JP3381336B2 - 強度部材 - Google Patents

強度部材

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JP3381336B2
JP3381336B2 JP27550693A JP27550693A JP3381336B2 JP 3381336 B2 JP3381336 B2 JP 3381336B2 JP 27550693 A JP27550693 A JP 27550693A JP 27550693 A JP27550693 A JP 27550693A JP 3381336 B2 JP3381336 B2 JP 3381336B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は長さ方向の圧縮荷重を
受けることにより圧潰して衝突エネルギ等を吸収するフ
ロントサイドメンバ等の強度部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の強度部材として、図23の自動車
100のフロントサイドメンバ103等に用いられる図
24に示すようなものがある(実開昭58−56654
号公報参照)。
【0003】まず、図24(a)に示す強度部材10は
略一定板厚tのハット断面である第1の部材11と同じ
板厚tの略プレート状である第2の部材12とを突き当
てて溶接し、閉断面構造としている。すなわち、前記第
1の部材11は幅方向両端部に第1のフランジ13を有
し、第1のフランジ13に隣接した角部K1を加えると
n=4の角部K1,K2を有している。前記第2の部材
12は、第1の部材11の開口を閉じるように配置さ
れ、両端部12aがフランジ13に溶接14され、四角
形断面の長尺筒状の強度部材10が構成されている。溶
接14は点溶接、あるいは線溶接となっている。
【0004】図24(b)に示す強度部材20はn=4
個の角部K1,K2を有する第1の部材11を一対備
え、フランジ13相互を溶接14することにより略四角
形断面の長尺筒状の強度部材20を構成している。
【0005】そして、これらの強度部材10,20を図
23のように車輌100のフロントサイドメンバ103
とした場合、車輌衝突時に衝突エネルギを吸収する。す
なわち、前方から車輌100に衝突荷重Fが作用しその
荷重が大きいと、フロントサイドメンバ103は図22
に示すように長さ方向に所定ピッチ(以下「圧潰ピッ
チ」と称する)で蛇腹状に圧潰し、衝突エネルギを吸収
する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、衝突エネル
ギを吸収する場合の圧潰荷重Pと圧潰ストロークSとの
関係を図26に示す。通常、圧潰荷重Pは、衝突当初に
最大値(Pmax )となり、圧潰ストロークSの増加と共
に減衰する。このとき衝突エネルギの吸収量は、Pの積
分値として求めることができ、この値は圧潰荷重の平均
値(平均圧潰荷重)Pave に比例する。従って、衝突エ
ネルギの吸収のためには平均圧潰荷重Pav e を大きくす
ることが肝要である。
【0007】一方、フロントサイドメンバ103として
用いた強度部材10の圧潰時のある断面を見ると、図2
7に示すように角部K1,K2が延びるように塑性変形
している。この塑性変形により衝突エネルギを吸収する
が、特に角部K1,K2の塑性変形で大部分のエネルギ
を吸収することが解明されている。
【0008】しかし、図24のような溶接構造の場合、
第1の部材11と第2の部材12との溶接14の箇所が
角部K1に対して最適化されておらず、特に角部K1か
ら遠い位置に溶接14の箇所があると角部K1の変形が
容易となり、そのままでは平均圧潰荷重Pave の増加に
限界がある。
【0009】ここで部材の板厚を増加すれば角部K1の
剛性も高まり平均圧潰荷重Pave はそれだけ大きくなる
が、単に板厚を増すと重量増を招くことになり得策では
ない。
【0010】また、特開昭60−454854号公報に
記載のように、部材の角部に補強材を設ける手段もある
