JP4511877B2 - ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品に関する。更に詳しくは成形品の透明性および色相に優れ、該色相が成形加工後や長期使用後においても安定して保たれるポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、優れた透明性、耐熱性、機械的強度等を有するため電気、機械、自動車、医療用途等に幅広く使用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は長期に屋外で使用する際やランプ光源のカバー等に使用される場合、アクリル樹脂等に比較して耐候性が問題となることがある。ポリカーボネート樹脂の耐候性を向上させるために種々の紫外線吸収剤を使用する技術は広く知られている。また、紫外線吸収剤とその他の添加剤を併用することで更なる耐候性を向上させる方法も幾つか提案されている。
従来、ポリカーボネート樹脂の耐候性を向上する紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が多用されている。しかしながら、該紫外線吸収剤は、少なからず可視光の青色光を吸収するために成形品が黄色化する。かかる黄色化の改善が求められる場合があった。更にかかる色相は成形加工後や長期使用後においても安定して保たれる必要がある。
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、および2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールなどの2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)(アル)アルキルフェノール((アル)アルキルフェノールの表記はアルキルフェノールおよびアルアルキルフェノールのいずれも含む意である)は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の中でも比較的青色光の吸収割合が少なく、該紫外線吸収剤を含有するボリカーボネート樹脂組成物は比較的良好な色相を有する。しかしながら例えばヘッドランプレンズまたはカバー(いわゆる素通しのヘッドランプレンズ)、液晶ディスプレーの如き薄型ディスプレー装置に使用される材料、並びにゴーグルや眼鏡レンズなどのアイウエアといった用途においては、良好な耐紫外線性を保有しつつ、更に改良された色相が望まれる場合があった。
ポリカーボネート樹脂に使用される紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系紫外線吸収剤が広く知られるところである。例えば特許文献1の実施例26にはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とポリカーボネート樹脂との組成物の紫外線安定性がよいことが開示されている。
特許文献2には、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂、(b)低蒸気圧のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤および(c)亜リン酸エステル系安定剤からの芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が開示され、該文献は、かかる組成物が成形時の耐金型汚染性、紫外線吸収能及び耐候性、耐加水分解性、耐衝撃性、耐熱性、色調安定性、並びに透明性に優れメガネレンズ成形品に好適であることに言及している。
また環状イミノエステル系化合物を樹脂材料の紫外線保護に使用する方法、並びに該化合物をポリカーボネート樹脂に配合した樹脂組成物は公知である(特許文献3および特許文献4参照)。
環状イミノエステル系化合物および特定のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤をポリカーボネート樹脂に配合した樹脂組成物は公知である(特許文献5参照)。しかし、該樹脂組成物は比較的性能の悪い組成物として例示されており、上記課題を十分に満足するとは言い難いものであった。
特開昭55−7292号公報 特開2003−301101号公報 特公昭62−31027号公報 WO03/095557号パンフレット 特表2003−534424号公報
本発明の目的は、樹脂組成物からなる成形品の透明性および色相に優れ、該色相が成形加工後や長期使用後においても安定して保たれるポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。本発明の更なる目的は該成形品として、特にヘッドランプレンズやグレージング材に代表される車両用透明部材、液晶ディスプレーの如き薄型ディスプレー装置用材料、並びにゴーグルや眼鏡レンズなどのアイウエア用材料を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。本発明者は、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、および2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールなどの2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)(アル)アルキルフェノールを含有するポリカーボネート樹脂組成物に、更に特定の環状イミノエステル化合物を特定量比組み合わせることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ポリカーボネート樹脂(A成分)、下記一般式(I)で表される環状イミノエステル(B成分)、および下記一般式(II)のベンゾトリアゾール化合物(C成分)からなり、100重量部のA成分を基準としてB成分は0.01〜10重量部であり、かつB成分とC成分との重量比(B/C)が1/9〜9/1の範囲にあるポリカーボネート樹脂組成物、
Figure 0004511877
(式(I)中、Arは炭素数6〜12である二価の芳香族炭化水素残基である。またArはヘテロ原子を含有してもよい。nは0または1を示す。)
Figure 0004511877
(式(II)中、Yは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または下記一般式(III)の基を表し、Yは炭素数1〜12のアルキル基または下記一般式(III)の基を表す。)
Figure 0004511877
(式(III)中、Zは水素または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
にかかるものである。
本発明においては、第1に上記B成分とC成分とが互に悪影響を及ぼさないことにより、本発明の所定の効果が発揮されると考えられる。更に第2に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、紫外線によるポリカーボネートの黄変を抑制する能力には優れているが、長期的にはそれ自身の紫外線劣化によって色相の安定性が十分でない場合があると考えられる。一方で環状イミノエステル化合物は、それ自身の紫外線による劣化が少ないため長期的には色相の安定化に有効である。これらの効果が相乗的に発揮され、好ましい樹脂組成物が得られるものと考えられる。
上記において好ましくは、更に、A成分100重量部当たり、脂肪族多価アルコールと脂肪族カルボン酸とからなる脂肪酸フルエステル(D成分)0.005〜2重量部を含有してなる上記のポリカーボネート樹脂組成物である。かかる構成によれば、上述の課題を解決する他に、金型付着物が少なく、離型性のよい、殊に車両用透明部材に好適なポリカーボネート樹脂組成物が提供される。かかる脂肪酸フルエステルは、より好ましくは、分子量が500〜2000g/モルである。更に好ましくは、炭素数5〜30である脂肪族の4〜8価のアルコールと炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸とのフルエステルであり、最も好ましくは該脂肪族多価アルコールはペンタエリスリトールであるフルエステルである。
更に好ましくはポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品が提供され、該成形品は好ましくは車両用透明部材、薄型ディスプレー装置用材料、およびアイウエア用材料であり、中でも好ましいのは、車両用灯具カバーまたはレンズ、並びに車両用グレージング材である。
以下本発明の詳細について説明する。
<A成分について>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物におけるA成分は、該樹脂組成物の主成分となるポリカーボネート樹脂である。代表的なポリカーボネート樹脂(以下、単に「ポリカーボネート」と称することがある)は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものであり、反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法及び環状カーボネート化合物の開環重合法等を挙げることができる。
上記二価フェノールの具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称“ビスフェノールA”)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらの中でも、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、特にビスフェノールA(以下“BPA”と略称することがある)が汎用されている。
本発明では、汎用のポリカーボネートであるビスフェノールA系のポリカーボネート以外にも、他の二価フェノール類を用いて製造した特殊なポリカーボネ−トをA成分として使用することが可能である。
例えば、二価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の二価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
