JP3405455B2 - 車両用スロープ装置 - Google Patents

車両用スロープ装置

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JP3405455B2 JP2000205274A JP2000205274A JP3405455B2 JP 3405455 B2 JP3405455 B2 JP 3405455B2 JP 2000205274 A JP2000205274 A JP 2000205274A JP 2000205274 A JP2000205274 A JP 2000205274A JP 3405455 B2 JP3405455 B2 JP 3405455B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両の床面と車両
外の歩道や車道等の路面との間に掛け渡されるスロープ
板を床下に格納できるスロープ装置に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】一般的に市内の路線バス等の車両では、
車両の床面が車外の歩道と比較して高い位置に設定され
ている。このためこのような車両の乗降口には1段又は
2段以上のステップが設けられている。このステップを
利用して乗降することにより乗客等の乗降時の安全性を
確保できるようになっている。しかし、乗客の中にはス
テップを有効に利用できない、いわゆる車椅子を使用し
ている乗客もある。このような車椅子使用者には介添人
がバスへの乗降をさせる必要があり、介添人がいない場
合には車椅子使用者はバスを利用できない問題点があっ
た。 【0003】この点を解消するために、乗降口の床下か
ら引出されたスロープ板の先端を路面に接地させること
によりスロープ板が床面及び路面間に掛け渡され、スロ
ープ板と床面との間の隙間が渡し板により塞がれるよう
に構成された車両用スロープ装置が開示されている(特
開平10−6862号)。この車両用スロープ板では、
渡し板の基端がスロープ板の格納基端にヒンジを介して
枢着され、先端がスロープ板の引出し先端側に向くよう
にスロープ板上に沿って格納される。またスロープ板を
格納するハウジングと渡し板との間には移動制御手段が
設けられ、この移動制御手段はハウジングに設けられス
ロープ板の引出し時に渡し板を途中まで回転させるカム
と、渡し板に設けられカムにより途中まで回転した渡し
板を更に引出し位置まで回転させる当接板とを有する。
渡し板の先端にはカム上を摺動する摺動子が設けられ
る。更にハウジングにはスロープ板を出入れするための
開口が形成され、この開口は開閉カバーにより開放可能
に閉止される。このように構成された車両用スロープ装
置では、スロープ板を引出すと、この引出し動作に連動
して渡し板が格納位置から引出し位置に自動的に回転移
動し、スロープ板を押込むと、この押込み動作に連動し
て渡し板が引出し位置から格納位置に自動的に回転移動
するので、乗務員等はスロープ板の出入れ作業だけを行
うだけで済む。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の特
開平10−6862号公報に示された車両用スロープ装
置では、渡し板に摺動子や当接部材を取付け、ハウジン
グにカムを取付け、更にハウジングの開口に開閉カバー
を取付けなければならず、部品点数及び組付工数が増大
する不具合があった。また、上記従来の車両用スロープ
装置では、開閉カバーを閉じていない状態でも、乗降口
を開閉する乗降扉を閉じることが可能であるため、開放
された開閉カバーが乗客の乗降に支障を来すおそれがあ
った。本発明の目的は、鉛直板の通孔を開放可能に閉止
する開閉蓋により、スロープ板の突出時におけるスロー
プ板及び床面間の隙間を塞ぐことができ、これにより車
椅子が床面とスロープ板との間をスムーズに移動でき、
しかも部品点数及び組付工数を増大させずに済む、車両
