JP3894298B2 - Fe▲2▼O▲3▼およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チップインダクタ等の磁気素子用フェライト合成原料として好適なFe2O3 およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話をはじめとする携帯電子機器の普及に伴い、チップインダクタ(チップインピーダンス素子)等の磁性素子チップ部品が多用されている。電子機器のさらなる高機能化、小型軽量化に対応してチップ部品も一層の小型化が進んでいる。特にチップインダクタを積層構造とすれば、小型化に有利であるとともに、外鉄構造により漏洩磁束が小さく高密度実装にも適している。積層チップインダクタは、たとえば印刷法あるいはドクターブレード法により成形されたフェライト層と、内部電極とを積層して焼結して形成する。フェライト磁性体片の積層により形成されるコイル状スルーホールに導電体を埋設させ、導体電極間の電気的導通を行なう構造のチップインピーダンス素子も提案されている(特開平4−180610号)。
【0003】
上記フェライトは、一般式MO・Fe2O3 (ここでMは、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Cdなどの結晶構造に合致する大きさの2価の金属イオンである。)で示されるスピネル構造のフェリ磁性体である。フェライトは、該当する金属酸化物を原料として合成され、たとえばNiZnCuフェライトの場合、Fe2O3 、NiO、ZnOおよびCuOを混合した後、通常700℃以上で仮焼(加熱焼成)して合成される。
合成直後には、仮焼により粒成長したフェライトが得られるため、これを粉砕して使用される。チップインダクタ構成材料用途では、比表面積6m2 /g程度以上(粒径0.2μm以下)に粉砕されたフェライト粒子が使用される。
【0004】
フェライトの磁気特性はその組成に影響されるため、磁気素子の小型化を図る場合には、特に原料仕込み組成とフェライトの最終組成とのずれがなく、設計組成どおりのフェライト粉末を得ることが望ましい。しかしフェライト粒子作製時には、粉砕工程において粉砕機器からの不純物混入などにより組成変化を生じるという問題がある。特に粉砕時間が長いほど組成変化のずれを生じやすい。
このためフェライト粒子の製造では、仮焼直後に大きな比表面積を有し、しかも粉砕容易で、短時間で所望の比表面積に粉砕できるフェライトを得ることが望ましい。
【0005】
ここで、仮焼時の粒成長を抑制するには低温での仮焼が有効である。この仮焼温度は、仮焼に供されるフェライト合成原料の比表面積に影響され、原料の比表面積が大きければ仮焼温度を低下できる。このため上記フェライト原料のうちでも、組成上、最も使用量の多いFe2O3 を比表面積の大きいものとすれば、低温での仮焼が可能となる。
【0006】
従来、フェライト合成原料として多用されているのは、噴霧焙焼法などの乾式法で製造された比表面積4.8m2/g程度のFe2O3粒子である。このように比表面積の小さいFe2O3原料を用いる場合には、最終的に原料よりも大きな比表面積(6m2/g以上)のフェライト粒子を得るために、本質的に長い粉砕時間を必要とする。加えて比表面積の小さい原料を用いる場合には仮焼温度を高く設定する必要があるため、仮焼工程での粒成長により粉砕時間はより長い粉砕時間を必要とする。その結果、上記のような粉砕機器からの不純物混入量が増加し、仕込みとの組成ずれを生じるという問題がある。
【0007】
