JP3633477B2 - 車体前部骨格構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体前部の車幅方向両側に前後方向に配置され、前方からの荷重入力により軸圧潰して、その荷重エネルギーを吸収するフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格構造に関し、とりわけ、フロントサイドメンバが所定形状に形成された複数のパネル部品を接続して閉断面形状に構成される車体前部骨格構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車の車体前部には、エンジンルームの車幅方向両側に前後方向を指向して配置され、その後方端部にエクステンションフロントサイドメンバが連なるフロントサイドメンバを車体骨格の1つとして備える。このフロントサイドメンバは、前面衝突時にこれが軸圧潰することにより、衝突エネルギーを吸収できるようになっている。
【0003】
ところで、このようなフロントサイドメンバの軸圧潰構造としては、例えば、特開平11−263244号公報に開示されるものがある。このフロントサイドメンバは、平板状のアウタパネルと断面コ字状のインナパネルとを、それぞれの両側縁から延長したフランジを相互に接合して閉断面形状に構成される。また、インナパネルの前端部には、前方に行くに従ってフロントサイドメンバの断面積を段階的に縮小する複数の段部が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来のフロントサイドメンバにあっては、アウタパネルのフランジとインナパネルのフランジとを接合して閉断面を構成する際、それぞれのフランジの接合体は、平板状のアウタパネルの面方向に沿って配置されているため、このフランジの接合体によって、断面コ字状に形成されたインナパネルの上下面の変形が拘束されてしまう。
【0005】
その結果、前方からの入力荷重に対して、アウタパネルとインナパネルの変形モードは同位相となるが、これらアウタパネルおよびインナパネルで構成されるフロントサイドメンバの4面の均等な座屈変形が困難となり、圧潰によるエネルギーの吸収安定性が低下してしまう。
【0006】
また、インナパネルに段部が形成されることにより、フロントサイドメンバはその前端部で前方に行くに従って断面積が段階的に縮小されるが、当該前端部が入力荷重により圧潰される際、前記段部での折れ曲がりが主となってしまうため、その後方での蛇腹状の圧潰変形モードへの影響が懸念される。
【0007】
そこで、本発明はフロントサイドメンバの角部に位置したフランジ部分の、フロンサイドメンバの座屈変形に対する影響を低減できて、フロントサイドメンバの断面全域でより均等な座屈変形を発生させて、前方からの入力荷重に対するエネルギー吸収効率を最適にすることができる車体前部骨格構造を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、車体前部の車幅方向両側に前後方向に配置され、前方からの荷重入力により軸圧潰して、その荷重エネルギーを吸収するフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格構造において、前記フロントサイドメンバの少なくとも前方部分が、所定形状に形成された複数のパネル部品を、フランジを介して相互に接合して、そのフランジの接合体が任意な角部に配置される多角形の閉断面形状に形成され、かつ、前記接合体を、それぞれのフランジを延設した双方のパネル面に対して傾斜させ、前記軸圧潰の際に前記接合体が隣接するパネル面方向の曲げモーメントを受けて曲げ変形するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車体前部骨格構造にあって、一方が断面略コ字状を成して、その両側縁から前記フランジが延設されるとともに、他方が平板状を成して、その両側縁から前記フランジが延設される2つのパネル部品の接合により、前記フロントサイドメンバを略長方形の閉断面形状に形成し、それぞれのフランジの接合体を隣り合う角部に配置したことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1に記載の車体前部骨格構造にあって、2つのパネル部品の接合により、前記フロントサイドメンバを略長方形の閉断面形状に形成し、それぞれのフランジの接合体を対角位置にある角部に配置したことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1に記載の車体前部骨格構造にあって、2つのパネル部品の接合により、前記フロントサイドメンバを正方形の閉塞断面形状に形成し、それぞれのフランジの接合体の接合面を、それが配置された角部の2等分線の延長上に配置し、かつ、前記2つのパネル部品の板厚を等しくしたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1に記載の車体前部骨格構造にあって、2つのパネル部品の接合により、前記フロントサイドメンバを長方形の閉断面形状に形成し、それぞれのフランジの接合体の接合面を、それが配置された角部の2等分線に対して長辺側に傾けたことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の車体前部骨格構造にあって、フランジの接合体が設けられない角部に、補強部分を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6に記載の車体前部骨格構造にあって、前記補強部分は、前記角部に嵌め込み接合される厚肉材であることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項6に記載の車体前部骨格構造にあって、前記補強部分は、前記角部に嵌め込み接合される高強度材であることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項6に記載の車体前部骨格構造にあって、前記補強部分は、前記角部に施される高周波焼入れなどの冶金的な増強処理部分であることを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項6に記載の車体前部骨格構造にあって、前記補強部分は、前記角部に前後方向に連続して形成される凹状のビード部であることを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項6に記載の車体前部骨格構造にあって、前記補強部分は、前記角部に取り付けられる別体の補強部材であることを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明は、請求項11に記載の車体前部骨格構造にあって、前記補強部材は、前記角部の折曲形状に沿って形成した鋼板であることを特徴とする。
【0020】
請求項13の発明は、請求項11に記載の車体前部骨格構造にあって、前記補強部材は、前記角部に貼付されるシートモールディングコンパウンド成型品であることを特徴とする。
【0021】
請求項14の発明は、請求項1に記載の車体前部骨格構造にあって、平板状を成して、その両側縁から前記フランジが延設される4つのパネル部品の接合により、前記フロントサイドメンバを、各フランジの接合体が各角部に配置される略長方形の閉断面形状に形成するとともに、それぞれのフランジの接合体の接合面を、それが配置された角部の2等分線の延長上に配置し、前記フロントサイドメンバの第1対向面と、この第1対向面に直角な第2対向面をそれぞれ構成するパネル部品の板厚比を、tを第1対向面の板厚、tを第2対向面の板厚、hを第1対向面方向の断面高さ、wを第2対向面方向の断面幅とした場合に、t :t =h:wの関係に略設定したことを特徴とする。
【0022】
請求項15の発明は、請求項1〜14のいずれかに記載の車体前部骨格構造にあって、前記フロントサイドメンバの断面の図心位置を前後方向に略一直線上に分布させた状態で、その断面積を前方から後方に向かって連続的に拡大することを特徴とする。
【0023】
請求項16の発明は、請求項1〜15のいずれかに記載の車体前部骨格構造にあって、前記フロントサイドメンバを構成する各パネル面の前端部近傍に、その前端縁に平行に延びるとともに、隣り合うパネル面同士で互いに凹凸関係が逆となる凹凸部をそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0024】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、フロントサイドメンバの前方部分を多角形の閉断面形状に形成する複数のパネル部品は、それぞれのフランジの接合体が任意な角部に配置されるようになっており、このフランジの接合体を、それぞれのフランジを延設した双方のパネル面に対して傾斜させたことにより、前記接合体を挟むフロントサイドメンバのパネル面が、前方からの荷重入力により座屈する際に、該接合体に座屈による面内力が入るのを低減できる。
【0025】
このため、フロントサイドメンバの前方部分の断面全域でより均等な座屈変形を発生させることができるようになり、これによって、前方からの入力荷重に対するエネルギー吸収効率を最適化することができる。
【0026】
請求項2の発明によれば、特に、一方が断面略コ字状となり、他方が平板状となる2つのパネル部品の接合によって、フロントサイドメンバを略長方形の閉断面形状に形成し、それぞれのフランジの接合体を隣り合う角部に配置した場合にあっても、断面略コ字状のパネル部品は勿論のこと、平板状のパネル部品にあっても、請求項1の効果と同様に、それぞれのパネル面の座屈変形の際に面内力がフランジの接合体に入るのを低減できるため、フロントサイドメンバの断面全域でより均等な座屈変形を発生させることができる。
【0027】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、2つのパネル部品の接合によりフロントサイドメンバを略長方形の閉断面形状に形成し、それぞれのフランジの接合体を対角位置にある角部に配置したので、フロントサイドメンバ断面における強度および剛性のバランスを、前記接合体を配置した対角線に対して均等とすることができるとともに、パネル部品の製作にあたって、それぞれが断面略く字状であるため型抜きを考慮する必要が無くなり、各パネル部品をプレス加工で容易に形成することができる。
【0028】
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、2つのパネル部品の接合によりフロントサイドメンバを正方形の閉断面形状に形成し、それぞれのフランジの接合体の接合面を、それが配置された角部の2等分線の延長上に配置し、かつ、2つのパネル部品の板厚を等しくしたので、正方形の断面を構成する4つのパネル面の座屈強度を略等しくすることができる。
【0029】
請求項5の発明によれば、請求項1の効果に加えて、2つのパネル部品の接合によりフロントサイドメンバを長方形の閉断面形状に形成し、それぞれのフランジの接合体の接合面を、それが配置された角部の2等分線に対して長辺側に傾けたことにより、座屈強度が低くなる長辺側のパネル面の座屈に対するフランジの影響力を、短辺側のパネル面の座屈に対する影響力よりも大きくすることができるため、フロントサイドメンバの各パネル面の座屈強度のバランスを補正することができる。
【0030】
請求項6の発明によれば、請求項1〜5の発明の効果に加えて、フランジの接合体が設けられない角部に、補強部分を設けたことにより、フロントサイドメンバのそれぞれの角部の強度バランスを均等に近づけることができるため、このフロントサイドメンバをより安定して軸圧潰させることができる。
