JP3501397B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡シートおよびその製造方法 - Google Patents
ポリプロピレン系樹脂発泡シートおよびその製造方法Info
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Description
脂発泡シート及びその製造方法に関する。
溶融状態において温度上昇に伴う粘度の低下が比較的緩
やかであり、発泡に適する温度条件の幅を広くとれるの
で押出発泡体に供される樹脂として広く取り扱われ、そ
の二次成形品は、軽量で断熱性のある容器として多岐の
食品包装分野に用いられている。しかし、電子レンジや
オーブンなどの加熱調理器具を用い、食品を収納したま
ま調理するに十分な耐熱性を備えておらず、また油に対
する耐性も低い。
レン系樹脂と比較して耐熱性、耐油性に優れ、また経済
性の面でも発泡用基材樹脂として期待されており、特公
平6−9850号公報にはその製造方法が報告されてい
る。しかしながらポリスチレン系樹脂と異なりポリプロ
ピレン系樹脂は結晶性樹脂であり、その発泡シートは反
りやすいという問題点があり、その改良が必要とされて
いる。
に成形される。その二次成形加工は生産性、成形機稼動
コストの削減等を考慮し、連続的な成形が一般に行われ
るが、シートの反りはこの連続成形を行う際に弊害とな
る。連続成形では、シートは融点付近の温度で加熱軟化
され、次いで成形ゾーンへと搬送され二次成形が行わ
れ、例えば多数個の容器形状となった半製品を打ち抜い
て最終的な製品が得られるといった一貫成形体制がとら
れる。シートの両端は繰り出しのレールにクランプされ
ており、ここで反った状態にあるシートをレールにより
送り出すとクランプ外れが起き易くなり、安定した連続
成形が困難となる。
いポリプロピレン系樹脂発泡シートおよびその製造方法
を提供するものである。
ける結晶化度が55%を超え、70%以下であり、一方
の表面部分と他方の表面部分の結晶化度との差が4%以
下のポリプロピレン系樹脂発泡シートである。このよう
に表面部分の結晶化度を調整することによりシートの反
りを抑制することができ、また合わせて残留歪が少なく
平滑性の高いシートを得ることができる。このシートは
例えば製造時に、ポリプロピレン系樹脂の樹脂温度と冷
却に用いるロールの表面温度との温度差を140℃以
上、170℃以下とし、ロールとの接触時間を0.1〜
5秒とすることにより製造することができる。
樹脂発泡シート、およびその製造方法の詳細について説
明する。
とは、示差走査熱量測定装置を用いて昇温過程における
試料の結晶融解熱ΔH(J/g)を測定し、下記の式に
従って算出した値である。 結晶化度(%)=(ΔH/ΔH0)×100 表面部分とはシートの表面から厚み方向に100μmま
での領域を示す。ΔH0はポリプロピレン系樹脂の完全
結晶の融解熱を示し、その値については、多々報告例が
出されているが、本発明においては146J/gという
値を用いた。本発明はこれにより算出したシートの一方
の表面部分の結晶化度および他方の表面部分の結晶化度
が55%を超え、70%以下であり、かつシートの一方
の表面部分の結晶化度と他方の表面部分の結晶化度との
差が4%以下である。そのようなシートは、外観が美麗
であり、シート内の歪が残留しにくく、また連続的な二
次成形性を低下させるシートの反りを抑制したシートで
ある。結晶化度が55%以下であるシートの製造には急
速な冷却過程が必要であり、その過程においてシート内
に歪が残留しやすい。内部歪は二次成形の際の加熱処理
によりある程度まで除くことができるが、完全に除くこ
とは困難であり、容器の耐熱性が低下する。70%以上
の結晶化度だと軟化温度が上昇し、二次成形性を低下さ
せるため好ましくない。
部に置いたときに、シートの全面がフラットな面に均一
に接触せず、両端部もしくは中央線のみが接触するとい
った現象をさす。ポリプロピレン系樹脂は結晶性樹脂で
あり、たとえば、3本ロール法にてシートの冷却を行う
際、第2ロールに接触している間にロールに接触してい
る面とは反対の面にて結晶化が起きる。次いで第3ロー
ルにより冷却される段階までにはシートの表裏で結晶化
度の差が生じ、結果、表面収縮率の差によりシートを断
面から見た場合、結晶化度の低い面を下として凹状に湾