湿式法で製造されたFe2O3 粒子も知られている。たとえば第二鉄塩溶液のpHを調整して加熱する方法(特許第2600562号、特開平8−310119号など)、水熱合成法(特開平8−59398号など)、第一塩化鉄塩溶液を中和した後、有機酸塩を加え70〜90℃で空気酸化する方法(特公平6−23054号)などによるFe2O3 の合成方法が知られている。さらに、湿式法によりマグネタイト(Fe3O4 )あるいはゲーサイト(FeOOH)などのFe2O3 前段物質を合成した後、これらを200〜450℃程度で加熱酸化してFe2O3 とする方法が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記湿式法では、比表面積の大きなFe2O3 粒子を容易に得ることができる。したがって湿式法で製造された比表面積の大きなFe2O3 粒子を用いれば、前記乾式法で製造されたものに比して、低温での仮焼が可能であり、粒成長が抑制され、仮焼直後に大きな比表面積を有し、粉砕容易なフェライト粒子を得ることが可能であると考えられる。しかしながら、湿式法で製造された比表面積の大きなFe2O3 粒子をフェライト原料として用い、低温で仮焼した場合であっても、必ずしも比表面積が大きく粉砕時間の短いフェライトが得られるとは限らないという問題があることがわかった。長い粉砕時間を必要とする場合には、上記したように最終的に所望組成とのずれの大きいフェライト粒子が得られる。
【0009】
本発明は、フェライト合成原料として使用した時に、仮焼後の比表面積が大きく、かつ粉砕性に優れ、短時間の粉砕で小粒径化することができ、所望組成とのずれの小さいフェライト粒子を得ることができるFe2O3 およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題について検討したところ、湿式法で製造されたFe2O3粒子は、大きな比表面積を有するが、比表面積が大きすぎると反応性が高くなりすぎて、乾式法Fe2O3粒子よりも低温での仮焼に拘らず、仮焼工程で粒成長が進むことがわかった。さらに検討をつづけ、仮焼前に供されるFe2O3粒子は、低温加熱を可能とするために少なくとも12m2/gの比表面積を必要とするが、一方、仮焼工程での粒成長を抑制するためには、その上限値を60m2/gとする必要もあるという知見を得た。
【0011】
またフェライト仮焼工程では、混合原料を700℃以上で、通常、数時間加熱するが、Fe2O3 粒子への700℃×1時間の加熱は、このフェライト仮焼工程の試験モデルとなりうること、これにより仮焼後のフェライト粒子の粒成長状態を予測できるという知見を得た。さらにこれによって求まる加熱後比表面積(S700 )が加熱前比表面積(S)に対し、S700 >S×0.1を満たせば、該Fe2O3 がチップインダクタ等の磁気素子用フェライト合成原料に適合すると判断できることを見出した。
さらに本発明で規定される比表面積のFe2O3 粒子は、湿式法によるFe2O3 粒子の合成と、特定条件下での乾燥との組み合わせにより得ることができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0012】
なお湿式法では、反応液を脱塩、ろ過することにより直接Fe2O3 を得るか、またはFe2O3 の前段物質(Fe3O4 ,FeOOH)を加熱酸化してFe2O3 を得る。またFe2O3 またはその前段物質を乾燥する場合には、通常、常圧、100〜120℃の条件下で行なわれ、減圧下で行なったものは報告されてない。また合成されたFe2O3 の形態(α−態あるいはγ−態)および比表面積などの測定値(前記公報)などは報告されているが、仮焼後の比表面積を仮焼前に予測する方法などについては何ら検討されていない。
【0013】
本発明では、12〜60m2/gの比表面積(S)を有するFe2O3であって、かつ700℃で1時間加熱した後の比表面積(S700)が、S700>S×0.1の関係を満たすFe2O3を提供する。
このFe2O3の上記700℃加熱による質量減少率は、2質量%以下であることが望ましい。
【0014】
本発明のFe2O3 は、前記比表面積(S700 )が、未粉砕状態で3m2 /gを超えることが望ましい。
