JP3230822B2 - 歯車の焼入方法 - Google Patents

歯車の焼入方法

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JP3230822B2 JP11923491A JP11923491A JP3230822B2 JP 3230822 B2 JP3230822 B2 JP 3230822B2 JP 11923491 A JP11923491 A JP 11923491A JP 11923491 A JP11923491 A JP 11923491A JP 3230822 B2 JP3230822 B2 JP 3230822B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯車の焼入方法に関
し、更に詳しくは、所要の焼入温度に加熱した歯車に冷
却液を噴射して歯面を焼入冷却する方法の改良に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】歯車の焼入方法としては、通常、回転一
発(定置)焼入方法が用いられている。図8〜図10
は、この種の焼入方法を実施するために従来より用いら
れている高周波焼入装置1を示すものであって、この装
置1は、内部に冷却液通路2を有しかつ内周面に多数の
冷却液噴射孔3を有する円環状の高周波誘導加熱コイル
4と、歯車5を保持する治具6とから構成されている。
そして、高周波誘導加熱コイル4にはリード部7a,7
bを介して高周波電源8から高周波電流が供給されると
共に、高周波誘導加熱コイル4の冷却液通路2には複数
の冷却液供給パイプ9を通して冷却液が供給されるよう
になっている。
【0003】なお、上述の冷却液噴射孔3は、図10に
示すように、いわゆる千鳥状に配列されている。また、
噴射孔3の直径D、噴射孔3の水平方向及び幅方向の配
列間隔L及びW、並びに噴射孔3の軸線方向と歯面5a
とのなす角度が焼入れ結果に大きな影響を及ぼすので、
これらの諸条件は、歯車5の形状、寸法及びモジュール
等に応じて決定される。
【0004】歯車5の歯面5aに焼入れを施すに際して
は、図8及び図9に示すように、歯車5を治具6上に載
置して円環状の高周波誘導加熱コイル4の中央孔4a内
に配置し、治具6と共に歯車5をその軸心を中心に回転
させる。これと同時に、電源8から高周波加波コイル4
に高周波電流を供給することにより、歯車5の歯面5a
を高周波誘導加熱する。そして、歯車5の歯面5aが所
要の焼入温度になった時点で高周波電流の供給を停止す
ると共に、冷却水通路2に冷却液を供給して噴射孔3か
ら回転状態にある前記歯面5aに向けて(歯車5の直径
方向)冷却液を噴射する。これにより、前記歯面5aの
急冷を行ない、歯面5aに焼入硬化層を形成するように
していた。
【0005】ところで、歯車5等の如き複雑形状を有す
る機械構造用の鋼部品に高周波焼入れを施す場合には、
焼入冷却の方法として既述のような噴射冷却方法を採用
するのが一般的である。噴射冷却のメカニズムはズブ冷
却(被焼入体を冷却液中に浸漬して行なう冷却)のメカ
ニズムと同じであって、蒸気膜段階、沸騰段階及び対流
段階を経て冷却されるが、ズブ冷却に対する噴射冷却の
特徴は、蒸気膜段階が著しく短く、かつ、蒸気膜が破れ
る温度(急冷の始まる温度)が高いことである。これ
は、高速の流体(冷却液)によって固体表面(被焼入体
の表面)に生じた気泡の膜が破られやすいため、沸騰に
よる冷却がズブ冷却の場合に比べて多くなるからであ
る。これが、噴射冷却を従来より採用している主な理由
である。
【0006】なお、噴射冷却を行なうに当っては、冷却
液の種類、液温、流速、流量、濃度等の諸条件に応じて
焼入後の硬さ、焼割れ、変形、歪み等に重大な影響を及
ぼすことが知られている。一般に、鋼部品の焼入冷却に
用いる冷却液としては、S曲線のノーズに相当する50