が、これも補強材を設ける分、重量増を招きかつ補強材
を固定するための工程が新たに必要となり、やはり得策
ではない。
【0011】さらに、部材を熱処理して材料の強度アッ
プを図る手段が検討されている。しかし、部材を全面的
に熱処理すると、全体の剛性が増加して圧潰ピッチが長
くなり、圧潰モードが不安定になって、衝突エネルギの
吸収設定が難しくなる恐れがある。
【0012】そこでこの発明は、溶接範囲の特定により
圧潰荷重の増加と圧潰モードの安定との両立を図ること
のできる強度部材の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に請求項1の発明は、フランジとn個の角部とを有する
板厚tの第1の部材と、前記フランジに突き当てられて
長手方向に沿って溶接される第2の部材とからなる長尺
筒状の強度部材において、前記フランジに隣接する前記
角部の中央からフランジの幅方向に有効幅a=4nt
0.46の範囲内で前記溶接を施して該角部の強度を前
記有効幅aで向上させ、軸方向に圧潰するときに前記角
部の中央から前記有効幅aの範囲を塑性変形させること
を特徴とする。
【0014】請求項2の発明は、請求項1記載の強度部
材であって、前記フランジに隣接する角部は、曲率rを
有し、前記有効幅aが前記曲率rの角部の中央から曲率
中心を基準とした円周として与えられ、前記溶接を、角
部の中央からπr/4以上の位置に施したことを特徴と
する。
【0015】請求項3の発明は、請求項1、又は請求項
2記載の強度部材であって、前記溶接に、所定ピッチの
非溶接部を確保したことを特徴とする。
【0016】請求項4の発明は、請求項3記載の強度部
材であって、前記非溶接部を、前記フランジに所定ピッ
チでビードを設けて形成したことを特徴とする。
【0017】
【作用】上記手段の請求項1の発明では、第1の部材の
フランジに隣接する角部の中央からフランジの幅方向に
有効幅a=4nt0.46の範囲内で長手方向に沿って
溶接を施し、フランジに隣接する角部の強度を前記有効
幅aで向上させることができる。そして、軸方向に圧潰
するときに角部の頂点から有効幅aの範囲が塑性変形す
ることによってエネルギを吸収することができる。
た、溶接箇所を有効幅aに特定することで角部の強度向
上させるから全体的な強度アップは必要がなくなる。
【0018】請求項2の発明では、有効幅aが曲率rの
角部の中央から曲率中心を基準とした周長として与えら
れ、フランジの溶接を角部の中央からπr/4以上の位
置に施したため、溶接が角部の曲率rの影響を受けるこ
とがなくなる。
【0019】請求項3の発明では、請求項1、又は請求
項2記載の発明の作用の他、所定ピッチの非溶接部の存
在によって強度の高い部分と相対的に低い部分とが所定
ピッチで交互に並ぶことになる。従って、相対的に強度
の低い部分を腹として変形が進行する。
【0020】請求項4の発明では、請求項3の発明の作
用の他、非溶接部がビードによって形成されているので
第1の部材にビードを一体的に形成することができ、こ
れによって非溶接部を容易に設けることが可能となる。
【0021】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。
【0022】図1はこの発明の第1実施例としての強度
部材30の斜視図である。この強度部材30は図24
(a)に示した強度部材10と同様に、第1の部材11
と第2の部材12とを溶接接合することによって略四角
形断面の長尺筒状に形成されている。
【0023】前記第1の部材11は略ハット断面を呈し
ている。第1の部材11の幅方向両端部には角部K1を
介してフランジ13を有している。また、第1の部材1
1は略一定板厚tでありn=4個の角部K1,K2を有
している。
【0024】前記第2の部材12は同じ板厚tのプレー
ト状を呈し、幅方向両端部12aが第1の部材11のフ
ランジ13に突き当てられ、長手方向に沿って溶接14
されている。前記溶接14は線溶接であり、レーザビー