殊に、高剛性かつより良好な耐加水分解性が要求される場合には、樹脂組成物を構成するA成分が次の(1)〜(3)の共重合ポリカーボネートであるのが特に好適である。
(1)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊なポリカーボネートは、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型のポリカーボネートと混合して使用することもできる。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
なお、上述した各種のポリカーボネートの中でも、共重合組成等を調整して、吸水率及びTg(ガラス転移温度)を下記の範囲内にしたものは、ポリマー自体の耐加水分解性が良好で、かつ成形後の低反り性においても格段に優れているため、形態安定性が要求される分野では特に好適である。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃であるポリカーボネート、あるいは
(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%であるポリカーボネート。
ここで、ポリカーボネートの吸水率は、直径45mm、厚み3.0mmの円板状試験片を用い、ISO62−1980に準拠して23℃の水中に24時間浸漬した後の水分率を測定した値である。また、Tg(ガラス転移温度)は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる値である。
一方、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステル又はハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート又は二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
このような二価フェノールとカーボネート前駆体とから界面重合法によってポリカーボネートを製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。また、ポリカーボネートは3官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであってもよい。ここで使用される3官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
分岐ポリカーボネートを生ずる多官能性化合物を含む場合、その量は、ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%である。また、特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。なお、かかる分岐構造の割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
また、本発明のポリカーボネートは、芳香族もしくは脂肪族(脂環式を含む)の2官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート、2官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート並びにかかる2官能性カルボン酸及び2官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。また、得られたポリカーボネートの2種以上をブレンドした混合物でも差し支えない。
ここで用いる脂肪族の2官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の2官能性のカルボン酸としては、例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸及びシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。2官能性アルコールとしては、脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメタノール等が例示される。
さらに、本発明では、A成分として、ポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
A成分のポリカーボネートは、上述した二価フェノールの異なるポリカーボネート、分岐成分を含有するポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体等の各種ポリカーボネートの2種以上を混合したものであってもよい。さらに、製造法の異なるポリカーボネート、末端停止剤の異なるポリカーボネート等を2種以上混合したものを使用することもできる。
ポリカーボネートの重合反応において、界面重縮合法による反応は、通常、二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤及び有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物又はピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために、例えば、トリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の3級アミン、4級アンモニウム化合物、4級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
また、かかる重合反応においては、通常、末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類のとしては、例えば、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール等の単官能フェノール類を用いるのが好ましい。さらに、単官能フェノール類としては、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノール及びトリアコンチルフェノール等の炭素数10以上の長鎖アルキル基で核置換された単官能フェノールを挙げることができ、該フェノールは流動性の向上及び耐加水分解性の向上に効果がある。かかる末端停止剤は単独で使用しても2種以上併用してもよい。
溶融エステル交換法による反応は、通常、二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコール又はフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は、生成するアルコール又はフェノールの沸点等により異なるが、殆どの場合120〜350℃の範囲である。反応後期には反応系を1.33×10〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコール又はフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は、通常、1〜4時間程度である。
上記カーボネートエステルとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素原子数1〜4のアルキル基等のエステルが挙げられ、中でもジフェニルカーボネートが好ましい。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができる。かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物等を用いることができる。さらに、アルカリ(土類)金属のアルコキシド類、アルカリ(土類)金属の有機酸塩類、ホウ素化合物類、ゲルマニウム化合物類、アンチモン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類等のエステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。これらの触媒は単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10−9〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−8〜5×10−6当量の範囲で選ばれる。
溶融エステル交換法による反応では、生成ポリカーボネートのフェノール性末端基を減少する目的で、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えば、2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート、2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。
さらに、溶融エステル交換法では触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。また、重合後のポリカーボネートに対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用するのが適当である。好ましい失活剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のホスホニウム塩、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等のアンモニウム塩が挙げられる。
A成分のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は限定されない。しかしながら、粘度平均分子量は、10,000未満であると強度等が低下し、50,000を超えると成形加工特性が低下するようになるので、10,000〜50,000の範囲が好ましく、12,000〜30,000の範囲がより好ましく、15,000〜28,000の範囲がさらに好ましい。この場合、成形性等が維持される範囲内で、粘度平均分子量が上記範囲外であるポリカーボネートを混合することも可能である。例えば、粘度平均分子量が50,000を超える高分子量のポリカーボネート成分を配合することも可能である。
