JP4266265B2 - 樹脂組成物および成形材料および成形物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば含浸材、バインダー、塗料、接着剤等に使用される樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた成形材料および成形物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、フェノール樹脂は繊維シート等の含浸材、木片、繊維材料等のバインダー、塗料、接着剤等として使用されているが、該フェノール樹脂を硬化させるための硬化剤として、ホルムアルデヒドや、ヘキサメチレンテトラミン等のホルムアルデヒド供与体が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような硬化剤を使用した場合には、硬化時にホルムアルデヒドを放出し易く、また硬化後にもフェノール樹脂中にホルムアルデヒドが残存し易く、該フェノール樹脂を含浸した成形材料を硬化した成形物等からホルムアルデヒドが放出されることによって、環境が汚染されるという問題点があった。
したがって、本発明の課題は、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドを放出しない樹脂組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、フェノール樹脂水溶液に多価イソシアナートを分散せしめた樹脂組成物を提供するものである。該樹脂組成物においては、該多価イソシアナートが該フェノール樹脂の硬化剤として作用するため、ホルムアルデヒドやヘキサメチレンテトラミン等のホルムアルデヒド供与体を硬化剤として使用する必要がなく、したがって、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドを放出せず、環境を汚染するおそれがない。
【0005】
上記樹脂組成物において、該多価イソシアナートは、ブロック多価イソシアナートであることが望ましく、また該フェノール樹脂は、ノボラック型であるのが望ましく、該フェノール樹脂の一部または全部は、スルホメチル化および/またはスルフィメチル化されているのが望ましい。
【0006】
本発明は、上記樹脂組成物を含浸した多孔質材料からなる成形材料をも提供するものである。該樹脂組成物中のフェノール樹脂はB状態として使用する。
【0007】
本発明は、上記成形材料を所定形状に加熱成形すると共に該成形材料中の樹脂組成物を熱硬化せしめる成形物をも提供するものである。
【0008】
さらに、本発明は上記樹脂組成物をバインダーとして混合したチップおよび/またはパウダーおよび/または繊維材料からなることを特徴とする成形材料、および上記樹脂組成物を所定形状に加熱成形すると共に該成形材料中の樹脂組成物を熱硬化せしめる成形物をも提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
A.樹脂組成物
本発明における樹脂組成物の必須構成成分は、フェノール樹脂水溶液と該フェノール樹脂水溶液に分散せしめられる多価イソシアナートである。
〔フェノール樹脂〕
フェノール樹脂は、フェノール系化合物とアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体とを縮合させることにより得られる。水溶性のフェノール樹脂としては、安定性改良のために上記フェノール樹脂をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化したものを使用するのが好ましい。本発明は上記フェノール樹脂に限定されるものではなく、例えば、m−クレゾールおよびp−クレゾールからなるクレゾールとカルボニル化合物とを縮合反応させて得られるノボラック樹脂(特開平11−322874号)等も水溶性フェノール樹脂として使用することもできる。
【0010】
(フェノール系化合物)
上記フェノール樹脂に使用されるフェノール系化合物は、一価フェノールであってもよいし、多価フェノールであってもよいし、一価フェノールと多価フェノールとの混合物であってもよいが、一価フェノールだけを使用した場合、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドが放出され易いため、好ましくは多価フェノールまたは一価フェノールと多価フェノールとの混合物を使用する。
【0011】
(一価フェノール)
上記一価フェノールとしては、フェノールや、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、キシレノール、3,5−キシレノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、m−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリニトロフェノール等の一価フェノール置換体、ナフトール等の多環式一価フェノールなどが挙げられ、これら一価フェノールは単独でまたは二種以上混合して使用することができる。
【0012】
(多価フェノール)
上記多価フェノールとしては、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノール、ジヒドロキシナフタリン等が挙げられ、これら多価フェノールは単独でまたは二種以上混合して使用することができる。多価フェノールのうち好ましいものは、レゾルシンまたはアルキルレゾルシンであり、特に好ましいものはレゾルシンよりもアルデヒドとの反応速度が速いアルキルレゾルシンである。
