JP3420534B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着装置及び画像形成装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、互いに圧接された
定着ローラ及び加圧ローラ間に未定着画像を担持した記
録材を通過させて該未定着画像の加熱定着を行う定着装
置とこれを備える画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の画像形成装置の一例として、複数
の光走査手段を有する4ドラムレーザービームプリンタ
を図8及び図9に示す。
【0003】即ち、図8は従来の画像形成装置(レーザ
ービームプリンタ)の断面図、図9は同画像形成装置の
像形成部の断面図であり、図8に示すように装置本体内
には画像形成手段である4つの画像形成ステーションP
a,Pb,Pc,Pdが並設されている。
【0004】上記画像形成ステーションPa,Pb,P
c,Pdはマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各
色の画像をそれぞれ形成するものであって、これらは図
9に示すように図示矢印方向に回転される像担持体であ
る感光ドラム1a,1b,1c,1dをそれぞれ有して
いる。
【0005】又、各感光ドラム1a,1b,1c,1d
の周囲には、帯電器12a,12b,12c,12dと
現像装置2a,2b,2c,2d及びクリーナ4a,4
b,4c,4dが各感光ドラム1a,1b,1c,1d
の回転方向に沿って順次配設されており、各感光ドラム
1a,1b,1c,1dの下方には転写部3が配設され
ている。尚、この転写部3は、各画像形成ステーション
Pa〜Pdに共通の記録材搬送手段である転写ベルト3
1と転写用帯電器3a,3b,3c,3dを有してい
る。
【0006】以上の構成を有するプリンタにおいて、図
8に示す記録材供給手段である給紙カセット61から供
給された記録紙Pは、転写ベルト31上に支持されて各
画像形成ステーションPa〜Pdへ搬送され、前記各感
光ドラム1a〜1d上に形成された各色のトナー像の転
写を順次受ける。そして、この転写工程が終了すると、
記録紙Pは転写ベルト31から分離されて記録材案内手
段である搬送ベルト62によって定着装置5へと搬送さ
れる。
【0007】上記定着装置5は、図10に詳細に示すよ
うに、回転自在に配設された定着用回転体である定着ロ
ーラ51と、該定着ローラ51に圧接しながら回転する
加圧用回転体である加圧ローラ52と、離型剤塗布手段
である離型剤塗布装置53と、クリーニング装置54,
55を有して構成されている。尚、定着ローラ51と加
圧ローラ52の内部にはハロゲンランプ等のヒータ5
6,57がそれぞれ配設されている。又、定着ローラ5
1と加圧ローラ52にはサーミスタ58,59が接触す
るようにそれぞれ配設されており、温度調節回路を介し
てヒータ56,57への電圧を制御することによって定
着ローラ51と加圧ローラ52の表面の温度調節がそれ
ぞれ行われている。
【0008】又、定着ローラ51にはクリーニング装置
54及び離型剤塗布装置53が取り付けられており、ク
リーニング装置54によって定着ローラ51上にオフセ
ットしたトナー等のクリーニングがなされるとともに、
離型剤塗布装置53によって離型剤であるシリコーンオ
イル等が定着ローラ51に塗布され、該定着ローラ51
からの記録紙Pの分離の容易化とトナーのオフセット防
止が図られている。
【0009】クリーニング装置54は、帯状の耐熱不織
布から成るクリーニングウェブ54aと、該クリーニン
グウェブ54aを定着ローラ51に押圧する押圧ローラ
54bと、新しいクリーニングウェブ54aを巻き出す
巻出しローラ54cと、トナー等が付着したためにクリ
ーニング能力が低下したクリーニングウェブ54aを徐
々に巻き取っていく巻取りローラ54d等とから構成さ
れており、特にサーミスタ58にオフセットトナーが付
着して該サーミスタ58に検知不良を生じないようクリ
ーニング装置54はサーミスタ58に対して定着ローラ
51の回転方向上流側に設けられている。
【0010】ところで、クリーニングウェブ54aの巻
き取り方法としては、カウンタによって所定枚数コピー
したと判断したときに不図示のソレノイドをONし、ワ
ンウェイクラッチを動作させて定着ローラ51の回転方
向と逆方向に所定量巻き取る方法がある。このようにク
リーニングウェブ54aを逆方向に巻き取ることによっ
て該クリーニングウェブ54aが定着ローラ51の回転
方向に巻き込まれないようにしている。
【0011】又、前記離型剤塗布装置53は、シリコー
