JP2003231803A - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物および成形品

Info

Publication number
JP2003231803A
JP2003231803A JP2002032926A JP2002032926A JP2003231803A JP 2003231803 A JP2003231803 A JP 2003231803A JP 2002032926 A JP2002032926 A JP 2002032926A JP 2002032926 A JP2002032926 A JP 2002032926A JP 2003231803 A JP2003231803 A JP 2003231803A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate resin
aromatic polycarbonate
resin composition
weight
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002032926A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiro Hirai
康裕 平井
Toshihiko Yamazaki
俊彦 山崎
Kazuo Okazaki
一雄 岡崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Engineering Plastics Corp filed Critical Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Priority to JP2002032926A priority Critical patent/JP2003231803A/ja
Publication of JP2003231803A publication Critical patent/JP2003231803A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】紫外線吸収能および耐候性、金型汚染性に優
れ、耐衝撃性、耐熱性、色調安定性、透明性に優れた芳
香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供することにあ
る。 【解決手段】(a)芳香族ポリカーボネート樹脂100
重量部に対して、(b)下記構造式(1)で示される紫
外線吸収剤0.05〜1重量部、(c)亜リン酸エステ
ル系安定剤0.01〜2重量部、を配合してなる芳香族
ポリカーボネート樹脂組成物であって、上記芳香族ポリ
カーボネート樹脂が、その末端水酸基濃度が300ppm
以上であり、かつ、残存モノマー量が500ppm以下の
ものであることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物に関する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂組成物に関する。詳しくは、紫外線吸収能及
び耐候性、金型汚染性、耐加水分解性に優れ、耐衝撃
性、耐熱性、色調安定性、透明性に優れた芳香族ポリカ
ーボネート樹脂組成物、及び該組成物から得られる成形
品、特に該組成物から製造されるメガネレンズに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、強度、剛性が
大きく、また耐摩擦磨耗性が優れているので、例えば、
自動車部品、各種精密機械部品等に広く用いられてい
る。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は耐候性が十
分ではなく、例えば、屋外での使用または蛍光灯照射下
での室内使用においては、製品の変色あるいは強度の低
下により使用が制限されていた。このため、従来から種
々の光安定剤が単独であるいは数種組み合わせて用いら
れており、特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤はそ
の効果が比較的大きいので一般に用いられている。
【0003】例えば、特開平9−291205号公報に
はポリカーボネート樹脂100重量部とベンゾトリアゾ
リルフェノール基を2個有する紫外線吸収剤0.5〜3
重量部を配合してなる樹脂組成物より形成されたメガネ
レンズについて記載されている。しかしながら、この発
明で使用される紫外線吸収剤は、従来の1個のベンゾト
リアゾリルフェノール基を有する紫外線吸収剤に比べ、
金型汚染性は改善されるものの紫外線吸収剤の添加量が
多いため、金型汚染性は未だ充分に満足すべきものでな
い。
【0004】また、特公平6−51840号公報にはポ
リカーボネート樹脂組成物100重量部に対して特定の
構造で表されるアルキリデンビス(ベンゾトリアゾリル
フェノール)化合物を0.001〜5重量部添加された
耐候性の改善されたポリカーボネート樹脂組成物が記載
されているが、この公報では、前記紫外線吸収剤の添加
により、高圧水銀灯による紫外線照射前後の黄色度の変
化(ΔYI)が低下したことを示しているにすぎず、滞
留成形性及び金型汚染性、耐加水分解性についてはなん
ら言及されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、紫外
線吸収能及び耐候性、金型汚染性、耐加水分解性に優
れ、耐衝撃性、耐熱性、色調安定性、透明性に優れた芳
香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の問題を解
決するためになされたものであり、その要旨は、 (1)(a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部
に対して、(b)下記構造式(1)で示される紫外線吸
収剤0.05〜1重量部、(c)亜リン酸エステル系安
定剤0.01〜2重量部を配合してなる芳香族ポリカー
ボネート樹脂組成物であって、上記芳香族ポリカーボネ
ート樹脂が、その末端水酸基濃度が300ppm以上であ
り、かつ、残存モノマー量が500ppm以下のものであ
ることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
に関する。
【0007】
【化6】
【0008】(2)亜リン酸エステル系安定剤(c)が
下記一般式(2)および/または下記一般式(3)に示
される化合物であることを特徴とする上記(1)記載の
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0009】
【化7】 (Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪
族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素
基を表す)
【0010】
