JP3402754B2 - 透明ポリプロピレン系樹脂製シートおよびその製造方法 - Google Patents
透明ポリプロピレン系樹脂製シートおよびその製造方法Info
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Description
するポリプロピレン系樹脂製シートおよびその製造方法
に関する。詳しくは、食品向け熱成形容器・蓋・トレ
ー、ブリスターパック、文具ファイル、折り曲げ加工
品、PTP等の用途に使用するシートであって、光学特
性・機械特性等に優れたシートおよび厚肉シートであっ
ても高速で、光学特性、機械特性等に優れるシートの製
造方法に関する。
を改良する一般的な方法としては、ポリプロピレンシー
トを急冷する方法、造核剤を添加して結晶化を制御する
方法等が知られている。例えば、結晶性ポリプロピレン
に脂環族系石油樹脂等を配合し、急冷成形してスメチカ
構造を有する透明性ポリプロピレンシートの製造方法
(特開昭51−91955号公報、特開昭55−272
03号公報)、結晶性ポリプロピレンにソルビトール系
造核剤を添加したポリプロピレンの改質方法(特開昭5
6−45934号公報)、Tダイから溶融押出した配向
促進剤を含むポリプロピレン原反を圧延する方法(特開
昭58−185224号公報)等が提案されている。し
かし、これらの方法ではシート厚が厚くなると均一な冷
却が行われなくなり、光学特性が改良されないという問
題点を有している。また、ポリプロピレン製シートの成
形方法としては、従来、エアーナイフ法、ポリシングロ
ール法等がある。しかし、エアーナイフ法は、シートを
エアー圧でロールに圧着しているだけであるので、シー
トの偏肉や平滑性を矯正できず、かつ急冷ができないの
で高透明性シートにはならない。また、成形速度も遅
く、厚肉シートには不向きである。一方、ポリシングロ
ール法は、Tダイから押出された膜状の溶融樹脂を一対
の金属ロールの接線で挟圧してシート化する方法であ
り、光沢のあるシートが成形できるものの、一対の金属
ロール間の接線部で挟圧しているのみであるため成形速
度を上げることが難しく、かつ急冷ができず、高透明性
シートを得ることができない。さらに、透明性に優れた
ポリプロピレン製シートの成形方法としては、ポリプロ
ピレン膜を特殊な水冷装置で急冷成形する方法(特開昭
61−189920号公報)、金属製無端ベルトと冷却
ロール間に導入し、透明性シートを製造する方法(特開
平5−286020号公報、特開平6−55613号公
報)等が提案されている。しかし、これらの方法では、
光学特性は改良されるが、溶融樹脂を水冷する際、水中
にシートを引き込むときの波打ちによりシートに横縞が
発生する欠点がある。さらに、昨今の生産性の向上か
ら、厚肉シートをより高速で、かつ機械的強度が高く、
高透明なシートの製造という要望を充分に満足するもの
であるとはいえない。
目的は、厚肉シートを熱劣化なく、色相が良く、高速で
成形が可能であり、、光学特性(透明性、光沢性)、外
観特性(表面平滑性)および機械特性が格段に優れるポ
リプロピレン系樹脂製シートおよびその製造方法を提供
するものである。
み、鋭意検討した結果、無端ベルトを用いるシート製造
法に特定のポリプロピレン樹脂組成物を使用することに
より、高速で、厚肉シートでも、格段に優れた光学特性
と機械特性が得られることを発見し、本発明を完成する
に至った。本発明は、ポリプロピレン系重合体を主成分
とする樹脂成分100重量部に対して、(1)有機フォ
スファイト系化合物または4,4'−ビフェニレンジホ
スフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)酸化防止剤0.01〜0.5重量部および/または
フェノール系酸化防止剤0.01〜0.5重量部、
(2)造核剤0.02〜1.0重量部を含む組成物を用
いて、少なくとも(A)Tダイから膜状の溶融樹脂を押
出し、(B)該膜状の溶融樹脂をキャストロールと該ロ
ールに沿って円弧状に形成された無端ベルトとの間で挟
圧して得られるシートであって、該シートが(a)厚み
0.05〜2.0mm、(b)透明性(クラリティー)
が65%以上、(c)透明性(ヘイズ)が15%以下、
(d)曲げこわさが8000〜25000Kgf/cm
2の性状を満足することを特徴とする透明ポリプロピレ
ン系樹脂製シートである。また、本発明は、ポリプロピ
レン系重合体を主成分とする樹脂成分100重量部に対
して、(1)有機フォスファイト化合物または4,4'
−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)酸化防止剤0.01〜0.5重
量部および/またはフェノール系酸化防止剤0.01〜
0.5重量部、(2)造核剤0.02〜1.0重量部を
含む組成物を用いて、少なくとも(A)Tダイから膜状
の溶融樹脂を押出し、(B)該膜状の溶融樹脂をキャス
トロールと該ロールに沿って円弧状に形成された無端ベ
