JP4511877B2 - ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Description
以下本発明の詳細について説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物におけるA成分は、該樹脂組成物の主成分となるポリカーボネート樹脂である。代表的なポリカーボネート樹脂(以下、単に「ポリカーボネート」と称することがある)は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものであり、反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法及び環状カーボネート化合物の開環重合法等を挙げることができる。
(1)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃であるポリカーボネート、あるいは
(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%であるポリカーボネート。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明で使用するB成分は、下記一般式(I)で表される環状イミノエステルである。
本発明ではC成分として上記一般式(II)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が使用される。本発明で使用するC成分は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の中でも、ポリカーボネート樹脂の色相に与える影響が比較的少ないという利点がある。かかるC成分をB成分と組合せることにより、その色相は更に改良され、かつ成形加工後および長期使用後においても、かかる色相は比較的良好に保たれる。また殊にアイウエア用途においては、ポリカーボネート樹脂の紫外線による変色のみならず、紫外線の遮蔽を目的として紫外線吸収剤が樹脂中に配合される場合がある。かかる場合にあっても色相と紫外線遮蔽能力との微妙なバランスを、B成分およびC位成分の含有量の調整によって簡便に行える点で、本発明の樹脂組成物は有効である。
本発明で使用するD成分は、多価アルコールと脂肪族カルボン酸とのフルエステルであって、かつ500〜2000g/モルの分子量を有する脂肪酸フルエステル化合物が好ましい。かかる特定の脂肪酸フルエステルとの組合せにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は良好な透明性および離型性を有し、かつ金型付着物生成を低減している。かかる脂肪酸フルエステル化合物の分子量は、より好ましくは600〜1800g/モルであり、更に好ましくは700〜1500g/モルである。分子量が低いほど成形品の透明性や離型性は良好になる傾向にある。これはポリカーボネート樹脂との相溶性がより良好となりやすく、また成形加工時の表面移行性が高いためと考えられる。一方分子量が高いほど脂肪酸フルエステル化合物自体の揮発性は低減され、金型付着物生成もより生じにくくなる。上記分子量範囲は透明性および離型性と、金型付着物生成の両立において優れた範囲であり、特に上記のより好適な範囲においてその特性は効果的である。尚、脂肪酸フルエステル化合物は2種以上の混合物であってもよく、混合物の場合上記の分子量は該混合物としての平均分子量となる。
通常、脂肪酸エステルの原料たる脂肪酸は、異なる鎖長、即ち炭素数の異なるアルキル基を有する脂肪酸の混合物である。したがってかかるアルキル基の分布が脂肪酸エステルの分子量に与える影響を反映させる必要がある。そのため脂肪酸の平均鎖長を算出する。かかる算出は測定周波数400MHz以上のNMR測定装置を用いた1H−NMR測定により行われる。より具体的には、アルキル基末端のメチル基(−CH3基)における水素原子のピーク面積と、アルキル基中のメチレン結合(−CH2−結合)における水素原子のピーク面積との比から、平均鎖長を算出する。尚、かかる平均鎖長は、脂肪酸エステル中のエステル成分および遊離脂肪酸のいずれにおいても同一であると仮定する。かかる仮定は製造方法を考慮すると十分に合理的である。
脂肪酸エステル中には遊離脂肪酸が少なからず含有されることから、脂肪酸エステル中の脂肪酸エステル成分と遊離脂肪酸との比率が脂肪酸エステルの分子量に与える影響を反映させる必要がある。
上記PおよびQの算出のためには、エステル結合に結合した脂肪酸成分と遊離脂肪酸との割合を第1に算出する必要がある。かかる算出は、脂肪酸エステルを測定周波数400MHz以上のNMR測定装置を用いた1H−NMR測定により行われる。具体的には、脂肪酸のカルボキシル基(遊離酸およびエステル結合に結合した脂肪酸成分のいずれのカルボキシル基も含む)に結合した炭化水素結合(例えばメチレン結合)の水素原子のピーク面積を算出する。かかるピーク面積は全脂肪酸成分の量に比例する。一方、脂肪酸エステルのアルコール成分においてエステル結合と結合した炭化水素結合の水素原子のピーク面積を算出する。かかるピーク面積は全エステル結合の量に比例する。したがってこれらのピーク面積から、上記Ff/Fe(=yとする)を算出することができる。
Ff/Fe=y=(Sc/2−Se/2)/(Se/2)
の関係からFf/Fe(=y)が算出される。
1モルの脂肪酸エステル中に含有されるエステル結合に結合した脂肪酸成分のモル数をαとする。1モルの脂肪酸エステル中に含有される水酸基(−OH基)のモル数をxとする。脂肪酸エステルのアルコール成分の価数をvとする。このとき1モルの脂肪酸エステル中に含有される正味のエステル化合物であるエステル成分のモル数は、(α−x)/vで表される。PとQとの和(P+Q)を1としたとき、Pは1モルの脂肪酸エステル中に含有されるエステル成分のモル数を表す。したがってP=(α+x)/vとなる。一方、Q=y×α=1−Pとなる。したがってαおよびxを確定することによりPおよびQを求めることができる。