【化8】 (R2〜R4は、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1
〜20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳
香族炭化水素基を表し、m及びnは、それぞれ0〜4の
整数を表す。)
【0011】(3)本発明は、芳香族ポリカーボネート
樹脂100重量部に対して、さらに(d)フェノール系
抗酸化剤0.01〜2重量部を配合してなることを特徴
とする上記(1)または(2)記載の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂組成物に関する。
【0012】(4)また本発明は、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂100重量部に対して、さらに(e)ベンゾフ
ラノ−2−オン型化合物0.003〜1重量部を配合し
てなることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいず
れかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関す
る。
【0013】(5)ベンゾフラノ−2−オン型化合物
(e)が、下記構造式(4)または(5)で表される化
合物、あるいはこれらの混合物であることを特徴とする
上記(4)記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に
関する。
【0014】
【化9】
【0015】
【化10】
【0016】(6)芳香族ポリカーボネート樹脂(a)
が、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエ
ステル交換反応により製造された芳香族ポリカーボネー
ト樹脂であることを特徴とする上記(1)ないし(5)
のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
に関する。
【0017】(7)また本発明は、上記(1)ないし
(6)のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物より製造されたものであることを特徴とする成形
品に関する。
【0018】(8)さらにまた本発明は、上記(1)な
いし(6)のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物から製造されたものであることを特徴とする
メガネレンズに関する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂(a)は、原
料として芳香族ジヒドロキシ化合物またはこれと少量の
ポリヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルまたはホスゲン
などの炭酸結合を導入し得る化合物を用い、従来から知
られている界面重縮合法、エステル交換法などによって
製造することができる。このうち、エステル交換法によ
って製造されたものが好ましい。
【0020】芳香族ジヒドロキシ化合物としては、具体
的には、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(通常ビスフェノールAと呼称される)、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニ
ルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビ
ス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,
3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ
クロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−
2,5−ジエトキシジフェニルエーテルなどが例示され
る。これらの中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン[=ビスフェノールA]が好ましい。ま
た、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で、また
は2種以上を併用して共重合体とすることもできる。
【0021】芳香族ポリカーボネート樹脂(a)の製造に
用いられる他方の原料である炭酸結合を導入し得る化合
物としては、ホスゲン、炭酸ジエステル類などが挙げら
れる。炭酸ジエステル類の具体例としては、ジメチルカ
ーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカ
ーボネート、ジフェニルカーボネート、およびジトリル
カーボネートなどの置換ジフェニルカーボネートなどが
挙げられる。中でも好ましいのは、ジフェニルカーボネ
ート、置換ジフェニルカーボネートであり、特に好まし
いのはジフェニルカーボネートである。これらの炭酸ジ
エステル類は、1種、または2種以上を併用してもよ
い。
【0022】また、上記のような炭酸結合を導入し得る
化合物と共に、好ましくは50モル%以下、さらに好ま
しくは30モル%以下の量でジカルボン酸類、またはジ
カルボン酸エステル類を使用することができる。このよ
うなジカルボン酸類またはジカルボン酸エステル類とし
ては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフ
ェニル、イソフタル酸ジフェニルなどが挙げられる。こ
のようなカルボン酸類、またはカルボン酸エステル類を
炭酸ジエステル類と併用した場合には、ポリエステルカ
ーボネートが得られる。
【0023】また、末端停止剤として、p−ターシャリ
ーブチルフェノール、クミルフェノールなどのフェノー
ル類、2−メトキシカルボニルフェニルベンゾエート、
4−クミル安息香酸−(2’−メトキシカルボニルフェ
ニル)エステル、2−エトキシカルボニルフェニルベン
ゾエート、4−(o−メトキシカルボニルフェニル)オ
キシカルボニル安息香酸−(2’−メトキシカルボニル
フェニル)エステルなどのエステル類を、必要量使用す
ることができる。
【0024】芳香族ジヒドロキシ化合物類と炭酸ジエス
テル類との混合比率は、所望の芳香族ポリカーボネート
樹脂(a)の分子量と末端水酸基濃度により決められる。
芳香族ジヒドロキシ化合物類1モルに対して、炭酸ジエ
ステル類を等モル量以上とするのが一般的であり、好ま
しくは1.01〜1.30モル、特に好ましくは1.0
1〜1.20モルである。
【0025】エステル交換法により芳香族ポリカーボネ
ート樹脂(a)を製造する際には、通常エステル交換触媒
が使用される。エステル交換触媒としては特に制限はな
いが、主としてアルカリ金属化合物類、および/または
アルカリ土類金属化合物類が使用され、これらの触媒