ルトとの間で挟圧して得られるシートであって、該シー
トが(a)厚み0.05〜2.0mm、(b)透明性
(クラリティー)が65%以上、(c)透明性(ヘイ
ズ)が15%以下、(d)曲げこわさが8000〜25
000Kgf/cm2の性状を満足することを特徴とす
る透明ポリプロピレン樹脂製シートの製造方法である。
ロピレン系重合体とは、プロピレン単独重合体、プロピ
レンを主成分とするα−オレフインとの共重合体または
それらの混合物であり、具体的にはプロピレン−エチレ
ンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共
重合体またはこれらの混合物が挙げられる。該ポリプロ
ピレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は、
0.2〜10g/10分、好ましくは0.3〜8g/1
0分、さらに好ましくは0.5〜5g/10分である。
該MFRが、0.2g/10分未満であると押出加工が
悪くなり、10g/10分を超えるものはシート成形時
あるいはシートの熱成形時にドローダウンが発生し好ま
しくはない。これらの中でも機械的強度に重点をおいた
場合には、プロピレン単独重合体が好ましく、透明性に
重点をおいた場合には、プロピレン−エチレンランダム
共重合体が好ましい。該ポリプロピレン単独重合体は、
その沸騰n−ヘプタン不溶部分が92〜99重量%であ
ることが好ましい。さらに好ましくは94〜98重量%
である。沸騰n−ヘプタン不溶分が92重量%未満で
は、結晶性が低く、シートの機械的特性、特に剛性が不
足する傾向にある。一方、99重量%を超えるとシート
の透明性が低下する傾向にある。また、プロピレン−エ
チレンランダム共重合体のエチレン含有量は、0.2〜
10重量%、好ましくは1〜7重量%である。エチレン
含有量が0.2重量%未満では充分な透明性が得られ
ず、10重量%を超えるとシートが柔らかくなる傾向が
生じる。
密度ポリエチレン(HDPE、MDPE)、線状低密度
ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン
(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ア
クリル酸エチル共重合体(EEA)等のエチレン−(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げられ
る。これらのポリエチレン系重合体の密度は0.88〜
0.97g/cm3、好ましくは0.89〜0.94g
/cm3、メルトフローレート(MFR)は0.1〜1
0g/10分、好ましくは0.3〜0.7g/10分、
さらに好ましくは0.3〜5.0g/10分である。こ
れらの中でも、LDPE、LLDPE、VLDPEが好
ましい。
合体100〜50重量%およびポリエチレン系重合体5
0重量%までの混合組成物から選択された少なくとも1
種である。該ポリエチレン系重合体の配合量が、50重
量%を超えるとシートの剛性が低下し、シートが軟くな
り好ましくない。また、該樹脂成分のメルトフローレー
ト(MFR)は0.2〜10g/10分、好ましくは
0.5〜8g/10分の範囲で選択されることが望まし
い。MFRが0.2g/10分未満では押出加工性が悪
く、MFRが10g/10分を超えるとシート成形時あ
るいはシートの熱成形時にドローダウンが発生し好まし
くない。
合物酸化防止剤とは、リンがフォスファイト構造である
有機化合物の酸化防止剤であれば特に限定するものでは
ないが次のような化合物から選択された少なくとも1種
であることが好ましい。トリス(ジブチルフェニル)フ
ォスファイト(商品名:イルガフォス168、チバガイ
ギー社製)、サイクリックネオペンタテトライルビス
(オクタデシルフォスファイト)(商品名:アデカスタ
ブPEP−8M、旭電化工業社製)、ビス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォス
ファイト(商品名:アデカスタブPEPー24G、旭電
化工業社製;商品名:ウルトラノックス626、ジェネ
ラル・エレクトロニクス社製)、トリス(ミックスドモ
ノおよびジ−ノニルフェニル)フォスファイト(商品
名:アデカスタブ329K、旭電化工業社製)等が挙げ
られ、特にトリス(ジブチルフェニル)フォスファイト
が好ましい。また本発明で使用する有機フォスフォナイ
ト系化合物酸化防止剤は、4,4’−ビフェニレンジホ
スフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)(商品名:サンドスタブP−EPQ、サンド社製)
が好ましい。該酸化防止剤の添加量は樹脂成分100重
量部に対して、0.01〜0.5重量部、好ましくは
0.03〜0.2重量部であり、該酸化防止剤の添加量
が、0.01重量部未満では酸化防止効果が得られず、
シートのMFRが増大し、熱成形時にシートのドローダ
ウンが発生するので好ましくない。また、添加量を0.
