JP5287704B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、アッベ数が高く高強度で色相及び染色性に優れるポリカーボネート樹脂組成物に関する。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、BPA又はビスフェノールAと記す)からなるポリカーボネート樹脂は、その優れた透明性、耐熱性、低吸水性、耐薬品性、力学特性および寸法安定性から、CDあるいはDVDの基板、光学フィルム、光学シート、各種レンズあるいはプリズム等の光学材料用途に幅広く利用されている。
しかしながら、BPAだけを用いてなるポリカーボネートでは、屈折率は1.58と高いもののアッベ数が30と低く、屈折率とアッベ数とのバランスが悪いため、広く光記録材料や光学レンズ等の用途に用いるには十分な性能を有していないという欠点がある。また、染色性が低く限られた色のレンズしか得られない欠点がある。
このようなBPA−ポリカーボネートの欠点を解決する目的で、BPAとトリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール(以下、「TCDDM」と記す)のような脂肪族系の化合物との共重合ポリカーボネートが提案されている(特許文献1〜3参照)。また、色相、安定性に優れた芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートの製造方法も提案されている(特許文献4)。しかし、高分子量かつ優れた色相を有する芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを得ることは容易ではない。
シクロヘキサンジメタノールとビスフェノールの共重合ポリカーボネートによるプラスチックレンズが提案されている(特許文献5〜7)。しかしながら、シクロヘキサンジメタノールとビスフェノールの溶融法による共重合においては、重合体の溶融粘度が高いため、高分子量体を得るために高温が必要であり、その結果着色してしまう欠点がある。さらに染色性については触れられていない。
特許第2569593号公報 特開2003−327682号公報 特開2003−335853号公報 特開2002−322265号公報 特開2003−090501号公報 特開2003−090901号公報 特開2003−090917号公報
本発明は、高屈折率、高アッベ数で強度の高い優れた色相と染色性をもつ透明なポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討を行った結果、特定のジヒドロキシ化合物から誘導されるポリカーボネート樹脂と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂とをブレンドすることにより、高屈折率、高アッベ数で強度の高い優れた色相と染色性をもつ透明なポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示すポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
1)一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルによりカーボネート結合させてなる末端OH基量が500ppm以下のポリカーボネート樹脂(A)と、一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物をホスゲンによりカーボネート結合させてなるポリカーボネート樹脂(B)とが、(100×(A))/((A)+(B))=5〜35となる比率で配合されている、ポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 0005287704
2)前記ポリカーボネート樹脂(A)のポリスチレン換算による重量平均分子量が10,000以上200,000以下である、(1)記載のポリカーボネート樹脂組成物。
3)前記ポリカーボネート樹脂(B)のポリスチレン換算による重量平均分子量が40,000以上80,000以下である、(1)又は(2)記載のポリカーボネート樹脂組成物。
4)ポリスチレン換算による重量平均分子量が40,000以上70,000以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
5)JIS−K5600−5−3に準拠して測定した落球衝撃値が535g以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
6)屈折率ndが1.56以上、アッベ数が31以上である、(1)〜(5)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
7)ガラス転移温度が85℃以上である、(1)〜(6)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
8)(1)〜(7)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
9)(1)〜(7)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる光学レンズ。
10)(1)〜(7)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる眼鏡レンズ。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、BPAをホスゲンによりカーボネート結合させてなるポリカーボネート樹脂に、一定量のシクロヘキサンジメタノールを用いたポリカーボネート樹脂をブレンドしたものであり、屈折率とアッベ数のバランスに優れ、強度が高く、且つ優れた色相と染色性を有する。シクロヘキサンジメタノールを炭酸ジエステルによりカーボネート結合させてなるポリカーボネート樹脂とBPAをホスゲンによりカーボネート結合させてなるポリカーボネートとのブレンドにより、染色性が飛躍的に向上するとともに、優れた色相及び高強度が達成できることは驚くべきことである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、光学用材料、眼鏡レンズ、車載レンズ、カバー、窓ガラス、タッチパネル、など幅広く光学材料として好適に用いることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、少なくとも2種類のポリカーボネート樹脂、すなわちポリカーボネート樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)とが配合されたものである。