用スロープ装置を提供することにある。本発明の別の目
的は、開閉蓋の開放時に乗降扉を閉止不能にし、開閉蓋
の閉止時にスロープ板を突出不能にするとともに乗降扉
を閉止可能にすることにより、開閉蓋が一般の乗客の乗
降に支障を来すのを防止できる、車両用スロープ装置を
提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
図1及び図4に示すように、車両10の乗降口10bに
車両10の床10a面より下方に設けられたステップ1
3と、ステップ13の奥縁部と床10aの側縁部を連結
しかつ通孔14aが形成された鉛直板14と、床下に床
面とほぼ平行に設けられたレール16,17と、レール
16,17に沿って往復動可能な移動体18と、基端部
が移動体18に枢着され通孔14aから乗降口10bを
通って車両外方に突出し突出状態で先端部が路面に接地
可能に構成されたスロープ板12と、上縁部が床10a
の側縁部に枢着され通孔14aを開放可能に閉止する開
閉蓋56と、移動体18をレール16,17に沿って往
復動させる駆動手段19と、乗降口10bを開閉する乗
降扉10eと、開閉蓋56の開閉を検出する開閉蓋セン
サ68と、開閉蓋センサ68の検出出力に基づいて駆動
手段19及び乗降扉10eを制御するコントローラ76
を備えた車両用スロープ装置であって、スロープ板1
2が通孔14aから乗降口10bを通って車両外方に突
出したときに、開閉蓋56が床10aの側縁部からスロ
ープ板12の基端部に架設されるように構成されたこと
を特徴とする。 【0006】この請求項1に記載された車両用スロープ
装置では、開閉蓋56を開いた後に、スロープ板12を
移動体18とともに通孔14aから突出させると、スロ
ープ板12はその先端部が下降して傾斜し、車両10の
床面と路面との間に掛け渡される。この状態で開閉蓋5
6を床10aの側縁部からスロープ板12の基端部に架
設することにより、スロープ板12及び床面間の隙間を
塞ぐことができるので、車椅子使用者はスロープ板12
及び開閉蓋56を利用して車両10にスムーズに乗降す
ることができる。 【0007】またコントローラ76は開閉蓋56の開放
時には開閉蓋センサ68の検出出力に基づいて乗降扉1
0eを閉止不能にする。一方、コントローラ76は開閉
蓋56の閉止時には駆動手段19を制御してスロープ板
12を突出不能にするとともに、乗降扉10eを閉止可
能にする。これにより開閉蓋56の開放状態で車両10
が走行するという事態が生じないので、開閉蓋56が一
般の乗客の乗降に支障を来すのを防止できる。 【0008】 【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
基づいて説明する。図1〜図4に示すように、本実施の
形態では車両10は路線バスであり、このバス10の床
10a下には乗降口10bを通って床面及び路面間に掛
け渡されるスロープ板12を有するスロープ装置11が
設けられる。このバス10の乗降口10bには乗客の乗
降を容易にするためのステップ13が一段設けられる
(図1及び図3)。このステップ13は床面より下方に
設けられる、具体的には床面と路面のほぼ中間の高さに
設置される。このステップ13の奥縁部と床10aの側
縁部とは鉛直板14により連結され、スロープ板12は
この鉛直板14に形成された通孔14aから突出可能に
床下に格納される(図3)。なお、車両として路線バス
ではなく、身体障害者施設や老人ホーム等の各種施設へ
の送迎バス、ワンボックス車又はその他の車両でもよ
い。 【0009】スロープ装置11は上記ステップ13及び
鉛直板14(図1)と、床下に床面とほぼ平行に設けら
れた一対のレール16,17(図4)と、これらのレー
ル16,17に沿って往復動可能な移動体18と、基端
部が移動体18に枢着された上記スロープ板12とを備
える(図1〜図4)。一対のレール16,17は所定の
間隔をあけて車幅方向に延びて設けられたチャンネル状