0〜600℃付近における冷却速度が大きくて鋼のマル
テンサイト変態点(MS 点)付近以下における冷却速度
が小さくなるようなものが望ましい。ところが、約30
0℃付近における冷却速度を比較すると、図11に示さ
れるように噴射冷却の方がズブ冷却の場合よりも約7倍
も大きいので、噴射冷却を行なうと焼割れや焼歪(変
形)を生じる危険性が大きくなるという問題点がある。
【0007】また、噴射冷却の場合、最も重要なのは冷
却液の流量或いは圧力の調節と冷却液の種類の選定であ
る。噴射冷却水の流量が冷却曲線(冷却特性)に及ぼす
影響は、図12に示す通りである。この場合、一定配列
の噴射孔を有する同一の冷却環を使用しているので、流
量を大きくしたときは、噴射圧力も大きくなっている。
図12から明らかなように、流量調節によって冷却能を
かなり調節することができる。なお、一般に、噴射流量
ないし噴射圧力が大きくなるほど蒸気膜崩壊温度は上昇
することが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のように噴射冷却
はズブ冷却に比べて約300℃付近の冷却速度が約7倍
も大きいので焼割れ、焼歪の発生の危険性が大きいとい
う特質を有するのに加えて、歯車5を回転させつつ噴射
冷却することにより歯先5bと歯底5cの冷却速度が異
なってしまうという現象を生じるため(図13参照)、
単純形状部品の場合に比べて、焼割れ等の発生の危険性
がより一層増大する。
【0009】すなわち、従来では、冷却液噴射時に被焼
入体である歯車5は所要の回転速度をもって回転させる
ようにしているため、歯車5の直径方向に向って噴射さ
れる冷却器は、歯車5の歯先5bには良く当るものの、
歯底5cにはあまり良く当たらないのが実状である。そ
のため、歯先5b部分、歯底5c部分及びその中間の歯
側面5d部分では、加熱面の冷却速度がそれぞれ異なる
事態を生じる。具体的には、歯先5b部分が最も早く冷
却され、歯底5cに近づくにつれて冷却速度は遅くな
り、歯底5cに近づくにつれて冷却速度は遅くなり、歯
底5c部分は最も遅く冷却されることなる。この傾向は
焼入冷却時における歯車5の回転速度が早くなればなる
ほど顕著に現われる。つまり、歯車5の回転速度が大き
くなればなるほど噴射冷却水は歯先5b部分及び歯側面
5dにて弾き飛ばされる量及び遠心力にて飛散される量
が多くなるので、歯先5b部分と歯底5c部分の冷却速
度の差が大きくなるのである。
【0010】そこで、冷却速度の差をなくすためには、
冷却液の噴射方向を偏倚させて回転中の歯車5の歯底5
cに直角に当てるようにすることが考えられるが、遠心
力の存在等にて歯先5b部分よりも歯底5c部分の冷却
速度が遅くなる現象をなくすことはできないのが実状で
ある。
【0011】しかして、歯先5bの冷却速度が早く、歯
底5cの冷却速度がそれよりも遅い場合には、加熱面の
不均一冷却に伴い体積変化が不均一となり、歯先5b部
分は歯5c部分よりも早く収縮しようとする。また、
各部分の加熱表面はその内部部分よりも早く収縮しよう
とする。しかし、この収縮は遅く、冷却される部分によ
って妨げられる。かくして、急冷のための不均一冷却に
よって熱応力が発生する。
【0012】また、焼入れによる応力は、急冷による組
織変化(マルテンサイト化)、すなわち変態による変態
応力が発生する。この発生原因は、オーステナイトとそ
の分解生成物の比容積が異なること、及び変態が不均一
冷却のために異なった時期に発生することにより誘発さ
れる。この焼入れによる内部応力(熱応力及び変態応
力)が鋼の降伏点を越すと塑性変形を生じる。これが、
変形や曲りであり、内部応力が鋼の引張強さよりも大き
くなると、必然的に割れを生じる。しかし、焼入れによ
る内部応力の発生は防ぎようがないのが現状である。
【0013】一方、従来の歯車の焼入方法における噴射
冷却においては、歯面5aの各部における冷却速度が異
なり、しかも噴射冷却液は無作為(アットランダム)に
