JP5328068B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
一方、芳香族ジオール化合物と炭酸ジエステル化合物とを溶融状態でエステル交換し、副生するフェノール等の低分子量物を系外に取り除きながら芳香族ポリカーボネートを得る方法も、いわゆる溶融重合法又はエステル交換法として古くから知られている。溶融重合法は、界面重縮合法による上記のような問題点もなく、芳香族ポリカーボネートが製造できるという利点がある一方、ホスゲン法に比べて高温で重合を行うため、製品の芳香族ポリカーボネート中にヤケ異物やゲル状異物等の異物が発生し易いという問題がある。
ところが、本発明者等が検討したところ、ポリマーフィルターを通過させてもなお樹脂中に10μm以上の透明異物がしばしば生成していることが判明した。また、この透明異物については、本質的にポリマー中に内在し、フィルターで濾過しようとしても捕集できないことが判明した。
Mv≦21000の場合は、
N≦exp(6.824×10-4×Mv−8.626) (1)
Mv>21000の場合は、
N≦exp(8.514×10-5×Mv+3.916) (2)
芳香族ポリカーボネート(A)
本発明で使用する芳香族ポリカーボネート(A)を製造する際の溶融重合の原料として、炭酸ジエステル化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物とが用いられる。
[炭酸ジエステル化合物]
原料の炭酸ジエステル化合物は、下記式(1)で示される。
また、製法によって炭酸ジエステル化合物中に不純物として含まれることがある、ハロゲンイオンは、副反応である架橋構造生成反応を抑制しないだけでなく、触媒を被毒して主反応である重縮合反応を阻害するため、炭酸ジエステル化合物中のハロゲンイオンは、重量基準で、好ましくは30ppb以下、さらに好ましくは20ppb以下、中でも10ppb以下が好適である。
もう一つの原料である芳香族ジヒドロキシ化合物は、下記式(2)で示される。
溶融重合法により芳香族ポリカーボネートを製造する際には、通常エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒としては、主として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用され、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。これらの触媒は、1種類で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
触媒量の反応速度への寄与としては、アルカリ金属化合物触媒を使用した場合、主反応には一次であるが、副反応(架橋構造生成)には二次で効いてくるため、Mvが20000以上の高分子量ポリカーボネートを生産する場合には、後述するように温度を高めにし、触媒量は少なめにする手法を採ることが好ましい。
本発明に関わる芳香族ポリカーボネート(A)は、芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステル化合物の溶融重合によって得られる芳香族ポリカーボネートにおいて、10μm以上の透明異物数(N:単位は個/g)と粘度平均分子量(Mv)とが、下記(1)又は(2):
Mv≦21000の場合は、
N≦exp(6.824×10-4×Mv−8.626) (1)
Mv>21000の場合は、
N≦exp(8.514×10-5×Mv+3.916) (2)
好ましくは、下記(1’)又は(2’):
Mv≦21000の場合は、
N≦exp(6.52×10-4×Mv−9.087) (1’)
Mv>21000の場合は、
N≦exp(1.115×10-4×Mv+2.179) (2’)
更に好ましくは、下記(1”)又は(2”):
Mv≦21000の場合は、
N≦exp(6.52×10-4×Mv−9.78) (1”)
Mv>21000の場合は、
N≦exp(9.796×10-5×Mv+1.855) (2”)
すなわち、芳香族ポリカーボネートから製膜されたフィルム(厚み70μm)につき、実体顕微鏡(倍率200倍)を用いて、大きさが10μm以上の透明異物の総数を数え、1g当たりの異物数を算出し、「10μm以上の透明異物数」とする。測定に際し、核のない透明異物の平面的境界は、周辺との屈折率が異なることによって定め、その大きさは、該平面的境界上の2点間の最大距離とする。
また、本発明において、「粘度平均分子量」は、次のようにして求める。
すなわち、芳香族ポリカーボネートの塩化メチレン中、温度20℃の極限粘度[η]から、下記の式により「粘度平均分子量(Mv)」を算出する。
[η]=1.23×10-4Mv0.83