ンオイル等の離型剤を収容する離型剤溜り部53aと、
該離型剤溜り部53aから離型剤を汲み上げる汲み上げ
ローラ53b,53cと、汲み上げられた離型剤を定着
ローラ51に塗布する塗布ローラ53d、該塗布ローラ
53d上の離型剤量を一定量に規制するためのフッ素ゴ
ム等の弾性体から成る規制ブレード53e等から構成さ
れており、特に定着ローラ51への均一な離型剤塗布を
実現するため、この離型剤塗布装置53はサーミスタ5
8に対して定着ローラ51の回転方向下流側に配設され
ている。
【0012】他方、加圧ローラ52にも、定着ローラ5
1のクリーニング装置54と同様なクリーニングウェブ
55a、押圧ローラ55b、巻出しローラ55c、巻取
りローラ55d等とで構成されるクリーニング装置55
が取り付けられており、このクリーニング装置55によ
って定着ローラ51を介して加圧ローラ52に付着した
トナーのクリーニングがなされる。
【0013】又、加圧ローラ52には、該加圧ローラ5
2上に残った余剰離型剤を除去する離型剤除去用弾性体
としての離型剤除去ブレード60が当接している。尚、
この離型剤除去ブレード60が無い場合は、余剰離型剤
が定着ローラ51と加圧ローラ52とのニップに溜り、
記録紙P上にシミとなったり、OHP用の透明ラミネー
トフィルムがスリップしてニップへの進入不良が発生す
る。ここで、離型剤除去ブレード60の材質としてはS
iゴム、フッ素ゴム等が用いられ、離型剤除去ブレード
60は加圧ローラ52の回転方向に対して順方向又は逆
方向に適当な進入量をもって当接している。
【0014】而して、記録紙Pが搬送されて来ると定着
ローラ51と加圧ローラ52が回転し、定着ローラ51
の表面に離型剤としてシリコーンオイルが塗布され、該
記録紙Pが定着ローラ51と加圧ローラ52の間を通過
する際に表裏両面からほぼ一定の圧力と温度で加圧及び
加熱されて未定着トナー像の定着を受けて当該記録紙P
上にフルカラー画像が形成される。そして、画像が定着
された記録紙Pは、下分離爪68によって加圧ローラ5
2から分離されて機外へ排出される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
画像形成装置には以下のような問題があった。
【0016】即ち、一般に複写機における熱定着装置で
は、電源投入後、定着ローラが所定の温度に到達するま
で所定時間待機し、所定温度に到達した後にコピー可能
状態となるが、コピー可能状態になった直後(以下、
「朝一状態」と称する)と、コピー可能状態でスタンバ
イ放置して所定時間経過した状態(以下、「放置状態」
と称する)とでは定着性が異なっていた。これは定着ロ
ーラの表面温度だけではなく、定着装置全体の温度や特
に定着ローラの表面に塗布する離型剤の温度が朝一状態
と放置状態とで異なることによっている。つまり、放置
状態においては定着ローラの熱が塗布ローラと汲み上げ
ローラを介して離型剤に伝わるために離型剤の温度が高
温となる。この状態では、定着ローラに離型剤を塗布し
ても定着ローラの温度低下は少なく、且つ、定着ローラ
とトナーとの間にある離型剤も高温であるために定着性
は良くなっていた。
【0017】一方、朝一状態では離型剤の温度が低く、
この温度の低い離型剤を定着ローラの表面に塗布すると
該定着ローラの温度が急激に低下し、且つ、定着ローラ
とトナー面との間に低温の離型剤が存在するために定着
性が悪くなっていた。これは低温の環境になると一層顕
著になってきていた。
【0018】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とする処は、良好な定着性を得ることがで
きる定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、記録材上の未定着画像を熱
により定着する回転自在な定着ローラと、定着ローラに
圧接し、記録材を挟持搬送するニップを形成する加圧ロ
ーラと、前記定着ローラの表面に離型剤を塗布する離型
剤塗布手段と、離型剤の温度を検知する離型剤温度検知
手段と、を有する定着装置において、前記離型剤温度検
知手段によって検知された離型剤の温度が所定値よりも
小さい場合には、標準定着条件よりも定着され易くなる
定着条件で定着を行うことを特徴とする。
【0020】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、環境温度又は環境湿度を検知する手段を設
け、離型剤温度と環境温度又は環境湿度に応じて定着条
件を制御するようにしたことを特徴とする。
