JP2573368B2 - 黒色塗料組成物 - Google Patents

黒色塗料組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は自動車の足回り部品、シート下部の金具など
に塗装される黒色塗料組成物に関する。
[従来の技術] 自動車のショックアブソーバなどの足回り部品あるい
は座席シートの下部の金具などには、1液型の黒色塗料
が塗装されている。この黒色塗料としては、エポキシ樹
脂にカーボンブラックが配合され、更に無機充填材、防
錆顔料などが配合された黒色塗料組成物が一般に用いら
れている。
[発明が解決しようとする課題] 近年の技術の進歩により自動車の各部品の耐久性が著
しく向上し、それに伴って各部品に塗装される塗料にお
いても防錆力の向上が強く望まれている。
ところで上記した足回り部品などに塗装される黒色塗
料組成物においては、着色剤としてのカーボンブラック
が不可欠である。しかしながらカーボンブラックは防錆
力はほとんど有しておらず、逆に塗膜中の最も耐食性の
弱い錆発生の核になるような存在ともいえる。そこでカ
ーボンブラックの配合量を低減し、その分他の防錆顔料
を添加することが考えられる。しかしながら他の防錆顔
料は黒色のものは少なく、黒色の色調が得られない場合
が多い。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであ
り、カーボンブラックの添加量を少なくすることがで
き、かつ防錆性能を一層向上させることを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明者等は各種防錆顔料を調査し、黒色のグラファ
イト粉末を用いることを想起した。そして鋭意研究の結
果、カーボンブラックとグラファイトとの併用が特に好
ましい結果を与えることを発見して本発明を完成したも
のである。
すなわち本発明の黒色塗料組成物は、エポキシ樹脂
と、カーボンブラックと、カーボンブラック1重量部に
対して1.0〜5.0重量部の範囲でかつエポキシ樹脂固形分
100重量部に対して5重量部以下のグラファイト粉末と
を含有することを特徴とする。
エポキシ樹脂は通常のビスフェノールA系のエポキシ
樹脂を用いることができる。また各種変性エポキシ樹脂
を用いてもよい。このエポキシ樹脂は通常常温で固形の
ものが用いられ、溶剤により溶解して、あるいはディス
パージョンとして用いることができる。また、場合によ
っては他の樹脂を混合して用いることもできる。
本発明の最大の特徴は、カーボンブラック1重量部に
対して1.0〜5.0重量部かつエポキシ樹脂固形分100重量
部に対して5重量部以下のグラファイト粉末を含むとこ
ろにある。グラファイト粉末の含有量がカーボンブラッ
ク1重量部に対して1.0重量部より少ないと防錆性能の
向上が望めない。また、カーボンブラック1重量部に対
して5.0重量部より多くなると隠蔽力が小さくなり過ぎ
て実用的とはいえない。カーボンブラック1重量部に対
してグラフィト粉末が2.0〜3.0重量部の範囲が特に望ま
しい。そしてグラファイト粉末がエポキシ樹脂固形分10
0重量部に対して5重量部より多くなると、塗膜形成性
能に不具合が生じ、塗膜表面が荒れるとともに防錆性能
が著しく低下する。なお、グラファイト粉末の平均粒径
は、他の無機充填材、防錆顔料などの粒径より小さい約
2〜4μm程度のものが好ましい。
本発明の黒色塗料組成物には、従来と同様に炭酸カル
シウム、クレー、タルク、硫酸バリウムなどの無機充填
剤及びリン酸亜鉛、リン酸アルミニウムなどの防錆顔料
あるいはシリコン系樹脂などの分散剤を従来と同様に用
いることができる。
[発明の作用及び効果] 本発明の黒色塗料組成物では、カーボンブラックとグ
ラファイト粉末とが併用されている。カーボンブラック
は着色力に優れるため塗料の隠蔽力が大きい。また塗膜
形成の障害とはならず光沢に優れた塗膜が得られる。し
かしながら防錆性能は有しておらず、逆に錆発生の核と
もなる存在である。一方グラファイトは黒色であり、付
着性が良好で水分を透過しないので防錆性能に優れてい
る。しかし単独使用では隠蔽力が小さく、塗膜形成性能
に劣っている。
そこでカーボンブラックとグラファイト粉末とを併用
することにより、グラファイトによる防錆性能を付与す
るとともに、カーボンブラックの配合量を低減できるの
でカーボンブラックによる防錆性能の低下度合を小さく
することができ、これにより耐食性が向上する。また併