歯面に当るため、不均一な冷却となり、冷却の各瞬間に
おける内部応力分布は複雑なものとなっていると推察さ
れる。従って、内部応力分布は全く把握できず、焼割れ
や焼歪(変形)等の防止対策は非常に難しい。
【0014】かくして、表面焼入れプロセスで発生する
内部応力は亀裂の発生原因となるが、不均一な冷却は亀
裂の発生を助長する。従って、焼入冷却として噴射冷却
方法を採用する場合には、個々の噴射液が被焼入体の全
面に行きわたるようにして冷却の均一性を保つことが必
要である。しかし、歯車の歯面のように複雑な表面に焼
入れを施す際には、従来の焼入方法における噴射冷却で
は、歯面の均一冷却ができず、亀裂を発生するおそれが
多分になる。それにも拘わらず、従来では、均一冷却を
行なうには回転状態の下で歯車を噴射冷却するのが望ま
しいとの誤った認識に基いて焼入冷却を行っているのが
実状である。
【0015】本発明は、上述の如き実状に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、焼入冷却時における複雑
な内部応力の発生を抑制でき、焼割れや焼歪を防止でき
るような歯車の焼入方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明では、内部に中空環状の冷却液通路が形成
される、円環状の高周波誘導加熱コイルであって、該高
周波誘導加熱コイルの円環部分に同心状に、かつ回転自
在に被焼入体としての歯車を配置し、前記高周波誘導加
熱コイルの、前記歯車の歯部に対抗する周壁面に、周方
向に沿って該歯部の歯ピッチに対応する間隔で、しかも
前記歯車の軸方向で該歯部の歯すじ方向に対応する方向
に、前記冷却液通路に連通する多数の冷却液噴射孔が配
列される装置を使用して、前記歯車を焼入するに際し、
前記歯車をその軸を中心に回転させた状態で、前記高周
波誘導加熱コイルに高周波電流を供給して歯面を所要温
度に加熱し、次いで、前記歯車の回転を停止させるとと
もに、位置決め機構により、前記高周波誘導加熱コイル
の前記周壁面に歯すじ方向に配列された冷却液噴射孔
を、前記歯車の各歯底に対抗する位置に位置決め後、そ
れぞれの該冷却液噴射孔から該歯車の各歯底に向けて冷
却液を噴射し、該冷却液を前記歯車の歯底から歯面に沿
って歯先に流すようにし、かつ前記冷却液の噴射圧力、
流量及び液温による初期の冷却条件により所要時間に亘
り冷却冷却した後、さらに前記初期の冷却条件より冷却
小さい冷却条件により冷却するという2工程で焼入
冷却する。
【0017】
【実施例】以下、本発明の一実施例に付き図1〜図7を
参照して説明する。
【0018】図1〜図3は本発明に係る歯車の焼入方法
を実施するのに用いられる焼入装置10を示すものであ
って、この焼入装置10は、円環状の高周波誘導加熱コ
イル11と、このコイル11に高周波電流を供給する電
源12と、被焼入体である歯車13を保持して回転駆動
する治具14と、高周波誘導加熱コイル11に冷却液を
供給する複数本の冷却液供給パイプ15とを備えてい
る。
【0019】上述の高周波誘導加熱コイル11は、図1
に示すように、互いに対向する一対のリード部16a,
16bを有しており、これらのリード部16a,16b
の間には絶縁板16cが介在されている。そして、リー
ド部16a,16bを通して電源12から高周波誘導加
熱コイル11に高周波電流が供給されるように構成され
ている。
【0020】また、円環状の高周波誘導加熱コイル11
は、図1及び図2示す如く、その内部が中空の箱形の断
面形状に成形されており、その中空部分が冷却液通路1
7となされている。そして、高周波誘導加熱コイル11
は外周壁11aよりも内周壁11bの方が肉厚に構成さ
れており、肉厚状の内周壁11bには多数の冷却液噴射
孔18が設けられている。なお、これらの噴射孔18
は、図3に明示するように、コイル幅方向及び内周方向
