JPH082922A - フェライト系磁性粉又はフェライト系磁性粉原料酸化物及びその製造方法 - Google Patents
フェライト系磁性粉又はフェライト系磁性粉原料酸化物及びその製造方法Info
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- JPH082922A JPH082922A JP6137363A JP13736394A JPH082922A JP H082922 A JPH082922 A JP H082922A JP 6137363 A JP6137363 A JP 6137363A JP 13736394 A JP13736394 A JP 13736394A JP H082922 A JPH082922 A JP H082922A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 微細で、均一な組成、形状及び粒度を有し、
且つ結晶性を有するフェライト系磁性粉又はフェライト
系磁性粉原料酸化物の提供。 【構成】 単一酸化物換算で1〜30mol%の酸化銅を含
み、粒径が0.2μm以下で粒度分布が狭く、かつ結晶
性があることを特徴とするNi−Znフェライト系磁性
粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物。
且つ結晶性を有するフェライト系磁性粉又はフェライト
系磁性粉原料酸化物の提供。 【構成】 単一酸化物換算で1〜30mol%の酸化銅を含
み、粒径が0.2μm以下で粒度分布が狭く、かつ結晶
性があることを特徴とするNi−Znフェライト系磁性
粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェライト系磁性粉又
は磁性粉原料酸化物、特にNi−Znフェライト系磁性
粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物及びそ
の製造方法に関するものである。
は磁性粉原料酸化物、特にNi−Znフェライト系磁性
粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、電子機器の軽薄短小化に
伴い、これに使用されるチップ部品も小型化が進んでい
る。このチップ部品の一つとしてフェライト磁性体と内
部導体を積層した積層型フェライトチップや、ボンド型
ソフトフェライト等が開発されている。これらのフェラ
イトチップ等には、主として、Ni−Znフェライト系
磁性粉が使用されている。
伴い、これに使用されるチップ部品も小型化が進んでい
る。このチップ部品の一つとしてフェライト磁性体と内
部導体を積層した積層型フェライトチップや、ボンド型
ソフトフェライト等が開発されている。これらのフェラ
イトチップ等には、主として、Ni−Znフェライト系
磁性粉が使用されている。
【0003】従来、このNi−Znフェライト系磁性粉
は、一般的なフェライトの製法同様に、酸化鉄と、酸化
物や炭酸塩を主とした他の金属塩とを混合して、仮焼成
するいわゆる乾式法が工業的規模の生産の中心となって
いるが、共沈法等のいわゆる湿式法も知られている。上
記共沈法については、原料鉄イオンとしてFe3+を用い
る方法と、Fe2+を用いる方法があるが、Fe2+を出発
原料とするものとしてした場合、Fe2+、Ni2+及びZ
n2+を、NiO+ZnO=50mol%、Fe2 O3 =50
mol%の組成で混合した水溶液に強アルカリ成分を加えて
これらの金属イオンを水酸化物として沈殿させた後、さ
らにこの反応液に酸化性ガス吹き込んで上記水酸化物を
酸化することにより、Ni−Znフェライト系磁性粉原
料酸化物を得、そしてこれを焼成してNi−Znフェラ
イト系磁性粉を得る方法が知られている。
は、一般的なフェライトの製法同様に、酸化鉄と、酸化
物や炭酸塩を主とした他の金属塩とを混合して、仮焼成
するいわゆる乾式法が工業的規模の生産の中心となって
いるが、共沈法等のいわゆる湿式法も知られている。上
記共沈法については、原料鉄イオンとしてFe3+を用い
る方法と、Fe2+を用いる方法があるが、Fe2+を出発
原料とするものとしてした場合、Fe2+、Ni2+及びZ
n2+を、NiO+ZnO=50mol%、Fe2 O3 =50
mol%の組成で混合した水溶液に強アルカリ成分を加えて
これらの金属イオンを水酸化物として沈殿させた後、さ
らにこの反応液に酸化性ガス吹き込んで上記水酸化物を
酸化することにより、Ni−Znフェライト系磁性粉原
料酸化物を得、そしてこれを焼成してNi−Znフェラ
イト系磁性粉を得る方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
各製造方法には、以下のような問題があった。即ち、上
記乾式法においては、出発原料が構成元素のそれぞれの