本発明のFe2O3 は水分率は1質量%以下であることが望ましい。
また全Fe量(Toal-Fe )は、68質量%以上であることが望ましい。
本発明のFe2O3 は、フェライト合成原料として好適である。
【0015】
また上記本発明のFe2O3 を合成原料として用いれば、比表面積6m2 /g以上で、かつ仕込み組成とのずれの少ないフェライト粒子を容易に得ることができる。具体的に、最終的に比表面積6m2 /g以上で得られるフェライト粒子は、Fe2O3 について、仕込み組成とのずれが0.7 mol%以下であることが望ましい。
したがって本発明では、このようなフェライトを提供することもでき、このフェライトは磁気素子の小型化を可能にする。
【0016】
本発明では、上記のようなFe2O3 の製造方法も提供する。
本発明で提供される第1のFe2O3 製造方法では、湿式法で製造したFe2O3 を、酸素分圧0.025MPa以上で、かつ全圧0.10MPa未満の減圧下、60〜200℃で乾燥する。
第2のFe2O3 製造方法では、湿式法で製造したFe3O4 を、酸素分圧0.025MPa以上で、かつ全圧0.10MPa未満の減圧下、60〜200℃で乾燥した後、常圧下、200〜500℃で加熱酸化する。
第3のFe2O3 製造方法では、湿式法で製造したFeOOHを、酸素分圧0.025MPa以上の雰囲気で、かつ全圧0.10MPa未満の減圧下、60〜200℃で乾燥した後、常圧下、200〜450℃で加熱酸化する。
第1〜第3のFe2O3 の製造方法では、8〜60m2 /gの比表面積(S)を有するFe2O3 であって、かつ700℃で1時間加熱した後の比表面積(S700 )が、S700 >S×0.1の関係を満たすFe2O3 を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るFe2O3およびFe2O3の製造方法を具体的に説明する。
本発明に係るFe2O3は、12〜60m2/gの比表面積を有する。
また該比表面積をSとし、該Fe2O3に700℃で1時間加熱した後(以下この加熱を700℃加熱試験ともいう)の比表面積をS700とするとき、比表面積S700と加熱前の前記比表面積Sとの比が、S700/S>0.1の関係を満たす。
なお本明細書における比表面積は、BET法により求められる値で示される。
【0018】
上記で規定されるような比表面積を有する本発明のFe2O3 を用いれば、フェライト合成時の仮焼を低温で行なうことができ、仮焼による比表面積の減少率が少なく、したがって仮焼直後に比較的大きな比表面積を有し、かつ粉砕の容易なフェライトを得ることができる。すなわち本発明のフェライト粒子はフェライト合成原料として好適である。より具体的に説明する。
【0019】
本発明では、Fe2O3の比表面積は、フェライト合成時の仮焼を低温で行なうために少なくとも12m2/gを必要とする。この比表面積が12m2/g未満では仮焼温度低下に有効性が薄くなる。一方、比表面積が大きすぎても仮焼工程での粒成長が進む。Fe2O3の比表面積の上限は、60m2/gである。比表面積が60m2/gを超えると、仮焼温度は下げられるものの、Fe2O3の反応性が高くなりすぎるため仮焼工程での粒成長が進み、結果的に比表面積が小さなフェライト粒子が生成する。仮焼後のフェライトの比表面積が小さいと、粉砕時間を長く設定する必要が生じ、粉砕機器からの不純物混入量が増加する。このため組成変化し、チップインダクタ等に適したフェライトが得られにくくなる。
Fe2O3の好ましい比表面積は、12〜45m 2 /gであり、より好ましくは12〜30m2/gである。
【0020】