【0031】
請求項7の発明によれば、請求項6の発明の効果に加えて、前記補強部分を、前記角部に嵌め込み接合される厚肉材としたので、この厚肉材の厚さを調整することで、フロントサイドメンバのそれぞれの角部における強度バランスの調整をより緻密に行うことできる。
【0032】
請求項8の発明によれば、請求項6の発明の効果に加えて、前記補強部分を、前記角部に嵌め込み接合される高強度材としたので、この高強度材の材質を調整することで、フロントサイドメンバのそれぞれの角部における強度バランスの調整をより緻密に行うことできる。
【0033】
請求項9の発明によれば、請求項6の発明の効果に加えて、前記補強部分を、前記角部に施される高周波焼入れなどの冶金的な増強処理部分としたので、部材を増設することなく角部を補強できるため、部品点数や組み付け工数を増加することなく、コストアップを抑えることができる。
【0034】
請求項10の発明によれば、請求項6の発明の効果に加えて、前記補強部分を、角部に前後方向に連続して形成される凹状のビード部としたので、部材を増設することなくこの角部を凹設するのみで補強できるため、部品点数や組み付け工数を増加することなく、コストアップの更なる抑制を図ることができる。
【0035】
請求項11の発明によれば、請求項6の発明の効果に加えて、前記補強部分を、前記角部に取り付けられる別体の補強部材としたので、この補強部材の強度剛性を調整することにより、フロントサイドメンバの各角部の強度バランスをより緻密にコントロールすることができる。
【0036】
請求項12の発明によれば、請求項11の発明の効果に加えて、前記補強部材を、前記角部の折曲形状に沿って形成した鋼板としたので、補強部材をスポット溶接など溶接手段を用いてフロントサイドメンバに容易に一体化することができる。
【0037】
請求項13の発明によれば、請求項11の発明の効果に加えて、前記補強部材を、前記角部に貼付されるシートモールディングコンパウンド成型品としたので、シートモールディングコンパウンド成型品を貼り付けるのみで、フランジの接合体が設けられない前記角部に容易に補強部分を設けることができるとともに、そのシートモールディングコンパウンド成型品の厚さなどの形状をチューニングすることで、各角部の強度バランスをより緻密にコントロールできる。
【0038】
請求項14の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、平板状の4つのパネル部品の接合により、フロントサイドメンバを略長方形の閉断面形状に形成し、各角部に配置される各フランジの接合体の接合面を、それが配置された角部の2等分線の延長上に配置したことにより、フランジを挟む2つのパネル面における座屈変形に対する前記接合体の影響力を、双方のパネル面で同程度に設定できる。
【0039】
また、フロントサイドメンバの第1対向面と、この第1対向面に直角な第2対向面をそれぞれ構成するパネル部品の板厚比を、t :t =h:wの関係に略設定したので、第1対向面と第2対向面との座屈強度が略等しくなり、フロントサイドメンバの各パネル面をバランス良く座屈変形させることができる。
【0040】
請求項15の発明によれば、請求項1〜14の発明の効果に加えて、前記フロントサイドメンバの断面の図心位置を前後方向に略一直線上に分布させた状態で、その断面積を前方から後方に向かって連続的に拡大することにより、座屈の波形をフロントサイドメンバの後方に行くに従って長くすることできる。
【0041】
その結果、圧潰したときのひだ部が後方に行くに従って大きくなり、その後方のひだ部を前方のひだ部の外側に張り出すことにより、ひだ部同士の干渉を避けることができ、これによって、フロントサイドメンバの潰れ効率を最適化することができる。
【0042】
請求項16の発明によれば、請求項1〜15の発明の効果に加えて、前記フロントサイドメンバを構成する各パネル面の前端部近傍に、その前端縁に平行に延びるとともに、隣り合うパネル面同士で互いに凹凸関係が逆となる凹凸部をそれぞれ形成したことにより、フロントサイドメンバの隣り合うパネル面が互いに逆相となるモードで、全てのパネル面を座屈させつつ軸圧潰させることができる。
【0043】
従って、座屈するときのひだ部が互いに干渉することなくフロントサイドメンバが軸圧潰されるため、フロントサイドメンバの潰れ効率を最適化することができる。
【0044】
特に、フロントサイドメンバの断面形状が偶数の多角形である場合には、図心を挟んで対向するパネル面が互いに対称となる変形モードでひだ部が形成されるため、潰れ効率の更なる向上を図ることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1〜図4は本発明の車体前部骨格構造の第1実施形態を示し、図1はフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格を示す側面図、図2は同フロントサイドメンバを備えた車体前部骨格の斜視図、図3は図2中A1−A1線の拡大断面図、図4はフロントサイドメンバの圧潰時の作用を(a)〜(e)によって示す説明図である。
【0046】
本実施形態の車体前部骨格構造は、図1,図2に示すように、車体前部の車幅方向両側に前後方向に配置されるフロントサイドメンバ1を備え、このフロントサイドメンバ1はXの範囲を占めて、ダッシュパネル10の前方に位置するとともに、その後方端部はフロアパネル11の下方に廻り込むエクステンションフロントサイドメンバ12としてある。
【0047】
また、フロントサイドメンバ1の後部上方には、ダッシュパネル10の前方に位置してフードリッジパネル13が取付けられ、このフードリッジパネル13にはストラット取付けパネル14やフードリッジメンバ15が取り付けられている。
【0048】
そして、前記フロントサイドメンバ1は、前方からの荷重F入力により軸圧潰して、その荷重エネルギーを吸収する機能を備えるとともに、図示省略したパワーユニットやフロントサスペンションを支持する。