に沿って縦横にそれぞれ所定間隔A及びBで一列に配置
されている。さらに、コイル11の周方向における噴射
孔18の間隔Bは、被焼入体である歯車13の歯部のピ
ッチP(図1参照)に応じて設定されており、後述の如
く、歯車13の歯底13cにコイル幅方向の列の噴射孔
18が配応配置されるようになっている。
【0021】また、高周波誘導加熱コイル11の外周壁
11aの複数箇所には冷却液供給パイプ15が接続さ
れ、これらのパイプ15を通して高周波誘導加熱コイル
11の通路17に冷却液が供給されて噴射孔18から歯
車13の歯底13cに対してほぼ直角状に噴射されるよ
うになっている。
【0022】そして、高周波誘導加熱コイル11と同心
状に治具14が配置され、この治具14上に歯車13が
載置された状態で、その軸心を中心に回転駆動されるよ
うに構成されている。
【0023】次に、上述の焼入装置10を用いて歯車1
3の歯面13aを焼入れする際の動作に付き説明する。
まず、被焼入体である歯車13を治具14上に載置し、
治具14を移動させることによって歯車13を高周波誘
導加熱コイル11の中心部に同軸状に配置する。しかる
後に、治具14を回転駆動することによって歯車13を
その軸心を中心に回転させると共に、高周波誘導加熱コ
イル11に電源12から高周波電流を供給して歯車13
の歯面13aを高周波誘導加熱する。そして、回転状態
での均一加熱によって歯面13aが所要の焼入温度に達
した時点で、高周波誘導加熱への通電を停止する。これ
と同時に、治具13の回転を急停止して歯車13を静止
状態にすると共に、図外の位置決め機構の作用にて歯車
13の各歯底13cに高周波誘導加熱コイル11の噴射
孔18を対応させた状態にする。すなわち、歯車13の
各々の歯底13cに高周波誘導加熱コイル11の幅方向
に一列状の配列された複数(例えば3つ)の噴射孔18
をそれぞれ対応配置せしめた状態で歯車13を回転停止
せしめて静止させる。
【0024】次いで、冷却液を供給パイプ15及び通路
17に次順供給し、噴射孔18から所要の圧力、流量、
液温の冷却液を歯車13の歯底13cに向けて噴射させ
る。そして、所要の冷却条件により所要時間に亘り冷却
した後に、初期の冷却条件と異なる冷却条件、すなわち
冷却能の小さい条件により冷却することにより、焼入作
業を終了する。
【0025】以上の如き本発明に係る焼入方法によれ
ば、次のような利点がある。すなわち、均一加熱した歯
車13を静止させて、従来では最も冷却が不完全(冷却
速度が遅い)とされる歯底13c部分に向って冷却液を
噴射すると、冷却液は歯底13c部分から歯側面13d
をつたわって歯先13b部分に流れ、この歯先13b部
分が最後に冷却される。しかし、歯底13cから歯先1
3bに向って質量は徐々に小さくなるため、歯底13c
に噴射される冷却液の圧力、流量、液温を調整すること
により、歯面13a全体を均一な冷却速度で冷却するこ
とは容易に可能である。その理由は、歯車13が静止さ
れ、冷却液の噴射箇所が定められているので、冷却液の
流れがアットランダムでなくしかも流れる方向の把握が
できるからである。これにより、歯面13a全体を均一
に、或いは所定の冷却速度の変化をもって冷却すること
ができ、変形を最小限に抑えることができ、寸法精度の
高い焼入処理が可能となる。
【0026】また、所要圧力、流量の冷却条件により所
要時間急冷した後に、この冷却条件で常温まで冷し切ら
ずに、より緩やかな冷却条件に切り換えて冷却すること
により、変形及び焼割れの発生を防止できる。
【0027】このような作用効果を確認するために、以
下に示す条件で実験を行なった。