【0013】
アルキルレゾルシンとしては、例えば5−メチルレゾルシン、5−エチルレゾルシン、5−プロピルレゾルシン、5−n−ブチルレゾルシン、4,5−ジメチルレゾルシン、2,5−ジメチルレゾルシン、4,5−ジエチルレゾルシン、2,5−ジエチルレゾルシン、4,5−ジプロピルレゾルシン、2,5−ジプロピルレゾルシン、4−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−プロピルレゾルシン、2,4,5−トリメチルレゾルシン、2,4,5−トリエチルレゾルシン等がある。
エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5−メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾルシンを多量に含むので、本発明において特に好ましい多価フェノール原料である。
【0014】
本発明では上記フェノール系化合物とアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体が縮合せしめられるが、上記アルデヒド供与体とは分解するとアルデヒドを生成供与する化合物またはそれらの混合物を意味する。このようなアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロラール、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が例示され、アルデヒド供与体としては例えばパラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン、テトラオキシメチレン等が例示される。
【0015】
上記したように水溶性フェノール樹脂の安定性を改良するために、上記フェノール樹脂をスルフィメチル化および/またはスルホメチル化することが望ましい。
(スルフィメチル化剤)
上記フェノール樹脂のスルフィメチル化に使用することのできるスルフィメチル化剤としては、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート(ロンガリット)、ベンズアルデヒドナトリウムキシラート等の脂肪族、芳香族アルデヒドのアルカリ金属スルホキシラート類、ナトリウムハイドロサルファイト、マグネシウムハイドロサルファイト等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハイドロサルファイト(亜ジチオン酸塩)類、ナトリウムエチルスルホキシラート等のアルキルスルホキシラート類、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩等のヒドロキシアルカンスルフィン酸塩等が例示される。
【0016】
(スルホメチル化剤)
上記フェノール樹脂のスルホメチル化に使用することのできるスルホメチル化剤としては、亜硫酸、重亜硫酸またはメタ重亜硫酸と、アルカリ金属またはトリメチルアミンやベンジルトリメチルアンモニウム等の第四級アミンもしくは第四級アンモニウムとを反応させて得られる水溶性亜硫酸塩や、これらの水溶性亜硫酸塩とアルデヒドとの反応によって得られるヒドロキシメタンスルホン酸塩等のヒドロキシアルカンスルホン酸塩が例示される。
【0017】
(第三成分)
上記フェノール樹脂の製造の際、必要に応じて、例えば塩酸、硫酸、オルト燐酸、ホウ酸、蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の無機または有機酸、蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエステル類、マレイン酸無水物、フタル酸無水物等の酸無水物、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、イミドスルホン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モノクロル酢酸またはそのナトリウム塩、α,α’−ジクロロヒドリン等の有機ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、サルチル酸尿素アダクト、ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿素アダクト等の尿素アダクト、N−トリメチルタウリン、塩化亜鉛、塩化第2鉄等の酸性物質、アンモニア、アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、石灰等のアルカリ土類金属の酸化物、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類等のアルカリ性物質を触媒またはpH調整剤として混合してもよい。
【0018】
(フェノール樹脂の製造)