用により隠蔽力を維持し、塗膜形成性能が維持されてい
る。すなわちカーボンブラックとグラファイト粉末とを
併用することによりそれぞれの短所を補い合い、隠蔽
力、塗膜形成性能などは従来と同様の性能を維持しつ
つ、防錆性能を向上させることができる。
[実施例] 以下、実施例により具体的に説明する。
(実施例1) 第1表にも示すように、エポキシ樹脂(「EP−6337」
三井東圧化学(株)製、不揮発分45%)150重量部、カ
ーボンブラック(「MA−100」三菱化成(株)製)1.0重
量部、グラファイト(平均粒径2μm鱗片状)2.5重量
部、タルク24.0重量部、リン酸亜鉛11.5重量部、分散剤
(「AT−204」BYK社製)0.8重量部、溶剤(ケトン系、
グリコール系混合溶剤)100重量部を分散混合して実施
例1の黒色塗料組成物を得た。この黒色塗料組成物の隠
蔽膜厚は、第1表にも示すように白黒隠蔽試験紙上で8
μmである。
この黒色塗料組成物を軟鋼板(70×150mm)に乾燥膜
厚が20μmとなるように塗装後、60℃で20分焼付け乾燥
し試験片を形成した。この試験片について60度鏡面反射
率による光沢を測定し、さらに塩水噴霧試験(SST)及
び複合環境サイクル試験(CCT)を実施した。結果を第
1表に示す。なお、SSTは試験片にクロスカットを入
れ、35℃、濃度5%の食塩水を試験片表面に吹き付ける
試験を行い、クロスカット部からの錆幅が3mmとなった
時点の時間を測定した。またCCTは塩水噴霧→熱風乾燥
→塩水浸漬→室温放置のサイクル試験を行い同様に錆幅
が片側3mmになるまでのサイクル数を測定した。
(実施例2) グラファイト粉末として不定形の天然品を用いたこと
以外は実施例1と同様である。そして同様に隠蔽膜厚と
光沢を測定し、SST及びCCT試験を行って結果を第1表に
示す。
(比較例1) グラファイトは実施例1と同一種類のものを用い、そ
の配合量を3.5重量部とするとともにカーボンブラック
を用いないこと以外は実施例1と同様である。そして同
様に隠蔽膜厚と光沢を測定し、SST及びCCT試験を実施し
て結果を第1表に示す。
(比較例2) グラファイトを用いずカーボンブラックを3.5重量部
としたこと以外は実施例1と同様である。そして同様に
隠蔽膜厚と光沢を測定し、SST及びCCT試験を行って結果
を第1表に示す。
(評価) 第1表より、比較例1のグラファイトのみを含有する
塗料組成物は隠蔽膜厚が大きく、光沢も劣っている。そ
して塗膜形成がうまくできなかったためSST及びCCTの結
果に劣っている。また比較例2のカーボンブラックのみ
を含有する従来の塗料組成物は、隠蔽膜厚および光沢は
優れているが、SSTおよびCCTの結果が実施例より劣って
いる。一方、本発明の実施例の黒色塗料組成物は、隠蔽
膜厚および光沢は充分実用範囲にあり、得られた塗膜は
SST及びCCTとも優れた値を示し耐食性に優れていること
が明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−65549(JP,A) 特開 昭59−62679(JP,A) 日本顔料技術協会編「最新顔料便覧」 第2版(昭52−10−1)誠文堂新光社P 186−188,194,12−13

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エポキシ樹脂と、カーボンブラックと、該
    カーボンブラック1重量部に対して1.0〜5.0重量部の範
    囲でかつ該エポキシ樹脂固形分100重量部に対して5重
    量部以下のグラファイト粉末とを含有することを特徴と
    する黒色塗料組成物。
JP1232125A 1989-09-07 1989-09-07 黒色塗料組成物 Expired - Lifetime JP2573368B2 (ja)

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US4517320A (en) * 1982-08-20 1985-05-14 Ciba-Geigy Corporation Stoving lacquers containing graphite

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日本顔料技術協会編「最新顔料便覧」第2版(昭52−10−1)誠文堂新光社P186−188,194,12−13

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