酸化物または炭酸塩であるため、目的生成物を完全に均
一な組成にすることは困難であった。また、原料フェラ
イト粉末にするためには、750℃以上の温度での仮焼
成工程及びその後の粉砕工程が必要となるため、製造工
程が複雑とならざるを得なかった。さらに、得られた原
料フェライト粉末についても、粒度分布が広くなった
り、凝集粒子が生じるなどの問題点があった。
各製造方法には、以下のような問題があった。即ち、上
記乾式法においては、出発原料が構成元素のそれぞれの
酸化物または炭酸塩であるため、目的生成物を完全に均
一な組成にすることは困難であった。また、原料フェラ
イト粉末にするためには、750℃以上の温度での仮焼
成工程及びその後の粉砕工程が必要となるため、製造工
程が複雑とならざるを得なかった。さらに、得られた原
料フェライト粉末についても、粒度分布が広くなった
り、凝集粒子が生じるなどの問題点があった。
【0005】また、上記共沈法においても、生成した沈
殿物がそれぞれの金属酸化物の複合物であるため、原料
フェライト粉末にするための仮焼成及び粉砕工程が必要
となり、上記同様に製造工程が複雑とならざるを得な
い。また、生成する粒子は組成が均一で微細となるが、
均一な形状・粒度の粒子が得られず、原料フェライト粉
末としては不適当なものであった。
殿物がそれぞれの金属酸化物の複合物であるため、原料
フェライト粉末にするための仮焼成及び粉砕工程が必要
となり、上記同様に製造工程が複雑とならざるを得な
い。また、生成する粒子は組成が均一で微細となるが、
均一な形状・粒度の粒子が得られず、原料フェライト粉
末としては不適当なものであった。
【0006】従って、本発明の目的は、微細で、均一な
組成、形状及び粒度を有し、且つ高い結晶性を有するN
i−Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト
系磁性粉原料酸化物およびその製造方法を提供すること
にある。
組成、形状及び粒度を有し、且つ高い結晶性を有するN
i−Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト
系磁性粉原料酸化物およびその製造方法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究した結果、上記共沈法における
酸化過程において、Fe、Ni、Znの水溶性化合物と
共にCu化合物を存在させることにより、生成する粒子
を微細で、粒度分布が狭いものとし、さらに、組成及び
形状が均一で且つ結晶性の良いものにし得ることを知見
した。また、その酸化条件を限定することにより、従来
のような高温度での仮焼成を行うことなしに結晶性の良
いNi−Znフェライト系磁性粉が得られることを知見
した。
を達成するため鋭意研究した結果、上記共沈法における
酸化過程において、Fe、Ni、Znの水溶性化合物と
共にCu化合物を存在させることにより、生成する粒子
を微細で、粒度分布が狭いものとし、さらに、組成及び
形状が均一で且つ結晶性の良いものにし得ることを知見
した。また、その酸化条件を限定することにより、従来
のような高温度での仮焼成を行うことなしに結晶性の良
いNi−Znフェライト系磁性粉が得られることを知見
した。
【0008】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、単一酸化物換算で1〜30mol%の酸化銅を含
み、粒径が0.1μm以下で粒度分布が狭く、かつ結晶
性を有することを特徴とするNi−Znフェライト系磁
性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物を提
供するものである。また本発明は、上記Ni−Znフェ
ライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料
酸化物の好ましい製造方法として、Fe2+、Ni2+、C
u2+、及びZn2+を含む水溶液とアルカリ水溶液とを混
合して混合溶液とし、この混合溶液を攪拌しながら該混
合溶液に酸化性ガスを吹き込むことにより微細粒子を生
成させることを特徴とするNi−Znフェライト系磁性
粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物の製造
方法を提供するものである。
のであり、単一酸化物換算で1〜30mol%の酸化銅を含
み、粒径が0.1μm以下で粒度分布が狭く、かつ結晶
性を有することを特徴とするNi−Znフェライト系磁
性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物を提
供するものである。また本発明は、上記Ni−Znフェ
ライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料