は、1種類、または2種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。また、助触媒として塩基性ホウ素化合物
類、塩基性リン化合物類、塩基性アンモニウム化合物
類、またはアミン系化合物類などの塩基性化合物類を併
用することもできる。
【0026】アルカリ金属化合物類の具体例としては、
リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウ
ムの水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸水
素塩、フェニルリン酸塩などの無機アルカリ金属化合物
類や、ステアリン酸、安息香酸などの有機酸類、メタノ
ール、エタノールなどのアルコール類、石炭酸、ビスフ
ェノールAなどのフェノール類との塩などの有機アルカ
リ金属化合物類が挙げられる。
【0027】アルカリ土類金属化合物類の具体例として
は、ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロン
チウム、バリウムの水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢
酸塩などの無機アルカリ土類金属化合物類や、有機酸
類、アルコール類、フェノール類との塩などの有機アル
カリ土類金属化合物類などが挙げられる。
【0028】塩基性ホウ素化合物類の具体例としては、
テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロ
ピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホ
ウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニル
ホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジル
ホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジ
ルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニル
ホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェ
ニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素、等のナトリウ
ム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネ
シウム塩、バリウム塩、またはストロンチウム塩などが
挙げられる。
【0029】塩基性リン化合物類の具体例としては、ト
リエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、
トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフ
ィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィ
ン、または四級ホスホニウム塩などが挙げられる。
【0030】塩基性アンモニウム化合物類の具体例とし
ては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ
エチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアン
モニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒド
ロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ト
リメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチ
ルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジ
ルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアン
モニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウ
ムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒド
ロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、
ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチ
ルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリ
フェニルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
【0031】アミン系化合物類の具体例としては、4−
アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチ
ル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジ
ン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、
4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾー
ル、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メ
ルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミ
ノキノリンなどが挙げられる。
【0032】これらエステル交換触媒のうち、実用的に
はアルカリ金属化合物類、塩基性アンモニウム化合物
類、塩基性リン化合物類が望ましく、特にアルカリ金属
化合物類が好ましい。
【0033】触媒の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合
物類1モルに対して、1×10−9〜1×10−3モル
の範囲で選ぶことができる。特にアルカリ金属化合物
類、アルカリ土類化合物類では、通常は芳香族ジヒドロ
キシ化合物類1モルに対して、1×10−9〜1×10
−4モル、好ましくは1×10−8〜1×10−5モル
の範囲で選ばれる。塩基性ホウ素化合物類、塩基性リン
化合物類、塩基性アンモニウム化合物類またはアミン系
化合物類などの塩基性化合物類では、芳香族ジヒドロキ
シ化合物類1モルに対して1×10−9〜1×10−3
モル、好ましくは1×10−7〜1×10−4モルの範
囲で選ばれる。
【0034】触媒量が上記範囲より少ない場合には、所
定の分子量、所望の末端水酸基量を有する芳香族ポリカ
ーボネート樹脂(a)を製造するのに必要な重合活性が得
られず、上記範囲より多い場合は、後記する環状オリゴ
マー量の増加、ポリマー色調の悪化、耐熱性の低下、耐