(iii−1)αの算出
1モルの脂肪酸エステル中に含有されるエステル結合に結合した脂肪酸成分のモル数であるαは、上記のPおよびQの関係から、α=(v−x)/(1+v×y)の関係式を満足する。したがってxを確定することによりαを求めることができる。
1モルの脂肪酸エステルには、αモルのエステル結合に結合した脂肪酸成分、P(=(α+x)/v)モルの脂肪酸エステルにおけるアルコール成分、およびxモルのOH基の水素原子が結合してエステル成分を形成している。したがって脂肪酸エステルの分子量に対するエステル成分の寄与分Meは、Me=(α×ms)+(P×mt)+(x×1)となる。ここでmsは脂肪酸成分の分子量、mtは脂肪酸エステルにおけるアルコール成分の分子量である。msは脂肪酸成分の平均鎖長から算出することができる。Meの算出においてもxの確定が必要である。
かかるMfは、遊離脂肪酸の分子量をmuとすると、Mf=mu×Qとなる。muは脂肪酸成分の平均鎖長から算出することができる。
上記より脂肪酸エステルの分子量は、M=Me+Mfから算出される。しかしながら上記の如くかかるMeおよびMfを算出するためには、xの確定が必要である。1モルの脂肪酸エステル中に含有される水酸基(−OH基)のモル数xは、脂肪酸エステルの水酸基価より算出することができる。但し水酸基価からxを算出するためには、分子量Mの数値が必要であり、xはMの関数となる。かかるxをM=Me+Mfの式に導入することにより、Mを計算することが可能である。より簡便には次のようにMを算出する。即ちxを仮定して仮の分子量(M’)を算出する。次に該分子量M’と水酸基価より仮のxたるx’を算出する。かかるxとx’が一致する数値が真のxであり、かかる真のxより算出される分子量をMとする。
上記に詳細に説明した方法によって、本発明の脂肪酸エステルの分子量を算出することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A成分)、下記一般式(I)で表される環状イミノエステル(B成分)、および下記一般式(II)のベンゾトリアゾール化合物(C成分)からなり、100重量部のA成分を基準としてB成分は0.01〜10重量部であり、かつB成分とC成分との重量比(B/C)が1/9〜9/1の範囲にあるポリカーボネート樹脂組成物からなる。かかるA成分、B成分およびC成分を配合することにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することができる。B成分の組成割合は100重量部のA成分に対して、好ましくは0.05〜3.5重量部、更に好ましくは0.01〜1重量部である。B成分が0.01重量部未満では紫外線吸収性能が小さく、十分な耐紫外線性が得られない。一方、B成分が100重量部のA成分に対して10重量部を超えると組成物の熱安定性が悪化したり、またポリカーボネート樹脂中に溶解しにくくなるために、滞留時の熱安定性や金型付着物生成にも悪影響を与える。C成分の組成割合はB成分とC成分との重量比(B/C)で1/9〜9/1の範囲であり、好ましくは1/9〜7/3の範囲、更に好ましくは2/8〜6/4の範囲である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記A成分〜C成分(更にD成分)以外に通常ポリカーボネート樹脂に配合される各種の添加剤を含むことができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の成形加工時の熱安定性を向上させることを主たる目的として各種のリン系安定剤が更に配合されることが好ましい。かかるリン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステルなどが例示される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の成形加工時の熱安定性、耐熱老化性、および耐紫外線性を向上させることを主たる目的としてヒンダードフェノール系安定剤が更に配合されることができる。かかるヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらの中でもオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(代表的市販品としてCIBA SPECILATY CHEMICALS社製:Irganox1076(商品名))が好ましい。上記のヒンダードフェノール系酸化防止剤はいずれも入手容易であり、これらは単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、更にブルーイング剤を樹脂組成物中0.05〜3.0ppm(重量割合)含んでなることが好ましい。本発明の樹脂組成物において更に黄色味を減少させ成形品に自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の使用は非常に有効である。ここでブルーイング剤とは、橙色ないし黄色の光線を吸収することにより青色ないし紫色を呈する着色剤をいい、特に染料が好ましい。ブルーイング剤の配合により本発明のポリカーボネート樹脂組成物は更に良好な色相を得る。ブルーイング剤の量が0.05ppm未満では色相の改善効果が不十分な場合がある一方、3.0ppmを超える場合には光線透過率が低下し適当ではない。より好ましいブルーイング剤の量は樹脂組成物中0.2〜2.0ppmの範囲である。ブルーイング剤としては代表例として、バイエル社のマクロレックスバイオレットB及びマクロレックスブルーRR、並びにクラリアント社のポリシンスレンブルーRLSなどが挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は良好な透明性を有することから、更に蛍光増白剤を含むことにより、より高い光透過性や自然な透明感を付与すること、並びに蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を含むことにより、発光色を生かした意匠効果を付与することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は透明性、色相及び耐光性に優れることから光拡散剤による光拡散機能、白色顔料による光高反射機能はより効果的に発揮される。