の一対の第1レール16a,17aと、これらの第1レ
ール16a,17aにそれぞれ収容されかつ横断面が第
1レール16a,17aより一回り小さいチャンネル状
の一対の第2レール16b,17bとを有する(図
4)。移動体18は一対のレール16,17の間に架設
された基板18aと、この基板18aの両端に固着され
車幅方向に延びる一対の基板保持部18b,18bとを
有する(図2)。一対の基板保持部18b,18bの外
側面には第2レール16b,17b内を転動する複数の
第1ローラ21が回転可能に取付けられる(図2、図4
及び図9)。 【0010】上記移動体18は駆動手段19により駆動
され一対のレール16,17に沿って往復動するように
構成される。この駆動手段19は一対のレール16,1
7間のほぼ中央に車幅方向に延びて設けられたねじ棒1
9aと、基板18aの下面に取付けられ上記ねじ棒19
aに鋼球(図示せず)を介して螺合するナット19b
と、ねじ棒19aを回転させる減速機が内蔵されたスロ
ープ板駆動モータ19cとを有する(図2)。ねじ棒1
9aは一対の第1レール16a,17a下面に掛け渡さ
れた底板28上に一対の軸受29,30を介して回転可
能に取付けられ、スロープ板駆動モータ19cは一方の
軸受29近傍の底板28上に取付けられる。図2の符号
34,35及び36はモータ19cの発生した回転力を
その回転速度を上げてねじ棒19aに伝達する歯車であ
る。またねじ棒19aの基端部、即ち一方の軸受29に
近い端部には操作ハンドル33の係止可能な四角柱状の
係止部19dが形成される。この操作ハンドル33はス
ロープ板駆動モータ19cが故障したときに、乗降口1
0bとは反対側のバス側面に設けられたリッド10d
(図3)を跳上げて係止部19dに係止し、手動でねじ
棒19aを回転させてスロープ板を突出又は格納するた
めに用いられる(図2及び図3)。更に上記モータ19
cはその出力軸を回転させると発電機として機能する、
即ち外部からモータ19cの出力軸を回転させるとその
回転を阻止する方向に電磁力が作用するモータブレーキ
として機能する。 【0011】移動体18とスロープ板12との間には一
対の支持アーム26,27が介装される。一対の支持ア
ーム26,27はこれらのほぼ中央部が第1ピン31を
介して一対の基板保持部18b,18bの乗降口側の端
部にそれぞれ枢着される(図2及び図10)。また一対
の支持アーム26,27の先端部は乗降口10bに向っ
て車幅方向にそれぞれ延びて設けられ、基端部は乗降口
10bとは反対側に向って延びかつ互いに近付く方向に
折曲してそれぞれ設けられる(図2)。支持アーム2
6,27の先端部外側には第1カムフォロア41が回転
可能に取付けられ(図2及び図11)、支持アーム2
6,27の基端部内側には第2カムフォロア42が回転
可能に取付けられる(図2及び図5〜図8)。また一対
の支持アーム26,27の先端部間には受け板37が架
設され、この受け板37を介してスロープ板12の基端
部が支持アーム26,27に固定される(図2、図3及
び図5〜図8)。スロープ板12は両側縁に一対のフラ
ンジ12a,12aを有する横断面略逆ハット状に形成
され、乗降口10bからバス外方に突出しかつこの突出
状態で先端部が路面に接地可能に構成される(図1、図
2及び図11〜図13)。 【0012】一対の第2レール16b,17bの乗降口
側の端部には一対の第1ガイド部材51が第2レール1
6b,17bの長手方向に乗降口10bに向って突設さ
れ、上記第1ガイド部材51はスロープ板12がバス外
方に突出したときにスロープ板12の先端部が下降して
傾斜するように第1カムフォロア41を案内する(図5
〜図8)。また一対のレール16,17の乗降口側の端
部近傍の車体、即ち一対の第1レール16a,17b上
面に架設された一対の架設部材43,44下面にはレー
ル16,17と平行に一対の第2ガイド部材52が取付
けられ、上記第2ガイド部材52はスロープ板12がバ