曲する。この現象は、たとえば、環状の押出機金口より
押出された溶融樹脂を同じく環状の冷却装置により冷却
する押出発泡法においても、シートの冷却装置と接触す
る面とその反対面とで異なる結晶化度を与える冷却過程
をとった場合に同様に起き、3本ロール法に限定される
ものではない。
あるシートを平坦部に置き、フラットな面とシート下部
との接触面より高さ方向に到達したシートの最大点まで
の距離(単位:mm)を計測した。本発明のシートはこ
のように測定した値が20mm以下であるシートを示す
ものである。
主な成分として重合してなる重合体である。それには、
例えばプロピレン単独重合体、プロピレンとコモノマ
ー、例えばエチレン、α−オレフィン、ビニルモノマー
との共重合体でプロピレン比率が70重量%以上とする
ランダム若しくはブロック共重合体などがあり、これら
を単独であるいは混合して使用することができる。混合
物を押出発泡に用いる際の混合方法としては、特に限定
するものではないが、発泡シート成形時に押出機へ攪拌
混合した原料を直接投入する方法、または攪拌混合した
原料を単軸または二軸押出機にて溶融混合してペレット
化し、発泡押出時に使用する方法のいずれであっても良
い。また、本発明の発泡シートを製造する際に、更に発
泡シートの物性を阻害しない程度に、適宜の気泡調整
剤、架橋剤、樹脂溶融特性調整剤、発泡助剤、充填剤、
安定剤、酸化防止剤、顔料等を混合してもよい。
力が、2gを超え、40g以下であることが好ましい。
2g以下の樹脂では独立気泡率が低下し、シート外観不
良の要因となる。また二次成形時、加熱可塑化の際にシ
ートの垂れ下がりの量が大きくなり、成形品不良、詳し
くはブリッジの形成や多数個どりの際のキャビ間のバラ
ツキといった不具合が生じる。また、溶融張力が40g
を超える樹脂では過度の張力により押出の際に安定した
製膜が困難であり好ましくない。この溶融張力とは、測
定装置に東洋精機製作所製キャピログラフを用い、20
0℃に加熱したバレル内で樹脂を5分間保持した後、口
径2.095mm、長さ8mmのキャピラリーを通して
15mm/分の速度で押出してストランドとし、このス
トランドを2mm/分の速度で引き取る際の糸状樹脂の
張力をいう。
泡させるには熱分解型の化学発泡剤もしくは物理発泡剤
を用いることができ、化学発泡剤としては主に重曹とク
エン酸の混合物により代表されるものであるが、これに
限定されない。前記プロピレン系樹脂100重量部に対
し該発泡剤を0.1から5.0重量部、好ましくは1.
0から4.0重量部添加するとよい。0.1重量部以下
では発泡体に要求される断熱性および軽量性等を満たす
発泡倍率を維持するに不十分であり好ましくない。ま
た、5.0重量部以上では発泡剤の分散性、分解性が不
十分となり安定した発泡体の形成が困難となり好ましく
ない。化学発泡剤の添加方法としては特に限定するもの
ではないが、ポリプロピレン系樹脂にドライブレンドす
る方法や、押出機のホッパー中で定量フィーダーを使用
して添加する方法、或いはポリプロピレン系樹脂やポリ
エチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂をベースとする
マスターバッチを作成し添加する方法のいずれであって
も良い。
いられるものは炭酸ガス、若しくはブタンガスであり、
その注入方法は押出機内において溶融樹脂の圧力を低く
するべく設定された位置より直接ガスを注入する方法、
もしくはタンデム押出機の1段目の押出機の同じく樹脂
圧力の低下した位置より注入する方法のいずれでもよ
い。
して得られたシートの密度は500kgm-3を超え、8
50kgm-3以下であることが好ましい。シート密度を
500kgm-3以下とすると、発泡シートの製造方法と
してよく使用されるT型ダイ法による押出発泡が困難と
なり、また、850kgm-3を超えると発泡体の特性で
ある断熱性、軽量性が低下するため好ましくない。
に、押出機へ原料を投入するには直接押出機上のホッパ
ーより原料を投入することができる。押出発泡法に用い
る押出機としては、単軸押出機、多軸押出機、タンデム
押出機などの押出成形機が使用可能であり、押出機内に
て溶融樹脂を混練、分散、運搬するためのスクリューの
形状については特に限定されない。例えば、押出機金口
より押出された溶融状態の樹脂は駆動するロールにより
圧縮、搬送され所望の厚みを持つ発泡シートとなる。更