【0021】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の発明において、前記離型剤温度検知手段によって検
知された離型剤の温度が上がるに連れて、前記定着条件
は徐々に標準定着条件に近づくことを特徴とする。
【0022】請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何
れかに記載の発明において、前記定着条件は、定着温調
温度を上げることを特徴とする。
【0023】請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何
れかに記載の発明において、前記定着条件は、定着ロー
ラと加圧ローラ間の加圧力を高くすることを特徴とす
る。
【0024】請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何
れかに記載の発明において、前記定着条件は、定着速度
を遅くすることを特徴とする。
【0025】請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何
れかに記載の発明において、前記定着条件は、通紙間隔
を長くとることを特徴とする。
【0026】請求項8記載の発明は、記録材上に未定着
画像を形成する未定着画像形成手段を有する画像形成装
置において、請求項1〜7の何れかに記載の定着装置を
備えることを特徴とする。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0032】<実施の形態1>図1は本発明の実施の形
態1に係る定着装置5の断面図であり、本図においては
図10に示したと同一要素には同一符号を付しており、
以下、それらについての説明は省略する。
【0033】本実施の形態は、図1に示すように離型剤
溜り部53a内に温度検知手段であるサーミスタ70を
設けたものであり、図2の定着条件変更制御のフローチ
ャートに示すように、サーミスタ70によって検知され
た離型剤の温度に応じて定着温度が最適定着条件に設定
されるよう制御される。
【0034】本実施の形態においては、図2に示すよう
に、電源がONされると(ステップS1)、サーミスタ
70によって所定の間隔で離型剤溜り53a内の離型剤
の温度が検知される(ステップS2)。図3は定着ロー
ラ51の表面温度を180℃にした場合の時間と離型剤
の温度変化を示す図であり、本図に示すように数時間で
離型剤の温度は上昇して或る温度で飽和する。尚、本実
施の形態に係る定着装置5を180℃に温調した場合で
は約150℃で飽和した。
【0035】而して、サーミスタ70によって検知され
た離型剤の温度が飽和温度に達したか否かが判定され
(ステップS3)、飽和温度に達している場合には通常
温調がなされ(ステップS4)、飽和温度に達していな
い場合には定着温調がUPされ(ステップS5)、以上
の動作(ステップS2〜ステップS5の動作)が電源が
OFFされるまで繰り返される(ステップS6)。
【0036】以上のように、離型剤温度に応じて定着ロ
ーラ51の表面温度を変更することによって朝一状態に
おいても良好な定着性を得ることができる。本実施の形
態に係る定着装置5においては、離型剤温度10℃に対
して定着ローラ51の表面温度は約1℃に相当する。即
ち、朝一状態では離型剤温度は約30℃となり、飽和温
度の150℃に比べて120℃低い。
【0037】そこで、朝一の定着ローラ51の表面温度
は放置状態より設定温度を12℃だけ高くすることによ
って良好な定着性を得ることができる。そして、離型剤
温度が徐々に上昇する毎に定着ローラ51の温調温度を
徐々に下げてゆき、離型剤温度が150℃で飽和すると
通常の定着ローラ制御温度に戻る。従来は、朝一状態の
み所定時間だけ定着ローラ表面温度を高くするような手
段を用いた機種もあったが、そのような制御では正確な
時間が分からないために無駄に高温の時間を長くせざる
を得ず、消費電力が多くなったり、定着ローラの寿命に
悪影響を与えていた。本方式では必要最小限の熱を与え
るために従来のような無駄が生じなくなった。
【0038】又、定着性は機械の周りの環境温度や湿度
によって異なってくるため、機械が置かれている環境温
度や湿度を検知し、本実施の形態と組み合わせるとより
細かい制御をすることが可能となる。
【0039】例えば、不図示の外気温度検知手段を用い
て環境温度と離型剤温度を検知すると、定着設定温度は
次のような式で表すことができる。
【0040】(離型剤飽和温度−離型剤検出温度)/1
0−環境温度+15 ここで、15は補正値である。
【0041】飽和温度が150℃、環境温度が15℃、