【0049】
本実施形態のフロントサイドメンバ1は、前後に2分割したフロント部材2とリア部材3とを結合することにより構成される。
【0050】
フロント部材2は、図3に示すように、断面略コ字状を成して、その両側縁からフランジ4aが延設される第1パネル部品2aと、平板状を成して、その両側縁からフランジ4bが延設される第2パネル部品2bとを、それぞれのフランジ4a,4bを介してスポット溶接などにより相互に接合することにより、略長方形の閉断面形状に形成される。
【0051】
図3に示すように、それぞれのフランジ4a,4bの接合体4は、略長方形の閉断面形状となるフロントサイドメンバ1の隣り合う角部C1に配置される。尚、同図中C2は接合体4が設けられない角部を示す。
【0052】
前記接合体4は、図3に示すように、それぞれのフランジ4a,4bを延設した双方のパネル面S1,S2に対して傾斜させてある。特に、本実施形態では、接合体4が配置された角部C1の2等分線Lに対して長辺側、つまり、本実施形態では上下方向に対向して配置されるパネル面(第1対向面)S1より、このパネル面S1に対して直角に配置されるパネル面(第2対向面)S2が長辺となっており、このパネル面S2側に傾けてある。
【0053】
以上の構成により本実施形態の車体前部骨格構造にあっては、接合体4を、それぞれのフランジ4a,4bを延設した双方のパネル面S1,S2に対して傾斜させたことにより、接合体4を挟むフロントサイドメンバ1のパネル面S1,S2が、前方からの荷重F入力により座屈(圧潰)する際に、圧潰時の接合体4への入力が、図4に示すように、モーメントMを主体としたもので、図19に示す対比例のフランジ面内力Pを主体としたものとは異なり、接合体4に座屈による面内力が入るのを低減することができる。
【0054】
即ち、図19は対比例としてフロントサイドメンバ1′の圧潰時の作用を示す図4に対応した説明図で、これら図4および図19中、(a)は荷重Fの非入力時の断面図、(b),(c)は圧潰モードのイメージ図、(d)は(b)のB1−B1断面図、(e)は(b)のB2−B2断面図をそれぞれ示し、(c)は(b)のV方向矢視図である。
【0055】
対比例の圧潰時のメカニズムは、図19(a)に示す平板状パネルとハット形断面パネルとからなるフロントサイドメンバ1′の長方形の閉断面形状が、前記荷重Fに対して図19(d),(e)に示すように、上下方向に配置されたパネル面S1の両面がともに外側または内側に変形しようとする。しかし、この上下のパネル面S1の変形に対して接合体4の面内力が抵抗として作用するために、接合体4側の上下方向の変形が拘束されてしまう。このため、図19(b),(c)および(d),(e)に示すように、パネル面S2が同位相の挙動として現れる。
【0056】
これに対し、本実施形態のフロントサイドメンバ1では、接合体4が傾斜されたことにより、図4(d),(e)に示すように、上下のパネル面S1の変形に対して接合体4にはα方向又はβ方向の曲げモーメントMが作用することになり、上下のパネル面S1の上下方向の変形に対する抵抗力を低減して、上下方向の変形時の拘束を抑制することができる。
【0057】
この結果、2つのパネル部品2a,2bを接合した接合体4を、隣り合う角部C1に配置した、対比例と同様の断面形状を備えている場合にあっても、図4(d),(e)に示すように、上下方向に配置されたパネル面S1の両面がともに外側または内側に変形し、かつ、車幅方向に配置されたパネル面S2の両面がともに外側または内側に変形する。
【0058】
このため、本実施形態の変形モードでは、対比例に比較して高い反力を発生させることができるため、フロントサイドメンバ1のフロント部材2の断面全域でより均等な座屈変形を発生させることができるようになり、これによって、前方からの入力荷重Fに対するエネルギー吸収効率を最適化することができる。
【0059】
また、特に本実施形態では、接合体4を角部C1の2等分線Lに対して長辺側となるパネル面S2側に傾けたので、座屈強度が低くなる長辺側のパネル面S2の座屈変形に対する接合体4の面内力の影響力を、短辺側のパネル面S1の座屈に対する影響力よりも大きくすることができる。
【0060】
このため、フロント部材2の各パネル面S1,S2における座屈強度のバランスを補正することができ、軸圧潰した際にパネル面S1,S2の4面全てで蛇腹状のひだ部fが安定した座屈変形を発生させることができる。
【0061】
また、本実施形態ではフロントサイドメンバ1を、前後方向に2分割したフロント部材2とリア部材3と結合することにより構成されるため、フロント部材2の構造に影響を与えることなくリア部材3の強度調整が可能となる。
【0062】
このため、リア部材3の強度をフロント部材2より大きく設定しておくことにより、前面衝突時にはフロントサイドメンバ1を前方から安定して軸圧潰させることができる。
【0063】
図5,図6は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。図5はフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格の斜視図、図6は図5中A2−A2線の拡大断面図で、この実施形態が前記第1実施形態と主に異なる点は、接合体が設けられない角部に補強部分を設けたことにある。
【0064】
即ち、この実施形態のフロントサイドメンバ1aは、図5に示すように、前記第1実施形態と同様に断面略コ字状の第1パネル部品2aと、平板状の第2パネル部品2bとにより略長方形の閉断面形状に形成され、かつ、接合体4は、フロントサイドメンバ1の隣り合う角部C1に配置されている。
【0065】
そして、本実施形態では、接合体4が設けられない角部C2に、この接合体4の強度に相当する強度を有する補強部分20が設けられており、特に、この実施形態では図6に示すように、前記補強部分20を、前記角部C2に嵌め込み接合される厚肉材21で形成してある。
