JP3420889B2 - 芳香族ポリカーボネート組成物及びその製造法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート組成物及びその製造法

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JP3420889B2
JP3420889B2 JP18356296A JP18356296A JP3420889B2 JP 3420889 B2 JP3420889 B2 JP 3420889B2 JP 18356296 A JP18356296 A JP 18356296A JP 18356296 A JP18356296 A JP 18356296A JP 3420889 B2 JP3420889 B2 JP 3420889B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色相、熱安定性、
耐加水分解性に優れた、エステル交換法により得られた
芳香族ポリカーボネート組成物及びその製造法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化
合物とを反応させて芳香族ポリカーボネートを製造する
いわゆるエステル交換法は、工程が比較的単純であり、
操作、コスト面でホスゲン法(界面重合法)に比べ優位
性が発揮できるだけではなく、毒性の強いホスゲンや塩
化メチレン等のハロゲン系溶剤を使用しないという点に
おいて、環境保全の面からも最近注目されている。しか
しながら現在のところ、エステル交換法は大規模な工業
プロセスとしての採用は未だ少ない。その原因は、従来
のエステル交換法で製造されるポリカーボネートは物性
面でいくつかの欠点を有しているからであり、特に、加
熱による色相の悪化が大きな問題となっている。この問
題を解決するために、これまで種々の検討がなされて来
たが、十分な熱安定性を有するポリカーボネートを得る
ことが困難であった。
【0003】エステル交換法による製造では、界面重合
法による製造に比べ、末端水酸基量が多くなることが指
摘されている(高分子分析ハンドブック345頁(朝倉
書店(1985年刊))。実際、特別の工夫なしにエス
テル交換法によりポリカーボネートを製造すれば、全末
端基中の末端水酸基濃度が30モル%〜50モル%と非
常に多いものが簡単に生成することが知られている(特
開平2−261860号公報)。末端水酸基量が多い芳
香族ポリカーボネートは熱安定性等の物性が悪く、その
ため、適当な安定剤無しに末端水酸基による物性低下を
防ごうとすれば、末端停止剤を使用する必要があるが
(特開平2−175723号公報)、それだけではまだ
熱安定性は不十分であった。
【0004】さらに、ヒンダードフェノール系の化合物
を安定剤として添加する例として、特開平4−1226
号公報が開示されているが、使用触媒量が非常に多く、
熱安定性改善が不十分であった。以上のように、従来知
られていた芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法で
は、ポリカーボネートの末端水酸基量、使用触媒量の影
響を考慮して適当量の安定剤を使用することをしておら
ず、熱安定性改善が十分になされたとは言えなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温下にお
いても高い透明性と良好な色相を維持する、熱安定性の
優れた、エステル交換法により得られる芳香族ポリカー
ボネート組成物及びその製造法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、
(A)炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とを
溶融重合して得られる末端水酸基量が1,000ppm
以下で、且つ残留炭酸ジエステル量が500ppm以下
の芳香族ポリカーボネート中に、(B)下記一般式
(1)の1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ
-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
を10〜1,000ppm含有することを特徴とする芳
香族ポリカーボネート組成物を提供するものである。
【0007】
【化2】
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。本発明で用いられる芳香族ポリカーボネートは、
炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とを、エス
テル交換触媒を用いて溶融重合することにより得られ
る。本発明で用いられる炭酸ジエステルは、下記の一般
式(2)で表される化合物である。
【0009】
【化3】
【0010】(式中Rは1価の脂肪族又は1価の芳香族
基であり、Rは同一であっても異なっていてもよい。) 上記一般式(2)で表される炭酸ジエステルは、例え
ば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、
ジトリルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等
が例示されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネー
ト、置換ジフェニルカーボネートが挙げられる。これら
の炭酸ジエステルは単独或いは2種以上を混合して用い
てもよい。また、上記のような炭酸ジエステルと共に、
好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル
%以下の量でジカルボン酸或いはジカルボン酸エステル
を使用してもよい。このようなジカルボン酸或いはジカ
ルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル
等が用いられる。このようなカルボン酸或いはカルボン
酸エステルを炭酸ジエステルと併用した場合には、ポリ
エステルカーボネートが得られる。
【0011】本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化
合物は下記一般式(3)で表される化合物である。
【0012】
【化4】
【0013】(式中、Aは1〜15の炭素数を有する2
価の炭化水素基、ハロゲン置換の2価の炭化水素基また
は−S−、−SO2−、−SO−、−O−、及び−CO
−のごとき2価の基を示し、Xはハロゲン原子、炭素数
1〜14のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、
炭素数1〜8のオキシアルキル基及び炭素数6〜18の
オキシアリール基を示す。mは0または1であり、yは
0〜4の整数である。)
【0014】上記一般式(3)で表される芳香族ジヒド
ロキシ化合物は例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス〔4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)
フェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4'−ジヒドロキ
シ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニ
ル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペン
タン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロ
ヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4'−ジヒドロキ
シジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'
−ジクロロジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシ
−2,5−ジエトキシフェニル)オキシド等が例示され
る。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独或いは2
種以上を混合して用いることができ、必要に応じて共重
合体とすることもできる。
【0015】また、本重合に用いる炭酸ジエステル、芳
香族ジヒドロキシ化合物の純度は高ければ高いほど良
く、ナトリウム量で0.1ppm以下、Fe量で0.5p
pm以下、加水分解性Cl量で0.3ppm以下、その
他の不純成分においても0.5ppm以下のものを原料
として使用するのが適当である。
【0016】本発明の芳香族ポリカーボネートはエステ
ル交換反応により製造されるが、最終的な末端水酸基量
は、仕込み時の原料モル比、触媒量、加熱温度、加熱時
間、減圧プロセス等により異なり、たとえこれらが同じ
であっても、発生する芳香族ヒドロキシ化合物や原料の
環流効率や、製造装置の熱的常数及びスケールによって
も異なってくる。しかし、製造装置その他の条件が変わ
らなければ、仕込み原料比でほぼ任意の末端水酸基量の
ポリマーを得ることが出来る。
【0017】芳香族ポリカーボネートの末端水酸基量と
1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチ
ル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕の添加量
とにより、その熱安定性改良効果は著しく異なる。効果
が発現する芳香族ポリカーボネートの末端水酸基量は、
通常、0.1ppm〜1,000ppmであることが必須
であり、好ましくは700ppm以下、更に好ましくは
500ppm以下が適当であり、末端水酸基量が1,0
00ppmより多い場合では、1,6-ヘキサンジオール
-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕を添加したとしても、所望の耐熱
物性が得られない。
【0018】重合は一般には二段階以上の多段工程で実
施される。具体的には、第1段目の反応は常圧または減
圧下に120〜260℃、好ましくは180〜240℃
の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応
させる。ついで反応系の減圧度を上げながら反応温度を
高め、最終的には5mmHg以下の減圧下、240〜3
20℃の温度で重縮合反応を行う。
【0019】反応の形式は、バッチ式、連続式、或いは
バッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよ
く、使用する装置は、槽型、管型或いは塔型のいずれの
形式であってもよい。
【0020】本発明においては、分子量に特に制限はな
いが、粘度平均分子量(Mv)が10000〜5000
0の範囲であることが好ましい。
【0021】本発明の芳香族ポリカーボネートの製造に
おいては、エステル交換触媒として金属触媒を用いる。
ここでいう金属触媒とは、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、及び希土類を含む遷移金属元素からなる触媒のこ
とをいう。以上の中ではアルカリ金属触媒、希土類金属
触媒が特に好ましい。使用量する触媒中の金属の量は、
芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜10μモ
ル/モルであり、好ましくは0.1〜5μモル/モルで
あり、さらに好ましくは、0.2〜3μモル/モルであ
る。触媒中の金属の量が0.01μモル/モル未満であ
れば所望の分子量のポリカーボネートを得ることが難し
く、10μモル/モルを越えては物性が低下してしま
う。
【0022】本発明に使用できる触媒を例示すれば、ア
ルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリ
ウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステア
リン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素
ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素
ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、
安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水
素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸
2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリ
ン酸2リチウム、イミノカルボン酸ナトリウム塩、ビス
フェノールAの2ナトリウム塩、ビスフェノールAの2
カリウム塩、ビスフェノールAの2リチウム塩、フェノ
ールのナトリウム塩、フェノールのカリウム塩、フェノ
ールのリチウム塩、テトラメチルホウ素、テトラエチル
ホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、
トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、
トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、
トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ
素、トリブチルメチルホウ素、トリブチルベンジルホウ
素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ
素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニル
ホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、
