JP3419583B2 - ガリウム砒素基板における選択的結晶成長方法 - Google Patents

ガリウム砒素基板における選択的結晶成長方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガリウム砒素基板におけ
る選択的結晶成長方法、特に、汚染が少なく、より単純
な工程によりガリウム砒素基板上の部分領域に選択的に
結晶成長を行うことができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコンやガリウム砒素などの半導体基
板、あるいはその上に形成された所定の材料層に対する
微細加工を行う技術としては、現在のところ、リソグラ
フィ法が一般的である。すなわち、基板あるいは材料層
をレジスト層で覆い、このレジスト層を部分的に露光
し、これを現像することにより露光部分または非露光部
分のみを除去する。そして、残存レジスト層をマスクと
してエッチングを行い、基板表面や材料層を部分的に除
去するのである。
【0003】これに対して、半導体基板上に選択的に結
晶成長を行わせることにより、基板上に所望の微細凹凸
構造を形成させる方法も知られている。上述のリソグラ
フィ法は、材料を部分的に除去することにより微細凹凸
構造を得るものであるが、選択的結晶成長法は、逆に基
板上の部分的な領域だけに結晶を成長させて微細凹凸構
造を得るものである。たとえば、ガリウム砒素基板上に
選択的に結晶を成長させる方法としては、基板上面を部
分的に酸化膜で覆い、酸化膜に覆われていない露出部分
に所定の反応性ガスや原子ビームを作用させて結晶成長
を行わせる方法が報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ガリウム砒素はシリコ
ンに比べて移動度が高く、デバイスを高速化するための
次期半導体材料として注目を集めている。このガリウム
砒素基板上に所望のパターンをもった微細凹凸構造を形
成する方法としては、上述したように、リソグラフィ法
や選択的結晶成長法が知られている。しかしながら、従
来の方法には、次のような問題点がある。
【0005】第1の問題点は、工程が複雑であるために
製造コストがかかるという点である。たとえば、一般的
なフォトリソグラフィの工程では、レジスト層の塗布
工程、マスクを用いた露光あるいはビーム走査による
露光工程、レジスト層の現像工程、残存レジスト層
を保護膜として用いたエッチング工程、という少なくと
も4つの工程が必要になる。これらの工程には、水洗
い、乾燥などが必要になるため、基板をチャンバ内から
頻繁に出し入れしなければならず、作業負担はかなり重
いものになる。また、従来提案されている選択的結晶成
長法においても、やはり、複数の工程が必要になり、各
工程ごとに別なチャンバを用意しなければならない。
【0006】第2の問題点は、汚染によるデバイス性能
の低下である。高移動度の環境で動作しうる高性能な半
導体デバイスを作成するためには、不要物質の混入をで
きる限り避けなければならない。ところが、従来の方法
では、不要物質の混入による汚染が避けられない。たと
えば、一般的なフォトリソグラフィの工程では、感光性
のフォトレジストを用いることになるが、通常用いられ
ているフォトレジストは有機物質を含んでおり、各工程
において、この有機物質による汚染が避けられなくな
る。一方、従来提案されている選択的結晶成長法では、
フォトレジストを用いる必要がないため、有機レジスト
の使用による汚染は避けられる。しかしながら、塩素な
どの反応性ガスを用いる必要があるため、やはり不要物
質の混入による汚染は避けられない。
【0007】そこで本発明は、全体の加工工程を単純化
することができ、しかも不要物質による汚染を受けない
ガリウム砒素基板における選択的結晶成長方法を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、ガリウム砒素基板におけ
る選択的結晶成長方法において、表面に酸化膜が形成さ
れたガリウム砒素基板を用意する第1の段階と、この酸
化膜を通してガリウム砒素基板上の所定の領域に粒子線
を照射し、基板上の粒子線照射領域におけるガリウム砒
素の改質を行う第2の段階と、この第2の段階後の基板
を、酸化膜中のガリウム、砒素、およびこれらの酸化物
が基板上から離脱することができるような所定の真空度
および所定の温度の条件下におき、酸化膜を除去する第
3の段階と、この第3の段階後の基板を、結晶成長を行
うことができるような所定の真空度および所定の温度の
条件下においた状態で、基板に対してガリウム原料およ
び砒素原料を照射し、粒子線照射領域にのみ、あるいは
この領域においてより厚くなるように、選択的にガリウ
ム砒素の結晶を成長させる第4の段階と、を行うように
したものである。
【0009】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る選択的結晶成長方法において、第2の段階
における粒子線として電子線を用いるようにしたもので
ある。
【0010】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1
または第2の態様に係る選択的結晶成長方法において、
第3の段階における所定の温度を、ガリウムの離脱割合
よりも、砒素の離脱割合の方が大きくなるような温度に
設定したものである。
【0011】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1
または第2の態様に係る選択的結晶成長方法において、
第3の段階での所定の真空度を、5×10−4Paもし
くはこれより高真空の状態となる真空度とし、所定の温
度を、610℃〜700℃としたものである。
【0012】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1
〜第4の態様に係る選択的結晶成長方法において、第4
の段階での所定の真空度を、5×10−2Paもしくは
これより高真空の状態となる真空度とし、所定の温度
を、200℃〜350℃とし、粒子線照射領域にのみ選
択的にガリウム砒素の結晶を成長させるようにしたもの
である。
【0013】(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1
〜第4の態様に係る選択的結晶成長方法において、第4
の段階での所定の真空度を、5×10−2Paもしくは
これより高真空の状態となる真空度とし、所定の温度
を、350℃〜600℃とし、粒子線照射領域において
より厚くなるように選択的にガリウム砒素の結晶を成長
させるようにしたものである。
【0014】(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1
〜第4の態様に係る選択的結晶成長方法において、第3
の段階で酸化膜の表面側の一部分のみを除去し、第4の
段階では、除去されずに残った酸化膜を介して基板にガ
リウム原料および砒素原料を照射するようにしたもので
ある。
【0015】(8) 本発明の第8の態様は、ガリウム砒
素基板における選択的結晶成長方法において、表面に酸
化膜が形成されたガリウム砒素基板を用意する第1の段