溶融重合によって得られる芳香族ポリカーボネートは、その分子鎖上に、熱転移、脱炭酸、脱水縮合等の副反応によって生成した種々の架橋構造単位を有する。代表的なものを挙げれば、▲1▼下式(3)で示されるサリチル酸フェニル構造単位(以下、PSA単位と略す)、▲2▼下式(4)で示されるフェノキシ安息香酸構造単位(以下、PBA単位と略す)及び▲3▼下式(5)で示されるジフェニルエーテルジカルボン酸構造単位(以下、DCA単位と略す)がある。
これらの架橋構造単位の含有量は、芳香族ポリカーボネートを重クロロホルム等の重水素化溶媒に溶解させて直接NMRで測定したり、芳香族ポリカーボネートを一旦加水分解し、主鎖のカーボネート結合を切断しモノマー単位にした後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等を測定したりすることにより求めることができる。
この様な架橋構造単位の総含有量(Tc:単位重量ppm)と前述の10μ以上の透明異物数(N:単位個/g)とは、下記式:
Mv≦21000の場合、
N=exp(2.616×10-3×Tc+1.518)
Mv>21000の場合、
N=exp(8.109×10-4×Tc+4.613)
FRR=MVR(260/21.6)/MVR(260/2.16)
で表されるフローレイト比(FRR)が17以下であることが好ましく、更に好ましくは15以下である。FRRが17より大きいと、精密成形品の射出成形が困難になるので好ましくない。
本発明に関わる芳香族ポリカーボネート(A)は、上述のような芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステル化合物を原料とし、溶融重合により、オリゴマー化工程とポリマー化工程など、二段階以上の多段工程で製造される。一般的には反応温度140〜320℃、反応時間0.1〜5時間、常圧より減圧度を上げながら、副生するモノフェノール化合物をラインから連続的に除去しながら反応を行う。必要に応じて窒素等の不活性ガスを流通させることもできる。また、モノフェノール化合物に同伴する原料を反応槽に戻すために分留塔を反応器に付設することもできる。オリゴマー化工程の反応温度は通常100〜300℃、好ましくは180〜280℃の範囲で、反応圧力は大気圧〜133Paまでの範囲である。一方、ポリマー化工程の最終段階での反応温度は芳香族ポリカーボネートの分子量、色調、透明異物量等、要求性能により決定され、通常200〜320℃であるが、前述の架橋構造生成反応は高温になるほど旺盛となるので、可能な限り低温で反応終了することが好ましい。一方、Mv=20000以上の芳香族ポリカーボネートを得るには、反応温度を高くする必要があるため、最も反応温度が高い段階で、通常250〜320℃、好ましくは260℃〜300℃、さらに好ましくは260〜280℃、特に好ましくは260〜275℃、中でも260〜270℃が好適である。さらに、外部加熱温度も架橋構造生成に影響を及ぼすため、好ましくは320℃以下、特に好ましくは300℃以下、さらに好ましくは295℃以下、中でも290℃以下が好適である。
各段階の反応時間は、反応の進行の程度により適宜定められるが、好ましくはオリゴマー化工程、ポリマー化工程トータルで0.1〜10時間、中でも1〜6時間が最適であり、特に反応温度の最も高い段階での滞留時間は、透明異物生成に影響が大きいため、好ましくは0.1〜5時間、更に好ましくは0.2〜3時間、中でも0.3〜2時間が好適である。
反応は、実質的に無酸素下で行われることが好ましく、例えば、運転開始前に原料調整槽、反応器及び配管内を窒素ガス等の不活性ガスで置換しておく。通常、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との溶融混合物を、竪型反応器に供給する。触媒は、原料とは別のラインで第1反応槽に直接供給してもよいし、第1反応槽に入る手前の配管内で、スタティックミキサー等により原料と混合した状態で供給させてもよい。必要に応じて、触媒を溶解又は懸濁するための溶媒が用いられる。好ましい溶媒としては、水、アセトン、フェノール等が挙げられる。
本発明で使用する熱安定剤(B)としては、例えば、ヒンダードフェノール化合物、リン化合物、イオウ化合物、エポキシ化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。これらの中で、ヒンダードフェノール化合物及びリン化合物から選ばれた少なくとも1種の熱安定剤が好ましく用いられる。
本発明においては、リン化合物として、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジホスホナイト、又はトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが好ましい。
FRR=MVR(260/21.6)/MVR(260/2.16)
