JP3393927B2 - フェノール系共縮合樹脂およびフェノール系共縮合樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

フェノール系共縮合樹脂およびフェノール系共縮合樹脂組成物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は木材、紙、ゴム、合成樹
脂、無機・有機繊維、金属等の接着剤、バインダー、含
浸剤、コーチング剤および塗料ビヒクル、積層板、砥
石、シェルモールド、ブレーキ、ゴム配合用等に用いら
れるフェノール系共縮合樹脂およびフェノール系共縮合
樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】常温で硬化するフェノール系樹脂として
は、従来からメタノール、エタノール等を溶剤とし、使
用時に酸性触媒を加えて常温硬化せしめるレゾール型フ
ェノール樹脂や、1価フェノールをレゾルシン、アルキ
ルレゾルシン等の多価フェノールと共にアルデヒドと共
縮合し、使用時にアルデヒドを硬化剤として添加し、常
温硬化せしめる1価フェノール−多価フェノール共縮合
樹脂が提供されている。
【0003】1価フェノールとアルデヒドとを、アルカ
リ性触媒存在下で、加熱反応せしめ、アルカリ水溶液と
して製造される上記レゾール型フェノール樹脂は、加熱
によって硬化するが常温では硬化しない。これを常温で
硬化させるには、上記したように酸触媒を加えて酸性側
で硬化させることが必要である。しかるに、該初期縮合
物はpHが中性以下では水溶性が悪く、酸性側での初期
縮合物の溶解性を改善するため、常温硬化させる場合に
はアルコール、ケトン等の有機溶剤の溶液としなければ
ならないと云う欠点があった。他方、上記1価フェノー
ル−多価フェノール共縮合樹脂の場合は、アルデヒド硬
化剤を添加すると、pHのすべての領域において常温硬
化することが知られている。しかしこの共縮合樹脂に
は、硬化が速くて可使時間が短く取扱いが不便であると
云う欠点があった。特に多価フェノールが5ーメチルレ
ゾルシンのようなアルキルレゾルシンの場合、レゾルシ
ンの場合より硬化速度が更に速いので上記欠点は更に重
大なものとなる。
【0004】
【従来の技術】上記レゾール型フェノール樹脂の水溶性
を改良するための手段として、レゾール型フェノール樹
脂に水溶性無機亜硫酸塩を添加反応せしめてスルホアル
キル基を導入することにより、該縮合物の溶解性を改善
して若干のアルコール等の親水性有機溶剤の存在下で、
1〜10.5のpHの範囲でも水溶性を保つ縮合物が提
供されている(米国特許第2,357,798号)。ま
た上記1価フェノール−多価フェノール共縮合樹脂の硬
化速度を調節する方法として、例えばアセトン、カプロ
ラクタム等の錯化剤を添加する方法が提供されている
(特開昭47ー34892)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記レ
ゾール型フェノール樹脂の水溶性を改良するためにスル
ホアルキル化する方法では、酸性触媒の存在下において
のみフェノール樹脂が常温硬化し中性やアルカリ性下で
は常温硬化しないと云う欠点がある。また上記1価フェ
ノール−多価フェノール共縮合樹脂の硬化速度を上記錯
化剤で調節する方法では、硬化時間の遅延効果はなお不
十分であるし、該共縮合樹脂は酸性側で水溶性が悪くな
る欠点が改善されず、アルキルレゾルシンの場合この傾
向は特に顕著である。従って、アルカリ性のみならず、
中性や酸性の領域でも、出来るだけ水溶性を保ち、且つ
酸性、アルカリ性のいかんに関わらず広い領域で常温硬
化し、そして適度の硬化速度と可使時間を持つ樹脂を開
発することは、フェノール系共縮合樹脂の極めて重要な
技術的課題であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、メチロール
基を有する1価フェノール・アルデヒド初期縮合物と多
価フェノールおよび/または多価フェノール・アルデヒ
ド初期縮合物との初期共縮合物にスルホメチル基のよう
なスルホアルキル基を存在せしめると、酸性側でも水溶
性が増大すると同時に、硬化剤としてアルデヒドおよび
/またはアルデヒド供与体を添加すればすべてのpH領
域において常温硬化し、しかも共縮合物の硬化速度が遅
延し可使時間が延長される効果のあることを見いだし
た。即ち本発明は、前従来の課題を解決するための手
段として、1価フェノールとアルデヒドおよび/または
アルデヒド供与体とをアルカリ性下で縮合反応せしめて
1価フェノール・アルデヒド初期縮合物を生成し、つい
で多価フェノールおよび/または多価フェノール・アル
デヒド初期縮合物を該初期縮合物に添加して共縮合せし
めることによって1価フェノールと多価フェノールとの
アルデヒド初期共縮合物を製造するにあたり、該1価フ
ェノールとアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体
との縮合反応あるいは該多価フェノールおよび/または
多価フェノール・アルデヒド初期縮合物と該初期縮合物
との共縮合反応の前もしくは反応中もしくは反応後にス
ルホアルキル化剤を添加反応せしめるフェノール系共縮
合樹脂の製造方法および1価フェノールとアルデヒドお
よび/またはアルデヒド供与体とをアルカリ性下で縮合
反応せしめて1価フェノール・アルデヒド初期縮合物を
生成し、ついで多価フェノールおよび/または多価フェ
ノール・アルデヒド初期縮合物を該初期縮合物に添加し
て中性もしくは酸性下で共縮合せしめることによって1
価フェノールと多価フェノールとのアルデヒド初期縮合
物を製造するにあたり、該1価フェノールとアルデヒド
および/またはアルデヒド供与体との縮合反応、あるい
は該多価フェノールおよび/または多価フェノール・ア
ルデヒド初期縮合物と該初期縮合物との共縮合反応の前
もしくは反応中もしくは反応後にスルホアルキル化剤を
添加反応せしめてフェノール系共縮合樹脂を製造し、更
に該フェノール系共縮合樹脂には硬化剤としてアルデヒ
ドおよび/またはアルデヒド供与体および/またはアル
キロール化トリアゾン誘導体を添加するフェノール系共
縮合樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
【0007】以下に本発明を詳細に説明する。 [1価フェノール] 本発明における1価フェノールとは、フェノールやo−
クレゾール,m−クレゾール,p−クレゾール,エチル