離型剤の温度が50℃である場合には、 (150−50)/10−15+15=10℃ となり、設定温度を標準より10℃高くすれば良い。
【0042】同様に、飽和温度が150℃、環境温度が
25℃、離型剤温度が50℃である場合には、 (150−50)/10−25+15=0℃ となる。従って、25℃の環境で離型剤温度が50℃に
なれば、定着温度を標準温度より高くする必要はない。
【0043】同様に、飽和温度が150℃、環境温度が
30℃、離型剤温度が50℃である場合には、 (150−50)/10−30+15=−5℃ となる。ここで、マイナスになった場合は温度を上昇さ
せる必要はない。
【0044】従って、30℃の環境で離型剤温度が50
℃になれば、定着温度を標準温度より高くする必要はな
い。
【0045】このように環境温度と離型剤温度を組み合
わせて検知することによって更に細かい制御ができるた
め、より無駄なく良好な定着性を得ることができる。
【0046】尚、本実施の形態における離型剤の温度等
は定着装置の構成や定着ローラの設定温度によって異な
ってくるため、必ずしもこの値に限るものではない。
【0047】<実施の形態2>次に、本発明の実施の形
態2を図4に基づいて説明する。尚、図4は本実施の形
態に係る定着装置における定着条件変更制御手順を示す
フローチャートである。
【0048】本実施の形態では、実施の形態1と同様の
画像形成装置を用いて図4に示すような制御を行った。
即ち、本実施の形態においては、実施の形態1と同様に
離型剤溜り部53aに温度検知手段であるサーミスタ7
0を設け、離型剤温度に応じて定着の加圧力を変化させ
るよう制御した。
【0049】本実施の形態においては、定着ローラ51
と加圧ローラ52との加圧力を可変とする不図示の手段
を設けた。そして、図4に示すように、実施の形態1と
同様に電源がONされると(ステップS1)、サーミス
タ70によって所定の間隔で離型剤溜り53a内の離型
剤の温度を検知する(ステップS2)。このとき、離型
剤温度は図3に示したと同様の挙動を示す。即ち、図3
に示すように離型剤の温度は数時間で上昇して或る温度
で飽和する。尚、本実施の形態に係る定着装置5では約
150℃で飽和した。
【0050】而して、サーミスタ70によって検知され
た離型剤の温度が飽和温度に達したか否かが判定され
(ステップS3)、飽和温度に達している場合には定着
ローラ51と加圧ローラ52との加圧力が標準加圧力に
設定され(ステップS4)、飽和温度に達していない場
合には加圧力がUPされ(ステップS5)、以上の動作
(ステップS2〜ステップS5の動作)が電源がOFF
されるまで繰り返される(ステップS6)。
【0051】以上のように、離型剤温度に応じて定着ロ
ーラ51と加圧ローラ52との加圧力を変更することに
より、朝一状態においても良好な定着性を得ることがで
きる。本実施の形態に用いた定着装置5においては、離
型剤温度10℃に対して加圧力は総圧約1kgfに相当
する。即ち、朝一状態では離型剤温度は約30℃とな
り、飽和温度の150℃に比べて120℃低い。
【0052】そこで、朝一の定着ローラ51と加圧ロー
ラ52との総圧を放置状態での値よりも12kgf高く
することによって良好な定着性を得ることができる。そ
して、離型剤温度が徐々に上昇する毎に定着ローラ51
と加圧ローラ52との加圧力を徐々に下げてゆき、離型
剤温度が150℃で飽和すると通常の加圧力に戻る。従
来は朝一状態のみ所定時間だけ定着ローラと加圧ローラ
との加圧力を高くするような手段を用いた機種もあった
が、そのような制御では正確な時間が分からないために
加圧力の大きな状態時間を無駄に長くせざるを得ず、定
着ローラの寿命に悪影響を与えていた。本方式では必要
最小限の加圧力を与えるために定着ローラ51と加圧ロ
ーラ52のダメージを小さく抑えることができる。
【0053】尚、本実施の形態における離型剤の温度や
加圧力は定着装置の構成によって異なってくるため、必
ずしもこの値に限るものではない。
【0054】又、本実施の形態では加圧力のみを変化さ
せたが、前記実施の形態1の定着ローラ温度の制御と組
み合わせても同様の効果が得られる。
【0055】ところで、定着性は機械の周りの環境温度
や湿度によって異なってくるため、機械が置かれている
環境温度や湿度を検知して、更に本実施の形態と組み合
わせるとより細かい制御をすることが可能となって更に
性能が向上する。
【0056】<実施の形態3>次に、本発明の実施の形
態3を図5に基づいて説明する。尚、図5は本実施の形
態に係る定着装置における定着条件変更制御手順を示す
フローチャートである。
【0057】本実施の形態では、実施の形態1と同様の
