JP3394876B2 - 亜鉛末含有黒色塗料組成物 - Google Patents

亜鉛末含有黒色塗料組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にバネ用鋼材や
鉄鋼構造物の防食用に好適な亜鉛末含有黒色塗料組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛末含有塗料は、ジンクリッチペイン
ト又はジンクリッチプライマーとも呼ばれ、ボイル油や
合成樹脂ワニスに、できるだけ多くの亜鉛末を配合した
さび止め塗料として広く知られている。 そして、このも
のを鉄基材上に塗布して形成された塗膜が水分に触れる
と、鉄よりもイオン化傾向の大きい亜鉛が陽極となって
亜鉛から鉄に向って防食電流が流れ、鉄の腐食が防止さ
れる。 他方、これにカーボンブラックを配合して亜鉛末
含有黒色塗料としたものは、自動車用ばね材や各種鉄鋼
構造物の塗装に用いられているが(例えば特開平6−4
9393号公報参照)、カーボンブラックを多量に加え
て黒色を高めようとすると、塗膜中にカーボンブラック
による局部電池が形成される結果、防錆効果が著しく低
下するし、逆に防錆効果を保持させるために亜鉛末の含
有量を増大すると、グレーに近い色調になり、黒色を示
さないという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の亜鉛末含有黒色塗料組成物のもつ欠点を克服し、
ディップ塗装において十分濃い黒色を示し、しかも防錆
性に優れた塗膜を与える亜鉛末含有黒色塗料組成物を提
供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記した
好ましい特性を有する亜鉛末含有黒色塗料組成物を開発
するために種々研究を重ねた結果、カーボンブラックの
一部を黒色酸化鉄微粒子に置き換え結果的にカーボン
ブラックの使用量を減少させることにより、濃い黒色を
保持したまま局部電池の発生を抑制して塗膜の防錆性の
低下を防止しうることを見出し、この知見に基づいて本
発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、変性エポキシ樹脂
00重量部(固形分重量)に対し、亜鉛末200〜35
0重量部、カーボンブラック7〜25重量部及び黒色酸
化鉄微粒子15〜80重量部配合して成る、黒色度
(L値)31.0以下の亜鉛末含有黒色塗料組成物を提
供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の塗料組成物においては、
塗膜形成基材として変性エポキシ樹脂が用いられる。こ
の変性エポキシ樹脂は、塗料組成物に通常用いられてい
るものであれば特に制限はなく、例えば、ウレタン変
性、酸変性、アミン変性のような変性エポキシ樹脂など
が挙げられ、中でもアミン変性エポキシ樹脂が好まし
い。この変性エポキシ樹脂は、好ましくは重量平均分子
量(Mw)が5000〜50000、中でも10000
〜30000の範囲にあるものがよい。
【0007】また、亜鉛末は、塗料組成物に通常用いら
れているものであれば特に制限はなく、例えば平均粒子
径2.0〜10.0μmのものなどが挙げられ、中でも
平均粒子径3.0〜5.0μmのものが好ましい。
【0008】また、カーボンブラックは、塗料組成物に
通常用いられているものであれば特に制限はなく、例え
ばpH値2.0〜11.0のものなどが挙げられ、中で
もpH値6〜10、特に8〜9のものが好ましい。この
pHは、JIS K 6221に準拠してカーボンブラ
ック10gと蒸留水100mlの混合物を100℃で1
0分間加熱処理したのち、ガラス電極メーターを用いそ
の電極を浸して測定されたものを意味する。カーボンブ
ラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネ
スブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが
挙げられる。
【0009】また、黒色酸化鉄微粒子としては、例えば
磁性酸化鉄、黒色酸化鉄などが挙げられ、中でも磁性酸
化鉄が好ましい。この黒色酸化鉄微粒子は、通常5μm
以下、好ましくは1μm以下、特に0.5μm以下のも
のが好ましい。
【0010】本発明の塗料組成物においては、さらにリ
ン酸塩又はリンモリブデン酸塩を含有させると防錆性を
一層向上させることができるので好ましい。
【0011】本発明の塗料組成物は、塗料組成物に通常
用いられる溶剤を含有している。この溶剤としては、好
ましくはトルエン、キシレン及び多価アルコールエーテ
ルの中から選ばれた少なくとも1種の溶剤が選ばれる。
多価アルコールエーテルとしては、好ましくはプロピレ
ングリコールモノアルキルエーテル例えばプロピレング
リコールモノメチルエーテルが用いられる。
【0012】本発明の塗料組成物の各組成成分の配合割
としては、変性エポキシ樹脂固形分100重量部
り、亜鉛末200〜350重量部、好ましくは250
〜310重量部、カーボンブラック7〜25重量部、
好ましくは10〜20重量部、黒色酸化鉄微粒子15
〜80重量部、好ましくは20〜60重量部の範囲でそ
れぞれ選ばれる。リン酸塩又はリンモリブデン酸塩を含
有させる場合、その配合割合は変性エポキシ樹脂固形分
重量に基づき通常5〜50重量%、好ましくは15〜
30重量%の範囲で選ばれる
【0013】黒色酸化鉄微粒子の割合がカーボンブラッ
クに対して少なすぎるとそれによる防錆効果が十分には
得られないし、また多すぎると黒色の色調が低下するの
で好ましくない。また、亜鉛末の黒色顔料に対する割合
が少なすぎるとそれによる塗膜の防錆効果が十分には得
られないし、また多すぎると実用性のある黒色の色調の
塗膜が得られない。また、塗膜中の変性エポキシ樹脂の
割合が少なすぎると実用性のある黒色度を有する塗膜が
十分には得られないし、また多すぎると塗膜乾燥性が低
下するので好ましくない。
【0014】
