JP3407746B2 - 感光性化合物及び感光材料 - Google Patents

感光性化合物及び感光材料

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JP3407746B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は新規な感光性化合物を含
有する感光材料に関し、より詳しくは光照射により非可
逆的に、かつ光照射量に比例して色素画像を形成するこ
とができる感光性化合物を含有する感光材料に関する。 【0002】 【発明の背景】光照射により光照射量に比例して色素画
像を形成可能な有機感光材料としては、従来フォトクロ
ミック材料、ジアゾ写真材料、フリーラジカル写真材料
等が知られている。フォトクロミック材料は、光照射に
より可逆的に構造が変化し、その構造の変化に従って、
吸収波長が変化する材料である。フォトクロミック材料
は、基本的には二つの安定状態構造を有してはいるが、
光、あるいは熱により容易に最安定状態構造に戻ってし
まう。従って、光照射により得られた画像も経時に、あ
るいは、可視光の存在下では消失してしまい安定な画像
を形成することはできない。ジアゾ写真材料は、光照射
により光照射量に比例してジアゾニウム塩を光分解し、
光分解を受けなかったジアゾニウム塩をカップリング反
応によりアゾ色素に変えポジ画像を形成するものとして
実用化されてはいるが、ジアゾニウム塩は不安定である
ため保存性が悪く、更にはアンモニア等を使用する現像
処理を必要とし、迅速な処理をすることは不可能であ
る。また、フリーラジカル写真材料は、ハロゲン化合物
の光分解で生じる遊離基とアミン類との反応によりトリ
フェニルメタン系色素画像を形成する写真材料である。
この写真材料では、4臭化炭素等の不安定な化合物を使
用し、かつ毒性も高いことから非常に限られた条件でし
か使用できない。 【0003】また、特開昭50−139722号公報、同50−13
9723号公報、同50−139724号公報には、光還元反応によ
り生成するハイドロキノンの還元作用により、3価コバ
ルト錯体を2価のコバルトにし、共存するピリジルアゾ
ナフトールと色素の金属錯体を形成させる感光材料が記
載されている。この材料は加熱現像処理を必要とするば
かりでなく、内蔵するキノン及びコバルト錯体の保存安
定性が低く、また、定着をすることができない欠点があ
った。また、特公昭63−14338号公報、特公平1−41973
号公報、同2−3485号公報には光開裂反応及びそれに伴
う酸化反応により色素画像を形成する化合物が記載され
ているが、上記公報に記載された化合物は、構造的な制
約から、得られる色素はインドアニリンのみで色調はシ
アンに限定されている。 【0004】 【発明の目的】本発明の第1の目的は、現像処理を必要
とせずに、イエロー色素画像又はマゼンタ色素画像を形
成することができる新規な感光材料を提供することにあ
る。第2の目的は、保存安定性が高い感光材料を得るこ
とができる新規な感光材料を提供することにある。第3
の目的は、任意の光吸収特性を有し、また、保存安定性
に優れた色素により画像を形成する感光材料を得ること
ができる新規な感光材料を提供することにある。 【0005】 【発明の構成】上記目的は、下記の構成により達成され
る。 (1)下記一般式[I]で表される感光性化合物を含有
することを特徴とする光反応によりイエロー又はマゼン
タ色素を形成する感光材料。 一般式[I] R−SO2−A [式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アリール基
を、Aは 【0006】 【化2】 (式中、X1はヒドロキシル基、アミノ基を、X2はヒド
ロキシル基、アミノ基、スルホンアミド基、アシルアミ
ノ基を、Yはアルキルスルホニル基、アリールスルホニ
ル基、ヘテロ環スルホニル基、アリール基を表す。R1
〜R10は水素原子、置換基を表す。また、R1とR2、R
4とR5は結合し5ないし6員環を作り、縮合環を形成し
てもよい。)を表す。] 【0007】以下、本発明について詳細に説明する。 【0008】本発明の光反応によりイエロー又はマゼン
タ色素を形成可能な前記一般式[I]で表される化合物
は、光開裂反応による化学結合の切断、及びそれに伴う
環形成反応によりイエロー色素又はマゼンタ色素を形成
する。 【0009】一般式[I]において、Rで表されるアル
キル基、アルケニル基、アリール基には置換基を有する
ものも含まれ、そのようなアルキル基としては、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、ド
デシル基、ベンジル基が、アルケニル基としては、例え
ば、アリル基、ブテニル基、デセニル基が、また、アリ
ール基としては、例えば、フェニル基、メトキシフェニ
ル基、トリル基、ニトロフェニル基が挙げられる。 【0010】X1及びX2で表されるアミノ基には置換基
を有するものも含まれ、アミノ基としては、例えば、ア
ミノ基、メチルアミノ、エチルアミノ、ヘキシルアミ
ノ、ドデシルアミノ、ジメチルアミノ基、メチルエチル
アミノ、ジエチルアミノ、ジドデシルアミノ基、フェニ
ルアミノ基が挙げられる。これら置換アミノ基は更に置
換基を有していてもよい。 【0011】X2で表されるスルホンアミド基として