上記フェノール樹脂(初期縮合物)は常法により製造することができ、具体的には、(a) 一価フェノールおよび/または多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させる方法、(b) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物および/または多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールおよび/または多価フェノールとを縮合させる方法、(c) 一価フェノールと多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールおよび/または多価フェノールとを縮合させる方法、(d) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物とを縮合させる方法、(e) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物および/または多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールと多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物とを縮合させる方法等により製造することができる。
【0019】
例えば、上記(a) 一価フェノールおよび/または多価フェノールとアルデヒド類との縮合では、通常一価フェノール1モルに対し、アルデヒド類0.2〜3モル、多価フェノール1モルに対し、アルデヒド類0.1〜0.8モルと、必要に応じて溶剤、第三成分とを添加し、液温55〜100℃で8〜20時間加熱反応させる。このときアルデヒド類は、反応開始時に全量加えてもよいし、分割添加または連続滴下してもよい。
【0020】
上記フェノール系化合物とアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体との縮合反応には、上記酸性物質またはアルカリ性物質を触媒として使用するが、本発明では酸性物質を使用してノボラック型のフェノール樹脂とすることが望ましい。ノボラック型フェノール樹脂はホルムアルデヒドの使用量が少なく、また多価イソシアナートとの反応性が良好である。
【0021】
上記フェノール樹脂初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化する場合、該初期縮合物は、任意の段階でスルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤を添加して、フェノール系化合物および/または初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化することにより製造することが出来る。
スルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤の添加は、縮合反応前、反応中、反応後のいずれの段階で行ってもよい。
【0022】
スルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤の総添加量は、フェノール系化合物1モルに対して、通常0.001〜1.5モルであるが、製造される初期縮合物の硬化性、硬化後の樹脂の物性等の性能を良好に保持するためには、0.01〜0.8モル程度とするのが好ましい。
【0023】
このようにしてスルホメチル化および/またはスルフィメチル化したフェノール樹脂の初期縮合物の水溶液は、酸性(pH1.0)〜アルカリ性の広い範囲で安定であり、酸性、中性およびアルカリ性のいずれの領域でも硬化することが出来る。特に、酸性側で硬化させると、残存メチロール基が減少し、硬化物が分解してホルムアルデヒドを発生するおそれがなくなる。
【0024】
〔多価イソシアナート〕
本発明ではフェノール樹脂の硬化剤として多価イソシアナートが用いられる。該多価イソシアナートとしては、一分子中にイソシアナート基を少なくとも2個以上有する化合物であり、このような多価イソシアナートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、1,4−ナフタレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルジイソシアナート、2−クロロ−1,4−フェニルジイソシアナート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアナート、m−フェニレンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、2,2’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート、ω−キシリレンジイソシアナート、ω’−キシリレンジイソシアナート等のジイソシアナートが挙げられ、該多価イソシアナートは、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて使用される。
【0025】
上記多価イソシアナートのイソシアナート基をブロック剤でブロックしたブロック多価イソシアナートを硬化剤として用いてもよい。該ブロック剤は、種々の活性水素を含む化合物であって、多価イソシアナート化合物のイソシアナート基をブロックすることが出来、かつ所望の温度で解離してイソシアナート基を遊離することが出来るものであれば何でもよい。例えば、低級アルコール(メタノール、エタノール等)、フェノール類、脂肪族メルカプタン(エチルメルカプタン等)、芳香族メルカプタン(β−チオナフトール等)、青酸、第2級芳香族アミン(N−メチルアニリン等)、オキシム(アセトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等)、活性メチレン化合物(ジエチルマロネート、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等)、ラクタム(ε−カプロラクタム等)、重亜硫酸塩等がブロック剤として用いることができる。
