JP3406381B2 - フェライト系磁性粉末原料酸化物及びフェライト系磁性粉末の製造方法 - Google Patents
フェライト系磁性粉末原料酸化物及びフェライト系磁性粉末の製造方法Info
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及び磁性粉末原料酸化物、特にNi−Znフェライト系
磁性粉末及びNi−Znフェライト系磁性粉末原料酸化
物の製造方法に関するものである。
伴い、これに使用されるチップ部品も小型化が進んでい
る。このチップ部品の一つとしてフェライト磁性体と内
部導体を積層した積層型フェライトチップや、ボンド型
ソフトフェライト等が開発されている。これらのフェラ
イトチップ等には、主として、Ni−Znフェライト系
磁性粉末が使用されている。
末は、一般的なフェライトの製法同様に、酸化鉄と、酸
化物や炭酸塩を主とした他の金属塩とを混合して、仮焼
成するいわゆる乾式法が工業的規模の生産の中心となっ
ているが、共沈法等のいわゆる湿式法も知られている。
てFe3+を用いる方法と、Fe2+を用いる方法がある
が、Fe2+を出発原料とした場合、Fe2+、Ni2+及び
Zn2+を、NiO+ZnO=50mol%、Fe2 O3 =5
0mol%の組成で混合した水溶液に強アルカリ成分を加え
てこれらの金属イオンを水酸化物として沈殿させた後、
さらにこの反応液に酸化性ガス吹き込んで上記水酸化物
を酸化することにより、Ni−Znフェライト系磁性粉
末原料酸化物を得、そしてこれを焼成してNi−Znフ
ェライト系磁性粉末を得る方法が知られている。
各製造方法には、以下のような問題があった。即ち、上
記乾式法においては、出発原料が構成元素のそれぞれの
酸化物または炭酸塩であるため、目的生成物を完全に均
一な組成にすることは困難であった。また、原料フェラ
イト粉末にするためには、750℃以上の温度での仮焼
成工程及びその後の粉砕工程が必要となるため、製造工
程が複雑とならざるを得なかった。さらに、得られた原
料フェライト粉末についても、粒度分布が広くなった
り、凝集粒子が生じるなどの問題点があった。
殿物がそれぞれの金属酸化物の複合物であるため、原料
フェライト粉末にするための仮焼成及び粉砕工程が必要
となり、上記同様に製造工程が複雑とならざるを得なか
った。また、生成する粒子は組成が均一で微細となる
が、均一な形状・粒度の粒子が得られず、原料フェライ
ト粉末としては不適当なものであった。しかも、生成し
た原料フェライト粉末を焼成したときに、その組成によ
っては、CuO、Cu2 O、ZnO等の不純物が析出
し、磁気特性に悪影響を与える場合があった。また、組
成によっては、アモルファス化合物ができてしまい、そ
の取扱が困難となり、後工程が複雑とならざるを得なか
った。
な形状及び組成を有し、しかも不純物の生成を極力抑え
た結晶性の高いNi−Znフェライト系磁性粉末原料酸
化物及びNi−Znフェライト系磁性粉末を、従来に比
べて簡単な工程で製造することができるNi−Znフェ
ライト系磁性粉末原料酸化物及びNi−Znフェライト
系磁性粉末の製造方法を提供するものである。
を達成するため鋭意研究した結果、酸化を二段階に分
け、まず、目的組成に必要とされる全量のCu2+と、該
全量以下のNi2+及び、/又はZn2+と、これをスピネ
ル型フェライトにするための相当量以上のFe2+とを含
む酸性水溶液を先ず酸化し、次いで、上記全量に達する
残りのNi2+及び/又はZn2+と、Fe2+とを追加し
て、酸化成長させることにより、組成が均一で、非常に
微細であり、かつ、CuO、Cu2 O、ZnO等の不純
物の析出が抑えられたNi−Znフェライト系磁性粉末
原料酸化物が得られるとの知見(特に、CuO、Cu2
O、ZnOの不純物の析出を抑えるには、一段階目の酸
化は、Cu2+とFe2+のみについて行い、スピネル型の
銅フェライトを析出させた後、二段階目の酸化として、
Ni2+、Zn2+を酸化することが効果的である)を得
た。また、その酸化条件を限定することによりさらに結
晶性の良いNi−Znフェライト系磁性粉末原料酸化物
が得られるとの知見を得た。
のであり、Fe2+、Ni2+、Cu2+、及びZn2+を含
み、且つ上記Ni2+、及びZn2+の少なくとも一つの含
量が目的組成に必要とされる全量以下であるとともに、
上記Fe2+の含量が少なくともスピネル型フェライトと