(1)ポリカーボネート樹脂(A)
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂(A)は、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物(1,4−シクロヘキサンジメタノール)を炭酸ジエステルによりカーボネート結合させて得られるものである。前記ポリカーボネート樹脂(A)は、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールを炭酸ジエステル及び触媒の存在下、公知の溶融縮合法により重合して得ることができる。
Figure 0005287704
ポリカーボネート樹脂(A)のポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜200,000であり、より好ましくは15,000〜150,000である。Mwが10,000より小さいと、ブレンドして得られる本発明のポリカーボネート樹脂組成物(以下、「ブレンド樹脂組成物」という場合がある)が脆くなる場合がある。Mwが200,000より大きいと、溶融粘度が高くなりブレンドの条件が厳しくなる場合があり、またブレンド樹脂組成物の射出成形条件が厳しくなり成形体にシルバーが生じる場合がある。
また、ポリカーボネート樹脂(A)のMFR(260℃、2.16kg荷重)は特に制限されないが、好ましくは10〜100g/10分、より好ましくは20〜80g/10分である。
ポリカーボネート樹脂(A)の末端OH基量(末端OH基濃度)は500ppm以下であり、好ましくは100ppm以下である。末端OH基量が多すぎるとブレンドの際に反応し、分子量低下や着色の原因となる。これらの末端OH基量は、溶融重合時におけるジフェニルカーボネートと1,4−シクロヘキサンジメタノールの仕込みモル比を調節することにより達成できる。
具体的には、溶融重合時におけるジフェニルカーボネートと1,4−シクロヘキサンジメタノールの仕込みモル比を0.97〜1.01とするのが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)は、ジオール類と炭酸ジエステルとを塩基性化合物触媒もしくはエステル交換触媒もしくはその双方からなる混合触媒の存在下反応させる公知の溶融重縮合法が好適に用いられる。
炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが好ましい。ジフェニルカーボネートは、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して0.90〜1.15モルの比率で用いられることが好ましく、更に好ましくは0.95〜1.05モルの比率である。
塩基性化合物触媒としては、特にアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、含窒素化合物等があげられる。このような化合物としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属化合物等の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシドおよびそれらの塩、アミン類等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が用いられる。
アルカリ土類金属化合物としては、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が用いられる。
含窒素化合物としては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が用いられる。
エステル交換触媒としては、亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛の塩が好ましく用いられ、これらは単独もしくは組み合わせて用いることができる。具体的には、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)等が用いられる。これらの触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、10-9〜10-3モルの比率で、好ましくは10-7〜10-4モルの比率で用いられる。
本発明に係る溶融重縮合法は、前記の原料、および触媒を用いて、加熱下に常圧または減圧下にエステル交換反応により副生成物を除去しながら溶融重縮合を行うものである。反応は、一般には二段以上の多段工程で実施される。
具体的には、第一段目の反応を120〜220℃、好ましくは160〜200℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間、常圧〜200Torrの圧力で反応させる。次いで、1〜3時間かけて温度を最終温度である230〜260℃まで徐々に上昇させると共に圧力を徐々に最終圧力である1Torr以下まで減圧し、反応を継続する。最後に1Torr以下の減圧下、230〜260℃の温度で重縮合反応を進め、所定の粘度に達したところで窒素により復圧し、反応を終了する。1Torr以下の反応時間は0.1〜2時間であり、全体の反応時間は1〜6時間、通常2〜5時間である。
このような反応は、連続式で行っても良くまたバッチ式で行ってもよい。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、錨型攪拌翼、マックスブレンド攪拌翼、ヘリカルリボン型攪拌翼等を装備した縦型であっても、パドル翼、格子翼、メガネ翼等を装備した横型であってもスクリューを装備した押出機型であってもよく、また、これらを重合物の粘度を勘案して適宜組み合わせた反応装置を使用することが好適に実施される。