カリウム塩、リチウム塩、セシウム塩、或いはストロン
チウム塩等があるが、好ましくは炭酸塩、リン酸塩、ほ
う酸塩、4級アンモニウム塩であり、更に好ましくは、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フェニ
ルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フ
ェニルリン酸2セシウム、テトラフェニルほう酸ナトリ
ウム、テトラフェニルほう酸カリウム、テトラフェニル
ほう酸セシウム等を単独或いは併用するのが適当であ
る。
【0023】また、アルカリ土類金属化合物としては、
水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸
水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロ
ンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バ
リウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バ
リウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステ
アリン酸バリウム、ステアリン酸ストロンチウム等が例
示できる。
【0024】希土類金属触媒としては、ランタン、セリ
ウム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、ジスプ
ロシウム、エルビウム、イッテルビウム等の酸化物、水
酸化物、炭酸塩、酢酸塩、芳香族または脂肪族アルコー
ルの塩、リン酸または酸性リン酸エステルの塩及びハロ
ゲン化物等が挙げられるが、好ましい金属としてはラン
タン、セリウムであり、酸化ランタン、炭酸ランタン、
酢酸ランタン、ランタンフェノキシド、ランタンメトキ
シド、炭酸セリウム、酸化セリウム、セリウムフェノキ
シド等が例示できる。その他の遷移金属触媒としては、
酸化チタン、酸化ニッケル、二酸化マンガン、酢酸コバ
ルト、酢酸ニッケル、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウ
ム等が挙げられる。
【0025】また本発明では、前述の金属触媒と併用し
てホウ素系化合物、アミン系化合物、アンモニウム化合
物或いはリン系化合物のうち、前述の金属を含まない化
合物も触媒として使用できる。これらは、1種類で使用
してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい
が、これらの触媒量は当然、本発明の金属触媒量には含
めない。これらの触媒の使用量は、通常は触媒中の金属
の量が、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.001
〜1,000μモル/モル、好ましくは0.1〜100μ
モル/モルの範囲で用いられる。
【0026】これらの化合物として、例えば、4−アミ
ノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−
4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2
−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メ
トキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2
−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプ
トイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノ
リン、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テト
ラエチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラプロピル
アンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウ
ムヒドロキサイド、トリメチルエチルアンモニウムヒド
ロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキ
サイド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキサイ
ド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、
トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキサイド、トリ
ブチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチ
ルフェニルアンモニウムヒドロキサイド、テトラフェニ
ルアンモニウムヒドロキサイド、ベンジルトリフェニル
アンモニウムヒドロキサイド、ベンジルトリフェニルア
ンモニウムヒドロキサイド、メチルトリフェニルアンモ
ニウムヒドロキサイド、ブチルトリフェニルアンモニウ
ムヒドロキサイド、テトラエチルホスホニウムテトラヒ
ドロキシボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ
ヒドロキシボレート等が例示される。
【0027】本発明における末端水酸基量、1,6-ヘキ
サンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート〕量及び使用触媒量の
間の関係をさらに詳しく説明すると、末端水酸基量をA
ppm、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ
-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
の添加量をBppm、使用触媒量をCμモル/モル(芳
香族ジヒドロキシ化合物に対し)とした時、次式
【0028】
【数2】−500≦A−(B/C)≦500 かつ 0.1≦A<1,000、10≦B<500 および
0.01≦C<10
【0029】を満たす範囲で該安定剤を添加することが
必要である。好ましくは、 −400≦A−(B/C)≦400 かつ 0.1≦A<1,000、 10≦B<500 および
0.01≦C<10 とすることであり、さらに好ましくは、 −300≦A−(B/C)≦300 かつ 0.1≦A<1,000、 10≦B<500 および
0.01≦C<10 である。いずれの場合にも、上記式より算出される使用
可能な添加量に幅がある場合には、1,6-ヘキサンジオ
ール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート〕の添加量は、ポリカーボネー
トに対して10〜1,000ppm、好ましくは50〜
500ppmであり、さらに好ましくは50〜300p
pmとすればよい。これより少ないと所望の効果が得ら