するための相当量以上である酸性水溶液と、アルカリ水
溶液とを混合して混合溶液とし、次いでこの混合溶液を
攪拌しながらこれに酸化性ガスを吹き込むことにより微
細粒子を生成させ、さらに酸化後の上記混合溶液に、上
記全量まで達する残りのNi2+、Zn2+、及びFe2+を
含む水溶液を混合し、該混合溶液を攪拌しながらこれに
酸化性ガスを吹き込むことにより酸化成長させることを
特徴とするNi−Znフェライト系磁性粉末原料酸化物
の製造方法を提供するものである。
含む上記酸性水溶液に、Si、Ca、Sn、Ti、C
r、Co、Al、Mg及びBiの少なくとも一以上の微
量成分を、水溶性金属化合物の状態で、酸化性ガスの吹
き込み前に予め混合するか、または、酸化過程の途中で
上記混合溶液中に滴下することにより、上記微量成分を
フェライト中に均一に取り込ませることができる。
ト系磁性粉末原料酸化物を、800℃以下で焼成するこ
とにより、組成が均一で非常に結晶性の良く、粒度分布
も狭いNi−Znフェライト系磁性粉末とすることがで
きる。
ト系磁性粉末原料酸化物及びNi−Znフェライト系磁
性粉末の製造方法について詳述する。
粉末原料酸化物の製造方法は、先ず、目的組成に必要と
される全量のCu2+と、該全量以下のNi2+、及び/又
はZn2+と、これらをスピネル型フェライトにするため
の相当量以上のFe2+とを含む酸性溶液を、アルカリ存
在下で酸化し、次いで、上記全量まで達する残りのNi
2+、Zn2+及びFe2+を追加してさらにこれを酸化する
ことによりNi−Znフェライト系磁性粉末原料酸化物
を製造するものである。
の温度を一定にし、窒素ガス等を水溶液中に吹き込み、
窒素ガス置換、不活性ガス置換を行う。かかるアルカリ
水溶液に、攪拌しながら反応温度と同じ温度に加温し
た、目的とする組成に必要となる全量のCu2+(NC )
と、該全量以下のNi2+(xNN :(0≦x≦1))、
及び/又はZn2+(yNZ :(0≦y≦1))と、これ
をスピネル型フェライトにするための相当量以上のFe
2+(NSF)とを含む酸性水溶液を添加して混合溶液とす
る。そしてこの混合溶液を充分に攪拌、ガス置換した
後、酸化性ガスを吹き込む(以下、「第1酸化過程」と
いう)。
酸化反応の終了したスラリー状の混合溶液を攪拌しなが
ら、これにさらに窒素ガス又は不活性ガスを吹き込み、
窒素ガス置換又は不活性ガス置換を行い、アルカリ水溶
液を追加する。そして、得られたスラリー状の混合溶液
に、攪拌しながら反応温度に加温した、目的とする組成
に必要となる全量に達する残りのNi2+((1−x)N
N )、Zn2+((1−y)NZ )及びFe2+(NSF’)
を含む水溶液を添加し、これを充分に攪拌し、さらにガ
ス置換した後、酸化性ガスを吹き込む(以下、「第2酸
化過程」という)。
Fe2+、Ni2+、Cu2+、及びZn 2+源としては、その
硫酸塩、塩化物、硝酸塩などが挙げられる。目的組成に
必要となる各金属イオンの全量(NC 、NN 、NZ 、
(NSF+NSF’))は、目的とする磁気特性により異な
るが、水溶液中のすべての金属イオンの濃度が合計で、
0.05〜0.5mol/lになるように添加することが望
ましい。この場合、特に、NC /(NN +NZ )が、
0.05〜0.5であることが好ましい。
のNi2+(xNN )、Zn2+(yN Z )それぞれの含量
の範囲は、特に、0≦x≦0.8、0≦y≦0.8であ
ることが望ましい。また、上記各酸化過程におけるFe
2+の含量(NSF、NSF’)は、スピネル型フェライトに
するための相当量以上であれば問題はない。
リウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア
等が挙げられ、その濃度は、上記酸性水溶液及びアルカ
リの種類によって異なるが、例えば、Fe2+、Ni2+、
Cu2+、Zn2+源が塩化物である場合、これに対して
0.4倍モル以上の水酸化ナトリウムが加えられる。
が好適に用いられる。上記各段階における酸化性ガスの
吹き込みは、中和率が0.7〜3.0で且つ反応温度が
40℃以上、望ましくは50〜100℃の範囲のときに
行うと好適である。中和率が0.7より低い場合には、
結晶が生成しにくく粒子形状が不揃いになり、中和率が
3.0より高い場合には、不純物が生成しやすくなるた
めである。また、温度が50℃より低い場合にも、結晶
が生成しにくく粒子形状が不揃いになり、温度が100