画像形成装置を用いて図5に示すような制御を行った。
即ち、本実施の形態においては、実施の形態1と同様に
離型剤溜り部53aに温度検知手段であるサーミスタ7
0を設け、離型剤温度に応じて定着ローラ51と加圧ロ
ーラ52の回転速度を変化させるよう制御した。
【0058】本実施の形態においては、図5に示すよう
に、実施の形態1と同様に電源がONされると(ステッ
プS1)、サーミスタ70によって所定の間隔で離型剤
溜り53a内の離型剤の温度を検知する(ステップS
2)。このとき、離型剤温度は図3に示したと同様の挙
動を示す。即ち、図3に示すように離型剤の温度は数時
間で上昇して或る温度で飽和する。尚、本実施の形態に
係る定着装置5では約150℃で飽和した。
【0059】而して、サーミスタ70によって検知され
た離型剤の温度が飽和温度に達したか否かが判定され
(ステップS3)、飽和温度に達している場合には定着
ローラ51と加圧ローラ52との回転速度(定着速度)
が標準定着速度に設定され(ステップS4)、飽和温度
に達していない場合には定着速度が低速定着速度に設定
され(ステップS5)、以上の動作(ステップS2〜ス
テップS5の動作)が電源がOFFされるまで繰り返さ
れる(ステップS6)。
【0060】以上のように、離型剤温度に応じて定着ロ
ーラ51と加圧ローラ52の回転速度を変更することに
より、朝一状態においても良好な定着性を得ることがで
きる。即ち、朝一状態では離型剤温度は約30℃とな
り、飽和温度の150℃に比べて120℃低い。
【0061】そこで、朝一の定着ローラ51と加圧ロー
ラ52との回転速度を放置状態でのそれよりも遅くする
ことによって良好な定着性を得ることができる。そし
て、離型剤温度が徐々に上昇する毎に定着ローラ51と
加圧ローラ52との回転速度を徐々に上げてゆき、離型
剤温度が150℃で飽和すると通常の回転速度に戻る。
従来は、朝一状態のみ所定時間だけ定着ローラと加圧ロ
ーラの回転速度を遅くするような手段を用いた機種もあ
ったが、そのような制御では正確な時間が分からないた
めに回転速度が遅い状態時間を無駄に長くせざるを得
ず、本体の性能低下に繋がっていた。これに対して、本
実施の形態では回転速度を遅くする時間が必要最小限と
なるために本体の性能を向上させることができた。
【0062】尚、離型剤の温度や回転速度は定着装置の
構成によって異なってくるため、これらは必ずしも本実
施の形態において示した値に限るものではない。
【0063】又、定着性は機械の周りの環境温度や湿度
によって異なってくるため、機械が置かれている環境温
度や湿度を検知し、更に本実施の形態と組み合わせると
より細かい制御をすることが可能となって更に性能が向
上する。
【0064】<実施の形態4>次に、本発明の実施の形
態4を図6に基づいて説明する。尚、図6は本実施の形
態に係る定着装置における定着条件変更制御手順を示す
フローチャートである。
【0065】本実施の形態では、実施の形態1と同様の
画像形成装置を用いて図6に示すような制御を行った。
即ち、本実施の形態においては、実施の形態1と同様に
離型剤溜り部53aに温度検知手段であるサーミスタ7
0を設け、離型剤温度に応じて通紙間隔を変化させるよ
う制御した。
【0066】本実施の形態においては、図6に示すよう
に、実施の形態1と同様に電源がONされると(ステッ
プS1)、サーミスタ70によって所定の間隔で離型剤
溜り53a内の離型剤の温度を検知する(ステップS
2)。このとき、離型剤温度は図3に示したと同様の挙
動を示す。即ち、図3に示すように離型剤の温度は数時
間で上昇して或る温度で飽和する。尚、本実施の形態に
係る定着装置5では約150℃で飽和した。
【0067】而して、サーミスタ70によって検知され
た離型剤の温度が飽和温度に達したか否かが判定され
(ステップS3)、飽和温度に達している場合には通紙
間隔が標準通紙間隔に設定され(ステップS4)、飽和
温度に達していない場合には通紙間隔が変更され(ステ
ップS5)、以上の動作(ステップS2〜ステップS5
の動作)が電源がOFFされるまで繰り返される(ステ
ップS6)。
【0068】以上のように、離型剤温度に応じて通紙間
隔を変更することにより、朝一状態においても良好な定
着性を得ることができる。即ち、朝一状態では離型剤温
度は約30℃となり、飽和温度の150℃に比べて12
0℃低い。
【0069】そこで、朝一での通紙間隔を放置状態での
それよりも大きくすることによって1枚定着後の温度回
復の時間が長くなるため、定着ローラ51の温度回復幅
が緒大きくなって良好な定着性を得ることができる。そ
して、離型剤温度が徐々に上昇する毎に通紙間隔を徐々
に小さくしてゆき、離型剤温度が150℃で飽和すると
