JP3408996B2 - ラックの高周波焼入装置および高周波焼入方法 - Google Patents

ラックの高周波焼入装置および高周波焼入方法

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JP3408996B2 JP16420899A JP16420899A JP3408996B2 JP 3408996 B2 JP3408996 B2 JP 3408996B2 JP 16420899 A JP16420899 A JP 16420899A JP 16420899 A JP16420899 A JP 16420899A JP 3408996 B2 JP3408996 B2 JP 3408996B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラックの高周波焼
入装置および高周波焼入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のラックの高周波焼入装置には、直
接通電方式によるものと、高周波誘導加熱方式(高周波
誘導電流のみによって加熱する方式)によるものとがあ
る。また、高周波誘導加熱方式による高周波焼入装置に
は、例えば、丸型コイルによる移動焼入方式によるもの
と、半開放鞍型コイルによるものとがある。
【0003】ラックWは例えば図5に示されるように、
略円柱状体であって、円柱の長手方向に切欠を設け、こ
の切欠に所定のピッチで複数の歯W10を形成したもの
である。
【0004】従来の直接通電方式によるラックの高周波
焼入装置は、例えば図5(A)に示されるように、図示
しない高周波電源とこれに接続された導体部800、8
10とを有する高周波加熱機構と、前記導体部810の
後述の加熱導体部811に設けた冷却液噴射手段等とを
備えている。この従来の直接通電方式によるラックの高
周波焼入装置の場合には、ラックWにおける歯W10が
設けられた領域と、このラックWにおける前記領域の反
対側の領域とは別工程で高周波加熱され、各加熱後に、
ラックWに対して冷却液噴射手段から冷却液が噴射され
て、ラックWの焼入が完了する構成となっている。
【0005】図5(A)では、ラックWにおける歯W1
0が設けられた領域を高周波加熱するための一対の導体
部800、810のみ図示し、ラックWにおける歯W1
0が設けられた領域の反対側の領域を高周波加熱するた
めの一対の導体部は図示していない。なお、ラックWに
おける歯W10が設けられた領域と平行に対向する導体
部810の部分は加熱導体部811となっている。加熱
導体部811には、ラックWと対向する面に冷却液噴射
孔が設けられている。前記冷却液噴射孔からはラックW
の加熱後に冷却液が噴射される構成となっている。この
ように、加熱導体部811には、冷却液噴射手段が兼ね
備えられている。
【0006】例えば、ラックWにおける歯W10が設け
られた領域を焼入対象領域(即ち、加熱対象領域でもあ
る。)として加熱する際には、図5(A)に示されるよ
うに、前記領域の両端に一対の導体部800、810の
各先端を圧接して電気的に接続する。これによって、前
記導体部800、810間の前記領域には、前記高周波
電源から高周波電流が供給され、前記領域は高周波直接
通電加熱される。また、加熱導体部811に前記高周波
電源からの高周波電流が供給されることによって、前記
領域には高周波誘導電流も流れるので、前記領域はこの
高周波誘導電流によっても加熱される。
【0007】冷却液噴射機構から冷却液が噴射されて前
記領域の焼入が完了すると、前記領域(即ち、歯W10
が設けられた領域)の焼入パターンWP1は、図5
(B)のように、前記領域に略均一な深さで形成され
る。
【0008】ラックWにおける歯W10の設けられた領
域の反対側の領域を焼入対象領域とするときには、前記
領域の両端に図示しない一対の導体部を圧接して電気的
に接続する。これによって、前記領域は高周波直接通電
加熱および高周波誘導加熱される。冷却液噴射機構から
冷却液が噴射されて前記領域の焼入が完了すると、ラッ
クWの前記領域の焼入パターンWP2は、図5(C)の
ように、前記領域(即ち、歯W10が設けられた領域の
反対側の領域)に略均一な深さで形成される。
【0009】また、従来の高周波誘導加熱方式のラック
の高周波焼入装置であって、丸型コイルによる移動焼入
方式によるものは、例えば図6(A)および図6(B)
に示されるように、ラックWと同心円上に設けた丸型コ
イル900と、この丸型コイル900と接続された図示
しない高周波電源と、ラックWを前記丸型コイル900
の内側で回動させつつラックWの長手方向に水平移動さ
せる回動・水平移動機構(図示省略)と、前記丸型コイ
ル900に設けた冷却液噴射手段等とを備えたものであ
る。前記冷却液噴射手段は、前記丸型コイル900の内
面に設けた冷却液噴射孔から、移動させられているラッ
クWの加熱直後の領域方向に冷却液を斜めに噴射するよ
うに構成されたものである。
【0010】また、従来の高周波誘導加熱方式のラック
の高周波焼入装置であって、半開放鞍型コイルによるも
のは、例えば、ラックWを加熱する半開放鞍型コイル9
50(図7参照)と、この半開放鞍型コイル950と接
続された図示しない高周波電源と、ラックWを加熱時に
定位置で回動させる回動機構(図示省略)と、加熱後の
ラックWに冷却液を噴射する冷却ジャケット(図示省
略)と、前記半開放鞍型コイル950を冷却ジャケット
動作時等に邪魔にならない位置に移動させるコイル退避
機構(図示省略)等とを備えている。
【0011】半開放鞍型コイル950は、一般的な半開
放鞍型コイルである。即ち、半開放鞍型コイル950
は、一対の加熱導体部951、952と、この加熱導体
部951、952の一端間を半円形状に迂回接続する接