酸化物の好ましい製造方法として、Fe2+、Ni2+、C
u2+、及びZn2+を含む水溶液とアルカリ水溶液とを混
合して混合溶液とし、この混合溶液を攪拌しながら該混
合溶液に酸化性ガスを吹き込むことにより微細粒子を生
成させることを特徴とするNi−Znフェライト系磁性
粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物の製造
方法を提供するものである。
【0009】上記混合溶液に、一般的にフェライトの構
造や特性を変化させる微量成分として添加されるSi、
Ca、Sn、Ti、Cr、Co、Al、Mg、及びBi
の少なくとも一以上を、Fe2+、Ni2+、Cu2+、及び
Zn2+を含む上記酸性水溶液と共に水溶性化合物の状態
で混合するか、或いは、上記混合溶液に酸化性ガスを吹
き込みながら上記微量成分を含む水溶液を滴下すること
により、これら微量成分を生成するNi−Znフェライ
ト系磁性粉原料酸化物に均一に取り込ませることができ
る。
造や特性を変化させる微量成分として添加されるSi、
Ca、Sn、Ti、Cr、Co、Al、Mg、及びBi
の少なくとも一以上を、Fe2+、Ni2+、Cu2+、及び
Zn2+を含む上記酸性水溶液と共に水溶性化合物の状態
で混合するか、或いは、上記混合溶液に酸化性ガスを吹
き込みながら上記微量成分を含む水溶液を滴下すること
により、これら微量成分を生成するNi−Znフェライ
ト系磁性粉原料酸化物に均一に取り込ませることができ
る。
【0010】また、得られたNi−Znフェライト系磁
性粉原料酸化物の成形・焼成条件など、後に続く工程の
条件のために、必要であれば、これを300〜800℃
の温度範囲で焼成することにより、さらに組成が均一で
結晶性が良く、粒度分布も狭いNi−Znフェライト系
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物を
得ることができる。300℃より低温度であると反応が
十分に進まず、800℃を超えると粒成長しすぎるため
である。
性粉原料酸化物の成形・焼成条件など、後に続く工程の
条件のために、必要であれば、これを300〜800℃
の温度範囲で焼成することにより、さらに組成が均一で
結晶性が良く、粒度分布も狭いNi−Znフェライト系
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物を
得ることができる。300℃より低温度であると反応が
十分に進まず、800℃を超えると粒成長しすぎるため
である。
【0011】以下に、先ず本発明に係るNi−Znフェ
ライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料
酸化物について詳細に説明する。上記本発明に係るNi
−Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系
磁性粉原料酸化物は、酸化銅成分の含有量が、単一酸化
物換算で1〜30mol%、特に3〜20mol%であること好
ましい。含有量が1mol%未満の場合にはその効果が期待
できず、30mol%を超える場合には磁気特性が劣化する
からである。また、その粒度は、粒径が0.2μm以
下、特に0.02〜0.2μmの範囲の粒度分布を有す
ることが好ましい。0.2μmを超えると焼成温度が高
くなるためである。
ライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料
酸化物について詳細に説明する。上記本発明に係るNi
−Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系
磁性粉原料酸化物は、酸化銅成分の含有量が、単一酸化
物換算で1〜30mol%、特に3〜20mol%であること好
ましい。含有量が1mol%未満の場合にはその効果が期待
できず、30mol%を超える場合には磁気特性が劣化する
からである。また、その粒度は、粒径が0.2μm以
下、特に0.02〜0.2μmの範囲の粒度分布を有す
ることが好ましい。0.2μmを超えると焼成温度が高
くなるためである。
【0012】また、本発明に係るNi−Znフェライト
系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物
は、微量成分とされるSi、Ca、Sn、Ti、Cr、
Co、Al、Mg、Bi等を少なくとも一以上均一に含
有させて、その構造・磁気特性を変化させることことが
可能である。この場合、上記各微量成分の含有量は、含
有させる成分により異なるが、上記含有させる成分の総
量が全体の0.01〜10mol%、特に0.05〜8.0
mol%であることが好ましい。
系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物