重合反応終了後、熱安定性および加水分解安定性を保持するために、触媒を除去もしくは失活させる。一般的には、公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法が好適に実施される。これらの物質としては、具体的には、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル等の芳香族スルホン酸エステル類、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等の芳香族スルホン酸塩類、ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p−トルエンスルホン酸クロライド等の有機ハロゲン化物、ジメチル硫酸等のアルキル硫酸、塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物等が好適に用いられる。
本発明に使用される触媒失活剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェニルリン酸、フェニルホスフィン、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスフェート、ジフェニルホスファイト、ジフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニルホスフィン酸、モノメチルアシッドホスフェート、モノメチルアシッドホスファイト、ジメチルアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスファイト、モノブチルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスファイト、ジブチルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスファイト、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート等のリン含有酸性化合物、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ペンチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸フェネチル、p−トルエンスルホン酸ナフチル等の芳香族スルホン酸化合物が挙げられる。
このリン含有酸性化合物、芳香族スルホン酸化合物の添加量は、アルカリ金属化合物及び/またはアルカリ土類金属化合物触媒に対して中和当量の1/5〜20倍量、好ましくは1/2〜15倍量である。この添加量が少なすぎると所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない場合がある。
また、芳香族スルホン酸ホスホニウム塩も好適に用いることができ、例えば、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、p−トルエンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ブチルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩等が挙げられる。
この芳香族スルホン酸ホスホニウム塩の添加量は、ポリカーボネート樹脂(A)に対して1〜300ppm、好ましくは10〜100ppmである。この添加量が少なすぎると所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない場合がある。
触媒失活後、ポリマー中の低沸点化合物を0.1〜1Torrの圧力、200〜350℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良く、このためには、パドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新能の優れた攪拌翼を備えた横型装置、あるいは薄膜蒸発器が好適に用いられる。
このようにして本発明のポリカーボネート樹脂(A)を得ることができる。
(2)ポリカーボネート樹脂(B)
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂(B)は、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物(BPA)をホスゲンによりカーボネート結合させてなるものである。BPAを用いたポリカーボネート樹脂は、一般的には公知の溶融重縮合法もしくはホスゲン法(界面法)により重合して得ることができるが、本発明で用いられるポリカーボネート樹脂(B)は、ホスゲン法(界面法)により重合して得られたものが用いられる。これにより、上記ポリカーボネート樹脂(A)をブレンドした場合に色相の優れた高強度の樹脂組成物が得られる。
Figure 0005287704
上述したように、ポリカーボネート樹脂(B)の製造方法としては、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを塩基性化合物触媒の存在下反応させる公知の溶融重縮合を用いることもできるが、本発明では、高強度かつ色相に優れたポリカーボネート樹脂組成物を得るために、ジヒドロキシ化合物を溶媒および末端停止剤および酸結合剤の存在下、ホスゲンと反応させる界面重合法が用いられる。
ホスゲン法においては通常、酸結合剤の水溶液にジヒドロキシ化合物および末端停止剤を溶解し、有機溶媒の存在下に反応させる。
酸結合剤としては例えばピリジンあるいは水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物が好適に用いられる。これらのうちで、特に好ましいものは水酸化ナトリウムである。酸結合剤の添加量は特に制限されないが、好ましくは仕込みジヒドロキシ化合物1モルに対して1.1〜1.6(モル)である。
また、有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレンなどが好適に使用される。これらのうちで、特に好ましいものは塩化メチレンである。
