JP3124399B2 - 車両フレーム部材およびそのビーム溶接方法 - Google Patents

車両フレーム部材およびそのビーム溶接方法

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JP3124399B2
JP3124399B2 JP04328137A JP32813792A JP3124399B2 JP 3124399 B2 JP3124399 B2 JP 3124399B2 JP 04328137 A JP04328137 A JP 04328137A JP 32813792 A JP32813792 A JP 32813792A JP 3124399 B2 JP3124399 B2 JP 3124399B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度エネルギビーム
を用いて、閉断面を形成するフレーム部材とパネルと
溶接される車両フレーム部材およびそのビーム溶接方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のボディは乗員の安全確保のため
に、衝突時にはその衝撃エネルギを吸収するように設計
されている。特に、車両の前後方向の衝突に対しては、
車室以外のボディ部分で衝突時の衝撃エネルギを吸収
し、車室部分は変形を起こさないことが要求される。従
って、車室部分を構成する部材と車室以外のボディ部分
を構成する部材とでは、衝撃エネルギに対して異なる特
性を備えている。
【0003】例えば、車室部分を構成する部材であるサ
イドシルは、曲げおよび捩じりに対して剛性を有してお
り、衝撃エネルギが加わっても変形を起こし難くなって
いる。一方、図12に示すように、車室以外のボディ部
分を構成する部材であるフロントフレーム11は、曲げ
に対して剛性を有すると共に、車両の前方から衝撃エネ
ルギが加わったときに、車両の前後方向に潰れることに
より衝撃エネルギを吸収し、車室部分に伝達しないよう
になっている。
【0004】従来より、自動車のボディを構成するこれ
ら各部材を組み立てる場合には、生産性の向上や、各部
材の材質の変更、あるいは各部材の軽量化を図るため
に、スポット溶接からレーザ溶接への代替が検討されて
おり、近年では、例えば特開昭60−49883号公報
に開示されているようなレーザ溶接によって各部材の組
み立てが行われている。そして、レーザ溶接によって上
記の各部材を組み立てる場合には、曲げ等に対する剛性
を維持するために、連続溶接が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
フロントフレーム11を溶接して組み立てる場合に、上
記従来のレーザ溶接は、フランジ部12における幅方向
の中央付近を連続溶接するので、このフランジ部12が
リジッドに近い状態となる。このようにフランジ部12
がリジッドに近い状態となると、フロントフレーム11
は曲げおよび捩じりに対して剛性を有するものの、図1
3に示すように、車両の前方から衝撃エネルギが加わっ
たときに、その中程辺りで折れ曲がり易くなる。
【0006】また、通常、フロントフレーム11には電
着塗装を施すため、フランジ部12を連続溶接すると、
例えば電着液槽からフロントフレーム11を引き上げた
ときに、フロントフレーム11内部に入り込んだ電着液
が外部に素早く排出されなくなる。さらに、走行時や洗
車時にフロントフレーム11内部に水が入り込んだ場合
には、この水が排出され難くなる。
【0007】本発明の車両フレーム部材およびそのビー
ム溶接方法は、上記の問題に鑑みなされたものであり、
曲げ等に対する剛性を向上すると共に、衝撃エネルギが
加わったときに折れ曲がることなく潰れて、衝撃エネル
ギをより充分に吸収することができるように、車両フレ
ーム部材の衝撃エネルギ吸収特性を向上できる構成と溶
接方法とを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明の車
両フレーム部材のビーム溶接方法は、上記の課題を解決
するために、高密度エネルギビームを用いて、幅方向の
断面が略ハット状のフレーム部材と、このフレーム部材
のフランジ部と接合することにより閉断面を形成するパ
ネルとを溶接する車両フレーム部材のビーム溶接方法で
あって、上記フランジ部の幅方向の側縁部とパネルとを
断続的に溶接することを特徴としている。
【0009】請求項2に係る発明の車両フレーム部材の
ビーム溶接方法は、上記の課題を解決するために、高密
度エネルギビームを用いて、幅方向の断面が略ハット状
のフレーム部材と、このフレーム部材のフランジ部と接
合することにより閉断面を形成するパネルとを溶接する