【0066】
前記厚肉材21は、第1パネル部品2aと同材質で、この第1パネル部品2aの厚さtaより大きい厚さtbの鋼板で形成され、この厚肉材21は第1パネル部品2aの角部C2に嵌め込まれてレーザー溶接などによって一体に接合される。
【0067】
従って、この第2実施形態の車体前部骨格構造にあっては、接合体4が設けられない角部C2に補強部分20が設けられたことにより、フロントサイドメンバ1aのそれぞれの角部C1,C2の強度バランスを均等に近づけることができるため、このフロントサイドメンバ1aをより安定して軸圧潰させることができる。
【0068】
特に、前記補強部分20を、図6に示すように、前記角部C2に嵌め込み接合される厚肉材21とすることにより、この厚肉材21の厚さtbを調整することで、フロントサイドメンバ1aのそれぞれの角部C1,C2における強度バランスの調整をより緻密に行うことできる。
【0069】
図7は前記第2実施形態の変形例を示し、前記補強部分20を、前記角部C2に嵌め込み接合される高強度材22によって形成してある。この高強度材22としては高張力鋼板などを用いることができ、これを前記角部C2に嵌め込んでレーザー溶接などによって一体に接合することができる。
【0070】
従って、このように補強部分20を高強度材22とした場合にも、この高強度材22の材質を調整することで、フロントサイドメンバ1aのそれぞれの角部C1,C2における強度バランスの調整をより緻密に行うことできる。
【0071】
図8は前記第2実施形態の変形例を示し、前記補強部分20を、前記角部C2に施される高周波焼入れなどの冶金的な増強処理部分23としてある。
【0072】
従って、このように補強部分20を増強処理部分23とした場合には、第1パネル部品2aに対して部分的に高周波焼入れなどの冶金的な手法を部分的に施すのみで、他の部材を増設することなく角部C2を補強できるため、部品点数や組み付け工数を増加することなく、コストアップを抑えることができる。
【0073】
図9は前記第2実施形態の変形例を示し、前記補強部分20を、前記角部C2に前後方向に連続して形成される凹状のビード部24によって構成してある。この実施形態では、前記ビード部24を断面円弧状に凹設した場合を図示したが、その凹設形状は円弧に限ることはない。
【0074】
従って、このように前記補強部分20を凹状のビード部24とした場合には、他の部材を増設することなく角部C2を凹設するのみで補強できるため、部品点数や組み付け工数を増加することなく、コストアップの更なる抑制を図ることができる。
【0075】
図10〜図12は本発明の第3実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。図10はフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格の斜視図、図11は図10中A3−A3線の拡大断面図、図12はフロントサイドメンバの圧潰時の作用を(a)〜(e)によって示す説明図で、この実施形態が前記各実施形態と主に異なる点は、フロントサイドメンバを前後に分割することなく一体に形成するとともに、正方形の閉断面形状として、このフロントサイドメンバを全体的に先細り形状としたことにある。
【0076】
即ち、この実施形態のフロントサイドメンバ1bは、図10,図11に示すように、それぞれが断面略く字状を成して、その両側縁からフランジ4cが延設されるとともに、フロントサイドメンバ1bの全長に等しい長さXを有する2つのパネル部品2c,2cの接合により、フロントサイドメンバ1bが正方形の閉断面形状に形成される。
【0077】
そして、前記フランジ4cを接合した接合体4が、対角位置にある角部C3に配置されるようになっている。尚、同図中、C2は前記各実施形態と同様に接合体4が設けられない角部を示す。また、それぞれの接合体4の接合面を、それが配置された角部C3の2等分線Lの延長上に配置するとともに、前記2つのパネル部品2c,2cの板厚を等しくしてある。
【0078】
前記フロントサイドメンバ1bは、図10に示すように、その断面の図心O位置を前後方向に略一直線上に分布させた状態で、その断面積を前方から後方に向かって連続的に拡大するテーパー状の構成とし、これによりフロントサイドメンバ1bは、前方に向かって全体的に先細り形状となっている。
【0079】
また、フロントサイドメンバ1bの断面正方形となった上下方向,車幅方向の各パネル面S1,S2の前端部近傍に、その前端縁S1a,S2aに平行に延びるとともに、隣り合うパネル面S1,S2同士で互いに凹凸関係が逆となる凹凸部30,31をそれぞれ形成してある。
【0080】
従って、この第3実施形態の車体前部骨格構造にあっては、フロントサイドメンバ1bの断面形状が正方形であることと、接合体4の接合面を、それが配置された角部C3の2等分線Lの延長上に配置したことにより、前記第1実施形態と同様に、接合体4の面内力の影響を抑えつつ、上下方向の対向面S1と、車幅方向の対向面S2に対する接合体4の影響力を等しくすることができる。
【0081】
このため、図12(b),(c)に示すように、フロントサイドメンバ1bの4面全てにおいて膨らみや窪みが生ずる座屈変形を発生させることができるようになり、効率良く衝突エネルギーを吸収することができる。
【0082】
また、フロントサイドメンバ1b全体を、断面の図心O位置を前後方向に略一直線上に分布させた状態で、全体的に先細り形状としたので、座屈の波長がフロントサイドメンバ1bの後方に行くに従って長くなる。
【0083】
このため、図12(),()に示すように圧潰した時のひだ部fが後方へ行くに従って大きくなり、前方のひだ部fが外側に張り出すことで、ひだ部fの最も膨らんだ部分同士の干渉を避けることができるため、フロントサイドメンバ1bの潰れ効率を向上することができる。
