JP2008094925A - 難燃処理液、難燃性繊維材料及びそれを用いた内装材 - Google Patents

難燃処理液、難燃性繊維材料及びそれを用いた内装材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、自動車等の内装材に耐水性耐久性のある難燃性を付与することにある。
【解決手段】フェノール系樹脂初期縮合物の水性溶液中に、水に対する溶解度が5質量%以下であるポリリン酸アンモニウム粒子を分散せしめた難燃処理液を提供する。該処理液にあってはポリリン酸アンモニウム粒子表面にフェノール系樹脂被覆が形成され、該被覆により耐水性が付与される。
【選択図】 なし

Description

本発明は主として繊維材料に使用される難燃性処理液に関するものである。
従来から難燃剤として毒性の低いポリリン酸アンモニウムが多用されている。しかしポリリン酸アンモニウムは水に溶ける性質があり、繊維材料中に混合または含浸すると、湿度や水分に触れた場合に該繊維材料中から溶出してしまい難燃性が低下してしまうおそれがある。
そこでポリリン酸アンモニウム粒子表面にメラミン、尿素等をコーティングし、ホルマリンを接触させて樹脂化した樹脂被覆ポリリン酸アンモニウム粒子が提供されている。上記樹脂被覆ポリリン酸アンモニウム粒子においては、ポリリン酸アンモニウム粒子表面が樹脂化したメラミン、尿素等で被覆されているので、水に溶け出すことが抑制されている。
特開平7−277713号公報
上記従来の樹脂被覆ポリリン酸アンモニウム粒子は製造工程が複雑であり、高価なものになる。また上記樹脂被覆ポリリン酸アンモニウム粒子は通常繊維シートに塗布または含浸する樹脂液に分散されることによって該繊維シートに付着せしめられるが、上記樹脂被覆ポリリン酸アンモニウム粒子は樹脂液への分散性が悪いので分離し易く、また多量に分散させると樹脂液が増粘してしまう。
更に上記樹脂被覆ポリリン酸アンモニウム粒子は繊維との付着性に劣り、例えば該樹脂被覆ポリリン酸アンモニウム粒子を含む繊維シートを単独または他のシートと重ねてホットプレスすると、該繊維シートや他のシートに含まれる水分等の揮発成分がホットプレス時の熱によって蒸発してシート上方から揮散し、それに伴って該樹脂被覆ポリリン酸アンモニウム粒子がシート表面に移行露出してシート表面に異色のむらを生じると云う問題点がある。
本発明は上記従来の課題を解決して、耐水性に優れたポリリン酸アンモニウムを安価に提供することを目的とし、しかして本発明はフェノール系樹脂初期縮合物の水性溶液中に、水に対する溶解度が5質量%以下であるポリリン酸アンモニウム粒子を分散せしめた難燃処理液を骨子とするものである。
該フェノール系樹脂初期縮合物は多価フェノールの初期縮合体および/または多価フェノールを含む初期縮合物であることが好ましく、更に該フェノール系樹脂初期縮合物はスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されていることが好ましい。また更に該フェノール系樹脂初期縮合物の水性溶液には水溶性樹脂が分散剤として添加されていることが好ましい。
本発明においては更に上記難燃処理液を混合または塗布した繊維シートからなる難燃性繊維材料、更に該難燃性繊維材料を表皮材として基材表面に接着すると共に所定形状に成形した内装材が提供される。
〔作用〕
(請求項1)
フェノール系樹脂初期縮合物はポリリン酸アンモニウム粒子表面に良好な親和性を有することが判明した。したがって該初期縮合物水性溶液中に該ポリリン酸アンモニウム粒子を分散せしめると、該初期縮合物が該ポリリン酸アンモニウム粒子表面に強固に付着し、該ポリリン酸アンモニウム粒子は該初期縮合物が保護コロイドとなって該水性溶液に安定に分散する。しかし水に対する溶解度が5質量%を超えたポリリン酸アンモニウム粒子の場合は、該水性溶液中に分散させると、該粒子が水に溶けてしまい粒子状態を維持することが困難になる。
(請求項2)
該フェノール系樹脂初期縮合物が多価フェノールの初期縮合物か多価フェノールを含む初期縮合物、特にアルキルレゾルシン初期縮合物かアルキルレゾルシンを含む初期縮合体であると、ホルムアルデヒドとの反応速度が速く、したがって硬化速度が速いので、例えば繊維シートに該処理液を含浸させて硬化させる場合、該初期縮合物は速やかに硬化樹脂化して該粒子を被覆して水に対する溶出を阻止すると共に該粒子を繊維シートに強固に結着する。
(請求項3)
該フェノール系樹脂初期縮合物がスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されていると、該初期縮合物水性溶液は広いpH範囲で安定になるから、酸性硬化剤、アルカリ性硬化剤を問わず広いpH範囲の硬化剤を使用することが出来る。
(請求項4)
該フェノール系樹脂初期縮合物の水性溶液には水溶性樹脂が分散剤として添加されていると、該ポリリン酸アンモニウム粒子の分散安定性は更に向上する。
(請求項5)
上記難燃処理液を繊維シートまたはマットに混合または塗布すると、該処理剤中のポリリン酸アンモニウム粒子は該初期縮合物を介して該繊維シートに強固に付着し、耐水性耐久性のある難燃性繊維材料が得られる。
(請求項6)
上記難燃性繊維材料を表皮材として基材表面に接着すると共に所定形状に成形すると、該繊維材料に付着しているポリリン酸アンモニウム粒子表面を被覆している該初期縮合物が硬化樹脂化して耐水性被覆を形成するが、前記したように該ポリリン酸アンモニウム粒子は該初期縮合物の樹脂化物であるフェノール系樹脂によって強固に該繊維シートに結着されているから、成形にホットプレスを適用したとしても、表皮材や基材に含まれている水分やその他の揮発成分の蒸発揮散には同伴せず、したがってシート表面に該ポリリン酸アンモニウムが移行露出しない。
〔効果〕
したがって本発明においては、耐水性耐久性のある難燃性を与えかつ安価な難燃処理液が提供される。
本発明を以下に詳細に説明する。
〔ポリリン酸アンモニウム〕
本発明において使用されるポリリン酸アンモニウムは粒子状であり、かつ水に対する溶解度が5質量%以下のものである。
このようなポリリン酸アンモニウムとしては、重合度が10〜40のポリリン酸アンモニウムがある。上記重合度のポリリン酸アンモニウムは水に難溶または不溶であり、高温で分解して難燃性ガスを発生するが、該難燃性ガスは人畜に対しての毒性は低い。
