JP3406900B2 - 圧電アクチュエータ - Google Patents

圧電アクチュエータ

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JP3406900B2
JP3406900B2 JP2000308993A JP2000308993A JP3406900B2 JP 3406900 B2 JP3406900 B2 JP 3406900B2 JP 2000308993 A JP2000308993 A JP 2000308993A JP 2000308993 A JP2000308993 A JP 2000308993A JP 3406900 B2 JP3406900 B2 JP 3406900B2
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弘 久保田
光二 小坂
真次 高田
孝宏 山川
一将 阿隅
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Japan Science and Technology Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、X−Yス
テージ等の位置決め機構、リニアモータ、回転モータ等
の送り機構、或いはパーツフィーダ等の搬送機等に用い
られる、剪断変形(15モード変位)と厚み変形(33
モード変位)を利用した圧電アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、図4(a)・(b)の説明図
に示すように、圧電体91に1対の分極用電極92を設
けて分極処理を施し(図4(a))、次に分極用電極9
2を除去して、分極方向と直交する方向に電界を印加す
るための駆動用電極93を形成して、駆動用電極93に
電圧を印加する(図4(b))と、生ずる電界によって
圧電体91に15モード変位と呼ばれる「剪断変形」が
起こることが知られている。
【0003】また、図5(a)・(b)の説明図に示す
ように、圧電体81に1対の電極82を設けて分極処理
を施し(図5(a))、次に電極82用いて、分極処理
時に圧電体81に加えた電界よりも小さい電界を圧電体
81に印加する(図5(b))と、圧電体81に、33
モード変位と呼ばれる「厚み変形」が起こる。図5
(b)では厚み変形を起こす前の形状が点線で示されて
いる。
【0004】このような剪断変形を起こす圧電素子(1
5モード素子)と厚み変形を起こす圧電素子(33モー
ド素子)を利用した送り装置として、特公平3−811
19号公報には、ステージに2個の33モード素子から
なる第1脚部と、1個の33モード素子と1個の15モ
ード素子からなる第2脚部が設けられてなる送り機構が
開示されている。
【0005】この送り機構の動作は、概略、次の通りで
ある。即ち、最初に、第1脚部が伸長して接地し、ステ
ージを支持するとともに、第2脚部の33モード素子を
縮ませて第2脚部は接地面から浮かせた状態とする。次
に、第2脚部の15モード素子を剪断変形させた後に第
2脚部の33モード素子を伸長させて第2脚部を接地さ
せ、一方で第1脚部は縮ませて接地面から浮かせた状態
とする。こうして第2脚部が接地してステージを支持し
た状態で、第2脚部の15モード素子の剪断変形を解除
し、その後に再び第1脚部を伸長させて接地させる。
【0006】こうして、ステージは第1脚部により支持
された最初に状態に戻り、しかも、第2脚部の15モー
ド素子の剪断変形の変位量だけ移動したことになる。こ
のような動作を繰り返すことで、所定位置までステージ
を移動させることができ、一方、ステージを固定した場
合には接地面となっている物体を移動させることもでき
る。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】ここで、上記送り機構におけるステージの
移動速度を速めるためには、第1脚部と第2脚部の駆動
周波数が一定の場合には、第2脚部の15モード素子の
変位量の大きくすることが必要である。15モード素子
の変位量を大きくする1つの方法は駆動電圧を上げるこ
とであるが、15モード素子においては、分極方向と駆
動電界が印加される方向とが異なるために、駆動電圧を
大きくして駆動電界の大きさが大きくなると、分極が消
滅して、15モードで変位しなくなる問題があり、この