は、微量成分とされるSi、Ca、Sn、Ti、Cr、
Co、Al、Mg、Bi等を少なくとも一以上均一に含
有させて、その構造・磁気特性を変化させることことが
可能である。この場合、上記各微量成分の含有量は、含
有させる成分により異なるが、上記含有させる成分の総
量が全体の0.01〜10mol%、特に0.05〜8.0
mol%であることが好ましい。
【0013】次に、本発明に係るNi−Znフェライト
系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物
の製造方法について詳細に説明する。本発明に係るNi
−Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系
磁性粉原料酸化物は、Fe2+、Ni2+、Cu2+、及びZ
n2+を含む酸性水溶液とアルカリ水溶液とを混合して混
合溶液とし、この混合溶液を攪拌しながらこれに酸化性
ガスを吹き込んで、微細粒子を生成させることにより得
られる。
系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物
の製造方法について詳細に説明する。本発明に係るNi
−Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系
磁性粉原料酸化物は、Fe2+、Ni2+、Cu2+、及びZ
n2+を含む酸性水溶液とアルカリ水溶液とを混合して混
合溶液とし、この混合溶液を攪拌しながらこれに酸化性
ガスを吹き込んで、微細粒子を生成させることにより得
られる。
【0014】即ち、先ず、アルカリ水溶液(酸化反応溶
液)の温度を一定にし、窒素ガスまたは不活性ガスを水
溶液中に注気して窒素ガス置換又は不活性ガス置換を行
う。次いで、このアルカリ水溶液に、反応温度と同じ温
度に加温した目的とする組成のFe2+、Ni2+、C
u2+、及びZn2+を含む酸性水溶液を攪拌しながら添加
する。そして、充分に攪拌、ガス置換した後、酸化性ガ
スを注気して酸化し、微細粒子を生成させる。
液)の温度を一定にし、窒素ガスまたは不活性ガスを水
溶液中に注気して窒素ガス置換又は不活性ガス置換を行
う。次いで、このアルカリ水溶液に、反応温度と同じ温
度に加温した目的とする組成のFe2+、Ni2+、C
u2+、及びZn2+を含む酸性水溶液を攪拌しながら添加
する。そして、充分に攪拌、ガス置換した後、酸化性ガ
スを注気して酸化し、微細粒子を生成させる。
【0015】上記酸性水溶液中のFe2+、Ni2+、Cu
2+、及びZn2+源としては、硫酸塩、塩化物、硝酸塩な
どが挙げられ、酸性溶液中の上記金属イオンの濃度が合
計で、0.05〜0.5mol/lになるように添加され
る。また、アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の
各種の水溶液が挙げられ、その濃度は酸性溶液及びアル
カリの種類によって異なるが、例えば、Fe2+、N
i2+、Cu2+、Zn2+源が塩化物である場合には、これ
に対して0.4倍モル以上の水酸化ナトリウムが加えら
れる。
2+、及びZn2+源としては、硫酸塩、塩化物、硝酸塩な
どが挙げられ、酸性溶液中の上記金属イオンの濃度が合
計で、0.05〜0.5mol/lになるように添加され
る。また、アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の
各種の水溶液が挙げられ、その濃度は酸性溶液及びアル
カリの種類によって異なるが、例えば、Fe2+、N
i2+、Cu2+、Zn2+源が塩化物である場合には、これ
に対して0.4倍モル以上の水酸化ナトリウムが加えら
れる。
【0016】酸化性ガスとしては、空気、酸素などが好
適に用いられる。また、上記酸化性ガスの吹き込みは、
中和率が0.7〜3.0で且つ反応温度が40℃以上、
望ましくは50〜100℃の範囲のときに行うと好適で
ある。中和率が0.7より低い場合には、結晶が生成し
にくく、粒子形状が不揃いになり、中和率が3.0より
高い場合には、不純物が生成しやすくなるためである。
また、温度が50℃より低い場合にも、結晶が生成しに
くく、粒子形状が不揃いになり、温度が100℃より高
い場合には、不純物を生成しやすくなるためである。
適に用いられる。また、上記酸化性ガスの吹き込みは、
中和率が0.7〜3.0で且つ反応温度が40℃以上、
望ましくは50〜100℃の範囲のときに行うと好適で
ある。中和率が0.7より低い場合には、結晶が生成し
にくく、粒子形状が不揃いになり、中和率が3.0より
高い場合には、不純物が生成しやすくなるためである。
また、温度が50℃より低い場合にも、結晶が生成しに
くく、粒子形状が不揃いになり、温度が100℃より高
い場合には、不純物を生成しやすくなるためである。
【0017】なお、上記酸化性ガスの吹き込み速度は、