ここにポリリン酸アンモニウムの重合度nとは、下記の式から算出されたものである。
Figure 2008094925

ここにPmolとはポリリン酸アンモニウムに含まれるリンのモル数、Nmolとは窒素のモル数であり、PmolおよびNmolは次式から算出される。
Figure 2008094925

Figure 2008094925

P含有量の分析は、例えばICP発光分光分析法、N含有量の分析は、例えばCHN計法によって行われる。
重合度が10以上であれば、ポリリン酸アンモニウムは殆ど水に不溶となる。しかし重合度が40を超えるとポリリン酸アンモニウムを水あるいは水性分散媒に分散させた時に分散液の粘度が異常に増大するので、繊維シート等に塗布あるいは含浸させる場合に均一な塗布あるいは含浸が困難となり、塗布量あるいは含浸量にムラが出来、結果として充分な難燃性が得られなくなる。
〔膨張黒鉛〕
本発明は上記難燃剤と共に膨張黒鉛を併用してもよい。上記膨張黒鉛は、天然黒鉛を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸に浸漬し、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の酸化剤を添加して処理することによって得られるものであり、膨張開始温度が250℃〜300℃程度である。該膨張黒鉛の膨張容積は30〜300ml/g程度であり、粒径は300〜30メッシュ程度である。
〔熱膨張性粒体〕
本発明の難燃処理剤を繊維シートまたはマットに塗布または含浸させる場合には、熱膨張性粒体を添加してもよい。該熱膨張性粒体としては、例えば低軟化点を有する熱可塑性樹脂と低沸点溶剤とからなる。低軟化点を有する熱可塑性樹脂としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等の脂肪族または環式アクリレートおよび/またはメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、iso−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のハロゲン含有単量体、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン等のジエン類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、アトロパ酸、シトラコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアルコール等の水酸基含有単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノ基含有単量体、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル等のエポキシ基含有単量体、その他ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の水溶性単量体、また上記γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、p−トリメトキシシリルスチレン、p−トリエトキシシリルスチレン、P−トリメトキシシリル−α−メチルスチレン、p−トリエトキシシリル−α−メチルスチレン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩等のような加水分解性シリル基含有ビニル単量体等の一種または二種以上の重合体または上記重合体をジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジアクリレート等の多価アクリレートまたはメタクリレート、ジアリルフタレート、アリルグリシジルエーテル等の架橋剤で架橋させた重合体、低軟化点ポリアミド、低軟化点ポリエステル等の望ましくは180℃以下の軟化点を有する熱可塑性樹脂であり、低沸点溶剤としては、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、ガソリン、エチルエーテル、アセトン、ベンゼン等の沸点150℃以下の有機溶剤がある。そして熱膨張性粒体は上記熱可塑性樹脂粒体に上記低沸点溶剤を含浸させた発泡性ビーズ、上記低軟化点熱可塑性樹脂のシェル中に上記低沸点溶剤を充填したマイクロカプセル等からなる。該粒体の径は通常0.5〜1000μmである。
更に本発明に使用する熱膨張性粒体としては、ひる石、パーライト、シラスバルーンのような熱膨張性無機粒体がある。
〔フェノール系樹脂〕
フェノール系樹脂は難燃性があり、またポリリン酸アンモニウム粒子表面に対しても親和性があり、該粒子表面に強固に付着する。
上記フェノール系樹脂は、フェノール系化合物とホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒド供与体とを縮合させることによって得られる。
〔フェノール系化合物〕
上記フェノール系樹脂に使用されるフェノール系化合物としては、一価フェノール単独であってもよいし、多価フェノール単独であってもよいし、一価フェノールと多価フェノールとの混合物であってもよいが、一価フェノールのみを使用した場合、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドが放出され易いため、好ましくは多価フェノール単独または一価フェノールと多価フェノールとの混合物を使用する。
〔一価フェノール〕
上記一価フェノールとしては、フェノールや、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、キシレノール、3,5−キシレノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、m−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリニトロフェノール等の一価フェノール置換体、ナフトール等の多環式一価フェノールなどが挙げられ、これら一価フェノールは単独でまたは二種以上混合して使用することが出来る。
