JP3388151B2 - 空圧マッサージ器用圧迫具 - Google Patents

空圧マッサージ器用圧迫具

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮空気の給排気
によって膨張・収縮する気密室を複数個有する空圧マッ
サージ器用圧迫具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の空圧マッサージ器用圧迫具は、通
常、複数個の気密室を並設してシート状に形成されてお
り、腕や脚などに巻きつけるように装着し、各気密室に
設けた圧縮空気出入口とコンプレッサなどの圧縮空気供
給源とを連通するエアホースを介して、気密室毎に圧縮
空気の給排気を行い各気密室を膨張・収縮させていた。
【0003】特に、抹消から中枢に向かって順次気密室
を膨張・収縮させれば、腕や脚の末梢から中枢に向かっ
て順次圧迫して、効果的なマッサージを行うことができ
る。このようなマッサージを行うためには、末梢側の気
密室から中枢側の気密室に順次圧縮空気を給排気するこ
とが必要で、気密室毎に給排気できる空気分配弁(ディ
ストリビュータ)を用いて、抹消から中枢に向かって順
次圧縮空気を給排気していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
分配弁は、構造が複雑で高価であるため、空圧マッサー
ジ器の価格が高価になってしまう問題があり、簡単な構
造の安価な分配弁を用いて若しくは分配弁を用いなくて
も同様の効果を得られる空圧マッサージ器用圧迫具の開
発が望まれていた。本発明は、上記従来の空圧マッサー
ジ器用圧迫具が有する問題点を解決すべく、鋭意研究の
結果成されたものであり、分配弁を用いなくても末梢か
ら中枢に向かって、順次静脈流にそくして気密室を膨張
させることができる空圧マッサージ器用圧迫具を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、複数個の気密室より成る袋体の気密室を
形成するシール部の一部を非気密状態にし、この非気密
状態のシール部を長手方向に沿って両方向にシート部材
を溶着して一定の長さを有する連通路を形成させて両気
密室を連通させ、かつ、前記連通路の開口断面積を末梢
側の気密室が大きく中枢側の気密室になるにしたがって
小さく形成することにより、末梢側から中枢側の気密室
に圧縮空気を供給したときに、前記気密室の内圧が上限
に達する途中で次の気密室に圧縮空気が供給されるよう
に膨張開始時間にタイムラグが生じるように構成され、
また、中枢側の気密室から圧縮空気を排気したときに、
中枢側の気密室から順に収縮が開始され、すべての気密
の内圧が大気圧になったときに収縮が終了するように
構成したもので、一方側、例えば末梢側の気密室に圧縮
空気供給源を連通させ、この気密室に圧縮空気を供給す
ると、この気密室を始めに、連通路を介して中枢側の気
密室へと順次圧縮空気が分配供給され、末梢側から中枢
側に向かって気密室が順次膨張する。また、一方側、例
えば中枢側の気密室から圧縮空気を排気すると、この気
密室から末梢側に向かって気密室が順次収縮してマッサ
ージ効果を高めることができる。
【0006】そして、末梢側の連通路の開口断面積より
も中枢側の連通路の開口断面積を小さく形成することに
より、末梢側から圧縮空気を供給した場合に、末梢側の
気密室の膨張による負荷を大きくして、マッサージ効果
をより高めることができ、さらに、気密室間を隔てるシ
ール部の一部を非気密状態にして連通路を形成すること
により、コストを低減することができる。
【0007】また、末梢側の気密室に圧縮空気を供給す
る供給口を設け、中枢側の気密室に圧縮空気を排気する
排気口を設けることにより、末梢側の気密室に供給され
た圧縮空気の一部を中枢側の他の気密室へと順次供給し
て、末梢側から中枢側に向かって気密室を順次膨張させ
ると共に、中枢側の気密室からスムーズに圧縮空気を排
気して、中枢側から末梢側に向かって順次収縮させ、末
梢に滞りやすい血液の流れを良くし、効率の良いマッサ
ージが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の好ま
しい実施の形態について説明する。本発明の空圧マッサ
ージ器用圧迫具は、図に示すように、略脚形を展開した
形状に形成した二枚のシート部材A,Bを重ね合わせ
て、周囲を高周波加熱手段などにより溶着して一つの扁
平袋状の袋体を形成し、更に、この袋体を構成するシー