加水分解性の低下や、ゲルの発生による異物量が増大す
るなど、好ましくない。
【0035】芳香族ポリカーボネート樹脂(a)の分子量
は、粘度平均分子量(Mv)で20,000〜50,0
00の範囲が好ましい。20,000未満では芳香族ポ
リカーボネート樹脂の機械的強度、さらにはレンズ成形
後の耐衝撃性が低下するため、好ましくない。また、5
0,000以上では溶融粘度が高くなり過ぎて成形性に
問題がある。上記範囲で好ましい粘度平均分子量は2
0,000〜40,000であり、中でも特に好ましく
は21,000〜30,000である。なお、本発明に
おいて粘度平均分子量(Mv)は、塩化メチレンを溶媒
とし、ウベローデ粘度計によって25℃の温度で極限粘
度[η]を測定し、次式、すなわち、 [η]=1.23×10−4×(Mv)0.83、により算
出した。
【0036】芳香族ポリカーボネート樹脂(a)の末端水
酸基濃度は、300〜2,000ppmの範囲が好まし
く、さらに好ましくは350〜1000ppm、特に好ま
しくは400〜800ppmの範囲である。
【0037】本発明において芳香族ポリカーボネート樹
脂(a)の末端水酸基濃度(ppm)は、Macromol.Chem.88 21
5(1965)に記載されている、四塩化チタンと酢酸を用い
る比色定量法により測定することができ、ビスフェノー
ルAを基準物質として次式、すなわち、末端水酸基濃度
(ppm)=芳香族ポリカーボネート樹脂中の末端水酸基量
(μmol/g)×17、で算出することができる。
【0038】上記の特性を有する芳香族ポリカーボネー
ト樹脂(a)は、前記芳香族ジヒドロキシ化合物類と、前
記炭酸結合を導入し得る化合物類とを選び、通常は上記
エステル交換触媒を使用して製造される。エステル交換
反応を行う際には、140〜320℃の温度範囲、圧力
は常圧または減圧が選ばれ、芳香族ヒドロキシ化合物な
どの副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行う方
法が挙げられる。
【0039】溶融重縮合反応は、バッチ式または連続的
に行うことができるが、製品の安定性などの観点から連
続式で行うことが好ましい。反応は通常、温度、圧力条
件を変化させた2段以上の多段工程で行われる。各段階
の反応温度は、上記範囲内で反応生成物が溶融状態にあ
れば特に制限はなく、また反応時間は、反応の進行の程
度により適宜定められるが、0.1〜10時間で選ばれ
る。具体的には、第1段目の反応は常圧または減圧下
で、温度は140〜260℃、好ましくは180〜24
0℃で、反応時間は0.1〜5時間、好ましくは0.5
〜3時間反応させる。ついで反応系の減圧度を上げなが
ら反応温度を高め、最終的には2mmHg以下の減圧
下、240〜320℃の温度で重縮合反応を行う。
【0040】溶融重縮合反応を行う装置には特に制限が
なく、槽型、管型または塔型のいずれの型式であっても
よく、各種の撹拌翼を備えた竪型重合槽、横型1軸撹拌
翼型または横型2軸撹拌翼型などの重合槽を使用するこ
とができる。溶融重縮合反応中の雰囲気は特に制限はな
いが、反応生成物の品質の観点から、窒素ガスなどの不
活性ガス存在下または減圧下で行うのが好ましい。溶融
重縮合反応終了後、製造された芳香族ポリカーボネート
樹脂は通常、ペレットとして回収されるが、その際、生
成した芳香族ポリカーボネート樹脂中に残存するモノマ
ーや副生物などの低分子量成分を除去するために、ベン
ト式押出機で溶融混練しつつ強制的に揮発させて除去で
きる。芳香族ポリカーボネート樹脂(a)中の残存モノマ
ーとしては、芳香族ジヒドロキシ化合物類、炭酸ジエス
テル類、これらの重縮合反応時の副生物および末端停止
剤であるモノヒドロキシ化合物類が挙げられる。
【0041】芳香族ポリカーボネート樹脂(a)中に含ま
れるこれら残存モノマーは、合計量500ppm以下とす
る。残存モノマーが500ppmを超えると、接合部の接
着強度が低下するので好ましくない。芳香族ポリカーボ
ネート樹脂(a)中の残存モノマー量は、300ppm以下
がより好ましい。さらに、各残存モノマーの残存量とし
ては、モノヒドロキシ化合物類が100ppm以下、芳香
族ジヒドロキシ化合物類が100ppm以下、炭酸ジエス
テル類が300ppm以下であることが好ましい。
【0042】溶融重縮合を行う際に触媒、特にアルカリ
金属化合物類触媒を用いた場合には、エステル交換法ポ
リカーボネート中の残存触媒を、失活剤によって中和す
るのが好ましい。残存触媒を中和する失活剤としては、
例えばイオウ含有酸性化合物類またはそれより形成され
る誘導体類が挙げられる。失活剤の使用量は、触媒のア
ルカリ金属化合物類の量に対して0.5〜10当量の範
囲が好ましく、特に好ましくは1〜5当量の範囲であ
る。生成する芳香族ポリカーボネート樹脂を基準とする
場合には、通常1〜100ppmの範囲であり、特に好ま
しくは1〜20ppmである。
【0043】イオウ含有酸性化合物類またはそれより形
成される誘導体類の例としては、スルホン酸、スルフィ
ン酸、硫酸またはそれらのエステル類であり、具体的に
はジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン
酸、そのメチル、エチル、ブチル、オクチルおよびフェ
ニルエステル類、ベンゼンスルホン酸、そのメチル、エ
チル、ブチル、オクチル、フェニルおよびドデシルエス
テル類、ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフィン
酸、ナフタレンスルホン酸などが挙げられる。これらの
化合物のうち、p−トルエンスルホン酸のエステルまた
はベンゼンスルホン酸のエステル類が好ましく、これら
の化合物は1種、または2種以上を併用することができ
る。
【0044】上記失活剤を生成した芳香族ポリカーボネ
ート樹脂(a)へ添加する方法は、特に限定されるもので
はなく、従来から知られている方法によることができ
る。例えば、上記の失活剤を直接または希釈剤で希釈し
て、溶融または固体状態にある生成した芳香族ポリカー
ボネート樹脂に添加し、混合する方法によることができ
る。具体的には重縮合反応器、反応器からの樹脂移送ラ
イン、または押出機で溶融混練する際のいずれかで失活
剤を添加することにより、芳香族ポリカーボネート樹脂
に混合することができる。また、ミキサーなどで芳香族
ポリカーボネート樹脂のペレット、フレーク、粉末など
に失活剤を混合した後、押出機によって溶融混練する方
法であってもよい。
【0045】なお、本発明においては、ポリカーボネー
トに紫外線吸収剤、離型剤、着色剤等の各種添加剤を配
合することもでき、ポリカーボネートの製造途中、又は
ペレット製造の前にこれらの添加剤を添加する場合もあ
り、一般にそれらの添加剤を含んだものを「ポリカーボ
ネート」と称する場合があるが、本発明で規定する上記
関係式の値は、これらの添加剤を全く含まないポリカー
ボネートについて求められるものである。
【0046】本発明に用いられる紫外線吸収剤(b)
は、下記構造式(1)に示されるベンゾトリアゾリルフ