階と、この酸化膜を通して基板上の所定の領域に粒子線
を照射し、基板上の粒子線照射領域におけるガリウム砒
素の改質を行う第2の段階と、この第2の段階後の基板
を、結晶成長を行うことができるような所定の真空度お
よび所定の温度の条件下においた状態で、酸化膜を介し
て基板にガリウム原料および砒素原料を照射し、粒子線
照射領域にのみ、あるいは粒子線照射領域においてより
厚くなるように、選択的にガリウム砒素の結晶を成長さ
せる第3の段階と、を行うようにしたものである。
【0016】(9) 本発明の第9の態様は、上述の第8
の態様に係る選択的結晶成長方法において、第3の段階
において、所定の真空度を、5×10−2Paもしくは
これより高真空の状態となる真空度とし、所定の温度
を、350℃〜450℃とし、粒子線照射領域にのみ選
択的にガリウム砒素の結晶を成長させるようにしたもの
である。
【0017】(10) 本発明の第10の態様は、上述の第
8の態様に係る選択的結晶成長方法において、第3の段
階において、所定の真空度を、5×10−2Paもしく
はこれより高真空の状態となる真空度とし、所定の温度
を、450℃〜650℃とし、粒子線照射領域において
より厚くなるように選択的にガリウム砒素の結晶を成長
させるようにしたものである。
【0018】
【作 用】本願発明は、全く別な目的のために行った実
験において、偶然に発見された現象に基づくものであ
る。すなわち、本願発明者が、ガリウム砒素基板を結晶
成長用チャンバ内に入れ、結晶成長に必要な所定の真空
度および温度条件を確保し、基板上にガリウム原料およ
び砒素原料を照射して結晶成長を行う実験を行ったとこ
ろ、ある部分についてだけの選択的な結晶成長が見られ
たのである。このような予想もしなかった実験結果が得
られた原因を分析したところ、この基板について、過去
に電子線照射を行った事実が確認でき、選択的な結晶成
長はこの電子線照射領域についてのみ起こっていること
が確認できた。しかしながら、この過去に行った電子線
照射は、ガリウム砒素基板上に形成された酸化膜の上か
らのものであり、ガリウム砒素基板に直接電子線を照射
したわけではない。
【0019】本願発明者は、この実験結果に基づいて、
次のような現象が起こり得ると考えた。すなわち、ま
ず、表面に酸化膜が形成されたガリウム砒素基板に、電
子線などの粒子線を照射する。このとき、粒子線の照射
強度をある程度以上にすれば、粒子線が酸化膜を通し
て、ガリウム砒素基板の表面に何らかの影響を及ぼし、
粒子線の照射を受けた領域に何らかの痕跡が残るのであ
る。本明細書では、このように、酸化膜上に照射した粒
子線によってガリウム砒素基板の上面部分に発生する物
理的あるいは化学的な変化を「改質」と呼ぶことにす
る。本願発明者は、この「改質」は、ガリウム砒素結晶
中に発生した格子欠陥に基づく質の変化であると考えて
いる。この改質についての詳しい解析は、いまのところ
なされていないが、本願発明者は、電子の非弾性散乱効
果により、ガリウム砒素結晶の化学結合の一部が破壊さ
れる現象と考えている。いずれにしても、粒子線の照射
領域と非照射領域との間には、結晶の質あるいは組成に
関して何らかの差が生じていることは確かである。
【0020】次に、この基板全体を所定の真空度および
所定の温度の条件下におき、いわゆるサーマルエッチン
グの手法により、酸化膜を除去する。これにより、ガリ
ウム砒素基板の表面が露出することになる。この基板表
面には、肉眼では確認できないが、改質を受けた領域と
受けなかった領域とのパターンができていることにな
る。そこで、このガリウム砒素基板全面に、ガリウム原
料および砒素原料を照射し、結晶成長に必要な所定の真
空度および温度条件を維持してやると、改質の行われた
部分にのみ選択的に結晶成長が起こるのである。
【0021】本願発明者は、上述のような理論に基づい
て、この現象を再現する実験を行ったところ、酸化膜を
除去するサーマルエッチングの条件や、結晶成長を行う
ときの条件により、得られる結果に差はあるものの、上
記理論を裏付けることができる実験結果を得ることがで
きた。すなわち、上記現象を利用すれば、次のような工
程により選択的結晶成長を行うことが可能になる。ま
ず、表面に酸化膜が形成されたガリウム砒素基板を用意
する。そして、この酸化膜上の所定の領域に粒子線を照
射する。このとき、粒子線の照射強度は、酸化膜を介し
てガリウム砒素基板の表面に何らかの変化(改質)を生
じさせるのに十分な強度に設定する。続いて、この基板
上の酸化膜をサーマルエッチングの方法で除去する。す
なわち、酸化膜中のガリウムおよび砒素が基板上から離
脱することができるような所定の真空度および所定の温
度の条件下におく。続いて、この酸化膜を除去した基板
を、結晶成長を行うことができるような所定の真空度お
よび所定の温度の条件下におき、ガリウム原料および砒
素原料を照射する。
【0022】このような方法で選択的結晶成長を行え
ば、全工程は非常に単純化される。ガリウム砒素基板
は、大気中において自然酸化を受け、その表面には自然
に酸化膜が形成される。したがって、この自然酸化膜を
利用するのであれば、酸化膜の形成工程を行う必要はな
くなる。続く、粒子線の照射工程、酸化膜のサーマルエ
ッチング工程、結晶成長工程は、いずれも同一のチャン
バ内で連続した工程として行うことができるので、従来
の方法のように、各工程ごとに専用チャンバを用意して
基板を移動する必要はなくなる。
【0023】また、各工程ごとに基板をチャンバから出
し入れする必要がないため、基板が不要な元素や化合物
にさらされる状態が少なくなり、不要な物質による汚染
を受けることも少なくなる。特に、粒子線として電子線
を用いることにすれば、全工程に関与する物質は、ガリ
ウム,砒素,酸素、そして、結晶成長工程で用いられる
原料に含まれる物質だけとなり、ほとんど汚染のない純
度の高いデバイスの製造が可能になる。
【0024】また、本願発明者は、粒子線照射による改
質を行った後、酸化膜を除去せずに、この酸化膜の表面
上にガリウム原料および砒素原料を照射しても、同様の
選択的結晶成長現象が起こることを確認した。これは、
粒子線照射により酸化膜自身にも改質が生じ、比較的低
温で脱離しやすくなり、結晶成長工程において、酸化膜
がガリウム砒素に置換されるためと思われる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて説
明する。
【0026】<従来の方法>はじめに、参考のために、
半導体基板上に微細構造を構成するための従来の一般的
な方法を簡単に述べておく。図1は、一般的なフォトリ
ソグラフィ法の工程を示す断面図である。まず、図1
(a) のように、半導体基板1を用意し、同図(b) のよう
に、レジスト層2を全面に形成する。続いて、同図(c)
に示すように、レジスト層2に部分的に光3を照射す
る。この部分的な照射には、所定のパターンをもったフ
ォトマスクを用いる場合もあるし、ビーム状の光3を所
定のパターンに基づいて走査しながら照射する場合もあ
る。こうして、レジスト層2には、非露光部2aと露光
部2bとが形成されることになる。レジスト層2として
ポジ型レジスト材料を用いていれば、これを現像するこ
とにより、同図(d) に示すように、非露光部2aだけを