ス外方に突出したときにスロープ板12の先端部が下降
して傾斜するように第2カムフォロア42を案内する
(図5〜図8)。第1ガイド部材51は乗降口10bに
向うに従って下方に傾斜する傾斜部51aを有し、第2
ガイド部材52は水平部52aと、乗降口10bに向う
に従って上方に緩やかに傾斜する第1傾斜部52bと、
乗降口10bに向うに従って上方に比較的急激に傾斜す
る第2傾斜部52cとを有する。なお、第1カムフォロ
ア41は第2レール17b内に位置するときには第2レ
ール17b内を転動するように構成される(図5)。 【0013】一対の支持アーム26,27と一対の基板
保持部18b,18bとの間には一対の圧縮コイルばね
46,46がそれぞれ介装される(図2及び図5〜図
8)。上記圧縮コイルばね46にはロッド47が遊挿さ
れ、このロッド47の一端にはプレート48が固着され
る。このプレート48は支持アーム27のほぼ中央部に
第1ピン31から所定の間隔をあけた上方に第2ピン3
2を介して枢着される(図10)。またロッド47は基
板保持部18bに固着された角板状のロッドガイド49
に摺動可能に挿通され、ロッド47の他端にはばね受け
部材53を介して2個のロックナット54,54が螺合
される(図2及び図5〜図8)。上記圧縮コイルばね4
6はロッドガイド49とばね受け部材53との間に介装
され、スロープ板12の突出時にスロープ板12の先端
部の急激な下降を阻止するように構成される。即ち、ス
ロープ板12が突出したときのスロープ板12の自重に
よるモーメントは上記圧縮コイルばね46の弾性力によ
りモーメントより僅かに大きく設定される。なお、弾性
体として圧縮コイルばねではなく、引張りコイルばね、
板ばね、ラバー又はその他の弾性体を用いてもよい。 【0014】床10aの側縁部には開閉蓋56の上縁部
が枢着され、この開閉蓋56により鉛直板14に形成さ
れた通孔14aが開放可能に閉止される(図1、図3及
び図5〜図8)。なお、図1の符号57及び58は通孔
14aの両側部をそれぞれ開放可能に閉止する一対の観
音扉である。また一対のレール16,17の間の底板2
8上には車幅方向に延びる第1フラットバー61が固定
され、基板18aの下面には上記第1フラットバー61
の両側縁を転動する複数の第2ローラ22がローラブラ
ケット63を介して回転可能に取付けられる(図2及び
図4)。上記複数の第2ローラ22にて第1フラットバ
ー61を挟むことにより、移動体18の幅方向へのがた
つきが防止されるようになっている。また底板28には
スロープ板12を床下に格納した状態で固定するロック
手段64が設けられる(図2)。ロック手段64は基板
18a下面に固着されたアングル状のストッパ65と、
底板28上に摺動可能に取付けられ側面に多数の歯が形
成されたロックピン66と、上記歯に噛合するピニオン
が出力軸67aの先端部に形成されたロックピン駆動モ
ータ67とを有する。上記ロックピン66はラックであ
り、突出してストッパ65に係止することによりスロー
プ板12のバス外方への突出を阻止するロック位置と、
引込んでストッパ65への係止が解除されることにより
スロープ板12のバス外方への突出を許容する非ロック
位置とを往復動するように構成される。 【0015】スロープ板12の一対のフランジ12a,
12a下面には複数の第3ローラ23及び複数の第4ロ
ーラ24が所定の間隔をあけて回転可能に取付けられる
(図2、図12及び図13)。複数の第3ローラ23は
第2レール17b上方の第1レール17a内面に固着さ
れた第2フラットバー62側面を転動し(図12)、複
数の第4ローラ24は第2レール17b上面を転動する
(図13)。上記第3ローラ23によりスロープ板12
の幅方向へのがたつきが阻止され、上記第4ローラ24
によりスロープ板12の往復動時の移動抵抗が低減され
る。 【0016】鉛直板14の下部には開閉蓋56の開閉を
検出する開閉蓋センサ68が設けられ(図5及び図1
4)、底板28上には移動体18の位置を検出すること
