JP3386936B2 - 感熱孔版原紙 - Google Patents

感熱孔版原紙

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JP3386936B2 JP20553595A JP20553595A JP3386936B2 JP 3386936 B2 JP3386936 B2 JP 3386936B2 JP 20553595 A JP20553595 A JP 20553595A JP 20553595 A JP20553595 A JP 20553595A JP 3386936 B2 JP3386936 B2 JP 3386936B2
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信広 岩崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱孔版原紙に関
し、特にサーマルヘッドにより製版する感熱孔版原紙に
関する。
【0002】
【従来の技術】感熱孔版原紙は、通常、インキ透過性の
ある多孔性支持体と熱溶融穿孔性のフィルムとを接着剤
を介して貼り合わせた原紙を用い、この原紙のフィルム
面に所望の文字、図形等の形状を熱穿孔させることによ
り版を作成する。そして、この版を用いて印刷するもの
である。
【0003】この製版方法として、サーマルヘッドによ
るデジタル製版法と、赤外線またはキセノンフラッシュ
光を照射する方法が、既に知られている。特に、サーマ
ルヘッドによるデジタル製版法は静電複写(PPC)と
比較して、多数枚印刷時の印刷コストが安い、また高速
印刷が可能である等の利点があることから、オフィス、
及び学校等に急速に普及している。サーマルヘッドによ
り製版を行う場合には、ヘッドが熱溶融穿孔性フィルム
に熱融着するのを防止するためフィルムの上にスティッ
ク防止層などを設け、その上からサーマルヘッドで加熱
して、穿孔・製版を行っている。
【0004】サーマルヘッドを使用したデジタル製版法
を行う、従来の感熱孔版原紙においては、造膜性のある
合成樹脂または連続的に存在する合成樹脂が、多孔性支
持体と熱溶融穿孔性フィルムとを接着するのに用いられ
ている。これは接着剤の接着強度を高めるためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記で使用さ
れている従来の接着剤は造膜性を有しているか、または
連続的に存在しているために、接着剤が熱溶融穿孔性フ
ィルムと支持体との間に高密度で存在する。このため、
サーマルヘッドから熱溶融穿孔性フィルムに与えられた
熱が接着剤を通過して支持体の方向へ移動し、熱溶融穿
孔性フィルムにおける穿孔時の熱感度が損なわれるとい
う問題があった。
【0006】従って、本発明は、上述のごとき欠点を解
決し、サーマルヘッドから熱溶融穿孔性フィルムへ与え
られた熱の損失がなく、その熱により効率よく熱溶融穿
孔性フィルムを穿孔することができる、感熱孔版原紙を
提供することを主たる目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明により達成できる。即ち、本発明は多孔性支持体に接
着剤層を介して熱溶融穿孔性フィルムを貼り合わせてな
る感熱孔版原紙であって、該接着剤が微多孔性樹脂を含
むことを特徴とする感熱孔版原紙である。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明をどのように実施す
るかについて、詳細に説明する。
【0009】本発明の感熱孔版原紙は、基本的には多孔
性支持体及び熱溶融穿孔性フィルムを、接着剤層を介し
て貼り合わせた構成となっている。本発明の最大の特徴
は、上記接着剤層に、微多孔性樹脂を含むことである。
微多孔性樹脂としては、熱可塑性を有するものが好適に
用いられる。特に、微多孔性ポリウレタン系樹脂であっ
て熱可塑性のものが好ましい。
【0010】本発明の接着剤層は、多孔性支持体と熱溶
融穿孔性フィルムとを接着することができる接着剤から
なり、微多孔性樹脂を含むものである。接着剤層に微多
孔性樹脂を含ませる態様としては、従来から使用されて
いる接着剤に、別途微多孔性樹脂を含ませてもよいし、
或いは従来から用いられている接着剤自体を微多孔性樹
脂としたものを用いてもよい。接着剤として、従来から
用いられているものとして、例えば、酢酸ビニル系、ア
クリル系、塩化ビニル酢酸ビニル共重合系、ポリエステ
ル系、ポリウレタン系、ポリアミド系等のエマルジョン
タイプ、溶剤タイプ、無溶剤タイプ、ホットメルトタイ
プ、紫外線硬化タイプ、電子線硬化タイプ等のものが挙
げられる。特に好ましい微多孔性樹脂としては、微多孔