【0084】
尚、図12は前記図4と同様、(a)に荷重Fの非入力時の断面図、(b),(c)に圧潰モードのイメージ図、(d)に(b)のB1−B1断面図、(e)に(b)のB2−B2断面図をそれぞれ示し、(c)は(b)のV方向矢視図である。
【0085】
更に、図心Oを挟んで互いに対向するパネル面、つまり、第1対向面S1,S1および第2対向面S2,S2の前端部近傍に凹凸部30,31を形成してあり、これら凹凸部30,31は前端縁S1a,S2aに平行に延びるとともに、隣り合うパネル面S1,S2同士で互いに凹凸関係が逆となっているため、フロントサイドメンバ1bが軸圧潰される際に、隣り合うパネル面S1,S2が互いに逆相となるモードで座屈させることになる。
【0086】
従って、座屈するときのひだ部fが互いに干渉することなくフロントサイドメンバ1bが潰れるため、フロントサイドメンバ1bの潰れ効率を最適化することができる。
【0087】
特に、本実施形態のようにフロントサイドメンバ1bの断面形状が偶数の多角形である四角形の場合には、図心Oを挟んで対向するパネル面S1,S1およびS2,S2が互いに対称となる変形モードでひだ部fが形成されるため、潰れ効率の更なる向上を図ることができる。
【0088】
図13,図14は本発明の第4実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。図13はフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格の斜視図、図14は図13中A4−A4線の拡大断面図で、この実施形態が前記第3実施形態と主に異なる点は、フランジの接合体が設けられない角部に設ける補強部分を、別体の補強部材としたことにある。
【0089】
即ち、この実施形態のフロントサイドメンバ1cは、図13に示すように、前記第3実施形態と同様に構成され、断面略く字状の2つのパネル部品2c,2cの接合により、フロントサイドメンバ1cが正方形の閉断面形状に形成されるとともに、フランジ4cを接合した接合体4が、対角位置にある角部C3に配置されるようになっている。
【0090】
また、それぞれの接合体4の接合面を、それが配置された角部C3の2等分線Lの延長上に配置するとともに、前記2つのパネル部品2c,2cの板厚を等しくしてある。
【0091】
更に、前記フロントサイドメンバ1bは、各パネル部品2c,2cを台形状に形成することにより、その断面の図心O位置を前後方向に略一直線上に分布させた状態で、全体的に先細り形状となっている。
【0092】
そして、図14に示すようにフロントサイドメンバ1cの接合体4が設けられない角部C2に、補強部分20として別体の補強部材、本実施形態では鋼板25を設けている。この鋼板25は前記角部C2の折曲形状に沿ったL字状を成し、スポット溶接などの溶接手段を用いてパネル部品2cの内側に接合される。
【0093】
従って、この実施形態の車体前部骨格構造にあっては、角部C2の補強部分20としてパネル部品2cとは別体の鋼板25を用いたので、この鋼板25を強度調整することにより、フロントサイドメンバ1cの各角部C2,C3の強度バランスをより緻密にコントロールすることができる。
【0094】
また、このように補強部材20を、角部C2の折曲形状に沿って形成した鋼板25としたので、補強部材20をスポット溶接など溶接手段を用いてフロントサイドメンバ1cに容易に一体化することができる。
【0095】
図15は前記第4実施形態の変形例を示し、前記補強部材20を、前記角部C2に貼付されるシートモールディングコンパウンド成型品26としてある。
【0096】
このシートモールディングコンパウンド成型品26は、樹脂と繊維からなるシート(SMC)を所定の型に入れて、加圧・加熱したのちに脱型する方法で成型され、前記角部C2の内側に沿った形状として容易に形成することができる。
【0097】
従って、このように補強部材20をシートモールディングコンパウンド成型品26とすることにより、このシートモールディングコンパウンド成型品26を貼り付けるのみで、接合体4が設けられない前記角部C2に容易に補強部分20を設けることができるとともに、そのシートモールディングコンパウンド成型品26の厚さなどの形状をチューニングすることで、各角部C2の強度バランスをより緻密にコントロールできるようになる。
【0098】
図16から図18は本発明の第5実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。図16はフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格の斜視図、図17は図16中A5−A5線の拡大断面図、図18はフロントサイドメンバの圧潰時の作用を(a)〜(e)によって示す説明図で、この実施形態が前記各実施形態と主に異なる点は、フロントサイドメンバを平板状を成す4つのパネル部品を接合して略長方形の閉塞断面形状に形成するとともに、フロントサイドメンバの1つの対向面と、この対向面に直角な他の対向面をそれぞれ構成するパネル部品の板厚比を所定の条件に設定することにある。
【0099】
即ち、この実施形態のフロントサイドメンバ1dは、図16に示すように第1,第2実施形態と同様にフロント部材2とリア部材3とによって構成されており、フロント部材2は、平板状を成して、その両側縁からフランジ4dが延設される4つのパネル部品2d,2d…の接合により、各接合体4,4…が各四隅の角部C4,C4…に配置される略長方形の閉断面形状に形成される。
【0100】
そして、それぞれの接合体4の接合面を、それが配置された角部C4の2等分線Lの延長上に配置し、前記フロントサイドメンバ1dの上下方向に配置される第1対向面S1,S1と、この第1対向面に直角、つまり車幅方向に配置される第2対向面S2,S2をそれぞれ構成するパネル部品2d,2d…の板厚比を、tを第1対向面S1,S1の板厚、tを第2対向面S2,S2の板厚、hを第1対向面S1,S1方向の断面高さ、wを第2対向面S2,S2方向の断面幅とした場合に、次の(1)式の関係に略設定してある。