5重量部を超えて添加しても効果が向上せず、コスト高
となる。
剤は、特に限定するものではないが、次のような化合物
から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
具体的にはテトラキス(メチレンジブチルヒドロキアナ
イト)メタン(商品名:イルガノックス1010、チバ
ガイギー社製)、1,3,5−トリメチル−2,4,6
−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ル)ベンゼン(商品名:イルガノックス1330、チバ
ガイギー社製)、オクタデシルブチルヒドロキシハイジ
ロシアナイト(商品名:イルガノックス1076、チバ
ガイギー社製)、特にテトラキス(メチレンジブチルヒ
ドロキアナイト)メタン、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシル)ベンゼンが好ましい。該酸化防止剤の添加
量は樹脂成分100重量部に対して、0.01〜0.5
重量部、好ましくは0.03〜0.2重量部であり、該
酸化防止剤の添加量が0.01重量部未満では酸化防止
効果が得られず、シートのMFRが増大し、熱成形時に
シートのドローダウンが発生するので好ましくない。ま
た、添加量を0.5重量部を超えて添加しても効果が向
上せず、コスト高となる。該有機フォスファイト系化合
物酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤は各々単独で使
用しても良いが併用することにより、酸化防止効果は増
大する。
カルボン酸またはその金属塩、有機リン酸金属塩、ソル
ビトール系化合物の中から選択された少なくとも1種で
あることが好ましい。該有機カルボン酸の金属塩として
は、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸)アルミニウ
ム(商品名:Al−PTBBA、シェル化学社製)等が
挙げられる。該有機リン酸金属塩としては、リン酸ビス
(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム(商品名:アデ
カスタブNA−10、旭電化工業社製)、リン酸−2,
2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ナトリウム(商品名:アデカスタブNA−11、旭
電化工業社製)等が挙げられる。また、ソルビトール系
化合物としては、1・3または2・4−ジ(P−メチル
ベンジリデン)ソルビトール(商品名:ゲルオールM
D,ゲルオールMDR、新日本理化社製)、1・3また
は2・4−ジベンジリデンソルビトール(商品名:EC
−1、イーシー化学社製)、1・3または2・4−ジ
(P−エチルベンジリデン)ソルビトール(商品名:N
C−4、三井東圧化学社製)等が挙げられ、シートの透
明性を優先する場合にはソルビトール系化合物、剛性を
優先する場合には有機リン酸金属塩を使用するのが好ま
しい。また、アデカスタブNA−21(商品名:旭電化
工業社製)は透明性と剛性とがバランスされた造核剤で
あり、本発明に好適に使用される。該造核剤の添加量は
樹脂成分100重量部に対して、0.02〜1.0重量
部、好ましくは0.05〜0.4重量部であり、該造核
剤の添加量が0.01重量部未満では透明性が得られ
ず、1.0重量部を超えて添加しても効果が向上せず、
コスト高となる。
重合体およびポリエチレン系重合体は、触媒除去工程を
経ていないので、一般的には酸性触媒成分が微量存在す
るので酸吸収剤を添加することが望まれる。該酸吸収剤
としては、高級脂肪酸の周期律表第I族金属塩、高級脂
肪酸の周期律表II族金属塩、ハイドロタルサイト類等が
挙げられる。該高級脂肪酸の周期律表第I族金属塩とし
ては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カリウム、
ステアリン酸ナトリウム等が挙げられ、高級脂肪酸の周
期律表第II族金属塩としては、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。また、ハイドロ
タルサイト類の具体的な例としては、DHT−4A(商
品名:協和化学社製)が挙げられる。該酸吸収剤の添加
量は樹脂成分100重量部に対して、0.005〜0.