れず、過剰では機械的物性、耐熱物性が低下するなどの
逆効果が生じるので適当ではない。
【0030】本願の式を用いることにより、製造条件の
変動による末端水酸基量の変化に応じて最適添加剤量を
加減することが出来、安定剤不足による物性低下や、過
剰添加による悪影響を避けることが出来る。
【0031】1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,
5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート〕の添加時期、添加方法について特に制限はない
が、例えば、重合反応の途中または重合反応の終了時に
ポリカーボネート等で希釈した1,6-ヘキサンジオール
-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕のマスターバッチペレットを添加
する方法が挙げられる。
【0032】本願の製造法で得られる芳香族ポリカーボ
ネート組成物は、その物性を損なわない範囲で目的に応
じ、界面法ポリカーボネートで一般に用いられている紫
外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、帯電防止
剤、顔料、染料等の他の添加剤との併用も可能である。
また、添加時期については特に制限はないが、重合終了
後の溶融状態にある間、或いは、ペレット化後の成形時
等が好ましい。
【0033】酸化防止剤としては、ヒンダードフェノー
ル系、リン系、イオウ系等のものがあり、具体的には、
n-オクタデシル-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブ
チルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−
テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリ
コールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス
{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメ
チルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
(5.5)ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6
−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テ
トラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'
−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−
ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4'−ビフ
ェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−
ホスファイト、チオジエチレン ビス−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート等が挙
げられる。添加量としては10〜1,000ppmの範
囲で用いるのが好ましい。
【0034】本発明では、前述の安定剤の他にリン系の
安定剤を併用することが出来る。そのようなリン系化合
物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n
−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、
トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ン、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイ
ト等が例示される。
【0035】また触媒の失活剤としては、芳香族スルホ
ン酸化合物が有効であり、特にp−トルエンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸エステルが適当であり、好
ましくはp−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホ
ン酸ブチルを用いるのが望ましい。p−トルエンスルホ
ン酸エステルとしては、p−トルエンスルホン酸メチ
ル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスル
ホン酸プロピル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−
トルエンスルホン酸ペンチル、p−トルエンスルホン酸
ヘキシル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トル
エンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸フェ
ネチル、p−トルエンスルホン酸ナフチル等が例示され
る。添加量としては、触媒の金属量の1〜10倍モル添
加するのが適当であり、この範囲から外れると十分な失
活作用が得られないか、または余剰のp−トルエンスル
ホン酸、或いはp−トルエンスルホン酸エステルが、
1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチ
ル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を分解し
て十分な効果が得られない。
【0036】また、本発明における芳香族ポリカーボネ
ートでは、樹脂中に残存する炭酸ジエステル量として
は、500ppm以下のものが適当であり、好ましく
は、300ppm以下、更に好ましくは、100ppm
以下が望ましい。残存炭酸ジエステルの量がこれ以上多
いとポリカーボネートの十分な耐熱物性が得られない。
残存する炭酸ジエステル量を低減させるためには、例え
ば、溶媒による洗浄又は抽出、他の化合物添加による分
解または反応等があるが、好ましくは、押出機を用いて
各種添加剤を添加しペレット化する際に、減圧処理して
低減することである。さらに注水脱揮することが好まし
いが、この場合、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-
(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕を添加する前に注水して脱揮することが好ま
しい。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例になんらの制限を受けるも
のではない。なお、得られたポリカーボネートの評価
は、以下の方法により行った。 (1)分子量 ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中20℃の極