によりスロープ板12の出入りを検出する一対のスロー
プ板出入センサ69が設けられる(図2及び図14)。
またロックピン66の位置は一対のロックピン出入セン
サ71により検出され(図2及び図14)、乗降口10
bを開閉する乗降扉10e(図3)の開閉は乗降扉セン
サ72により検出される(図14)。バス10の乗降口
10b近傍の側面に設けられたスイッチ収容部10c
(図1)にはスロープ板駆動モータ19cを正転、逆転
又は停止に切換えるスロープ板操作スイッチ73が収容
され(図14)、バスの運転席(図示せず)には上記ス
ロープ板操作スイッチ73を使用可能状態又は使用不能
状態に切換える運転席側スロープ板スイッチ74が設け
られる(図14)。上記開閉蓋センサ68、スロープ板
出入センサ69、ロックピン出入センサ71及び乗降扉
センサ72はリミットスイッチにより構成される。更に
開閉蓋センサ68、スロープ板出入センサ69、ロック
ピン出入センサ71、乗降扉センサ72、スロープ板操
作スイッチ73及び運転席側スロープ板スイッチ74の
各検出出力はコントローラ76の制御入力に接続され、
コントローラ76の制御出力はスロープ板駆動モータ1
9c、ロックピン駆動モータ67及び乗降扉10eにそ
れぞれ接続される(図14)。なお、図2及び図4の符
号77は第2ローラ22の一方の側面に設けられたテー
パ付プレートであり、このプレート77にスロープ板出
入センサ69が当接又は離間することによりスロープ板
12及び移動体18の位置が検出されるように構成され
る。また運転席にはスロープ板駆動モータ19cの故障
時にオフ操作することにより、スロープ板駆動モータ1
9cへの電圧の印加を完全に遮断してこのモータ19c
の発電機(モータブレーキ)としての機能を失わせる常
閉の非常スイッチ75(図14)が設けられる。 【0017】このように構成されたバス用スロープ装置
の使用方法を説明する。路線バス10の運転者は走行中
に車椅子使用者が停留所にいることを視認すると、その
停留所でバス10を停止し、乗降扉10eを開いた後
に、運転席に設けられた運転席側スロープ板スイッチ7
4をオンし、更に開閉蓋57を跳上げて一対の観音扉5
7,58を開く。コントローラ76は乗降扉センサ7
2、運転席側スロープ板スイッチ74及び開閉蓋センサ
68の各検出出力に基づいて、ロックピン駆動モータ6
7を駆動しロックピン66をロック位置から非ロック位
置に引込めるとともに、スロープ板操作スイッチ73を
使用可能状態に切換える。これにより運転者がスロープ
板操作スイッチ73を操作すると、スロープ板駆動モー
タ19cを正転する。スロープ板駆動モータ19cの正
転によりねじ棒19aが正転し、ナット19bがねじ棒
19aに沿って乗降口側に移動するので、移動体18、
支持アーム26,27及びスロープ板12も乗降口側に
移動する。このとき第1ローラ21及び第1カムフォロ
ア41は第1レール16a,17a内を転動し、第2ロ
ーラ22は第1フラットバー61の両側面を転動する。
また第3ローラ23は第2フラットバー62側面を転動
し、第4ローラ24は第2レール16b,17b上面を
転動する。この結果、移動体18、支持アーム26,2
7及びスロープ板12はスムーズに移動する。 【0018】スロープ板12が乗降口10bからバス外
方に突出して、第1カムフォロア41が第1ガイド部材
51の傾斜部51a上を転動し始めると、スロープ板1
2の先端が下降し、スロープ板12が支持アーム26,
27とともにバス外方に向うに従って下方に傾斜するた
め、第2カムフォロア42が第2ガイド部材52の水平
部52a下面に当接する(図6)。この状態でスロープ
板12がバス外方に移動すると、第1カムフォロア41
が傾斜部51aから離れ、第2カムフォロア42が水平
部52aを転動するので、スロープ板12及び支持アー
ム26,27は所定の緩い傾斜角に保たれる。第2カム
フォロア42が第1傾斜部52b下面を転動し始める