反応槽、反応液量、反応液濃度等によって異なるが、例
えば10l反応槽において、反応液Fe濃度が0.2M
/lの場合0.1〜20l/min の範囲が好適である。
上記ガスの吹き込み速度が上記範囲に達しないと反応時
間がきわめて長時間となり、また上記範囲を超えると粒
子が細くなりすぎるためである。そして、この吹き込み
速度を適宜変化させることによっても、生成するNi−
Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁
性粉原料酸化物の寸法及び形状を変化させることができ
る。
反応槽、反応液量、反応液濃度等によって異なるが、例
えば10l反応槽において、反応液Fe濃度が0.2M
/lの場合0.1〜20l/min の範囲が好適である。
上記ガスの吹き込み速度が上記範囲に達しないと反応時
間がきわめて長時間となり、また上記範囲を超えると粒
子が細くなりすぎるためである。そして、この吹き込み
速度を適宜変化させることによっても、生成するNi−
Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁
性粉原料酸化物の寸法及び形状を変化させることができ
る。
【0018】本発明においてまた、上記Si、Ca、S
n、Ti、Cr、Co、Al、Mg及びBiの少なくと
も一以上を微量成分として含有させる場合は、それらの
水溶性化合物を、Fe2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+を含
む上記酸性水溶液に添加してこれに酸化性ガスを吹き込
んで酸化するか、或いは、上記混合溶液に酸化性ガスを
吹き込みながらこれに上記微量成分の水溶性化合物を含
む水溶液を滴下することにより、均一に含有させること
ができる。また、上記微量成分を粒子表面に均一に付着
させたい場合は、該微量成分の水溶性化合物を含む水溶
液を、酸化性ガスにて酸化処理した後の混合溶液に、上
記アルカリ溶液と共に滴下することができる。
n、Ti、Cr、Co、Al、Mg及びBiの少なくと
も一以上を微量成分として含有させる場合は、それらの
水溶性化合物を、Fe2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+を含
む上記酸性水溶液に添加してこれに酸化性ガスを吹き込
んで酸化するか、或いは、上記混合溶液に酸化性ガスを
吹き込みながらこれに上記微量成分の水溶性化合物を含
む水溶液を滴下することにより、均一に含有させること
ができる。また、上記微量成分を粒子表面に均一に付着
させたい場合は、該微量成分の水溶性化合物を含む水溶
液を、酸化性ガスにて酸化処理した後の混合溶液に、上
記アルカリ溶液と共に滴下することができる。
【0019】そして、酸化の終了したスラリー状の混合
溶液を、濾過、水洗及び乾燥することによって本発明に
係るNi−Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェ
ライト系磁性粉原料酸化物を得ることができる。
溶液を、濾過、水洗及び乾燥することによって本発明に
係るNi−Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェ
ライト系磁性粉原料酸化物を得ることができる。
【0020】更に、成形、焼成条件など後に続く工程の
条件のために、必要であれば上記方法で得られたNi−
Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁
性粉原料酸化物を、800℃以下、好ましくは300℃
〜800℃の温度範囲で焼成することにより、さらに組
成が均一で結晶性が良く、且つ粒度分布も狭いNi−Z
nフェライト系磁性粉を得ることができる。焼成温度が
300℃より低くなると反応が不完全であり、800℃
より高くなると焼結が進むためである。
条件のために、必要であれば上記方法で得られたNi−
Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁
性粉原料酸化物を、800℃以下、好ましくは300℃
〜800℃の温度範囲で焼成することにより、さらに組
成が均一で結晶性が良く、且つ粒度分布も狭いNi−Z
nフェライト系磁性粉を得ることができる。焼成温度が
300℃より低くなると反応が不完全であり、800℃
より高くなると焼結が進むためである。
【0021】このようにして得られたNi−Znフェラ
イト系磁性粉は、微細で、均一な組成、形状及び粒度を
有しているため、フェライト中のCu等の置換量が少な
い場合でも低温で焼結させること可能である。
イト系磁性粉は、微細で、均一な組成、形状及び粒度を
有しているため、フェライト中のCu等の置換量が少な
い場合でも低温で焼結させること可能である。
【0022】従って、例えば、積層型フェライトチップ