ムを照射することなどによって行なわれている。従っ
て、強度部材30はフランジ13に隣接する角部K1に
近接した位置に線溶接部Nを有している。更に説明する
と強度部材30は図2に示すようにフランジ13に隣接
する角部K1の中央(頂部)よりフランジ13の幅方向
端部に向って有効幅a=16t0.46の範囲に線溶接部N
を有している。
【0025】ここで有効幅aの根拠を以下に述べる。
【0026】先に述べたように、複数の角部を有する部
材が長手方向の圧縮荷重により圧潰する場合、角部がエ
ネルギ吸収に重要な役割を果たす。
【0027】今、図3に示すような四角形断面のモデル
1について考えてみる。このモデル1は、n=4個の角
部Kと4つの辺Hを持つ矩形筒状断面である。ここで
は、縦の辺の長さをd、横の辺の長さ(幅)をb、板厚
をtとし、部材長さが断面寸法b、dに比較して十分大
きいものとする。
【0028】このモデル1について、幅bの横の辺Hの
応力分布を、シミュレーションによって求めたところ、
図4に示すような結果が得られた。この結果によれば、
角部Kから有効幅aの範囲で、応力が略降伏応力σy以
上になり、それ以外の部分(辺Hの中央部)で応力が降
伏応力σy以下になっている。
【0029】この結果から、「モデル1が軸方向の衝突
荷重を受けて圧潰するとき、衝突エネルギは、主に角部
Kの頂部から有効幅aの範囲が塑性変形することによっ
て吸収される。」と言うことができる。この有効幅aの
範囲とは、図5に示すモデル1の斜線部分であり、この
部分がエネルギ吸収に有効に寄与する部分である。
【0030】次に、モデル1の断面寸法b(以下、これ
を「断面幅」という。)や板厚tが圧潰荷重の変化にど
う影響するかについて検討してみる。
【0031】従ってここでは、モデル1の断面幅bを変
化させた場合、あるいは板厚tを変化させた場合につい
て、圧潰荷重の変化を調べた。併せて、最大応力σmax
、有効幅aについても調べた。
【0032】この結果を図6、図7に示す。図6が断面
幅を変えた場合、図7が板厚を変えた場合の結果であ
る。この結果から、平均圧潰荷重Pave や有効幅aは板
厚tには依存するが、断面幅bにほとんど依存しないこ
とが分かった。
【0033】これらのことから、有効幅aと平均圧潰荷
重Pave との関係を、次の式で定めることができる。
【0034】 Pave =8atσmax … この式の「8at」は、図5の斜線で示す断面積に略相
当する。この式は、断面積×最大応力(σmax )=平均
圧潰荷重を根拠にしている。
【0035】一方、図7の結果より、平均圧潰荷重P
ave と板厚tとの間にはある関数が成立することが分か
る。この関数を求めてみると、 Pave =128t1.46σmax … であった。
【0036】よって、前記、の2つの式から、 a=16t0.46 … が求められる。前述したように式の「8」は四角形の
場合の値であるから、四角形以外の多角形を対象にし
て、式を一般化すると、 a=4nt0.46 … が得られる。
【0037】すなわち、衝突エネルギの大部分は、この
有効幅a内の材料の塑性変形によって吸収されると言う
ことができる。
【0038】次に、有効幅aを実証するためにモデル1
の角部の有効幅aを、熱処理しない場合と、熱処理した
場合とで、圧潰時の応力を調べたところ、図8の結果を
得た。なお、熱処理は有効幅aを補強するものである。
熱処理しない場合は、図8(a)に示すように材料その
ものの降伏応力σyは均一であり、有効幅aの領域が降
伏応力以上になることで、圧潰が進行した。これに対
し、有効幅aの範囲を熱処理した場合は、図8(b)に
示すように、その領域の降伏応力σy’が局部的に増大
する。そして、有効幅aの降伏応力が増大することによ
り、圧潰時の応力が全体的に増大した。即ち、平均圧潰
荷重Pave が増大した。
【0039】次に、上記理論を裏付けるため、モデル1
を用い、熱処理の有効幅aを変化させた場合の平均圧潰
荷重Pave の変化を調べた。
【0040】図9(a)はモデル1を示している。ここ
では、板厚t=2.0mm、各辺Hの長さは共に100