は、例えば、メチルスルホンアミド基、エチルスルホン
アミド基、ブチルスルホンアミド基、ドデシルスルホン
アミド基、フェニルスルホンアミド基が、アシルアミノ
基としては、例えば、アセトアミド基、エタノイルアミ
ノ基、へキサノイルアミノ基、ドデカノイルアミノ基、
ベンゾイルアミノ基が挙げられる。これらスルホンアミ
ド基、アシルアミド基は更に置換基を有していてもよ
い。 【0012】R1〜R10で表される置換基としては、例
えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アミ
ノ基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、カルバモイ
ル基が挙げられ、ハロゲン原子としては、例えば、塩素
原子、臭素原子、フツ素原子が、アルキル基としては、
例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル
基、ドデシル基、ベンジル基が、アルケニル基として
は、例えば、アリル基、ブテニル基、デセニル基が、ア
ミノ基としては、例えば、メチルアミノ、エチルアミ
ノ、ヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、ジメチルアミノ
基、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、ジドデシル
アミノ基、フェニルアミノ基が、スルホンアミド基とし
ては、例えば、メチルスルホンアミド基、エチルスルホ
ンアミド基、ブチルスルホンアミド基、ドデシルスルホ
ンアミド基が、アシルアミノ基としては、例えば、アセ
トアミド基、エタノイルアミノ基、へキサノイルアミノ
基、ドデカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基が、カ
ルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル
基、ブチルカルバモイル基、ドデシルカルバモイル基、
フェニルカルバモイル基が挙げられる。これら置換基は
更に置換基を有していてもよい。 【0013】Yで表されるアルキルスルフォニル基とし
ては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル
基、ヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基が、
アリールスルホニル基としては、例えば、フエニルスル
ホニル基、トリルスルホニル基、ニトロフェニルスルホ
ニル基、ナフチルスルホニル基が、ヘテロ環スルホニル
基としては、例えば、ピリジルスルホニル基、イミダゾ
リルスルホニル基、フリルスルホニル基が挙げられ、ま
た、アリール基としては、例えば、フェニル基、メトキ
シフェニル基、トリル基、ニトロフェニル基が挙げられ
る。これらアルキルスルフォニル基、アリールスルホニ
ル基、ヘテロ環スルホニル基、アリール基は更に置換基
を有していてもよい。 【0014】R1とR2、R4とR5とで5ないし6員環を
作り、縮合環を形成する場合、形成される縮合環の例と
しては、例えば、ナフタレン環、キノリン環が挙げられ
る。 【0015】一般式[I]において、X1としては、ヒ
ドロキシル基、ジアルキルアミノ基が、X2としては、
ヒドロキシル基、ジアルキルアミノ基が好ましい。Yと
しては、アルキルスルホニル基、アリールスホニル基、
アリール基が好ましく、アルキルスルホニル基、アリー
ルスルホニル基が更に好ましい。R1〜R10としては、
水素原子、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、カルバ
モイル基が好ましい。R1とR2、R4とR5は、縮合環を
形成するものではないものが好ましい。 【0016】本発明の感光材料は、光反応によりイエロ
ー又はマゼンタ色素を形成可能な一般式[I]で表され
る化合物を含有するものであればよく、光反応によりイ
エロー又はマゼンタ色素を形成可能な下記一般式[I]
で表される化合物のみからなるものであってもよく、ま
た、バインダー等を混合したものであってもよい。 【0017】以下に、本発明の光反応によりイエロー色
素又はマゼンタ色素を形成可能な前記一般式[I]で表
される化合物(以下、本発明の化合物という。)の具体
例を示す。 【0018】 【化3】【0019】 【化4】本発明の化合物は、光反応によりイエロー又はマゼンタ
色素を形成する。光反応を起こす光線は化合物によって
異なるが、一般には、近紫外光ないし可視光を用いるこ
とができる。 【0020】光反応によりイエロー又はマゼンタ色素を
形成する反応の例を以下に示す。 【0021】 【化5】本発明の化合物は、重合可能な基をその構造の一部に導
入することにより、ポリマーにすることができる。ま
た、親油性基を導入すればLB膜化等種々の形態にする
ことができる。更に、真空蒸着法、スピンコート法等を
用いて薄膜に形成することができ、また、本発明の化合
物をそのままで、あるいは、高沸点及び/又は低沸点溶
剤に溶解して天然あるいは合成の高分子と混合し、薄膜
に形成することができる。 【0022】本発明の感光材料は、粉末、繊維、薄膜、
ブロック、液体等様々な形態であることができる。ま