【0026】
上記多価イソシアナートおよびブロック多価イソシアナートは、活性水素を有しない有機溶剤、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等に溶解して有機溶剤溶液としてフェノール樹脂水溶液に添加されるか、あるいは上記有機溶剤に溶解した上で水分散液としてフェノール樹脂水溶液に添加してもよい。該多価イソシアナートまたはブロック多価イソシアナートは水分散液とすることで、ブロック多価イソシアネートのフェノール樹脂水溶液に対する溶解性、分散性が向上する。上記多価イソシアナートおよびブロック多価イソシアナートの添加量はフェノール樹脂に対して2〜150重量%である。
【0027】
〔樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は、上記水溶性のフェノール樹脂と多価イソシアナートとを含有し、該樹脂組成物においては、該多価イソシアナートが該フェノール樹脂の硬化剤として作用する。したがって、該フェノール樹脂の硬化剤としてホルムアルデヒドやヘキサメチレンテトラミン等のホルムアルデヒド供与体を使用する必要がなく、そのため、該樹脂組成物は、硬化時および硬化後の遊離ホルムアルデヒド含有量が少なくなり環境を汚染するおそれがない。更に該エポキシ化合物は樹脂組成物に存在する遊離のフェノールとも反応するから、樹脂化合物の遊離フェノールによる悪臭の発生も防止出来る。
【0028】
フェノール樹脂100重量部に対する多価イソシアナートの配合量は、固形分として2〜150重量部であるのが好ましく、特に5〜100重量部であるのが好ましい。多価イソシアナートの配合量が2重量部未満では、フェノール樹脂が十分に硬化せず、多価イソシアナートの配合量が150重量部を超えると、成形物の強度が小さくなる。
【0029】
本発明の樹脂組成物においては、必要に応じて第三成分を加えてもよい。例えば多価イソシアナートと、フェノール樹脂との反応を促進する、トリエチルアミン、ナフテン酸コバルト、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、塩化第一スズ、塩化第二スズ、テトラ−n−ブチルチン、トリ−n−ブチルチンアセテート、n−ブチルチントリクロライド、トリメチルチンハイドロオキサイド、ジメチルチンジクロライド、ジブチルチンジラウレート、トリエチルジアミン、スタナスオクトエート、ジブチルチンジ−2−エチルヘキソエート、ナトリウムオルトフェニルフェネート、カリウムオレート、カリウムオレート、硝酸蒼鉛、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、塩化第二鉄、第二2−エチルヘキソエート鉄、コバルト2−エチルヘキソエート、ナフテン酸亜鉛、三塩化アンチモン等の触媒を加えてもよい。またその他種々の必要に応じて、尿素系樹脂、メラミン系樹脂等のアミノ系樹脂;天然ゴムまたはその誘導体;スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム等の合成ゴムラテックス;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリルエステル、メタクリルエステル、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン等のビニル単量体の単独重合体またはこれらビニル単量体の二種以上の共重合体;ポリウレタン、ポリアミド、ブチラール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル−エチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリエステル等の各種合成樹脂のエマルジョンやラテックスまたは水溶液;ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉、澱粉誘導体、ニカワ、ゼラチン、血粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子や天然ガム類;炭酸カルシウム、タルク、石膏、カーボンブラック、木粉、クルミ粉、ヤシガラ粉、小麦粉、米粉等の充填剤;界面活性剤;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ブチリルステアレート、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸のエステル類;脂肪酸アミド類;カルナバワックス等の天然ワックス類、合成ワックス類;パラフィン類、パラフィン油、シリコンオイル、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、グリス等の離型剤;ヘキサン、ブタン、n−ペンタン、アルコール、エーテル、塩化メチレン、四塩化炭素、クロルフルオロメタン、1,1,2−トリクロル−1,2,2−トリフルオルエタン等の低沸点溶剤;アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビス−2,2’−(2−メチルグロピオニトリル)等の有機発泡剤;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム等の無機発泡剤;n−ペンタン、イソペンタン、ブタン、イソブタン等を熱可塑性樹脂マイクロカプセル中に内包したマイクロカプセル型発泡剤;シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、発泡ガラス、中空セラミックス等の中空粒体;発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等のプラスチック発泡体や発泡粒;顔料、染料、難燃剤、防炎剤、撥水剤、撥油剤、防虫剤、防腐剤、老化防止剤、紫外線吸収剤;DBP、DOP、ジシクロヘキシルフタレートのようなフタール酸エステル系可塑剤やその他のトリクレジルホスフェート等の可塑剤などの第三成分を添加してもよい。