さらに、重合反応を促進するために、触媒としてトリエチルアミンなどの第三級アミンあるいはテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の第四級アンモニウム塩等が使用される。これらのうちで、特に好ましいものはトリエチルアミンである。触媒の添加量は特に制限されないが、好ましくは仕込みジヒドロキシ化合物1モルに対して0.1〜10ミリモルである。
また、重合度の調節に用いられる末端停止剤としては、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等の一官能ヒドロキシ化合物 が使用される。これらのうちで、特に好ましいものはp−tert−ブチルフェノールである。末端停止剤の添加量は特に制限されないが、好ましくは仕込みジヒドロキシ化合物1モルに対して0.03〜0.1ミリモルである。
さらに、所望に応じて亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム等の酸化防止剤を少量添加してもよい。これらのうちで、特に好ましいものはハイドロサルファイトナトリウムである。末端停止酸化防止剤の添加量は特に制限されないが、好ましくは仕込みジヒドロキシ化合物に対して0.05〜5重量%である。
反応は、通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲で行われる。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
ポリカーボネート樹脂(B)のポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20,000〜80,000であり、より好ましくは30,000〜70,000である。Mwが20,000より小さいと、ブレンド樹脂組成物が脆くなる場合がある。Mwが80,000より大きいと、溶融粘度が高くなりブレンドの条件が厳しくなる場合があり、またブレンド樹脂組成物の射出成形条件が厳しくなり成形体にシルバーが生じる場合がある。
また、ポリカーボネート樹脂(B)のMFR(260℃、2.16kg荷重)は特に制限されないが、好ましくは1〜50g/10分、より好ましくは1〜35g/10分である。
(3)ポリカーボネート樹脂組成物
本発明のポリカーボネート樹脂組成物(ブレンド樹脂組成物)は、ポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)のブレンド比率(重量比)が、(100×(A))/((A)+(B))=5〜35、好ましくは10〜30となるように調製される。すなわち、ポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)の合計重量((A)+(B))に対し、ポリカーボネート樹脂(A)が5〜35重量%、より好ましくは10〜30重量%である。
該ブレンド比率が5重量%より小さくなると、ブレンド樹脂組成物のアッベ数が低くなり、また染色性が低くなるため好ましくない。また、該ブレンド比率が35重量%より大きくなると、ブレンド樹脂組成物の耐熱性及び衝撃強度が低く、また屈折率も低くなるため好ましくない。
本発明のブレンド樹脂組成物のポリスチレン換算による重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは40,000以上70,000以下、より好ましくは45,000〜65,000である。ブレンド樹脂組成物の重量平均分子量が低すぎると強度が低下する場合があり、高すぎると成形温度が高くなり結果として着色や歪が発生する場合がある。
また、ブレンド樹脂組成物のMFR(260℃、2.16kg荷重)は特に制限されないが、好ましくは2〜30g/10分、である。
また、ポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)とのポリスチレン換算による重量平均分子量差(△Mw)は、0〜120,000であることが好ましく、より好ましくは0〜80,000である。△Mwが120,000を超えると、ポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)の粘度差が著しく大きくなって相溶性が悪くなり、ブレンド樹脂組成物の透明性が低下する場合がある。
本発明のブレンド樹脂組成物の好ましいガラス転移温度(Tg)は特に制限されないが、好ましくは85℃以上、より好ましくは85〜160℃、特に好ましくは90〜150℃である。Tgが85℃より低いと、使用温度範囲が狭くなる傾向があり、また160℃を超えると成形条件が厳しくなる傾向がある。
本発明のブレンド樹脂組成物は、JIS−K5600−5−3に準拠して測定した落球衝撃値(2mm厚の平板に107cmの距離より鋼球を落下させたときの該平板が破壊する鋼球重量)が、好ましくは535g以上、より好ましくは1kg以上であり、高強度の樹脂組成物である。
また、本発明のブレンド樹脂組成物は、屈折率ndが好ましくは1.56以上、より好ましくは1.57以上であり、また、アッベ数が好ましくは31以上、より好ましくは32以上であり、光学特性に優れている。
さらに、本発明のブレンド樹脂組成物は、染色性が好ましくは65%以上、より好ましくは80%以上である。なお、ここでいう染色性とは、分散染料(BPIブラウン)5gを純水1Lに添加し90〜91.5℃に保温して得られた染色液に、50mmφ×3.0mmの試験片を約90℃で一時間浸漬した後、分光光度計(日立製作所製;商品名「U−2910」)にて分光透過率測を測定し、数式「(染色前透過率−染色後透過率)/染色前透過率)×100」を用いて計算した値(染色濃度)をいう。
本発明のブレンド樹脂組成物の製造方法は、それぞれ別個に製造したポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)のそれぞれの固体を混合し、混練機により混練して製造してもよいし、また、溶融状態のポリカーボネート樹脂(A)に、固体のポリカーボネート樹脂(B)を添加し、あるいは溶融状態のポリカーボネート樹脂(B)に、固体のポリカーボネート樹脂(A)を添加して混練機により混練して製造してもよい。あるいは、溶融状態のポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)を混合し、混練機により混練して製造してもよい。