本発明でいう粘度平均分子量は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
なお、本発明の樹脂組成物における粘度平均分子量を測定する場合は、次の要領で行う。すなわち、該樹脂組成物をその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度(ηSP)を、オストワルド粘度計を用いて求め、上式によりその粘度平均分子量Mを算出する。
<B成分について>
本発明で使用するB成分は、下記一般式(I)で表される環状イミノエステルである。
Figure 0004511877
(但し、Arは炭素数6〜12である二価の芳香族炭化水素残基である。またArはヘテロ原子を含有してもよい。nは0または1を示す。)
かかるB成分の具体例としては、2,2’−ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(上記一般式(I)におけるn=0の場合)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(1,5−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−メチル−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−ニトロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−(2−クロロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。中でも2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)が好適であり、特に2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)が好適である。上記環状イミノエステルは単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。かかる環状イミノエステルは、WO03/035735号パンフレットに開示された各種の方法によって製造することができる。すなわち原料として無水イサト酸を利用する方法(殊に再結晶化された無水イサト酸を利用する方法)、並びにアントラニル酸を利用する方法のいずれも利用可能である。これらの酸化合物とカルボン酸クロライド化合物とを反応させて、環状イミノエステル化合物を得ることができる。これらは特公昭62−31027号公報に開示された如く、生成後に再結晶化処理を行ってもよい。かかる化合物は竹本油脂(株)からCEi−P(商品名)、およびCYTEC社からCYASORB UV−3638(商品名)として市販されており、容易に利用できる。
<C成分について>
本発明ではC成分として上記一般式(II)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が使用される。本発明で使用するC成分は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の中でも、ポリカーボネート樹脂の色相に与える影響が比較的少ないという利点がある。かかるC成分をB成分と組合せることにより、その色相は更に改良され、かつ成形加工後および長期使用後においても、かかる色相は比較的良好に保たれる。また殊にアイウエア用途においては、ポリカーボネート樹脂の紫外線による変色のみならず、紫外線の遮蔽を目的として紫外線吸収剤が樹脂中に配合される場合がある。かかる場合にあっても色相と紫外線遮蔽能力との微妙なバランスを、B成分およびC位成分の含有量の調整によって簡便に行える点で、本発明の樹脂組成物は有効である。
本発明のC成分の具体例としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(代表的市販品としてケミプロ化成(株)製:ケミソーブ79(商品名)、およびCIBA SPECILATY CHEMICALS社製:TINUVIN 329(商品名)など)、並びに2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールなどが挙げられる。特に、上記一般式(II)において、下記一般式(IV)で表される、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールからなるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。該紫外線吸収剤は、TINUVIN 234(商品名、CIBA SPECILATY CHEMICALS社製)、EVERSORB 76およびEVERSORB 234(商品名、Everlight Chemical社製)、CHEMSORB 234(商品名、Gosen Pharma Corp.社製)、並びにGRS Sorb 234(商品名、GeReSo mbH社製)などとして市販されており容易に利用できる。
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<D成分について>
本発明で使用するD成分は、多価アルコールと脂肪族カルボン酸とのフルエステルであって、かつ500〜2000g/モルの分子量を有する脂肪酸フルエステル化合物が好ましい。かかる特定の脂肪酸フルエステルとの組合せにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は良好な透明性および離型性を有し、かつ金型付着物生成を低減している。かかる脂肪酸フルエステル化合物の分子量は、より好ましくは600〜1800g/モルであり、更に好ましくは700〜1500g/モルである。分子量が低いほど成形品の透明性や離型性は良好になる傾向にある。これはポリカーボネート樹脂との相溶性がより良好となりやすく、また成形加工時の表面移行性が高いためと考えられる。一方分子量が高いほど脂肪酸フルエステル化合物自体の揮発性は低減され、金型付着物生成もより生じにくくなる。上記分子量範囲は透明性および離型性と、金型付着物生成の両立において優れた範囲であり、特に上記のより好適な範囲においてその特性は効果的である。尚、脂肪酸フルエステル化合物は2種以上の混合物であってもよく、混合物の場合上記の分子量は該混合物としての平均分子量となる。
D成分に使用される多価アルコールは、特にその価数(水酸基数)が4〜8であり、炭素原子数が5〜30の脂肪族多価アルコ−ルであることが好ましい。脂肪族多価アルコ−ルの価数は、好ましくは4〜6であり、また炭素原子数は、好ましくは5〜12、より好ましくは5〜10である。脂肪族多価アルコ−ルは、炭素鎖中にエーテル結合を含んでいてもよい。脂肪族多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール〜ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられ、中でもペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールが好ましく、特にペンタエリスリトールが好ましい。
D成分に使用される脂肪族カルボン酸は好ましくは炭素数が10〜22である。該脂肪族カルボン酸としては、例えばデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、イコサン酸、およびドコサン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、およびセトレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。上記の中でも脂肪族カルボン酸は、炭素原子数14〜20であるものが好ましい。なかでも飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。特にステアリン酸およびパルミチン酸が好ましい。
ステアリン酸やパルミチン酸などの脂肪族カルボン酸は通常、動物性油脂(牛脂および豚脂など)や植物性油脂(パーム油など)などの天然油脂類から製造される。したがってステアリン酸などの脂肪族カルボン酸は通常炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物である。本発明のD成分の製造においてもかかる天然油脂類から製造され、他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなるステアリン酸やパルミチン酸が好ましく使用される。かかる混合物における各成分の組成割合の好ましい態様は次のとおりである。
D成分を構成する脂肪族カルボン酸はパルミチン酸成分とステアリン酸成分とを含み、その熱分解メチル化GC/MS(ガスクロマト−質量分析)法におけるピーク面積において、パルミチン酸成分の面積(Sp)とステアリン酸成分の面積(Ss)との合計が全脂肪族カルボン酸中80%以上であり、かつ両者の面積比(Ss/Sp)が1.3〜30であるものが好ましい。
ここで熱分解メチル化GC/MS法とは、パイロフィル上において試料である脂肪酸フルエステルと反応試剤である水酸化メチルアンモニウムを反応させて脂肪酸フルエステルを分解すると共に脂肪酸のメチルエステル誘導体を生成させ、かかる誘導体に対してGC/MS測定を行う方法である。かかる測定方法の詳細は、WO03/095557号パンフレットに記載されている。
かかるSpおよびSsの合計は、全脂肪族カルボン酸成分中85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、91%以上がさらに好ましい。また一方で上記のSpおよびSsの合計は100%とすることも可能であるが、製造コストなどの観点から98%以下が好ましく、96%以下がより好ましい。また上記の面積比(Ss/Sp)は、1.3〜30の範囲が好ましい。かかる範囲の上限は好ましくは10、より好ましくは4、更に好ましくは3である。なお、これらの混合比率は単独の脂肪族カルボン酸で満足する必要はなく、2種以上の脂肪族カルボン酸を混合することにより満足するものであってもよい。