た、必要に応じて光増感剤、反応促進剤、保存安定剤、
色調調整剤等を加えることができる。 【0023】本発明の感光材料を用いて形成された画像
は、光反応前の化合物と光反応後に形成された色素の性
質の違いを利用して定着することができる。例えば、熱
あるいは溶剤等を用いた拡散あるいは転写により、ある
いは、形成された色素を残し、光反応前の化合物等不要
な化合物を取り除くとか、光反応前の化合物の感光性を
失わせるとかすることにより定着することができる。 【0024】また、本発明の化合物は、色素画像の形成
ばかりでなく、着色等にも用いることができる。 【0025】 【実施例】 実施例1 (例示化合物1の合成) 反応スキーム 【0026】 【化6】 【0027】25gの(1)と12gのn−ブチルアミンを
200mlのジオキサンに溶解し、33gのN,N′−ジシク
ロヘキシルカルボジイミドを室温にて徐々に加えた。室
温にて3時間撹拌後、ウレアを除去し反応液を濃縮後、
カラムクロマトグラフィーにより精製し、21gの中間体
(2)を得た。 【0028】100mlの酢酸エチルに19gの前記中間体
(2)と23gのp−ニトロベンゼンスルホニルクロリド
を溶解し、9gのピリジンを加えて2時間加熱還流を行な
った。希塩酸水で水洗後、酢酸エチル層を濃縮し、カラ
ムクロマトグラフィーにより精製し、21gの中間体
(3)を得た。NMR、Massにより目的物であるこ
とを確認した。 【0029】5gの中間体(3)と4gの中間体(4)を
100mlの酢酸エチルに溶解し、更に20%の炭酸カリウム
水溶液50mlを加えて撹拌下、4gの赤血塩を徐々に加え
て更に30分間撹拌後、酢酸エチル層を濃縮した。濃縮液
をカラムクロマトグラフィーにより精製し、3.1gの例
示化合物1を得た。NMR、Massにより目的物であ
ることを確認した。 【0030】実施例2 (例示化合物8の合成) 反応スキーム 【0031】 【化7】10gのo−アミノフェノールと10gのp−トルエンスル
ホニルクロリドを100mlのアセトニトリルに溶解し、8g
のピリジンを加えて2時間加熱還流を行なった。希塩酸
水にあけ、酢酸エチルで抽出し、水洗後、酢酸エチル層
を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、7
gの中間体(6)を得た。NMR、Massにより目的
物であることを確認した。 【0032】5gの中間体(6)と5gの2−ベンゾイ
ルアミノフェノールを100mlの酢酸エチルに溶解し、更
に20%の炭酸カリウム水溶液50mlを加えて撹拌下、3g
の赤血塩を徐々に加えて更に30分間撹拌後、酢酸エチル
層を濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィーによ
り精製し、1gの例示化合物8を得た。NMR、Mas
sにより目的物であることを確認した。 【0033】実施例3 暗所にて、前記本発明の例示化合物1、2及び8を各々
0.1g取り 1mlの酢酸エチルにそれぞれ溶解した。シリ
カゲルを塗布したべ一ス上にマイクロキャピラリーを用
いて、0.5mlの前記溶液をそれぞれスポッティングし
た。乾燥後、光ファイバーを接続した20OW高圧水銀燈
(HOYA製)により3秒間スポット露光し、シリル化剤に
より未感光部分を定着した。得られた色素画像は露光部
分に対応しており、例示化合物1及び2から得られた色
素画像はマゼンタ、例示化合物3から得られた色素画像
はイエローであった。 【0034】 【発明の効果】本発明により、新規な感光性化合物が提
供でき、また、現像処理を必要とせずに、イエロー又は
マゼンタ色素画像を形成することができる新規な感光材
料を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G03C 1/675 G03C 1/675 Z G03F 7/004 507 G03F 7/004 507 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 1/00 C07C 311/00 C09K 9/00 G03F 7/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記一般式[I]で表される感光性化合
    物を含有することを特徴とする光反応によりイエロー又
    はマゼンタ色素を形成する感光材料。 一般式[I] R−SO2−A [式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アリール基
    を、Aは 【化1】 (式中、X1はヒドロキシル基、アミノ基を、X2はヒド
    ロキシル基、アミノ基、スルホンアミド基、アシルアミ
    ノ基を、Yはアルキルスルホニル基、アリールスルホニ
    ル基、ヘテロ環スルホニル基、アリール基を表す。R1
    〜R10は水素原子、置換基を表す。また、R1とR2、R
    4とR5は結合し5ないし6員環を作り、縮合環を形成し
    てもよい。)を表す。]
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1981年,(2),p.493−497

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