性ポリウレタン系樹脂である。また、これら接着剤層に
は必要に応じて、他の添加剤、例えば帯電防止剤、滑剤
等が添加されてもよい。
【0011】微多孔性樹脂として特に好ましい微多孔性
のポリウレタン系樹脂は、種々のポリイソシアネートと
ポリオールとから得られ、種々のグレードのものが市場
から入手でき、本発明で使用することができる。微多孔
性ポリウレタン系樹脂を種々の溶媒、例えば、トルエ
ン、メチルエチルケトンと混合して、接着剤を得ること
ができる。
【0012】以上述べたごとく、接着剤層に微多孔性樹
脂を含ませたことにより、熱溶融穿孔性フィルムと多孔
性支持体との間に存在する接着剤層は、従来の接着剤層
と異なり、低密度となる。これにより、熱溶融穿孔性フ
ィルム上に与えられたサーマルヘッドからの熱は、多孔
性支持体へ移動して放出することがなく、効率的に熱溶
融穿孔性フィルムを穿孔することができる。従って、熱
溶融穿孔性フィルムの熱感度を損なうことなく、熱溶融
穿孔性フィルムを良好に穿孔することができる。
【0013】本発明の接着剤層に含まれる微多孔性樹脂
は、0.1〜30μm、好ましくは0.1〜10μmの気
孔径を有するものが好ましい。微多孔性樹脂の気孔径が
0.1μm未満の場合には、十分な穿孔感度が得られな
い。一方、気孔径が30.0μmより大きい場合には、
気孔径の大きさがサーマルヘッド1ドットの大きさに近
くなるため、穿孔された穿孔孔の大きさが一定とならな
い。
【0014】また、微多孔性樹脂は、0.1〜0.8g/
cm3の密度であることが好ましい。微多孔性樹脂密度
が0.1g/cm3未満の場合には、十分な接着強度が得
られない。一方、密度が0.8g/cm3より大きい場合
には、十分な穿孔感度が得られない。
【0015】さらに、微多孔性樹脂は、軟化点が50〜
200℃であることが好ましい。軟化点が50℃未満の
場合、耐熱保存性が悪くなり、デラミが発生して、多孔
性支持体と熱溶融穿孔性フィルムが剥離するおそれがあ
る。また、200℃を越える場合、十分な穿孔感度が得
られない。
【0016】本発明に用いられる熱溶融穿孔性フィルム
としては、ポリ塩化ビニル系フィルム、塩化ビニル−塩
化ビニリデン共重合フィルム、ポリエステルフィルム、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィ
ルム、ポリスチレンフィルム等の、厚さが好ましくは、
0.5〜20μmであるフィルムがいずれも使用でき、
特に限定されるものではない。厚さの薄いものは、感度
では有利であるが、コストの面で不利となるので、使用
するサーマルヘッドの熱エネルギーで穿孔できる特性を
考慮してフィルムを選定すればよい。
【0017】熱溶融穿孔性フィルムとして一般的に使用
されているのは延伸ポリエステルフィルムである。ポリ
エチレンテレフタレートフィルムは結晶性(結晶化度)
が高く低感度であり、1.5〜2.5μmの厚さのものが
使用される。本発明に好適に使用出来るフィルムは、厚
さ0.5〜6.0μmの低融解エネルギー、高加熱収縮
率、低結晶性の共重合ポリエステルフィルム等の高感度
フィルムである。これらのフィルムとして、例えば、融
解エネルギーが3〜11cal/gで融解終了温度と融
解開始温度との差が50〜100℃である共重合ポリエ
ステルフィルム(特開昭62−149496)、140
℃での加熱収縮率が15%以上80%以下で120℃で
の加熱収縮応力が150〜500g/mm2 の共重合ポ
リエステルフィルム(特開昭63−160895)、二
つの融解ピークが観測されることを特徴とするフィルム
(特開平3−39294)、100℃の加熱収縮率が1
5%以上80%以下で100℃での加熱収縮応力が75
〜500g/mm2 の共重合ポリエステルフィルム(特
開昭62−282983)を例示することが出来る。
【0018】本発明の用いられる多孔性支持体は、加熱
時には実質的に穿孔性を有せず、印刷時にインキが通過
する多孔質のものであればよく、例えば、マニラ麻、コ
ウゾ、ミツマタ、パルプ等天然繊維、ポリエステル、ビ
ニロン、ナイロン、レーヨン等の合成繊維が挙げられ、
これらは単独で、または2種以上併用して湿式または乾
式抄紙したもの、ポリエステル、ナイロン等のスクリー
ン印刷用紗等を用いることができる。
【0019】また、本発明では、サーマルヘッドが熱溶
融穿孔性フィルムに熱融着するのを防止するため、熱溶
融穿孔性フィルム上にスティック防止剤をコーティング
してスティック防止層を設けてもよい。スティック防止
剤としては、例えば、撥水撥油剤、界面活性剤、シリコ
ン系、フッソ系の離型性能のあるものが挙げられる。ま
たこれらに必要に応じて、他の添加剤例えば帯電防止
剤、滑剤等が添加されてもよい。