ため、駆動電圧を上げるにも限度がある。
【0008】15モード素子の変位量を大きくする別の
方法は、15モード素子を多層化して変位量を和する方
法である。しかし、15モードで駆動する圧電体を多層
化する場合には、個々に作製した15モード素子を樹脂
接着剤等を用いて接合しなければならず、この場合に
は、多層化の作業におけるハンドリングや生産性を考慮
し、圧電体の機械的強度を確保しなければならない。従
って、圧電体の厚みを薄くするにも限界があることか
ら、多層化による大型化を免れない。
【0009】なお、15モード素子を樹脂接着剤を用い
て積層する場合には、通常、駆動用電極間に金属板が挟
まれるが、樹脂接着剤の量が多いと金属板と駆動用電極
との導通が確保されない場合が生じたり、15モード素
子を互いに平行に接着できずに所定の変位量を得ること
ができなくなる場合があった。従って、15モード素子
の駆動用電極と金属板との導通を確保し、かつ、15モ
ード素子を平行に積層することも、所定の変位量を得る
上で重要である。
【0010】本発明は上述した従来技術の問題点に鑑み
てなされたものであり、15モード素子と33モード素
子の多層化による大型化を抑制しながら15モード素子
の変位量を増大させ、かつ、信頼性に優れた圧電アクチ
ュエータを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
圧電素子と金属板を交互に積層してなる圧電アクチュエ
ータであって、前記圧電素子の少なくとも1つは、前記
金属板間に所定の電圧を印加したときに厚み方向に変位
する33モード素子であり、前記33モード素子以外の
圧電素子は、前記金属板間に所定の電圧を印加したとき
に剪断方向に変位する15モード素子であり、前記金属
板には多数の孔部が形成されていることを特徴とする圧
電アクチュエータ、が提供される。
【0012】このような圧電アクチュエータにおいて
は、圧電素子と金属板との接着に使用される樹脂接着剤
のうち余剰量が金属板に形成された孔部に収容されるこ
とから、圧電素子に形成された駆動用電極と金属板との
導通を確保しながら、しかも圧電素子どうしを平行に接
着することが可能となり、所望する変位量を得ることが
容易となる。
【0013】また、本発明によれば、圧電素子と金属板
を交互に積層してなる圧電アクチュエータであって、前
記圧電素子の少なくとも1つは、同時焼成法を用いて、
圧電体と内部電極とが交互に積層されて一体的に形成さ
れた構造を有し、前記内部電極に所定の電圧を印加した
ときに積層方向に変位する33モード素子であり、前記
33モード素子以外の圧電素子は、前記金属板間に所定
の電圧を印加したときに剪断方向に変位する15モード
素子であることを特徴とする圧電アクチュエータ、が提
供される。
【0014】同時焼成法を用いて作製した33モード素
子では、1層の圧電体の厚みを薄くすることが容易であ
り、例えば、15モード素子と同じ厚みであっても複数
層に形成して強い電界を加え、大きな変位量を得ること
が可能となる。こうして、用いる33モード素子の数を
減少させる代わりに、15モード素子の積層数を増や
し、これにより15モード素子の変位量が拡大する。な
お、金属板としては、多数の孔部が形成されているもの
を用いることが好ましい。
【0015】上記本発明の圧電アクチュエータにおいて
は、33モード素子の駆動電圧と15モード素子の駆動
電圧を等しくしたときに、33モード素子を構成する圧
電体1層にかかる電界の大きさが、15モード素子を構
成する圧電体にかかる電界の大きさの3倍以上となるよ
うに、33モード素子を構成する圧電体の1層の厚み
を、15モード素子の圧電体の厚みよりも小さくするこ
とが好ましい。これにより、少数の33モード素子でも
十分な厚み方向の変位量を得ることができるようにな
り、33モード素子の数を減らしてその代わりに15モ
ード素子を配設し、15モードの変位量を拡大すること
が可能となる。15モードの変位量が大きくなれば、X
−Yステージ等の送り機構やリニアモータ、回転モータ
の駆動機構として用いた場合に、移動速度を速めること
が可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の圧電アクチュエータに用
いられる圧電体としては、圧電セラミックス、単結晶圧
電体、高分子圧電体等の種々の圧電体を用いることがで
きるが、中でも圧電定数が大きく、大きな15モード変