続導体部953と、前記加熱導体部951、952の各
他端から略1/4円形状に迂回するように延設された接
続導体部954、955と、この接続導体部954、9
55の各先端から図示しない高周波電源と接続するため
に延設された接続導体部956、957とからなる。加
熱導体部951、952の長さ寸法はラックWの焼入対
象領域の長さ寸法に合わせている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
直接通電方式によるラックの高周波焼入装置によって、
ラックWを焼入した場合には、図5(B)に示す歯W1
0が設けられた領域の焼入パターンWP1と、図5
(C)に示す歯W10が設けられた領域の反対側の領域
の焼入パターンWP2とを合成した焼入パターンがラッ
クWに形成される。即ち、ラックWの全周に渡って焼入
パターンを形成することができない。
【0013】これは、ラックWにおける歯W10が設け
られた領域と、ラックWにおける前記領域の反対側の領
域とのどちらを先に焼入しても、残りの焼入をする場合
に、焼入完了している領域に高熱が及ぶと割れが発生す
るため、それを避ける必要があるからである。即ち、歯
W10が設けられた領域の焼入パターンWP1と、歯W
10が設けられた領域の反対側の領域の焼入パターンW
P2との間に焼入パターンが形成されない領域を設ける
必要があった。
【0014】したがって、従来の直接通電方式によるラ
ックの高周波焼入装置では、ラックWの全周に焼入を施
したくても、焼入パターンが形成できない領域ができて
しまうため、強度不足の部分ができるという問題があっ
た。
【0015】ただし、従来の直接通電方式によるラック
の高周波焼入装置の場合は、歯W10が設けられた領域
の焼入パターンWP1と、歯W10が設けられた領域の
反対側の領域の焼入パターンWP2とを形成する際に、
冷却量を制御できるため、前記2つの焼入パターンWP
1、WP2を形成した後のラックWの歪み(湾曲)の発
生方向を制御でき、発生した歪みを適切に矯正すること
はできた。
【0016】これは、もしラックWにおける歯W10が
設けられた側が凹となる歪みが両焼入によって発生する
と、これを矯正するために、歯W10が設けられた側を
広げるように曲げる必要があるが、歯W10が設けられ
た側を広げると割れが非常に発生しやすい。即ち、ラッ
クWにおける歯W10が設けられた側が凹となる歪みが
発生すると矯正が困難であった。
【0017】また、もしラックWにおける歯W10が設
けられた側が凸となる歪みが前記両焼入によって発生す
ると、これを矯正するためには、歯W10が設けられた
側を縮めるように曲げる必要があるが、この場合には、
歯W10が設けられた側に割れは発生しにくく、ラック
Wにおける歯W10が設けられた側の反対側について
も、広げられても割れがほとんど発生しない。ラックW
の歪みは避けられないものであるから、かかる歪みをラ
ックWにおける歯W10が設けられた側が凸となるよう
に発生させれば、ラックWの焼入の良品率を向上させら
れる。
【0018】なお、一般的に、ワークは加熱後に早く冷
えた方が凸となる。したがって、従来の直接通電方式に
よるラックの高周波焼入装置の場合は、歯W10が設け
られた領域の焼入パターンWP1と、歯W10が設けら
れた領域の反対側の領域の焼入パターンWP2とを形成
する際の、各冷却量を制御して、歯W10が設けられた
側が凸となるようにできるので、発生した歪みを適切に
矯正することは可能であった。
【0019】また、従来の高周波誘導加熱方式のラック
の高周波焼入装置であって、丸型コイルによる移動焼入
方式によるものによってラックWに焼入を施した場合に
は、図6(C)に示されるように、歯W10が設けられ
た領域の反対側の領域(歯W10が設けられた領域以
外)は略均一な焼入深さとなるが、歯W10が設けられ
た領域についてはその中央(ラックWの中心軸に直交す
る断面における歯W10が設けられた領域の中央であ
る。以下単に「ラックWの中央」とも呼ぶ。)付近ほど
焼入深さが浅くなる焼入パターンWP3となっていた。
【0020】これは、丸型コイル900の内側で回動さ
れるラックWと丸型コイル900とのギャップが、歯W
10が設けられた領域と、歯W10が設けられた領域以
外とで、それぞれギャップa、ギャップbとすると、ギ
ャップa>ギャップbとなるからである。
【0021】この場合、焼入深さの仕様を満足させるこ
とは全体の焼入深さを深くすれば可能であるが、歪みの
方向は制御できない。これは回動させられているラック
Wについて、歯W10が設けられた領域と、歯W10が
設けられた領域の反対側の領域(歯W10が設けられた
領域以外)とで、冷却液の噴射される量を調節できない
構成になっているからである。歪みの発生方向の制御が
できないことは、ラックWの焼入の良品率を向上させる
ための障害になっていた。
【0022】また、従来の高周波誘導加熱方式のラック
の高周波焼入装置であって、半開放鞍型コイルによるも
のによってラックWに焼入を施した場合には、前記丸型
コイルによる移動焼入方式によるものと同様の焼入パタ
ーンになっていた。これは、加熱導体部951、952
と、歯W10が設けられた領域とのギャップが、加熱導
体部951、952と、歯W10が設けられた領域の反
対側の領域(歯W10が設けられた領域以外)とのギャ
ップよりも大きくなるためである。
【0023】よって、ラックWの焼入パターンは前記図
6(C)と同様に、歯W10が設けられた領域以外は略
均一な焼入深さとなるが、歯W10が設けられた領域に
ついてはその中央付近ほど焼入深さが浅くなっていた。
【0024】なお、従来の高周波誘導加熱方式のラック
の高周波焼入装置であって、半開放鞍型コイルによるも
のの場合には、ラックWに対する前記冷却ジャケットか
らの冷却液の噴射量は均一にしていたので、歪みの発生