混練は連続式で行ってもバッチ式で行ってもよい。混練機としては、押出機、ラボプラストミル、ニーダー等が用いられるが、連続的に混練を行うならば押出機が、バッチ式で混練を行うならばラボプラストミルあるいはニーダーが好適に使用される。なお、溶融重縮合法によって製造したポリカーボネート樹脂を用いる場合には、混練時のエステル交換反応を避ける見地から、触媒失活後に混練をおこなうことが望ましい。
また、本発明のブレンド樹脂組成物のもうひとつの製造方法として、ポリカーボネート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を溶媒に溶解させ、鋳型に注ぎ込んだ後、溶媒を蒸発させる方法もある。溶媒としては、例えばメチレンクロライド、クロロホルム、クレゾールなどが使用される。この方法を用いる場合には、同時に添加剤を溶解添加することが可能であるため便利である。
本発明のブレンド樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で目的に応じ、各種公知の添加剤を加えることができる。例えば、熱安定化剤、加水分解安定剤、酸化防止剤、顔料、染料、強化剤、充填剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、流動性改良剤、帯電防止剤、抗菌剤等を添加することが好適に実施される。
これらの添加剤はブレンド混練を行う前にポリカーボネート樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂(B)のどちらか若しくは両方に事前に添加しておいてもよいし、ブレンド混練時に同時に添加して練りこんでも、ブレンド後に練りこんでもよい。
本発明に使用される酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−メチル−4−エチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−メチル−4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ,ジノニルフェニル)ホスファイト、ビス(モノノニルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジメチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4−t−ブチル−6−メチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジメチルフェニル)ヘキシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ヘキシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ステアリルホスファイト等のホスファイト化合物、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス[2−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]ブタン等のヒンダードフェノール系化合物、或いは5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン等のラクトン系化合物が挙げられ、有機不純物や金属不純物、塩素等の含有量の殆どない純度の高いものを使用するのが良好な色相を維持するのに好ましい。これらは、単独、或いは2種以上併用してもよく、特にホスファイト化合物、ヒンダードフェノール系化合物及びラクトン系化合物の各々より1種以上併用するのが有効である。
これらの酸化防止剤は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物全体に対して添加しても、また前記ポリカーボネート樹脂(A)、(B)各々別個に添加してもよい。
これらの酸化防止剤の添加量は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対して0.005〜1重量部、好ましくは、0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは、0.01〜0.2重量である。添加量が少なすぎると所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない場合がある。
本発明のブレンド樹脂組成物は、ペレット化した後、射出成形、圧縮成形、押出成形、中空成形等により成形品とすることができる。成形方法は従来公知の方法を用いることができる。
このようにして得られる成形品としては、具体的には平板、円板(射出、圧縮成形)ペレット、フィルム(押出成形)、ボトル(中空成形)などがある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、光学レンズ、眼鏡レンズ、車載レンズ、カバー、窓ガラス、タッチパネル、など幅広く光学材料として好適に用いることができる。光学レンズとしては、fθレンズ、ピックアップレンズ等が挙げられる。カバーとしてはランプカバー、ヘッドライトカバー等が挙げられる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何らの制限を受けるものではない。なお、実施例の測定値は以下の方法あるいは装置を用いて測定した。
1)数平均分子量(Mw):GPC(Shodex GPC system 11)を用い、ポリスチレン換算分子量(重量平均分子量:Mw)として測定した。展開溶媒にはTHFを用いた。
2)屈折率、アッベ数:ポリカーボネート樹脂を3mm厚×8mm×8mmの直方体にプレス成形し、屈折率計(ATAGO製)により測定した。
3)ガラス転移温度(Tg):示差熱走査熱量分析計(セイコー電子工業製)のSSC−5200(DSC)により10℃/minで測定した。