位と33モード変位が得られるチタン酸ジルコン酸鉛
(PZT)をはじめとした種々の圧電セラミックス(焼
結体)が好適に用いられる。そこで、以下、圧電セラミ
ックスを用いた形態を例に説明することとする。
【0017】図1は、本発明の圧電アクチュエータの一
実施形態を示す断面図である。圧電アクチュエータ10
は、圧電素子11aまたは圧電素子11bと金属板12
とが交互に積層された構造を有している。圧電素子11
aは、薄板状の圧電体の両表面に図示しない駆動用電極
が形成されており、この駆動用電極間に所定の電圧を印
加したときに圧電体が厚み方向に変位する33モード素
子である。一方、圧電素子11bは、薄板状の圧電体の
両表面に図示しない駆動用電極が形成され、この駆動用
電極間に所定の電圧を印加したときに圧電体が剪断方向
に変位する15モード素子である。
【0018】33モード素子11aは、例えば、所定の
厚みを有する圧電体を準備し、その両表面に銀ペースト
等を用いてスクリーン印刷法等により電極を印刷し、焼
成した後に、形成された電極間に所定の電圧を印加して
分極処理して作製することができる。また、15モード
素子11bは、所定の厚みを有する圧電体を準備して、
対向する一対の側面に銀ペースト等を用いて形成した電
極間に所定の高電圧を印加して分極処理を施した後、こ
の電極を除去して、分極が解けないように、圧電体の両
表面に新たに導電性樹脂等を用いて駆動用電極を形成す
ることで作製することができる。
【0019】なお、一般的に、圧電体は圧電セラミック
ス粉末をプレス成形法や押出成形法、射出成形法等の種
々の方法を用いて板状またはシート状に成形し、所定温
度で焼成した後に、必要に応じて研削・切削加工等を施
すことにより作製される。
【0020】33モード素子11aと金属板12との
間、および15モード素子11bと金属板12との間
は、それぞれ樹脂接着剤により接着されている。この樹
脂接着剤によって形成されている接着層は薄く、33モ
ード素子11aと15モード素子11bに形成されてい
る駆動用電極は部分的に金属板12と接しているので、
樹脂接着剤としては、通常、絶縁性のものを用いること
ができる。こうして、金属板12を1層おきに接続して
正極と負極を構成し、これに駆動電圧をかけることは、
33モード素子11aと15モード素子11bに形成さ
れている駆動用電極に駆動電圧を印加することと同じこ
ととなる。
【0021】なお、33モード素子11aと15モード
素子11bの駆動用電極と金属板12との導通を確実な
ものとするために、接着強度が確保される限りにおい
て、樹脂接着剤として金属粒子等の導電体を含む導電性
樹脂接着剤を用いて導通の確保を図ってもよい。また、
樹脂接着剤を用いての多層化作業にあたっては、積層方
向に所定の圧力が加えられることから、圧電体には所定
の機械的強度が要求される。このため、圧電体の厚み
は、例えば、0.5mm以上であることが好ましく、一
方、駆動電圧があまりに大きくならないように2mm以
下とすることが好ましい。
【0022】図1に示すように、33モード素子11a
は、電圧を印加したときに伸長するように用いる場合に
は、33モード素子11aの圧電体の分極の向き(矢印
)と同じ向きに駆動電圧による電界(矢印S)が
かかるように配置する。一方、電圧を印加したときに縮
むように用いる場合には、図示しないが、駆動電圧によ
る電界(矢印S)と圧電体の分極の向き(矢印S
が逆向きとなるようにするが、このとき、分極が消滅し
ないように駆動電圧の大きさを適切な値とする必要があ
る。
【0023】また、15モード素子11bは、剪断変形
の向きが同じであって変位量が和されるように配置す
る。例えば、1枚の金属板12の上下に位置する2個の
15モード素子11bでは、電界のかかる向き(矢印S
)が逆向きとなるので、分極の向き(矢印S)も厚
み方向に垂直な方向で逆向きとなるように配置する。図
1には、4層の15モード素子11bが剪断変形した状
態が点線で示されている。
【0024】金属板12としては、図2の平面図に示す
ように、多数の孔部21が形成されているものを用いる
ことが好ましい。圧電アクチュエータ10の製造工程に
おける樹脂接着剤の供給は、例えば、ディスペンサを用
いて行われるが、この場合に塗布量が樹脂接着剤の粘度
の変化等によって変動する場合がある。塗布した樹脂接
着剤の量が多い場合には、金属板12と33モード素子
11a・15モード素子11bの駆動用電極との間が接