また上記の混合比率を満足する脂肪族カルボン酸の原料となる油脂としては、例えば牛脂および豚脂などの動物性油脂、並びにアマニ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、トウモロコシ油、落花生油、綿実油、ゴマ油、およびオリーブ油などの植物性油脂を挙げることができる。上記の中でもステアリン酸をより多く含む点で動物性油脂が好ましく、さらに牛脂がより好ましい。さらに牛脂の中でもステアリン酸およびパルミチン酸などの飽和成分を多く含むオレオステアリンが好ましい。
本発明でフルエステルとは、そのエステル化率が必ずしも100%である必要はなく、80%以上であればよく、好ましくは85%以上であることを指す。かかるフルエステルは樹脂内部における樹脂間の摩擦力を低減し、よりスムースな樹脂流動を実現し、結果して成形品内部の歪みを低減可能とする効果も有する。
上記の特定の脂肪酸フルエステルの製造方法は、特に限定されるものではなく、アルコールと脂肪族カルボン酸とを従来公知の各種方法を利用することができる。また本発明の特定の条件を満足するためには、フルエステルの製造においては十分な時間をかけて反応を完全に完結するよりも、見かけ上エステル化反応が終了した比較的早い段階で反応を終了することが好ましい。反応触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、並びに2−エチルヘキシル錫などの有機錫化合物が挙げられる。
更に本発明のD成分は、より好適にはその酸価が4〜20の範囲である脂肪酸フルエステルである。かかる範囲を満足する脂肪酸フルエステルを配合することにより、更に良好な離型性が得られる。かかる酸価は4〜18の範囲がより好ましく、5〜15の範囲が更に好ましい。また成形品内部の歪みの低減も可能となる。かかる酸価が4未満では離型性の不足する場合があり、酸価が20を超えるものは熱安定性の不足する場合がある。かかる酸価を発現する主成分は、脂肪酸フルエステル中に含まれる遊離の脂肪族カルボン酸(以下単に遊離脂肪酸と称する場合がある)であり、したがって本発明で使用するD成分である脂肪酸フルエステル中には、遊離脂肪酸などの酸成分がその酸価に対応する量存在する。ここで酸価は試料1g中に含まれる遊離脂肪酸などを中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
上記特定酸価の脂肪酸フルエステルが、離型力をより低減(離型性の向上)可能とする理由は明らかではないが次のように考えられる。酸価によって測定される対象は主として遊離脂肪酸であり、これはその分子量から成形加工時にガス化し、上記と同様成形品表面への偏斥が生じ、離型性の向上に寄与すると考えられる。当然ある程度の揮発分が上昇することになるが、これらは、その割合が比較的少量であり、かつ離型時に金型側に残留する割合が少ないことから金型付着物生成が増加しないものと考えられる。
以上、本発明でいうD成分の脂肪酸フルエステルとは、エステル化合物自体のみならず、該化合物と遊離の脂肪族カルボン酸化合物との混合物をも総称するものである。さらに上記の如く酸価や重量減少温度の値が遊離脂肪族カルボン酸の割合によって変化することを利用して、低い酸価の脂肪酸フルエステルに、別途脂肪族カルボン酸を添加して、目的とする酸価を有する脂肪酸フルエステルを調整することも可能である。同様に酸価の異なる2種以上の脂肪酸フルエステルを混合して本発明の条件を満足する脂肪酸エステルを調整することも可能である。
D成分の水酸基価は、熱安定性および離型力低減の点からは低いことが好ましく、一方あまりに低いことはその製造時間の増大によりコストが増大するため好ましくない。D成分の水酸基価は、0.1〜30の範囲が適切であり、1〜30の範囲が好ましく、2〜20の範囲がより好ましい。ここで水酸基価は試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
本発明のD成分においてヨウ素価は、熱安定性の点から低いことが好ましい。D成分のヨウ素価は10以下が好ましく、1以下がより好ましい。かかるヨウ素価は試料100gにハロゲンを反応させたとき、結合するハロゲンの量をヨウ素のg数に換算した量であり、JIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
脂肪酸フルエステルの分子量は、該フルエステルを形成するのに使用される脂肪族カルボン酸がその炭素数の異なる成分の混合物である場合には、その平均炭素数(例えば飽和脂肪族カルボン酸成分をC2n+1COO(H)で表したときの平均のn数)に基づく脂肪族カルボン酸からなる脂肪酸フルエステルとして算出することができる。かかる平均炭素数は、H−NMR測定により算出されることができる。かかる算出方法としては例えば、末端のメチル基の水素原子に由来するピーク面積と中間のメチレン基の水素原子に由来するピーク面積との比から算出する方法が例示される。
またH−NMR測定により、脂肪族カルボン酸成分(遊離酸化合物およびエステル化合物のいずれも含む)における、遊離酸化合物とエステル化合物との比も算出することが可能である。したがって酸価が高く比較的多くの遊離脂肪族カルボン酸を含む場合は、かかる比も勘案することにより脂肪酸フルエステルの分子量は算出される(ここで、脂肪族カルボン酸成分における平均鎖長は遊離酸化合物とエステル化合物のいずれにおいても同一との仮定が含まれるが、かかる仮定は十分に合理的であると考えられる)。
H−NMR測定による遊離酸化合物とエステル化合物との比は、例えば、脂肪族カルボン酸成分のカルボキシル基に結合したメチレン基の水素原子のピーク面積と、エステル結合と結合したアルコール成分中のメチレン基の水素原子のピーク面積とから算出することができる。
脂肪酸フルエステル(以下の説明で単に“脂肪酸エステル”と称する)の分子量の算出はより具体的には次のように行われる。
(i)脂肪酸成分の平均鎖長の算出
通常、脂肪酸エステルの原料たる脂肪酸は、異なる鎖長、即ち炭素数の異なるアルキル基を有する脂肪酸の混合物である。したがってかかるアルキル基の分布が脂肪酸エステルの分子量に与える影響を反映させる必要がある。そのため脂肪酸の平均鎖長を算出する。かかる算出は測定周波数400MHz以上のNMR測定装置を用いたH−NMR測定により行われる。より具体的には、アルキル基末端のメチル基(−CH基)における水素原子のピーク面積と、アルキル基中のメチレン結合(−CH−結合)における水素原子のピーク面積との比から、平均鎖長を算出する。尚、かかる平均鎖長は、脂肪酸エステル中のエステル成分および遊離脂肪酸のいずれにおいても同一であると仮定する。かかる仮定は製造方法を考慮すると十分に合理的である。
(ii)脂肪酸エステル中のエステル成分のモル数(P)と遊離脂肪酸のモル数(Q)の算出
脂肪酸エステル中には遊離脂肪酸が少なからず含有されることから、脂肪酸エステル中の脂肪酸エステル成分と遊離脂肪酸との比率が脂肪酸エステルの分子量に与える影響を反映させる必要がある。
(ii−1)遊離脂肪酸のエステル結合に結合した脂肪酸成分に対する割合(Ff/Fe)の算出
上記PおよびQの算出のためには、エステル結合に結合した脂肪酸成分と遊離脂肪酸との割合を第1に算出する必要がある。かかる算出は、脂肪酸エステルを測定周波数400MHz以上のNMR測定装置を用いたH−NMR測定により行われる。具体的には、脂肪酸のカルボキシル基(遊離酸およびエステル結合に結合した脂肪酸成分のいずれのカルボキシル基も含む)に結合した炭化水素結合(例えばメチレン結合)の水素原子のピーク面積を算出する。かかるピーク面積は全脂肪酸成分の量に比例する。一方、脂肪酸エステルのアルコール成分においてエステル結合と結合した炭化水素結合の水素原子のピーク面積を算出する。かかるピーク面積は全エステル結合の量に比例する。したがってこれらのピーク面積から、上記Ff/Fe(=yとする)を算出することができる。
更に具体的には、例えば脂肪酸エステルがペンタエリスリトールのエステルの場合には、次のように算出される。脂肪酸のカルボキシル基に結合したメチレン基の水素原子のシグナルは約2.3ppmに現れる。かかる領域のピーク面積をScとする。一方、エステル結合と結合したペンタエリスリトール成分中のメチレン基の水素原子のシグナルは約4.1ppmに現れる。かかる領域のピーク面積をSeとする。これらより、
Ff/Fe=y=(Sc/2−Se/2)/(Se/2)
の関係からFf/Fe(=y)が算出される。
(ii−2)エステル成分のモル数(P)および遊離酸のモル数(Q)の算出
1モルの脂肪酸エステル中に含有されるエステル結合に結合した脂肪酸成分のモル数をαとする。1モルの脂肪酸エステル中に含有される水酸基(−OH基)のモル数をxとする。脂肪酸エステルのアルコール成分の価数をvとする。このとき1モルの脂肪酸エステル中に含有される正味のエステル化合物であるエステル成分のモル数は、(α−x)/vで表される。PとQとの和(P+Q)を1としたとき、Pは1モルの脂肪酸エステル中に含有されるエステル成分のモル数を表す。したがってP=(α+x)/vとなる。一方、Q=y×α=1−Pとなる。したがってαおよびxを確定することによりPおよびQを求めることができる。
(iii)脂肪酸エステルの分子量の算出
(iii−1)αの算出
1モルの脂肪酸エステル中に含有されるエステル結合に結合した脂肪酸成分のモル数であるαは、上記のPおよびQの関係から、α=(v−x)/(1+v×y)の関係式を満足する。したがってxを確定することによりαを求めることができる。
(iii−2)脂肪酸エステルの分子量に対するエステル成分の寄与分Meの算出
1モルの脂肪酸エステルには、αモルのエステル結合に結合した脂肪酸成分、P(=(α+x)/v)モルの脂肪酸エステルにおけるアルコール成分、およびxモルのOH基の水素原子が結合してエステル成分を形成している。したがって脂肪酸エステルの分子量に対するエステル成分の寄与分Meは、Me=(α×ms)+(P×mt)+(x×1)となる。ここでmsは脂肪酸成分の分子量、mtは脂肪酸エステルにおけるアルコール成分の分子量である。msは脂肪酸成分の平均鎖長から算出することができる。Meの算出においてもxの確定が必要である。
(iii−3)脂肪酸エステルの分子量に対する遊離脂肪酸の寄与分Mfの算出
かかるMfは、遊離脂肪酸の分子量をmuとすると、Mf=mu×Qとなる。muは脂肪酸成分の平均鎖長から算出することができる。
(iii−4)脂肪酸エステルの分子量(M)の算出