フェノール,iso−プロピルフェノール,キシレノー
ル,3,5−キシレノール,ブチルフェノール,t−ブ
チルフェノール,ノニルフェノール等のアルキルフェノ
ール,o−フルオロフェノール,m−フルオロフェノー
ル,p−フルオロフェノール,o−クロロフェノール,
m−クロロフェノール,p−クロロフェノール,o−ブ
ロモフェノール,m−ブロモフェノール,p−ブロモフ
ェノール,o−ヨードフェノール,m−ヨードフェノー
ル,p−ヨードフェノール,o−アミノフェノール,m
−アミノフェノール,p−アミノフェノール,o−ニト
ロフェノール,m−ニトロフェノール,p−ニトロフェ
ノール,2,4−ジニトロフェノール,2,4,6−ト
リニトロフェノール等の1価フェノール置換体およびナ
フトール等のような1価フェノールの一種または二種以
上の混合物をいう。
【0008】[多価フェノール] 本発明の多価フェノールとは、レゾルシン,アルキルレ
ゾルシン,ピロガロール,カテコール,アルキルカテコ
ール,ハイドロキノン,アルキルハイドロキノン,フロ
ログルシン,ビスフェノール,ジヒドロキシナフタリン
等の多価フェノールの一種または二種以上の混合物であ
るが、これら多価フェノールのうち望ましいものはレゾ
ルシンまたはアルキルレゾルシンであり、特に望ましい
ものはレゾルシンよりもアルデヒドとの反応速度が速い
アルキルレゾルシンである。上記アルキルレゾルシンと
しては、例えば5−メチルレゾルシン,5−エチルレゾ
ルシン,5−プロピルレゾルシン,5−n−ブチルレゾ
ルシン,4,5−ジメチルレゾルシン,2,5−ジメチ
ルレゾルシン,4,5−ジエチルレゾルシン,2,5−
ジエチルレゾルシン,4,5−ジプロピルレゾルシン,
2,5−ジプロピルレゾルシン,4−メチル−5−エチ
ルレゾルシン,2−メチル−5−エチルレゾルシン,2
−メチル−5−プロピルレゾルシン,2,4,5−トリ
メチルレゾルシン,2,4,5−トリエチルレゾルシン
等がある。エストニア産オイルシェールの乾留によって
得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5ー
メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾ
ルシンを多量に含むので、本発明に最も好ましい多価フ
ェノール原料である。
【0009】[アルデヒド供与体] 本発明におけるアルデヒドおよび/またはアルデヒド供
与体とは、アルデヒド並びに分解するとアルデヒドを生
成供与する化合物を意味し、ホルマリン,ホルムアルデ
ヒド,パラホルムアルデヒド,トリオキサン,アセトア
ルデヒド,プロピオンアルデヒド,ポリオキシメチレ
ン,クロラール,ヘキサメチレンテトラミン,フルフラ
ール,グリオキザール,n−ブチルアルデヒド,カプロ
アルデヒド,アリルアルデヒド,ベンツアルデヒド,ク
ロトンアルデヒド,アクロレイン,テトラオキシメチレ
ン,フェニルアセトアルデヒド,o−トルアルデヒド,
サルチルアルデヒド等の一種または二種以上の混合物が
例示される。
【0010】[スルホアルキル化剤] 本発明において使用されるスルホアルキル化剤として
は、亜硫酸、重亜硫酸またはメタ重亜硫酸とアルカリ金
属またはトリメチルアミンやベンジルトリメチルアンモ
ニウム等の第四級アミンまたは第四級アンモニウムとの
水溶性亜硫酸塩や、これらの水溶性亜硫酸塩とアルデヒ
ドとの反応によって得られるヒドロキシメタンスルホン
酸塩等のヒドロキシアルカンスルホン酸が例示される。
該水溶性亜硫酸塩は1価フェノール・アルデヒド初期縮
合物(A)と多価フェノールおよび/または多価フェノ
ール・アルデヒド初期縮合物(B)との初期共縮合物
(C)のメチロール基と反応してスルホメチル基を生成
するか、あるいは上記縮合物(A)および/または初期
縮合物(B)を縮合させる際に、まずアルデヒドと反応
してヒドロキシアルカンスルホン酸塩を形成し、ついで
フェノールと反応してスルホアルキル基を生成する。し
たがって、水溶性亜硫酸塩の代わりにヒドロキシメタン
スルホン酸塩等のヒドロキシアルカンスルホン酸塩もス
ルホアルキル化剤として利用出来る。
【0011】[第三成分] 本発明においては、1価フェノール、多価フェノール、
アルデヒド供与体、スルホアルキル化剤、縮合触媒、錯
化剤以外に第三成分として、所望なれば尿素,メラミ
ン,チオ尿素,ベンゾグアナミン,トルエン,キシレ
ン,クマロン,シクロヘキサノン,カシューオイル,タ
ンニン類,ダンマー,セラック,ロジンまたはロジン誘
導体,石油樹脂,メタノール,エタノール,イソプロパ
ノール,n−ブタノール,イソブタノール,エチレング
リコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコ
ール,グリセリン,フルフリルアルコール,アマニ油,
桐油,ひまし油等の一種または二種以上を共縮合剤また
は変性剤として、縮合または共縮合の反応開始時、反応
中、あるいは反応終了後、添加、変性してもさしつかえ
ない。
【0012】[フェノール系共縮合樹脂の製造] 本発明のフェノール系共縮合樹脂は、1価フェノールと
アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体との縮合反
応による1価フェノール・アルデヒド初期縮合物(A)
の生成、および該初期縮合物(A)と多価フェノールお
よび/または多価フェノール・アルデヒド初期縮合物
(B)との共縮合反応による初期共縮合物(C)の生成
と言う2段階の縮合反応およびスルホアルキル化反応に
よって製造される。最初の縮合段階では、1価フェノー
ル1モルとアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体
1〜4モルに、必要ならば溶剤、第三成分を添加し、ア
ルカリ化合物を添加してpHを8〜11に調製し、液温
55〜100℃で8〜20時間加熱反応せしめ、メチロ
ール基を有する1価フェノール・アルデヒド初期縮合物
(A)を得る。このときアルデヒドおよび/またはアル
デヒド供与体は、反応開始時に全量加えてもよいし、分
割添加または連続滴下してもよい。上記縮合反応系に使
用されるアルカリ化合物としては例えばアルカリ金属、
アルカリ土類金属等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、酢酸
塩、リン酸塩等の塩類やアミン類等が用いられ、例えば