また本発明のFe2O3 は、上記特定範囲の比表面積を有するだけでなく、700℃加熱試験後に、加熱前の比表面積Sの10%以上の比表面積S700 を有する必要がある。特にチップインダクタ構成材料などとして使用しうるフェライト粒子を得るためには、最終的に仕込み組成とずれがなく、比表面積6m2 /g以上に粉砕されたフェライト粉末を得ることが重要であるが、このようなフェライト粉末を得るためには、仮焼後に、高い比表面積を有し、かつ粉砕容易なフェライト粒子を得る必要がある。そして上記700℃加熱試験による比表面積の変化がS700 >S×0.1を満たすFe2O3 であればこのようなフェライト粒子を作製しうる。すなわち本発明では、チップインダクタ構成材料などとして使用しうるフェライト粒子の合成原料Fe2O3 を容易に選択することができる。前述したとおり、この700℃加熱試験が、フェライト合成のための仮焼想定モデルとなりうることは、本発明者によって見出された知見である。
【0021】
700℃加熱試験後のFe2O3 の比表面積減少率が大きいほど、フェライト合成時の仮焼工程での粒成長が進み、仮焼後のフェライト粒子の比表面積も小さく、粉砕に時間を要する(エネルギーを要する)。
700℃加熱試験後の比表面積S700 が、加熱前の比表面積Sの10%以下(S700 ≦S×0.1)になるようなFe2O3 を用いると、仮焼時(一般的に仮焼は700℃以上で1時間以上かけて行なわれる)に粒成長が進み、仮焼後のフェライト粒子の比表面積も著しく小さくなる。この時のフェライト粒子の比表面積は、噴霧焙焼法で製造したFe2O3 を用いる場合とほぼ同じかそれ以下となり、比表面積の大きなFe2O3 を用いる利点はなくなってしまう。当然ながら、粉砕時間を長くする必要が生じ、粉砕機器からの不純物混入量が増加するため、チップインダクタ等には適さないものとなる。
【0022】
一方、700℃加熱試験後の比表面積が加熱前の比表面積値の10%を超える(S700 >S×0.1)Fe2O3 を用いると、仮焼工程での粒成長をある程度抑制でき、仮焼後のフェライト粒子の比表面積も大きく、次の粉砕工程で簡単に小粒径化でき、噴霧焙焼法で製造したFe2O3 を用いる場合よりも有利となる。
700℃加熱試験後の比表面積S700 は、加熱前の比表面積Sの好ましくは15%以上(S700 ≧S×0.15)、より好ましくは20%以上(S700 ≧S×0.2)、さらに好ましくは25%以上(S700 ≧S×0.25)、一層好ましくは30%以上(S700 ≧S×0.3)である。
本発明のFe2O3 は、前記比表面積S700 そのものが、未粉砕状態で3m2 /gを超えることが望ましく、4m2 /gを超えることがより好ましい。
【0023】
また本発明のFe2O3 は、上記加熱による比表面積の低下率が小さいことに加え、加熱による質量変化率が小さいという特徴も有する。この質量変化率は、フェライトの組成ずれに大きく影響するため重要である。具体的には、上記比表面積と同様の700℃加熱試験により質量変化率を求めることができる。なお700℃よりも高温、あるいは1時間よりも時間を長くしても質量変化率はほとんど変わらない。これよりも温度が低かったり、時間が短い場合には揮発分が残存しているため、正確な質量変化率が求められない。
本発明では、上記で求められるFe2O3 の質量変化率は2%以下であることが望ましい。質量変化率が2%以下のFe2O3 を用いれば、質量変化率のバラツキも小さく、組成ずれも小さく、利用価値の高いフェライトが得られる。
【0024】
一方、Fe2O3 の質量減少率が2%を超えると、質量変化率のバラツキも大きく、フェライトの組成ずれが大きくなり、所定の磁気特性や焼結密度が得られない等の問題が発生して、使い勝手が非常に悪くなる。たとえばFe目標組成がFe2O3 換算で49 mol%のフェライトを作製する場合、上記質量変化率が2%を超えるFe2O3 を用いると、実際のFe組成はFe2O3 換算で48 mol%以下となり、1 mol%を超えるずれが生じ、所定の磁気特性が得られなくなる。
【0025】