と、スロープ板12の先端が下降してスロープ板12及
び支持アーム26,27の傾斜角が大きくなり(図
7)、第2カムフォロア42が第2傾斜部52c下面を
転動し始めると、スロープ板12の先端が更に下降して
スロープ板12及び支持アーム26,27の傾斜角が更
に大きくなる(図8)。このため、スロープ板12の先
端が歩道(路面)に接地して、スロープ板12がバス1
0の床面と歩道との間に掛け渡される。この状態で開閉
蓋56を図8の実線矢印の方向に回転させると、開閉蓋
56が床10aの側縁部からスロープ板12の基端部に
架設され、スロープ板12及び床面間の隙間が塞がれ
る。この結果、運転者又は付添人が車椅子(車椅子使用
者を車椅子に乗せたまま)を押してスロープ板12及び
開閉蓋56を昇ることにより、車椅子使用者をスムーズ
にバスに乗せることができる。 【0019】車椅子使用者の乗車が完了すると、運転者
は開閉蓋56を跳上げた後に、スロープ板操作スイッチ
73を操作してスロープ板駆動モータ19cを逆転させ
る。スロープ板駆動モータ19cの逆転によりねじ棒1
9aが逆転し、ナット19bがねじ棒19aに沿って反
乗降口側に移動するので、移動体18、支持アーム2
6,27及びスロープ板12も反乗降口側に移動する。
このとき第2カムフォロア42が第2傾斜部52c及び
第1傾斜部52b下面を転動し更に水平部52a下面を
転動する間に、スロープ板12の傾斜角が次第に緩やか
になる。第1カムフォロア41が傾斜部51aに当接し
てこの傾斜部51a上を転動し始めると、第2カムフォ
ロア42は水平部52a下面から離れ、第1カムフォロ
ア41が第2レール16b,17b内を転動し始める
と、スロープ板12は水平になって、スロープ板12が
床下に格納される。この状態、即ち観音扉57,58及
び開閉蓋56を開いた状態で運転者が乗降扉10eを閉
じようとしても、コントローラ76は開閉蓋センサ68
の検出出力に基づいて乗降扉10eを閉止不能にする。
この結果、観音扉57,58及び開閉蓋56の開放状態
でバス10が走行するという事態が生じないので、開閉
蓋56が一般の乗客の乗降に支障を来すのを防止でき
る。 【0020】運転者が一対の観音扉57,58を閉じた
後に開閉蓋56を閉じると、コントローラ76はロック
ピン駆動モータ67によりロックピン66をロック位置
に突出させてストッパ65に係止させる。更に運転者が
運転席に戻って運転席側スロープ板スイッチ74をオフ
して乗降扉10eを閉じれば、バス10を発進させるこ
とができる。バス10に乗った車椅子使用者を別の停留
所で降ろすときには、上記とほぼ同様の作業で行なわれ
る。このように比較的軽作業で短時間に車椅子をその使
用者ごとバス10に乗降させることができる。 【0021】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ス
テップの奥縁部と床の側縁部を連結する鉛直板に通孔を
形成し、床下のレールに沿って往復動する移動体にスロ
ープ板の基端部を枢着し、更に床の側縁部に開閉蓋の上
縁部を枢着したので、開閉蓋を開いた後に、スロープ板
を移動体とともに通孔から突出させると、スロープ板は
その先端部が下降して傾斜し、車両の床面と路面との間
に掛け渡される。この状態で開閉蓋を床の側縁部からス
ロープ板の基端部に架設することにより、スロープ板及
び床面間の隙間を塞ぐことができるので、車椅子使用者
はスロープ板及び開閉蓋を利用して車両にスムーズに乗
降することができる。また開閉蓋がスロープ板の突出時
におけるスロープ板及び床面間の隙間を塞ぐ部材を兼ね
るので、部品点数及び組付工数を増大させずに済む。更
に開閉蓋の開閉を検出する開閉蓋センサの検出出力に基
づいて、移動体をレールに沿って往復動させる駆動手段
と乗降口を開閉する乗降扉とをコントローラが制御すれ
ば、コントローラは開閉蓋の開放時に乗降扉を閉止不能
にし、開閉蓋の閉止時にスロープ板を突出不能にすると
ともに乗降扉を閉止可能にする。この結果、開閉蓋の開