方向は制御されていなかった。
【0025】本発明の主たる目的は、ラックの全周に焼
入を施したときのラックの歪み(湾曲)方向を適切に制
御可能なラックの高周波焼入装置および高周波焼入方法
を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明の請求項1に係るラックの高周波焼入装置
は、ラックを加熱する高周波加熱コイル体と、前記高周
波加熱コイル体が前記ラックを加熱する際に前記ラック
を回動させる回動機構と、前記高周波加熱コイル体によ
って加熱された前記ラックにおける歯が設けられた領域
を、前記ラックにおける前記領域の反対側の領域よりも
早く冷却させる冷却手段とを備えており、前記高周波加
熱コイル体は半開放鞍型の高周波加熱コイル体であっ
て、対をなす側面側加熱導体部と、前記対をなす側面側
加熱導体部と電気的に接続された頂上側加熱導体部とを
有し、且つ前記対をなす側面側加熱導体部と前記頂上側
加熱導体部とは、それぞれ流れる電流が相互に分流・合
流関係となるように接続されたものであり、前記回動機
構によって前記ラックが回動開始される前に、前記ラッ
クにおける歯が設けられた領域は前記頂上側加熱導体部
と対向する位置に配置されて停止加熱される構成となっ
ている。
【0027】本発明の請求項2に係るラックの高周波焼
入装置は、請求項1記載のラックの高周波焼入装置にお
いて、前記冷却手段は、前記ラックにおける歯が設けら
れた領域に対して冷却液を噴射する第1の冷却ジャケッ
トと、前記ラックにおける前記領域の反対側の領域に対
して冷却液を噴射する第2の冷却ジャケットとを備えて
おり、前記第1の冷却ジャケットの単位面積当たりの冷
却液の噴射量が、前記第2の冷却ジャケットの単位面積
当たりの冷却液の噴射量よりも多い構成とする。
【0028】本発明の請求項3に係るラックの高周波焼
入装置は、請求項1記載のラックの高周波焼入装置にお
いて、前記冷却手段は、前記ラックを浸漬冷却させる冷
却液を貯留した冷却液槽と、前記高周波加熱コイル体に
よって加熱された前記ラックを前記冷却液槽内の冷却液
面下まで移動させる移動手段とを備えており、前記移動
手段によって前記ラックが前記冷却液に浸漬されるとき
には、前記ラックにおける歯が設けられた領域が下にさ
れて浸漬される構成とする。
【0029】本発明の請求項4に係るラックの高周波焼
入装置は、請求項1記載のラックの高周波焼入装置にお
いて、前記冷却手段は、前記ラックを浸漬冷却させる冷
却液を貯留した冷却液槽と、前記高周波加熱コイル体に
よって加熱された前記ラックを前記冷却液槽内の冷却液
面下まで移動させる移動手段と、前記冷却液面下に設け
られて、浸漬された前記ラックにおける歯が設けられた
領域に対して冷却液を噴射する第1の冷却ジャケットお
よび前記ラックにおける歯が設けられた領域の反対側の
領域に対して冷却液を噴射する第2の冷却ジャケットと
を備えており、前記移動手段によって前記ラックが前記
冷却液に浸漬されるときには、前記ラックにおける歯が
設けられた領域が下にされて浸漬され、前記第1の冷却
ジャケットの単位面積当たりの冷却液の噴射量が、前記
第2の冷却ジャケットの単位面積当たりの冷却液の噴射
量よりも多い構成とする。
【0030】
【0031】本発明の請求項に係るラックの高周波焼
入方法は、ラックを回動させつつ、高周波加熱コイル体
によって加熱する工程と、加熱完了後に、前記ラックに
おける歯が設けられた領域を、前記ラックにおける前記
領域の反対側の領域よりも早く冷却させる工程とを備え
おり、対をなす側面側加熱導体部と、前記対をなす側
面側加熱導体部と電気的に接続された頂上側加熱導体部
とを有し且つ前記対をなす側面側加熱導体部と前記頂上
側加熱導体部とは、それぞれ流れる電流が相互に分流・
合流関係となる接続とした半開放鞍型の高周波加熱コイ
ル体の頂上側加熱導体部を前記ラックにおける歯が設け
られた領域に対向させて、前記加熱する工程前に前記領
域を停止加熱する。
【0032】本発明の請求項に係るラックの高周波焼
入方法は、請求項記載のラックの高周波焼入方法にお
いて、前記冷却させる工程は、前記加熱完了後に、前記
ラックにおける歯が設けられた領域に対して冷却液を噴
射する第1の冷却ジャケットによる単位面積当たりの冷
却液の噴射量を、前記ラックにおける歯が設けられた領
域の反対側の領域に対して冷却液を噴射する第2の冷却
ジャケットによる単位面積当たりの冷却液の噴射量より
も多くして、前記ラックにおける歯が設けられた側を、
前記ラックにおける歯が設けられた側の反対側よりも早
く冷却させる。
【0033】本発明の請求項に係るラックの高周波焼
入方法は、請求項記載のラックの高周波焼入方法にお
いて、前記冷却させる工程は、前記加熱完了後に、前記
ラックにおける歯が設けられた領域を下にして冷却液に
浸漬させて、前記ラックにおける歯が設けられた領域を
前記ラックにおける歯が設けられた領域の反対側の領域
よりも早く冷却させる。
【0034】本発明の請求項に係るラックの高周波焼
入方法は、請求項記載のラックの高周波焼入方法にお
いて、前記冷却させる工程は、前記加熱完了後に、前記
ラックにおける歯が設けられた領域を下にして冷却液に
浸漬させた後、前記ラックにおける歯が設けられた領域
を冷却するために前記冷却液中に設けた第1の冷却ジャ
ケットからの冷却液噴射量を、前記ラックにおける歯が
設けられた領域の反対側の領域を冷却するために前記冷
却液中に設けた第2の冷却ジャケットからの冷却液噴射
量よりも多くして、前記ラックにおける歯が設けられた
領域を前記ラックにおける歯が設けられた領域の反対側
の領域よりも早く冷却させる。
【0035】
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るラックの高周
波焼入方法を実現する本発明の実施の形態に係るラック