上記より脂肪酸エステルの分子量は、M=Me+Mfから算出される。しかしながら上記の如くかかるMeおよびMfを算出するためには、xの確定が必要である。1モルの脂肪酸エステル中に含有される水酸基(−OH基)のモル数xは、脂肪酸エステルの水酸基価より算出することができる。但し水酸基価からxを算出するためには、分子量Mの数値が必要であり、xはMの関数となる。かかるxをM=Me+Mfの式に導入することにより、Mを計算することが可能である。より簡便には次のようにMを算出する。即ちxを仮定して仮の分子量(M’)を算出する。次に該分子量M’と水酸基価より仮のxたるx’を算出する。かかるxとx’が一致する数値が真のxであり、かかる真のxより算出される分子量をMとする。
上記に詳細に説明した方法によって、本発明の脂肪酸エステルの分子量を算出することができる。
<組成割合について>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A成分)、下記一般式(I)で表される環状イミノエステル(B成分)、および下記一般式(II)のベンゾトリアゾール化合物(C成分)からなり、100重量部のA成分を基準としてB成分は0.01〜10重量部であり、かつB成分とC成分との重量比(B/C)が1/9〜9/1の範囲にあるポリカーボネート樹脂組成物からなる。かかるA成分、B成分およびC成分を配合することにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することができる。B成分の組成割合は100重量部のA成分に対して、好ましくは0.05〜3.5重量部、更に好ましくは0.01〜1重量部である。B成分が0.01重量部未満では紫外線吸収性能が小さく、十分な耐紫外線性が得られない。一方、B成分が100重量部のA成分に対して10重量部を超えると組成物の熱安定性が悪化したり、またポリカーボネート樹脂中に溶解しにくくなるために、滞留時の熱安定性や金型付着物生成にも悪影響を与える。C成分の組成割合はB成分とC成分との重量比(B/C)で1/9〜9/1の範囲であり、好ましくは1/9〜7/3の範囲、更に好ましくは2/8〜6/4の範囲である。
また、更に好ましくはD成分を含有した組成物が挙げられる。かかるD成分の組成割合は100重量部のA成分に対して0.005〜2重量部であり、好ましくは0.02〜0.5重量部であり、より好ましくは0.05〜0.25重量部である。D成分の脂肪酸フルエステルが上記範囲を超えて少なすぎる場合には離型性の改善が不足する場合がある。一方、D成分の脂肪酸フルエステルが上記範囲を超えて多すぎる場合には成形品の透明性を損ない、成形時の熱安定性が低下しやすい傾向が見られることがある。
<その他の添加剤について>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記A成分〜C成分(更にD成分)以外に通常ポリカーボネート樹脂に配合される各種の添加剤を含むことができる。
(i)リン系安定剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の成形加工時の熱安定性を向上させることを主たる目的として各種のリン系安定剤が更に配合されることが好ましい。かかるリン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステルなどが例示される。
具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記リン系安定剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。上記リン系安定剤の中でも、ホスファイト化合物またはホスホナイト化合物が好ましい。最も好ましいホスファイト化合物は、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトである。ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトおよびこれらの混合物が好ましく、これらの混合物が最も好ましい。両者の重量割合(前者/後者)は、好ましくは90/10〜70/30の範囲、より好ましくは85/15〜75/25の範囲である。またこれらとホスフェート化合物との併用も好ましい態様である。
(ii)ヒンダードフェノール系安定剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の成形加工時の熱安定性、耐熱老化性、および耐紫外線性を向上させることを主たる目的としてヒンダードフェノール系安定剤が更に配合されることができる。かかるヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらの中でもオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(代表的市販品としてCIBA SPECILATY CHEMICALS社製:Irganox1076(商品名))が好ましい。上記のヒンダードフェノール系酸化防止剤はいずれも入手容易であり、これらは単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
上記(i)リン系安定剤および(ii)ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、0.0001〜1重量部、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.005〜0.1重量部である。安定剤が上記範囲よりも少なすぎる場合には良好な安定化効果を得ることが難しく、上記範囲を超えて多すぎる場合は、組成物の物性低下を起こす場合がある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、成形品の熱処理時における色相を更に安定化させる為、上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の他の酸化防止剤を使用することができる。かかる他の酸化防止剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている)、並びにペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有系安定剤が挙げられる。これら他の酸化防止剤の配合量は、A成分のポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.05重量部が好ましい。更に本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、ヒンダードアミン系の光安定剤も含むことができ、かかる光安定剤は上記紫外線吸収剤や各種酸化防止剤との併用において、耐紫外線性などの点においてより良好な性能を発揮する。
(iii)ブルーイング剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、更にブルーイング剤を樹脂組成物中0.05〜3.0ppm(重量割合)含んでなることが好ましい。本発明の樹脂組成物において更に黄色味を減少させ成形品に自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の使用は非常に有効である。ここでブルーイング剤とは、橙色ないし黄色の光線を吸収することにより青色ないし紫色を呈する着色剤をいい、特に染料が好ましい。ブルーイング剤の配合により本発明のポリカーボネート樹脂組成物は更に良好な色相を得る。ブルーイング剤の量が0.05ppm未満では色相の改善効果が不十分な場合がある一方、3.0ppmを超える場合には光線透過率が低下し適当ではない。より好ましいブルーイング剤の量は樹脂組成物中0.2〜2.0ppmの範囲である。ブルーイング剤としては代表例として、バイエル社のマクロレックスバイオレットB及びマクロレックスブルーRR、並びにクラリアント社のポリシンスレンブルーRLSなどが挙げられる。
(iv)蛍光染料
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は良好な透明性を有することから、更に蛍光増白剤を含むことにより、より高い光透過性や自然な透明感を付与すること、並びに蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を含むことにより、発光色を生かした意匠効果を付与することができる。
本発明で使用する蛍光染料(蛍光増白剤を含む)としては、例えば、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、アンスラキノン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、キサンテン系蛍光染料、キサントン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオキサントン系蛍光染料、チアジン系蛍光染料、およびジアミノスチルベン系蛍光染料などを挙げることができる。これらの中でも耐熱性が良好でポリカーボネート樹脂の成形加工時における劣化が少ないクマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、およびペリレン系蛍光染料が好適である。中でも本発明のB成分との組み合わせにおいても良好な特性を維持する点からクマリン系蛍光染料、即ちクマリン誘導体からなる蛍光染料が好ましい。
上記(iv)蛍光染料(蛍光増白剤を含む)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し0.0001〜3重量部、好ましくは0.0005〜1重量部、より好ましくは0.0005〜0.5重量部、更に好ましくは0.001〜0.5重量部、特に好ましくは0.001〜0.1重量部である。かかる範囲においてより良好な耐紫外線性および色相と、熱安定性および光線透過率とが両立する。
(v)光拡散剤および光高反射用白色顔料