水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化バリウム,
水酸化カルシウム,炭酸ナトリウム,石灰,亜硫酸ナト
リウム,亜硫酸カリウム,亜硫酸リチウム,酢酸ナトリ
ウム,リン酸ナトリウム,アンモニア,トリメチルアミ
ン,トリエチルアミン,モノエタノールアミン,ジエタ
ノールアミン,トリエタノールアミン,ヘキサメチレン
テトラミン,ピリジン等のアルカリ化合物が使用され
る。亜硫酸アルカリ金属塩を使用した場合にはアルカリ
化合物としてのみならずスルホアルキル化剤としても作
用する。上記アルカリ化合物の添加量は、1価フェノー
ルの重量に対して数%以下、通常6%以下の量で添加さ
れる。縮合の第2段階では、第1段階の初期縮合物
(A)に多価フェノールおよび/または多価フェノール
・アルデヒド初期縮合物(B)を添加し、更に必要なら
ばアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体、溶剤、
第三成分を添加し、液温60〜110℃で1〜10時間
加熱反応せしめて初期共縮合物Cを製造する。ここに添
加される多価フェノールの総量は、初期共縮合樹脂
(C)の溶解性を改善しかつ硬化速度の遅延を図るため
には、1価フェノール1モルに対し通常0.01〜3モ
ルであり、また更に該初期共縮合樹脂(C)を硬化剤を
使用して常温硬化させるためには通常0.2モル以上、
望ましくは0.3モル以上である。上記共縮合反応は初
期縮合物(A)を生成する場合と同様にアルカリ性下で
行なわれるか、あるいは中性もしくは酸性下で行なわれ
る。該共縮合反応をアルカリ性に調節するには、初期縮
合物(A)を縮合する際に使用したものと同様なアルカ
リ化合物が使用出来、また中性ないし酸性に調節するに
は、例えば塩酸、硼酸、蓚酸、蟻酸、酢酸、乳酸、酪
酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、
ベンゼンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナ
フタリン−β−スルホン酸等の無機または有機酸、ある
いは蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエステル類、マ
レイン酸無水物、フタル酸無水物等の酸無水物、塩化ア
ンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、蓚
酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウ
ム、チオシアン酸アンモニウム、イミドスルホン酸アン
モニウム等のアンモニウム塩類、モノクロル酢酸および
そのナトリウム塩、α,α’ジクロロヒドリン等の有機
ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニ
リン等のアミン類の塩酸塩、サリチル酸尿素アダクト、
ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿素アダクト等
の尿素アダクト、N−トリメチルタウリン、塩化亜鉛、
塩化第2鉄等の酸性化合物が使用される。また共縮合反
応に使用される多価フェノール・アルデヒド初期縮合物
(B)は、多価フェノール1モルに対しアルデヒド供与
体0.1〜0.7モルの割合で加え、必要ならば溶剤、
錯化剤、第三成分を添加し、pH1〜12好ましくはp
H3〜11、液温60〜110℃で1〜10時間加熱反
応せしめて得られる初期縮合物である。本発明におい
て、初期縮合物(B)の縮合反応の際および/または初
期共縮合物(C)の共縮合反応の際、多価フェノールと
アルデヒドとの反応性を緩和する錯化剤を添加してもよ
い。かかる錯化剤としては、多価フェノールのヒドロキ
シル基に対して錯化形成能をもつケトン基またはアミド
基等を有する化合物があげられ、例えばアセトン、カプ
ロラクタム等が例示され、特にアセトンは好ましい錯化
剤である。錯化剤の添加量は特に制限はないが、通常多
価フェノール1モルに対し錯化剤0.4〜0.8モル程
度が望ましい。本発明において溶媒として通常水が用い
られるが、必要ならば更にメタノール,エタノール,イ
ソプロパノール,n−プロパノール,イソプロパノー
ル,n−ブタノール,イソブタノール,sec−ブタノ
ール,t−ブタノール,n−アミルアルコール,イソ−
アミルアルコール,n−ヘキサノール,メチルアミルア
ルコール,2−エチルブタノール,n−ヘプタノール,
n−オクタノール,トリメチルノニルアルコール,シク
ロヘキサノール,ベンジルアルコール,フルフリルアル
コール,テトラヒドロフルフリルアルコール,アビエチ
ルアルコール,ジアセトンアルコール等のアルコール
類、アセトン,メチルアセトン,メチルエチルケトン,
メチル−n−プロピルケトン,メチル−n−ブチルケト
ン,メチルイソブチルケトン,ジエチルケトン,ジ−n
−プロピルケトン,ジイソブチルケトン,アセトニルア
セトン,メチルオキシド,シクロヘキサノン,メチルシ
クロヘキサノン,アセトフェノン,ショウノウ等のケト
ン類、エチレングリコール,ジエチレングリコール,ト
リエチレングリコール,プロピレングリコール,トリメ
チレングリコール,ポリエチレングリコール等のグリコ
ール類、エチレングリコールモノメチルエーテル,エチ
レングリコールモノエチルエーテル,エチレングリコー
ルイソプロピルエーテル,ジエチレングリコールモノメ
チルエーテル,トリエチレングリコールモノメチルエー
テル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールジ
アセテート,ジエチレングリコールモノエチルエーテル
アセテート等の上記グリコール類のエステル類やその誘
導体、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ジエチルセ
ロソルブ,ジエチルカルビトール,エチルラクテート,
イソプロピルラクテート,ジグリコールジアセテート,
ジメチルホルムアミド等の水可溶性有機溶剤の単独また
は2種以上の混合物を添加使用出来る。アセトン等は溶
剤であると同時に、アルキルレゾルシンの錯化剤として
も作用し、より穏やかな反応をもたらす。スルホアルキ
ル化は、第1段階の1価フェノールとアルデヒドおよび
/またはアルデヒド供与体との縮合において、もしくは
第2段階の1価フェノール・アルデヒド初期縮合物
(A)と多価フェノールおよび/または多価フェノール