【0030】
以上説明した樹脂組成物は、繊維シート、プラスチック発泡体シート等の多孔質体に含浸させて剛性や成形性を付与したり、木片や繊維材料等にバインダーとして混合したり、あるいは塗料、接着剤等、種々の目的に使用され得る。
【0031】
B.成形材料
本発明の樹脂組成物は含浸剤として多孔質材料に含浸させたり、バインダーとしてチップ、パウダーあるいは繊維に混合する。本発明の樹脂組成物を含浸した多孔質材料(成形材料(1) )や、本発明の樹脂組成物を混合したチップ、パウダーあるいは繊維(成形材料(2) )は成形性を有するので、成形材料として有用である。
【0032】
〔多孔質材料〕
本発明の成形材料(1) に使用される多孔質材料としては、繊維集合体、連続気泡を有するプラスチック発泡体、プラスチックビースの焼結体等がある。
該繊維集合体を構成する繊維としては、木綿、麻、羊毛、絹、ケナフ、ヤシ繊維、竹繊維等の天然繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビスコース繊維、アセテート繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維等の有機合成繊維、アスベスト繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、ウィスカー、岩綿(ロックウール)等の無機繊維、あるいは上記繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維、あるいはこれらの繊維の二種以上の混合物、あるいはこれら繊維と200℃以下の融点を有するポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維等の低融点繊維との混合物等が挙げられる。
該繊維集合体としては、ウェブ、不織布、フェルト、編織物、それらの積層物等が包含される。
【0033】
上記プラスチック発泡体としては、例えば連続気泡構造を有するポリウレタン発泡体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、ポリスチレン発泡体、メラミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ系樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体等がある。該プラスチック発泡体は、自動車の内装材基材の原反として使用される場合には通常シート状で提供される。
【0034】
〔成形材料(1) の製造〕
本発明の成形材料(1) は、上記多孔質材料に本発明の樹脂組成物を含浸せしめ、該樹脂組成物の硬化温度以下の温度で加熱乾燥する方法により製造することが出来る。
【0035】
該樹脂組成物を該多孔質材料に含浸させる方法としては、浸漬法、スプレー法等公知の方法が適用される。浸漬法の場合、例えば、該樹脂組成物を充填した含浸槽内に該多孔質材料を浸漬し、次いで該樹脂組成物が付着した多孔質材料を絞りロールまたはプレス盤等で押圧することにより、所定量の樹脂組成物を該多孔質材料に含浸させることが出来る。なお、該含浸槽に充填した樹脂組成物は起泡および/または発泡させてもよい。
【0036】
上記樹脂組成物を含浸した多孔質材料は加熱乾燥工程に付されるが、この工程において該樹脂組成物に含まれるフェノール樹脂初期縮合物をB状態にしてもよい。該初期縮合物をB状態にとどめるには、加熱温度、加熱時間等を調節すればよく、加熱温度は該樹脂組成物の硬化温度以下に設定され、通常50〜180℃程度、加熱時間は0.1〜5時間程度とされる。該加熱乾燥には、通常熱風乾燥、遠赤外線乾燥、高周波加熱乾燥等が適用される。
【0037】
このように多孔質材料に含浸された樹脂組成物中のフェノール樹脂初期縮合物をB状態にすることにより、該樹脂組成物の安定性が向上して成形材料の長期間保存が可能となるとともに、該樹脂組成物の水分含有量が少なくなるため成形時間が短縮され、かつホットプレスによって成形した際にも水分の蒸気によるパンク現象が起らない。また該成形材料をホットプレス成形した後には、該樹脂組成物は完全硬化するため、形状保持性および耐熱性に優れた成形物が得られる。
【0038】
〔成形・成形物〕
本発明の成形材料(1) に含浸した樹脂組成物は熱硬化性であるので成形性を有し、通常所望の型面形状を有する下型および上型からなる成形機を使用したホットプレスによって成形される。ホットプレスの条件は、該樹脂組成物が完全硬化する温度および時間に設定され、プレス圧は通常1〜10kg/cm2 とされる。このとき、他のシートと重ね合わせてホットプレスし、積層成形物としてもよい。
【0039】
本発明の成形材料(1) は、硬化剤としてホルムアルデヒドやヘキサメチレンテトラミン等のホルムアルデヒド供与体を使用しない上記樹脂組成物を含浸してなるため、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドを放出せず、環境を汚染するおそれがない。
