシルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、デシルジメチルアンモニウムトリデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジエチルアンモニウムエチルサルフェート、テトラデシルジエチルアンモニウムエチルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ペンタデシルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、デシルトリエチルアンモニウムエチルサルフェートがより好ましく用いられる。
【0040】
線状芳香族ポリカーボネート樹脂の重合度は、特に限定されない。粘度平均分子量であらわして、好ましくは13,000〜200,000、より好ましくは、13,000〜50,000である。特にディスク基板用のポリカーボネート樹脂は、粘度平均分子量13,000〜20,000のものが通常好ましく使用される。
【0041】
又線状芳香族ポリカーボネートには、本発明の目的を損なわない範囲で、従来公知の、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、且剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機、無機系充填剤などを、添加してもよい。かかる添加剤は、環状芳香族カーボネートと同時に添加してもよいし、環状芳香族カーボネートの添加に先立ち、あるいは添加の後、添加してもよい。
【0042】
本発明において用いられる環状芳香族カーボネートは、上記式の如く、下記式(1)で表わされる。
【0043】
【化10】
【0044】
(ここで、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキレン基、単結合、−O−、−S−または−SO2−であり、XおよびX’は同一もしくは異なり、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリール基であり、そしてnは1〜6の数である。)
上記式(1)で表わされる化合物のうち、下記式(1)−1
【0045】
【化11】
【0046】
(ここで、R,X,X’およびnの定義は上記式(1)に同じである。)
で表わされる化合物、下記式(1)−2
【0047】
【化12】
【0048】
(ここで、R,X,X’およびnの定義は上記式(1)に同じである。)
で表わされる化合物および下記式(1)−3
【0049】
【化13】
【0050】
(ここで、R,X,X’およびnの定義は上記式(1)に同じである。)
で表わされる化合物が好ましい。
【0051】
上記式(1)(式(1)−1、(1)−2および(1)−3を含む。以下同じ)中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のシクロアルキレン基、単結合、−O−、−S−または−SO2−である。
【0052】
炭素数1〜10のアルキレン基としては例えば、メチレン、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、2,2−プロピレン、1,3−トリメチレン、1,4−テトラメチレン、1,6−ヘキサメチレン、1,10−デカメチレン等を挙げることができる。炭素数6〜10のシクロアルキレン基としては、例えばシクロへキシレン、シクロへキシリデン、シクロへプチレン等を挙げることができる。
【0053】
また、XおよびX’水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリール基である。
【0054】
炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニルおよびデシルを挙げることができる。
炭素数6〜10のシクロアルキル基としては、例えばシクロヘキシル、シクロペンチル、デカリル等を挙げることができる。
【0055】
ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素を挙げることができる。
【0056】
炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、オクトキシ、ノニルオキシ、およびデシルオキシを挙げることができる。
【0057】
さらに炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等を挙げることができる。
【0058】