上記加熱による質量減少分中には、水分による減少分も含まれている。水分量が多いと組成ずれの他に、粉体の流動性、ハンドリング性が悪くなる。このためFe2O3 中の水分量は少ない方が好ましく、具体的にFe2O3 の水分率は、Fe2O3 に対し、1質量%以下が好ましい。一般に比表面積が大きくなると吸湿しやすくなる傾向があるが、できるだけ水分率の低いFe2O3 が好ましい。
上記水分量は、120℃(常圧)で1時間乾燥したときの質量減量分として求めることができる。
【0026】
さらに加熱時の質量減少率は、Fe2O3 の実質的なFe含有率に影響される。Fe2O3 を構成するFe比率が理論値よりも低く、酸素比率が理論値よりも高いと質量減少率が大きい。特に湿式法で合成されたFe2O3 のFe比率は低く、酸素比率は高い傾向にある。
Fe2O3 中の全Fe量(Total-Fe)は、Fe2O3 質量に対して68質量%以上であることが好ましい。全Fe量が68質量%以上のFe2O3 であれば、加熱時(仮焼後)の質量減少率が小さく、加熱による比表面積の低下率も小さいため、チップインダクタ等に適したフェライトが得られる。逆に総Fe量が68質量%未満のFe2O3 は、加熱時の質量減少率が大きく、比表面積の低下率も大きいフェライトが得られる傾向にある。
【0027】
Fe比率が低く酸素比率が高いFe2O3 の質量減少率が大きい理由は明確ではないが、合成時に結晶中にOH基が取り込まれることによりFe比率が低下し、これを加熱することにより脱水反応が起こるためと考えられる。また比表面積の低下は、Fe原子に結合したOH基の脱離の際に、Feおよび酸素の結合状態の組換えが起こることにより生じると考えられる。
Fe2O3 中の全Fe量(Total-Fe)は、サンプルを酸に溶解し、重クロム酸カリウムで滴定する一般的な分析方法で求めることができる。
【0028】
上記のようなFe2O3 は、湿式法により合成した酸化鉄または含水酸化鉄に酸素分圧0.025MPa以上の雰囲気で、かつ0.1MPa未満の減圧下、60〜200℃の特定条件下で乾燥して得ることができる。
湿式法で合成されたるFe2O3 を用いるのは、噴霧焙焼法などの乾式法で製造されたFe2O3 に比べ、比表面積が大きく粒子サイズの揃った小型磁気素子用に適したFe2O3 を得ることができるためである。
ここでいう湿式法とは、溶液中で鉄酸化物を生成させる反応のことをいい、具体的には共沈法、空気酸化法、水熱合成法などが挙げられる。
【0029】
湿式法では、直接Fe2O3 を生成させてもよく、その前段物質であるマグネタイト(Fe3O4 )またはゲーサイト(FeOOH)などを加熱酸化してFe2O3 としてもよい。
具体的には、湿式反応により合成され、洗浄などの脱塩後、ろ過分離されたFe2O3 、またはその前段物質であるFe3O4 またはFeOOHなどに、上記乾燥を加える。
【0030】
湿式法により合成したFe2O3 またはその前駆体のFe3O4 またはFeOOHなどを、上記特定条件下の乾燥により、湿式合成物中に取り込まれたOH基を脱水反応により積極的に除去することができる。
すなわち減圧条件にすることにより脱水反応を促進することが可能である。ただし酸化反応を伴う場合もあるため減圧しすぎるのも良くない。好ましい乾燥時の圧力は0.02〜0.09MPaである。
【0031】
酸素分圧を0.025MPa以上とするのは、Fe2+が少量残存する形態に酸化を進めることによりOH基が脱水反応を起して減りやすくなるためである。酸素分圧は0.025〜0.050MPa程度が好ましい。0.050MPaを超えてもあまり効果が変わらなくなる。
【0032】
乾燥温度は60〜200℃程度が好ましい。60℃未満では、OH基の脱離が充分進まないため好ましくない。200℃を超えると、脱水速度は速くなるものの比表面積の低下を伴うため好ましくない。より好ましい乾燥温度は100〜200℃であり、さらに好ましくは120〜180℃である。
【0033】