℃より高い場合には、不純物が生成しやすくなるためで
ある。
反応槽、反応液量、反応液濃度等によって異なるが、例
えば10l槽において反応Fe濃度が0.2M/lの場
合、0.1〜20l/min の範囲が好適である。上記ガ
スの吹き込み速度が上記範囲に達しないと反応時間がき
わめて長時間となり、また上記範囲を超えると粒子が細
くなりすぎるためである。そして、この吹き込み速度を
適宜変化させることによっても、生成するNi−Znフ
ェライト系磁性粉末又はNi−Znフェライト系磁性粉
末原料酸化物の寸法及び形状を変化させることができ
る。
性粉末原料酸化物にはまた、フェライトの構造や特性を
変化させる一般的な微量成分としてSi、Ca、Sn、
Ti、Cr、Co、Al、Mg、及びBiの少なくとも
一以上を含有させることが望ましい。この場合、これら
の微量成分の水溶性化合物をFe2+、Ni2+、Cu2+、
Zn2+を含む酸性水溶液と共に水溶性金属化合物の状態
で混合するか、または、酸化途中でスラリー状の混合液
中に滴下することにより、均一に取り込ませることがで
きる。また、上記微量成分をNi−Znフェライト系磁
性粉末原料酸化物の表面に均一に付着させたい場合は、
酸化性ガスによる酸化の終了後、アルカリ溶液と共に滴
下する。ここで、上記微量成分は上記酸性水溶液に混合
する場合には、その全体の0.01〜10mol%、特に
0.05〜8.0mol%にあることが好ましい。
溶液を、濾過、水洗及び乾燥することにより、Ni−Z
nフェライト系磁性粉末原料酸化物が製造される。
粉末の製造方法は、上記Ni−Znフェライト系磁性粉
末原料酸化物を、800℃以下、好ましくは300〜8
00℃の温度範囲で焼成することにより、さらに組成が
均一で結晶性が良く、且つ粒度分布も狭いNi−Znフ
ェライト系磁性粉末を得るものである。焼成温度が30
0℃より低くなると反応が十分に進まず、800℃より
高くなると粒成長しすぎるためである。
イト系磁性粉末は、微細で、均一な組成、形状及び粒度
を有しているため、フェライト中のCu等の置換量が少
ない場合でも低温で焼結させること可能である。
を作製する場合に、本発明において得られたNi−Zn
フェライト系磁性粉末に、エチルセルロース、アルカリ
樹脂等のバインダーと、テルピネオール、ブチルカルビ
トール等の溶媒と混合してスラリーとして、これを誘導
用ペーストと積層し、800〜900℃で0.5〜10
h焼成することにより、上記誘導ペースと層の劣化を抑
えた高性能の積層型フェライトチップとすることができ
る。
末は、電子機器に使用されるトランスやコイル等の他の
磁性部品、特に高周波用材料や磁気ヘッド材料等として
として広く使用できることは勿論である。
Znフェライト系磁性粉末原料酸化物及びNi−Znフ
ェライト系磁性粉末の製造方法を更に具体的に説明す
る。尚、本発明は以下の実施例に限るものではない。
ルを反応槽中に入れ、70℃において攪拌しながら窒素
ガスで置換する。ここに、4モルの塩化第一鉄、0.7
38モルの塩化第二銅、1.0モルの塩化亜鉛を含む7
0℃の水溶液3リットルを加えて良く攪拌し、混合溶液
とした(中和率=1.05)。そして、この混合溶液に
酸化性ガスとして空気を徐々に(8l/min )吹き込
み、約3時間で反応を終了した。
において攪拌しながら充分に窒素ガスで置換する。そし
て、これを攪拌しながら、12モルのNaOHを含む水
溶液7リットルを加え、更に窒素ガスで置換する。ここ
に、4モルの塩化第一鉄、1.388モルの塩化ニッケ
ル、1.040モルの塩化亜鉛を含む70℃の水溶液3
リットルを加え、良く攪拌した(中和率=0.93)。
これに、酸化性ガスとして空気を吹き込み(10l/mi
n )、約1時間で反応を終了した。
て、Ni−Cu−Znフェライト磁性粉末原料酸化物を
得た。得られたNi−Cu−Znフェライト磁性粉末原
料酸化物のTEM写真を図1に、そのX線回折パターン
を図2に示す。
nフェライト磁性粉末原料酸化物は、その平均粒径が
0.03〜0.1μmの範囲であり、その形状が均一な
ものであることが確認された。また、図2示すように、
各回折ピークは、シャープな回折ピークを示しており、
上記フェライト磁性粉末原料酸化物の結晶性が非常に高
いことが確認された。
性粉末原料酸化物をさらに空気雰囲気下において700
℃×1hで焼成し、Ni−Cu−Znフェライト磁性粉
末を得た。得られたNi−Cu−Znフェライト磁性粉