また、nは1〜6の数であり、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。
上記式(1)で表わされる環状芳香族カーボネートを構成する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えばビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシジフエニル、2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(2’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルケトン、2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメトキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジヒドロキシジ−5,5’−ジメチルジフェニルエーテル、2,2’−ジヒドロキシジ−5,5’−ジエチルジフェニルエーテルなどを挙げることができる。
【0059】
また、上記式(1)で表わされる環状芳香族カーボネートとしては、例えば下記式で表わされる化合物を挙げることができる。
【0060】
【化14】
【0061】
【化15】
【0062】
【化16】
【0063】
【化17】
【0064】
【化18】
【0065】
【化19】
【0066】
【化20】
【0067】
【化21】
【0068】
環状芳香族カーボネートは単独で使用することができ、あるいは、また2種以上一緒に使用してもよい。2種以上使用した場合、該環状芳香族カーボネートの融点が低下し、取り扱い上好ましくない。
【0069】
かかる環状芳香族カーボネートは、従来公知の製造法、例えば、D.J,Brunelle etal,Macromo lecules,1991 vol.24 pp3035、特公昭41−3455号公報、特公昭41−15177号公報、特公昭41−15178号公報、および特公昭41−19709号公報記載の方法等により製造することができる。
【0070】
例えば上記の如き芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネート等の芳香族炭酸ジエステル、ジメチルカーボネート等の脂肪族炭酸ジエステル、およびフォスゲンなどのカルボニルハライドから、上記特許記載の方法によりかかる環状芳香族カーボネートを合成することができる。
【0071】
又かかる環状芳香族カーボネートは、不純物として少量の線状ポリカーボネートあるいは環状のオリゴカーボネートを含有していてもかまわない。
【0072】
又環状芳香族カーボネートの分子量は、あまり大きくないほうが、成形性、転写性改良の点より、さらにまた取り扱い性の点よりも好ましく、環状芳香族カーボネートの分子量が212から1500であることが好ましい。
【0073】
本発明で用いられる上記環状芳香族カーボネートが線状芳香族ポリカーボネートと混合した際、線状芳香族ポリカーボネートの溶融流動性を改善することが本発明者により見い出された。
【0074】
それ故、本発明によれば、さらに、
上記式(1)で表わされる環状芳香族カーボネートを線状芳香族カーボネートと混合して線状芳香族ポリカーボネートの溶融流動性を改善するために使用すること、並びに
上記式(1)で表わされる環状芳香族カーボネートからなる、線状芳香族ポリカーボネート、例えば光記録媒体用基板を製造するための素材としての線状芳香族ポリカーボネートの流動性改善剤が同様に提供される。
【0075】
さらに、本発明で用いられる上記環状芳香族カーボネートが線状芳香族ポリカーボネートの成型時形状転写性を改善することも本発明者により見い出された。
【0076】
それ故、本発明によれば、さらに、
上記式(1)で表わされる環状芳香族カーボネートを、線状芳香族ポリカーボネートと混合して線状芳香族ポリカーボネートの成型時形状転写性を改善するために使用すること、および上記式(1)で表わされる環状芳香族カーボネートからなる、線状芳香族ポリカーボネート、例えば光記録媒体用基板を製造するための素材として線状芳香族ポリカーボネートの形状転写性改善剤が同様に提供される。
【0077】
本発明で用いられる上記式(1)で表わされる環状芳香族カーボネートは、線状芳香族ポリカーボネート100重量部に対し0.001〜100重量部の混合割合で用いられる。この割合は、同じ基準に対して、好ましくは0.003〜100重量部、より好ましくは0.005〜100重量部、さらに好ましくは0.005〜50重量部である。この範囲において、さらに0.001〜50重量部、0.001〜20重量部、特に0.05〜20重量部が好ましい。環状芳香族カーボネートの、割合があまりに少ないと、添加効果が発現し難く、他方あまりに多いとコストの点から望ましくない。