〔多価フェノール〕
上記多価フェノールとしては、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノール、ジヒドロキシナフタリン等が挙げられ、これら多価フェノールは単独でまたは二種以上混合して使用することができる。多価フェノールのうち好ましいものは、レゾルシンまたはアルキルレゾルシンであり、特に好ましいものはレゾルシンよりもアルデヒドとの反応速度が速いアルキルレゾルシンである。
アルキルレゾルシンとしては、例えば5−メチルレゾルシン、5−エチルレゾルシン、5−プロピルレゾルシン、5−n−ブチルレゾルシン、4,5−ジメチルレゾルシン、2,5−ジメチルレゾルシン、4,5−ジエチルレゾルシン、2,5−ジエチルレゾルシン、4,5−ジプロピルレゾルシン、2,5−ジプロピルレゾルシン、4−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−プロピルレゾルシン、2,4,5−トリメチルレゾルシン、2,4,5−トリエチルレゾルシン等がある。
エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5−メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾルシンを多量に含むので、本発明において特に好ましい多価フェノール原料である。
〔ホルムアルデヒド供与体〕
本発明では上記フェノール系化合物とホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒド供与体が縮合せしめられるが、上記ホルムアルデヒド供与体とは分解するとホルムアルデヒドを生成供与する化合物またはそれらの二種以上の混合物を意味する。このようなアルデヒド供与体としては例えばパラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン、テトラオキシメチレン等が例示される。本発明ではホルムアルデヒドとホルムアルデヒド供与体とを合わせて、以下ホルムアルデヒド類と云う。
〔フェノール系樹脂の製造〕
上記フェノール系樹脂には二つの型があり、上記フェノール系化合物に対してホルムアルデヒド類を過剰にしてアルカリ触媒で反応することによって得られるレゾールと、ホルムアルデヒド類に対してフェノールを過剰にして酸触媒で反応することによって得られるノボラックとがあり、レゾールはフェノールとホルムアルデヒドが付加した種々のフェノールアルコールの混合物からなり、通常初期縮合物の水溶液で提供され、ノボラックはフェノールアルコールに更にフェノールが縮合したジヒドロキシジフェニルメタン系の種々な誘導体からなり、通常初期縮合物の粉末で提供される。
上記初期縮合物を製造するには、一価フェノールとホルムアルデヒド類とを縮合させて一価フェノール単独初期縮合物としてもよいし、また一価フェノールと多価フェノールとの混合物とホルムアルデヒド類とを縮合させて一価フェノール−多価フェノール初期共縮合物としてもよい。上記初期縮合物を製造するには、一価フェノールと多価フェノールのどちらか一方または両方をあらかじめ初期縮合物としておいてもよい。
本発明において、望ましいフェノール系樹脂は、フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物である。上記フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物は、該共縮合物(初期共縮合物)の水溶液の安定が良く、かつフェノールのみからなる縮合物(初期縮合物)に比較して、常温で長期間保存することが出来るという利点がある。また該水溶液をシート基材に含浸あるいは塗布させ、プレキュアして得られる繊維シートの安定性が良く、該繊維シートを長期間保存しても成形性を喪失しない。また更にアルキルレゾルシンはホルムアルデヒド類との反応性が高く、遊離アルデヒドを捕捉して反応するので、樹脂中の遊離アルデヒド量が少なくなる等の利点も有する。 上記フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物の望ましい製造方法は、まずフェノールとホルムアルデヒド類とを反応させてフェノール系樹脂初期縮合物を製造し、次いで該フェノール系樹脂初期縮合物にアルキルレゾルシンを添加し、所望なればホルムアルデヒド類を添加して反応せしめる方法である。
例えば、上記(a)一価フェノールおよび/または多価フェノールとホルムアルデヒド類との縮合では、通常一価フェノール1モルに対し、ホルムアルデヒド類0.2〜3モル、多価フェノール1モルに対し、ホルムアルデヒド類0.1〜0.8モルと、必要に応じて溶剤、第三成分とを添加し、液温55〜100℃で8〜20時間加熱反応させる。このときホルムアルデヒド類は、反応開始時に全量加えてもよいし、分割添加または連続滴下してもよい。
更に本発明では、上記フェノール系樹脂として、所望なれば、尿素、チオ尿素、メラミン、チオメラミン、ジシアンジアミン、グアニジン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、2,6ジアミノ−1,3−ジアミンのアミノ系樹脂単量体および/または該アミノ系樹脂単量体からなる初期縮合体を添加してフェノール系化合物および/または初期縮合物と共縮合せしめてもよい。
上記フェノール系樹脂の製造の際、必要に応じて反応前あるいは反応中あるいは反応後に、例えば塩酸、硫酸、オルト燐酸、ホウ酸、蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の無機または有機酸、蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエステル類、マレイン酸無水物、フタル酸無水物等の酸無水物、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、イミドスルホン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モノクロル酢酸またはそのナトリウム塩、α,α’−ジクロロヒドリン等の有機ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、サルチル酸尿素アダクト、ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿素アダクト等の尿素アダクト、N−トリメチルタウリン、塩化亜鉛、塩化第2鉄等の酸性物質、アンモニア、アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、石灰等のアルカリ土類金属の酸化物、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類等のアルカリ性物質を触媒またはpH調整剤として混合してもよい。