の高周波焼入装置を図1〜図3を参照しつつ説明する。
なお、ラックは、上述したラックW、即ち略円柱状体で
あって、円柱の長手方向に切欠を設け、この切欠に所定
のピッチで複数の歯W10を形成したものである。
【0037】図1は本発明に係るラックの高周波焼入方
法を実現する本発明の実施の形態に係るラックの高周波
焼入装置の要部とラックとを示す概略的説明図、図2は
本発明に係るラックの高周波焼入方法を実現する本発明
の実施の形態に係るラックの高周波焼入装置に用いられ
る高周波加熱コイル体の加熱導体部と停止加熱時のラッ
クとの配置関係を説明する概略的説明図、図3は本発明
に係るラックの高周波焼入方法を実現する本発明の実施
の形態に係るラックの高周波焼入装置に用いられる高周
波加熱コイル体を示す概略的斜視図である。
【0038】本発明の実施の形態に係るラックの高周波
焼入装置は、ラックWを加熱する高周波加熱コイル体1
00と、この高周波加熱コイル体100に接続された高
周波電源(図示省略)と、前記高周波加熱コイル体10
0が前記ラックWを加熱する際の本加熱期間中に前記ラ
ックWを回動させる回動機構(図示省略)と、前記高周
波加熱コイル体100による加熱後に前記ラックWにお
ける歯W10が設けられた領域を、前記ラックWにおけ
る前記領域の反対側の領域よりも早く冷却させる冷却手
段200と、ラックWの搬入搬出装置(図示省略)と、
前記高周波加熱コイル体100をラックWの搬入搬出の
際に上側に退避させるコイル退避機構(図示省略)と、
これらを制御する制御部(図示省略)とを備えている。
【0039】高周波加熱コイル体100は、半開放鞍型
の高周波加熱コイル体であって、一対の側面側加熱導体
部110、111と、前記一対の側面側加熱導体部11
0、111と電気的に接続された頂上側加熱導体部12
0と、前記側面側加熱導体部110と頂上側加熱導体部
120との各一端間を略1/4円形状に迂回接続する接
続導体部130と、前記側面側加熱導体部111と頂上
側加熱導体部120との各一端間を略1/4円形状に迂
回接続する接続導体部131と、側面側加熱導体部11
0、111の各他端間を半円形状に迂回接続する接続導
体部132と、頂上側加熱導体部120の他端と、接続
導体部132の頂点とから図示しない高周波電源と接続
するために延設された接続導体部134、135とから
なる。
【0040】したがって、前記一対の側面側加熱導体部
110、111と前記頂上側加熱導体部120とは、そ
れぞれ流れる電流が相互に分流・合流関係となるように
接続されている。よって、頂上側加熱導体部120に
は、側面側加熱導体部110(または側面側加熱導体部
111)の2倍の電流が流れる。
【0041】前記回動機構は、ラックWの両側を保持し
つつ回動させるためのチャック・センターピン機構(図
示省略)と、前記チャック・センターピン機構を、搬入
・搬出・焼入時位置Aと前記冷却液槽250内の冷却液
面下の冷却時位置Bとの間で上昇・下降移動させる油圧
シリンダーや空圧シリンダーによる移動手段(図示省
略)と、ラックWの歯W10が設けられた領域が真上ま
たは真下になる状態を検出する検出機構(図示省略)と
を有している。
【0042】なお、前記移動手段は、前記チャック・セ
ンターピン機構によって、後述の所定の回動がされた後
のラックW(即ち、ラックWの歯W10が設けられた領
域が真下になる状態となったラックW)を冷却手段20
0の後述の冷却液槽200内に移動させることで、冷却
手段の一部としても機能する。前記検出機構は、例え
ば、二対の発光装置と受光装置とであって、一対の発光
装置と受光装置とでラックWの歯W10が設けられた領
域が真上を向いているかを検出し、もう一対の発光装置
と受光装置とでラックWの歯W10が設けられた領域が
真下を向いているかを検出する。
【0043】冷却手段200は、前記ラックWを浸漬冷
却させる冷却液Lを貯留した冷却液槽250と、前記高
周波加熱コイル体100によって加熱された前記ラック
Wを前記冷却液槽250内の冷却液面下まで、ラックW
の歯W10が設けられた領域が真下になった状態のまま
で移動させる移動手段(前記回動機構の移動手段)と、
前記冷却液面下に設けられて、浸漬された前記ラックW
における歯W10が設けられた領域に対して冷却液Lを
噴射する第1の冷却ジャケット211および前記ラック
Wにおける歯W10が設けられた領域の反対側の領域に
対して冷却液Lを噴射する一対の第2の冷却ジャケット
212、212とを備えている。
【0044】第1の冷却ジャケット211の単位面積当
たりの冷却液の噴射量は、第2の冷却ジャケット212
の単位面積当たりの冷却液の噴射量よりも多くなるよう
に構成されている。冷却液槽250は、冷却液Lの温度
を一定とする冷却機構(図示省略)が設けられている。
【0045】前記搬入搬出装置は、例えばロボットアー
ムである。
【0046】前記コイル退避機構は、高周波加熱コイル
体100を上昇下降させる駆動機構で、例えば油圧シリ
ンダーや空圧シリンダーを用いたものである。
【0047】このように構成された本発明の実施の形態
に係るラックの高周波焼入装置は次のように前記制御部
によって制御される。
【0048】初期状態としては、高周波加熱コイル体1
00は、前記コイル退避機構によって上側に退避させら
れている。まず、前記搬入搬出装置によって、ラックW
が搬入・搬出・焼入時位置Aに搬入され、そのラックW
が前記回動機構のチャック・センターピン機構によって
受け取られ保持される。
【0049】この後、高周波加熱コイル体100は、搬
入・搬出・焼入時位置AにあるラックWと対向する位置
(図2参照)に、前記コイル退避機構によって戻され
る。
【0050】この後、ラックWは、ラックWの歯W10
が真上(真上が好ましいが略真上でもよい)となるよう