【0078】
本発明において、環状芳香族ポリカーボネートを線状芳香族ポリカーボネートに添加する供給機及び添加方法は、特に制限はない。環状芳香族カーボネートを固体のまま、あるいは、加熱溶融して、あるいは各種溶媒に溶解して添加してもよい。線状芳香族ポリカーボネートが、最終重合機から冷却されてペレタイズされる間の溶融状態時に添加することもできるし、押し出し成形時添加することもできる。
【0079】
このようにして得られるポリカーボネート組成物は、耐熱性、耐衝撃性、透明性を低下させることなく流動性を改善したものであることから、光学材料用途、特に光記録用ディスク基板用途に好ましく用いることができる。つまり本発明で得られるポリカーボネート組成物は、流動性に優れ、ディスクに成型した際の転写性に大変優れているので、特に光記録用ディスク基板用途に好ましく用いることができる。
【0080】
本発明のポリカーボネート組成物は、好ましくは、溶融粘度変化率が0.5%以下である。かかる値の溶融粘度変化率を示す組成物は溶融粘度安定性に優れ、光記録媒体用基板を製造する際に好適に用いられる。
【0081】
本発明によれば、それ故、本発明のポリカーボネート組成物からなる光記録媒体用基板、および上記の光記録媒体用基板および該基板の片面上に直接または中間層を介して存在する光記録層からなる光記録媒体が同様に提供される。
【0082】
この光記録媒体は、公知の光記録媒体と同様に、必要により誘電体層および反射層を備えることができる。
【0083】
【発明の効果】
本発明により耐熱性、耐衝撃性、透明性を低下させることなく流動性を改善したポリカーボネート組成物を得ることができる。さらに、該ポリカーボネート組成物からなる光記録媒体用基板を得ることができる。
【0084】
【実施例】
以下実施例を挙げて更に説明する。なお実施例中の%は重量%であり、各項目の測定は下記の方法によった。
【0085】
1)ガラス転移温度;Tg:デュポンインスツルメント社製910DSCにより窒素気流下20℃の昇温速度で測定した。
【0086】
2)5%重量減少温度; デュポンインスツルメント社製951TGAにより空気、気流下20℃の昇温速度で測定した。
【0087】
3)溶融粘度安定性;レオメトリックス社のRAA型流動解析装置を用い窒素気流下、せん断速度1rad/sec.、270℃で測定した溶融粘度値の変化を30分間測定し、1分あたりの変化率を求めた。溶融粘度は、通常270℃での溶融後5分程度を過ぎると直線的に変化するので、溶融粘度(単位:ポイズ)の時間変化を記録し、その直線的変化の開始時点における溶融粘度をV1、その30分後の溶融粘度をV2としたときに、
(V1−V2)×100/(V1×30)(%)
を溶融粘度変化率とした。
【0088】
4)流動性;ペレットを120℃で6時間乾燥した後、JIS K−7210熱可塑性プラスチックの流れ試験に従って、10分間あたりのMFR(280℃、2160g荷重下、径2.095mm、長さ8.000mmのダイスを通過するポリマー量(g))を測定した。
【0089】
5)色相;50mm×50mm×5mmの平板を住友重機(株)製ネオマットN150/75射出成形機によりシリンダー温度280℃、成形サイクル3.5秒で成形し、平板のb値を日本電色(株)製Z−1001DP色差計により測定した。b値が大きいほど色相が悪いことを示す。
【0090】
6)透明性;平板の全光線透過率を日本電色(株)製NDH−Σ80により測定した。全光線透過率が高いほど透明性がよいことを示す。
【0091】
7)耐衝撃性;アイゾット衝撃強度ASTMD−790(ノッチ付き)による。厚さ1/8インチの試験片を用いた。
【0092】
8)転写性;成形ディスクピット深さ 住友重機械工業(株)製ディスク成形装置Disk5 MIIIにて、シリンダー温度345℃、金型温度75℃、射出速度100mm/sec,および射出圧80KgにてCD用ディスクを成形して該ディスクのピット深さ(単位nm)を測定した。
【0093】
[ポリマーAの製造]
ホスゲン吹き込み管、温度計及び攪拌機を設けた、容量50lの反応槽に、ビスフェノールA、5,028g(22.1モル)、7.2%水酸化ナトリウム水溶液、22.1l(水酸化ナトリウム41.9モル)及び、ハイドロサルファイトナトリウム、9.8g(0.056モル)を仕込んで溶解し、攪拌下、塩化メチレン、12.7l及び48.5%水酸化ナトリウム水溶液、807g(水酸化ナトリウム、9.8モル)を加えた後、ホスゲン、2,508g(25.3モル)を25℃で90分かけて加え、ホスゲン化反応を行った。