【0101】
1 :t2 =h:w …(1)
従って、この実施形態の車体前部骨格構造にあっては、平板状の4つのパネル部品2d,2d…の接合により、フロントサイドメンバ1dを略長方形の閉断面形状に形成し、各角部C4,C4…に配置される各接合体4の接合面を、それが配置された角部C4の2等分線Lの延長上に配置したことにより、フランジ4dを挟む2つのパネル面S1,S2における座屈変形に対する接合体4の影響力を、双方のパネル面で同程度に設定できる。
【0102】
また、フロントサイドメンバ1dの第1対向面S1と、第2対向面S2をそれぞれ構成するパネル部品2dの板厚比を、前記(1)式に示したt :t =h:wの関係に略設定したので、第1対向面S1と第2対向面S2との座屈強度が略等しくなり、フロントサイドメンバ1dの各パネル面S1,S2をバランス良く座屈変形させることができる。
【0103】
つまり、平板座屈応力σcr は、一般的に板厚をt、板幅をbとすると、
σcr ∝(t/b) …(2)
で表されることから、座屈荷重F1(=座屈応力×断面積)は、
F1 ∝ (t/b) ×(t×b) …(3)
となる。このことから、第1対向面S1と第2対向面S2の座屈荷重を等しくするためには
/h=t /W …(4)
となり、この(4)式からS1とS2の板厚比は前記(1)の条件を満たせば良いことが理解される。
【0104】
従って、(1)式に従ってS1とS2の板厚比を決定することにより、フロントサイドメンバ1dの上下方向および車幅方向のへの折れ変形を防止して、図18(b)〜(e)に示すような蛇腹状の軸圧潰を安定的に発生させることができる。尚、図18は図4,図12と同様に、(a)に衝突荷重Fの非入力時の断面図、(b),(c)に圧潰モードのイメージ図、(d)に(b)のB1−B1断面図、(e)に(b)のB2−B2断面図をそれぞれ示し、(c)は(b)のV方向矢視図である。
【0105】
ところで、前記第1,第2,第5実施形態ではフロントサイドメンバ1,1a,1dをフロント部材2とリア部材3との結合によって構成した場合を開示したが、このように分割することなくフロント部材2の構造、つまり、第1,2実施形態ではパネル部材2a,2bの接合、第5実施形態では4つのパネル部材2dの接合によって形成される略長方形の閉断面形状で、全長Xを形成することもできる。
【0106】
この場合は、第1,第2,第5実施形態で奏する機能を、フロントサイドメンバ1,1a,1dの全長で発揮することができる。
【0107】
また、前記第1,第2,第5実施形態ではフロントサイドメンバ1,1a,1dの上下高さおよび車幅方向幅を、その全長Xに亘って等しくした場合を示したが、これに限ることなく第3,第4実施形態に示すように、断面の図心O位置を前後方向に略一直線上に分布させた状態で、前方に向かって全体的に先細り形状としても良い。
【0108】
また、これとは逆に、第3,第4実施形態のフロントサイドメンバ1b,1cを、前記第1,第2,第5実施形態と同様に全長Xに亘って略同一高さおよび略同一幅に形成することもできる。
【0109】
更に、前記第3,第4実施形態のフロントサイドメンバ1b,1cにあっても、前記第1,第2,第5実施形態と同様に、前後に2分割したフロント部材2とリア部材3との結合により構成することもできる。
【0110】
更にまた、前記各実施形態ではフロントサイドメンバ1,1a,1b,1c,1dの断面形状を長方形や正方向の4角形状としたが、それ以上の多角形にしたものにあっても本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示すフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格の斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示す図2中A1−A1線の拡大断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示すフロントサイドメンバの圧潰時の作用の説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示すフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格の斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示す図5中A2−A2線の拡大断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態の変形例を示す図6に対応する拡大断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態の変形例を示す図6に対応する拡大断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の変形例を示す図6に対応する拡大断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態を示すフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格の斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態を示す図10中A3−A3線の拡大断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態を示すフロントサイドメンバの圧潰時の作用の説明図である。
【図13】本発明の第4実施形態を示すフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格の斜視図である。