・アルデヒド初期縮合物(B)との共縮合において、あ
るいは多価フェノールとアルデヒドおよび/またはアル
デヒド供与体との縮合において、反応の前もしくは反応
中もしくは反応後に上記スルホアルキル化剤を添加し加
熱反応して行われる。しかしメチロール基を持たない多
価フェノール縮合物の場合には、特にアルキルレゾルシ
ンの場合、多価フェノールとアルデヒドおよび/または
アルデヒド供与体との縮合段階でのスルホアルキル化は
多価フェノールの少ない官能性をさらに低下させる恐れ
があるので好ましい方法ではない。スルホアルキル化剤
の添加量は、通常1価フェノール1モルに対しスルホア
ルキル化剤0.001〜1.5モルであるが、縮合後の
初期共縮合物の硬化性、硬化後の樹脂の物性等の性能を
良好に保持するためには、スルホアルキル化剤の添加量
が0.01〜0.8モル程度であることが望ましい。こ
のようにして1価フェノール・多価フェノール・アルデ
ヒド初期共縮合物(C)のメチロール基の一部とスルホ
アルキル化剤とが反応して、あるいはスルホアルキル化
剤がヒドロキシアルカンスルホン酸塩の場合には該初期
共縮合物(C)のフェノールの一部と反応してスルホア
ルキル基が形成され、本発明のフェノール系共縮合樹脂
が製造される。
【0013】[フェノール系共縮合樹脂の硬化] 本発明のフェノール系共縮合樹脂であるスルホアルキル
化された1価フェノール・多価フェノール・アルデヒド
初期共縮合物(C)に、アルデヒドおよび/またはアル
デヒド供与体、あるいはアルキロール化トリアゾン誘導
体等の硬化剤を添加混合すると、pHのすべての領域で
常温硬化する。上記アルデヒドとしてはホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド等が例示され、またアルデヒド供
与体としてはパラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテ
トラミン等が例示される。アルキロール化トリアゾン誘
導体は尿素系化合物と、アミン類と、アルデヒドおよび
/またはアルデヒド供与体との反応によって得られる。
アルキロール化トリアゾン誘導体の製造に使用される尿
素系化合物として尿素、チオ尿素、メチル尿素等のアル
キル尿素、メチルチオ尿素等のアルキルチオ尿素、フェ
ニル尿素、ナフチル尿素、ハロゲン化フェニル尿素、ニ
トロ化アルキル尿素等の単独または2種以上の混合物が
例示される。特に望ましい尿素系化合物は尿素またはチ
オ尿素である。またアミン類としてメチルアミン、エチ
ルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチ
ルアミン、アミルアミン等の脂肪族アミン、ベンジルア
ミン、フルフリルアミン、エタノールアミン、エチレン
ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンテ
トラミン等のアミン類のほか更にアンモニアが例示さ
れ、これらは単独または2種以上の混合物として使用さ
れる。上記アルキロール化トリアゾン誘導体の製造に使
用されるアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体は
本発明の多価フェノール系共縮合樹脂に使用されると同
様なものである。またアルキロール化トリアゾン誘導体
の合成には、通常尿素系化合物1モルに対してアミン類
および/またはアンモニア0.1〜1.2モル、アルデ
ヒドおよび/またはアルデヒド供与体1.5〜4.0モ
ルの割合で反応させる。上記反応の際、これらの添加順
序は任意であり、好ましい反応方法は、まずアルデヒド
および/またはアルデヒド供与体の所要量を反応器に加
えられ、通常60℃以下の温度に保ちながらアミン類お
よび/またはアンモニアの所要量が徐々に加えられ、更
に所要量の尿素系化合物を添加し、80〜90℃で2〜
3時間攪拌加熱して反応せしめる。アルデヒドおよび/
またはアルデヒド供与体としては通常37%ホルマリン
が用いられるが、反応生成物の濃度をあげるためにその
一部をパラホルムアルデヒドに置き換えても良い。また
ヘキサメチレンテトラミンを用いると、より高い固形分
の反応生成物が得られる。尿素系化合物とアミン類およ
び/またはアンモニアとアルデヒドおよび/またはアル
デヒド供与体との反応は通常水溶液で行われるが、水の
一部または全部がメタノール、エタノール、イソプロパ
ノール,n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール等のアルコール類の単独または2種以上
の混合物であっても差し支えないし、またアセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類等の水可溶性有機溶剤の
単独または2種以上の混合物を添加使用できる。上記硬
化剤の添加量はアルデヒドおよびアルデヒド供与体の場
合は初期共縮合物(C)100重量部に対して10〜1
00重量部、アルキロール化トリアゾン誘導体の場合は
初期共縮合物(C)100重量部に対して10〜500
重量部である。上記フェノール系共縮合樹脂の硬化速度
は、スルホアルキル化されない同じ構造を持つ初期共縮
合物に比べて遅くなり可使時間は延長する。また該初期
共縮合物(C)の硬化は必要ならば加熱下で行うことも
出来、高周波加熱は特に有効な手段である。加熱硬化の
場合、該初期共縮合物(C)中の多価フェノール成分に
比し十分なメチロール基が存在すれば上記硬化剤の添加
は必ずしも必要ではない。アルデヒド供与体がヘキサメ
チレンテトラミンのごとく常温で安定な場合には、その
分解温度以上に加熱することが必要となる。また本発明
においては、硬化の際に酸性またはアルカリ性の化合物
を硬化触媒として加えても差し支えない。上記酸性の硬
化触媒としては、例えば塩酸、硫酸、蓚酸、蟻酸、酢
酸、乳酸、酪酸、パラトルエンスルホン酸、フェノール
スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタリン−α−ス
ルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の無機または
有機酸、あるいは蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエ
ステル類、マレイン酸無水物、フタル酸無水物等の酸無
水物、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アン