【0040】
本発明の成形材料(1) から得られる成形物は、特に、ドアトリム、ダッシュボード、天井材、インシュレーターフード、ダッシュインナー、ダッシュアウター、エンジンアンダーカバー、トランクサイドトリム等の車両用の内装材、あるいは該内装材の基材あるいは表皮材、または床材、壁材、屋根下地材等の建築材料等に有用である。
【0041】
本発明の成形物を表皮材として使用する時は、プラスチック発泡体や不織布のようなワディング材を裏打ちしてもよく、また該表皮材が貼着される基材としては例えば、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、ポリスチレン発泡体、メラミン樹脂発泡体、尿素樹脂発泡体等のプラスチック発泡体、ダンボール、レジンフェルト、合板、パーチクルボード、木質セメント板等がある。
【0042】
得られる成形物を表皮材として使用する場合には、通常下記の3つの方法によって基材と貼着される。第1の方法は図1に示すように、基材(11)を所定の形状に成形するとともに、シート状成形材料(1) を該基材(11)の形状に適合する形状に硬化成形し、該成形した硬化シート(12)を該基材(11)の表面に貼着する方法である。
該硬化シート(12)を該基材(11)の表面に貼着するには、後記する接着剤、ホットメルト型接着剤、あるいはホットメルトシートを使用したり、該基材(11)が熱可塑性の材料からなる場合には、加熱融着すればよい。
【0043】
第2の方法は、図2に示すように、シート状成形材料(12a) と、基材の成形前の原体(11a) とを重ね合わせ、所定の形状を有する上型(13)と下型(14)とでホットプレス成形して該基材原体(11a) と成形材料(12a) とを同時に成形し、該成形材料(12a) 中の樹脂組成物を硬化せしめる方法がある。このとき基材(原体)の材料によっては、該成形材料(12a) と該基材原体(11a) との間に、ホットメルトシートや天然樹脂、天然ゴム、合成樹脂、合成ゴム等の接着剤を介在させてもよい。
【0044】
第3の方法は、図3に示すように、シート状成形材料をあらかじめ所定の形状に硬化成形し、該成形した硬化シート(12)を成形型(15)の型面(151) にセットするとともに、樹脂注入口(152) から該成形型(15)内に発泡樹脂液Rを注入、硬化して基材とする方法がある。
発泡樹脂液Rの種類としては、例えば、ポリウレタン発泡樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン発泡樹脂、ポリ塩化ビニル発泡樹脂、ポリスチレン発泡樹脂、メラミン発泡樹脂、尿素発泡樹脂等、更には、本発明の樹脂組成物がある。
【0045】
本発明の表皮材は、硬化剤としてホルムアルデヒドやヘキサメチレンテトラミン等のホルムアルデヒド供与体を使用しない上記樹脂組成物を含浸・硬化してなるものであるため、該成形材は、ホルムアルデヒドを放出せず、環境を汚染するおそれがない。
また、本発明の表皮材は剛性が高いため、得られる内装材は良好な形状安定性を付与され、その形状を長期間維持することが出来る。
【0046】
本発明の成形物を内装材の基材として使用する場合には、その表面に通常表皮材が貼着される。
該表皮材としては、例えば、人工皮革、レザー、繊維編織物、不織布、あるいはこれらとポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリスチレン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体等のプラスチック発泡体との積層材等がある。
【0047】
該表皮材は、接着剤、ホットメルト型接着剤、ホットメルトシート等によって上記基材に貼着される。
該接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、合成ゴム系接着剤、エラストマー系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、塩化ビニル系接着剤、尿素樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等、更には本発明の樹脂組成物による接着剤が使用されるが、接着剤として熱硬化性合成樹脂を初期縮合物溶液の形で該表皮材に含浸させ、そのまままたはB状態にした後、上記基材と重ね合わせて同時に成形することにより、該表皮材を該基材に貼着することも出来るし、更にはこのような熱硬化性合成樹脂の含浸と上記接着剤の塗布等とを併用することも出来る。該熱硬化性合成樹脂としては、本発明の樹脂組成物を使用することが出来る。
【0048】
上記ホットメルト型接着剤としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系樹脂、あるいは該ポリオレフィン系樹脂の変性物、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の単独または二種以上の混合物が使用される。
該ホットメルト接着剤は溶液型、エマルジョン型として提供される他、該ホットメルト接着剤粉末を水に分散させた分散液型としても提供される。更に該ホットメルト接着剤はシート化してホットメルトシートとしても使用される。
【0049】