mmとし、熱処理の有効幅aを0mm〜50mmの間で
変化させて平均圧潰荷重Pave の変化を調べ、同図(b)
の結果を得た。なお、0mmは熱処理なし、50mmは
全面熱処理を示す。
【0041】図9(b)に示す結果から、熱処理の有効
幅aを0mmから増やすに従い、平均圧潰荷重Pave
増大し、ある幅を越えたところでPave が一定となっ
た。この「ある幅」が、前述した有効幅aに相当する。
よって、この有効幅aの範囲を熱処理すれば、平均圧潰
荷重を効果的に増大させることができる。
【0042】因みに、厚さt=2.0mmの場合、前述
の理論によればa=16t0.46=22mmとなり、図9
(b) の結果とよく一致することが確認できた。
【0043】次に圧潰ピッチについて検討してみる。モ
デル1の圧潰ピッチは、角部Kの強度と辺Hの中央の強
度との比により、図10に示す変化をする。従って、角
部Kの強度が辺Hの中央の強度よりも大きい方が、圧潰
ピッチは小さくなることが確認できた。従って、角部K
のみの補強によりモデル1の圧潰ピッチを小さくするこ
とができる。
【0044】以上のことを根拠にして図11に示す第1
の部材11について考える。
【0045】この場合も角部K1が衝突エネルギを吸収
する上で重要な役割を果たすことは同じであるから前記
の有効幅aの考えをこの第1の部材11に適用すること
に無理はない。従って、斜線で示す範囲が衝突エネルギ
を吸収する大きな部分であるということができる。
【0046】ここで、図12のようにこの第1の部材1
1にプレート状の第2の部材12を溶接する場合を考え
てみる。
【0047】図12(a),(b)は第1の部材11に
プレート状の第2の部材12を線溶接した強度部材30
A,30Bをそれぞれ示している。同図(a)の強度部
材30Aでは線溶接の位置Uが有効幅aの外側にあり、
同図(b)に示す強度部材30Bでは線溶接の位置Uが
有効幅aの内側にある。両者を比較すると強度部材30
Aでは有効幅aの補強の意味が薄く、角部K1の補強効
果は弱い。強度部材30Bでは有効幅aの補強効果が高
い。従って、図13(a)のように強度部材30Aは圧
潰時に角部K1が容易に変形して圧潰荷重が相対的に低
くなる。一方、同図(b)の強度部材30Bは角部K1
の抗力が高く、圧潰荷重が相対的に高くなる。
【0048】以上のことから図1、図2のように前記強
度部材30が角部K1の中央より有効幅a内に線溶接部
Nを有していることは平均圧潰荷重Pave の増加に大き
く寄与することとなる。もちろん有効幅a内でも角部K
1の中央に近い位置を線溶接すればより強度が高まる。
【0049】以上より、図1の強度部材30を例えばフ
ロントサイドメンバとして用いた場合、その圧潰により
角部K1,K2が効果的に働き十分なエネルギ吸収を行
うことができる。また、フランジ13での線溶接部Nを
有効幅a内とするだけであるから重量増を規制できる。
更に強度部材30を全体的に熱処理するのではないた
め、圧潰ピッチが短く安定した圧潰モードとなり吸収エ
ネルギの設定も容易となる。
【0050】次に第2実施例を説明する。
【0051】図14は第2実施例の強度部材40の要部
を示している。この第2実施例では角部K1が曲率rを
有している。そしてこの実施例では有効幅aを角部K1
の曲率中心Oを基準とした中央K1Cからの周長として
与えている。線溶接部Nは、角部K1の中央K1Cから
の周長がπr/4以上で有効幅aの範囲すなわち図14
のbの範囲に設けている。なお、δはフランジ13と縁
部12aとの隙間である。このような範囲に特定するの
は次の理由による。
【0052】すなわち、角部K1が曲率rを有している
場合には角部K1では第1の部材11と第2の部材12
との隙間δが大きくなり、レーザビームの照射などによ
る溶接の強度が低下するが、上記の範囲bで溶接すれば
溶接強度をほぼ最大に保つことができるからである。
【0053】図15は線溶接部Nの位置による部材強度
の違いを調べた結果を示している。角部K1の中央K1