残すことができる。そこで、この非露光部2aを保護膜
としてエッチングを行えば、同図(e) に示すように、部
分的に溝部1aを形成することができ、最後にレジスト
の非露光部2aを剥離除去すれば、同図(f) に示す凹凸
構造を得ることができる。
【0027】しかしながら、このようなリソグラフィに
よる方法は、レジスト層の形成、露光、現像、水洗い、
乾燥などの工程を伴うため、工程全体が複雑で作業負担
はかなり重いものとなり、また、レジストに含まれる有
機物質による汚染といった問題も生じることは、既に述
べたとおりである。
【0028】一方、従来提案されているガリウム砒素基
板上での選択的結晶成長方法の一例を図2の工程断面図
に示す。この方法は、英文誌「Journal of Crystal Gro
wth111 (1991) 570-573:Elsevier Science Publishers
B.V.(North-Holland) 」において、「In-situ selecti
ve-area epitaxy of GaAs using a GaAs oxide layer a
s a mask 」と題して報告されている方法である。
【0029】まず、図2(a) に示すように、ガリウム砒
素基板4を用意し、これを酸素雰囲気下の低真空チャン
バ内に入れ、この表面に、図2(b) に示すように酸化膜
5を形成する。続いて、この基板を、Clガス雰囲気
下の低真空チャンバ内に入れ、図2(c) に示すように、
部分的に電子線6を照射して電子線エッチングを行い、
酸化膜5を部分的に除去する。これにより、電子線6の
照射を受けなかった部分に、残存酸化膜5aが残るよう
になる。次に、この基板を、結晶成長用の高真空チャン
バ内に入れ、基板温度を450℃に保ちつつ、ガリウム
原料としてのトリメチルガリウム(TMG:Trymethylg
alium )と砒素原料としてのアルシン(AsH)とを
基板表面に、それぞれ4×10−6Paおよび1×10
−4Paとなるような圧力で照射する。すると、図2
(d) に示すように、ガリウム砒素基板の露出面だけに選
択的にガリウム砒素の単結晶を成長させることができ、
ガリウム砒素成長層7を得ることができる。最後に、こ
の基板を、水素チャンバ内に入れ、400℃程度に加熱
した状態で、表面に水素のラジカルを照射してやると、
残存酸化膜5aはサーマルエッチングにより除去され、
図2(e) に示す凹凸構造を得ることができる。
【0030】しかしながら、このような選択的結晶成長
方法にも、工程全体が複雑で作業負担が重くなるという
問題と、不要物質による汚染といった問題が存在する。
すなわち、図2に示す工程において、同図(b) の工程は
酸素チャンバ内、同図(c) の工程は塩素チャンバ内、同
図(d) の工程はTMGおよびアルシン(AsH)のチ
ャンバ内、同図(e) の工程は水素チャンバ内、で行われ
るため、前工程の残存ガスの混入を防ぐためには、各工
程ごとに、基板をそれぞれ別個の専用チャンバに移す必
要がある。また、同図(c) に示す工程では、非常に反応
性の強い塩素ガスを用いているため、最終的に得られる
ガリウム砒素基板内に塩素が混入する可能性が高く、不
要物質による汚染という問題が避けられなくなる。
【0031】<本発明の第1の工程>続いて、本発明の
基本的な実施例を図3の工程断面図に基づいて説明す
る。まず、第1の工程では、図3(a) に示すように、ガ
リウム砒素基板4上に、ガリウム砒素の酸化膜5を形成
する。一般に、ガリウム砒素基板4は、大気中において
自然酸化を受ける性質を有するため、酸化膜5として
は、大気中での自然酸化により形成された酸化膜をその
まま利用することができる。なお、ガリウム砒素基板4
上に種々の半導体デバイスを形成するような場合、ま
ず、基板表面を平滑化するために、用意した基板に対す
るエッチングを行うのが一般的である。したがって、こ
の自然酸化膜の生成は、この前段階としてのエッチング
工程にともなって行われることになる。このようなエッ
チング工程では、通常、濃硫酸、純水、過酸化水素、を
適当な割合で混ぜたエッチング液が用いられている。こ
の混合比率によって、エッチング後に形成される自然酸
化膜の厚みや酸化膜の組成などが若干異なる。本願発明
者が行った実験によれば、濃硫酸:純水:過酸化水素の
比率が、5:1:1、あるいは4:1:1といった一般
的なエッチング液を用いた場合、本発明の実施に適した
自然酸化膜が得られた。
【0032】自然酸化膜を用いる代わりに、真空チャン
バ内において、ガリウム砒素基板4の表面にラジカル酸
素などを照射することにより、酸化膜5を作成すること
もできる。この場合、本発明に係る工程のすべてを真空
チャンバ内で実行することができ、更に低汚染のプロセ
スを実現することができる。なお、自然酸化膜を形成さ
せた場合、形成される酸化膜5の厚みは、ほぼ1nm程
度であり、真空チャンバ内で酸化膜を意図的に形成した
場合でも、形成される酸化膜の厚みは、ほぼ1〜3nm
程度である。
【0033】<本発明の第2の工程>続いて、図3(b)
に示すように、酸化膜5が形成されたガリウム砒素基板
4を、電子銃を備えた真空チャンバ内に導入し、酸化膜
5の表面の所定領域に電子線6を照射して描画を行う。
この工程では、チャンバ内には、何らガスを導入する必
要はなく、また、チャンバ内圧力も電子線6の照射に支
障がない圧力であれば、どのような圧力に維持していて
もかまわない。ただ、不純物による汚染を避けるために
は、高真空に保つ方が好ましい。電子線のビーム径は、
nmのオーダまで集束させることが可能であり、この電
子線を走査することにより、光による描画に比べて、よ
り高解像度のパターン描画が可能になる。このとき、電
子線6の強度は、電子線の照射により酸化膜5だけでな
く、その下のガリウム砒素基板4の表面の改質を行うこ
とができるだけの十分な強度にする必要がある。酸化膜
5の形成方法としては、上述したように、自然酸化を利
用する方法や、真空チャンバ内で酸化工程を行う方法が
あるが、いずれの方法でも、形成される酸化膜5の厚み
は、1〜3nm程度のものである。この程度の厚みの酸
化膜5を介して、ガリウム砒素基板4の表面の改質を行
うためには、少なくとも1017電子/cm以上の密
度で電子線照射を行う必要がある。なお、電子線照射密
度を高めてゆくと、後述する第4の工程(結晶成長工
程)における結晶成長が促進されるが、本願発明者の行
った実験によれば、電子線照射密度が、1019電子/
cm以上になると、照射密度を高めても結晶成長を促
進させる効果には変化がなかった。したがって、1〜3
nm程度の厚みの一般的な酸化膜5が形成されている場
合、電子線照射密度は、1018〜1019電子/cm
程度にするのが好ましい。
【0034】このような電子線6の照射を行うと、図3
(b) に示されているように、酸化膜5は、電子線6の照
射を受けなかった非照射部5aと、照射を受けた照射部
5bと、に分かれることになり、ガリウム砒素基板4の
表面部分は、電子線6の影響を受けなかった非改質部4
aと、電子線6の影響により改質が行われた改質部4b
と、に分かれることになる。このように、ガリウム砒素
基板4の表面上の一部分に、改質部4bを形成させる点
が本発明の重要なポイントである。