本発明のフェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物を含む)には、更に、上記ホルムアルデヒド類あるいはアルキロール化トリアゾン誘導体等の硬化剤を添加混合しても良い。
上記アルキロール化トリアゾン誘導体は尿素系化合物と、アミン類と、ホルムアルデヒド類との反応によって得られる。アルキロール化トリアゾン誘導体の製造に使用される上記尿素系化合物として、尿素、チオ尿素、メチル尿素等のアルキル尿素、メチルチオ尿素等のアルキルチオ尿素、フェニル尿素、ナフチル尿素、ハロゲン化フェニル尿素、ニトロ化アルキル尿素等の単独または二種以上の混合物が例示される。特に望ましい尿素系化合物は尿素またはチオ尿素である。またアミン類としてメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン等の脂肪族アミン、ベンジルアミン、フルフリルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類のほか更にアンモニアが例示され、これらは単独でまたは二種以上の混合物として使用される。上記アルキロール化トリアゾン誘導体の製造に使用されるホルムアルデヒド類はフェノール系樹脂の初期縮合物の製造に使用されるホルムアルデヒド類と同様なものである。
上記アルキロール化トリアゾン誘導体の合成には、通常、尿素系化合物1モルに対してアミン類および/またはアンモニアは0.1〜1.2モル、ホルムアルデヒド類は1.5〜4.0モルの割合で反応させる。上記反応の際、これらの添加順序は任意であるが、好ましい反応方法としては、まずホルムアルデヒド類の所要量を反応器に投入し、通常60℃以下の温度に保ちながらアミン類および/またはアンモニアの所要量を徐々に添加し、更に所要量の尿素系化合物を添加し、80〜90℃で2〜3時間攪拌加熱して反応せしめる方法がある。ホルムアルデヒド類としては通常37%ホルマリンが用いられるが、反応生成物の濃度をあげるためにその一部をパラホルムアルデヒドに置き換えても良い。またヘキサメチレンテトラミンを用いると、より高い固形分の反応生成物が得られる。尿素系化合物と、アミン類および/またはアンモニアと、ホルムアルデヒド類との反応は通常水溶液で行われるが、水の一部または全部に代えてメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類の単独または二種以上の混合物が使用されても差し支えないし、またアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の水可溶性有機溶剤の単独または二種以上の混合物が添加使用出来る。上記硬化剤の添加量はホルムアルデヒド類の場合は本発明のフェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)100質量部に対して10〜100質量部、アルキロール化トリアゾン誘導体の場合は上記フェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)100質量部に対して10〜500質量部である。
〔フェノール系樹脂のスルホメチル化および/またはスルフィメチル化〕
水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために、上記フェノール系樹脂をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化することが望ましい。
〔スルホメチル化剤〕
水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために使用できるスルホメチル化剤としては、例えば、亜硫酸、重亜硫酸またはメタ重亜硫酸と、アルカリ金属またはトリメチルアミンやベンジルトリメチルアンモニウム等の第四級アミンもしくは第四級アンモニウムとを反応させて得られる水溶性亜硫酸塩や、これらの水溶性亜硫酸塩とアルデヒドとの反応によって得られるアルデヒド付加物が例示される。
該アルデヒド付加物とは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロラール、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒドと、上記水溶性亜硫酸塩とが付加反応したものであり、例えばホルムアルデヒドと亜硫酸塩からなるアルデヒド付加物は、ヒドロキシメタンスルホン酸塩である。
〔スルフィメチル化剤〕
水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために使用できるスルフィメチル化剤としては、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート(ロンガリット)、ベンズアルデヒドナトリウムスルホキシラート等の脂肪族、芳香族アルデヒドのアルカリ金属スルホキシラート類、ナトリウムハイドロサルファイト、マグネシウムハイドロサルファイト等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハイドロサルファイト(亜ジチオン酸塩)類、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩等のヒドロキシアルカンスルフィン酸塩等が例示される。