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は透明性、色相及び耐光性に優れることから光拡散剤による光拡散機能、白色顔料による光高反射機能はより効果的に発揮される。したがって、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は光拡散剤や白色顔料の配合によっても、より良好な特性を有する樹脂組成物を提供する。光拡散剤としては高分子微粒子(好適には粒径数μmのアクリル架橋粒子およびシリコーン架橋粒子など)、低屈折率の無機微粒子、およびこれらの複合物等が例示され、その割合はA成分100重量部に対し0.005〜20重量部、より好ましくは0.01〜10重量部が好ましい。白色顔料としては二酸化チタン(特にシリコーンなど有機表面処理剤により処理された二酸化チタン)顔料が特に好ましく、その割合はA成分100重量部に対し1〜30重量部、より好ましくは2〜20重量部が好ましい。
(vi)帯電防止剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、帯電防止性能が求められる場合があり、かかる場合帯電防止剤を含むことが好ましい。かかる帯電防止剤としては、例えば(i)ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩に代表されるアリールスルホン酸ホスホニウム塩、およびアルキルスルホン酸ホスホニウム塩などの有機スルホン酸ホスホニウム塩、並びにテトラフルオロホウ酸ホスホニウム塩の如きホウ酸ホスホニウム塩が挙げられる。該ホスホニウム塩は、A成分100重量部あたり5重量部以下の組成割合が適切であり、0.05〜5重量部が好ましく、1〜3.5重量部がより好ましく、1.5〜3重量部の範囲が更に好ましい。
帯電防止剤としては例えば、(ii)有機スルホン酸リチウム、有機スルホン酸ナトリウム、有機スルホン酸カリウム、有機スルホン酸セシウム、有機スルホン酸ルビジウム、有機スルホン酸カルシウム、有機スルホン酸マグネシウム、有機スルホン酸バリウムなどの有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩が挙げられる。具体的には例えばドデシルベンゼンスルホン酸の金属塩やパーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩などが例示される。有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、A成分100重量部あたり0.5重量部以下の組成割合が適切であり、0.001〜0.3重量部が好ましく、0.005〜0.2重量部がより好ましい。特にカリウム、セシウム、およびルビジウムなどのアルカリ金属塩が好適である。
帯電防止剤としては、例えば(iii)アルキルスルホン酸アンモニウム塩、およびアリールスルホン酸アンモニウム塩などの有機スルホン酸アンモニウム塩が挙げられる。該アンモニウム塩は、A成分100重量部あたり0.05重量部以下の組成割合が適切である。帯電防止剤としては、例えば(iv)ポリエーテルエステルアミドなどのポリ(オキシアルキレン)グリコール成分をその構成成分として含有するポリマーが挙げられる。該ポリマーはA成分100重量部あたり5重量部以下が適切である。他の帯電防止剤としては、例えば、(v)カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイト、金属粉末、金属酸化物粉末などの非有機化合物が挙げられる。該非有機化合物は、A成分100重量部あたり0.05重量部以下の組成割合が適切である。
(vii)熱線遮蔽能を有する化合物
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない量の熱線遮蔽能を有する化合物を使用することができる。該化合物としてはフタロシアニン系近赤外線吸収剤、ATO、ITO、酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムなどの金属酸化物系近赤外線吸収剤、ホウ化ランタン、ホウ化セリウムおよびホウ化タングステンなどの金属ホウ化物系近赤外線吸収剤などの近赤外吸収能に優れた各種の金属化合物、ならびに炭素フィラーが好適に例示される。更に上述の如くメタリック顔料(例えば金属酸化物被覆板状充填材、金属被覆板状充填材、および金属フレークなど)も主として熱線を反射し熱線遮蔽能を発現する。
かかるフタロシアニン系近赤外線吸収剤としてはたとえば三井化学(株)製MIR−362が市販され容易に入手可能である。炭素フィラーとしてはカーボンブラック、グラファイト(天然、および人工のいずれも含み、さらにウイスカーも含む)、カーボンファイバー(気相成長法によるものを含む)、カーボンナノチューブ、およびフラーレンなどが例示され、好ましくはカーボンブラックおよびグラファイトである。これらは単体または2種以上を併用して使用することができる。フタロシアニン系近赤外線吸収剤は、100重量部のD成分を基準として好ましくは0.0005〜0.2重量部、より好ましくは0.0008〜0.1重量部、更に好ましくは0.001〜0.07重量部である。金属酸化物系近赤外線吸収剤および金属ホウ化物系近赤外線吸収剤は、樹脂組成物中0.1〜200ppm(重量割合)の範囲が好ましく、0.5〜100ppmの範囲がより好ましい。炭素フィラーは本発明の樹脂組成物中、0.05〜5ppm(重量割合)の範囲が好ましい。またメタリック顔料は、100重量部のD成分を基準として、好ましくは0.0001〜1重量部、より好ましくは0.0005〜0.8重量部である。
(viii)その他の染顔料
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、発明の効果を発揮する範囲で上記ブルーイング剤および蛍光染料以外にも各種の染顔料を使用することができる。特に透明性をより損なわない点から、染料が好適である。一方深みのある色彩や、メタリック顔料を配合してより良好なメタリック色彩を得ることもできる。
染料としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などを挙げることができる。これら染料の使用量は、A成分のポリカーボネート樹脂100重量部あたり、0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない量の難燃剤を使用することができる。難燃剤としては、例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物、スルホン酸塩以外の有機酸金属塩、およびシリコーン系難燃剤などが挙げられ、それらを一種以上使用することができる。かかる難燃剤はそれぞれポリカーボネート樹脂に対する公知の量を配合することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、他の樹脂やエラストマーを本発明の目的が損なわれない範囲で少割合使用することもできる。
かかる他の樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂が挙げられる。
また、エラストマーとしては、例えばイソブチレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、コアシェル型のエラストマーであるMBS(メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン)ゴム、MAS(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/スチレン)ゴムなどが挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、各種無機充填材、流動改質剤、抗菌剤、光触媒系防汚剤、およびフォトクロミック剤などを配合することができる。
<樹脂組成物の製造方法について>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造に当たっては、その製造方法は特に限定されるものではない。しかしながら本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、各成分を溶融混練することにより製造されることが好ましい。
上記溶融混練の具体的方法としては、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機などを挙げることができ、中でも混練効率の点から押出機が好ましく、更に二軸押出機などの多軸押出機が好ましい。かかる二軸押出機においてより好ましい態様は次の通りである。スクリュー形状は1条、2条、および3条ネジのスクリューを使用することができ、特に溶融樹脂の搬送能力やせん断混練能力の両方の適用範囲が広い2条ネジスクリューが好ましく使用できる。二軸押出機におけるスクリューの長さ(L)と直径(D)との比(L/D)は、20〜45が好ましく、更に28〜42が好ましい。L/Dが大きい方が均質な分散が達成されやすい一方、大きすぎる場合には熱劣化により樹脂の分解が起こりやすい。スクリューには混練性を上げるためのニーディングディスクセグメント(またはそれに相当する混練セグメント)から構成された混練ゾーンを1個所以上有することが必要であり、1〜3箇所有することが好ましい。
更に押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
更にB成分〜D成分およびその他添加剤(以下の例示において単に“添加剤”と称する)の押出機への供給方法は特に限定されないが、以下の方法が代表的に例示される。(i)添加剤をポリカーボネート樹脂とは独立して押出機中に供給する方法。(ii)添加剤とポリカーボネート樹脂粉末とをスーパーミキサーなどの混合機を用いて予備混合した後、押出機に供給する方法。(iii)添加剤とポリカーボネート樹脂とを予め溶融混練してマスターペレット化する方法。
上記方法(ii)の1つは、必要な原材料を全て予備混合して押出機に供給する方法である。また他の方法は、添加剤が高濃度に配合されたマスター剤を作成し、該マスター剤を独立にまたは残りのポリカーボネート樹脂等と更に予備混合した後、押出機に供給する方法である。尚、該マスター剤は、粉末形態および該粉末を圧縮造粒などした形態のいずれも選択できる。また他の予備混合の手段は、例えばナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、および押出混合機などがあるが、スーパーミキサーのような高速撹拌型の混合機が好ましい。更に他の予備混合の方法は、例えばポリカーボネート樹脂と添加剤を溶媒中に均一分散させた溶液とした後、該溶媒を除去する方法である。