【0028】具体例 1.歯車の種類:平歯車 2.材質:S−53C 3.外径(歯先円直径):87mm 4.ピッチ円直径:84mm 5.歯幅:10mm 6.歯数:56 7.モジュール:1.5焼入条件 (1)予熱(高周波誘導加熱コイル) (a)周波数:3kHz (b)出力:170kW (c)加熱時間:2.8秒 (d)歯車の回転数:250r.p.m. (2)本加熱(高周波誘導加熱コイル) (a)周波数:400kHz (b)入力:200kW (c)加熱時間:0.15秒 (d)歯車の回転数:250r.p.m. (3)冷却 (A)第1冷却条件 (a)冷却液:ユーコンクエンチャント(10%) (b)液温:30℃ (c)流量:60 l/min (d)圧力:4kg/cm2 (e)冷却時間:2秒 (B)第2冷却条件 (a)冷却液:ユーコンクエンチャント(10%) (b)液温:30℃ (c)流量:30 l/min (d)圧力:3kg/cm2 (e)冷却時間:6秒
【0029】上記の条件下で焼入処理された歯車の各部
の冷却速度並びに断面硬度を測定したところ、図4〜図
7に示す如き結果を得た。図4に示す測定結果から、歯
底13cが歯先13bよりも早く冷却されていることが
確認された。また、図5〜図7に示す測定結果から、歯
面13aの表面には硬度800(Hv)以上の充分な硬
度の硬化層が得られると共に、歯車の各部における表面
硬度がほぼ均一となっていることが確認された。
【0030】さらに、本例の方法によって焼入処理した
歯車13の歯面13a、及び、歯車を回転させながら噴
射冷却する従来の方法により焼入処理した歯車の歯面の
表面の残留応力を測定したところ表1に示す結果を得
た。なお、表1における測定箇所(a),(b),
(c),(d)は90°の角度間隔を順次隔てた箇所に
ある歯面(歯底又は歯先)である。
【0031】
【表1】
【0032】表1から明らかなように、本例の方法によ
って、得られた歯車13の歯底13cにおける残留応力
は従来方法によるものに比べて充分に大きな値の圧縮応
力であり、従って疲労強度の強い歯車13であることが
確認された。
【0033】また、本例によれば、焼割れや変形が殆ん
どない寸法精度の高い歯車が得られた。
【0034】以上、本発明の一実施例に付き述べたが、
本発明は、既述の実施例に限定されるものではなく、本
発明の技術的思想に基いて各種の変形及び変更が可能で
ある。例えば、本発明は平歯車に限らずヘリカルギヤ等
の各種の歯車の焼入方法に適用可能である。なお、この
場合には、噴射孔18の配列は各歯車の歯底に合せて設
定すればよい。また、高周波誘導加熱コイル11の他に
既述の如き冷却液噴射孔を有する冷却環を配置するよう
にしてもよい。さらに、加熱手段としては、高周波誘導
加熱コイルに限らず、加熱炉を用いるようにしてもよ
い。
【0035】
【発明の効果】以上の如く、本発明は、内部に冷却液通
路が形成される円環状の高周波誘導加熱コイルの円環部
分に被焼入体としての歯車を配置し、前記高周波誘導加
熱コイルの、前記歯車に対抗する周壁面に、周方向に沿
って該歯部の歯ピッチに対応する間隔で、しかも前記歯
車の軸方向で該歯部の歯すじ方向に対応する方向に、多
数の冷却液噴射孔が配列される装置を使用して、前記歯
車を焼入するに際し、歯車の歯面を所要温度に加熱した
後に歯車の回転を停止せしめ、位置決め後、静止状態の
歯車の歯底に冷却液を噴射して歯先側に流すようし、か
つある冷却条件によりある時間に亘り冷却した後、さら
に前記初期の冷却条件の冷却能より小さい冷却条件によ
り冷却するという2工程で焼入冷却する方法であるか
ら、質量が最も大きく最も冷却されにくい歯底の冷却が
促進されると共に、質量が最も小さく、最も冷却されや
すい歯先の冷却が抑制されることとなる結果、歯車の歯
面の均一冷却が可能となる。また、歯車は静止状態の下
で冷却液が噴射されるので、冷却液の噴射箇所はアット
ランダムでなく歯底に確実に当てることができ、冷却液
の飛散等を生じることなく歯面に沿って流れ渡るので、
歯面に複雑な残留応力が生じることがなく、焼割れや変
形の発生を防止できる。さらに、冷却液の噴射圧力、流
量、液温等の条件を調節することにより、歯面の各部分
における冷却速度を任意に調整できるため、均一な或い