5重量部、好ましくは0.05〜0.2重量部である。
該酸吸収剤の添加量が0.005重量部未満では酸吸収
効果が発揮されず、成形機の腐食をまねく虞を生ずる。
また、添加量を0.5重量部を超えて添加しても、それ
以上の効果の向上が望めず、コスト高になるため好まし
くない。
製造は、上記組成物を用いて、少なくとも、(A)Tダ
イから膜状の溶融樹脂を押出し、(B)該膜状の溶融樹
脂をキャストロールと該ロールに沿って円弧状に形成さ
れた無端ベルトとの間で挟圧することにより得ることが
できる。
基づいて詳述する。図1は、本発明のシートの一実施例
の製造工程概略図を示したもので、主に(A)押出機に
具備したTダイから膜状の溶融樹脂を押出す押出工程、
(B)該膜状の溶融樹脂をキャストロールと該ロールに
沿って円弧状に形成された無端ベルトとの間で挟圧する
第1冷却工程、(C)水冷等のように冷却媒体で急冷す
る第2冷却工程、(D)アニール工程、(E)巻取り工
程または(F)切断工程(図示せず)等から構成され、
これらの工程を経て製品化される。図2は、(B)該膜
状の溶融樹脂をキャストロールと該ロールに沿って円弧
状に形成された無端ベルトとの間で挟圧する第1冷却工
程の拡大図を示したものである。
説明する。図1の押出工程において、所定のポリプロピ
レン系樹脂を押出機原料投入口から供給し、押出機先端
のTダイ1から押出された膜状の溶融樹脂2は、第1冷
却工程のキャストロール3と該ロールに沿って円弧状に
形成された無端ベルト4との間の円弧状挟圧部8で挟圧
されシート9が形成される。該無端ベルト4をキャスト
ロール3に円弧状に沿わせるために無端ベルト4はロー
ル5、ロール6およびロール7に掛合され、テンション
をコントロールすることができ、かつキャストロール3
とロール5との間隔距離で得られるシート9の厚みが調
整される。また、ロール6の位置を動かすことにより円
弧状に沿わせる距離が調整できる。前記キャストロール
3と該ロールに沿って円弧状に形成された無端ベルト4
の温度はポリプロピレン系樹脂の軟化温度以下、ガラス
転移温度以上であり、好ましくは30〜110℃であ
る。すなわち、キャストロール3と無端ベルト4は加熱
油等で内部から加熱された、もしくは必要により冷媒に
より冷却されたロール5、ロール7とによってポリプロ
ピレン系樹脂の軟化温度以下、ガラス転移温度以上に保
たれている。次いで前記円弧状挟圧部8より送り出され
るシート9は、ポリプロピレン系樹脂の軟化温度以下、
好ましくはポリプロピレン系樹脂の熱変形温度から軟化
温度の温度範囲に前記キャストロール3と無端ベルト4
の温度設定により制御される。軟化温度を超える温度だ
とシートが軟らかすぎてキャストロール3や無端ベルト
4からの剥離性が低下し、シート表面に微少な傷が多発
したり、後の工程でしわが発生して良好なシートができ
なくなる虞が生じる。前記キャストロール3および/ま
たは無端ベルト4の材質は、通例金属製ロールもしくは
金属製無端ベルトで構成されるが、場合によってはフッ
素樹脂等の樹脂コーテングしてもよい。該キャストロー
ルもしくは無端ベルトの表面粗度は0.5μm以下、好
ましくは0.3μm以下のものが好適である。表面粗度
は0.5μm以下にすることによりキャストロール3お
よび/または無端ベルト4の表面は鏡面状態になり、シ
ートの透明性や表面平滑性が得られる。また、キャスト
ロール3と共に無端ベルト4を挟圧させるための金属製
ロール5の表面は耐熱性のシリコンゴムないし弾性を有
するエラストマーで被覆してもよい。使用するエラスト