【0035】なお、上述の例では、電子線6を走査する
ことにより、所定のパターンに対応した領域にだけ、電
子線照射を行っているが、所定のパターンが刻まれたマ
スク板を用意し、このマスク板により酸化膜5を覆った
状態にして、全面に電子シャワーを照射するようにして
もかまわない。照射した電子シャワーのうち、マスク板
を通り抜けたものだけが酸化膜5上に到達することにな
るので、やはり所定のパターンに対応した領域に対して
だけ選択的に電子を照射することができる。この場合
も、電子の照射密度は、1018〜1019電子/cm
程度にするのが好ましい。
【0036】また、この第2の工程の目的は、ガリウム
砒素基板4の上面に非改質部4aと改質部4bとからな
るパターンを形成することであるから、電子線6の代わ
りに別な粒子線を用いてもかまわない。たとえば、中性
子線やイオン粒子線を電子線6の代わりに用いることも
可能である。しかしながら、イオン粒子線などを用いる
と、工程中にこのイオンの元素が混入することになり、
不要な元素による汚染を回避するという点では弊害が生
じる可能性がある。また、集束ビームを走査して描画を
行う上では、nm単位のビーム径に集束することができ
る電子線を用いるのが好ましい。
【0037】<本発明の第3の工程>この工程は、いわ
ゆる酸化膜5のサーマルエッチング工程である。すなわ
ち、ガリウム砒素基板4を収容しているチャンバ内を、
酸化膜5中のガリウムおよび砒素が基板上から離脱する
ことができるような所定の真空度および所定の温度の条
件下におき、酸化膜5を除去する。このようなサーマル
エッチングを行うには、少なくとも5×10−4Pa程
度の高真空度を維持する必要があるため(これより圧力
が高いと、一度離脱したガリウムや砒素が、再び付着す
るため、酸化膜5の除去が行われなくなる)、たとえ
ば、CBE(Chemical Beam Epitaxy )用のチャンバを
用いるのが好ましい。
【0038】一方、チャンバ内の温度としては、少なく
とも、酸化膜5内のガリウムや砒素がチャンバ内に遊離
するのに必要な580℃以上に維持する必要がある。一
般に、ガリウム砒素をCBE法により成長させる場合、
チャンバ内の温度は580℃〜600℃に維持される。
しかしながら、本発明のこの第3の工程を実施する上で
は、通常のCBE法による成長温度よりもいくらか温度
を高くした方が、次の第4の工程(結晶成長工程)にお
ける結晶成長がより良好に行われることが確認できた。
ただ、温度を700℃以上にすると、ガリウム砒素基板
4の表面が溶融し始めるため、正常な結晶成長がみられ
なくなる。したがって、具体的には、610℃〜700
℃程度、特に、640℃程度の温度条件下に基板をおく
ようにするのが好ましい。
【0039】このように、通常のCBE法による成長温
度(580℃〜600℃)よりも若干高い温度(640
℃)に保ちながら、酸化膜5のサーマルエッチングを行
うと、次の工程において良好な結晶成長が行われる理由
については、本願発明者は、ガリウムの離脱割合と砒素
の離脱割合との間の差が関係しているものと考えてい
る。すなわち、580℃〜600℃の温度条件における
サーマルエッチングでは、酸化膜5内のガリウムも砒素
も同じ割合でチャンバ内に離脱するが、これよりも温度
が高くなると、砒素の離脱割合が徐々に増えてくるので
ある(たとえば、600℃において、ガリウム:10
0、砒素:100、という割合で離脱が起こったとする
と、640℃において、ガリウム:110、砒素:12
0、という割合で離脱が起こるようになる)。このよう
に、ガリウムの離脱割合よりも、砒素の離脱割合の方が
大きくなるような温度条件でサーマルエッチングを行う
と、次の工程でより良好な結晶成長が行われる事実は確
認できたが、その理論的な解析はまだなされていない。
【0040】なお、このように、640℃という温度条
件では、ガリウムより砒素の離脱割合の方が大きくなる
ので、チャンバ内に砒素化合物ガスを供給し、非照射部
5aの表面から脱離する砒素を補うようにしても、良好
な結果が得られた。
【0041】<本発明の第4の工程:その1>上述の第
3の工程により、酸化膜5が完全に除去されたら、続い
て、結晶成長工程に入る。すなわち、チャンバ内を、結
晶成長を行うことができるような所定の真空度および所
定の温度の条件下においた状態で、ガリウム原料および
砒素原料を照射するのである。すると、図3(d) に示す
ように、改質部4b上にのみ選択的にガリウム砒素結晶
の成長層8が得られる。ガリウム原料および砒素原料と
しては、それぞれガリウムおよび砒素を含む化合物であ
れば、どのような原料を用いてもかまわない。一般に
は、ガリウム原料としては、液体ガリウム、トリエチル
ガリウム(TEG:TriEthylGalium:(C
a)、トリメチルガリウム(TMG:TriMethylGalium
:(CHGa)、三塩化ガリウム(GaC
)などが利用されており、砒素原料としては、固体
砒素、アルシン(AsH)、トリメチル砒素(TMA
s:TriMethyl Arsenide:As(CH)、三塩化
砒素(AsCl)などが利用されている。
【0042】これらの原料の供給方法としては、各原料
を昇華または蒸発させ、ガリウムや砒素の分子単体をビ
ーム状にして基板表面上に供給するいわゆるMBE(Mo
lecular Beam Epitaxy)法あるいはGSMBE(Gas So
urce Molecular Beam Epitaxy)法や、熱や電界などの外
部エネルギーの供給により各原料を分解して原子やクラ
スターの状態で基板表面上に供給するいわゆるCBE
(Chemical Beam Epitaxy )法あるいはMOMBE(Met
al Organic Molecular Beam Epitaxy )法を用いること
ができる。
【0043】ここで述べる態様で結晶成長を行う場合、
チャンバ内において5×10−2Paもしくはこれより
高真空の状態となる真空度を確保する必要があり、ま
た、温度条件としては、200℃〜350℃とする必要
がある。本願発明者が行った実験では、特に、250℃
〜300℃程度の温度条件により最も良好な結晶成長が
実現できた。なお、この200℃〜350℃という温度
条件では、得られるガリウム砒素成長層8は多結晶のも
のとなった。また、200℃〜350℃という比較的低
温度での結晶成長では、界面の急峻化や熱膨張率の違い
を原因とする界面破壊は生じない。
【0044】<本発明の第4の工程:その2>上述の
「第4の工程:その1」では、結晶成長時の温度条件
を、200℃〜350℃とすることにより、図3(d) に
示すように、改質部4b上のみに選択的に多結晶ガリウ
ム砒素成長層8を得ることができた。ところが、この第
4の工程において、温度条件だけを、350℃〜600
℃に変えるだけで、別な態様の結晶成長を実現すること
ができる。すなわち、この350℃〜600℃という温
度条件で結晶成長を行うと、図4に示すように、ガリウ
ム砒素基板4の上面全面にガリウム砒素の単結晶が成長
する。ただし、非改質部4a上に成長したガリウム砒素
成長層9aの厚みに比べ、改質部4b上に成長したガリ
ウム砒素成長層9bの厚みの方が厚くなる。別言すれ
ば、非改質部4a上面に比べて改質部4b上面の方が、