上記接着剤を塗布等により接着剤層とする場合、該接着剤層は表皮材および/または基材の接着面に点状に散在されているのが好ましい場合がある。このように、表皮材と基材とを点状に散在している接着剤層によって接着すれば、該接着剤層の剛性は内装材の成形形状や表面の凹凸形状に影響せず、したがって該内装材の成形形状や凹凸形状がシャープに成形される。また表皮材が通気性を有する場合は、該接着剤層も通気性を有するので、優れた防音性を有する内装材が得られる。
【0050】
該表皮材および/または基材の接着面に接着剤層を点状に散在せしめるには、例えばスプレー塗装法、凸版印刷法、シルクスクリーン印刷法等が適用されるが、接着面にマスキングシートを被着しておいてからスプレー、ナイフコーター、ロールコーター、フローコーター等で接着剤を塗布し、その後マスキングシートを剥離する方法が適用されてもよい。
上記表皮材および/または基材の接着面に接着剤層を点状に散在させる望ましい方法としては、ホットメルト接着剤粉末分散液をスプレー塗布する方法である。
【0051】
上記接着剤層によって該表皮材は該基材表面に貼着されるが、該接着剤が溶液型あるいはエマルジョン型の場合には、接着面に形成された接着剤層が完全に乾燥する前に両者を貼り合わせる。また該接着剤層がホットメルト型の場合には、接着面を加熱して接着面に形成された接着剤層を軟化させた上で両者を貼り合わせる。
該基材の成形は該表皮材を貼り合わせる前、あるいは該表皮材を貼り合わせる時同時に、あるいは該表皮材を貼り合わせた後のいずれの時点で行われてもよい。
【0052】
上記表皮材が通気性でありかつ基材に表皮材を貼り合わせてから成形する場合には、該基材に含まれている空気は成形時に点状接着剤層を通過して表皮材から順調に外界へ排出されるので、製造される内装材にはパンク現象が発生しない。
【0053】
本発明の成形材料(1) からなる内装材の基材は、硬化剤としてホルムアルデヒドやヘキサメチレンテトラミン等のホルムアルデヒド供与体を使用しない上記樹脂組成物を含浸・硬化してなるものであるため、該内装材は、ホルムアルデヒドを放出せず、環境を汚染するおそれがない。
【0054】
本発明の成形材料(1) を基材として使用する内装材は剛性が高く、種々の用途に使用することができ、例えば、自動車のトランクルーム内装材やダッシュボード内装材等として好適である。該内装材において、特に表皮材と基材とを点状に散在している接着剤層によって接着した場合には、該接着剤層の剛性は内装材の成形形状や表面の凹凸形状に影響せず、したがって該内装材の成形形状や凹凸形状がシャープに成形される。また表皮材が通気性の場合は該接着剤層も通気性を有するので、得られる内装材は優れた防音性を有する。
【0055】
〔チップ・パウダー・繊維〕
本発明の成形材料(2) に使用されるチップとしては、主として木片、木毛、木質繊維束等の木質チップであるが、プラスチック片、プラスチック発泡体片等も使用可能である。また本発明の成形材料(2) に使用されるパウダーとしては木粉のような木質パウダーがあるが、その他プラスチック粉等も使用される。
本発明の成形材料(2) に使用される繊維としては、前記天然繊維、有機繊維、無機繊維、再生繊維の他パルプ等の木質繊維がある。
上記チップ、パウダー、繊維はそれぞれ二種以上および/または相互に二種以上混合使用されてもよい。
【0056】
〔成形材料(2) の製造〕
本発明の成形材料(2) は、上記チップ、パウダー、繊維を本発明の樹脂組成物に浸漬する方法、上記チップ、パウダー、繊維を攪拌しつゝ該樹脂組成物をスプレー等で添加する方法等によって上記チップ、パウダー、繊維に樹脂組成物を添加混合する。そして所望なれば該混合物を該樹脂組成物の硬化温度以下の温度で乾燥する。この場合、成形材料(1) と同様に該樹脂組成物中のフェノール樹脂初期縮合物をB状態にしてもよい。
【0057】
〔成形・成形物〕
本発明の成形材料(2) は乾燥することなくあるいは乾燥させてから、通常プレス成形機の所望の型面形状を有する下型上に散布してマットをフォーミングし、該マットを下型と上型とによってホットプレスする。プレス条件は成形材料(1) と同様であり、他のシートと重ね合わせてホットプレスして積層成形物としてもよい。
【0058】
本発明の成形材料(2) も、硬化剤としてホルムアルデヒドやヘキサメチレンテトラミン等のホルムアルデヒド供与体を使用しない上記樹脂組成物が混合されているため、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドを放出せず、環境を汚染するおそれがない。
【0059】
本発明の成形材料(2) から得られる成形物は、成形材料(1) と同様な内装材あるいは内装材の基材、あるいは床材、壁材、屋根下地材等の建築材料等に有用である。
【0060】
本発明の樹脂組成物は上記成形材料以外、接着剤や塗料ビヒクルとしても有用である。また上記成形材料は内装材、建築材料以外、例えばシートやマットのパット材やクッション材等としても使用される。
【0061】
【作用】
フェノール樹脂に多価イソシアナートを混合すると、フェノール樹脂の水酸基と多価イソシアナートのイソシアナート基との間で架橋反応がおこり、樹脂組成物は硬化する。
【0062】
【化1】
【0063】
【化2】
【0064】
フェノール基の水酸基は化2に示すように解離する傾向があるので、上記硬化反応は低温で行なわれ、特にフェノール樹脂がノボラック型である場合には反応は速く円滑に行なわれる。そして上記硬化反応ではホルムアルデヒドやホルムアルデヒド供与体を硬化剤として使用しないので遊離のホルムアルデヒド含有量はすくなくなる。更にフェノール樹脂に含まれる遊離フェノールも上記と同様な反応で多価イソシアナート化合物のイソシアナート基と反応するから、フェノール樹脂中の遊離フェノール含有量も少なくなる。