Cからの距離πr/4以内に線溶接部Nがある場合は強
度が低く、bの範囲にある場合は最大強度を示し、有効
幅aを越えると再び強度が低下することが確認できた。
【0054】従って、このような第2実施例の強度部材
40の場合は、圧潰時に第1実施例同様にエネルギ吸収
等を行うことができ、かつより適確にエネルギ吸収の増
大を図ることができる。
【0055】次に第3実施例を説明する。
【0056】第2実施例のように第1の部材11の角部
K1が曲率rをもって構成されている場合、線溶接部N
の位置は曲率rによって規制され、角部K1の中央K1
C側へ寄せることに限界がある。そこで、図16の第3
実施例の強度部材50では第2の部材12の幅方向中央
部12bを強度部材50の内側に突出させ、第2の部材
12を角部K1に沿った形状にしている。すなわち、図
17、図18のように第1の部材11の角部K1の曲率
1 より若干大きな曲率r2 の曲面12cを第2の部材
12に設定し、角部K1の中央K1Cに至るまで第1の
部材11と第2の部材12との隙間が広がらないように
している。この場合、図17のように線溶接部Nは角部
K1の中央K1Cに設けられている。
【0057】従ってこの第3実施例では第2実施例と同
様な作用効果を奏する他、線溶接部Nが角部K1の中央
K1Cに存在することで角部K1周辺強度がより向上
し、平均圧潰荷重Pave をより増大することができる。
【0058】次に第4実施例を説明する。
【0059】図19は第4実施例の強度部材60の斜視
図を示している。この実施例では線溶接部Nに溶接しな
い部分である非溶接部Mを所定ピッチで設けている。こ
の所定ピッチは圧潰ピッチλであり実験や数値解析等に
より求めている。強度部材60では前端側となる長さ方
向一端60aから最初は1/2λ、次からはλのピッチ
で非溶接部Mが設けられている。
【0060】従って、この実施例では第1実施例と同様
な作用効果を奏する他、強度部材60が強度の低い非溶
接部Mを腹とし、図20で示すように略理想的な圧潰ピ
ッチで圧潰することとなる。従って、圧潰モードが安定
し、吸収する衝突エネルギの設定が極めて容易となる。
【0061】次に第5実施例を説明する。
【0062】図21は第5実施例に係る強度部材70の
要部斜視図を示している。この実施例でも線溶接部Nに
所定ピッチで非溶接部Mを設けている。この実施例で
は、第1の部材11側のフランジ13に所定ピッチでビ
ード71を設け、このビード71の部分で第2の部材1
2の端部12aとの間に隙間72が形成されるようにし
ている。そして、レーザビームの照射等により線溶接し
た場合、ビード71の部分が溶接されず、非溶接部Mと
して残る。
【0063】従って、この実施例においても第4実施例
と略同様な作用効果を奏する他、レーザビームの照射を
連続的に行なっても非溶接部Mが形成されるので作業性
が向上する。
【0064】なお、強度部材としては図24(b)のよ
うな第1の部材相互を溶接する構造のもの等にも適用す
ることができる。
【0065】
【発明の効果】以上より明らかなように請求項1の発明
によれば、溶接の範囲を特定するだけで角部を強度アッ
プすることができ、軸方向に圧潰するときに角部の中央
から有効幅aの範囲を塑性変形することによりエネルギ
を吸収することができるので、平均圧潰荷重の増大によ
り、大きなエネルギ吸収を行うことができる。また、全
面熱処理して剛性を向上させるものではなく、圧潰モー
ドも安定し吸収エネルギの設定も容易となる。
【0066】請求項2の発明によれば、請求項1の効果
に加え、角部が曲率rを有していても最大限に角部の強
度を向上させることができ、平均圧潰荷重の増大により
大きな衝突エネルギを確実に吸収することができる。
【0067】請求項3の発明によれば、請求項1の効果
に加え、所定ピッチで圧潰を進行させることができ、圧
潰モードの安定を図ることができる。従って、圧潰時の
吸収エネルギの設定が極めて容易となる。
【0068】請求項4の発明によれば、請求項3の効果
に加え、ビードの作用により普通の線溶接を行うだけで