で表されるフローレイト比(FRR)が17以下であることが好ましく、更に好ましくは15以下である。FRRが17より大きいと、精密成形品の射出成形が困難になるので好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤(C)、離型剤(D)から選ばれた少なくとも1種の添加剤を配合することができる。
紫外線吸収剤(C)としては、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物等の有機紫外線吸収剤が挙げられる。本発明では、これらのうち有機紫外線吸収剤が好ましく、特にベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
ジフェニルカーボネート(DPC)約5gを精秤してトルエン10mLに加え、60℃で溶解後、超純水(塩素イオンを含有しないイオン交換水)10mLを添加し、23℃の恒温室でマグネチックスターラーを用い1000rpmで10分間攪拌した後、水相を分離、水相中の塩素イオンをイオンクロマトグラフィーで定量した。分析結果はDPCの重量に対する塩素イオンの重量を、ppb単位で表した。
芳香族ポリカーボネートを濃度(C)0.6g/dl塩化メチレン溶液とし、ウベローデ粘度計を用いて、温度20℃で測定した比粘度(ηsp)から、下記の両式
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10-4Mv0.83
(3)架橋構造単位
▲1▼ 加水分解処理:
芳香族ポリカーボネート1gを、塩化メチレン100mlに溶解した後、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液18ml、メタノール80mlを加え、さらに純水25mlを添加した後、室温で1時間攪拌して完全に加水分解した。その後、1規定塩酸を加え、塩化メチレン層を分離して、加水分解物を得た。
▲1▼で得られた加水分解物1gをアセトニトリル10mlに溶解し、逆相液体クロマトグラフィーにより測定した。逆相液体クロマトグラフィーは、溶離液としてアセトニトリルと10mM酢酸アンモニウム水溶液とからなる混合溶媒を用い、アセトニトリル/10mM酢酸アンモニウム水溶液比率を20/80からスタートし80/20までグラジュエントする条件下、カラム温度40℃で測定を行い、検出は波長280nmのUV検出器((株)島津製作所製、商品名:SPD−6A)を用い、定量はBPAの検量線から各ピーク面積をBPA換算の重量に変換し加水分解前のポリマー重量に対する重量として求めた。
なお、ピークの同定は、Agilent(株)製LC−MS(商品名:Agilent−1100)及び日本電子製NMR(商品名:AL−400)を用いて行った。
芳香族ポリカーボネートを窒素雰囲気下、120℃で6時間以上乾燥した後、(株)いすず化工社製、単軸30mm押出機を用いて、厚み70μmのフィルムを製膜し、9cm×50cm範囲(約4g)の試験片5枚を切り出し、実体顕微鏡を用いて、各試験片の核のない透明異物(=フィッシュアイ)をマーキングし、倍率200倍で大きさと数を測定した。測定に際し、核のない透明異物の平面的境界は、周辺との屈折率が異なることによって定め、その大きさは、該平面的境界線上の2点間の最大距離とした。大きさが10μm以上の透明異物の総数を数え、1g当たりの異物数を算出し、「10μm以上の透明異物数」とした。
(5)フィルム外観検査
上記(4)で得られたフィルムを目視で観察、評価した。
窒素ガス雰囲気下、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを、一定のモル比(DPC/BPA=1.050)で混合し、140℃に加熱して、溶融混合物を得た。これを、140℃に加熱した原料導入管を介して、常圧、窒素雰囲気下、220℃に制御した第1竪型撹拌重合槽内に連続供給した。平均滞留時間が60分になるように、槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として炭酸セシウム水溶液を、ビスフェノールA1モルに対し、0.60μモルの割合で連続供給した。
得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットを以下の方法で評価した結果を表2に示した。
タカラ工業(株)製メルトインデクサーを用いて、熱可塑性樹脂組成物ペレットを260℃、荷重21.6kgの条件で測定した単位時間当たりの溶融流動体積MVR(260/21.6)と、260℃、荷重2.16kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積MVR(260/2.16)とを用い、下式によりフローレート比(FRR)を求めた。
FRR=MVR(260/21.6)/MVR(260/2.16)