モニウム、蓚酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン
酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、イミドス
ルホン酸アンモニウム等のアンモニウム塩類、モノクロ
ル酢酸およびそのナトリウム塩、α,α’ジクロロヒド
リン等の有機ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸
塩、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、サリチル酸尿
素アダクト、ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿
素アダクト等の尿素アダクト、N−トリメチルタウリ
ン、塩化亜鉛、塩化第2鉄等がある。また上記アルカリ
性の硬化触媒としては、例えばアルカリ金属、アルカリ
土類金属等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、アミン類等が
用いられ、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化
バリウム,水酸化カルシウム,炭酸ナトリウム,石灰,
亜硫酸ナトリウム,酢酸ナトリウム,リン酸ナトリウ
ム,アンモニア,トリメチルアミン,トリエチルアミ
ン,モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,トリ
エタノールアミン,ヘキサメチレンテトラミン,ピリジ
ン等のアミン類等が例示される。さらに、硬化の際必要
ならば1価フェノール系樹脂,多価フェノール系樹脂,
尿素系樹脂,メラミン系樹脂等のアミノ系樹脂、天然ゴ
ムおよびその誘導体,スチレン−ブタジエンゴム,アク
リロニトリル−ブタジエンゴム,クロロプレンゴム,エ
チレン−プロピレンゴム,イソプレンゴム,イソプレン
−イソブチレンゴム等の合成ゴム、酢酸ビニル,プロピ
オン酸ビニル,スチレン,アクリルエステル,メタクリ
ルエステル,アクリロニトリル,アクリル酸,メタクリ
ル酸,マレイン酸,塩化ビニル,塩化ビニリデン,ビニ
ルピリジン等のビニル単量体の単独重合体またはこれら
ビニル単量体の2種以上の共重合体、ポリウレタン,ポ
リアミド,エポキシ樹脂,ブチラール樹脂,ポリエチレ
ン,ポリプロピレン,酢酸ビニル−エチレン共重合体,
塩素化ポリエチレン,塩素化ポリプロピレン,ポリエス
テル等の各種合成樹脂のエマルジョンやラテックスある
いは水溶液、またポリビニルアルコール,アルギン酸ナ
トリウム,澱粉,澱粉誘導体,ニカワ,ゼラチン,血
粉,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,
ヒドロキシエチルセルロース,ポリアクリル酸塩,ポリ
アクリルアミド等の水溶性高分子や天然ガム類、更に炭
酸カルシューム,タルク,石膏,カーボンブラック,木
粉,クルミ粉,ヤシガラ粉,小麦粉,米粉等の充填剤、
界面活性剤、ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪
酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の
高級アルコール、ブチリルステアレート、グリセリンモ
ノステアレート等の脂肪酸のエステル類、脂肪酸アミド
類、カルナバワックス等の天然ワックス類、合成ワック
ス類、パラフィン類、パラフィン油、シリコンオイル、
シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、グ
リス等の離型剤、顔料,染料,難燃剤,防炎剤、防虫
剤,防腐剤,老化防止剤,紫外線吸収剤やDBP,DO
P,ジシクロヘキシルフタレートのようなフタール酸エ
ステル系可塑剤やその他のトリクレジルホスフェート等
の可塑剤等の第三成分を該縮合物に添加して共縮合や混
合等により該共縮合物を変性させてもよい。
【0014】
【作用】本発明の1価フェノール・多価フェノール・ア
ルデヒド初期共縮合物(C)において、多価フェノール
成分は主として縮合物分子の末端に位置するので、1価
フェノール分子が末端に位置する場合よりもアルデヒド
との反応性が高く常温硬化し易い。しかし、主として1
価フェノール成分中に存在するスルホアルキル基の影響
で、スルホアルキル基の存在しない場合より硬化速度は
遅延し可使時間が延長される。また、スルホアルキル化
により共縮合物の水溶性が改善され、広いpH領域で安
定な水溶液が得られるが中性になると硬化速度が更に遅
延する。
【0015】
【実施例】〔実施例1〕 温度計、冷却管、攪拌機を備えた反応容器中にフェノー
ル1モル(94g)、37%ホルマリン2モル(162
g)、水酸化ナトリウム0.1モル(4g)および亜硫
酸ナトリウム0.3モル(37.8g)を加え攪拌し
ながら80℃で10時間反応させ、スルホアルキル化さ
れた1価フェノール・アルデヒド初期縮合物(A)を得
る。この初期縮合物に5−メチルレゾルシン(B)0
1モル(12.5g)を加え、更に4時間反応させて、
pH8.8の初期共縮合物(C)を得た。該初期共縮合
物(C)をS−1とする。
【0016】〔比較例1〕 実施例1で用いた水酸化ナトリウムを0.4モル(16
g)および37%ホルマリンを1.7モル(137.7
g)とし、又亜硫酸ナトリウムは添加せず他のすべての
条件は実施例1と同様にして反応を行い、pH8.8の
初期共縮合物を得た。該初期共縮合物をS’−1とす
る。
【0017】〔比較例1A〕 比較例1と同様の条件でスルホアルキル化されていない
1価フェノール・アルデヒド初期縮合物を得る。この初
期縮合物に5−メチルレゾルシン0.1モル(12.5
g)と錯化剤としてアセトン0.07モル(4.06
g)を加え、他のすべての条件は実施例1と同様にして
反応を行い、pH8.8の初期共縮合物を得た。該初期
共縮合物をS’−1Aとする。
【0018】〔実施例2〕 実施例1の5−メチルレゾルシン0.1モルをレゾルシ
ン(B)0.1モル(11g)に代え、他はすべて実施
例1と同一条件下で反応せしめ、pH8.7の初期共縮
合物(C)を得た。該初期共縮合物(C)をS−2とす
る。
【0019】〔比較例2〕 実施例2で用いられた水酸化ナトリウムを0.4モル
(16g)、37%ホルマリンを1.7モル(137.