自動的に非溶接部が所定ピッチで確保され、製造が極め
て容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の斜視図である。
【図2】第1実施例の正面図である。
【図3】作用説明に用いる部材のモデルを示す斜視図で
ある。
【図4】同モデルのある辺における応力分布を示すグラ
フである。
【図5】同モデルにおける有効幅の概念を説明する断面
図である。
【図6】同モデルの断面幅を変えた場合の圧潰荷重の変
化を調べた結果を示すもので、(a)は表、(b)はグ
ラフである。
【図7】同モデルの板厚を変えた場合の圧潰荷重の変化
を調べた結果を示すもので、(a)は表、(b)はグラ
フである。
【図8】同モデルの応力分布を比較して示す図であり、
(a)は熱処理しない場合の応力分布を示す図、(b)
は熱処理した場合の応力分布を示す図である。
【図9】熱処理幅を変えた場合の平均圧潰荷重の変化を
調べた結果を示すもので、(a)はモデルを示す斜視
図、(b)は熱処理幅と平均圧潰荷重との関係を示すグ
ラフである。
【図10】圧潰ピッチと強度との関係を示すグラフであ
る。
【図11】第1の部材を示す断面図である。
【図12】溶接位置を示す断面図であり、(a)は有効
幅a外に溶接位置がある場合、(b)は有効幅a内に溶
接位置がある場合を示す。
【図13】圧潰時の断面変形を示し、(a)は有効幅a
外に溶接位置がある場合、(b)は有効幅a内に溶接位
置がある場合を示す図である。
【図14】第2実施例の要部拡大図である。
【図15】第2実施例の効果を示す特性図である。
【図16】第3実施例の斜視図である。
【図17】第3実施例の要部拡大図である。
【図18】同要部拡大概略図である。
【図19】第4実施例の斜視図である。
【図20】同圧潰時の様子を示す側面図である。
【図21】第5実施例の要部斜視図である。
【図22】同要部側面図である。
【図23】フロントサイドメンバを示す自動車の前部概
略斜視図である。
【図24】強度部材の例を示す斜視図である。
【図25】強度部材の圧潰の状態を示す斜視図である。
【図26】圧潰荷重と圧潰ストロークとの関係を示すグ
ラフである。
【図27】圧潰時の断面変化を示す概略図である。
【符号の説明】
11 第1の部材 12 第2の部材 13 フランジ 30,40,50,60,70 強度部材 71 ビード K1,K2 角部 K1C 角部の中央 N 線溶接部(溶接) M 非溶接部

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フランジとn個の角部とを有する板厚t
    の第1の部材と、 前記フランジに突き当てられて長手方向に沿って溶接さ
    れる第2の部材とからなる長尺筒状の強度部材におい
    て、 前記フランジに隣接する前記角部の中央からフランジの
    幅方向に有効幅a=4nt0.46の範囲内で前記溶接
    を施して該角部の強度を前記有効幅aで向上させ、 軸方向に圧潰するときに前記角部の中央から前記有効幅
    aの範囲を塑性変形させる ことを特徴とする強度部材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の強度部材であって、 前記フランジに隣接する角部は、曲率rを有し、 前記有効幅aが前記曲率rの角部の中央から曲率中心を
    基準とした周長として与えられ、 前記溶接を、角部の中央からπr/4以上の位置に施し
    たことを特徴とする強度部材。
  3. 【請求項3】 請求項1、又は請求項2記載の強度部材
    であって、 前記溶接に、所定ピッチの非溶接部を確保したことを特
    徴とする強度部材。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の強度部材であって、 前記非溶接部を、前記フランジに所定ピッチでビードを
    設けて形成したことを特徴とする強度部材。
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