4)染色性:分散染料としてBPIブラウン5gを純水1Lに添加し、90〜91.5℃に保温して茶色の染色液を得た。50mmφ×3.0mmの試験片を約90℃で一時間浸漬して染色試験を行った。分光光度計(日立製作所製;商品名「U−2910」)にて分光透過率測を測定した。染色濃度は数式=「(染色前透過率−染色後透過率)/染色前透過率)×100」を用いて計算した。
5)強度(落球衝撃値):JIS−K5600−5−3に準拠し、落球衝撃値50mmφ×2.0mmの試験片に鋼球を107cmの距離より落下させ、試験片が破壊する鋼球重量で表示した。
6)色相:得られたペレットを射出成形して50mmφ×3mm厚のディスク試験片を作製し、色差計(東京電色(株)製;商品名「TC−1800MK2」)によりYI(黄色度)値を測定した。
7)末端OH基定量:樹脂0.25gを乾燥塩化メチレン10mLに溶解し、次いでトリエチルアミン40μLを加えてアントラキノンカルボン酸無水物0.04gと室温で浸透し反応させたのち、水洗し過剰なアントラキノンカルボン酸無水物を除去し、さらに有機層から塩化メチレンを除去し、得られた固体をGPC分析した。OH末端既知サンプルによる一点検量線法によりピーク面積よりOH濃度を求めた。(検出器UV;325nm)
<合成例1;ポリカーボネート樹脂(A1)の製造>
シクロヘキサンジメタノール10.600kg(72.0モル)、ジフェニルカーボネート15.431kg(73.5モル)、および炭酸水素ナトリウム0.0152g(1.81×10-4モル)を攪拌機および留出装置付きの50リットル反応器に入れ、窒素雰囲気760Torrの下で1時間かけて215℃に加熱し撹拌した。
その後、15分かけて減圧度を150Torrに調整し、215℃、150Torrの条件下で20分間保持しエステル交換反応を行った。さらに37.5℃/hrの速度で240℃まで昇温し、240℃、150Torrで10分間保持した。その後、10分かけて120Torrに調整し、240℃、120Torrで70分間保持した。その後、10分かけて100Torrに調整し、240℃、100Torrで10分間保持した。更に40分かけて1Torr以下とし、240℃、1Torr以下の条件下で10分間撹拌下重合反応を行った。
反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成したポリカーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。得られたポリカーボネート樹脂(A1)のMwは63,300、MFRは53.0g/10min、Tg=48℃、末端OH基量=55ppmであった。
<合成例2;ポリカーボネート樹脂(A2)の合成>
仕込み量をシクロヘキサンジメタノール10.344kg(71.729モル)、ジフェニルカーボネート14.724kg(71.7モル)とした以外は、合成例1同様に重合を行った。得られたポリカーボネート樹脂(A2)のMwは62,000、MFRは44.0g/10min、Tg=45℃、末端OH量1050ppmであった。
<実施例1>
ポリカーボネート樹脂(A1)ペレット1.0kgと、ビスフェノールAをホスゲンによりカーボネート結合させて得られたポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンE−2000」;三菱エンジニアリングプラスチック社製,Mw=60,000)ペレット9.0kgとをよく振り混ぜ、押出機により260℃で混練してペレタイズし、ブレンドペレット7.8kgを得た。該ペレットのTgは129.8℃であり、変曲点は見当たらなかった。得られた樹脂の物性を表1にまとめた。該ペレットをプレス成形して直径50mm厚さ3mmの円板を得た。円板は透明であった。円板のYIは1.55と着色が非常に少なく、落球試験の結果は535g以上と高い衝撃強度を示した。染色濃度は69.5%であり、高い染色性を示した。
<実施例2>
ポリカーボネート樹脂(A1)ペレット2kgと、ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンE−2000」)ペレット8kgとをよく振り混ぜ、押出機により260℃で混練してペレタイズし、ブレンドペレット7.8kgを得た。該ペレットのTgは116.3℃であり、変曲点は見当たらなかった。得られた樹脂の物性を表1にまとめた。該ペレットをプレス成形して直径50mm厚さ3mmの円板を得た。円板は透明であった。円板のYIは1.60と着色が非常に少なく、落球試験の結果は535g以上と高い衝撃強度を示した。染色濃度は93.2%であり、高い染色性を示した。
<実施例3>
ポリカーボネート樹脂(A1)ペレット3kgと、ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンE−2000」)ペレット7kgとをよく振り混ぜ、押出機により260℃で混練してペレタイズし、ブレンドペレット7.8kgを得た。該ペレットのTgは100.0℃であり、変曲点は見当たらなかった。得られた樹脂の物性を表1にまとめた。該ペレットをプレス成形して直径50mm厚さ3mmの円板を得た。円板は透明であった。円板のYIは1.58と着色が非常に少なく、落球試験の結果は535g以上と高い衝撃強度を示した。染色濃度は99.6%であり、高い染色性を示した。
<比較例1>
ポリカーボネート樹脂(A1)ペレットをプレス成形して直径50mm厚さ3mmの円板を得た。物性測定、試験を行い、結果を表1にまとめた。屈折率が1.525と低く、Tgが51.0℃と極めて低かった。
<比較例2>
ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンE−2000」)ペレットをプレス成形して直径50mm厚さ3mmの円板を得た。物性測定、試験を行い、結果を表1にまとめた。アッベ数が30と低く、染色濃度が25.0%と極めて低かった。
<比較例3>
ポリカーボネート樹脂(A1)ペレット4kgと、ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンE−2000」)ペレット6kgとをよく振り混ぜ、押出機により260℃で混練りしてペレタイズし、ブレンドペレット7.8kgを得た。該ペレットのTgは93.0℃であり変曲点は見当たらなかった。得られた樹脂の物性を表1にまとめた。該ペレットをプレス成形して直径50mm厚さ3mmの円板を得た。円板は透明であった。円板のYIは2.01とであった。落球試験の結果は535gであった。染色濃度は99.8%であり、高い染色性を示した。