結晶成長速度が速くなる。このような結晶成長は、35
0℃〜600℃という温度条件において見られるが、良
好な結晶成長を行わせるためには、500℃〜570℃
という温度条件に維持するのが好ましい。
【0045】このように、「第4の工程:その2」は、
前述した「第4の工程:その1」と温度以外の条件につ
いては全く同じである。ところが、温度条件を変えるだ
けで、一方では、図3(d) に示すように、改質部4b上
面だけに多結晶のガリウム砒素成長層8が得られるのに
対し、他方では、図4に示すように、基板全面に単結晶
のガリウム砒素成長層9a,9bが得られる、という点
は注目すべき点である。もっとも、後者の場合には、非
改質部4aと改質部4bとで成長速度に差がでるため、
いずれの温度条件においても、最終的には表面に凹凸構
造が形成されることになる。
【0046】<本発明の実施に用いる装置>図5に本発
明の実施に用いることができる装置の一例をブロック図
として示す。この装置は、日本真空技術株式会社製の電
子ビーム励起型MO−MBE装置「MBC−100型」
である。準備室11は、試料の出し入れを行うための予
備室であり、ターボ分子ポンプ12およびロータリポン
プ13により、10−5Pa程度の高真空状態にするこ
とができる。一方、この準備室11と搬送路14によっ
て結ばれた成長室15は、本発明の実際の各工程が行わ
れるチャンバであり、ターボ分子ポンプ16およびロー
タリポンプ17により、10−6Pa程度の高真空状態
にすることができる。成長室15には、電子銃18が設
けられており、試料上に電子線を照射しながらこれを走
査し、所定のパターンを描画することができる。
【0047】また、成長室15には、TEGなどのガリ
ウム原料を供給するための原料供給路19と、アルシン
(AsH)などの砒素原料を供給するための原料供給
路20と、が導入されている。ここで、原料供給路20
の途中には、1000℃程度の高温に保つことができる
クラッキングセル21が設けられており、アルシンはこ
のクラッキングセル21を通過することにより、原子状
砒素(As,As)の形で成長室15内に供給され
る。
【0048】原料供給路19,20は、316ステンレ
ス鋼製のいわゆる「1/4インチ管」で、内径約4mm
程度であり、成長室15に導入された試料基板の表面に
対して、約45°の角度から、供給する原料を照射する
ことができる。
【0049】このような装置を用いれば、本発明におけ
る第2の工程〜第4の工程に至るまでを、成長室15内
において行うことができ、いわゆる真空一貫プロセスを
実現することができる。したがって、全工程は単純化さ
れ、また不純物による汚染の可能性も低減される。
【0050】<具体的な実施例1>ここで、本発明の具
体的な実施例を述べておく。まず、半絶縁ガリウム砒素
基板(結晶方位(100)−5°off基板(1019
/cmCrO混入))に対して、トルエン、アセト
ン、イソプロピルアルコールの順に有機溶剤による洗浄
を行った。この基板を、50℃に加熱したエッチング溶
液(濃硫酸:純水:過酸化水素水を5:1:1の割合で
混合した液)中で3分間エッチングし、表面に自然酸化
膜を作成した。
【0051】続いて、この基板をホルダーに固定し、図
5に示す装置の準備室11に導入した。準備室11内の
圧力が10−5Pa以下に到達したことを確認した後、
搬送路14を通して、圧力が10−6Pa以下に保たれ
ている成長室15に基板を搬入した。ここで、電子銃1
8により、加速電圧10keV、電流量2.5×10
−4Aなる条件で、電子線をスポット径200μm程度
に集束して基板表面に照射した。このとき、電子線を、
振幅1mm、周波数0.1Hzで走査し、1時間照射を
継続させた。
【0052】次に、基板温度を室温から10℃/分の割
合で、650℃まで上昇させ、10分間だけ650℃の
温度を維持しながらサーマルエッチングを行った。続い
て、基板温度を、10℃/分の割合で300℃まで下
げ、温度が安定してから、ガリウム原料として、高純度
水素とトリエチルガリウムの混合気体(混合比18:
5)を原料供給路19を通して1.08sccm(Stan
dard cc per minute)なる流量で基板上に照射し、砒素
原料として、アルシン(AsH)を原料供給路20を
通して0.1sccmなる流量で基板上に照射した。こ
のとき、原料供給路20上に設けられたクラッキングセ
ル21を1000℃に加熱しておき、アルシンが原子状
砒素(As,As)の形で供給されるようにした。
このように、原料ガスの供給により、成長室15内の圧
力は、1×10−2Pa程度まで上昇した。この状態を
1時間維持することにより、図3(d) に示すように、厚
み0.1μm程度の良好なガリウム砒素成長層8を得る
ことができた。
【0053】<具体的な実施例2>続いて、もうひとつ
の具体的な実施例を述べておく。上述の実施例1と同様
に、まず、半絶縁ガリウム砒素基板(結晶方位(10
0)−5°off基板(1019/cmCrO混
入))に対して、トルエン、アセトン、イソプロピルア
ルコールの順に有機溶剤による洗浄を行った。この基板
を、50℃に加熱したエッチング溶液(濃硫酸:純水:
過酸化水素水を5:1:1の割合で混合した液)中で3
分間エッチングし、表面に自然酸化膜を作成した。
【0054】続いて、この基板をホルダーに固定し、図
5に示す装置の準備室11に導入した。準備室11内の
圧力が10−5Pa以下に到達したことを確認した後、
搬送路14を通して、圧力が10−6Pa以下に保たれ
ている成長室15に基板を搬入した。ここで、電子銃1
8により、加速電圧10keV、電流量2.5×10
−4Aなる条件で、電子線をスポット径200μm程度
の集束して基板表面に照射した。このとき、電子線を、
振幅1mm、周波数0.1Hzで走査し、1時間照射を
継続させた。
【0055】次に、基板温度を室温から10℃/分の割
合で、650℃まで上昇させ、10分間だけ650℃の
温度を維持しながらサーマルエッチングを行った(ここ
までは、上述の実施例1と全く同じである)。
【0056】続いて、基板温度を、10℃/分の割合で
550℃まで下げ(この温度が、実施例1とは異な
る)、温度が安定してから、ガリウム原料として、高純
度水素とトリエチルガリウムの混合気体(混合比18:
5)を原料供給路19を通して1.08sccm(Stan
dard cc per minute)なる流量で基板上に照射し、砒素
原料として、アルシン(AsH)を原料供給路20を
通して0.4sccmなる流量で基板上に照射した。こ
のとき、原料供給路20上に設けられたクラッキングセ
ルを1000℃に加熱しておき、アルシンが原子状砒素
(As,As)の形で供給されるようにした。この
状態を1時間維持することにより、図4に示すように、
非改質部4a上面には厚み0.5μm程度の良好なガリ
ウム砒素成長層9aが形成され、改質部4b上面には厚
み0.6μm程度の良好なガリウム砒素成長層9bが形
成された。
【0057】<酸化膜を除去しない変形例:その1>こ
れまで述べてきた種々の実施例は、いずれも本出願につ
いての国内優先権の基礎になる特願平6−78028号
において開示した内容である。本願発明者は、その後の
研究により、本発明について以下に述べるような変形例