ェノール基を分子中に2個有する構造のものである。
【0047】
【化11】
【0048】この紫外線吸収剤を用いることにより、成
形性を阻害することなく、かつ透明性を損なうことな
く、成形加工時において、紫外線吸収剤の昇華による金
型汚染性を抑制することができる組成物を得ることがで
きる。上記構造式を有する紫外線吸収剤の市販品として
は、例えば、旭電化工業(株)製「LA−31」(商品
名)が挙げられる。
【0049】本発明に用いられる紫外線吸収剤(b)の
配合量としては、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)1
00重量部に対して0.05〜1重量部であり、好まし
くは0.06〜0.7重量部であり、さらに好ましくは
0.07〜0.4重量部である。
【0050】次に本発明において必須成分として用いら
れる亜リン酸エステル系安定剤(c)(以下、単に「リ
ン系安定剤」ということがある)としては、種々のもの
が使用し得るが、耐加水分解性が要求される組成物につ
いては、ペンタエリスリトール構造を有する亜リン酸エ
ステル系安定剤の使用は、プレッシャークッカ−試験
(120℃,100%RH,5hr)後に、成形品が白
濁する虞があり好ましくない。本発明において用いられ
る亜リン酸エステル系安定剤(c)としては、下記一般
式(2)および/または下記一般式(3)に示される構
造を有する亜リン酸エステル系安定剤が好ましいものと
して用いられる。
【0051】
【化12】 (Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪
族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素
基を表す)
【0052】
【化13】 (R2〜R4は、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1
〜20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳
香族炭化水素基を表し、m及びnは、それぞれ0〜4の
整数を表す。)
【0053】上記一般式(2)または(3)の構造を有
する亜リン酸エステル系安定剤としては、例えば、トリ
ス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホス
ファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−
ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイ
ト、トリス(エチルフェニル)ホスファイト及びトリス
(ブチルフェニル)ホスファイトなどがあげられる。上
記亜リン酸エステル系安定剤のうち、トリス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2
−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)オクチルホスファイトが好ましい。
【0054】本発明において、亜リン酸エステル系安定
剤(c)の配合量としては、芳香族ポリカーボネート樹
脂(a)100重量部に対して0.01〜2重量部であ
る。配合量が0.01重量部より少ないと、安定剤とし
ての効果が不十分であり、一方、2重量部を超えて添加
してもそれ以上の安定剤としての効果は得られない。亜
リン酸エステル系安定剤の配合量は、0.02〜1重量
部が好ましい。
【0055】上記リン系安定剤を用いることにより耐候
性、耐衝撃性、透明性、色調安定性に優れた芳香族ポリ
カーボネート樹脂組成物が得られるが、このリン系安定
剤に加えて、さらにフェノール系抗酸化剤を配合するこ
とにより、さらなる耐候性、色調安定性が優れた芳香族
ポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
【0056】本発明において使用されるフェノール系抗
酸化剤(d)としては、特に制限はないがヒンダードフ
ェノール系が好適に用いられる。代表的な例としてはペ
ンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チ
オジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,
N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピ
オナミド]、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペン
タデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス
(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニ
ル]メチル]ホスフォエート、3,3',3",5,
5',5"−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a"−
(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレ
ゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−ク
レゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−
(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリ
ル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−
1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5
H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−
(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリア
ジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。上
記のうちで、特にペンタエリスリト−ルテトラキス[3
−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネートが好ましい。これらのフェノール系抗酸
化剤は,チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社より商品
名「イルガノックス1010」及び「イルガノックス1
076」として市販されており、容易に入手することが
できる。
【0057】上記フェノール系抗酸化剤(d)の配合量
としては、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重
量部に対して0.01〜2重量部である。配合量が0.
