JP3402946B2 - フューエルタンクにおけるサブタンクの取付け構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本願発明は、フューエルタン
クにおけるサブタンクの取付け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、フューエルタンクの底面には
サブタンクが取り付けられている。上記構造のフューエ
ルタンクは、上記サブタンクから燃料を汲み上げること
により、車両が傾いた場合等にもエンジンへの燃料の供
給が途切れることがないように構成されている。

【０００３】ところが、従来は、上記サブタンクは、上
記フューエルタンクの底面にスポット溶接により直接取
り付けられていた。このような取付け方法においては、
上記フューエルタンクの底面の曲げ剛性と上記サブタン
クの底面の曲げ剛性とが異なる場合に、上記フューエル
タンクの底面が車両の上下振動等に起因して振動し、変
形したときに、上記フューエルタンクの底面および上記
サブタンクの底面の変形の程度が異なってしまい、上記
スポット溶接した部分に応力が集中してしまうという不
具合が生じる。また、燃料の流動に起因して、上記サブ
タンクの側面に負荷がかかり、これまた上記スポット溶
接した部分に応力が集中してしまうという問題が生じ
る。

【０００４】図５に示すように、従来より上記不具合を
解決するためのサブタンクの取付け構造として、上記サ
ブタンク２の底面積よりも大の薄状金属平板のサポート
部材３を上記フューエルタンク１の底面と上記サブタン
ク２の底面との間にスポット溶接により介装することが
提案されている。上記構造は、上記サポート部材３の中
間部に上記サブタンク２をスポット溶接（スポット溶接
を施した部分を図中に符号Ａで示している）によって取
付け、上記サポート部材３の両端部をスポット溶接（ス
ポット溶接を施した部分を図中に符号Ｂで示している）
により上記フューエルタンク１に取り付けるものであ
る。上記サポート部材３としては、その曲げ剛性が上記
フューエルタンク１の底面と上記サブタンク２の底面の
略中間のものが用いられる。

【０００５】このようなサブタンクの取付け構造は、上
記フューエルタンク１の底面が車両の上下振動等に起因
して振動し、変形した場合に、その変形の程度が上記フ
ューエルタンク１の底面と上記サブタンク２の底面の略
中間である上記サポート部材３を介在させることによ
り、スポット溶接した部分ＡおよびＢに集中する応力を
軽減しようとするものである。また、燃料の流動に起因
して上記サブタンク２の側面にかかる負荷に対しては、
上記サポート部材３の底面積を上記サブタンク２の底面
積よりも大にし、各々の上記スポット溶接した部分Ｂの
部分のピッチを拡大することにより対応している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなサブタンクの取付け構造においては、燃料の流動
に起因して上記サブタンク２の側面にかかる負荷に対し
ては、上記サポート部材３の底面積を上記サブタンク２
の底面積よりも大にし、各々の上記スポット溶接した部
分Ｂの部分のピッチを拡大することにより対応している
ので、上記スポット溶接した部分Ｂに集中する応力が低
減されるが、上記スポット溶接した部分Ａに応力が集中
することとなり、上記スポット溶接した部分Ａの疲労が
蓄積され、上記スポット溶接した部分Ａが疲労破壊を起
こしてしまう。また、上記サポート部材３の面積を大き
くすればするほど上記スポット溶接した部分Ｂに集中す
る応力は低減するものの、これに伴いサポート部材３の
コスト上昇を招来してしまう。

【０００７】本願発明は、上記した事情のもとで考え出
されたものであって、サブタンクとフューエルタンクの
連結部分に過大な応力が集中することがなくサブタンク
を取り付けることができる、フューエルタンクにおける
サブタンクの取付け構造を提供することをその課題とす
る。

【０００８】

【発明の開示】上記の課題を解決するため、本願発明で
は、次の技術的手段を講じている。

【０００９】すなわち、本願発明に係るフューエルタン
クにおけるサブタンクの取付け構造は、フューエルタン
クの底面に板状サポート部材を介してサブタンクを取り
付ける構造であって、上記サポート部材は、曲げ剛性の
高い中間部と、この中間部より曲げ剛性が低い両端部と
を備えており、上記サポート部材は、その両端部におい
てフューエルタンクの底面に連結されているとともに、
上記サブタンクは、上記サポート部材の中間部に対して
連結されていることを特徴としている。