熱可塑性樹脂組成物ペレットを120℃、4時間乾燥した後、(株)名機製作所製射出成形機(商品名:M150A−IISJ)を用いて3mm厚成形品を、320℃、成形サイクル1分間の条件で射出成形し、分光式色彩計(日本電色工業機株式会社製、商品名:SE2000)でYI値を測定した。このYI値が大きいほど着色していることを示す。
(8)320℃耐熱試験
熱可塑性樹脂組成物ペレットを120℃、4時間乾燥した後、(株)名機製作所製射出成形機(商品名:M150AII−SJ)を用いて3mm厚成型品を、320℃、成形サイクル10分間の条件で射出成形し、この条件の5ショット目の成型品について、日本電色工業機株式会社製分光式色彩計(商品名:SE2000)により透過法でYIを測定し、さらに目視によりヤケゴミを観察し、次の3段階に評価した。
○ヤケゴミなし
△ヤケゴミ少しあり
×ヤケゴミ多い
熱可塑性樹脂組成物ペレットを120℃、4時間乾燥した後、(株)名機製作所製射出成形機(商品名:M150AII−SJ)を用いて320℃、成形サイクル1分間の条件でASTM D1822の規定による1.6mm厚Lタイプ引張り衝撃試験片及びASTM D638の規定による3.2mm厚、タイプ1引張り試験片を成形し、衝撃強度と破断伸びを測定した。
(10)シートのフィッシュアイ
熱可塑性樹脂組成物ペレットを280℃の温度に設定したスクリュー径65mmのベント付押出機で溶融混練し、275℃に設定した幅600mmのTダイを通し、表面温度が130℃に設定された2本のポリッシングロールで挟圧しながら冷却し、厚さ0.5mmのシートを押出し、目視によりフィッシュアイを観察し、次の3段階に評価した。
○:フィッシュアイなし
△:フィッシュアイ少しあり
×:フィッシュアイ多い
(11)耐候性試験
前記(7)で初期色相を測定した成形片を、キセノンウエザーメーターを用いて、ブラックパネル温度63℃の条件で600時間処理し、処理後のYIを測定した。
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを、表1のモル比で混合し、各重合槽の温度、圧力、滞留時間、触媒の種類と濃度、添加する熱安定剤の種類と添加量を表1の条件で行った以外は、実施例1と同様な操作を行った。得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットの評価結果を表2に示した。但し、実施例3では、シートのフィッシュアイの評価において、溶融混練時の設定温度を295℃、Tダイの設定温度を285℃として実施した。
比較例1
熱安定剤を添加しない以外は、実施例2と同様な操作をおこなった。得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットの評価結果を表2に示した。
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを、表1のモル比で混合し、各重合槽の温度、圧力、滞留時間、触媒種類と濃度を表1の条件で行った以外は、実施例1と同様な操作を行った。得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットの評価結果を表2に示した。
[熱安定剤A(ヒンダードフェノール化合物)]
熱安定剤1:n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:IRGANOX1076、チバスペシャリティケミカルズ社製)
熱安定剤2:ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX1010、チバスペシャリティケミカルズ社製)
[熱安定剤B(リン化合物)]
熱安定剤3:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:アデカスタブ2112、旭電化(株)製)
熱安定剤4:2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(商品名:HP10、旭電化(株)製)
実施例1〜3の組成物に、さらに紫外線吸収剤を、表3に従って、二軸押出機の第2供給口から添加した以外は、実施例1と同様な操作を行った。得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットの評価結果を表3に示した。但し、実施例6では、シートのフィッシュアイの評価において、溶融混練時の設定温度を295℃、Tダイの設定温度を285℃とした。
比較例4〜6
比較例1〜3の組成物に、さらに紫外線吸収剤を、表3に従って、二軸押出機の第2供給口から添加した以外は、比較例1〜3と同様な操作を行った。得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットの評価結果を表3に示した。
UV1:2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:シーソーブ709、シプロ化成(株)製)