に前記回動機構のチャック・センターピン機構によって
回動させられて、一旦停止させられる。
【0051】この一旦停止している間、高周波加熱コイ
ル体100に通電されて、ラックWの歯W10が設けら
れた領域が停止加熱される。この際、高周波加熱コイル
体100の頂上側加熱導体部120はラックWの歯W1
0の中央に対向している。また、高周波加熱コイル体1
00の側面側加熱導体部110、111が、それぞれラ
ックWの歯W10の両端側に対向している。よって、側
面側加熱導体部110の2倍の電流が流れる頂上側加熱
導体部120が、ラックWの歯W10の中央側の重点的
加熱に貢献する。なお、この一旦停止している時間は、
ラックWの歯W10の中央側の焼入深さが従来不足して
いたのを補える時間である。
【0052】前記停止加熱後、ラックWは、前記回動機
構のチャック・センターピン機構によって回動させられ
て本加熱される。この本加熱終了したときには、ラック
Wの歯W10が設けられた領域が真下(真下が好ましい
が、略真下でもよい)となって停止させられる。
【0053】この後、ラックWは、歯W10が設けられ
た領域を真下としつつ、チャック・センターピン機構に
よって保持されて、前記移動手段によって冷却液槽25
0内の冷却液面下の冷却時位置Bまで移動させられる。
よって、この際ラックWは、歯W10が設けられた領域
が、先に浸漬されて、歯W10が設けられた領域の反対
側の領域よりも早く冷却されるのである。
【0054】冷却時位置Bに移動させられたラックWに
対して、第1の冷却ジャケット211および一対の第2
の冷却ジャケット212、212から、冷却液Lが噴射
される。この際、上述したように単位面積当たりの冷却
液の噴射量は、第1の冷却ジャケット211の方が第2
の冷却ジャケット212、212よりも多いので、ラッ
クWは、歯W10が設けられた領域が、歯W10が設け
られた領域の反対側の領域よりも早く冷却される。
【0055】この段階で、ラックWの焼入が完了し、ラ
ックWは、矯正時に割れが発生しにくい歪み、即ち、歯
W10が設けられた領域側が凸になる歪み(湾曲)が発
生している。また、ラックWは全周に渡って略均一な深
さの焼入パターンが形成されている。
【0056】冷却終了後、ラックWは、回動機構の移動
手段によって搬入・搬出・焼入時位置Aまで戻される。
なお、前記戻されるまでに、高周波加熱コイル体100
は、前記コイル退避機構によって初期状態、即ち、上側
に退避させられている。
【0057】搬入・搬出・焼入時位置Aまで戻されたラ
ックWは、前記搬入搬出装置によって搬出される。この
後、次の新たなラックWが前記搬入搬出装置によって搬
入されて、上述の繰り返しとなる。
【0058】なお、本発明の実施の形態に係るラックの
高周波焼入装置においては、第1の冷却ジャケット21
1および一対の第2の冷却ジャケット212、212を
設けたが、これを省略してもよい。これを省略したとし
ても、ラックWは、ラックWの歯W10が設けられた領
域側が、先に浸漬されて、ラックWにおける歯W10が
設けられた領域の反対側の領域側よりも早く冷却され、
ラックWは、矯正時に割れが発生しにくい歪み、即ち、
歯W10が設けられた領域側が凸になる歪み(湾曲)が
発生するからである。
【0059】なお、本発明の実施の形態に係るラックの
高周波焼入装置において、前記コイル退避機構は省くこ
とも可能である。冷却液槽250の冷却液面と高周波加
熱コイル体100との間隔を、ロボットアーム等の搬入
搬出装置の搬入搬出動作に支障がない程度にすれば、高
周波加熱コイル体100を退避させなくても、前記搬入
搬出装置によって直接に搬入搬出可能となるからであ
る。ただし、高周波加熱コイル体100の位置は、でき
るだけ冷却液槽250に近くする方が焼入上は好まし
い。
【0060】次に本発明に係るラックの別の高周波焼入
方法を実現する本発明の別の実施の形態に係るラックの
高周波焼入装置を図4を参照しつつ説明する。図4は本
発明に係るラックの別の高周波焼入方法を実現する本発
明の別の実施の形態に係るラックの高周波焼入装置に用
いられる冷却ジャケットとラックとを示す概略的説明図
である。
【0061】本発明の別の実施の形態に係るラックの高
周波焼入装置は、冷却液槽を用いないものであって、前
記本発明の実施の形態に係るラックの高周波焼入装置の
冷却機構のみ変更したものである。
【0062】変更後の冷却機構は、焼入の際の高周波加
熱コイル体100の両側面側にそれぞれ配置される第1
の冷却ジャケット221と第2の冷却ジャケット222
とになる。
【0063】第1の冷却ジャケット221は、ラックW
における歯W10が設けられた領域を冷却するためのも
のである。第2の冷却ジャケット222は、ラックWに
おける歯W10が設けられた領域の反対側の領域を冷却
するためのものである。第1の冷却ジャケット221の
単位面積当たりの冷却液の噴射量は、第2の冷却ジャケ
ット212の単位面積当たりの冷却液の噴射量よりも多
くなるように構成されている。
【0064】このように構成された本発明の別の実施の
形態に係るラックの高周波焼入装置において、制御部に
よる制御は次のようになるが、本加熱終了までは上述し
た本発明の実施の形態に係るラックの高周波焼入装置の
場合と同じであるので、本加熱終了後について説明す
る。
【0065】本加熱終了したときには、高周波加熱コイ
ル体100は、前記コイル退避機構によって初期状態、
即ち、上側に退避させられる。この際、ラックWの歯W
10が設けられた領域が図4において右側となるように
回動機構を停止させる。即ち、この停止によって、ラッ
クWの歯W10が設けられた領域が第1の冷却ジャケッ
ト221と対向する。
【0066】この後、第1の冷却ジャケット221およ
び第2の冷却ジャケット222から、冷却液Lが噴射さ
れる。この際、上述したように単位面積当たりの冷却液