上記フェノール系樹脂初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化する場合、該初期縮合物に任意の段階でスルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤を添加して、フェノール系化合物および/または初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化する。
スルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤の添加は、縮合反応前、反応中、反応後のいずれの段階で行ってもよい。
スルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤の総添加量は、フェノール系化合物1モルに対して、通常0.001〜1.5モルである。0.001モル以下の場合はフェノール系樹脂の親水性が充分でなく、1.5モル以上の場合はフェノール系樹脂の耐水性が悪くなる。製造される初期縮合物の硬化性、硬化後の樹脂の物性等の性能を良好に保持するためには、0.01〜0.8モル程度とするのが好ましい。
初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化するために添加されるスルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤は、該初期縮合物のメチロール基および/または該初期縮合物の芳香環と反応して、該初期縮合物にスルホメチル基および/またはスルフィメチル基が導入される。
このようにしてスルホメチル化および/またはスルフィメチル化したフェノール系樹脂の初期縮合物の水溶液は、酸性(pH1.0)〜アルカリ性の広い範囲で安定であり、酸性、中性およびアルカリ性のいずれの領域でも硬化することが出来る。特に、酸性側で硬化させると、残存メチロール基が減少し、硬化物が分解してホルムアルデヒドを発生するおそれがなくなる。
更に上記フェノール系樹脂の初期縮合物の水溶液には、所望により、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、トリメチルノニルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、アビエチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メチルオキシド、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ショウノウ等のケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の上記グリコール類のエステル類やその誘導体、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ジエチルセロルブ、ジエチルカルビトール、エチルラクテート、イソプロピルラクテート、ジグリコールジアセテート、ジメチルホルムアミド等の水溶性有機溶剤が添加されてもよい。
このようにして製造された本発明の初期縮合物水性溶液は、該初期縮合物を通常5〜80質量%の範囲で含む。
〔難燃処理液の調製〕
上記フェノール系樹脂の初期縮合物の水性溶液には上記ポリリン酸アンモニウム粒子が分散せしめられる。この場合、該ポリリン酸アンモニウムは水に対する溶解度が5質量%以下であるから、略全量が粒子状態を維持し、該初期縮合物は効率良く該粒子表面に付着する。
上記ポリリン酸アンモニウム粒子の上記初期縮合物水性溶液に対する添加量は、通常5〜200質量%、好ましくは10〜150質量%とされる。
上記処理液には更に上記膨張黒鉛や熱膨張性粒体を添加分散せしめてもよい。上記膨張黒鉛は上記処理液に通常1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%、上記熱膨張性粒体は上記処理液に通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%添加分散せしめられる。
上記処理液においては該ポリリン酸アンモニウム粒子表面に付着している上記初期縮合物が保護コロイドとして作用して該ポリリン酸アンモニウム粒子を水性溶液中に安定に分散せしめるが、水溶性樹脂を添加することによって更に分散安定性を向上させることが出来る。
上記水溶性樹脂としては、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸エステル部分鹸化物、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ハイドロキシエチルセルロース等が例示されるが、更にアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルと、アクリル酸および/またはメタクリル酸との共重合体あるいは該共重合体の微架橋物等のアルカリ可溶性樹脂が使用されてもよい。上記共重合体や微架橋共重合体は通常エマルジョンとして提供される。
上記難燃処理液に上記水溶性樹脂を添加溶解させておくと、その増粘効果あるいは分散効果によって該水溶液に分散させたポリリン酸アンモニウム粒子や膨張黒鉛が沈降しにくくなり、均一な含浸液が得られる。更に該水溶性樹脂はポリリン酸アンモニウム粒子や膨張黒鉛の繊維シートまたはマットに対する付着力を高め、該繊維シートまたはマットから該ポリリン酸アンモニウム粒子や膨張黒鉛が離脱するのを有効に防止する。
〔難燃処理液の使用〕
本発明の難燃処理液の対象は主として繊維シートまたはマット等の繊維材料であるが、その他ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂の発泡体シートまたはマットがある。
上記繊維シートまたはマットに使用される繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の合成繊維、羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラ、蚕糸、キワタ、ガマ繊維、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、デンプン系、ポリ乳酸系等の生分解性繊維、レーヨン(人絹、スフ)、ポリノジック、キュプラ、アセテート、トリアセテート等のセルロース系人造繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、これらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維等である。これらの繊維は、単独あるいは2種以上組合わせて使用される。