は一様に変化する理想的な焼入硬化層パターンを得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歯車の焼入方法を実施するための
焼入装置の平面図である。
【図2】前記焼入装置の断面図である。
【図3】高周波誘導加熱装置の要部断面図である。
【図4】本発明の方法を実施した場合の歯車の歯底及び
歯先の冷却速度を示すグラフである。
【図5】本発明の方法により得られた歯車の歯先の断面
硬度分布を示すグラフである。
【図6】本発明の方法により得られた歯車の歯側面の断
面硬度分布を示すグラフである。
【図7】本発明の方法により得られた歯車の歯側面と歯
底との境界箇所(R部)の断面硬度分布を示すグラフで
ある。
【図8】従来の歯車の焼入方法を実施するための焼入装
置の平面図である。
【図9】前記焼入装置の断面図である。
【図10】高周波誘導加熱コイルの要部断面図である。
【図11】噴射冷却及びズブ冷却による冷却速度をそれ
ぞれ示すグラフである。
【図12】噴射における流量と冷却曲線との関係を示す
グラフである。
【図13】従来の方法によって焼入冷却する場合の歯車
の歯底及び歯先の冷却速度を示すグラフである。
【符号の説明】
10 高周波焼入装置 11 高周波誘導加熱コイル 13 歯車 13a 歯面 13b 歯先 13c 歯底 13d 歯側面 14 治具 15 冷却液供給パイプ 17 冷却液通路 18 冷却液噴射孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/00 - 9/44 C21D 9/50 C21D 1/10 C21D 1/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に中空環状の冷却液通路が形成され
    る、円環状の高周波誘導加熱コイルであって、該高周波
    誘導加熱コイルの円環部分に同心状に、かつ回転自在に
    被焼入体としての歯車を配置し、前記高周波誘導加熱コ
    イルの、前記歯車の歯部に対向する周壁面に、周方向に
    沿って該歯部の歯ピッチに対応する間隔で、しかも前記
    歯車の軸方向で該歯部の歯すじ方向に対応する方向に、
    前記冷却液通路に連通する多数の冷却液噴射孔が配列さ
    れる装置を使用して、前記歯車を焼入するに際し、 前記歯車をその軸を中心に回転させた状態で、前記高周
    波誘導加熱コイルに高周波電流を供給して歯面を所要温
    度に加熱し、次いで、前記歯車の回転を停止させるとと
    もに、位置決め機構により、前記高周波誘導加熱コイル
    の前記周壁面に歯すじ方向に配列された冷却液噴射孔
    を、前記歯車の各歯底に対向する位置に位置決め後、そ
    れぞれの該冷却液噴射孔から該歯車の各歯底に向けて冷
    却液を噴射し、該冷却液を前記歯車の歯底から歯面に沿
    って歯先に流すようにし、かつ前記冷却液の噴射圧力、
    流量及び液温による初期の冷却条件により所要時間に亘
    り冷却した後、さらに前記初期の冷却条件より冷却能
    小さい冷却条件により冷却するという2工程で焼入冷却
    することを特徴とする歯車の焼入方法。
  2. 【請求項2】 前記歯車の歯底に噴射される前記冷却液
    の噴射圧力、流量及び液温を調節することによって、前
    記歯底、前記歯面及び前記歯先の冷却速度が同じになる
    ように焼入冷却することを特徴とする請求項1に記載の
    歯車の焼入方法。
  3. 【請求項3】 前記冷却液の噴射圧力、流量、液温及び
    冷却時間の冷却条件を2工程以上に変えながら前記歯車
    前記歯底、前記歯面及び前記歯先の冷却速度が同じに
    なるように焼入冷却することを特徴とする請求項1に記
    載の歯車の焼入方法。
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