の噴射量は、第1の冷却ジャケット221の方が第2の
冷却ジャケット222よりも多いので、ラックWは、ラ
ックWの歯W10が設けられた領域が、ラックWにおけ
る歯W10が設けられた領域の反対側の領域よりも早く
冷却される。
【0067】この段階で、ラックWの焼入が完了し、ラ
ックWは、矯正時に割れが発生しにくい歪み、即ち、歯
W10が設けられた領域側が凸になる歪み(湾曲)が発
生している。また、ラックWは全周に渡って略均一な深
さの焼入パターンが形成されている。
【0068】この後、ラックWは、前記搬入搬出装置に
よって搬出される。この後、別のラックWが前記搬入搬
出装置によって搬入されて、上述の繰り返しとなる。
【0069】なお、本発明の別の実施の形態に係るラッ
クの高周波焼入装置において、第1の冷却ジャケット2
21および第2の冷却ジャケット222の配置や高周波
加熱コイル体100の配置は相対的なものであるので、
上述の相対的な配置関係を維持すれば上述以外の配置と
しもよい。
【0070】本発明の別の実施の形態に係るラックの高
周波焼入装置において、コイル退避機構は省くことも可
能である。省く場合に、前記搬入搬出装置は、ロボット
アームのままでも可能であるが、垂直方向に搬入搬出す
る機構を有するものであってもよい。
【0071】この場合、前記第1の冷却ジャケット22
1および第2の冷却ジャケット222のままであると、
高周波加熱コイル体100の一対の側面側加熱導体部1
10、111に対して冷却液Lが当たってしまう。その
ため、例えば、第1の冷却ジャケット221および第2
の冷却ジャケット222を上下に2分割したものにす
る。この2分割したものを、前記一対の側面側加熱導体
部110、111に冷却液Lが当たらないように、第1
の冷却ジャケット221および第2の冷却ジャケット2
22を設けた位置のやや上側とやや下側とにそれぞれ配
置すればよい。
【0072】ところで、本発明の実施の形態に係るラッ
クの高周波焼入装置および本発明の別の実施の形態に係
るラックの高周波焼入装置において、ラックWは、略円
柱状体であって、円柱の長手方向に切欠を設け、この切
欠に所定のピッチで複数の歯W10を形成したものであ
るとしたが、前記円柱の部分が略円柱であったり、更に
角張ったものであっても差し支えない。
【0073】本発明の実施の形態に係るラックの高周波
焼入装置および本発明の別の実施の形態に係るラックの
高周波焼入装置において、高周波加熱コイル体は加熱導
体部としては一対の側面側加熱導体部と1つの頂上側加
熱導体部とを備えたものとした。これ以外に例えば、側
面側加熱導体部の対の数は、1でなく2以上としてもよ
い。この場合も対をなす側面側加熱導体部と頂上側加熱
導体部とで、それぞれ流れる電流が相互に分流・合流関
係となる接続とすることで、頂上側加熱導体部に流れる
電流が側面側加熱導体部に流れる電流よりも大きくなる
ので、停止加熱中に頂上側加熱導体部に流れる電流がラ
ックWの歯W10の中央側の従来の加熱不足を補うこと
ができるからである。
【0074】本発明の実施の形態に係るラックの高周波
焼入装置および本発明の別の実施の形態に係るラックの
高周波焼入装置において、高周波加熱コイル体は頂上側
加熱導体部120を備えた半開放鞍型のものとしたが、
焼入深さの均一性を問わないのであれば、頂上側加熱導
体部120を備えていない一般的な半開放鞍型の高周波
加熱コイル体としてもよい。この場合にも、矯正時に割
れが発生しにくいように、歯W10が設けられた領域側
が凸となるように制御可能である。
【0075】なお、もちろん高周波加熱コイル体は半開
放鞍型のもの以外でも、同様の機能を発揮するものであ
ればよい。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に係るラックの高周波焼入装置は、ラックを加熱する高
周波加熱コイル体と、前記高周波加熱コイル体が前記ラ
ックを加熱する際に前記ラックを回動させる回動機構
と、前記高周波加熱コイル体によって加熱された前記ラ
ックにおける歯が設けられた領域を、前記ラックにおけ
る前記領域の反対側の領域よりも早く冷却させる冷却手
段とを備えており、前記高周波加熱コイル体は半開放鞍
型の高周波加熱コイル体であって、対をなす側面側加熱
導体部と、前記対をなす側面側加熱導体部と電気的に接
続された頂上側加熱導体部とを有し、且つ前記対をなす
側面側加熱導体部と前記頂上側加熱導体部とは、それぞ
れ流れる電流が相互に分流・合流関係となるように接続
されたものであり、前記回動機構によって前記ラックが
回動開始される前に、前記ラックにおける歯が設けられ
た領域は前記頂上側加熱導体部と対向する位置に配置さ
れて停止加熱される構成となっている。
【0077】よって、本発明の請求項1に係るラックの
高周波焼入装置の場合には、ラックにおける歯が設けら
れた領域を、前記ラックにおける前記領域の反対側の領
域よりも早く冷却させる冷却手段によって、ラックの焼
入後の歪み(湾曲)の発生方向を矯正に適した方向に制
御することができる。したがって、ラックの焼入の良品
率を向上させることができる。また、停止加熱中に、前
記頂上側加熱導体部に流れる電流が、ラックにおける歯
が設けられた領域の従来の加熱不足を補う。したがっ
て、前記領域の焼入深さの均一化が図られ、これによ
り、ラックの全周の焼入深さの均一化が図られる。よっ
て焼入深さの均一化が図られた品質のより高いラックを
提供することができる。
【0078】本発明の請求項2に係るラックの高周波焼
入装置は、請求項1記載のラックの高周波焼入装置にお
いて、前記冷却手段は、前記ラックにおける歯が設けら
れた領域に対して冷却液を噴射する第1の冷却ジャケッ
トと、前記ラックにおける前記領域の反対側の領域に対
して冷却液を噴射する第2の冷却ジャケットとを備えて