を見出だすに至った。本願発明者は当初、上述した第3
の工程、すなわち、酸化膜5をサーマルエッチングによ
り除去する工程が本発明に必須のものであると考えてい
た。本発明の目的は、ガリウム砒素基板4の表面上に、
ガリウム砒素成長層8を選択的に形成することであるか
ら、不要な酸化膜5を除去してから結晶成長工程(上述
の第4の工程)を行うのは、ごく自然な発想である。と
ころが、本願発明者は、酸化膜5を残したまま結晶成長
工程を行った場合でも、所定の温度条件さえ確保できれ
ば、ガリウム砒素基板4の表面上に、ガリウム砒素成長
層8を選択的に形成することができることを実験により
確認したのである。その実施例を以下に詳述する。
【0058】まず、第2の工程までは、これまで述べて
きた実施例と全く同じである。すなわち、図3(a) に示
すように、表面に酸化膜5が形成されたガリウム砒素基
板4を用意し(第1の工程)、図3(b) に示すように、
電子線6を酸化膜5の表面から照射して描画を行う(第
2の工程)。前述した各実施例では、この後、酸化膜5
に対するサーマルエッチング工程(第3の工程)を行っ
てから結晶成長工程(第4の工程)を行っていた。すな
わち、チャンバ内を、酸化膜5中のガリウムおよび砒素
が基板上から離脱することができるような所定の真空度
および所定の温度の条件下において酸化膜5を除去し、
図3(c) に示す状態を得た後、チャンバ内を、結晶成長
を行うことができるような所定の真空度および所定の温
度の条件下においた状態で、ガリウム原料および砒素原
料を照射し(第4の工程)、図3(d) あるいは図4に示
すように、改質部4b上にのみ、あるいは、改質部4b
上においてより厚くなるように、選択的にガリウム砒素
結晶の成長層8を得ていた。
【0059】ここで述べる変形例では、上述の酸化膜の
除去工程(第3の工程)を行うことなしに、結晶成長工
程(第4の工程)を実施するのである。具体的には、図
3(b) に示すような電子線6の照射工程(第2の工程)
が完了したら、チャンバ内を、結晶成長を行うことがで
きるような所定の真空度および所定の温度の条件下にお
き、ガリウム原料および砒素原料を酸化膜5の表面から
照射して結晶成長を行うのである(前述の実施例におけ
る第4の工程に相当する:本変形例では第3の工程とな
る)。ここで、供給するガリウム原料および砒素原料
や、その供給方法は、前述の実施例における第4の工程
と全く同様でよい。また、チャンバ内の真空度の条件に
ついても、5×10−2Paもしくはこれより高真空の
状態にすればよく、前述の実施例と同様である。ただ、
温度条件は、前述の実施例よりも高温側にシフトさせる
必要がある。具体的には、350℃〜450℃とする必
要がある。本願発明者が行った実験では、特に、400
℃〜450℃程度の温度条件により最も良好な結晶成長
が実現でき、得られるガリウム砒素成長層8は単結晶の
ものとなった。
【0060】図6は、本変形例における結晶成長工程を
示す側断面図であり、ここでは圧力を10−2Pa、温
度を400℃に設定している。重要な点は、酸化膜5
(非照射部5aと照射部5b)を除去することなしに結
晶成長工程を行っているにもかかわらず、この結晶成長
工程中に、照射部5bが自然に除去され、改質部4bの
上面においてのみ選択的にガリウム砒素成長層8が得ら
れるという点である。このとき、非照射部5aはそのま
ま残存し、その上には結晶成長は起こらない。別言すれ
ば、酸化膜5のうち照射部5bの部分だけがガリウム砒
素成長層8に置換されることになる。図3(b) と図6と
を対比すると、この結晶成長工程における変化がよく理
解できる。
【0061】このような現象が起こる理由を、本願発明
者は次のように考えている。図3(b) に示す電子線6の
照射工程において、ガリウム砒素基板4が部分的に改質
されることは既に述べた。このとき、実際には、ガリウ
ム砒素基板4だけでなく、その上の酸化膜5にも改質が
起こっているのである。酸化膜5は、砒素酸化物とガリ
ウム酸化物とから構成されている。ここで、ガリウム酸
化物は、GaOとGaとからなる。本願発明者
の行った実験によれば、電子線6の照射を受けた照射部
5bでは、GaがGaOに還元される反応が起
こっていることが確認できた。したがって、電子線6の
照射工程を経た後は、非照射部5aの酸化膜組成は、砒
素酸化物,GaO,Gaの3種類であるのに対
し、照射部5bの酸化膜組成は、砒素酸化物,Ga
の2種類になっていることになる。ところで、高真空中
における、酸化膜5(砒素酸化物,GaO,Ga
の3種類の物質を含んだ膜)が脱離する現象を各温度
ごとに分類してみると、次の3段階に分けられる。すな
わち、350℃以下の温度では砒素酸化物のみが脱離
し、350℃〜450℃では砒素酸化物とGaOとが
脱離し、450℃以上では砒素酸化物,GaO,Ga
のすべての物質が脱離することになる。
【0062】このように各物質ごとの脱離温度の相違を
考慮すれば、上述の置換現象が起こる理由が理解できる
であろう。すなわち、図6に示す結晶成長工程における
温度条件350℃〜450℃は、砒素酸化物とGa
とが脱離する温度である。このため、酸化膜5のうちの
照射部5b(GaはGaOに還元されてしまっ
ているので存在しない)は、この結晶成長工程において
脱離し、ガリウム砒素基板4の改質部4bの表面が露出
することになる。非照射部5a表面の反応性は、ガリウ
ム砒素表面の反応性に比べれば非常に低く、かつ、改質
部4bは通常のガリウム砒素よりも反応性が高いため、
その相乗効果によって、図6に示すように、改質部4b
の上面にのみ選択的にガリウム砒素成長層8が得られる
のである。
【0063】ここで述べた酸化膜を除去しない変形例
は、前述した実施例に対して、次の3つの点でメリット
がある。 酸化膜を除去する工程(前述の実施例における第3
の工程)が必要なくなるため、工程数が減り、全工程が
単純化される。 改質部4bの上面にのみ選択的にガリウム砒素成長
層8を成長させる場合、酸化膜を除去する前述の実施例
では、図3(d) に示すように、温度条件を200℃〜3
50℃に設定する必要があったが、この変形例では、図
6に示すように、温度条件を350℃〜450℃と高温
側にシフトさせることができる。このため、結晶成長工
程において成長速度を向上させることが可能になる。 温度条件が高温側にシフトすると、より品質の高い
結晶を得ることができるというメリットも得られる。具
体的には、図3(d) に示す前述の実施例では、得られる
ガリウム砒素成長層8は多結晶のものになっていたが、
図6に示す本変形例では、単結晶のガリウム砒素成長層
8を得ることができ、しかも欠陥の少ない良質の単結晶
を得ることができる。
【0064】なお、図6に示すように、この方法で結晶
成長を行った場合、最終的に、非照射部5aとして酸化
膜が残存することになる。このような酸化膜が不要であ
る場合は、たとえばラジカル水素を照射することによっ
て、これを除去することが可能である。
【0065】<酸化膜を除去しない変形例:その2>上
述の「酸化膜を除去しない変形例:その1」では、結晶
成長時の温度条件を、350℃〜450℃とすることに
より、図6に示すように、改質部4b上のみに選択的に
単結晶ガリウム砒素成長層8を得ることができた。とこ