【図14】本発明の第4実施形態を示す図13中A4−A4線の拡大断面図である。
【図15】本発明の第4実施形態の変形例を示す図14に対応する拡大断面図である。
【図16】本発明の第5実施形態を示すフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格の斜視図である。
【図17】本発明の第5実施形態を示す図16中A5−A5線の拡大断面図である。
【図18】本発明の第5実施形態を示すフロントサイドメンバの圧潰時の作用の説明図である。
【図19】従来のフロントサイドメンバの圧潰時の作用の説明図である。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c,1d フロントサイドメンバ
2 フロント部材(前方部分)
2a,2b,2c,2d パネル部品
3 リア部材
4a,4b,4c,4d フランジ
4 フランジ接合体
20 補強部分
21 厚肉材
22 高強度材
23 増強処理部分
24 凹状のビード部
25 鋼板(補強部材)
26 シートモールディングコンパウンド成型品(補強部材)
30,31 凹凸部
C1,C2,C3,C4 角部
S1,S2 パネル面
L 2等分線

Claims (16)

  1. 車体前部の車幅方向両側に前後方向に配置され、前方からの荷重入力により軸圧潰して、その荷重エネルギーを吸収するフロントサイドメンバを備えた車体前部骨格構造において、
    前記フロントサイドメンバの少なくとも前方部分が、所定形状に形成された複数のパネル部品を、フランジを介して相互に接合して、そのフランジの接合体が任意な角部に配置される多角形の閉断面形状に形成され、かつ、前記接合体を、それぞれのフランジを延設した双方のパネル面に対して傾斜させ、前記軸圧潰の際に前記接合体が隣接するパネル面方向の曲げモーメントを受けて曲げ変形するようにしたことを特徴とする車体前部骨格構造。
  2. 一方が断面略コ字状を成して、その両側縁から前記フランジが延設されるとともに、他方が平板状を成して、その両側縁から前記フランジが延設される2つのパネル部品の接合により、前記フロントサイドメンバを略長方形の閉断面形状に形成し、それぞれのフランジの接合体を隣り合う角部に配置したことを特徴とする請求項1に記載の車体前部骨格構造。
  3. 2つのパネル部品の接合により、前記フロントサイドメンバを略長方形の閉断面形状に形成し、それぞれのフランジの接合体を対角位置にある角部に配置したことを特徴とする請求項1に記載の車体前部骨格構造。
  4. 2つのパネル部品の接合により、前記フロントサイドメンバを正方形の閉断面形状に形成し、それぞれのフランジの接合体の接合面を、それが配置された角部の2等分線の延長上に配置し、かつ、前記2つのパネル部品の板厚を等しくしたことを特徴とする請求項1に記載の車体前部骨格構造。
  5. 2つのパネル部品の接合により、前記フロントサイドメンバを長方形の閉断面形状に形成し、それぞれのフランジの接合体の接合面を、それが配置された角部の2等分線に対して長辺側に傾けたことを特徴とする請求項1に記載の車体前部骨格構造。
  6. フランジの接合体が設けられない角部に、補強部分を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車体前部骨格構造。
  7. 前記補強部分は、前記角部に嵌め込み接合される厚肉材であることを特徴とする請求項6に記載の車体前部骨格構造。
  8. 前記補強部分は、前記角部に嵌め込み接合される高強度材であることを特徴とする請求項6に記載の車体前部骨格構造。
  9. 前記補強部分は、前記角部に施される高周波焼入れなどの冶金的な増強処理部分であることを特徴とする請求項6に記載の車体前部骨格構造。
  10. 前記補強部分は、前記角部に前後方向に連続して形成される凹状のビード部であることを特徴とする請求項6に記載の車体前部骨格構造。
  11. 前記補強部分は、前記角部に取り付けられる別体の補強部材であることを特徴とする請求項6に記載の車体前部骨格構造。
  12. 前記補強部材は、前記角部の折曲形状に沿って形成した鋼板であることを特徴とする請求項11に記載の車体前部骨格構造。
  13. 前記補強部材は、前記角部に貼付されるシートモールディングコンパウンド成型品であることを特徴とする請求項11に記載の車体前部骨格構造。
  14. 平板状を成して、その両側縁から前記フランジが延設される4つのパネル部品の接合により、前記フロントサイドメンバを、各フランジの接合体が各角部に配置される略長方形の閉断面形状に形成するとともに、それぞれのフランジの接合体の接合面を、それが配置された角部の2等分線の延長上に配置し、前記フロントサイドメンバの第1対向面と、この第1対向面に直角な第2対向面をそれぞれ構成するパネル部品の板厚比を、
    を第1対向面の板厚、tを第2対向面の板厚、hを第1対向面方向の断面高さ、wを第2対向面方向の断面幅とした場合に、t :t =h:wの関係に略設定したことを特徴とする請求項1に記載の車体前部骨格構造。
  15. 前記フロントサイドメンバの断面の図心位置を前後方向に略一直線上に分布させた状態で、その断面積を前方から後方に向かって連続的に拡大することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の車体前部骨格構造。
  16. 前記フロントサイドメンバを構成する各パネル面の前端部近傍に、その前端縁に平行に延びるとともに、隣り合うパネル面同士で互いに凹凸関係が逆となる凹凸部をそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の車体前部骨格構造。
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