放状態で車両が走行するという事態が生じないので、開
閉蓋が一般の乗客の乗降に支障を来すのを防止できる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明実施形態車両用スロープ装置のスロープ
板を車両外方に突出させて床面と路面との間に掛渡され
た状態を示す要部斜視図。 【図2】そのスロープ装置を示す要部分解斜視図。 【図3】図4のA−A線断面図。 【図4】図3のB−B線断面図。 【図5】図4のC−C線断面図。 【図6】第1カムフォロアが第1ガイド板の傾斜部を転
動し、かつ第2カムフォロアが第2ガイド板の水平部を
転動している状態を示す図5に対応する断面図。 【図7】第2カムフォロアが第2ガイド板の第1傾斜部
を転動している状態を示す図5に対応する断面図。 【図8】第2カムフォロアが第2ガイド板の第2傾斜部
を転動している状態を示す図5に対応する断面図。 【図9】図5のD−D線断面図。 【図10】図5のE−E線断面図。 【図11】図5のF−F線断面図。 【図12】図5のG−G線断面図。 【図13】図5のH−H線断面図。 【図14】コントローラによる各センサ等の検出出力に
基づくスロープ板駆動モータ等の制御を示すブロック線
図。 【符号の説明】 10 バス 10a 床 10b 乗降口 10e 乗降扉 11 スロープ装置 12 スロープ板 13 ステップ 14 鉛直板 14a 通孔 16,17 レール 18 移動体 19 駆動手段 56 開閉蓋 68 開閉蓋センサ 76 コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波瀬 隆 愛知県名古屋市西区上小田井2丁目315 番地 トーシンテック株式会社内 (72)発明者 佐橋 万由 愛知県名古屋市西区上小田井2丁目315 番地 トーシンテック株式会社内 (56)参考文献 特開2000−177490(JP,A) 実開 平3−129531(JP,U) 実用新案登録2582601(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 3/02 B62D 31/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 車両(10)の乗降口(10b)に前記車両(10)
    の床(10a)面より下方に設けられたステップ(13)と、 前記ステップ(13)の奥縁部と前記床(10a)の側縁部を連
    結しかつ通孔(14a)が形成された鉛直板(14)と、 前記床下に前記床面とほぼ平行に設けられたレール(16,
    17)と、 前記レール(16,17)に沿って往復動可能な移動体(18)
    と、 基端部が前記移動体(18)に枢着され前記通孔(14a)から
    前記乗降口(10b)を通って前記車両外方に突出し突出状
    態で先端部が路面に接地可能に構成されたスロープ板(1
    2)と、 上縁部が前記床(10a)の側縁部に枢着され前記通孔(14a)
    を開放可能に閉止する開閉蓋(56)と 前記移動体(18)を前記レール(16,17)に沿って往復動さ
    せる駆動手段(19)と、 前記乗降口(10b)を開閉する乗降扉(10e)と、 前記開閉蓋(56)の開閉を検出する開閉蓋センサ(68)と、 前記開閉蓋センサ(68)の検出出力に基づいて前記駆動手
    段(19)及び前記乗降扉(10e)を制御するコントローラ(7
    6)と を備えた車両用スロープ装置であって、 前記スロープ板(12)が前記通孔(14a)から前記乗降口(10
    b)を通って前記車両外方に突出したときに、前記開閉蓋
    (56)が前記床(10a)の側縁部から前記スロープ板(12)の
    基端部に架設されるように構成されたことを特徴とする
    車両用スロープ装置。
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