押出機より押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。更に外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。更にかかるペレットの製造においては、光学ディスク用ポリカーボネート樹脂において既に提案されている様々な方法を用いて、ペレットの形状分布の狭小化、ミスカット物の低減、運送または輸送時に発生する微小粉の低減、並びにストランドやペレット内部に発生する気泡(真空気泡)の低減を適宜を行うことができる。これらの処方により成形のハイサイクル化、およびシルバーの如き不良発生割合の低減を行うことができる。またペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。
<本発明の樹脂組成物からなる成形品について>
上記の如く得られた本発明のポリカーボネート樹脂組成物は通常上記の如く製造されたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。更にペレットを経由することなく、二軸押出機で溶融混練された樹脂を直接シート、フィルム、異型押出成形品、ダイレクトブロー成形品、および射出成形品にすることも可能である。
かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
また本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明のポリカーボネート樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
これにより透明性および色相に優れ、該色相が成形加工後や長期使用後においても安定して保たれる、コストパフォーマンスに優れたポリカーボネート樹脂組成物の成形品が提供される。より好適なD成分を含有することにより、成形品の製造効率がより向上し、更にコストパフォーマンスに優れたポリカーボネート樹脂組成物の成形品が提供される。即ち、本発明によれば、100重量部のA成分、0.01〜10重量部のB成分、B成分とC成分との重量比(B/C)が1/9〜9/1の範囲であるC成分および0.005〜2重量部のD成分からなるポリカーボネート樹脂組成物を溶融成形してなる成形品が提供される。
更に本発明のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品には、各種の表面処理を行うことが可能である。ここでいう表面処理とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着など)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、塗装、コーティング、印刷などの樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常のポリカーボネート樹脂に用いられる方法が適用できる。表面処理としては、具体的には、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理が例示される。ハードコートは特に好ましくかつ必要とされる表面処理である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、透明性および色相に優れ、該色相が成形加工後や長期使用後においても安定して保たれることから、良好な色相が求められる透明部材において特に好適であり、各種の透明部材において有効に利用される。かかる各種の透明部材としては例えば、各種車両用透明部材(ヘッドランプレンズ、ウインカーランプレンズ、テールランプレンズ、樹脂グレージング材、メーターカバーなど)、照明灯カバー、樹脂窓ガラス(建築用など)、太陽電池カバー、太陽電池基材、ディスプレー装置用レンズ、ディスプレー装置用輝度向上シート、ディスプレー装置用導光材、アイウエア用材料(ゴーグルおよび眼鏡レンズなど)、タッチパネル、および遊技機(パチンコ機など)用部品(前面カバー、回路カバー、シャーシ、パチンコ玉搬送ガイドなど)などを挙げることができる。更にこれらの中でも車両用透明部材が、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に対し特に適するものである。
すなわち本発明によれば、本発明のA成分〜C成分(更に、D成分)の上記所定量からなる樹脂組成物の成形品が提供され、更に好適には車両用透明部材が提供される。かかる車両用透明部材としては、特にヘッドランプレンズのような車両用灯具レンズまたはカバー(素通し型のヘッドランプレンズ)、並びに車両用グレージング材が好適に挙げられる。
本発明にいう車両用灯具レンズは、車両の灯具、中でも前照灯として機能する光源の光が通過する透明部材であればよく、該レンズは車両のいかなる位置に配置されても、またいかなる形状のものであってもよい。例えば棒状であってその長手方向に光が透過する態様のレンズも含まれる。本発明にいう車両用グレージング材としては、例えば、フロントドアウインドウ(ウインドシールド)、リアドアウインドウ、クォーターウインドウ、バックウインドウ、およびバックドアウインドウ、並びにサンルーフおよびルーフパネルなどが例示される。
以上より、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、搬送容器、遊戯具および雑貨などの各種用途に有用であり、その奏する産業上の効果は格別である。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。なお、評価は下記の方法によった。
(1)透明性(ヘーズ):算術平均粗さ(Ra)が0.03μmであり厚さ2.0mmの成形板のヘーズを、日本電色(株)製NDH−300AによりJIS K7105に準拠して測定した。ヘーズの数値が大きいほど光の拡散が大きく、透明性に劣ることを示す。
(2)色相(YI値):上記評価(1)と同様の成形板を日本電色(株)製色差計Z−1001DP型を用いて透過光を測定したX、YおよびZ値からASTM−E1925に基づき、下記式を用いて算出した。YI値が大きいほど成形板の黄色味が強いことを示す。
YI=[100(1.28X−1.06Z)]/Y
(3)滞留試験:上記評価(2)と同様の形状であって、10分間成形機シリンダー内に滞留させた樹脂より成形された成形板のYI値を、上記評価(2)と同様に測定した。
(4)耐UV性試験:上記評価(2)と同様の成形板をサンシャイン・ウェザー・メーター(スガ試験機(株)製:WEL−SUN:HC−B)を使用しブラックパネル温度63℃、湿度50%、18分間水噴霧と102分間噴霧無しの計120分サイクルで1000時間した後の色相(YI)を測定した。
[実施例1〜7、比較例1〜5]
ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造されたポリカーボネート樹脂パウダー100重量部に、表1〜表2記載の各種添加剤を各配合量で、並びにブルーイング剤(バイエル社製:マクロレックスバイオレットB)を0.00006重量部の配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。ポリカーボネート樹脂に添加する添加剤はそれぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂パウダーとの予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。混練ゾーンはベント口手前に1箇所のタイプとした。押出条件は吐出量25kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで280℃とした。
得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダー温度320℃および金型温度80℃、射速80mm/sec、並びに成形サイクル60秒の条件で、長さおよび幅が50mmかつ厚さが2mm、表面の算術平均粗さ(Ra)が0.03μmの平滑平板状の試験片を成形した。射出成形機は住友重機械工業(株)製SG260M−HPを使用した。得られた成形板の各評価結果を表1〜表2に示した。
また、得られたペレットを同様の方法で乾燥した後、シリンダー温度320℃および金型温度80℃の条件で、図1に示す素通し型のヘッドランプレンズを同じ射出成形機を用いて連続成形した。実施例の各組成にて作成されたこのヘッドランプレンズは、色相および透明性などの外観が良好であった。
なお、表1〜表2中記号表記の各成分の内容は下記の通りである。
(A成分)
PC:ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造された粘度平均分子量22,400のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WP(商品名))
(B成分)
B−1:2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(竹本油脂(株)製:CEi−P(商品名))
(C成分)
C−1:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(ケミプロ化成(株)製:ケミソーブ79(商品名))
C−2:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(Ciba Specialty Chemicals K.K.製:Tinuvin234(商品名))
(C成分以外)
C−3:2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](旭電化工業(株)製:アデカスタブLA−31(商品名))
(D成分)
D−1:ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸からなる分子量925のフルエステル(理研ビタミン(株)製:リケスターEW−400)