末のTEM観察写真による構造を図3に、X線回折パタ
ーンを図4に示す。
nフェライト磁性粉末は、その平均粒径が0.03〜
0.1μmの範囲であり、その形状が均一なものである
ことが確認された。また、図4示したように、各回折ピ
ークは、よりシャープな回折ピークを示しており、上記
フェライト磁性粉末の結晶性が非常に高いことが確認さ
れた。
性粉末原料酸化物及びNi−Znフェライト系磁性粉末
の製造方法によれば、以下の効果を奏すことができる。
請求項1に記載のNi−Znフェライト系磁性粉末原料
酸化物の製造方法によれば、微細で且つ均一な形状及び
組成を有し、しかも不純物の生成を極力抑えた結晶性の
高いNi−Znフェライト系磁性粉末原料酸化物を、従
来に比べて簡単な工程で製造することができる。
磁性粉末原料酸化物の製造方法によれば、上記の効果に
加えて、添加した微量成分に応じた磁気特性を備えたN
i−Znフェライト系磁性粉末原料酸化物を得ることが
出来る。
磁性粉末原料酸化物の製造方法によれば、酸化性ガスの
吹き込みを、中和率0.7〜3.0、及び温度50〜1
00℃の範囲にて行うようにしたので、上記の効果に加
えて、結晶性がきわめて高く、フェライト化反応が容易
なNi−Znフェライト系磁性粉末原料酸化物を得るこ
とが出来る。
磁性粉末の製造方法によれば、上記各効果を奏するNi
−Znフェライト系磁性粉末原料酸化物を800℃以下
で焼成するだけで、優れた磁気特性を備えたNi−Zn
フェライト系磁性粉末を容易に得ることができる。
i−Znフェライト系磁性粉末原料酸化物の構造を示す
図である。
のX線回折パターンを示す図である。
i−Znフェライト系磁性粉末の構造を示す図である。
パターンを示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 Fe2+、Ni2+、Cu2+、及びZn2+を
含み、且つ上記Ni 2+及びZn2+の少なくとも一つの含
量が目的組成に必要とされる全量以下であるとともに、
上記Fe2+の含量が少なくともスピネル型フェライトと
するための相当量以上である酸性水溶液と、アルカリ水
溶液とを混合して混合溶液とし、 次いでこの混合溶液を攪拌しながらこれに酸化性ガスを
吹き込むことにより微細粒子を生成させ、 さらに酸化後の上記混合溶液に、上記全量まで達する残
りのNi2+、Zn2+、及びFe2+を含む水溶液を混合
し、該混合溶液を攪拌しながら、これに酸化性ガスを吹
き込んで酸化成長させることを特徴とするNi−Znフ
ェライト系磁性粉末原料酸化物の製造方法。 - 【請求項2】 上記酸化性ガスを吹き込む酸化過程にお
いて、上記混合溶液に、Si、Ca、Sn、Ti、C
r、Co、Al、Mg、及びBiの少なくとも一以上の
水溶性化合物が含まれていることを特徴とする請求項1
記載のNi−Znフェライト系磁性粉末原料酸化物の製
造方法。 - 【請求項3】 上記酸化過程における酸化性ガスの吹き
込みを、中和率0.7〜3.0、及び温度50〜100
℃の範囲にて行うことを特徴とする請求項1記載のNi
−Znフェライト系磁性粉末原料酸化物の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載のN
i−Znフェライト系磁性粉末原料酸化物の製造方法に
より製造されたNi−Znフェライト系磁性粉末原料酸
化物を、さらに800℃以下で焼成することを特徴とす
るNi−Znフェライト系磁性粉末の製造方法。
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JP13736594A JP3406381B2 (ja) | 1994-06-20 | 1994-06-20 | フェライト系磁性粉末原料酸化物及びフェライト系磁性粉末の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH082924A JPH082924A (ja) | 1996-01-09 |
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1994
- 1994-06-20 JP JP13736594A patent/JP3406381B2/ja not_active Expired - Fee Related
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