を作製する場合に、本発明に係るNi−Znフェライト
系磁性粉に、エチルセルロース、アルカリ樹脂等のバイ
ンダーと、テルピネオール、ブチルカルビトール等の溶
媒と混合してスラリーとして、これを誘導用ペーストと
積層し、800〜900℃で0.5〜10h焼成するこ
とにより、上記誘導ペースと層の劣化を抑えた高性能の
積層型フェライトチップとすることができる。
を作製する場合に、本発明に係るNi−Znフェライト
系磁性粉に、エチルセルロース、アルカリ樹脂等のバイ
ンダーと、テルピネオール、ブチルカルビトール等の溶
媒と混合してスラリーとして、これを誘導用ペーストと
積層し、800〜900℃で0.5〜10h焼成するこ
とにより、上記誘導ペースと層の劣化を抑えた高性能の
積層型フェライトチップとすることができる。
【0023】また、本発明に係るNi−Znフェライト
系磁性粉は、電子機器に使用されるトランスやコイル等
の他の磁性部品、特に高周波用材料や磁気ヘッド材料等
としてとして広く使用できることは勿論である。
系磁性粉は、電子機器に使用されるトランスやコイル等
の他の磁性部品、特に高周波用材料や磁気ヘッド材料等
としてとして広く使用できることは勿論である。
【0024】
【実施例】以下に、実施例を挙げ、本発明に係るNi−
Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁
性粉原料酸化物及びその製造方法を更に具体的に説明す
る。なお、本発明は、以下の実施例に限られるものでは
ない。先ず、12mol のNaOHを含む水溶液7リット
ルを反応槽中に入れ、70℃において攪拌しながら窒素
ガスで置換した。そして、これに、4mol の塩化第一
鉄、0.204mol の塩化ニッケル、1.020mol 塩
化第二銅、及び0.857mol の塩化亜鉛を含む70℃
の酸性水溶液3リットルを加えて良く攪拌し、混合溶液
とした(中和率=1.0)。
Znフェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁
性粉原料酸化物及びその製造方法を更に具体的に説明す
る。なお、本発明は、以下の実施例に限られるものでは
ない。先ず、12mol のNaOHを含む水溶液7リット
ルを反応槽中に入れ、70℃において攪拌しながら窒素
ガスで置換した。そして、これに、4mol の塩化第一
鉄、0.204mol の塩化ニッケル、1.020mol 塩
化第二銅、及び0.857mol の塩化亜鉛を含む70℃
の酸性水溶液3リットルを加えて良く攪拌し、混合溶液
とした(中和率=1.0)。
【0025】そして、酸化性ガスとして徐々に(10l
/min )空気を吹き込んで酸化し、1時間で反応を終了
した。この混合溶液を濾過、純水洗浄し、乾燥してNi
−Cu−Znフェライト磁性粉原料酸化物を得た。得ら
れたNi−Cu−Znフェライト磁性粉原料酸化物のT
EM写真を図1に、X線回折パターンを図2にそれぞれ
示す。
/min )空気を吹き込んで酸化し、1時間で反応を終了
した。この混合溶液を濾過、純水洗浄し、乾燥してNi
−Cu−Znフェライト磁性粉原料酸化物を得た。得ら
れたNi−Cu−Znフェライト磁性粉原料酸化物のT
EM写真を図1に、X線回折パターンを図2にそれぞれ
示す。
【0026】図1に示したように、本実施例により得ら
れたNi−Cu−Znフェライト磁性粉原料酸化物は、
その平均粒径が0.02〜0.05μmの範囲であり、
その形状が均一なものであることが確認された。また、
図2に示したように、同Ni−Cu−Znフェライト磁
性粉原料酸化物は、高い結晶性を有することが確認され
た。
れたNi−Cu−Znフェライト磁性粉原料酸化物は、
その平均粒径が0.02〜0.05μmの範囲であり、
その形状が均一なものであることが確認された。また、
図2に示したように、同Ni−Cu−Znフェライト磁
性粉原料酸化物は、高い結晶性を有することが確認され
た。
【0027】次に、このNi−Cu−Znフェライト磁
性粉原料酸化物を、空気雰囲気下700℃×1hrで焼
成し、フェライト系磁性粉を得た。得られたNi−Cu
−Znフェライト磁性粉のTEM写真を図3に示す。同
図に示したように、本実施例により得られたNi−Cu
−Znフェライト磁性粉は、その平均粒径は、0.02
〜0.05μmの範囲であり、その形状が均一であるこ
とが確認された。
性粉原料酸化物を、空気雰囲気下700℃×1hrで焼
成し、フェライト系磁性粉を得た。得られたNi−Cu
−Znフェライト磁性粉のTEM写真を図3に示す。同
図に示したように、本実施例により得られたNi−Cu
−Znフェライト磁性粉は、その平均粒径は、0.02
〜0.05μmの範囲であり、その形状が均一であるこ
とが確認された。
【0028】
【発明の効果】本発明に係るNi−Znフェライト系磁