更に上記繊維としては、融点が180℃以下である低融点繊維を使用してもよい。該低融点繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリエステル共重合体繊維、ポリアミド繊維、ポリアミド共重合体繊維等がある。これらの低融点繊維は、単独あるいは2種以上組合わせて使用される。
該低融点繊維の繊度は、0.1dtex〜60dtexの範囲である。
上記低融点繊維は通常上記繊維に1〜50質量%混合される。
上記繊維シートまたはマットは、上記繊維のウェブのシートあるいはマットをニードルパンチングによって絡合する方法、あるいは繊維のウェブのシートあるいはマットが上記低融点繊維からなるか、あるいは上記低融点繊維が混合されている場合には該混合繊維のウェブをそのまま、あるいは該ウェブをニードルパンチングによって絡合した上で加熱して、該低融点繊維を軟化せしめて繊維相互を結着する方法、あるいは上記繊維シートまたはマットに合成樹脂を含浸あるいは混合して結着するか、あるいは上記繊維のウェブのシートまたはマットをニードルパンチングによって絡合した上で合成樹脂の粉末、溶液、エマルジョン、あるいはラテックスを混合、塗布あるいは含浸して結着する方法、上記繊維を編織する方法等によって製造される。
上記難燃処理液は、通常上記繊維をシートまたはマット化する前に繊維に混合されるか、あるいは上記シートまたはマットに上記難燃処理液を含浸、あるいは塗布する。上記ポリリン酸アンモニウムと繊維との混合比率は任意でよいが、通常繊維に対して該ポリリン酸アンモニウムは0.5〜100質量%、該膨張黒鉛を使用する場合には0.5〜50質量%、該熱膨張性粒体を使用する場合には該粒体を0.1〜50質量%添加する。該膨張黒鉛や熱膨張性粒体は上記処理液に添加せず、別体として繊維に混合してもよい。
上記繊維シートまたはマット、あるいは上記合成樹脂発泡体のシートまたはマットに上記処理液を含浸するには、通常、上記処理液に上記シートまたはマットを浸漬するか、あるいは上記処理液を上記シートまたはマットにスプレーするか、あるいはナイフコーター、ロールコーター、フローコーター等によって塗布する。
上記処理液を含浸または塗布した上記シートまたはマット中の上記処理液量を調節するには、上記処理液含浸または混合後、上記シートまたはマットを絞りロールやプレス盤を使用して絞る。
該シートまたはマットに上記難燃処理液を含浸あるいは塗布した後、該シートまたはマットを加熱乾燥する。上記加熱乾燥工程において、上記難燃処理液中のフェノール系樹脂をB状態にすると該シートまたはマットは長期保存が可能になり、かつ低温短時間の成形が可能になる。
上記シートまたはマットが表皮材として使用される場合には、一般に厚みは0.1mm〜5mmに設定され、基材として使用される場合には、一般に厚みは3mm〜60mmに設定される。
〔内装材の製造〕
本発明の内装材7を製造するには、図1に示すような上型2と下型3とからなるプレス成形装置1に通常表皮材4を上側にし基材5を下側にして重ねてセットしてホットプレスを行なう。
この場合表皮材4および/または基材5に塗布または含浸されている難燃処理液中のフェノール系樹脂が表皮材4と基材5との間の接着面に滲出して接着剤として機能するが、それとは別に表皮材4および/または基材5の接着面に接着剤を塗布してもよい。またホットメルト接着剤粉末を使用する場合には、上記表皮材4および/または基材5の接着面に該粉末を撒布してもよく、また上記難燃処理液を表皮材4または基材5の接着面に塗布する場合には、上記難燃処理液に該ホットメルト接着剤粉末を分散しておいてもよい。
該ホットメルト接着剤粉末は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系樹脂(ポリオレフィン系樹脂の変性物を含む)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステル共重合体、ポリアミド、ポリアミド共重合体等の1種または2種以上の混合物等の低融点樹脂を材料とする。
更に本発明にあっては、上記表皮材4と基材5との接着にホットメルト接着剤フィルムを使用してもよい。該フィルムは通常上記表皮材4か基材5の接着面に予め貼着される。
本発明の内装材7は平板状あるいは図1に示すように所定形状に成形されるが、通常、成形にはホットプレス成形が適用され、上記表皮材4および/または基材5に膨張黒鉛が付着されている場合には、ホットプレス温度は該膨張黒鉛の膨張開始温度以下に設定され、また該繊維シートまたはマットに熱膨張性粒体が付着されている場合には、該熱膨張性粒体の加熱膨張は上記プレス成形時に該繊維シートまたはマットの厚みを規制しつゝ行われる。該繊維シートまたはマットを厚みを規制しつゝ含有する該熱膨張性粒体の膨張温度以上に加熱すると、該熱膨張性粒体が膨張する。該繊維シートまたはマットは上記したように厚みを規制されているから、該粒体の膨張によって周りの繊維は圧縮され、繊維部分の密度は高くなって剛性が向上する。しかし該繊維シートまたはマット全体としては、空隙率は変わらず、したがって重量も変わらない。
上記ホットプレスの間に表皮材4および/または基材5に含浸されている難燃処理液中のフェノール系樹脂初期縮合物が樹脂化硬化して成形形状を安定に保持し、かつポリリン酸アンモニウム粒子表面には該樹脂化初期縮合物、即ちフェノール系樹脂被覆が形成され、該ポリリン酸アンモニウム粒子が水に溶出することを阻止すると共に、該ポリリン酸アンモニウム粒子を該表皮材および/または基材に強固に結着する。
上記ホットプレスによって、表皮材4や基材5に含まれている水分、溶剤、あるいは合成樹脂から発生する揮発性成分等は上側にある表皮材4側から外部に蒸発するが、該ポリリン酸アンモニウム粒子は該表皮材4および/または基材5に強固に決着されているから、該表皮材4の表面に上記揮発成分の蒸発に伴ってポリリン酸アンモニウムが移行することはない。