ろが、この結晶成長工程において、温度条件だけを、4
50℃〜650℃に変えるだけで、別な態様の結晶成長
を実現することができる。すなわち、この450℃〜6
50℃という温度条件で結晶成長を行うと、図7に示す
ように、ガリウム砒素基板4の上面全面にガリウム砒素
の単結晶が成長する。ただし、非改質部4a上に成長し
たガリウム砒素成長層9aの厚みに比べ、改質部4b上
に成長したガリウム砒素成長層9bの厚みの方が厚くな
る。別言すれば、非改質部4a上面に比べて改質部4b
上面の方が、結晶成長速度が速くなる。このような結晶
成長は、酸化膜を除去しない状態のガリウム砒素基板4
に対して、450℃〜650℃という温度条件で結晶成
長を行った場合において見られるが、良好な結晶成長を
行わせるためには、550℃〜600℃という温度条件
に維持するのが好ましい。
【0066】このように、温度条件を450℃〜650
℃に設定すると、酸化膜5はすべてガリウム砒素成長層
に置換されることになる。これは、450℃以上では、
酸化膜5を構成する砒素酸化物,GaO,Ga
のすべてが脱離するためである。この図7に示す変形例
は、図4に示す実施例と同様に、厚みにおいて段差をも
った単結晶ガリウム砒素成長層が得られる、という点に
おいて共通する。しかしながら、図4に示す実施例に比
べて、図7に示す変形例は、より大きな段差を形成する
ことができるというメリットがある。これは、図4に示
す実施例では、「ガリウム砒素基板4の表面が改質され
ているか改質されていないか、」という相違だけが段差
の生じる原因になっていたのに対し、図7に示す変形例
では、更に、「酸化膜5が非照射部5aか照射部5b
か、」という相違が段差の生じる原因として加わるため
である。すなわち、照射部5bでは、GaがGa
Oに還元される反応が起こるため、非照射部5aより
も脱離速度が速くなるのである。このように、照射部5
bは非照射部5aよりも先に除去されるという現象と、
改質部4bの表面は非改質部4aの表面よりも結晶成長
速度が速くなるという現象と、の相乗効果により、ガリ
ウム砒素成長層9aと9bとの厚みの差が生じることに
なり、図4に示す実施例よりも更に大きな段差をもった
ガリウム砒素成長層が得られることになる。
【0067】<具体的な実施例3>ここで、上述した
「酸化膜を除去しない変形例:その1」の具体的な実施
例を述べておく。まず、半絶縁ガリウム砒素基板(結晶
方位(100)−5°off基板(1019/cm
rO混入))に対して、トルエン、アセトン、イソプロ
ピルアルコールの順に有機溶剤による洗浄を行った。こ
の基板を、50℃に加熱したエッチング溶液(濃硫酸:
純水:過酸化水素水を5:1:1の割合で混合した液)
中で3分間エッチングし、表面に自然酸化膜を作成し
た。
【0068】続いて、この基板をホルダーに固定し、図
5に示す装置の準備室11に導入した。準備室11内の
圧力が10−5Pa以下に到達したことを確認した後、
搬送路14を通して、圧力が10−6Pa以下に保たれ
ている成長室15に基板を搬入した。ここで、電子銃1
8により、加速電圧10keV、電流量2.5×10
−4Aなる条件で、電子線をスポット径200μm程度
に集束して基板表面に照射した。このとき、電子線を、
振幅1mm、周波数0.1Hzで走査し、1時間照射を
継続させた。
【0069】次に、基板温度を室温から10℃/分の割
合で、400℃まで上げ、温度が安定してから、ガリウ
ム原料として、高純度水素とトリエチルガリウムの混合
気体(混合比18:5)を原料供給路19を通して1.
08sccm(Standard ccper minute)なる流量で基
板上に照射し、砒素原料として、アルシン(AsH
を原料供給路20を通して0.4sccmなる流量で基
板上に照射した。このとき、原料供給路20上に設けら
れたクラッキングセル21を1000℃に加熱してお
き、アルシンが原子状砒素(As,As)の形で供
給されるようにした。このように、原料ガスの供給によ
り、成長室15内の圧力は、1×10−2Pa程度まで
上昇した。この状態を1時間維持することにより、図6
に示すように、厚み0.1μm程度の良好な単結晶ガリ
ウム砒素成長層8を得ることができた。
【0070】<具体的な実施例4>続いて、上述した
「酸化膜を除去しない変形例:その2」の具体的な実施
例を述べておく。上述の実施例3と同様に、まず、半絶
縁ガリウム砒素基板(結晶方位(100)−5°off
基板(1019/cmCrO混入))に対して、トル
エン、アセトン、イソプロピルアルコールの順に有機溶
剤による洗浄を行った。この基板を、50℃に加熱した
エッチング溶液(濃硫酸:純水:過酸化水素水を5:
1:1の割合で混合した液)中で3分間エッチングし、
表面に自然酸化膜を作成した。
【0071】続いて、この基板をホルダーに固定し、図
5に示す装置の準備室11に導入した。準備室11内の
圧力が10−5Pa以下に到達したことを確認した後、
搬送路14を通して、圧力が10−6Pa以下に保たれ
ている成長室15に基板を搬入した。ここで、電子銃1
8により、加速電圧10keV、電流量2.5×10
−4Aなる条件で、電子線をスポット径200μm程度
の集束して基板表面に照射した。このとき、電子線を、
振幅1mm、周波数0.1Hzで走査し、1時間照射を
継続させた。
【0072】次に、基板温度を室温から10℃/分の割
合で、550℃まで上昇させ(この温度が、実施例3と
は異なる)、温度が安定してから、ガリウム原料とし
て、高純度水素とトリエチルガリウムの混合気体(混合
比18:5)を原料供給路19を通して1.08scc
m(Standard cc per minute)なる流量で基板上に照射
し、砒素原料として、アルシン(AsH)を原料供給
路20を通して0.1sccmなる流量で基板上に照射
した。このとき、原料供給路20上に設けられたクラッ
キングセルを1000℃に加熱しておき、アルシンが原
子状砒素(As,As)の形で供給されるようにし
た。この状態を1時間維持することにより、図7に示す
ように、非改質部4a上面には厚み0.5μm程度の良
好なガリウム砒素成長層9aが形成され、改質部4b上
面には厚み0.6μm程度の良好なガリウム砒素成長層
9bが形成された。
【0073】以上、本発明をいくつかの実施例に基づい
て説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。
特に、上述の実施例で用いたガリウム原料や砒素原料
は、一例として示したものであり、この他にも種々の原
料を用いることができる。また、各工程における圧力や
温度の条件も、各工程において目的とする現象が起こる
のに十分な圧力や温度条件であれば、必ずしも上述した
種々の条件である必要はない。更に、上述の実施例で
は、結晶成長工程の前に、酸化膜を除去するか、除去し
ないかの2通りの方法を示したが、酸化膜の上層の一部
分だけを除去した後に結晶成長工程を行うようなことも
勿論可能である。
【0074】
【発明の効果】以上のとおり本発明に係るガリウム砒素
基板における選択的結晶成長方法によれば、酸化膜上か
ら粒子線を照射してガリウム砒素基板の表面を改質し、
この改質部分にガリウム砒素の成長を行うようにしたた
め、全体の加工工程を単純化することができ、しかも不