に詳しくは、溶融樹脂を上側より圧縮してシート状物と
する第1ロールと溶融樹脂を下側より接触させ、次いで
外周に接触させて冷却させる第2ロール、更に第2ロー
ルとの接触面とは反対の面を冷却させるべく第2ロール
の直下に配置され、反対方向に回転した第3ロールを用
いて冷却、引き取り、シーティングを行うことができ
る。これらロールにより本発明のシートを製造するにお
いて押出機金口より押出された直後の樹脂温度と冷却に
用いるロールの表面温度との温度差を140℃以上、1
70℃以下とし、さらに、シート状物を冷却するための
ロールとの接触時間を0.1〜5秒とすることが望まし
い。溶融樹脂と冷却ロールの表面との温度差が140℃
以下となると樹脂に対するロールの表面抵抗値が高く、
溶融状態の樹脂がロールに粘着しやすくなるだけでな
く、発泡荒れによる表面外観低下の原因ともなり、外
観、製膜性ともに安定したシート製膜が困難となる。ま
た170℃を超えると、溶融樹脂の急速な硬化によりシ
ート内部に歪が残留しやすく、また、冷却ロールの表面
温度を極度に低くした場合では外気との温度差により露
滴が発生し、シートとロールとの接触時にシートに転写
されシート表面に欠陥として残る。
詳しく説明する。
ピレン系樹脂(チッソ社製、FH3400:ホモポリプ
ロピレン、MFR=4.0)を100重量部と発泡剤を
2重量部とを攪拌混合したものをスクリュー径90mm
の単軸押出機(ノンベント)を用いてシリンダー温度2
10#Cにて溶融軟化し、190℃に設定した1300m
m巾の単層T型ダイスより押出した溶融樹脂を3本冷却
ロール法により冷却した。ロールを通してシートの冷却
を行う際、ロール内を貫流する温調媒体の温度を表1に
記す温度に設定しシーティングを行った。
のように測定した。 (シートの反り)結晶化度の違いからなる表面の収縮率
の差により、シートは結晶化度の低い面を下として凹状
に反る。この状態にあるシートを平坦部に置き、フラッ
トな面とシート下部との接触面より高さ方向に到達した
シートの最大点までの距離を計測した。実際に用いたデ
ータにはシートの引き取り方向に向かって一定間隔にて
5点、上記の方法に基づき測定を行い、得られたデータ
の平均値を採用した。 (結晶化度) 測定機:示差走査熱量測定装置(セイコー電子工業
(株)製、DSC200) 測定条件:測定温度範囲=30〜200℃ 昇温速度=10℃/分 上記測定装置および測定条件にて昇温測定を行い、評価
を行うシートの表裏面における表面部分の結晶融解熱Δ
Hを測定した。得られたΔHより下記の計算式に基づき
結晶化度を算出した。 結晶化度(%)=(ΔH/146)×100 (シート密度)ミラージュ貿易社製電子比重計(MD−
200S)にて測定した。
示す。
したところ、実施例の条件では反りが少なく平滑性の高
いシートが得られたのに対し、比較例のシートは反りが
大きくなった。また、ロール内を貫流する温調媒体の温
度を60℃としてシート製膜を行った比較例2において
はシートがロールに粘着し、評価できるシートは得られ
なかった。
高いポリプロピレン系樹脂発泡シートおよびその製造方
法を提供するものである。シートの反りを抑制すること
により安定した連続二次成形が可能となり、また、得ら
れた成形品の耐熱性を維持する。該シートは包装材に好
適に用いることができる。
の概略
Claims (4)
- 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂の樹脂温度と冷却
に用いるロールの表面温度との温度差が140℃以上、
170℃以下で、ロールとの接触時間が0.1〜5秒で
あることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡シート
の製造方法。 - 【請求項2】 表面部分の結晶化度が55%を超え、7
0%以下であり、一方の表面部分と他方の表面部分の結
晶化度の差が4%以下である、請求項1に記載のポリプ
ロピレン系樹脂発泡シート。 - 【請求項3】 ポリプロピレン系樹脂の溶融張力が2g
を超え、40g以下である請求項2に記載のポリプロピ
レン系樹脂発泡シート。 - 【請求項4】 密度が500kgm-3を超え、850kgm-3
以下である請求項2又は請求項3に記載のポリプロピレ
ン系樹脂発泡シート。
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