おり、前記第1の冷却ジャケットの単位面積当たりの冷
却液の噴射量が、前記第2の冷却ジャケットの単位面積
当たりの冷却液の噴射量よりも多い構成とする。
【0079】よって、本発明の請求項2に係るラックの
高周波焼入装置の場合には、前記第1の冷却ジャケット
の単位面積当たりの冷却液の噴射量が、前記第2の冷却
ジャケットの単位面積当たりの冷却液の噴射量よりも多
くすることで、ラックの焼入後の歪み(湾曲)の発生方
向を矯正に適した方向に制御することができる。したが
って、ラックの焼入の良品率を向上させることができ
る。
【0080】本発明の請求項3に係るラックの高周波焼
入装置は、請求項1記載のラックの高周波焼入装置にお
いて、前記冷却手段は、前記ラックを浸漬冷却させる冷
却液を貯留した冷却液槽と、前記高周波加熱コイル体に
よって加熱された前記ラックを前記冷却液槽内の冷却液
面下まで移動させる移動手段とを備えており、前記移動
手段によって前記ラックが前記冷却液に浸漬されるとき
には、前記ラックにおける歯が設けられた領域が下にさ
れて浸漬される構成とする。
【0081】よって、本発明の請求項3に係るラックの
高周波焼入装置の場合には、冷却液を貯留した冷却液槽
に、ラックにおける歯が設けられた領域を先に浸漬させ
ることで、ラックの焼入後の歪み(湾曲)の発生方向を
矯正に適した方向に制御することができる。したがっ
て、ラックの焼入の良品率を向上させることができる。
【0082】本発明の請求項4に係るラックの高周波焼
入装置は、請求項1記載のラックの高周波焼入装置にお
いて、前記冷却手段は、前記ラックを浸漬冷却させる冷
却液を貯留した冷却液槽と、前記高周波加熱コイル体に
よって加熱された前記ラックを前記冷却液槽内の冷却液
面下まで移動させる移動手段と、前記冷却液面下に設け
られて、浸漬された前記ラックにおける歯が設けられた
領域に対して冷却液を噴射する第1の冷却ジャケットお
よび前記ラックにおける歯が設けられた領域の反対側の
領域に対して冷却液を噴射する第2の冷却ジャケットと
を備えており、前記移動手段によって前記ラックが前記
冷却液に浸漬されるときには、前記ラックにおける歯が
設けられた領域が下にされて浸漬され、前記第1の冷却
ジャケットの単位面積当たりの冷却液の噴射量が、前記
第2の冷却ジャケットの単位面積当たりの冷却液の噴射
量よりも多い構成とする。
【0083】よって、本発明の請求項4に係るラックの
高周波焼入装置の場合には、冷却液を貯留した冷却液槽
に、ラックにおける歯が設けられた領域を先に浸漬さ
せ、且つ、前記第1の冷却ジャケットの単位面積当たり
の冷却液の噴射量が、前記第2の冷却ジャケットの単位
面積当たりの冷却液の噴射量よりも多くすることで、よ
り確実にラックの焼入後の歪み(湾曲)の発生方向を矯
正に適した方向に制御することができる。したがって、
ラックの焼入の良品率を更に向上させることができる。
【0084】
【0085】
【0086】また、本発明の請求項〜請求項に係る
ラックの高周波焼入方法は、それぞれ前記本発明の請求
項1〜請求項4に係るラックの高周波焼入装置によって
実現できるので、前記本発明の請求項1〜請求項に係
るラックの高周波焼入装置における効果と同様の効果を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るラックの高周波焼入方法を実現す
る本発明の実施の形態に係るラックの高周波焼入装置の
要部とラックとを示す概略的説明図である。
【図2】本発明に係るラックの高周波焼入方法を実現す
る本発明の実施の形態に係るラックの高周波焼入装置に
用いられる高周波加熱コイル体の加熱導体部と停止加熱
時のラックとの配置関係を説明する概略的説明図であ
る。
【図3】本発明に係るラックの高周波焼入方法を実現す
る本発明の実施の形態に係るラックの高周波焼入装置に
用いられる高周波加熱コイル体を示す概略的斜視図であ
る。
【図4】本発明に係るラックの別の高周波焼入方法を実
現する本発明の別の実施の形態に係るラックの高周波焼
入装置に用いられる冷却ジャケットとラックとを示す概
略的説明図である。
【図5】従来の直接通電方式によるラックの高周波焼入
装置に関連する図であって、同図(A)は直接通電方式
による従来のラックの高周波焼入装置に用いられるラッ
クの歯面を高周波加熱するための導体部とラックとを示
す概略的側面図、同図(B)は前記装置で焼入されたラ
ックの歯面の焼入パターンを示すラックの概略的断面
図、同図(C)は前記装置で焼入されたラックの歯面と
反対側の焼入パターンを示すラックの概略的断面図であ
る。
【図6】従来の高周波誘導加熱方式のラックの高周波焼
入装置であって、丸型コイルによる移動焼入方式による
ものに関する図であって、同図(A)は丸型コイルとラ
ックとを示す概略的断面図、同図(B)は丸型コイルと
ラックとのギャップを説明するための概略的説明図、同
図(C)は前記装置で焼入されたラックの焼入パターン
を示すラックの概略的断面図である。
【図7】従来の高周波誘導加熱方式のラックの高周波焼
入装置であって、半開放鞍型コイルによるものに用いら
れる半開放鞍型コイルを示す概略的斜視図である。
【符号の説明】
W ラック 100 高周波加熱コイル体 200 冷却手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C21D 1/10 C21D 1/10 Y (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/00 - 9/44 C21D 9/50 C21D 1/02 - 1/84

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラックを加熱する高周波加熱コイル体
    と、前記高周波加熱コイル体が前記ラックを加熱する際