7g)とし、又亜硫酸ナトリウムは添加せず、他のすべ
ての条件は実施例2と同様にして反応を行い、pH8.
7の初期共縮合物を得た。該初期共縮合物をS’−2と
する。
【0020】実施例1、2および比較例1、1A,2で
得られた初期共縮合物S−1,S−2,S’−1,S’
−1A,S’−2を酢酸でpH8.5に調整したのち、
各初期共縮合物の100重量部に対して、92%パラホ
ルムアルデヒド10重量部を加え、25℃での硬化時間
をJIS K−6802の測定法に準じて測定し、表1
の結果を得た。
【表1】
【0021】〔実施例3〕 実施例1と同様な反応容器中に、フェノール1モル(9
4g)、37%ホルマリン1.5モル(121.5g)
および水酸化ナトリウム0.1モル(4g)を投入し、
80℃で10時間反応させ、ついで亜硫酸ナトリウム
0.1モル(12.6g)を加えて95℃で6時間反応
させてスルホアルキル化された1価フェノール・アルデ
ヒド初期縮合物(A)を得る。別に2,5ジメチルレゾ
ルシン0.2モル(28g)、37%ホルマリン0.1
2モル(9.7g)および水酸化ナトリウム0.04モ
ル(1.6g)を混合し、90℃で8時間反応させて、
多価フェノール・アルデヒド初期縮合物(B)を得る。
ついで、上記スルホアルキル化された1価フェノール・
アルデヒド初期縮合物(A)に上記多価フェノール・ア
ルデヒド初期縮合物(B)を加え、80℃で2時間反応
させ、pH9.0の初期共縮合物(C)を得た。該初期
共縮合物(C)をS−3とする。
【0022】〔比較例3〕 フェノール1モル(94g)、37%ホルマリン1.4
モル(113.5g)および水酸化ナトリウム0.2モ
ル(8g)を混合し、80℃で10時間反応させ、スル
ホアルキル化されていない1価フェノール・アルデヒド
初期縮合物を得る。別に実施例3と全く同じ多価フェノ
ール・アルデヒド初期縮合物をつくり、上記スルホアル
キル化されていない1価フェノール・アルデヒド初期縮
合物にこの多価フェノール・アルデヒド初期縮合物を加
え、80℃で2時間反応させ、pH8.9の初期共縮合
物を得た。該初期共縮合物をS’−3とする。
【0023】実施例3および比較例3で得られた初期共
縮合物S−3,S’−3を酢酸でpH8.0に調整した
のち、各初期共縮合物の100重量部に対して、92%
パラホルムアルデヒド10重量部を加え、25℃での硬
化時間をJIS K−6802の測定法に準じて測定
し、表2の結果を得た。
【表2】
【0024】〔実施例4〕 実施例1と同様の反応容器中にクレゾール1モル(10
8g)、37%ホルマリン1.8モル(145.8g)
および水酸化ナトリウム0.2モル(8g)を加え、9
0℃で6時間反応させ、1価フェノール・アルデヒド初
期縮合物(A)をつくる。別にエストニア産オイルシェ
ールの乾留で得られたシェールオイルレゾルシンを精製
したアルキルレゾルシン(留分270〜290℃)0.