触しなくなり、圧電アクチュエータ10の駆動特性が低
下するおそれがある。また、接着層に勾配が生じて所望
する向きに変位しなくなる等の問題を生ずる。しかし、
孔部21が形成された金属板12を用いると、樹脂接着
剤の塗布量の変動によって樹脂接着剤が多く供給された
場合であっても、余分な樹脂接着剤を孔部21に収容す
ることができるので、強固で平坦な接着層を容易に得る
ことが可能となる。
【0025】また、接着層の形態が安定することによ
り、金属板12と33モード素子11a・15モード素
子11bの駆動用電極との間の接触が確保され、多層化
された圧電素子を確実に駆動して変位させることが可能
となり、圧電アクチュエータとしての特性が確保され
る。なお、金属板12の材質に制限はなく、例えば、銅
板、アルミニウム板、ステンレス板等を用いることがで
き、厚みとしては、10μm〜100μm程度の箔状、
板状のものが好適に用いられる。
【0026】さて、圧電アクチュエータ10では、下部
の4層が33モード素子11aで構成され、上部の4層
が15モード素子11bで構成されている。33モード
素子11aと15モード素子11bとの境界に位置する
金属板12は、33モード素子11aまたは15モード
素子11bに駆動電圧を印加した際に、常に低電位側
(グランド(GRD))となるように設定する。
【0027】33モード素子11aと15モード素子1
1bの積層数は、所望する変位量を得るために任意に設
定され、圧電アクチュエータ10のように8層に限定さ
れるものではない。また、33モード素子11aに印加
する電圧(33モード素子駆動信号)と、15モード素
子11bに印加する電圧(15モード素子駆動信号)
は、所定の変位量を得るためにそれぞれ好適な値に設定
される。もちろん、これらの電圧は同じ場合もあり得
る。
【0028】圧電アクチュエータ10の駆動方法は、例
えば、先に述べた特公平3−81119号公報に開示さ
れている、ステージに2個の33モード素子からなる第
1脚部と、1個の33モード素子と1個の15モード素
子からなる第2脚部が設けられてなる送り機構、におけ
る第2脚部と同様である。
【0029】つまり、最初に第1脚部が伸長して接地
し、ステージを支持するとともに、圧電アクチュエータ
10の33モード素子11aを縮ませて圧電アクチュエ
ータ10を接地面から浮かせた状態とする。次に、圧電
アクチュエータ10の15モード素子11bを剪断変形
させた後に圧電アクチュエータ10の33モード素子1
1aを伸長させて圧電アクチュエータ10を接地させ、
一方で第1脚部は縮ませて接地面から浮かせた状態とす
る。こうして圧電アクチュエータ10が接地してステー
ジを支持した状態で、圧電アクチュエータ10の15モ
ード素子11bの剪断変形を解除し、その後に再び第1
脚部を伸長させて接地させる。
【0030】こうして、1サイクルの駆動で15モード
素子11bの剪断変形の変位量だけステージを移動させ
ることができることから、特定の周波数で上記動作を繰
り返すことで、ステージを高速で移動させることができ
るようになる。また、15モード素子11bの変位量を
印加する電圧値を制御して所定値とすることにより、ス
テージの微小位置決めを行うことが可能となる。
【0031】上述した圧電アクチュエータ10のよう
に、15モード素子11bの剪断変形を用いた駆動機構
では、剪断変形の変位量が大きいとそれだけ駆動速度を
速くすることができる。15モード素子11bの変位量
を大きくする方法の1つは駆動電圧を大きくすることで
あるが、この場合には分極の消滅によって15モード変
位を生じなくなるおそれがある。15モード素子11b
の変位量を大きくする別の方法は、15モード素子11
bの積層数を増やすことであるが、この場合には圧電ア
クチュエータ10の大型化は避けられない。一方で、3
3モード素子11aについては、一体焼成法を用いるこ
とにより所定の変位量を確保しつつも、薄板化と低電圧
駆動化が可能である。
【0032】そこで、図3の断面図に示す圧電アクチュ
エータ20のように、同時焼成法を用いて圧電体22と
内部電極23とが交互に積層されて一体的に形成された
構造を有し、内部電極23に所定の電圧を印加したとき
に積層方向に変位する33モード素子21aと、金属板
12間に所定の電圧を印加したときに剪断方向に変位す
る15モード素子11bとを積層した構造とすると、圧