通常の通紙間隔に戻る。従来は、朝一状態のみ所定時間
だけ通紙間隔を大きくするような手段を用いた機種もあ
ったが、そのような制御では正確な時間が分からないた
めに通紙間隔が大きな無駄な時間(即ち、コピー出力の
少ない状態の時間)を長くせざるを得ず、本体の性能低
下に繋がっていた。これに対して、本実施の形態では通
紙間隔を大きくすることによって無駄な時間が必要最小
限となるために本体の性能向上を図ることができた。
【0070】尚、離型剤の温度や通紙間隔は定着装置の
構成によって異なってくるため、これらは必ずしも本実
施の形態において示した値に限るものではない。
【0071】又、定着性は機械の周りの環境温度や湿度
によって異なってくるため、機械が置かれている環境温
度や湿度を検知し、更に本実施の形態と組み合わせると
より細かい制御をすることが可能となって更に性能が向
上する。
【0072】<実施の形態5>次に、本発明の実施の形
態5を図7に基づいて説明する。尚、図7は本実施の形
態に係る定着装置における定着条件変更制御手順を示す
フローチャートである。
【0073】本実施の形態では、実施の形態1と同様の
画像形成装置を用いて図7に示すような制御を行った。
即ち、本実施の形態においては、実施の形態1と同様に
離型剤溜り部53aに温度検知手段であるサーミスタ7
0を設け、離型剤温度に応じて朝一定着可能枚数(具体
的には定着可能温度)を変化させるよう制御した。
【0074】従来は朝一状態は定着性が悪いため、電源
投入後所定時間は連続コピーを行い、定着ローラ温度が
或る温度まで低下するとコピーを停止し、定着ローラ温
度が回復するまで待機し、回復すると又コピーを開始す
るようにした機械があった。しかし、そのような制御で
は正確な時間が分からないため、一律に定着可能温度が
決められており、離型剤の温度が徐々に上昇してきて定
着性が徐々に良くなってきても、朝一からの所定時間内
においては定着可能温度が一定であるためにコピー停止
までの枚数が少ないことがあった。
【0075】本実施の形態においては、図7に示すよう
に、実施の形態1と同様に電源がONされると(ステッ
プS1)、サーミスタ70によって所定の間隔で離型剤
溜り53a内の離型剤の温度を検知する(ステップS
2)。このとき、離型剤温度は図3に示したと同様の挙
動を示す。即ち、図3に示すように離型剤の温度は数時
間で上昇して或る温度で飽和する。尚、本実施の形態に
係る定着装置5では約150℃で飽和した。
【0076】而して、サーミスタ70によって検知され
た離型剤の温度が飽和温度に達したか否かが判定され
(ステップS3)、飽和温度に達している場合には定着
可能温度が標準定着可能温度に設定され(ステップS
4)、飽和温度に達していない場合には定着可能温度が
変更され(ステップS5)、以上の動作(ステップS2
〜ステップS5の動作)が電源がOFFされるまで繰り
返される(ステップS6)。
【0077】以上のように、離型剤温度に応じて定着可
能温度を変更することにより、朝一状態においても良好
な定着性を得ることができる。即ち、朝一状態では離型
剤温度は約30℃となり、飽和温度の150℃に比べて
120℃低い。
【0078】そこで、朝一状態でコピーされ、定着温度
が所定の定着可能温度まで低下するとコピーが停止して
待機モードに入る。このとき、離型剤温度に応じて定着
可能温度を変更することによって待機モードまでのコピ
ー枚数を多くすることができる。
【0079】即ち、離型剤温度が低いときは定着可能温
度は高くなって早く待機モードに入る。そして、離型剤
温度が徐々に高くなるに連れて定着可能温度は徐々に低
く移行し、これによって待機モードに突入するまでのコ
ピー枚数が多くなって性能が向上する。
【0080】尚、離型剤の温度や定着可能温度は定着装
置の構成によって異なってくるため、これらは必ずしも
本実施の形態において示した値に限るものではない。
【0081】又、定着性は機械の周りの環境温度や湿度
によって異なってくるため、機械が置かれている環境温
度や湿度を検知し、更に本実施の形態と組み合わせると
より細かい制御をすることが可能となって更に性能が向
上する。
【0082】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、記録材上の未定着画像を熱により定着する回転
自在な定着ローラと、定着ローラに圧接し、記録材を挟
持搬送するニップを形成する加圧ローラと、前記定着ロ
ーラの表面に離型剤を塗布する離型剤塗布手段と、離型
剤の温度を検知する離型剤温度検知手段と、を有する
着装置において、前記離型剤温度検知手段によって検知