【実施例】次に実施例によって本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定される
ものではない。
【0015】各例の塗膜の性能は次のようにして評価し
た。 (1)黒色度(L値): JIS Z8722 4に規定する分光測色方法により
色を測定し、塗膜のL値を求め、これにより黒色度を評
価した。色の表示はJIS Z8729に規定する、L
*a*b*表色系を用いて行った。この黒色度(L値)
は、数値が小さいほど塗膜色相が黒いことを示す。 (2)防錆性: JIS K5400 9.10や9.1に規定する屋外
曝露試験、塩水噴霧試験及び日本塗料検査協会基準の塩
乾湿複合腐食試験S6に付し、日本塗料検査協会の“標
準判定写真”を用いた錆評価基準により評価した。
【0016】実施例1 変性エポキシ樹脂ワニス(三井東圧化学社製、エポキー
863、固形分濃度45%)13g、カーボンブラック
(三菱化学社製、#45)1.9g、ベントン#34の
15%ペースト2.4g及び混合溶剤〔PGM(プロピ
レングリコールモノメチルエーテル)/トルエン=6/
4(重量比)〕13.2gをダイノーミルで混合分散さ
せて分布図法(A法)による分散値が20μ以下の黒色
塗料原液を調製した。次いで、この塗料原液に、変性エ
ポキシ樹脂ワニス(三井東圧化学社製、エポキ−86
3、固形分濃度45%)17g、黒色酸化鉄微粒子(三
井金属社製、マグネタイトMG−1300)6.0g、
リンモリブデン酸アルミニウム(キクチカラー社製、P
M−300)3.5g、亜鉛末(当社製、LS−5)3
7.5g及び混合溶剤〔PGM/トルエン=6/4(重
量比)〕5.5gを加え、サンドミルで分散させ、A法
による分散値が50μ以下の黒色塗料組成物を調製し
た。この塗料組成物を3.2×70×150mmのショ
ットブラスト板にディップ塗装し、150℃で10分間
乾燥して塗膜を得た。得られた塗膜の性能を評価した結
果を表1に示す。
【0017】実施例2〜6 配合組成を表1に示すとおり変えた以外は実施例1と同
様にして黒色塗料組成物を調製し、塗膜を得た。得られ
た塗膜の性能を評価した結果を表1に示す。実施例6は
塗料組成物においてリンモリブデン酸アルミニウム無添
加の場合である。
【0018】
【表1】 かっこ内の数値は変性エポキシ樹脂を100重量部とし
たときの換算値である。
【0019】比較例1〜3 配合組成を表2に示すとおり変えた以外は実施例1と同
様にして黒色塗料組成物を調製し、塗膜を得た。得られ
た塗膜の性能を評価した結果を表2に、前記実施例1の
各配合組成及び塗膜性能とともに示す。表中、比較例1
従来のグレー系亜鉛リッチのもの、比較例2磁性酸
化鉄微粒子無添加のもの、比較例3カーボンブラック
量を通常の2.5倍とし、かつ磁性酸化鉄微粒子無添加
のものである。
【0020】
【表2】 かっこ内の数値は変性エポキシ樹脂を100重量部とし
たときの換算値である。
【0021】これら表1及び表2より、各比較例の塗料
組成物を用いた塗膜黒色度と防錆性のいずれかが不良
になるのに対し、本発明の各実施例の塗料組成物を用い
た塗膜は黒色度と防錆性バランスよく優れていること
が分る。また、リンモリブデン酸塩を配合することによ
り、さらに防錆性を高めうることが分る。
【0022】
【発明の効果】本発明の亜鉛末含有黒色塗料組成物は、
十分な黒色度をもち、しかも防錆性に優れた塗膜を与え
るという顕著な効果を奏し、さらにリン酸塩又はリンモ
リブデン酸塩を配合することにより防錆性を一層高める
ことができる。また、本発明の亜鉛末含有黒色塗料組成
物は、従来の黒色亜鉛リッチ塗料組成物において、防錆
性を低下させない配合のものでは、スプレー塗装ではL
値28以下の所望黒色色相としうるものの、ディップ塗
装では該色相を達成しえなかったのを、ディップ塗装で
も防錆性を低下させることなく、該色相を達成すること
ができる。さらに、本発明の亜鉛末含有黒色塗料組成物
は、その塗膜単独だけで上塗りしなくても十分実用に耐
えうるし、また上塗りを施した場合に上塗りの劣化や剥
がれが生じてもその欠陥が目立たず、いわゆるメンテナ
ンスフリーな塗装系を形成しうるという利点もある。し
たがって、本発明の亜鉛末含有黒色塗料組成物は、特に
バネ用鋼材や鉄鋼構造物の防食用下塗り塗料用として好
適に利用しうる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−163971(JP,A) 特開 平5−161531(JP,A) 特開 平3−75007(JP,A) 特開 平6−136301(JP,A) 特開 平5−112754(JP,A) 特開 平5−32919(JP,A) 特開 昭57−3870(JP,A) 特開 平6−49393(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 1/00 - 10/00 C09D 101/00 - 201/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変性エポキシ樹脂100重量部(固形分
    重量)に対し、亜鉛末200〜350重量部、カーボン
    ブラック7〜25重量部及び黒色酸化鉄微粒子15〜8
    0重量部配合して成る、黒色度(L値)31.0以下
    亜鉛末含有黒色塗料組成物。
  2. 【請求項2】 さらに、変性エポキシ樹脂の固形分重量
    に基づき、15〜30%のリン酸塩又はリンモリブデン
    酸塩を含有する請求項1記載の亜鉛末含有黒色塗料組成
    物。
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JP2014148613A (ja) * 2013-02-01 2014-08-21 Dainippon Toryo Co Ltd 亜鉛末含有塗料組成物

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