8モル(118.4g)、37%ホルマリン0.4モル
(32.4g)を加え70℃で6時間反応させ、多価フ
ェノール・アルデヒド初期縮合物(B)をつくる。更に
上記1価フェノール・アルデヒド初期縮合物(A)に上
記多価フェノール・アルデヒド初期縮合物(B)と亜硫
酸ナトリウム0.12モル(15.12g)を加えて9
0℃で4時間反応させ、pH8.8の初期共縮合物
(C)を得た。該初期共縮合物をS−4とする。
【0025】〔比較例4〕 実施例4の1価フェノール・アルデヒド初期縮合物と多
価フェノール・アルデヒド初期縮合物に、亜硫酸ナトリ
ウムは使用せず、他の条件はすべて実施例4と同様な条
件で反応させて得られたスルホアルキル化されていない
pH8.7の初期共縮合物を得た。該初期共縮合物を
S’−4とする。
【0026】実施例4および比較例4で得られた初期共
縮合物S−4,S’−4を酢酸でpH8.5に調整した
のち、各初期共縮合物の100重量部に対して、92%
パラホルムアルデヒド10重量部を加え、25℃での硬
化時間をJIS K−6802の測定法に準じて測定
し、表3の結果を得た。
【表3】 表1〜3からスルホアルキル化された1価フェノール・
多価フェノール初期共縮合物S−1,S−2,S−3,
S−4は、アルデヒド供与体を硬化剤として加えると常
温硬化し、その硬化速度はスルホアルキル化されない同
一構造の初期共縮合物S’−1,S’−2,S’−3,
S’−4よりも遅くなること、スルホアルキル化の遅延
効果(実施例1,S−1)は錯化剤の効果(比較例1
A,S’−1A)よりも高いこと、および共縮合される
多価フェノールがアルキルレゾルシン(実施例1)の場
合、硬化速度の遅延効果はレゾルシン(実施例2,S−
2)の場合よりはるかに大きく、スルホアルキル基の導
入がアルキルレゾルシン初期共縮合物に対する効果的な
硬化遅延方法であることがわかる。
【0027】〔実施例5〕 実施例1の5−メチルレゾルシンの代わりに、エストニ
ア産オイルシェールの乾留で得られた粗製アルキルレゾ
ルシン0.1モル(15g)を加え、実施例1と同じ方
法で初期共縮合物(C)を得る。ついで、尿素1モル
(60g)と37%ホルマリン1.5モル(121.5
g)との混合物を水酸化ナトリウムでpH8.0に調整
し、攪拌しながら90℃で2.5時間加熱縮合して尿素
樹脂を得た。この尿素樹脂100重量部に上記初期共縮
合物(C)を50重量部加えて混合し、上記スルホアル
キル化フェノール系共縮合樹脂変性尿素樹脂を得た。こ
の樹脂をS−5とし、該樹脂100重量部に塩化アンモ
ン1重量部を加えても安定で、均一の樹脂として硬化す
るので、合板用接着剤として使用出来る。
【0028】〔比較例5〕 比較例1の5−メチルレゾルシンの代わりに、エストニ
ア産オイルシェールの乾留で得られた粗製アルキルレゾ
ルシン0.1モル(15g)を加え、比較例1と同じ方
法で初期共縮合物を得る。ついで、実施例5と同じ方法
で尿素樹脂をつくり、この尿素樹脂100重量部に上記
初期共縮合物を50重量部加えて、混合し、スルホアル
キル化されていないフェノール系共縮合樹脂変性尿素樹
脂(以下変性尿素樹脂と云う)を得た。この変性尿素樹
脂をS’−5とし、該変性尿素樹脂100重量部に塩化
アンモン1重量部を加えると樹脂分が分離し以後接着剤
としての使用は困難となった。
【0029】実施例5で得られたスルホアルキル化フェ
ノール系共縮合樹脂変性尿素樹脂S−5を用い、下記の
如く合板を作成してその接着力を測定した。 配 合 スルホアルキル化フェノール系 共縮合樹脂変性尿素樹脂 S−5 100重量部 小麦粉 20 塩化アンモン 1 接着条件 材 ラワン 単板構成 1−1.5−1mmの3プライ 単板水分 10% 塗布量 30g/30cm2 冷圧 10 kgf/cm2 熱圧 120℃,10 kgf/cm2 ,3分 構造用合板の日本農林規格による試験結果 常態接着力(木破率) 10.4 kgf/cm2 (100%) 煮沸繰り返し接着力 10.3 〃 (100%) 72時間連続煮沸試験 8.4 〃 ( 80%)
【0030】〔実施例6〕 実施例1と同様な反応器中に、フェノール1モル(94
g)、37%ホルマリン1.5モル(121.5g)お
よび亜硫酸ナトリウム0.05モル(6.3g)、重亜
硫酸ナトリウム0.15モル(15.6g)を投入し、
70℃で10時間反応させてスルホアルキル化された1
価フェノール・アルデヒド初期縮合物(A)を得る。上
記スルホアルキル化された1価フェノール・アルデヒド
初期縮合物(A)を塩酸でpH4に調節した後、5−メ
チルレゾルシン0.6モル(75g)を加え、100℃
で3時間反応させpH3.8の初期共縮合物(C)を得
た。該初期共縮合物(C)をS−6とする。
【0031】〔実施例7〕 5−メチルレゾルシン0.6モル(75g)、37%ホ
ルマリン0.24モル(19.44g)および水酸化ナ
トリウム0.01モル(0.4g)を混合して反応させ
ることによって得られた5−メチルレゾルシン・ホルム
アルデヒド初期縮合物(B)を、実施例6で得られたス
ルホアルキル化された1価フェノール・アルデヒド初期
縮合物(A)に加え、これを塩酸でpH5に調節して1
00℃で2.5時間反応させ、pH4.5の初期共縮合
物(C)を得た。該初期共縮合物(C)をS−7とす
る。
【0032】実施例6で得られた初期共縮合物S−6の
100重量部に対して50%アルキロール化トリアゾン
誘導体50重量部を加えた混合物を麻フェルトにその重
量の10%になるようにスプレー塗布し、80℃で乾燥
させた麻レジンフェルトを130℃で45秒間熱圧し、
厚さ2.5mm、密度0.7のフェルト成形物を製造し
た。該フェルト成形物の曲げ強さは450 kgf/cm2
あり、強度の高いフェルト成形物が得られた。更に上記
80℃で乾燥させた麻レジンフェルトを30日間30℃
で保存し、その後同様にして成形したところ曲げ強さ
20 kgf/cm2 のフェルト成形物が得られた。上記試験
によって、麻レジンフェルトは長期にわたって良好な成
形性を保持することが確かめられた。
【0033】実施例7で得られた初期共縮合物S−7の
100重量部に対してヘキサメチレンテトラミン20重
量部およびヤシ粉20重量部を混合し、該混合物を用い
て下記の接着条件で合板を作成し、その接着力を測定し