湿式法による上記Fe2O3 (Fe2O3 )、マグネタイト(Fe3O4 )またはゲーサイト(FeOOH)などの製造は、公知の方法に準じて行なうことができる。たとえば湿式法によりFe2O3 を直接製造する公知の方法を塩化第二鉄などの第二鉄塩溶液をアルカリで中和してpHを調整し、加熱することによりFe2O3 を得る方法(特許第2600562号、特開平8−310119号など)、水熱合成法によりFe2O3 を得る方法(特開平8−59398号など)、第一塩化鉄塩溶液を過剰の炭酸ナトリウムで中和して有機酸塩を加え70〜90℃に加熱して空気酸化してFe2O3 を得る方法(特公平6−23054号)などが知られている。上記で合成されたFe2O3 を上記所定の条件で乾燥して本発明のFe2O3 を得る。
【0034】
湿式法でマグネタイト(Fe3O4 )を合成する際には、鉄塩原料として塩化第一鉄や塩化第二鉄、硫酸第一鉄や硫酸第二鉄などを用いる。原料鉄塩として、第鉄塩溶液や第二鉄塩溶液を添加すると、Fe3O4 を小粒径化することができる。またアルカリ原料としては水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリ、炭酸ナトリウムなどの炭酸アルカリ、アンモニア等の一般的なアルカリ溶液を使用する。鉄塩溶液はアルカリ溶液で中和し、水酸化鉄溶液とする。この水酸化鉄溶液のpHを調整して、50〜100℃の温度範囲に維持しながら酸素含有ガスを通気させると、マグネタイト粒子が生成する。この場合、酸化時に用いる酸素含有ガスとしては、通常空気が用いられる。酸化時の溶液温度は50〜100℃が好ましい。また100℃よりも高い温度での合成は可能であるが、設備が大がかりになるなど工業的には適さない。
【0035】
Fe3O4 を上記所定の条件で乾燥し、該Fe3O4 を200〜500℃程度で加熱酸化して本発明のFe2O3 を得る。この時、加熱酸化温度が200〜300℃程度の低温であれば、γ−Fe2O3 が、300℃以上の高温であれば、α−Fe2O3 が生成する。いずれを用いても、チップインダクタとして適したフェライトが得られる。
【0036】
湿式法でゲーサイト(FeOOH)を製造するには、塩化第一鉄や硫酸第一鉄を原料とし、これとアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなど)と混合して、水酸化鉄とする。これを酸素と反応させてFeOOHを製造する。
FeOOHを所定の条件で乾燥した場合は、200〜450℃程度で加熱して本発明のFe2O3 となる。
【0037】
また上記したように本発明のFe2O3 を合成原料として用いれば、比表面積6m2 /g以上で、かつ仕込み組成とのずれの少ないフェライト粒子を容易に得ることができる。具体的に、最終的に比表面積6m2 /g以上で得られるフェライト粒子は、Fe2O3 について、仕込み組成とのずれが0.7 mol%以下であることが望ましい。
したがって本発明では、このようなフェライトを提供することもでき、このフェライトは磁気素子の小型化を可能にする。
【0038】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお以下において、比表面積はBET法により測定した。
【0039】
(実施例1〜5)
<湿式法によるFe2O3の合成>
塩化第一鉄溶液と塩化第二鉄溶液とを表1に示す所定量で混合し、水を加えて10リットル(L)とし、全Fe濃度2.1mol/Lの塩化鉄溶液を調製した。
内容積40Lの容器に、2.7mol/LのNaOH溶液20Lを入れ、そこに窒素ガスを通気し撹拌しながら上記の塩化鉄溶液を混合した。混合液を窒素雰囲気のまま85℃まで昇温し、温度が安定した後、pHを10.0±0.2に調整し、空気を10L/min通気して酸化反応を行ない、Fe3O4(マグネタイト)を合成した。反応終了後、脱塩、ろ過した。