された離型剤の温度が所定値よりも小さい場合には、標
準定着条件よりも定着され易くなる定着条件で定着を行
ようにしたため、良好な定着性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る定着装置の断面図
である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る定着装置における
定着条件変更制御手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1に係る定着装置における
離型剤の温度上昇を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る定着装置における
定着条件変更制御手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態3に係る定着装置における
定着条件変更制御手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態4に係る定着装置における
定着条件変更制御手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態5に係る定着装置における
定着条件変更制御手順を示すフローチャートである。
【図8】従来の画像形成装置の断面図である。
【図9】従来の画像形成装置の像形成部の拡大詳細断面
図である。
【図10】従来の定着装置の断面図である。
【符号の説明】
1a〜1d 感光ドラム(像担持体) 2a〜2d 現像装置(現像手段) 3 転写部(転写手段) 5 定着装置 51 定着ローラ 52 加圧ローラ 53 離型剤塗布装置(離型剤塗布手段) 70 サーミスタ(温度検知手段) P 記録紙(記録材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 昇造 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−295422(JP,A) 特開 平4−42186(JP,A) 特開 平11−133797(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 13/20 G03G 15/20

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録材上の未定着画像を熱により定着す
    る回転自在な定着ローラと、定着ローラに圧接し、記録
    材を挟持搬送するニップを形成する加圧ローラと、前記
    定着ローラの表面に離型剤を塗布する離型剤塗布手段
    、離型剤の温度を検知する離型剤温度検知手段と、を
    有する定着装置において、前記離型剤温度検知手段によって検知された離型剤の温
    度が所定値よりも小さい場合には、標準定着条件よりも
    定着され易くなる定着条件で定着を行う ことを特徴とす
    る定着装置。
  2. 【請求項2】 環境温度又は環境湿度を検知する手段を
    設け、離型剤温度と環境温度又は環境湿度に応じて前記
    定着条件を制御することを特徴とする請求項1記載の定
    着装置。
  3. 【請求項3】 前記離型剤温度検知手段によって検知さ
    れた離型剤の温度が上がるに連れて、前記定着条件は徐
    々に標準定着条件に近づくことを特徴とする請求項1又
    は2記載の定着装置。
  4. 【請求項4】 前記定着条件は、定着温調温度を上げる
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の定着装
    置。
  5. 【請求項5】 前記定着条件は、定着ローラと加圧ロー
    ラ間の加圧力を高くすることを特徴とする請求項1〜4
    の何れかに記載の定着装置。
  6. 【請求項6】 前記定着条件は、定着速度を遅くする
    とを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の定着装
    置。
  7. 【請求項7】 前記定着条件は、通紙間隔を長くとる
    とを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の定着装
    置。
  8. 【請求項8】 記録材上に未定着画像を形成する未定着
    画像形成手段を有する画像形成装置において、 請求項1〜7の何れかに記載の定着装置を備える ことを
    特徴とする画像形成装置。
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