性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物及び
その製造方法によれば、以下の効果を奏することができ
る。請求項1に記載のNi−Znフェライト系磁性粉又
はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物は、微細
で、均一な組成、形状及び粒度を有し、且つ高い結晶性
を有しているので、フェライト中のCu等の置換量が少
ない場合でも低温で焼結させること可能である。したが
って、優れた磁気特性を有する焼結体を得ることができ
る。
性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物及び
その製造方法によれば、以下の効果を奏することができ
る。請求項1に記載のNi−Znフェライト系磁性粉又
はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物は、微細
で、均一な組成、形状及び粒度を有し、且つ高い結晶性
を有しているので、フェライト中のCu等の置換量が少
ない場合でも低温で焼結させること可能である。したが
って、優れた磁気特性を有する焼結体を得ることができ
る。
【0029】請求項2に記載のNi−Znフェライト系
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物に
よれば、上記効果に加えて、含有する微量成分に応じた
構造・磁気特性を得ることができる。
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物に
よれば、上記効果に加えて、含有する微量成分に応じた
構造・磁気特性を得ることができる。
【0030】請求項3に記載のNi−Znフェライト系
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物の
製造方法によれば、従来のNi−Znフェライト系磁性
粉のように、仮焼、粉砕工程を必要としないため、製造
工程の簡略化を図ることが可能であり、さらに、製造工
程におけるCuO2 、ZnO2 等の不純物の混入を抑え
ることができる。
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物の
製造方法によれば、従来のNi−Znフェライト系磁性
粉のように、仮焼、粉砕工程を必要としないため、製造
工程の簡略化を図ることが可能であり、さらに、製造工
程におけるCuO2 、ZnO2 等の不純物の混入を抑え
ることができる。
【0031】請求項4に記載のNi−Znフェライト系
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物の
製造方法によれば、上記の効果に加えて、添加した微量
成分に応じた磁気特性を備えたNi−Znフェライト系
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物を
容易に得ることができる。
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物の
製造方法によれば、上記の効果に加えて、添加した微量
成分に応じた磁気特性を備えたNi−Znフェライト系
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物を
容易に得ることができる。
【0032】請求項5に記載のNi−Znフェライト系
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物の
製造方法によれば、上記の効果に加えて、必要な特性を
得るための微量成分を均一に添加することができる。
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物の
製造方法によれば、上記の効果に加えて、必要な特性を
得るための微量成分を均一に添加することができる。
【0033】請求項6に記載のNi−Znフェライト系
磁性粉の製造方法によれば、上記各効果に加えて、上記
効果を奏するNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物
を800℃以下で焼成するだけで、優れた磁気特性を備
えたNi−Znフェライト系磁性粉を容易に得ることが
できる。
磁性粉の製造方法によれば、上記各効果に加えて、上記
効果を奏するNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物
を800℃以下で焼成するだけで、優れた磁気特性を備
えたNi−Znフェライト系磁性粉を容易に得ることが
できる。
【図1】TEM観察による写真に基づく本発明に係るN
i−Znフェライト系磁性粉原料酸化物の構造を示す図
である。