ろ過物を表1に示す条件で乾燥した後、解砕して粉末状Fe3O4を得た。
上記で得られたFe3O4粉末を、表1に示す条件で加熱酸化して、Fe2O3(α−Fe2O3またはγ−Fe2O3)とした後、粉砕機で粉砕した。
【0040】
得られたFe2O3 粉末を以下のようにして分析した。結果を表1に示す。
1)比表面積(S):BET法により測定した。
2)形態:XRD(X線回折法)により決定した。
3)水分率:上記Fe2O3 を、さらに120℃(常圧)で1時間乾燥し、乾燥前後の質量変化(減量分)から求めた。
4)全Fe(Toal-Fe )量:上記Fe2O3 を酸に溶解し、窒素雰囲気中で還元し、重クロム酸カリウムで滴定して求めた。
【0041】
5)700℃加熱試験
上記Fe2O3 を700℃で1時間加熱した後、冷却し、比表面積S700 (BET法)を測定した。比表面積S700 および前記比表面積Sに対する比(S700 /S)を表中に示す。
またこの加熱による質量減少率を求めた。
【0042】
<フェライト粉末の作製>
上記で合成されたFe2O 3 を用いてフェライトを作製した。
Fe2O3:NiO:ZnO:CuO=49:11:30:10のモル比で各原料を秤量し、これをボールミルで1時間混合した後、乾燥した。
この粉末を、XRDによりスピネル化率が90%以上となる最低温度(仮焼可能温度)で2時間仮焼し、NiCuZnフェライト粉末を得た。得られた粉末はBET法により比表面積を求めた。
次いでフェライト粉末を、ボールミルで粉砕した。途中サンプリングしながら比表面積が6m2/gに達するまで粉砕した。粉砕に要した時間を表中に示す。
得られたフェライト粉末中のFe2O3量は、ICP(誘導結合プラズマ)分析法により分析した。Fe2O3仕込み量(49mol%)に対するずれとともに表中に示す。
【0043】
(比較例1)
噴霧焙焼法で製造したFe2O3 を実施例1と同様に評価した。またこのFe2O3 を用いて実施例1と同様にフェライトを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0044】
(比較例2)
実施例1において、塩化第一鉄溶液と塩化第二鉄溶液との仕込み量を、表1に示す混合量比に変え、比表面積5.4m2 /gのα−Fe2O3 を得た。またこのFe2O3 を用いて実施例1と同様にフェライトを作製した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0045】
(比較例3)
実施例5において、塩化第一鉄溶液と塩化第二鉄溶液との仕込み量を、表1に示す混合量比に変え、比表面積76m2/gのγ−Fe2O3を得た。このFe2O3を用いて上記実施例と同様にフェライトを作製した。上記実施例と同様に評価した結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
上記実施例1〜5および比較例1の結果から、本発明のFe2O3は、噴霧焙焼法で作製したFe2O3に比べ、低温で仮焼でき、仮焼工程の粒成長を抑制することができる。したがって仮焼物は粉砕性に優れ、短時間の粉砕で組成のずれが小さいフェライト粒子を得ることができる。
また実施例1〜5および比較例2〜3の結果から、加熱前の比表面積(S)が12〜60m2/gで、かつ700℃で1時間の加熱後に加熱前の比表面積Sの10%以上の比表面積(S700)を有するFe2O3を用いれば、仮焼工程の粒成長を抑制することができ、短時間の粉砕で組成のずれが小さいフェライト粒子を得ることができる。
【0048】
(実施例6および比較例4,5)
内容積40Lの容器中、Fe濃度3.8mol/Lの塩化第二鉄溶液10Lと、8mol/LのNaOH溶液とを混合し、pHを5.5のFe(OH)3溶液を調製し、95℃で3日間加熱してα−Fe2O3を合成した。反応終了後、脱塩、ろ過した後、表2に示す条件で乾燥し、解砕し、表2に示す比表面積(S)のFe2O3粉末を得た。