01重量部より少ないと、抗酸化剤としての効果が不十
分であり、一方2重量部を超えて添加してもそれ以上の
抗酸化剤としての効果は得られない。フェノール系抗酸
化剤の配合量は上記範囲の中では,0.02〜1重量部
が好ましい。
【0058】本発明においては、さらに下記構造式
(4)または(5)で表される講造を有するベンゾフラ
ノ−2−オン型化合物(e)を使用することができる。
【0059】
【化14】
【0060】
【化15】
【0061】上記ベンゾフラノ−2−オン型化合物は、
ポリマー中のアルキルラジカルを捕捉し、自動酸化反応
を抑制する効果を有しており、かつ、成形加工時に黄変
を抑える効果を有する特殊な化合物である。このベンゾ
フラノ−2−オン型化合物を、亜リン酸エステル系安定
剤及びフェノール系抗酸化剤と併用することにより、大
幅な加工安定性を改善することができる。本発明におい
ては、上記構造式(4)または(5)で表される2種の
混合物であってもよい。このようなベンゾフラノ−2−
オン型化合物はチバ・スペシャリティ−・ケミカルズ社
から商品名「HP−136」として市販されている。亜
リン酸エステル系安定剤及びフェノール系抗酸化剤とを
組合わせたものとして、チバ・スペシャリティ−・ケミ
カルズ社から商品名「イルガノックスHP2215」、
「イルガノックスHP2225」、「イルガノックスH
P2251」、「イルガノックスHP2921」、ある
いは「イルガノックスHP2411」として市販されて
おり入手が容易である。
【0062】ベンゾフラノ−2−オン型化合物(e)の
配合量としては、芳香族ポリカーボネート樹脂(a)1
00重量部に対して、0.003〜1重量部である。
0.003重量部より少ない場合には、ポリマー中のア
ルキルラジカルを捕捉する効果、自動酸化反応を抑制す
る効果、かつ、成形加工時に黄変を抑える効果が不十分
であり、1重量部を超えた量を添加しても、それ以上の
上記に記した効果は得られない。ベンゾフラノ−2−オ
ン型化合物の配合量は、0.005〜0.5重量部が好
ましく、さらに好ましくは0.007〜0.1重量部で
ある。
【0063】本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製
造方法としては、特に制限はなく、例えば、(a)芳香
族ポリカーボネート樹脂、(b)紫外線吸収剤、(c)
亜リン酸エステル系安定剤、必要であれば(d)フェノ
ール系抗酸化剤、さらに必要であれば(e)ベンゾフラ
ノ−2−オン型化合物を一括溶融混練する方法、あるい
は(a)芳香族ポリカーボネート樹脂、(b)紫外線吸
収剤、(c)亜リン酸エステル系安定剤を予め混練後、
必要であれば(d)フェノール系抗酸化剤、さらに必要
であれば(e)ベンゾフラノ−2−オン型化合物を配合
し、溶融混練する方法などが挙げられる。
【0064】本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、
上記の(a)〜(e)成分以外に、離型剤、さらに必要
であれば、顔料、染料などの添加剤を配合することがで
きる。
【0065】離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪
族カルボン酸エステル、数平均分子量200〜15,0
00の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコ
ーンオイルから選ばれた少なくとも1種の化合物等芳香
族ポリカーボネート樹脂に使用されるものが用いられ
る。これらの中で、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン
酸エステルから選ばれた少なくとも1種が好ましく用い
られる。
【0066】脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽
和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカル
ボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸
は、脂環式カルボン酸も包含する。このうち好ましい脂
肪族カルボン酸は、炭素数6〜36のモノ又はジカルボ
ン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン
酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具
体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、
カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベ
ヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テ
トラトリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
【0067】脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪
族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同
じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステル
を構成するアルコール成分としては、飽和又は不飽和の
1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を
挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原
子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これら
のアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の
飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂
肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好まし
い。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包
含する。
【0068】これらのアルコールの具体例としては、オ
クタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルア
ルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリト
ール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノー
ル、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロ
パン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができ
る。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物とし
て脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有してい
てもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
【0069】脂肪族カルボン酸エステルの具体例として
は、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合
物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベ
ヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテー
ト、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステア
レート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリ
トールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノス
テレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペン
タエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリト
ールテトラステアレートを挙げることができる。
【0070】該離型剤の配合量は、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂100重量部に対して5重量部以下であり、好
ましくは1重量部以下である。5重量部を超えると耐加
水分解性の低下、射出成形時の金型汚染等の問題があ
る。該離型剤は1種でも使用可能であるが、複数併用し
て使用することもできる。
【0071】また、必要に応じて添加される顔料や染料
は、従来から目的に応じて芳香族ポリカーボネート樹脂
に適宜使用されるそれ自体公知のものが使用される。