ト部材A,Bを短手方向に沿って溶着するこにより、線
状のシール部5,6,7を形成し、これらシール部5,
6,7によって袋体内を四つに区画して、扁平袋状の気
密室1,2,3,4を形成している。
【0009】シール部5,6,7には、隣合う気密室1
と2,2と3,3と4をそれぞれ連通する略扁平筒状の
連通路8,9,10が形成されている。
【0010】これらの連通路8,9,10は、各シール
部5,6,7の一部を非気密状態に形成し、気密状態の
途切れた端から更に長手方向に沿って両方向にシート部
材A,Bを溶着して形成したシール部5a,6a,7a
により形成され、かつ、各開口断面積が、抹消側の連通
路8よりも中枢側の連通路9、更に中枢側の連通路10
の方が小さくなるように形成されている。このように、
連通路8,9,10の入口を各気密室1,2,3,4内
に突入させ、かつ、連通路8,9,10の開口断面積を
抹消から中枢に向かって徐々に小さく形成しているの
で、気密室1,2,3,4の膨張開始時間に適宜のタイ
ムラグを生じさせることができる。
【0011】例えば、図3に示す長さLを約750m
m、巾Wを約600mmとした圧迫具では、長さを全て
130mmとし、連通路8は巾を30mm、連通路9は
巾を25mm、連通路10は巾を20mmに形成すると
良い。
【0012】なお、連通路8,9,10は、それぞれ平
行する二本のシール部5a,6a,7aにより形成され
ているが、シール部5a,6a,7aをハ字形状に傾斜
させ中枢側を狭く形成したり、シール部5,6,7の一
部を非気密状態にして形成した孔や、隣合う気密室1と
2,2と3,3と4にわたって接続されるチューブなど
にしても良い。チューブを用いた場合、径や長さの異な
るチューブを用いて、気密室1,2,3,4の膨張開始
時間に適宜のタイムラグが生じるようにする。
【0013】また、気密室1には圧縮空気を供給するた
めの供給口11が、気密室4には圧縮空気を排気するた
めの排気口12が設けられている。ところで、気密室1
に給排口を設けて、気密室1のみに圧縮空気を給排気す
るようにしても良い。
【0014】そして、この袋体を略筒状の脚形に形成す
べく、長手方向に沿う両縁を重ね合わせて溶着又は縫合
し、縁に図示しないバイアステープを接着又は縫合して
いる。なお、脚への装着を容易にするため、ファスナー
などの接合手段を、袋体の長手方向に沿う両縁に設けて
も良い。
【0015】ここで、内側のシート部材Aは、弾性の大
きい非通気性の樹脂製シートで、外側のシート部材B
は、弾性の小さい非通気性の樹脂製シートで、素材は、
例えばウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹
脂から適宜選択される。
【0016】本実施形態では、図に示すように、四個の
気密室1,2,3,4を設けているが、この数に限定さ
れるものではない。また、図示しないが、シート部材
A,Bを使用時に略腕形となるように形成するなど、マ
ッサージ部位に応じた形状に形成すれば良い。さらに、
関節の曲げ伸ばしを容易にできるように、適宜位置に膝
や肘を露出させる切欠部を設けても良い。
【0017】以下、上記空圧マッサージ器用圧迫具の作
用を説明する。図1に示すように、ブーツを履くように
して上記圧迫具を両脚に装着し(図1は片足のみ図
示)、マッサージ器本体20に内蔵されたコンプレッサ
(図示省略)などの圧縮空気供給源と連通するエアホー
ス21を気密室1の供給口11に、また、マッサージ器
本体20に内蔵された電磁弁(図示省略)などを介して
外気と連通するエアホース22を気密室4の排気口12
にそれぞれ接続する。
【0018】次に、マッサージ器本体20を駆動させる
と、圧縮空気供給源からエアホース21を介して気密室
1内に圧縮空気が供給され、気密室1が膨張を開始し、
気密室1の内圧が上限値に達する途中で、気密室1内に
供給される圧縮空気の一部が連通路8を通って気密室1
から気密室2へと送給されて、気密室1に遅れて気密室
2が膨張を開始し、気密室2の内圧が上限値に達する途
中で、気密室2内に供給される圧縮空気の一部が連通路
9を通って気密室2から気密室3へと送給され、気密室
2に遅れて気密室3が膨張を開始し、さらに、気密室3
の内圧が上限値に達する途中で、気密室3内に供給され
る圧縮空気の一部が連通路10を通って気密室3から気
密室4へと送給され、気密室3に遅れて気密室4が膨張
を開始し、気密室1、2、3、4の順で内圧が上限値に