た。 接着条件 材 カポール 単板構成 1−1.5−1mmの3プライ 単板水分 10% 塗布量 30g/30cm2 冷圧 10 kgf/cm2 熱圧 120℃,10 kgf/cm2 ,3分 構造用合板の日本農林規格による試験結果 常態接着力(木破率) 15.3 kgf/cm2 (100%) 煮沸繰り返し接着力 15.2 〃 (100%) 72時間連続煮沸試験 12.0 〃 ( 95%)
【0034】
【発明の効果】したがって本発明においては常温で硬化
可能でかつ長い可使時間を有し作業性が良好なフェノー
ル系共縮合樹脂が得られ、該共縮合樹脂は良好な水溶性
を有し、そのままもしくは小量の水溶性溶剤を添加し
て、アルカリ性、中性、酸性側の広範な領域で水性溶液
として常温あるいは加熱硬化出来る。また、本発明の共
縮合樹脂は尿素系樹脂、メラミン系樹脂、尿素メラミン
系樹脂、尿素フェノール系樹脂、メラミンフェノール系
樹脂等のアミノ系樹脂と容易に混合し、該混合物は酸性
硬化触媒を添加しても分離せず、したがって酸性硬化触
媒を添加するかあるいは酸性硬化剤を添加することな
く、必要ならば更にアルデヒドおよび/またはアルデヒ
ド供与体からなる硬化剤を加え常温または加熱硬化させ
ると、耐水、耐油、耐候性の良好な変性アミノ系樹脂硬
化物が得られる。更に、本発明のフェノール系共縮合樹
脂の水溶液が中性でも安定であること、およびその硬化
速度がpHに依存して中性付近で大幅に遅延することを
利用し、スルホアルキル基の導入による直接的な硬化速
度の遅延効果に加えて、pHを中性付近へ移動させるこ
とによる硬化速度の遅延効果を期待出来る。即ち、本発
明による初期共縮合樹脂は、アルデヒドおよび/または
アルデヒド供与体あるいはアルキロール化トリアゾン誘
導体等の硬化剤を加えると、酸性のみならず中性やアル
カリ性の領域でも常温硬化し、また適度に硬化速度と可
使時間を調整出来るので作業性は極めて良好である。特
に共縮合反応を中性あるいは酸性側で行なったフェノー
ル系共縮合樹脂は、硬化剤としてヘキサメチレンテトラ
ミンやアルキロール化トリアゾン誘導体を用いると、常
温では長時間安定であるが、加熱すれば約100〜14
0℃程度の低温でも短時間に硬化し、またフェノール系
縮合物の通常の硬化温度(200℃)では硬化時間が更
に短縮されて作業性が顕著に改善され、また耐水、耐候
性に優れた非常に強度の高い硬化物を生成する。上記し
たように本発明のフェノール系共縮合樹脂の硬化物は強
度が高く、耐水、耐油、耐候性が優れ、その硬化性と生
成樹脂の物性から、木材,竹,合板,集成材,パーチク
ルボード,ファイバーボード,OSB,紙,段ボール、
フェルト,不織布,編織物、竹繊維,ガラス繊維,岩
綿,アラミド繊維,セラミック繊維あるいはカーボン繊
維等の有機・無機繊維製品、合成樹脂の成型品、シー
ト、フィルム、フォーム、金属等の各種有機物、無機物
材料の接着剤、バインダー、コーチング剤、塗料ビヒク
ル、積層板、砥石、シェルモールド、ブレーキ、ゴム配
合用等として利用出来る。特に本発明のフェノール系共
縮合樹脂の硬化物からなる構造材はドアトリム、ダッシ
ュボード、天井材、インシュレーターフード、ダッシュ
インナー、ダッシュアウター、エンジンアンダーカバ
ー、トランクサイドトリム等の車両用の内装材、あるい
は建築用材料等に特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−255119(JP,A) 特開 昭56−50915(JP,A) 特開 昭52−108493(JP,A) 特開 昭49−104993(JP,A) 特開 平4−298515(JP,A) 特開 昭52−69996(JP,A) 特公 昭33−9490(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 8/00 - 8/38 C08L 61/04 - 61/16 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1価フェノールとアルデヒドおよび/また
    はアルデヒド供与体とをアルカリ性下で縮合反応せしめ
    て1価フェノール・アルデヒド初期縮合物を生成し、つ
    いで多価フェノールおよび/または多価フェノール・ア
    ルデヒド初期縮合物を該初期縮合物に添加して共縮合せ
    しめることによって1価フェノールと多価フェノールと
    のアルデヒド初期共縮合物を製造するにあたり、該1価
    フェノールとアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与
    体との縮合反応あるいは該多価フェノールおよび/また
    は多価フェノール・アルデヒド初期縮合物と該初期縮合
    物との共縮合反応の前もしくは反応中もしくは反応後に
    スルホアルキル化剤を添加反応せしめることを特徴とす
    るフェノール系共縮合樹脂の製造方法
  2. 【請求項2】該1価フェノール・アルデヒド初期縮合物
    と、該多価フェノールおよび/または多価フェノール・
    アルデヒド初期縮合物との共縮合反応は中性もしくは酸
    性下で行なわれる請求項1に記載のフェノール系共縮合
    樹脂の製造方法
  3. 【請求項3】1価フェノールとアルデヒドおよび/また
    はアルデヒド供与体とをアルカリ性下で縮合反応せしめ
    て1価フェノール・アルデヒド初期縮合物を生成し、つ
    いで多価フェノールおよび/または多価フェノール・ア
    ルデヒド初期縮合物を該初期縮合物に添加して中性もし
    くは酸性下で共縮合せしめることによって1価フェノー
    ルと多価フェノールとのアルデヒド初期縮合物を製造す
    るにあたり、該1価フェノールとアルデヒドおよび/ま
    たはアルデヒド供与体との縮合反応、あるいは該多価フ
    ェノールおよび/または多価フェノール・アルデヒド初
    期縮合物と該初期縮合物との共縮合反応の前もしくは反
    応中もしくは反応後にスルホアルキル化剤を添加反応せ
    しめてフェノール系共縮合樹脂を製造し、更に該フェノ
    ール系共縮合樹脂には硬化剤としてアルデヒドおよび/
    またはアルデヒド供与体および/またはアルキロール化
    トリアゾン誘導体を添加することを特徴とするフェノー
    ル系共縮合樹脂組成物の製造方法
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