    に前記ラックを回動させる回動機構と、前記高周波加熱
    コイル体によって加熱された前記ラックにおける歯が設
    けられた領域を、前記ラックにおける前記領域の反対側
    の領域よりも早く冷却させる冷却手段とを具備してお
    り、前記高周波加熱コイル体は半開放鞍型の高周波加熱
    コイル体であって、対をなす側面側加熱導体部と、前記
    対をなす側面側加熱導体部と電気的に接続された頂上側
    加熱導体部とを有し、且つ前記対をなす側面側加熱導体
    部と前記頂上側加熱導体部とは、それぞれ流れる電流が
    相互に分流・合流関係となるように接続されたものであ
    り、前記回動機構によって前記ラックが回動開始される
    前に、前記ラックにおける歯が設けられた領域は前記頂
    上側加熱導体部と対向する位置に配置されて停止加熱さ
    れる構成であることを特徴とするラックの高周波焼入装
    置。
  2. 【請求項2】 前記冷却手段は、前記ラックにおける歯
    が設けられた領域に対して冷却液を噴射する第1の冷却
    ジャケットと、前記ラックにおける前記領域の反対側の
    領域に対して冷却液を噴射する第2の冷却ジャケットと
    を備えており、前記第1の冷却ジャケットの単位面積当
    たりの冷却液の噴射量が、前記第2の冷却ジャケットの
    単位面積当たりの冷却液の噴射量よりも多い構成である
    ことを特徴とする請求項1記載のラックの高周波焼入装
    置。
  3. 【請求項3】 前記冷却手段は、前記ラックを浸漬冷却
    させる冷却液を貯留した冷却液槽と、前記高周波加熱コ
    イル体によって加熱された前記ラックを前記冷却液槽内
    の冷却液面下まで移動させる移動手段とを備えており、
    前記移動手段によって前記ラックが前記冷却液に浸漬さ
    れるときには、前記ラックにおける歯が設けられた領域
    が下にされて浸漬される構成であることを特徴とする請
    求項1記載のラックの高周波焼入装置。
  4. 【請求項4】 前記冷却手段は、前記ラックを浸漬冷却
    させる冷却液を貯留した冷却液槽と、前記高周波加熱コ
    イル体によって加熱された前記ラックを前記冷却液槽内
    の冷却液面下まで移動させる移動手段と、前記冷却液面
    下に設けられて、浸漬された前記ラックにおける歯が設
    けられた領域に対して冷却液を噴射する第1の冷却ジャ
    ケットおよび前記ラックにおける歯が設けられた領域の
    反対側の領域に対して冷却液を噴射する第2の冷却ジャ
    ケットとを備えており、前記移動手段によって前記ラッ
    クが前記冷却液に浸漬されるときには、前記ラックにお
    ける歯が設けられた領域が下にされて浸漬され、前記第
    1の冷却ジャケットの単位面積当たりの冷却液の噴射量
    が、前記第2の冷却ジャケットの単位面積当たりの冷却
    液の噴射量よりも多い構成であることを特徴とする請求
    項1記載のラックの高周波焼入装置。
  5. 【請求項5】 ラックを回動させつつ、高周波加熱コイ
    ル体によって加熱する工程と、加熱完了後に、前記ラッ
    クにおける歯が設けられた領域を、前記ラックにおける
    前記領域の反対側の領域よりも早く冷却させる工程とを
    備えており、対をなす側面側加熱導体部と、前記対をな
    す側面側加熱導体部と電気的に接続された頂上側加熱導
    体部とを有し且つ前記対をなす側面側加熱導体部と前記
    頂上側加熱導体部とは、それぞれ流れる電流が相互に分
    流・合流関係となる接続とした半開放鞍型の高周波加熱
    コイル体の頂上側加熱導体部を前記ラックにおける歯が
    設けられた領域に対向させて、前記加熱する工程前に前
    記領域を停止加熱するようにしたことを特徴とするラッ
    クの高周波焼入方法。
  6. 【請求項6】 前記冷却させる工程は、前記加熱完了後
    に、前記ラックにおける歯が設けられた領域に対して冷
    却液を噴射する第1の冷却ジャケットによる単位面積当
    たりの冷却液の噴射量を、前記ラックにおける歯が設け
    られた領域の反対側の領域に対して冷却液を噴射する第
    2の冷却ジャケットによる単位面積当たりの冷却液の噴
    射量よりも多くして、前記ラックにおける歯が設けられ
    た側を、前記ラックにおける歯が設けられた側の反対側
    よりも早く冷却させることを特徴とする請求項記載の
    ラックの高周波焼入方法。
  7. 【請求項7】 前記冷却させる工程は、前記加熱完了後
    に、前記ラックにおける歯が設けられた領域を下にして
    冷却液に浸漬させて、前記ラックにおける歯が設けられ
    た領域を前記ラックにおける歯が設けられた領域の反対
    側の領域よりも早く冷却させることを特徴とする請求項
    記載のラックの高周波焼入方法。
  8. 【請求項8】 前記冷却させる工程は、前記加熱完了後
    に、前記ラックにおける歯が設けられた領域を下にして
    冷却液に浸漬させた後、前記ラックにおける歯が設けら
    れた領域を冷却するために前記冷却液中に設けた第1の
    冷却ジャケットからの冷却液噴射量を、前記ラックにお
    ける歯が設けられた領域の反対側の領域を冷却するため
    に前記冷却液中に設けた第2の冷却ジャケットからの冷
    却液噴射量よりも多くして、前記ラックにおける歯が設
    けられた領域を前記ラックにおける歯が設けられた領域
    の反対側の領域よりも早く冷却させることを特徴とする
    請求項記載のラックの高周波焼入方法。
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