【００１０】上記構成のフューエルタンクにおけるサブ
タンクの取付け構造は、車両の上下振動等に起因して生
じる上記フューエルタンクの底面の振動に対しては、上
記サポート部材の端部の剛性が低められていることが有
効に作用し、スポット溶接による連結部の応力集中を回
避する。

【００１１】すなわち、上記サポート部材の端部の曲げ
剛性を低くしたことにより、上記フューエルタンクの底
面が振動した場合に、上記端部をフューエルタンクの底
面の変位に容易に追従させてこのサポート部材とフュー
エルタンクとの間のスポット溶接等による連結部への応
力集中を回避し、また、上記中間部の曲げ剛性を高くし
たことにより、サポート部材の端部の撓みの影響がこの
サポート部材とサブタンクとの間のスポット溶接等によ
る連結部に伝達されることを回避し、この連結部への応
力集中を低減することができる。

【００１２】なお、上記サブタンクの上記サポート部材
に対する取付けおよび上記サポート部材の上記フューエ
ルタンクの底面に対する取付けは、上記各部材の連結部
分が金属の場合にはスポット溶接により、上記各部材の
連結部分が樹脂の場合には、接着剤や融着等の手段によ
り行われる。

【００１３】好ましくは、上記サポート部材の中間部
は、その幅方向両側縁に起立壁を折曲形成することによ
り曲げ剛性が高められており、さらに曲げ剛性を高める
ために、上記起立壁の端部を折曲形成してもよい。

【００１４】このようなサポート部材は、金属の場合に
は金属薄板をプレス加工することにより容易に形成可能
であり、また、樹脂の場合には金型を用いて一体成形に
よって容易に形成することができるのである。また、上
記サポート部材の起立壁の高さを調整することにより所
望の部位に所望の曲げ剛性を有する上記サポート部材を
形成することが可能である。このことにより、上記サポ
ート部材の厚みを薄くすることができ、上記サポート部
材のコスト低減が可能となる。更に、上記サポート部材
の端部から中間部に向かって上記起立壁の高さを段階的
に変化させることにより、上記サポート部材の端部と中
間部の間に端部の曲げ剛性の値から中間部の曲げ剛性の
値に段階的に変移する部位を形成することができる。

【００１５】なお、上記フューエルタンクの底面に上記
サブタンクの底面積より大の落とし込みを形成し、上記
フューエルタンクの底面の曲げ剛性を高めることも可能
であり、上記フューエルタンクの底面の撓み振動を低減
し、フューエルタンクとサポート部材との間の連結部へ
の応力集中を低減することができる。また、上記フュー
エルタンクの底面の曲げ剛性を高めることにより、上記
フューエルタンクの底面の厚みを薄くすることができ、
上記フューエルタンクのコストを低減できる。

【００１６】本願発明のその他の特徴および利点は、添
付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より
明らかとなろう。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の
形態を、図面を参照して具体的に説明する。

【００１８】図１は、本願発明に係るフューエルタンク
におけるサブタンクの取付け構造を採用したフューエル
タンク１の内部構造を表す一部破断斜視図であり、図２
および図３は、図１のII−II線およびIII −III 線に沿
う断面図である。本実施形態におけるフューエルタンク
におけるサブタンクの取付け構造は、フューエルタンク
１の底面に落とし込み１０を形成し、上記落とし込み１
０にサブタンク２を後述する所定形状のサポート部材３
を介して取り付ける構造となっている。

【００１９】上記サブタンク２は、上部に開口を有する
箱型の容器状に形成されており、上記落とし込み１０
は、上記サブタンク２の底面積よりも大の底面を有する
ように形成されている。なお、上記サブタンク２および
上記フューエルタンク１は、少なくとも連結部分が金属
により形成されている。

【００２０】上記フューエルタンク１の形成された上記
落とし込み１０は、上記フューエルタンク１の底面の曲
げ剛性を高める。このことにより、車両の上下振動に起
因した上記フューエルタンク１の底面の撓み振動を低減
することができ、上記フューエルタンク１と上記サポー
ト部材３、および上記サブタンク２と上記サポート部材
３との間の連結部に集中する応力を低減できる。また、
上記フューエルタンク１の曲げ剛性が高められたことに
より、上記フューエルタンク１の底面の厚みを薄く形成
することができるので、上記フューエルタンク１を形成
するためのコストを低減できる。