マーの硬度は55〜85度が適当である。前記円弧状挟
圧部8で挟圧されたシート9は(C)冷却媒体で急冷す
る第2次冷却工程で直ちに冷却媒体で急冷される。該冷
却媒体は特に限定はないが、水を使用するのが簡便であ
る。冷却媒体の温度は水の場合50℃以下、好ましくは
25℃以下である。また、(C)冷却媒体で急冷する第
2次冷却工程の後、シートは必要に応じて(D)アニー
ル工程へ導かれる。アニール工程でシートのカールの矯
正が可能であると共に、ポリプロピレン系樹脂の結晶化
が充分に進んでいないため、シートの剛性を改善でき
る。アニール工程は加熱オーブンもしくは加熱金属ロー
ルでよい。加熱温度は使用するポリプロピレン系樹脂の
熱変形温度−40℃、好ましくは熱変形温度−30℃か
ら熱変形温度+15℃、さらに好ましくは熱変形温度+
5℃の温度範囲である。熱変形温度−40℃未満の温度
ではカールの修正や剛性の改善効果が小さく、熱変形温
度+15℃を超える温度だとシートが軟化状態になり透
明性や光沢性等の外観を損ねるようになる。前記(D)
アニール工程を経たシートは(E)巻取り工程で巻取ら
れて製品にされる。また、場合により、前記(D)アニ
ール工程を経たシートは(F)切断工程で所望の寸法に
裁断され、スタッカー等に載置され、製品として出荷さ
れる。この巻取り工程または切断工程の前に、シートの
両端はカッター等により切断される。この理由はシート
両端に厚みムラが生じるためであり、切断されたシート
片は原料として再利用される。
度(シート引取速度)は特に制限はないが、ベルト法成
形法なので従来の速度より大幅に高速化が可能であり、
好ましくは3〜30m/分である。
(a)厚み0.05〜2.0mm、(b)透明性(クラ
リティー)が65%以上、(c)透明性(ヘイズ)が1
5%以下、(d)曲げこわさが8000〜25000K
gf/cm2の性状を満足することが肝要である。すな
わち、シート厚みが、(a)0.05〜2.0mmの範
囲で(b)透明性(クラリティー)が65%以上、
(c)透明性(ヘイズ)が15%以下、(d)曲げこわ
さが8000〜25000Kgf/cm2の性状を満足
する本発明のシートは、従来法によるシートに比較し
て、非常に優位性を有するものである。上記シートの厚
みは0.05mm〜2mm、好ましくは、0.07〜
1.8mm、さらに好ましくは0.1〜1.5mmの範
囲で選択される。シートの厚みが0.05mm未満では
フイルムとなり、シートとしての機能が発揮されない。
また、シートの厚みが2.0mmを超えるとシートが厚
くなり、要望するシートの透明性が向上しない虞が生じ
る。また、本発明シートの特徴は光学特性に優れてお
り、透明性(クラリティー)は65%以上、好ましくは
70%以上、さらに好ましくは80%以上である。透明
性(ヘイズ)は15%以下、好ましくは10%以下、さ
らには7%以下が好ましい。本発明のシートは機械特
性、特にシートが硬くて腰があるのが特徴であり、曲げ
こわさが8000〜25000Kgf/cm2、好まし
くは10000〜22000Kgf/cm2の範囲であ
る。この光学特性、機械特性は上述の本発明で規定する
組成物とシート製造工程で初めて得られるものである。
キャストロールと無端ベルトの間で挟圧する第1冷却工
程と(C)冷却媒体で急冷する第2次冷却工程で(e)
スキン層の厚みが20%以下、(f)コアー層の構造を
微細結晶構造に形成せしめることにより、透明性を保持
しながら、機械的強度に優れるシートとすることができ