達する。このように、気密室1,2,3,4の膨張開始
時間にそれぞれタイムラグが生じるので、末梢に滞る血
液を中枢に還流させることができる。
【0019】そして、気密室4の内圧が上限値に達して
から、全気密室1,2,3,4の内圧を所定時間保持し
た後、電磁弁が開放されて、エアホース22を介して気
密室4から圧縮空気が排気され、まず気密室4が収縮を
開始し、遅れて気密室3、気密室2、気密室1が収縮を
開始し、すべての気密室1,2,3,4の内圧が大気圧
に達して収縮が終了する。このように、気密室4に排気
口12を設けて、中枢側の気密室4から除圧を行うよう
にしたので、血行促進により効果的である。
【0020】これ以降、上記過程が繰返し行なわれ、気
密室1、2、3、4の順で膨張・収縮が繰返されて、効
率良く血行を促進させることができる。なお、二回目以
降、気密室1,2,3,4の膨張・収縮は、大気圧から
所定の上限圧までの範囲で内圧を加減圧することにより
行われるので、膨張するまでの時間が初回よりも短くな
る。従って、初回の膨張・収縮サイクルを予備サイク
ル、二回目以降を本サイクルとして、本サイクルの時間
を適宜設定すれば良い。
【0021】ところで、上記のように連通路の開口断面
積を順次小さくし形成して、気密室の膨張タイミングを
調整することは、空圧マッサージ器用圧迫具のみなら
ず、床ずれ防止用の空圧式マットにも適用することがで
きる。
【0022】
【発明の効果】以上、詳細に説明した本発明は、構造が
複雑で高価である分配装置を用いなくても、末梢側の気
密室に圧縮空気を供給すれば、末梢から中枢に向かって
順次気密室を膨張・収縮させることができるうえに、膨
張・収縮するタイミングを調整して、静脈流にそくして
気密室を膨張・収縮させ、より圧迫感のある効果の高い
マッサージを行うことができる。さらに、圧縮空気を供
給する気密室と、排気する気密室とを分けて、圧縮空気
を末梢側の気密室から供給し、中枢側の気密室から排気
するようにすれば、複数の連通路を設けた場合であって
も、膨張・収縮をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空圧マッサージ器用圧迫具の一実施形
態の使用状態を示す概略斜視図である。
【図2】上記空圧マッサージ器用圧迫具を示す平面図で
ある。
【図3】上記空圧マッサージ器用圧迫具を展開した状態
を示す平面図である。
【図4】図3のX−X線断面端面図である。
【図5】図3のY−Y線拡大部分断面図である。
【符号の説明】
1,2,3,4 気密室 5,6,7 シール部 8,9,10 連通路 11 供給口 12 排気口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−94574(JP,A) 特開 平7−171185(JP,A) 特開 平5−253264(JP,A) 特開 昭61−253060(JP,A) 特開 昭56−85342(JP,A) 実開 昭62−54738(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61H 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個の気密室より成る袋体の気密室を
    形成するシール部の一部を非気密状態にし、この非気密
    状態のシール部を長手方向に沿って両方向にシート部材
    を溶着して一定の長さを有する連通路を形成させて両気
    密室を連通させ、かつ、前記連通路の開口断面積を末梢
    側の気密室が大きく中枢側の気密室になるにしたがって
    小さく形成することにより、末梢側から中枢側の気密室
    に圧縮空気を供給したときに、前記気密室の内圧が上限
    に達する途中で次の気密室に圧縮空気が供給されるよう
    に膨張開始時間にタイムラグが生じるように構成され、
    また、中枢側の気密室から圧縮空気を排気したときに、
    中枢側の気密室から順に収縮が開始され、すべての気密
    の内圧が大気圧になったときに収縮が終了するように
    構成されたことを特徴とする空圧マッサージ器用圧迫
    具。
  2. 【請求項2】 末梢側の気密室に圧縮空気を供給する供
    給口を設け、中枢側の気密室に圧縮空気を排気する排気
    口を設けた請求項1に記載の空圧マッサージ器用圧迫
    具。
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