i−Znフェライト系磁性粉原料酸化物の構造を示す図
である。
【図2】同Ni−Znフェライト系磁性粉原料酸化物の
X線回折パターンを示す図である。
X線回折パターンを示す図である。
【図3】TEM観察による写真に基づく本発明に係るN
i−Znフェライト系磁性粉の構造を示す図である。
i−Znフェライト系磁性粉の構造を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 功 群馬県渋川市金井425番地関東電化工業株 式会社研究開発センター内 (72)発明者 鈴木 明 群馬県渋川市金井425番地関東電化工業株 式会社研究開発センター内
Claims (6)
- 【請求項1】 単一酸化物換算で1〜30mol%の酸化銅
を含み、粒径が0.2μm以下で粒度分布が狭く、かつ
結晶性であることを特徴とするNi−Znフェライト系
磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物。 - 【請求項2】 微量成分としてSi、Ca、Sn、T
i、Cr、Co、Al、Mg、及びBiの少なくとも一
以上を含むことを特徴とする請求項1記載のNi−Zn
フェライト系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉
原料酸化物。 - 【請求項3】 Fe2+、Ni2+、Cu2+、及びZn2+を
含む酸性水溶液とアルカリ水溶液を混合して混合溶液と
し、この混合溶液を攪拌しながら該混合溶液に酸化性ガ
スを吹き込むことにより微細粒子を生成させることを特
徴とするNi−Znフェライト系磁性粉又はNi−Zn
フェライト系磁性粉原料酸化物の製造方法。 - 【請求項4】 上記酸化性ガスの吹き込みを、中和率が
0.7〜3.0及び温度が50〜100℃の範囲にて行
うことを特徴とする請求項3記載のNi−Znフェライ
ト系磁性粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化
物の製造方法。 - 【請求項5】 上記混合溶液に、上記酸性水溶液と共
に、Si、Ca、Sn、Ti、Cr、Co、Al、M
g、及びBiの少なくとも一以上の水溶性化合物を含ま
せるか、または、上記混合溶液に酸化性ガスを吹き込み
ながら上記水溶性化合物を含む水溶液を滴下することを
特徴とする請求項3記載のNi−Znフェライト系磁性
粉又はNi−Znフェライト系磁性粉原料酸化物の製造
方法。 - 【請求項6】 上記Ni−Znフェライト系磁性粉又は
Ni−Znフェライト系磁性粉原料酸化物を、さらに8
00℃以下で焼成することを特徴とする請求項3〜5の
いずれかに記載のNi−Znフェライト系磁性粉の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6137363A JPH082922A (ja) | 1994-06-20 | 1994-06-20 | フェライト系磁性粉又はフェライト系磁性粉原料酸化物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6137363A JPH082922A (ja) | 1994-06-20 | 1994-06-20 | フェライト系磁性粉又はフェライト系磁性粉原料酸化物及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH082922A true JPH082922A (ja) | 1996-01-09 |
Family
ID=15196929
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6137363A Pending JPH082922A (ja) | 1994-06-20 | 1994-06-20 | フェライト系磁性粉又はフェライト系磁性粉原料酸化物及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH082922A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002128523A (ja) * | 2000-10-17 | 2002-05-09 | Rikogaku Shinkokai | フェライト微粒子の製造方法 |
-
1994
- 1994-06-20 JP JP6137363A patent/JPH082922A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002128523A (ja) * | 2000-10-17 | 2002-05-09 | Rikogaku Shinkokai | フェライト微粒子の製造方法 |
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