る。すなわち、図2においてTダイ1から押し出された
膜状の溶融樹脂2を鏡面仕上げのされたキャストロール
3と該ロールに沿って円弧状に形成された無端ベルト4
との間の円弧状挟圧部8で挟圧して、膜状の溶融樹脂2
の両面に表面平滑なスキン層を形成させる。該各スキン
層の厚さは全シート厚さの20%以下、特に10%以下
がさらに好ましく、20%を超えるととシートの透明性
が低下する虞を生じる。一方、シートのコアー層は円弧
状挟圧部、および円弧状挟圧部出口近傍では完全には冷
却固化しない状態で、(C)冷却媒体で急冷することに
よりコアー層を微細結晶構造とする。このような微細結
晶構造は、透明性を阻害する球晶がないのが特徴であ
る。本発明に使用する組成物以外、例えば造核剤無添加
のポリプロピレン系樹脂を使用した場合、このコアー層
は微細結晶構造ではなく、大きいものでは10μm程度
の球晶がありシートの透明性は悪くなる。該シートのス
キン層およびコアー層は偏光光学顕微鏡で200倍程度
で観察できる。また、コアー層の微細結晶構造あるいは
球晶は電子顕微鏡で3500倍程度で観察できる。
が、本発明はこれに限定されるものではない。
れ製造した。使用したポリプロピレン系樹脂組成物およ
びシート製造条件は、各々表1〜6に示す通りである。
またシート成形装置仕様は次の通りである。 [シート成形装置仕様] 押出機スクリュー:直径=90mm、L/D=36 Tダイ:面長=1250mm、ダイリップ=1〜3
mm 金属製無端ベルト:SUS製、厚み0.8mm、表
面粗度0.3mμ キャストロール:表面粗度0.3mμ 冷却媒体で急冷工程:水槽(長さ4m、温度15
℃) アニール工程:金属製ロール(100℃) 上記条件で得られたシートを評価した各物性を表1〜6
に示した。なお、物性値は以下の試験法および測定法に
よった。 [試験法および測定法] メルトフローレ−ト(MFR):JIS K 67
58に準拠、230℃、2.16Kg荷重 透明性(クラリティー):(株)村上色彩研究所の
クラリティーメーターTM−1D型によるシートの透過
光量測定 透明性(ヘイズ):ASTM D 1003−61
準拠 曲げこわさ:JIS K 7106準拠 熱変形温度:JIS K 7207準拠 軟化温度:JIS K 6758準拠比較例8 図1に記載された金属製無端ベルト法シート成形装置を
使用しないで、通常のエアーナイフ法にてシート成形し
た。すなわち、Tダイから溶融状態で押出された膜状の
樹脂を上記実施例で使用したキャストロールと同じタイ
プのロールに円弧状に沿わせ、キャストロール反対側か
らエアーを吹き付けた。使用した樹脂、シート成形条件
および得られたシートの物性を表6に示した。
組成物と特定のシート成形方法を使用することにより、
厚肉シートでも、光学特性(透明性、光沢性)、外観特
性(表面平滑性)および機械特性が格段に優れるシート
が得られる。また、本発明のシートの製造方法では、厚
肉シートでも、高速で、格段に優れた光学特性と機械特
性を有するシートが得られる。
略図。
却工程の拡大図。
無端ベルト、5,6,7:ロール、8:円弧状挾圧部、
9:シート。
Claims (11)
- 【請求項1】 ポリプロピレン系重合体を主成分とする
樹脂成分100重量部に対して、 (1)有機フォスファイト系化合物または4,4'−ビ
フェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)酸化防止剤0.01〜0.5重量部
および/またはフェノール系酸化防止剤0.01〜0.