かかるエステルの脂肪酸成分の平均炭素数は17.49であった(よって脂肪酸成分中のアルキル基の分子量は、15.49×14+15=231.86となる)。かかる平均炭素数は測定周波数400MHzのNMR装置(JEOL製)を用いてH−NMR測定により算出された(以下のD成分において同じ)。また脂肪酸成分における遊離脂肪酸とエステル結合に結合した脂肪酸成分との割合(Ff/Fe)は7.7/92.3であった(y=0.0834)。かかる割合は測定周波数600MHzのNMR装置(JEOL製)を用いてH−NMR測定により算出された(以下のD成分において同じ)。更にかかるエステルの水酸基価は6.9mgKOH/gであった。これらの値より明細書記載の方法により分子量を算出した。また1モル中の水酸基のモル数は0.114モル、1モルの脂肪酸エステル中のエステル成分(すなわちアルコール成分)のモル数(P)は0.76、遊離脂肪酸のモル数(Q)は0.24と算出された。
D−2:ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸からなる分子量1061のフルエステル(コグニスジャパン(株)製:ロキシオールVPG−861)
かかるエステルの脂肪酸成分の平均炭素数は17.17であった(よって脂肪酸成分中のアルキル基の分子量は、15.17×14+15=227.38となる)。また脂肪酸成分における遊離脂肪酸とエステル結合に結合した脂肪酸成分との割合(Ff/Fe)は1.1/98.9であった(y=0.0111)。更にかかるエステルの水酸基価は11.9mgKOH/gであった。これらの値より明細書記載の方法により分子量を算出した。また1モル中の水酸基のモル数は0.225モル、1モルの脂肪酸エステル中のエステル成分(すなわちアルコール成分)のモル数(P)は0.96、遊離脂肪酸のモル数(Q)は0.04と算出された。
(その他の添加剤)
EPQ:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトを主成分とし、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイトを約70重量%、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトを約20重量%およびトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを約10重量%含有する安定剤混合物(クラリアントジャパン(株)製:サンドスタブP−EPQ(商品名))
HP:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(Ciba Specialty Chemicals K.K.製:Irganox1076(商品名))
Figure 0004511877
Figure 0004511877
上記表1〜表2から明らかなように、本発明の樹脂組成物は、C成分のいずれかが単独で使用されるよりも良好な色相(YI値)を有し、更に滞留試験後、もしくは耐UV性試験後のいずれにおいてもその色相に優れている。かかる特性は2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)アルキルフェノールの如きベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有するポリカーボネート樹脂組成物において、更に幅広い色調の調整を可能にしている。比較例2および4の如くかかるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の減量は初期の色相を改善するが、耐UV性試験後において色相は悪化する。更に上記実施例の樹脂組成物は、成形直後の黄色味が比較例1、3、および5に比較していずれも抑制されており、成形条件の調整を容易にし得ることを確認した。
[実施例8]
上記の実施例2および5で得られたペレットを、120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、住友重機械工業(株)製SG260M−HPを用いて、シリンダー温度320℃、金型温度80℃、射速50mm/sec、および成形サイクル70秒の条件で、図1に示す素通し型のヘッドランプレンズ成形品を連続して500個成形した。かかるヘッドランプレンズは色相および透明性などの外観が良好であった。特に、実施例5のペレットを用いた成形品の成形では、成形後の金型付着物の生成が実施例2のペレットに比較して低減されていた。
[実施例9]
更に上記の実施例2および5で得られたペレットを、プラテンの4軸平行制御機構を備えた射出プレス成形可能な大型成形機((株)名機製作所製:MDIP2100、最大型締め力33540kN)を用いて射出プレス成形し、図2に示す自動車用透明ルーフを製造した。かかる成形機は、上記と同水準に乾燥可能なホッパードライヤー設備を付帯しており、かかる乾燥後のペレットが成形に使用された。
成形はシリンダー温度300℃、ホットランナー設定温度290℃、金型温度は固定側120℃、可動側110℃、充填時間24秒、プレスストローク:5mm、および冷却時間:150秒であった。また可動側金型パーティング面は最終の前進位置において固定側金型パーティング面に接触しないものとした。ランナーは直径7mmφのホットランナーを用いた。
本発明は、車両用灯具レンズおよびカバー、並びに車両用グレージング材に好適なポリカーボネート樹脂組成物を提供するが、本発明の樹脂組成物は、その特有の特徴からかかる用途以外にも、建設機械の窓ガラス、ビル、家屋、および温室などの窓ガラス、ガレージおよびアーケードなどの屋根、照灯用レンズ、信号機レンズ、光学機器のレンズ、ミラー、消音壁、バイクの風防、銘板、太陽電池カバーまたは太陽電池基材、ディスプレー装置用カバー、タッチパネル、並びに遊技機(パチンコ機など)用部品(回路カバー、シャーシ、パチンコ玉搬送ガイドなど)などの幅広い用途に使用可能である。したがって本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、遊戯具および雑貨などの各種用途に有用であり、その奏する産業上の効果は格別である。
実施例において成形した自動車の素通し型ヘッドランプレンズの成形品を示す。図示されるとおり該レンズはドーム状の形状である。[1−A]は正面図(成形時のプラテン面に投影した図。したがってかかる面積が最大投影面積となる)を示し、[1−B]はA−A線断面図を示す。 実施例において成形した自動車用透明ルーフの成形品の概略図を示す。図示されるとおり該透明ルーフはなだらかな曲面から構成される3次元形状を有する。[2−A]は正面図(成形時のプラテン面に投影した図)を示し、[2−B]は長手方向の側面図、[2−C]は流動末端側からの側面図を示す。
符号の説明
1 ヘッドランプレンズ本体
2 レンズのドーム状部分(凸面が可動側金型に対応する)
3 レンズの外周部分
4 成形品のゲート(幅30mm、ゲート部の厚み4mm)
5 スプルー(ゲート部の直径7mmφ)
6 レンズの外周部分の直径(220mm)
7 レンズのドーム部分の直径(200mm)
8 レンズのドーム部分の高さ(20mm)
9 レンズ成形品の厚み(4mm)
11 透明ルーフ成形品本体(本体部は厚み5mmである)
12 ホットランナーノズル先端に対応する部分
13 成形品のゲート(該ゲートは厚み5mmの平板状である)
14 成形品ゲート側長さ(成形品の最大幅に相当し、1000mmである)
15 成形品流動末端側の長さ(900mm)
16 成形品本体の長さ(1240mm)
17 ゲート部を含む成形品全体の長さ(1350mm)
18 成形品の高さ(90mm)
19 取り付け用爪部

Claims (7)

  1. ポリカーボネート樹脂(A成分)、下記一般式(I)で表される環状イミノエステル(B成分)、および下記一般式(II)のベンゾトリアゾール化合物(C成分)からなり、100重量部のA成分を基準としてB成分は0.01〜10重量部であり、かつB成分とC成分との重量比(B/C)が1/9〜9/1の範囲にあるポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0004511877
    (式(I)中、Arは炭素数6〜12である二価の芳香族炭化水素残基である。またArはヘテロ原子を含有してもよい。nは0または1を示す。)
    Figure 0004511877
    (式(II)中、Yは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または下記一般式(III)の基を表し、Yは炭素数1〜12のアルキル基または下記一般式(III)の基を表し、Xは水素原子を表す。)
    Figure 0004511877
    (式(III)中、Zは水素または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
  2. 上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(C成分)は、下記一般式(IV)で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0004511877
  3. 更に、A成分100重量部当たり、脂肪族多価アルコールと脂肪族カルボン酸とからなる脂肪酸フルエステル(D成分)0.005〜2重量部を含有してなる請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 脂肪族多価アルコールと脂肪族カルボン酸とからなる脂肪酸フルエステル(D成分)の分子量が500〜2000g/モルである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 上記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
  6. 上記成形品は、車両用透明部材である請求項5に記載の成形品。
  7. 上記車両用透明部材は車両用灯具カバーまたはレンズである請求項6に記載の成形品。
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