【0094】
ホスゲン化終了後p−tert−ブチルフェノール、175.1g(1.17モル)、48.5%水酸化ナトリウム水溶液、804g(9.7モル)及び、触媒としてトリエチルアミン、18.1ml(0.13モル)を加え、33℃に保持し2時間攪拌して反応を終了させた。反応混合液より、塩化メチレン層を分離し、水洗により精製して、粘度平均分子量15,300のポリカーボネート樹脂を得た。このポリマーの物性を以下の表1に示す。
【0095】
[ポリマーBの製造]
ホスゲン吹き込み管、温度計及び攪拌機を設けた、容量50リットルの反応槽に、ビスフェノールA、5,028g(22.1モル)、7.2%水酸化ナトリウム水溶液、22.1リットル(水酸化ナトリウム41.9モル)及び、ハイドロサルファイトナトリウム、9.8g(0.056モル)を仕込んで溶解し、攪拌下、塩化メチレン、12.7l及び48.5%水酸化ナトリウム水溶液、807g(水酸化ナトリウム、9.8モル)を加えた後、ホスゲン、2,508g(25.3モル)を25℃で90分かけて加え、ホスゲン化反応を行った。
【0096】
ホスゲン化終了後p−tert−ブチルフェノール、93.0g(0.62モル)、48.5%水酸化ナトリウム水溶液、804g(9.7モル)及び触媒としてトリエチルアミン、18.1ml(0.13モル)を加え、33℃に保持し2時間攪拌して反応を終了させた。反応混合液より、塩化メチレン層を分離し、水洗により精製して、粘度平均分子量25,100のポリカーボネート樹脂を得た。このポリマーの物性を下記表2に示す。
【0097】
[ポリマーC、D、C’、およびD’の製造]
ビスフェノールA,228重量部,ジフェニルカーボネート220重量部及びエステル交換触媒;ビスフェノールA−Na2塩(1.6×10-5重量部;o.1μmol/1molビスフェノールA)及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドイド(9.1×10-3重量部;100μmol/1molビスフェノールA)を攪拌装置,蒸留塔及び減圧装置を備えた反応槽に仕込み窒素置換した後,140℃で溶解した。30分間攪拌後、内温を180℃に昇温し,内圧100mmHg30分間反応させ,生成するフェノールを溜去した。ついで内温を200℃に昇温しつつ徐々に減圧し50mmHgで30分間フェノールを溜去しつつ反応させた。
【0098】
更に220℃,30mmHgまで徐々に昇温,減圧し,同温度,同圧下で30分間,更に、240℃、10mmHg、260℃,1mmHg,まで上記と同じ手順で昇温,減圧を繰り返し反応を続行した。
【0099】
最終的に260℃で且つ270℃を超えない温度でカボネートの重縮合を継続しつつポリマーの一部を取し分子量を測定した。分子量が15,300(ポリマーC)及び25,100(ポリマーD)になるまで重縮合を継続した。
【0100】
重合終了後ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を1.75×10-4重量部(0.3μmol/1mol−ビスフェノールA)添加し、触媒を失活した。また重合終了後ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を添加しなかったものについて、分子量が15,300のものをポリマーC’、及び分子量が25,100のものをポリマーD’とした。重縮合終了時の粘度平均分子量、及び其の他の物性を下記表1、2に示す。
【0101】
[実施例1〜10、比較例1〜4]
上記のように製造したポリカーボネートA〜D、C’、D’を二軸押し出し機(L/D=20、バレル温度285℃)で下記式(a)、(b)、および(c)
【0102】
【化22】
【0103】
で表される芳香族環状カーボネートの所定量(表中記載の線状芳香族ポリカーボネート100重量部当たりの添加量:重量部)と混練した。得られた組成物及び該組成物成形品の物性を測定した。結果をポリマーA、C、C’については表1中に、又ポリマーB、D、D’については表2中に記す。
【0104】
表中に示される如く本発明のポリマーは流動性が高く、耐熱性、耐衝撃性、透明性等は、ベースポリカーボネート並みに良好である。
【0105】
また比較例として芳香族環状カーボネートを添加しないポリカーボネートA〜Dについて、それぞれ同様に物性を測定した。
【0106】
結果をポリマーA、C、C’については表1中に、又ポリマーB,Dについては表2中に記す。