限粘度[η]を測定し、以下の式より粘度平均分子量
(Mv)を求めた。 [η]=1.11×10-4×(Mv)0.83
【0038】(2)末端OH量 四塩化チタン/酢酸法(Makromol Chem.88 215(1965))
により比色定量を行った。
【0039】(3)色相 得られたポリカーボネートより直径50mmφ、3mm
厚の円板状の射出成型品を製作し、東京電色製オートマ
チックカラーアナライザーMODEL TC−1800
MKIIによりYI値を測定した。(値が小さい方が色相
は良好)
【0040】(4)残留モノマー 得られたポリカーボネート5gを塩化メチレン15ml
に溶解し、アセトンにより再沈した。これを濾過後、濾
液を蒸発乾燥し残留物をクロロホルムに溶解しこれを試
料とした。ガスクロマトグラフィー(島津製 GC-14PF 1
00V)にてDPCの定量を行った(カラム:Silicone OV
-17 ガスクロ工業(株))。また、GPC(島津製 SPD
-6A)にて残留BPA及びフェノールの定量を行った
(カラム:Shodex,k-806M×2.k803.K-802×2)。
【0041】(5)ナトリウム量 20グラムのポリマーを用いて原子吸光法(バリヤン社
スペクトロ−AA)により定量した。
【0042】実施例 1 ジフェニルカーボネート〔以下DPC〕及び2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノー
ルA:以下BPA〕を溶解槽にて窒素雰囲気下、150
℃でモル比(DPC/BPA)1.15で溶解混合し
た。第一槽、210℃−100mmHg下で水酸化ナト
リウムを1.0μモル/モル(BPAに対して)の比で添加
し、第二槽 240℃−15mmHg、第三槽280℃
−0.5mmHgの条件で、各槽滞留時間1時間で連続
的に重合反応を行って、ポリカーボネートを得た。第三
槽より溶融状態のポリカーボネートを二軸押出機に送
り、二軸押出機にてp−トルエンスルホン酸ブチル(以
下p−TSB)を5ppmの割合で添加し、3ベント各
部でモノマー及び低分子量体を注水脱揮し、1,6-ヘキ
サンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート〕〔チバガイギー
(株)社製:イルガノックス259(以下、IRG259)〕
を200ppmの割合で添加混練した後、ペレタイザー
によりペレットとした。得られたポリカーボネートは、
Mv=14600、末端OH=230ppm、残留DP
C=180ppmであった。次に、射出成型機にて直径
50mmφ、3mm厚の円板を製作した。得られた円板
のYI値は1.18であった。この円板を熱風乾燥機中
に140℃、240時間の条件でエージング試験を実施
した後のYI値は1.36であった。 実施例2〜5、比較例1〜3 BPAとDPCのモル比、触媒種・量、添加剤量等を表
1に示すように変え、実施例1と同様な方法でポリカー
ボネートを製造、評価した。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明の方法によれば、特定の構造を有
するヒンダードフェノール系化合物を特定の条件を満た
すように添加することによって、エージング処理を行っ
ても優れた耐熱安定性を有するポリカーボネートを製造
することができ、工業的にも極めて有効な方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 昌敏 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社 横浜総合研究所内 (72)発明者 川井 道生 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学 株式会社 四日市総合研究所内 (56)参考文献 特開 平7−247354(JP,A) 特開 平7−247353(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 69/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロ
    キシ化合物とを溶融重合して得られる末端水酸基量が
    1,000ppm以下で、且つ残留炭酸ジエステル量が
    500ppm以下の芳香族ポリカーボネート中に、
    (B)下記一般式(1)の1,6-ヘキサンジオール-ビ
    ス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニ
    ル)プロピオネート〕を10〜1,000ppm含有す
    ることを特徴とする芳香族ポリカーボネート組成物。 【化1】
  2. 【請求項2】 芳香族ポリカーボネート中のナトリウム
    量が0.09ppm以下であることを特徴とする請求項
    1に記載の芳香族ポリカーボネート組成物。
  3. 【請求項3】 更に触媒失活剤としてp-トルエンスル
    ホン酸或いはp-トルエンスルホン酸エステルを、触媒
    金属量の1〜10倍当量含有することを特徴とする請求
    項1に記載の芳香族ポリカーボネート組成物。
  4. 【請求項4】 エステル交換触媒0.01〜10μモル
    /モル(芳香族ジヒドロキシ化合物に対する触媒中の金
    属の量)の存在下、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキ
    シ化合物とを溶融重合して得られた、末端水酸基量が
    1,000ppm以下である芳香族ポリカーボネート
    (A)に、(B)1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-
    (3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
    オネート〕を10〜1,000ppm配合することを特
    徴とする請求項1記載の芳香族ポリカーボネート組成物
    の製造法。
  5. 【請求項5】 芳香族ポリカーボネートの末端水酸基量
    をAppm、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,
    5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ
    ート〕の添加量をBppm、使用したエステル交換触媒
    の量をCμモル/モル(芳香族ジヒドロキシ化合物に対
    して)とした時、次式 【数1】 −500≦A−(B/C)≦500 かつ 0.1≦A<1,000、10≦B<500 および 0.01≦C<10 を満たす範囲で、(B)成分の1,6-ヘキサンジオール
    -ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニ
    ル)プロピオネート〕を配合することを特徴とする請求
    項4に記載の芳香族ポリカーボネート組成物の製造法。
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