5重量部、 (2)造核剤0.02〜1.0重量部、 を含む組成物を用いて、少なくとも (A)Tダイから膜状の溶融樹脂を押出し、 (B)該膜状の溶融樹脂をキャストロールと該ロールに
沿って円弧状に形成された無端ベルトとの間で挟圧して
得られるシートであって、該シートが下記(a)〜
(d): (a)厚み0.05〜2.0mm、 (b)透明性(クラリティー)が65%以上、 (c)透明性(ヘイズ)が15%以下、 (d)曲げこわさが8000〜25000Kgf/cm
2、 の性状を満足することを特徴とする透明ポリプロピレン
系樹脂製シート。 - 【請求項2】 前記組成物が、前記樹脂成分100重量
部に対して、 (3)酸吸収剤0.01〜0.5重量部をさらに含むこ
とを特徴とする請求項1に記載の透明ポリプロピレン系
樹脂製シート。 - 【請求項3】 前記透明ポリプロピレン系樹脂製シート
が、スキン層とコアー層を形成したシートであって、
(e)スキン層の厚みが20%以下、(f)コアー層が
微細結晶構造であることを特徴とする請求項1または2
に記載の透明ポリプロピレン系樹脂製シート。 - 【請求項4】 前記ポリプロピレン系重合体が、プロピ
レン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合
体またはそれらの混合物100〜50重量%、ポリエチ
レン系重合体50重量%までの混合組成物から選択され
た少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から
3項のいずれか1項に記載の透明ポリプロピレン系樹脂
製シート。 - 【請求項5】 前記ポリプロピレン単独重合体の沸騰n
−ヘプタン不溶部分が92〜99重量%であることを特
徴とする請求項4に記載の透明ポリプロピレン系樹脂製
シート。 - 【請求項6】 ポリプロピレン系重合体を主成分とする
樹脂成分100重量部に対して、 (1)有機フォスファイト系化合物または4,4'−ビ
フェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)酸化防止剤0.01〜0.5重量部
および/またはフェノール系酸化防止剤0.01〜0.
5重量部、 (2)造核剤0.02〜1.0重量部、 を含む組成物を用いて、少なくとも (A)Tダイから膜状の溶融樹脂を押出し、 (B)該膜状の溶融樹脂をキャストロールと該ロールに
沿って円弧状に形成された無端ベルトとの間で挟圧して
得られるシートであって、該シートが下記(a)〜
(d): (a)厚み0.05〜2.0mm (b)透明性(クラリティー)が65%以上 (c)透明性(ヘイズ)が15%以下 (d)曲げこわさが8000〜25000Kgf/cm
2の性状を満足することを特徴とする透明ポリプロピレ
ン系樹脂製シートの製造方法。 - 【請求項7】 前記組成物が、前記樹脂成分100重量
部に対して、 (3)酸吸収剤0.01〜0.5重量部をさらに含むこ
とを特徴とする請求項6に記載の透明ポリプロピレン系
樹脂製シートの製造方法。 - 【請求項8】 前記透明ポリプロピレン系樹脂製シート
の製造方法において、 (A)Tダイから膜状の溶融樹脂を押出し、 (B)該膜状の溶融樹脂をキャストロールと該ロールに
沿って円弧状に形成された無端ベルトとの間で挟圧し、 (C)次いで冷却媒体で急冷して、 (e)スキン層の厚みが20%以下、(f)コアー層の
構造を微細結晶構造に形成せしめたことを特徴とする請
求項6または7に記載の透明ポリプロピレン系樹脂製シ
ートの製造方法。 - 【請求項9】 前記キャストロールと該ロールに沿って
円弧状に形成された無端ベルトの温度がポリプロピレン
系樹脂組成物の軟化温度以下、ガラス転移温度以上であ
ることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載
の透明ポリプロピレン樹脂製シートの製造方法。 - 【請求項10】 前記円弧状挟圧部より送り出されるシ
ートの温度が、ポリプロピレン系樹脂組成物の軟化温度
以下であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1
項に記載の透明ポリプロピレン系樹脂製シートの製造方
法。 - 【請求項11】 前記キャストロールおよび/または無
端ベルトの表面粗度が0.5μm以下であることを特徴
とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の透明ポリ
プロピレン系樹脂製シートの製造方法。
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JP12713994A JP3402754B2 (ja) | 1994-05-18 | 1994-05-18 | 透明ポリプロピレン系樹脂製シートおよびその製造方法 |
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JPH07309961A JPH07309961A (ja) | 1995-11-28 |
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CN109435341B (zh) * | 2018-11-22 | 2023-12-01 | 广东瑞远新材料有限公司 | 超高剥离强度的复合软管、复合软管片材及其制备方法 |
-
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- 1994-05-18 JP JP12713994A patent/JP3402754B2/ja not_active Expired - Lifetime
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