ブロック多価イソシアナートの場合は下記に示すようにブロック剤が遊離してから化1と同様に架橋反応する。該ブロック多価イソシアナートのブロックは、加熱乾燥工程では解離しないが、ホットプレスによる成形工程の際の加熱によって該ブロックが解離する。
【0065】
【化3】
【0066】
〔実施例1〕
スルフィメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期共縮合物(A)の50重量%(以下単に%と言う)水溶液100重量部(以下単に部と言う)に対し、ブロック剤として芳香族メルカプタンを使用したヘキサメチレンジイソシアナートの50%水分散液(B)を表1に示す重量比率で混合した。該混合物の皮膜を形成し、190℃×3分間加熱硬化後の遊離ホルムアルデヒドを測定した結果を表1に示す。
【0067】
〔比較例1〕
ノボラック型フェノール樹脂(ヘキサメチレンテトラミン6%混入)粉末(イ)を実施例と同様190℃×3分間加熱硬化後の遊離ホルムアルデヒドを測定した結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
表1をみると本発明の樹脂組成物の場合は、従来のフェノール樹脂に比して遊離ホルムアルデヒドが格段に少ない。
【0070】
〔実施例2〕
スルホメチル化フェノール−オルシノール−ホルムアルデヒド初期共縮合物の50%水溶液100部に対し、ブロック剤として低級アルコールを使用したヘキサメチレンジイソシアナートの50%水分散液を50部および50%カーボンブラック水分散液2部、窒素、リン含有化合物からなる30%水分散難燃剤30部、撥水、発油剤として35%フッ素樹脂水溶液5部を混合したものを、ポリエステル繊維からなる多孔質材(400g/m2 目付)に対し、固形分で20g/m2 の塗布量となるよう含浸後、90〜100℃で乾燥させた後、200℃×3分間加熱プレスしたところ強度良好な成形物が得られた。またこのものの遊離ホルムアルデヒドは0. 002μg/g未満で遊離フェノールは検出されなかった。
【0071】
〔実施例3〕
ノボラック型スルホメチル化アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物の50%水溶液100部に対しメチレンジイソシアナート5部を混合したものを、木粉100に対し20%の塗布量になるように塗布した後、120℃、6分間加熱プレスし、木質板を製造した。該木質板は高強度でかつ遊離ホルムアルデヒドは0. 002μg/g未満であった。
【0072】
〔実施例4〕
スルフィメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期共縮合物の50%水溶液100部に対し、ブロック剤として脂肪族メルカプタンを使用したヘキサメチレンジイソシアナートの50%水分散液を30部、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体の50%ラテックス15部を混合したものを目付100g/m2 からなるポリエステル不織布に塗布量70g/m2 で含浸して120℃で乾燥させた後、200℃で加熱プレスしたところ成形性の良好な成形物が得られた。また該120℃で乾燥させたものを室温(約20〜25℃)で30日放置し、同様にして加熱プレスしたところ良好な成形物が得られた。なおいづれも遊離ホルムアルデヒドは0. 002μg/g未満でまた遊離フェノールは検出されなかった。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、硬化時および硬化後に遊離ホルムアルデヒドや遊離フェノールのような有害物の含有量が少なくかつ低温硬化可能な樹脂組成物が提供される。該組成物は成形材料、バインダー、接着剤、塗料等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形材を製造する工程の一例を示す説明図
【図2】本発明の成形材を製造する工程の一例を示す説明図
【図3】本発明の成形材を製造する工程の一例を示す説明図
【符号の説明】
11 ベース部材
12 硬化シート
Claims (9)
- フェノール樹脂水溶液に多価イソシアナートを分散せしめたことを特徴とする樹脂組成物。
- 該多価イソシアナートは 、ブロック多価イソシアナートである請求項1に記載の樹脂組成物。
- 該フェノール樹脂は、ノボラック型である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 該フェノール樹脂の一部または全部は、スルホメチル化および/またはスルフィメチル化されている請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含浸した多孔質材料からなることを特徴とする成形材料。
- 該樹脂組成物中のフェノール樹脂はB状態とされている請求項5に記載の成形材料。
- 請求項5に記載の成形材料を所定形状に加熱成形すると共に該成形材料中の樹脂組成物を熱硬化せしめたことを特徴とする成形物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物をバインダーとして混合したチップおよび/またはパウダーおよび/または繊維材料からなることを特徴とする成形材料。
- 請求項8に記載の成形材料を所定形状に加熱成形すると共に該成形材料中の樹脂組成物を熱硬化せしめたことを特徴とする成形物。
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