要物質による汚染をできるだけ低減させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なフォトリソグラフィ法の工程を示す断
面図である。
【図2】従来提案されているガリウム砒素基板上での選
択的結晶成長方法の一例を示す工程断面図である。
【図3】本発明に係るガリウム砒素基板における選択的
結晶成長方法の工程断面図である。
【図4】図3に示す工程の変形例を示す断面図である。
【図5】本発明に係るガリウム砒素基板における選択的
結晶成長方法に利用できる装置の一例の構造を示すブロ
ック図である。
【図6】図3に示す工程の別な変形例を示す断面図であ
る。
【図7】図3に示す工程の更に別な変形例を示す断面図
である。
【符号の説明】
1…半導体基板 1a…溝部 2…レジスト層 2a…非露光部 2b…露光部 3…光 4…ガリウム砒素基板 4a…非改質部 4b…改質部 5…酸化膜 5a…非照射部 5b…照射部 6…電子線 7…ガリウム砒素成長層 8…ガリウム砒素成長層 9a,9b…ガリウム砒素成長層 11…準備室 12…ターボ分子ポンプ 13…ロータリーポンプ 14…搬送路 15…成長室 16…ターボ分子ポンプ 17…ロータリーポンプ 18…電子銃 19…原料供給路 20…原料供給路 21…クラッキングセル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−14428(JP,A) 特開 平6−112131(JP,A) 特開 昭63−237517(JP,A) 特開 平6−29220(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/205 H01L 21/027 H01L 21/203

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に酸化膜が形成されたガリウム砒素
    基板を用意する第1の段階と、 前記酸化膜を通して前記基板上の所定の領域に粒子線を
    照射し、前記基板上の粒子線照射領域におけるガリウム
    砒素の改質を行う第2の段階と、 この第2の段階後の基板を、酸化膜中のガリウム、砒
    素、およびこれらの酸化物が基板上から離脱することが
    できるような所定の真空度および所定の温度の条件下に
    おき、前記酸化膜を除去する第3の段階と、 この第3の段階後の基板を、結晶成長を行うことができ
    るような所定の真空度および所定の温度の条件下におい
    た状態で、前記基板に対してガリウム原料および砒素原
    料を照射し、前記粒子線照射領域にのみ、あるいは前記
    粒子線照射領域においてより厚くなるように、選択的に
    ガリウム砒素の結晶を成長させる第4の段階と、 を有することを特徴とするガリウム砒素基板における選
    択的結晶成長方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、 第2の段階における粒子線として電子線を用いることを
    特徴とするガリウム砒素基板における選択的結晶成長方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法におい
    て、 第3の段階における所定の温度を、ガリウムの離脱割合
    よりも、砒素の離脱割合の方が大きくなるような温度に
    設定したことを特徴とするガリウム砒素基板における選
    択的結晶成長方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の方法におい
    て、 第3の段階において、所定の真空度を、5×10−4
    aもしくはこれより高真空の状態となる真空度とし、所
    定の温度を、610℃〜700℃としたことを特徴とす
    るガリウム砒素基板における選択的結晶成長方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法に
    おいて、 第4の段階において、所定の真空度を、5×10−2
    aもしくはこれより高真空の状態となる真空度とし、所
    定の温度を、200℃〜350℃とし、粒子線照射領域
    にのみ選択的にガリウム砒素の結晶を成長させるように
    したことを特徴とするガリウム砒素基板における選択的
    結晶成長方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法に
    おいて、 第4の段階において、所定の真空度を、5×10−2
    aもしくはこれより高真空の状態となる真空度とし、所
    定の温度を、350℃〜600℃とし、粒子線照射領域
    においてより厚くなるように選択的にガリウム砒素の結
    晶を成長させるようにしたことを特徴とするガリウム砒
    素基板における選択的結晶成長方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法に
    おいて、 第3の段階で酸化膜の表面側の一部分のみを除去し、第
    4の段階では、除去されずに残った酸化膜を介して基板
    にガリウム原料および砒素原料を照射することを特徴と
    するガリウム砒素基板における選択的結晶成長方法。
  8. 【請求項8】 表面に酸化膜が形成されたガリウム砒素
    基板を用意する第1の段階と、 前記酸化膜を通して前記基板上の所定の領域に粒子線を
    照射し、前記基板上の粒子線照射領域におけるガリウム
    砒素の改質を行う第2の段階と、 この第2の段階後の基板を、結晶成長を行うことができ
    るような所定の真空度および所定の温度の条件下におい
    た状態で、前記酸化膜を介して基板にガリウム原料およ
    び砒素原料を照射し、前記粒子線照射領域にのみ、ある
    いは前記粒子線照射領域においてより厚くなるように、
    選択的にガリウム砒素の結晶を成長させる第3の段階
    と、 を有することを特徴とするガリウム砒素基板における選
    択的結晶成長方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の方法において、 第3の段階において、所定の真空度を、5×10−2
    aもしくはこれより高真空の状態となる真空度とし、所
    定の温度を、350℃〜450℃とし、粒子線照射領域
    にのみ選択的にガリウム砒素の結晶を成長させるように
    したことを特徴とするガリウム砒素基板における選択的
    結晶成長方法。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の方法において、 第3の段階において、所定の真空度を、5×10−2
    aもしくはこれより高真空の状態となる真空度とし、所
    定の温度を、450℃〜650℃とし、粒子線照射領域
    においてより厚くなるように選択的にガリウム砒素の結
    晶を成長させるようにしたことを特徴とするガリウム砒
    素基板における選択的結晶成長方法。
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