本発明の内装材7は、例えば、自動車の天井材、ドアトリム、インストゥルメントパネル、ダッシュサイレンサ、フードサイレンサ、エンジンアンダーカバーサイレンサ、シリンダーヘッドカバーサイレンサ、ダッシュアウターサイレンサ、フロアマット、ダッシュボード等の内装材、あるいは吸音材、断熱材、建築材料等として有用である。
以下、本発明を実施例によって説明する。なお本発明は以下に示される実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例1〕
ポリエステル繊維からなるスパンボンド法による目付量40g/mの不織布である繊維シートを、レゾール型フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物(固形分:45質量%水溶液)40質量部、カーボンブラック(固形分:30質量%水分散溶液)2質量部、フッ素系撥水撥油剤(固形分:25質量%水溶液)3質量部、ワックス系内部離型剤(固形分:40質量%水分散溶液)1質量部、水54質量部からなる混合液に、該繊維シートの30質量%の塗布量になるようにロールにて含浸塗布し、更に該繊維シートの裏面に、該レゾール型フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物(固形分:45質量%水溶液)40質量部、ポリリン酸アンモニウム粉末(粒子径:30〜40μm、水に対する溶解度:1質量%以下)30質量部、水30質量部からなる混合分散液である難燃処理液をスプレーにて該繊維シートの25質量%の塗布量になるように塗布した後、130℃で3分間乾燥プレキュアし、難燃性繊維シートを得た。該難燃性繊維シートを表皮材として使用し、基材として未硬化のレゾール型フェノール樹脂が15質量%塗布されたガラスウール原綿(目付量:1000g/m)を用い、該難燃性繊維シートの裏面と該ガラスウール原綿とを重合させて180℃、200℃、220℃の各温度で60秒間熱圧プレス成形し厚さ10mmの成形物を得た。
〔比較例1〕
実施例1において、難燃処理液において用いたレゾール型フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物を、アクリル共重合エマルジョン(固形分:45質量%水溶液)とした他は同様にして厚さ10mmの成形物を得た。
〔実施例2〕
実施例1において、レゾール型フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物を、スルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物とした他は同様にして厚さ10mmの成形物を得た。
〔実施例3〕
ポリエステル繊維からなるニードルパンチング法による目付量90g/mの不織布である繊維シートを、スルフィメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物(固形分:45質量%水溶液)40質量部、カーボンブラック(固形分:30質量%水分散溶液)2質量部、フッ素系撥水撥油剤(固形分:25質量%水溶液)3質量部、ワックス系内部離型剤(固形分:40質量%水分散溶液)1質量部、水54質量部からなる混合液に、該繊維シートの40質量%の塗布量になるようにロールにて含浸塗布し、更に該繊維シートの裏面に、該スルフィメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物(固形分:45質量%水溶液)30質量部、ポリリン酸アンモニウム粉末(粒子径:30〜40μm、水に対する溶解度:2質量%以下)30質量部、共重合ポリアミド粉末(粒子径:20〜30μm、軟化温度:130℃)10質量部、水40質量部からなる混合分散液である難燃処理液をスプレーにて該繊維シートの30質量%の塗布量になるように塗布した後、130℃で3分間乾燥プレキュアし、難燃性繊維シートを得た。該難燃性繊維シートを表皮材として使用し、難燃性基材としてメラミン樹脂フォーム(厚さ:20mm、密度:8.5kg/m)を用い、該難燃性繊維シートの裏面と該メラミン樹脂フォームとを重合させて200℃で60秒間熱圧プレス成形し厚さ10mmの成形物を得た。
〔比較例2〕
実施例3において、難燃処理液として用いたスルフィメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物を、ポリエステル共重合エマルジョン(固形分:45質量%水溶液)とした他は同様にして厚さ10mmの成形物を得た。
〔実施例4〕
ポリエステル繊維からなるニードルパンチング法による目付量80g/mの不織布である繊維シートを、スルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物(固形分:45質量%水溶液)40質量部、カーボンブラック(固形分:30質量%水分散溶液)2質量部、フッ素系撥水撥油剤(固形分:25質量%水溶液)3質量部、ワックス系内部離型剤(固形分:40質量%水分散溶液)1質量部、アニオン性界面活性剤0.1質量部、水53.9質量部からなる混合液に、該繊維シートの45質量%の塗布量になるようにロールにて含浸塗布し、更に該繊維シートの裏面に、該スルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物(固形分:45質量%水溶液)30質量部、ポリリン酸アンモニウム粉末(粒子径:30〜40μm、水に対する溶解度:0.5質量%以下)30質量部、共重合ポリアミド粉末(粒子径:20〜30μm、軟化温度:130℃)10質量部、水40質量部からなる混合分散液である難燃処理液をスプレーにて該繊維シートの30質量%の塗布量になるように塗布した後、130℃で3分間乾燥プレキュアし、難燃性繊維シートを得た。該難燃性繊維シートを表皮材として使用し、難燃性基材として膨張黒鉛入りウレタンフォーム(厚さ:30mm、密度:15kg/m)を用い、該難燃性繊維シートの裏面と該膨張黒鉛入りウレタンフォームとを重合させて180℃で40秒間熱圧プレス成形し厚さ10mmの成形物を得た。
〔比較例3〕