したがって、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は光拡散剤や白色顔料の配合によっても、より良好な特性を有する樹脂組成物を提供する。光拡散剤としては高分子微粒子(好適には粒径数μmのアクリル架橋粒子およびシリコーン架橋粒子など)、低屈折率の無機微粒子、およびこれらの複合物等が例示され、その割合はA成分100重量部に対し0.005〜20重量部、より好ましくは0.01〜10重量部が好ましい。白色顔料としては二酸化チタン(特にシリコーンなど有機表面処理剤により処理された二酸化チタン)顔料が特に好ましく、その割合はA成分100重量部に対し1〜30重量部、より好ましくは2〜20重量部が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、帯電防止性能が求められる場合があり、かかる場合帯電防止剤を含むことが好ましい。かかる帯電防止剤としては、例えば(i)ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩に代表されるアリールスルホン酸ホスホニウム塩、およびアルキルスルホン酸ホスホニウム塩などの有機スルホン酸ホスホニウム塩、並びにテトラフルオロホウ酸ホスホニウム塩の如きホウ酸ホスホニウム塩が挙げられる。該ホスホニウム塩は、A成分100重量部あたり5重量部以下の組成割合が適切であり、0.05〜5重量部が好ましく、1〜3.5重量部がより好ましく、1.5〜3重量部の範囲が更に好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない量の熱線遮蔽能を有する化合物を使用することができる。該化合物としてはフタロシアニン系近赤外線吸収剤、ATO、ITO、酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムなどの金属酸化物系近赤外線吸収剤、ホウ化ランタン、ホウ化セリウムおよびホウ化タングステンなどの金属ホウ化物系近赤外線吸収剤などの近赤外吸収能に優れた各種の金属化合物、ならびに炭素フィラーが好適に例示される。更に上述の如くメタリック顔料(例えば金属酸化物被覆板状充填材、金属被覆板状充填材、および金属フレークなど)も主として熱線を反射し熱線遮蔽能を発現する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、発明の効果を発揮する範囲で上記ブルーイング剤および蛍光染料以外にも各種の染顔料を使用することができる。特に透明性をより損なわない点から、染料が好適である。一方深みのある色彩や、メタリック顔料を配合してより良好なメタリック色彩を得ることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造に当たっては、その製造方法は特に限定されるものではない。しかしながら本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、各成分を溶融混練することにより製造されることが好ましい。
上記の如く得られた本発明のポリカーボネート樹脂組成物は通常上記の如く製造されたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。更にペレットを経由することなく、二軸押出機で溶融混練された樹脂を直接シート、フィルム、異型押出成形品、ダイレクトブロー成形品、および射出成形品にすることも可能である。
(1)透明性(ヘーズ):算術平均粗さ(Ra)が0.03μmであり厚さ2.0mmの成形板のヘーズを、日本電色(株)製NDH−300AによりJIS K7105に準拠して測定した。ヘーズの数値が大きいほど光の拡散が大きく、透明性に劣ることを示す。
YI=[100(1.28X−1.06Z)]/Y
ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造されたポリカーボネート樹脂パウダー100重量部に、表1〜表2記載の各種添加剤を各配合量で、並びにブルーイング剤(バイエル社製:マクロレックスバイオレットB)を0.00006重量部の配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。ポリカーボネート樹脂に添加する添加剤はそれぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂パウダーとの予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。混練ゾーンはベント口手前に1箇所のタイプとした。押出条件は吐出量25kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで280℃とした。
(A成分)
PC:ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造された粘度平均分子量22,400のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WP(商品名))
B−1:2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(竹本油脂(株)製:CEi−P(商品名))
(C成分)
C−1:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(ケミプロ化成(株)製:ケミソーブ79(商品名))
C−2:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(Ciba Specialty Chemicals K.K.製:Tinuvin234(商品名))