【0072】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、紫外線吸収能にすぐれており、その他に透明性、
金型汚染性、耐衝撃性などの諸物性に優れているので、
特にメガネレンズの用途に適している。本発明の芳香族
ポリカーボネート樹脂組成物を用いてメガネレンズを製
造する方法は、金型を用いた射出成形による製造方法等
が挙げられる。
【0073】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。なお、ポリカーボネート
以外の原材料と樹脂組成物試験方法を次に示す。
【0074】(1)紫外線吸収剤−1:下記構構造式
(1)で表される紫外線吸収剤
【0075】
【化16】 (2)紫外線吸収剤−2:2−(2H−ベンゾトリアゾ
ール−2−イル)−4−(1,1,3,3,−テトラメ
チルブチル)フェノール
【0076】(3)リン系安定剤−1:2,4―ジ−t
ert−ブチルフェニル)ホスファイト (4)リン系安定剤−2:2,2−メチレンビス(4,
6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファ
イト
【0077】(5)フェノール系抗酸化剤:ペンタエリ
スリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
商品名:IRGANOX1010,チバ・スペシャルテ
ィ・ケミカルズ社製
【0078】(6)ベンゾフラノ−2−オン型化合物:
下記構造式(4)で表される化合物、商品名:HP−1
36、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製
【0079】
【化17】
【0080】試験片の物性評価は次に記載のように行っ
た。
【0081】(A)曇価(Haze)及び黄変度(Y
I):日本製鋼所製J−50EP成形機を用いて厚さ3
mmのプレートを290℃で通常成形した。得られた成
形品(プレート)について、曇価は濁度計NDH−20
00(日本電色工業(株)製)で測定し、黄変度は分光
式色彩計SE−2000(日本電色工業(株)製)で測
定した。
【0082】(B)滞留成形後のΔE,ΔYI:日本製
鋼所製J−50EP成形機を用いて、320℃−10分
サイクルで厚さ3mmのプレートを成形し、最初の1シ
ョット目と7ショット目の色相を分光式色彩計SE−2
000を用いて測定し、ΔE,ΔYIを求めた。
【0083】(C)UVカット波長:日本製鋼所製J−
50EP成形機を用いて、厚さ2mmのプレートを29
0℃で通常成形した。得られた成形品(プレート)を用
いて分光光度計UV−3100PC((株)島津製作所
製)を用いて、JIS−K7361 に準拠して測定し
た。
【0084】(D)金型汚染性:日精樹脂製PS−40
成形機を用い、しずく型金型を用いて、成形温度290
℃で500ショット連続成形し、終了後金型の付着物の
有無について評価を行った。 ○:金型の付着物が少ない。△:金型の付着物が多い。
×:金型の付着物が非常に多い。
【0085】(E)メガネレンズの耐衝撃性試験:レン
ズ、レンズ枠およびブリッジ部のフロントならびにパッ
ド部が一体に成形されたゴーグル型金型で厚さ2mmの
レンズ部を有する保護メガネを成形後、直径6cm、重
さ1.05kgの鉄球を1.8mの高さから落下させる
方法による落球衝撃試験を行って評価した。 ○:面衝撃試験で割れず。×:面衝撃試験で割れ発生。
【0086】(G)ポリカーボネートの粘度平均分子量
(Mv):ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中
25℃の極限粘度[η]を測定し、次式より粘度平均分
子量(Mv)を求めた。 [η]=1.23×10
−4×(Mv)0.83
【0087】(H)ポリカーボネートの末端OH基含有
量:四塩化チタン/酢酸法(Makromol.Chem.88 21
5(1965)に記載の方法)により比色定量を行っ
た。測定値は、ポリカーボネート重量に対する末端OH
基の重量をppm単位で表示した。
【0088】(J)残留モノマー量:カラムにWaters社
製のμ−Bondersphereを使用し、溶媒としてアセトニト
リルと酢酸水との混合液を使用し、UV検出器を備えた
高速液体クロマトグラフによって測定した。
【0089】参考例(芳香族ポリカーボネート樹脂の製
造) ビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを原料と
し、エステル交換触媒として炭酸セシウムをビスフェノ
ールA1モルに対して0.5×10−5モル添加して、
エステル交換反応を行い、末端水酸基濃度とモノマー残
留量の異なる3種類の芳香族ポリカーボネート樹脂(P
C−1、PC−2、PC−3)を製造した。得られた3
種類の芳香族ポリカーボネート樹脂が溶融状態にある間
に、パラトルエンスルフォン酸ブチル(失活剤)を5pp
m添加した後、押出機で混練してペレット化した。得ら
れた3種類の芳香族ポリカーボネート樹脂(PC−1、
PC−2、PC−3)についての分析値を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】実施例1〜7、比較例1〜7 組成物の原料を表2〜3に示す配合処方で、タンブラー
にて20分混合後、40mm単軸押出機にてシリンダー
温度290℃でペレット化し、射出成形機にて、シリン
ダー温度290℃にて厚さ3mmのプレートを通常成形
及び10分間320℃で滞留させて成形し、耐候性及び
黄変度を評価した。また、上記したゴーグル型金型で厚
さ2mmのレンズ部を有する保護メガネを成形後、上記
試験法により衝撃試験を行った。評価結果を表2、表3
に示す。
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物は、紫外線吸収能及び耐候性、金型汚染性、耐加水
分解性に優れ、耐衝撃性、耐熱性、色調安定性、透明性
に優れており、特にメガネレンズ用途等に極めて有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/524 C08K 5/524 G02C 7/02 G02C 7/02 (72)発明者 山崎 俊彦 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 (72)発明者 岡崎 一雄 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 4F071 AA50 AC11 AC19 AE05 AF23 AF30 AF57 AH19 BA01 BB05 BC07 4J002 CG011 EJ038 EJ068 EL079 EU166 EU188 EW048 EW067 FD037 FD039 FD056 FD078 GP01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)芳香族ポリカーボネート樹脂10
    0重量部に対して、 (b)下記構造式(1)で示される紫外線吸収剤0.0
    5〜1重量部、 (c)亜リン酸エステル系安定剤0.01〜2重量部、 を配合してなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であ
    って、上記芳香族ポリカーボネート樹脂が、その末端水
    酸基濃度が300ppm以上であり、かつ、残存モノマー
    量が500ppm以下のものであることを特徴とする芳香
    族ポリカーボネート樹脂組成物。 【化1】
  2. 【請求項2】 (c)亜リン酸エステル系安定剤が下記
    一般式(2)および/または下記一般式(3)に示され
    る化合物であることを特徴とする請求項1記載の芳香族
    ポリカーボネート樹脂組成物。 【化2】 (Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の脂肪
    族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素
    基を表す) 【化3】 (R2〜R4は、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1
    〜20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳
    香族炭化水素基を表し、m及びnは、それぞれ0〜4の
    整数を表す。)
  3. 【請求項3】 芳香族ポリカーボネート樹脂100重量
    部に対して、さらに(d)フェノール系抗酸化剤0.0
    1〜2重量部を配合してなることを特徴とする請求項1
    または請求項2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 芳香族ポリカーボネート樹脂100重量
    部に対して、さらに(e)ベンゾフラノ−2−オン型化
    合物0.003〜1重量部を配合してなることを特徴と
    する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の芳香族
    ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (e)ベンゾフラノ−2−オン型化合物
    が、下記構造式(4)または(5)で表される化合物、
    あるいはこれらの混合物であることを特徴とする請求項
    4記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。 【化4】 【化5】
  6. 【請求項6】 芳香族ポリカーボネート樹脂(a)が、芳
    香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル
    交換反応により製造された芳香族ポリカーボネート樹脂
    であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいず
    れかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれか1項
    に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より製造さ
    れたものであることを特徴とする成形品。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項6のいずれか1項
    に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から製造さ
    れたものであることを特徴とするメガネレンズ。
JP2002032926A 2002-02-08 2002-02-08 ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 Pending JP2003231803A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002032926A JP2003231803A (ja) 2002-02-08 2002-02-08 ポリカーボネート樹脂組成物および成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002032926A JP2003231803A (ja) 2002-02-08 2002-02-08 ポリカーボネート樹脂組成物および成形品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003231803A true JP2003231803A (ja) 2003-08-19

Family

ID=27775899

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002032926A Pending JP2003231803A (ja) 2002-02-08 2002-02-08 ポリカーボネート樹脂組成物および成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003231803A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006049228A1 (ja) * 2004-11-05 2006-05-11 Teijin Chemicals Ltd. 眼鏡レンズおよび光学成形品用ポリカーボネート樹脂成形材料
US7473723B2 (en) 2004-01-20 2009-01-06 Teijin Chemicals, Ltd. Spectacles lens and production method thereof
WO2009139478A1 (ja) * 2008-05-13 2009-11-19 帝人化成株式会社 偏光眼鏡レンズ
JP2011148843A (ja) * 2010-01-19 2011-08-04 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ポリカーボネート樹脂組成物

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7473723B2 (en) 2004-01-20 2009-01-06 Teijin Chemicals, Ltd. Spectacles lens and production method thereof
WO2006049228A1 (ja) * 2004-11-05 2006-05-11 Teijin Chemicals Ltd. 眼鏡レンズおよび光学成形品用ポリカーボネート樹脂成形材料
US7786195B2 (en) 2004-11-05 2010-08-31 Teijin Chemicals Ltd. Spectacle lens and polycarbonate resin molding material for optical moldings
WO2009139478A1 (ja) * 2008-05-13 2009-11-19 帝人化成株式会社 偏光眼鏡レンズ
JPWO2009139478A1 (ja) * 2008-05-13 2011-09-22 帝人化成株式会社 偏光眼鏡レンズ
JP2011148843A (ja) * 2010-01-19 2011-08-04 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ポリカーボネート樹脂組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1500671B1 (en) Aromatic polycarbonate composition and hollow container therefrom
US8158745B2 (en) Polycarbonates having rearrangement structures, cyclic and linear oligomers and also flow behavior
JP5966251B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
KR101794501B1 (ko) 폴리카보네이트 수지 조성물 및 성형품
WO2011071162A1 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物並びにこれを成形して得られる成形体、フィルム、プレート及び射出成形品
WO2011071164A1 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
KR20180022712A (ko) 폴리카보네이트 수지 조성물, 그 제조 방법, 성형체
KR20120117755A (ko) 폴리카보네이트 수지 조성물 및 성형품
WO2011071163A1 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
JP6188272B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
JP5655657B2 (ja) Led信号用部材
JP2015189905A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
KR102200887B1 (ko) 충격강도가 개선된 친환경 폴리에스테르 카보네이트 수지 조성물 및 그 제조방법
JP2016156031A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
JP2003301101A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物および成形品
JP5328068B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP5786551B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
JP2003231803A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物および成形品
JP6176066B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP2012041467A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
JP2003231804A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びその組成物からなる成形品
CN112969758B (zh) 芳香族聚碳酸酯树脂组合物
JP2004115609A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品
JP6897912B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP2003231805A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びその組成物からなる成形品