<比較例4>
ビスフェノールA13.01kg(57.0モル)、シクロヘキサンジメタノール4.33kg(3.00モル)、ジフェニルカーボネート12.85kg(60.00モル)、および炭酸水素ナトリウム0.0152g(1.81×10−4モル)を攪拌機および留出装置付きの50リットル反応器に入れ、窒素雰囲気760Torrの下、1時間かけて215℃に加熱し撹拌した。
その後、15分かけて減圧度を150Torrに調整し、215℃、150Torrの条件下で20分間保持しエステル交換反応を行った。さらに37.5℃/hrの速度で240℃まで昇温し、240℃、150Torrで10分間保持した。その後、10分かけて120Torrに調整し、240℃、120Torrで70分間保持した。その後、10分かけて100Torrに調整し、240℃、100Torrで10分間保持した。更に40分かけて1Torr以下とし、240℃、1Torr以下の条件下で10分間撹拌下、重合反応を行った。
反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み加圧にし、生成したポリカーボネート樹脂をペレタイズしながら抜き出した。得られたポリカーボネート樹脂(A3)のMFRは10.0g/10min、Tg=136.5℃であった。樹脂ペレットをプレス成形して直径50mm厚さ3mmの円板を得た。物性測定、試験を行い、結果を表1にまとめた。衝撃強度が255gと低く、YIが2.93とかなり着色した。
<比較例5>
ビスフェノールA9.05kg(39.6モル)、シクロヘキサンジメタノール3.88kg(26.9モル)、ジフェニルカーボネート13.92kg(65.00モル)を使用するほかは比較例3同様に反応を行った。得られたポリカーボネート樹脂(A4)のMFRは14.0g/10min、Tgは97℃であった。該ペレットをプレス成形して直径50mm厚さ3mmの円板を得た。円板は透明であった。物性測定、試験を行い、結果を表1にまとめた。衝撃強度が226gとやや低く、YIが3.05と着色がみられた。
<比較例6>
ポリカーボネート樹脂(A2)ペレット3kgと、ポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンE−2000」)ペレット7kgとをよく振り混ぜ、押出機により260℃で混練りしてペレタイズし、ブレンドペレット7.8kgを得た。該ペレットのTgは89.0℃であり変曲点は見当たらなかった。得られた樹脂の物性を表1にまとめた。該ペレットをプレス成形して直径50mm厚さ3mmの円板を得た。円板は透明であった。円板のYIは3.65と着色していた。落球試験の結果は115gと強度が低かった。染色濃度は99.0%であり、高い染色性を示した。
<比較例7>
ポリカーボネート樹脂(A1)ペレット3kgと、ビスフェノールAからなるポリカーボネート樹脂(商品名「ユーピロンH−4000」;三菱エンジニアリングプラスチック社製、Mw=33,000)ペレット7kgとをよく振り混ぜ、押出機により260℃で混練してペレタイズし、ブレンドペレット7.8kgを得た。該ペレットのTgは98.5℃であり、変曲点は見当たらなかった。得られた樹脂の物性を表1にまとめた。該ペレットをプレス成形して直径50mm厚さ3mmの円板を得た。円板は透明であった。円板のYIは1.25で、落球試験の結果は115gと強度が低かった。染色濃度は98.5%であり、高い染色性を示した。
Figure 0005287704
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、屈折率とアッベ数のバランスに優れ、強度が高く、且つ優れた色相と染色性を有するものであり、光学用材料、眼鏡レンズ、車載レンズ、カバー、窓ガラス、タッチパネル、など幅広く光学材料として好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルによりカーボネート結合させてなる末端OH基量が500ppm以下のポリカーボネート樹脂(A)と、一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物をホスゲンによりカーボネート結合させてなるポリカーボネート樹脂(B)とが、(100×(A))/((A)+(B))=5〜35となる比率で配合されている、ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0005287704
  2. 前記ポリカーボネート樹脂(A)のポリスチレン換算による重量平均分子量が10,000以上200,000以下である、請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 前記ポリカーボネート樹脂(B)のポリスチレン換算による重量平均分子量が40,000以上80,000以下である、請求項1又は2記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. ポリスチレン換算による重量平均分子量が40,000以上70,000以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. JIS−K5600−5−3に準拠して測定した落球衝撃値が535g以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 屈折率ndが1.56以上、アッベ数が31以上である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  7. ガラス転移温度が85℃以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる光学レンズ。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる眼鏡レンズ。
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