UV2:2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名:TINUVIN234、チバスペシャリティケミカルズ社製)
UV3:[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステル(商品名:SanduvorPR25、クラリアント社製)
実施例1〜3の組成物に、さらに離型剤を、表4に従って、二軸押出機の第2供給口から添加した以外は、実施例1と同様な操作を行った。得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットの評価結果を表4に示した。但し、実施例9では、シートのフィッシュアイの評価において、溶融混練時の設定温度を295℃、Tダイの設定温度を285℃とした。
比較例7〜9
比較例1〜3の組成物に、さらに離型剤を、表4に従って、二軸押出機の第2供給口から添加した以外は、比較例1〜3と同様な操作を行った。得られた熱可塑性樹脂組成物ペレットの評価結果を表4に示した。
離型剤1:グリセリンモノステアレート(商品名:リケーマルS−100A、理研ビタミン(株)製)
離型剤2:ペンタエリスリトールテトラステアレート(商品名:ユニスターH−476、日本油脂(株)製)
離型剤3:蜜ロウ(商品名:ゴールデンブランド、三木化学工業(株)製)
離型剤4:ペンタエリスリトールジステアレート(商品名:ユニスターH−476D、日本油脂(株)製)
離型剤5:ステアリン酸(商品名:ユニスターNAA180、日本油脂(株)製)
Claims (10)
- 芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステル化合物の溶融重合によって得られる芳香族ポリカーボネートにおいて、10μm以上の透明異物数(N:単位は個/g)と粘度平均分子量(Mv)とが、下記(1)又は(2):
[数1]
Mv≦21000の場合は、N≦exp(6.824×10−4×Mv−8.626)(1)
Mv>21000の場合は、N≦exp(8.514×10−5×Mv+3.916)(2)
で表される関係式を満足し、架橋構造単位の総含有量が2500ppm以下である芳香族ポリカーボネート(A)100重量部に対し、熱安定剤(B)を0.0001〜1.0重量部配合した熱可塑性樹脂組成物。
- JISK7210に準拠し、下記式で表されるフローレイト比(FRR)が17以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[数2]
FRR=MVR(260/21.6)/MVR(260/2.16)
- 熱安定剤(B)がヒンダードフェノール化合物及びリン化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 紫外線吸収剤(C)及び離型剤(D)から選ばれた少なくとも1種の添加剤を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 紫外線吸収剤(C)が、ベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルから選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 離型剤(D)が、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とを触媒の存在下に溶融重合して、10μm以上の透明異物数(N:単位は個/g)と粘度平均分子量(Mv)とが、下記(1)又は(2):
[数3]
Mv≦21000の場合は、N≦exp(6.824×10 −4 ×Mv−8.626)(1)
Mv>21000の場合は、N≦exp(8.514×10 −5 ×Mv+3.916)(2)
で表される関係式を満足し、架橋構造単位の総含有量が2500ppm以下である芳香族ポリカーボネート(A)を得、次いで、当該芳香族ポリカーボネート(A)100重量部に対し、熱安定剤(B)を0.0001〜1.0重量部を配合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 炭酸ジエステル化合物中のハロゲンイオンが重量基準で30ppb以下である請求項7に記載の製造方法。
- 触媒が芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、0.01〜10μモルである請求項7又は8に記載の製造方法。
- 溶融重合の反応温度が40〜320℃であり且つ重合槽の外部加熱温度が320℃以下である請求項7〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
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