電アクチュエータ10を大型化することなく、15モー
ド変位量を大きくとることが可能となる。なお、内部電
極23は外部電極24a・24bを介して駆動電圧が印
加されるように構成されている。
【0033】33モード素子21aは、セラミックス粉
末にバインダ、溶媒等を混合して、ドクターブレード法
や押出成形法等によりグリーンシートを作製して所定の
形状に打ち抜き等し、これに所定の内部電極パターンを
スクリーン印刷法等を用いて印刷したものを、熱プレス
等を用いて積層、一体化して焼成することにより、作製
することができる。
【0034】圧電アクチュエータ10・20はともに8
層の圧電素子からなり、積層方向高さは同じとなってい
る。しかし、圧電アクチュエータ20では33モード素
子の数が1個のみであるが、1個の33モード素子21
aが4層の圧電体22からなる構造を有している。つま
り圧電体22の厚みは1個の33モード素子11aの厚
みの約1/4であることから、33モード素子21aの
駆動電圧を33モード素子11aの駆動電圧の1/4と
小さくしても、1個の33モード素子21aで4個の3
3モード素子11aと同じ33モード変位量を得ること
ができる。逆に、33モード素子11aの駆動電圧と同
じ駆動電圧で33モード素子21aを駆動させた場合に
は、圧電体22に印加される電界の大きさは4倍となる
ことから、4倍の変位量を得ることも可能となる。
【0035】同時焼成法を用いた場合には、圧電体1層
の厚みが50μm程度のものも容易に作成することがで
きる。例えば、厚みが0.6mmの単板の33モード素
子11aと同じ厚みの同時焼成法による33モード圧電
素子21aを作製する場合には、50μmの圧電体が1
2層積層された構造とすればよい。この場合、例えば、
単板の33モード素子11aの駆動電圧の1/12の大
きさの駆動電圧であっても、圧電アクチュエータ20で
は圧電アクチュエータ10の3倍の変位量を得ることが
できる。
【0036】圧電アクチュエータ20において、同時焼
成法を用いた33モード素子21aにおける圧電体22
の積層数に制限はないが、33モード素子21aの駆動
電圧と15モード素子11bの駆動電圧を等しくしたと
きには、33モード素子21aを構成する圧電体22の
1層にかかる電界の大きさが、15モード素子11bの
圧電体にかかる電界の大きさの3倍以上となるように、
33モード素子21aを構成する圧電体の1層の厚みを
15モード素子11bの圧電体の厚みよりも小さくする
ことが好ましい。これにより、少数の33モード素子で
も十分な厚み方向の変位量を得ることができるようにな
り、33モード素子の数を減らしてその代わりに15モ
ード素子を配設し、15モードの変位量を拡大すること
が可能となる。
【0037】圧電アクチュエータ20は、3個分の33
モード素子11aのスペースに15モード素子11bが
配設され、合計で7個の15モード素子11bを有す
る。従って、例えば、4個の15モード素子11bを有
する圧電アクチュエータ10の剪断変形の変位量が8μ
mであった場合には、圧電アクチュエータ20では約1
4μmの剪断変位量を得ることが可能となる。7個の1
5モード素子11bの剪断変形の様子は、図3中の点線
で示されている。15モードの変位量が大きくなれば、
X−Yステージ等の送り機構やリニアモータ、回転モー
タの駆動機構として用いた場合に、移動速度を速めるこ
とが可能となる。
【0038】以上、本発明の実施の形態について説明し
てきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるもので
はない。例えば、圧電アクチュエータ10において、駆
動電圧を印加する1枚の金属板12の上下にある2個の
圧電素子には同じ大きさの電界がかかることから、2枚
1組の33モード素子11aと2枚1組の15モード素
子11bとを接着面の金属板12が互いにグランド側と
なるように交互に積層した構造とすることも可能であ
る。
【0039】また、圧電アクチュエータ20に用いた同
時焼成法による33モード素子21aには外部電極24
a・24bが形成されていることから、33モード素子
21aを金属板12で挟むことは必ずしも必要ではな
く、外部電極24a・24bを用いて直接に駆動電圧を
印加することが可能である。
【0040】
【発明の効果】上述の通り、本発明の圧電アクチュエー
タは、孔部が形成された金属板を介して圧電素子を接着
した構造を有することから、樹脂接着剤のうち余剰量が