【００２１】図４に示すように、上記サポート部材３
は、中間部３３にその幅方向両側縁に起立壁３０が折曲
形成されており、両端部３２，３２が底面に対して所定
の角度をもって折曲形成されている。なお、上記両端部
３２，３２の底面に対する高さは、上記落とし込み１０
の深さに対応している。また、上記起立壁３０の上端部
からは、フランジ３１が折曲形成されており、かつ上記
フランジ３１は形成されていない部分、すなわち上記起
立壁３０の端部近傍の高さは、その端に向かってその高
さが徐々に低くなっている。なお、上記サポート部材３
は、金属薄板をプレス加工することにより形成される。

【００２２】このように形成されたサポート部材３は、
両端部３２，３２の曲げ剛性が低く、起立壁３０および
フランジ３１が形成された中間部３３は曲げ剛性が高く
なっている。また、上記起立壁３０の上記フランジ３１
が形成されていない部分、すなわち上記起立壁３０の端
部近傍は、その端に向かうほど上記起立壁３０の高さが
低く形成されているので、その端に向かうほど曲げ剛性
が段階的に低く変移するようになっており、かつ上記フ
ランジ３１は形成された中間部３３の曲げ剛性と上記両
端部３２，３２の曲げ剛性の中間の曲げ剛性となってい
る。

【００２３】図１、図２および図３に示すように、上記
サブタンク２は、上記サポート部材３の中間にスポット
溶接により連結される。なお、図１においてこのスポッ
ト溶接した部分を符号Ａで示している。また、上記サポ
ート部材３は、上記サポート部材３の底面と上記落とし
込み１０の底面とが接するように上記落とし込み１０内
に落とし込まれ、上記サポート部材３の両端部３２，３
２を上記フューエルタンク１の底面にスポット溶接する
ことにより連結される。なお、図１においてこのスポッ
ト溶接をした部分を符号Ｂで示している。

【００２４】上記構成のフューエルタンクにおけるサブ
タンクの取付け構造は、車両の上下振動等に起因して生
じる上記フューエルタンク１の底面の振動に対しては、
上記サポート部材３の端部の剛性が低められていること
が有効に作用し、スポット溶接による連結部の応力集中
を回避する。

【００２５】すなわち、上記サポート部材３の端部の曲
げ剛性を低くしたことにより、上記フューエルタンク１
の底面が振動した場合に、上記端部をフューエルタンク
１の底面の変位に容易に追従させてこのサポート部材３
とフューエルタンク１との間のスポット溶接による連結
部への応力集中を回避し、また、上記中間部の曲げ剛性
を高くしたことにより、サポート部材３の端部の撓みの
影響がこのサポート部材３とサブタンク２との間のスポ
ット溶接による連結部に伝達されることを回避し、この
連結部への応力集中を低減することができる。

【００２６】なお、本実施形態においては、上記フュー
エルタンク１、サブタンク２およびサポート部材３の少
なくとも連結される部分は金属によって形成されていた
が、上記各部材１，２，３は、樹脂等により一体成形し
てもよく、この場合の上記各部材１，２，３の連結は接
着剤や融着等の手段を用いることにより実現する。

【００２７】また、上記フューエルタンク１の底面の曲
げ剛性を高めるための落とし込み１０およびサポート部
材３の曲げ剛性を高めるためのフランジ３１は、必ずし
も必要なものではなく、選択的事項である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明に係るフューエルタンクにおけるサブ
タンクの取付け構造を採用したフューエルタンクの一部
破断斜視図である。

【図２】図１のII−II線に沿う断面図である。

【図３】図１のIII −III 線に沿う断面図である。

【図４】サポート部材の斜視図である。

【図５】従来例の説明図である。

【符号の説明】

１ フューエルタンク ２ サブタンク ３ サポート部材 １０ 落とし込み ３０ 起立壁 ３１ フランジ ３２ （サポート部材の）端部 ３３ （サポート部材の）中間部 Ａ スポット溶接した部分 Ｂ スポット溶接した部分

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フューエルタンクの底面に板状サポート
   部材を介してサブタンクを取り付ける構造であって、 上記サポート部材は、曲げ剛性の高い中間部と、この中
   間部より曲げ剛性が低い両端部とを備えており、上記サ
   ポート部材は、その両端部においてフューエルタンクの
   底面に連結されているとともに、上記サブタンクは、上
   記サポート部材の中間部に対して連結されていることを
   特徴とする、フューエルタンクにおけるサブタンクの取
   付け構造。
2. 【請求項２】 上記サポート部材の中間部は、その幅方
   向両側縁に起立壁を折曲形成することにより曲げ剛性が
   高められている、請求項１に記載のフューエルタンクに
   おけるサブタンクの取付け構造。