【0020】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び比較例を挙げ
て、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0021】
【実施例1】微多孔性ポリウレタン系樹脂(ハイムレン
X‐3040:大日精化工業製)30重量部、トルエン
20重量部、メチルエチルケトン10重量部、水40重
量部を混合し、接着剤を得た。この接着剤を厚さ10μ
mのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに
ワイヤーバーを用いて、0.5g/m2の割合で塗布し
た。そして、上記PETフィルムに厚さ40μmの多孔
性薄葉紙を重ね、ウエットラミネートによって貼り合わ
せて、感熱孔版原紙を得た。上記接着剤層は、径3μm
の気孔を有し、密度0.5g/cm3であった。
【0022】
【実施例2】上記微多孔性ポリウレタン系樹脂に代え
て、微多孔性ポリウレタン系樹脂(ハイムレンATX‐
10:大日精化工業製)を用いた他は、実施例1と同様
にして感熱孔版原紙を得た。この感熱孔版原紙の接着剤
層は、径0.5μmの気孔を有し、密度0.5g/cm3
であった。
【0023】
【比較例】気孔を有さず、密度1.25g/cm3、軟化
点165℃のポリエステル5重量部、および気孔を有さ
ず、密度1.23g/cm3、軟化点145℃のポリエス
テル5重量部、さらにトルエン45重量部、メチルエチ
ルケトン45重量部を混合して接着剤を得た。この接着
剤を実施例1の接着剤に代えて用いた他は、実施例1と
同様にして、感熱孔版原紙を得た。
【0024】
【評価試験】実施例1、2及び比較例で得た感熱孔版原
紙を、プリポート印刷機(VT―3820)により、穿
孔及び印刷をした。そして、穿孔された感熱孔版原紙及
び得られた印刷物に関し、感度及び画像鮮明性を目視に
より○、×の2段階で評価した。その結果を表1に示
す。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示す結果から、実施例1及び2で得
られた感熱孔版原紙は感度及び画像鮮明性の点で比較例
の感熱孔版原紙より優れているのが分かる。このことか
ら、接着剤として微多孔性樹脂を用いることにより、感
熱孔版原紙の感度及び得られる印刷物の画像鮮明性が向
上することが分かる。
【0027】
【発明の効果】以上の如き本発明によれば、多孔性支持
体及び熱溶融穿孔性フィルムを、微多孔性樹脂を含む接
着剤により貼り合わせた構成の感熱孔版原紙とすること
により、熱溶融穿孔性フィルムと支持体との間に存在す
る接着剤層の密度は低いものとなる。このため、サーマ
ルヘッドからの熱により効率よく熱溶融穿孔性フィルム
を穿孔することができる。従って、熱溶融穿孔性フィル
ムの熱感度を損なうことがない。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−288288(JP,A) 特開 平2−11393(JP,A) 特開 平1−275097(JP,A) 特開 平4−83686(JP,A) 特開 平2−239989(JP,A) 特開 平2−117895(JP,A) 特開 昭62−264998(JP,A) 特開 昭61−116595(JP,A) 特開 昭58−147396(JP,A) 特開 昭57−107887(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41N 1/24 102

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔性支持体に接着剤層を介して熱溶融
    穿孔性フィルムを貼り合わせてなる感熱孔版原紙であっ
    て、該接着剤層が微多孔性樹脂を含むことを特徴とする
    感熱孔版原紙。
  2. 【請求項2】 微多孔性樹脂の気孔径が0.1〜30μ
    m、密度が0.1〜0.8g/cm3、軟化点が50〜2
    00℃である請求項1記載の感熱孔版原紙。
  3. 【請求項3】 微多孔性樹脂の気孔径が0.1〜10μ
    mである請求項1又は2記載の感熱孔版原紙。
  4. 【請求項4】 微多孔性樹脂がポリウレタン系樹脂であ
    る請求項1、2又は3記載の感熱孔版原紙。
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JP2003089283A (ja) 2001-02-14 2003-03-25 Ricoh Co Ltd 感熱孔版印刷用原紙及びその製造方法

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