金属板に形成された孔部に収容される。これにより圧電
素子に形成された駆動用電極と金属板との導通を確保し
ながら、しかも圧電素子どうしを平行に接着することが
可能となり、良好な変位特性が得られ、かつ、信頼性も
向上する。また、同時焼成法を用いて作製した33モー
ド素子を用いることにより15モード素子の積層数を増
やすことができるので、これにより15モード素子の変
位量が増大する。これにより、本発明の圧電アクチュエ
ータを用いた送り機構やリニアモータ、回転モータ等で
は、高速駆動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電アクチュエータの一実施形態を示
す断面図。
【図2】本発明の圧電アクチュエータに用いられる金属
板の平面図。
【図3】本発明の圧電アクチュエータの別の実施形態を
示す断面図。
【図4】15モード変位の説明図。
【図5】33モード変位の説明図。
【符号の説明】
10;圧電アクチュエータ 11a:33モード素子 11b;15モード素子 12;金属板 20;圧電アクチュエータ 21a;33モード素子 22;圧電体 23;内部電極 24a・24b;外部電極
フロントページの続き (72)発明者 小坂 光二 熊本県熊本市花立五丁目10番25号 有限 会社 熊本テクノロジー内 (72)発明者 高田 真次 熊本県熊本市花立五丁目10番25号 有限 会社 熊本テクノロジー内 (72)発明者 山川 孝宏 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 太平 洋セメント株式会社内 (72)発明者 阿隅 一将 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 太平 洋セメント株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−307788(JP,A) 特開 昭60−59980(JP,A) 特開 昭59−230473(JP,A) 特開 昭63−274894(JP,A) 特開 平11−163426(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/083

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電素子と金属板を交互に積層してなる
    圧電アクチュエータであって、 前記圧電素子の少なくとも1つは、前記金属板間に所定
    の電圧を印加したときに厚み方向に変位する33モード
    素子であり、 前記33モード素子以外の圧電素子は、前記金属板間に
    所定の電圧を印加したときに剪断方向に変位する15モ
    ード素子であり、 前記金属板には多数の孔部が形成されていることを特徴
    とする圧電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 圧電素子と金属板を交互に積層してなる
    圧電アクチュエータであって、 前記圧電素子の少なくとも1つは、同時焼成法を用い
    て、圧電体と内部電極とが交互に積層されて一体的に形
    成された構造を有し、前記内部電極に所定の電圧を印加
    したときに積層方向に変位する33モード素子であり、 前記33モード素子以外の圧電素子は、前記金属板間に
    所定の電圧を印加したときに剪断方向に変位する15モ
    ード素子であることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 前記金属板には多数の孔部が形成されて
    いることを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエ
    ータ。
  4. 【請求項4】 前記33モード素子の駆動電圧と前記1
    5モード素子の駆動電圧を等しくしたときに、 前記33モード素子を構成する圧電体1層にかかる電界
    の大きさが、前記15モード素子を構成する圧電体にか
    かる電界の大きさの3倍以上となることを特徴とする請
    求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧電アクチ
    ュエータ。
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