実施例4において、難燃処理液において用いたスルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物を、エチレン−酢酸ビニル共重合エマルジョン(固形分:45質量%水溶液)とした他は同様にして厚さ10mmの成形物を得た。
〔比較例4〕
実施例1においてポリリン酸アンモニウム粉末の水に対する溶解度を7%、とした他は同様にして厚さ10mmの成形物を得た。
〔成形試験〕
実施例1,2,3,4および比較例1,2,3,4で得られた成形物を室温にて放置させ、経過時間による表皮材表面の白化状態を観察した結果を表1に示す。
Figure 2008094925

◎ :白化は見られず。表面状態良好。
○ :部分的に極僅かに白化が見られる。
△ :表皮材表面面積の約0.5〜1%に白化が見られる。
× :表皮材表面面積の約2〜5%程度に全体的に白化が見られる。
××:表皮材表面面積の約8〜10%程度に白化が見られる。
表1より、ポリリン酸アンモニウム粒子をフェノール系樹脂水性溶液に分散させた本発明の難燃処理液を使用した成形物表面には白化現象が発生しない事が判る。実施例1および実施例2からフェノール系樹脂でもアルキルレゾルシンを共縮合した物は、フェノール樹脂単独より硬化温度が低くても効果が良好な事が判る。
〔実施例5〕
ケナフ繊維70質量%、ポリ乳酸繊維10質量%、および芯鞘構造の低融点ポリエステル繊維(軟化点:130℃)20質量%を解繊機によって厚さ40mm、目付量600g/mのウェブ状シートにした後、該ウェブ状シートを熱風炉にて吸引しながら135℃で20秒間かけて該低融点ポリエステル繊維を溶融し、繊維相互を結着させ厚さ35mm、見掛け密度20kg/mの繊維シートを得た。次に該繊維シートを、スルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物(固形分:40質量%水溶液)40質量部、ポリリン酸アンモニウム粉末(粒子径:30〜40μm、水に対する溶解度:1質量%以下)25質量部、水35質量部からなる混合分散液である難燃処理液を、該繊維シートの35質量%の塗布量になるようにロールにて含浸塗布し110℃で10分間吸引しながら乾燥し厚さ20mmのプレキュアされた難燃性繊維基材を得た。実施例4で得られた難燃性繊維シートを表皮材として使用し、該難燃性繊維シートの裏側と得られた該難燃性繊維基材とを重合し200℃で90秒間熱圧プレス成形し所定形状の成形物を得た。この成形物の難燃性は、UL94規格のV−0であり、吸音性、耐水性、対候性に優れ、又表皮材表面に白化現象が発生せず、自動車の内外装部材として有用である。
〔実施例6〕
ポリエステル繊維からなるニードルパンチング法による目付量90g/mの繊維シートの裏面をカレンダー加工処理を行った後、アクリル共重合エマルジョンを用い、該カレンダー加工面に50g/mの塗布量で塗布、乾燥し均一な皮膜を形成させた。次に、この皮膜を形成した面に、スルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物(固形分:45質量%水溶液)30質量部、ポリリン酸アンモニウム粉末(粒子径:30〜40μm、水に対する溶解度:2質量%以下)30質量部、共重合ポリアミド粉末(粒子径:20〜30μm、軟化温度:130℃)10質量部、水40質量部からなる混合分散液である難燃処理液をスプレーにて該繊維シートの40質量%の塗布量になるように塗布した後、130℃で3分間乾燥プレキュアし、難燃性繊維シート表皮材を得た。また基材として、ケナフ繊維70質量%、アラミド繊維10質量%、および芯鞘構造の低融点ポリエステル繊維(軟化点:130℃)20質量%を解繊機によって厚さ40mm、目付量500g/mのウェブ状シートにした後、該ウェブ状シートを熱風炉にて吸引しながら135℃で20秒間かけ該低融点ポリエステル繊維を溶融し、繊維相互を結着させ厚さ35mm、見掛け密度25kg/mの繊維シートを得た。次に該繊維シートを、スルホメチル化フェノール−アルキルレゾルシン−ホルムアルデヒド初期縮合物(固形分:40質量%水溶液)40質量部、ポリリン酸アンモニウム粉末(粒子径:30〜40μm、水に対する溶解度:1質量%以下)25質量部、水35質量部からなる混合分散液である難燃処理液を、該繊維シートの35質量%の塗布量になるようにロールにて含浸塗布し110℃で10分間吸引しながら乾燥し厚さ20mmのプレキュアされた難燃性繊維シート基材を得た。得られた該難燃性繊維基材と、該難燃性繊維シート表皮材とを重合し200℃で90秒間熱圧プレス成形し所定形状の成形物を得た。この成形物の難燃性は、UL94規格のV−0であり、吸音性、耐水性、対候性に優れ、又表皮材表面に白化現象が発生せず、自動車の内外装部材として有用である。
本発明の難燃処理液は安価に提供出来、該難燃処理液によって処理した表皮材や基材は耐水性耐久性のある難燃性を付与されるから、特に自動車等の内装材として有用である。
ホットプレス工程の説明図
符号の説明
1 プレス成形装置
2 上型
3 下型
4 表皮材
5 基材

Claims (7)

  1. フェノール系樹脂初期縮合物の水性溶液中に、水に対する溶解度が5質量%以下であるポリリン酸アンモニウム粒子を分散せしめたことを特徴とする難燃処理液。
  2. 該フェノール系樹脂初期縮合物は多価フェノールの初期縮合体および/または多価フェノールを含む初期縮合物である請求項1に記載の難燃処理液。
  3. 該フェノール系樹脂初期縮合物はスルホメチル化および/またはスルフィメチル化されている請求項1または請求項2に記載の難燃処理液。
  4. 該フェノール系樹脂初期縮合物の水性溶液には水溶性樹脂が分散剤として添加されている請求項1〜請求項3のいづれか1項に記載の難燃処理液。
  5. 請求項1〜請求項4のいづれか1項に記載の難燃処理液を混合または塗布した繊維シートまたはマットからなる難燃性繊維材料。
  6. 請求項5に記載の難燃性繊維材料を表皮材として基材表面に接着すると共に所定形状に成形したことを特徴とする内装材。
  7. 該表皮材と該基材とはホットメルト接着剤フィルムまたはホットメルト接着剤粉末によって接着されている請求項6に記載の内装材。
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