得られたFe2O3を用いて実施例1〜5と同様にフェライトを作製した。結果を表2に示す。
【0049】
(実施例7および比較例6,7)
Fe濃度3.8mol/Lの塩化第二鉄溶液10Lと、8mol/LのNaOH溶液とを混合して、Fe(OH)3溶液を調製し、水洗してNaClを除去し、その後pHを8.0に調整した。容量20Lのオートクレーブ中、150℃で60時間加熱してα−Fe2O3を合成した。反応終了後、脱塩、ろ過した後、表2に示す条件で乾燥し、解砕し、表2に示す比表面積(S)のFe2O3粉末を得た。
得られたFe2O3を用いて実施例1〜5と同様にフェライトを作製した。結果を表2に示す。
【0050】
(実施例8および比較例8,9)
内容積40Lの容器に、3.0mol/LのNaCO3溶液20Lを入れ、そこに窒素ガスを通気し撹拌しながら、Fe濃度1.5mol/Lに調製した硫酸第一鉄溶液10Lを混合した。なお、該硫酸第一鉄溶液として、予め酒石酸ナトリウムをFeに対して0.5mol/%添加したものを用いた。窒素雰囲気のままの混合溶液を、80℃に加熱し、空気を10L/min通気して酸化し、α−Fe2O3を合成した。反応終了後、脱塩、ろ過した後、表2に示す条件で乾燥し、解砕し、α−Fe2O3粉末を得た。
得られたFe2O3を用いて実施例1〜5と同様にフェライトを作製した。結果を表2に示す。
【0051】
(実施例9および比較例10,11)
内容積40Lの容器に、2.2mol/LのNaOH溶液20Lを入れ、そこに窒素ガスを通気し撹拌しながら、Fe濃度1.58mol/Lに調製した硫酸第一鉄溶液10Lを混合した。窒素雰囲気のままの混合溶液を、30℃で空気を10L/min通気して酸化し、α−FeOOHを合成した。反応終了後、脱塩、ろ過した後、表2に示す条件で乾燥し、解砕し、α−FeOOH粉末を得た。この粉末を200℃で1時間加熱してα−Fe2O3を合成した。
得られたFe2O3を用いて実施例1〜5と同様にフェライトを作製した。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】
本発明のFe2O3 は、フェライト合成(仮焼)後の比表面積が大きく、かつ粉砕性に優れ、短時間の粉砕で小粒径化することができ、所望組成とのずれの小さいフェライト粒子を得ることができる。したがって本発明では、チップインダクタ等の磁気素子用フェライト合成原料として好適なFe2O3 およびその製造方法が提供される。
また磁気素子の小型化を可能にするフェライトを提供することもできる。
Claims (6)
- 12〜60m2/gの比表面積(S)を有するFe2O3であって、かつ700℃で1時間加熱した後の比表面積(S700)が、S700>S×0.1の関係を満たすFe2O3。
- 湿式法で製造したFe2O3を、酸素分圧0.025MPa以上で、かつ全圧0.10MPa未満の減圧下、60〜200℃で乾燥するFe2O3の製造方法。
- 湿式法で製造したFe3O4を、酸素分圧0.025MPa以上で、かつ全圧0.10MPa未満の減圧下、60〜200℃で乾燥した後、常圧下、200〜500℃で加熱酸化するFe2O3の製造方法。
- 湿式法で製造したFeOOHを、酸素分圧0.025MPa以上の雰囲気で、かつ全圧0.10MPa未満の減圧下、60〜200℃で乾燥した後、常圧下、200〜450℃で加熱酸化するFe2O3の製造方法。
- 請求項1に記載のF e 2 O 3 を仮焼して得られるフェライト。
- 請求項5に記載のフェライトを粉砕することによって得られ、比表面積が6m 2 /g以上であり、F e 2 O 3 についての、フェライトの合成原料の仕込み組成とのずれが0.7mol%以下であるフェライト粉末。
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