(C成分以外)
C−3:2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](旭電化工業(株)製:アデカスタブLA−31(商品名))
D−1:ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸からなる分子量925のフルエステル(理研ビタミン(株)製:リケスターEW−400)
かかるエステルの脂肪酸成分の平均炭素数は17.49であった(よって脂肪酸成分中のアルキル基の分子量は、15.49×14+15=231.86となる)。かかる平均炭素数は測定周波数400MHzのNMR装置(JEOL製)を用いて1H−NMR測定により算出された(以下のD成分において同じ)。また脂肪酸成分における遊離脂肪酸とエステル結合に結合した脂肪酸成分との割合(Ff/Fe)は7.7/92.3であった(y=0.0834)。かかる割合は測定周波数600MHzのNMR装置(JEOL製)を用いて1H−NMR測定により算出された(以下のD成分において同じ)。更にかかるエステルの水酸基価は6.9mgKOH/gであった。これらの値より明細書記載の方法により分子量を算出した。また1モル中の水酸基のモル数は0.114モル、1モルの脂肪酸エステル中のエステル成分(すなわちアルコール成分)のモル数(P)は0.76、遊離脂肪酸のモル数(Q)は0.24と算出された。
D−2:ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸からなる分子量1061のフルエステル(コグニスジャパン(株)製:ロキシオールVPG−861)
EPQ:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトを主成分とし、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイトを約70重量%、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトを約20重量%およびトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを約10重量%含有する安定剤混合物(クラリアントジャパン(株)製:サンドスタブP−EPQ(商品名))
HP:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(Ciba Specialty Chemicals K.K.製:Irganox1076(商品名))
上記の実施例2および5で得られたペレットを、120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、住友重機械工業(株)製SG260M−HPを用いて、シリンダー温度320℃、金型温度80℃、射速50mm/sec、および成形サイクル70秒の条件で、図1に示す素通し型のヘッドランプレンズ成形品を連続して500個成形した。かかるヘッドランプレンズは色相および透明性などの外観が良好であった。特に、実施例5のペレットを用いた成形品の成形では、成形後の金型付着物の生成が実施例2のペレットに比較して低減されていた。
更に上記の実施例2および5で得られたペレットを、プラテンの4軸平行制御機構を備えた射出プレス成形可能な大型成形機((株)名機製作所製:MDIP2100、最大型締め力33540kN)を用いて射出プレス成形し、図2に示す自動車用透明ルーフを製造した。かかる成形機は、上記と同水準に乾燥可能なホッパードライヤー設備を付帯しており、かかる乾燥後のペレットが成形に使用された。
2 レンズのドーム状部分(凸面が可動側金型に対応する)
3 レンズの外周部分
4 成形品のゲート(幅30mm、ゲート部の厚み4mm)
5 スプルー(ゲート部の直径7mmφ)
6 レンズの外周部分の直径(220mm)
7 レンズのドーム部分の直径(200mm)
8 レンズのドーム部分の高さ(20mm)
9 レンズ成形品の厚み(4mm)
11 透明ルーフ成形品本体(本体部は厚み5mmである)
12 ホットランナーノズル先端に対応する部分
13 成形品のゲート(該ゲートは厚み5mmの平板状である)
14 成形品ゲート側長さ(成形品の最大幅に相当し、1000mmである)
15 成形品流動末端側の長さ(900mm)
16 成形品本体の長さ(1240mm)
17 ゲート部を含む成形品全体の長さ(1350mm)
18 成形品の高さ(90mm)
19 取り付け用爪部
Claims (7)
- ポリカーボネート樹脂(A成分)、下記一般式(I)で表される環状イミノエステル(B成分)、および下記一般式(II)のベンゾトリアゾール化合物(C成分)からなり、100重量部のA成分を基準としてB成分は0.01〜10重量部であり、かつB成分とC成分との重量比(B/C)が1/9〜9/1の範囲にあるポリカーボネート樹脂組成物。
- 更に、A成分100重量部当たり、脂肪族多価アルコールと脂肪族カルボン酸とからなる脂肪酸フルエステル(D成分)0.005〜2重量部を含有してなる請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 脂肪族多価アルコールと脂肪族カルボン酸とからなる脂肪酸フルエステル(D成分)の分子量が500〜2000g/モルである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 上記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
- 上記成形品は、車両用透明部材である請求項5に記載の成形品。
- 上記車両用透明部材は車両用灯具カバーまたはレンズである請求項6に記載の成形品。
Priority Applications (1)
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