【0107】
[光記録用ディスク成形:実施例1〜5、比較例1〜2]
上記のように製造したポリマーA、C、C’から得られた実施例1〜5、比較例1〜2のポリカーボネート組成物を使用して、住友重機械工業(株)製ディスク成形装置Disk5 MIIIにて、シリンダー温度345℃、金型温度75℃、射出速度100mm/sec,および射出圧80KgにてCD用ディスクを成形して該ディスクのピット深さ(単位nm)を測定した。結果を表1中に記す。深さが大であるほど、転写性が良好なことを示す。
【0108】
表1中に示される如く本発明のポリマーは流動性が高く、耐熱性、耐衝撃性、透明性等は、ベースポリカーボネート並みに良好であり、しかもディスク成形時の転写性も良好である。
【0109】
【表1】
【0110】
*1 C’はポリマーCにおいてドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を使用しない場合
*2 芳香族ポリカーボネート100重量部当たりの添加量、重量部
【0111】
【表2】
【0112】
*1 D’はポリマーDにおいてドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を使用しない場合
Claims (15)
- (A)線状芳香族ポリカーボネート100重量部および(B)下記式(1)−1および/または(1)−2
で表わされる環状芳香族カーボネート0.001〜100重量部からなることを特徴とするポリカーボネート組成物。) - 環状芳香族カーボネートが0.003〜100重量部である請求項1記載のポリカーボネート組成物。
- 環状芳香族カーボネートの分子量が212〜1500の範囲である請求項1に記載のポリカーボネート組成物。
- 線状芳香族カーボネートが、重縮合触媒の存在下に芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融縮重合させたことにより得られる線状芳香族カーボネートである請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
- 重縮合触媒がアルカリ金属化合物であり、そして該触媒が芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当り1×10−7〜5×10−6当量の割合で用いられる請求項4記載のポリカーボネート組成物。
- 線状芳香族ポリカーボネートが下記式(2)
【化25】
A1−(Y1−SO3X1)m (2)
(ここで、A1は置換基を有していてもよいm価の炭化水素基であり、Y1は単結合または酸素原子であり、X1は2級または3級の1価の炭化水素基、アンモニウムカチオンまたはホスホニウムカチオンであり、mは1〜4の整数である。)で表わされる化合物の添加によって安定化されている請求項4および5のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。 - 溶融粘度変化率が0.5%以下である請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
- 下記式(1)−1および/または(1)−2
で表わされる環状芳香族カーボネートを、線状芳香族ポリカーボネートと混合して線状芳香族ポリカーボネートの溶融流動性を改善するための使用。 - 下記式(1)−1および/または(1)−2
で表わされる環状芳香族カーボネートからなる、線状芳香族ポリカーボネートの流動性改善剤。 - 上記線状芳香族ポリカーボネートが光記録媒体用基板を製造するための素材である、請求項9に記載の流動性改善剤。
- 下記式(1)−1および/または(1)−2
で表わされる環状芳香族カーボネートを線状芳香族ポリカーボネートと混合して線状芳香族ポリカーボネートの成型時の形状転写性を改善するための使用。 - 下記式(1)−1および/または(1)−2
で表わされる環状芳香族カーボネートからなる、線状芳香族ポリカーボネートの成型時形状転写性改善剤。 - 上記線状芳香族ポリカーボネートが光記録媒体用基板を製造するための素材である、請求項12に記載の形状転写性改善剤。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリカーボネート組成物からなる光記録媒体用基板。
- 請求項14に記載の光記録媒体用基板、および該基板の片面上に直接または中間層を介して存在する光記録層からなる光記録媒体。
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