車両フレーム部材のビーム溶接方法であって、車両フレ
ーム部材に長手方向から荷重が加えられたときに衝撃エ
ネルギの吸収に寄与する部位の断面積が上記閉断面全体
の面積となるように上記フランジ部の幅方向の側縁部と
パネルとを溶接し、上記衝撃エネルギの吸収に際して車
両フレーム部材 が折れ曲がることなく潰れるように溶接
部位を長手方向に沿って複数箇所形成することを特徴と
している。
【0010】請求項3に係る発明の車両フレーム部材
は、上記の課題を解決するために、幅方向の断面が略ハ
ット状のフレーム部材と、高密度エネルギビームを用い
て上記フレーム部材のフランジ部と接合されることによ
り閉断面を形成するパネルとを有する車両フレーム部材
であって、上記フランジ部の幅方向の側縁部とパネルと
が断続的に溶接されていることを特徴としている。
【0011】
【作用】請求項1に記載の方法によれば、フレーム部材
のフランジ部の幅方向の側縁部とパネルとをビーム溶接
するので、車両フレーム部材は、その幅方向における溶
接部位間の断面積が、例えばフランジ部の幅方向の中央
付近にレーザ溶接もしくはスポット溶接を施した従来の
車両フレーム部材の溶接部位間の断面積よりも、ほぼフ
ランジ部の断面積分だけ増大する。従って、衝突時に変
形して衝撃エネルギの吸収に寄与する部位が増大するの
で、衝撃エネルギの吸収量がより大きくなる。また、フ
ランジ部の幅方向の側縁部とパネルとを断続的にビーム
溶接するので、フランジ部はリジッドに近い状態となら
ず、車両フレーム部材は衝撃エネルギが加わったときに
折れ曲がることなく潰れる。
【0012】それゆえ、上記の方法によれば、例えば、
車両フレーム部材の板厚を厚くしたり、あるいは車両フ
レーム部材の材質のグレード・アップを行わなくとも、
衝撃エネルギをより充分に吸収することができるよう
に、車両フレーム部材の衝撃エネルギ吸収特性を向上さ
せることが可能となる。
【0013】また、上記の方法によれば、フレーム部材
のフランジ部の幅方向の側縁部とパネルとをビーム溶接
するので、フランジ部の幅を、例えば上記従来のレーザ
溶接もしくはスポット溶接を施すフレーム部材のフラン
ジ部の幅よりも短くすることができる。それゆえ、上記
の方法によれば、車両フレーム部材の軽量化を図ること
が可能となると共に、車両フレーム部材の断面係数を、
例えば上記従来のレーザ溶接もしくはスポット溶接を施
した車両フレーム部材の断面係数よりも大きくすること
ができるので、曲げ等に対する剛性を向上させることが
可能となる。
【0014】請求項2に記載の方法によれば、車両フレ
ーム部材に長手方向から荷重が加えられたときに衝撃エ
ネルギの吸収に寄与する部位の断面積が上記閉断面全体
の面積となるように上記フランジ部の幅方向の側縁部と
パネルとを溶接する。また、衝撃エネルギの吸収に際し
て車両フレーム部材が折れ曲がることなく潰れるように
溶接部位を長手方向に沿って複数箇所形成する。従っ
て、衝突時に車両フレーム全体が変形して衝撃エネルギ
の吸収量がより大きくなる。
【0015】それゆえ、上記の方法によれば、請求項1
に係る発明と同様に、車両フレーム部材の衝撃エネルギ
吸収特性の向上、軽量化、および曲げ等に対する剛性の
向上が可能となる。
【0016】請求項3に記載の構成によれば、フレーム
部材のフランジ部の幅方向の側縁部とパネルとがビーム
溶接されているので、車両フレーム部材は、その幅方向
における溶接部位間の断面積が、例えばフランジ部の幅
方向の中央付近にレーザ溶接もしくはスポット溶接を施
した従来の車両フレーム部材の溶接部位間の断面積より
も、ほぼフランジ部の断面積分だけ増大する。従って、
衝突時に変形して衝撃エネルギの吸収に寄与する部位が
増大するので、衝撃エネルギの吸収量がより大きくな
る。また、フランジ部の幅方向の側縁部とパネルとを断
続的にビーム溶接されているので、フランジ部はリジッ
ドに近い状態とならず、車両フレーム部材は衝撃エネル
ギが加わったときに折れ曲がることなく潰れる。
【0017】それゆえ、上記の構成によれば、例えば、
車両フレーム部材の板厚を厚くしたり、あるいは車両フ
レーム部材の材質のグレード・アップを行わなくとも、
衝撃エネルギをより充分に吸収することができるよう
に、車両フレーム部材の衝撃エネルギ吸収特性を向上さ
せることが可能となる。
【0018】また、上記の構成によれば、フレーム部材
のフランジ部の幅方向の側縁部とパネルとがビーム溶接
されているので、フランジ部の幅を、例えば上記従来の
レーザ溶接もしくはスポット溶接が施されるフレーム部
材のフランジ部の幅よりも短くすることができる。それ
ゆえ、上記の構成によれば、車両フレーム部材の軽量化
を図ることが可能となると共に、車両フレーム部材の断
面係数を、例えば上記従来のレーザ溶接もしくはスポッ
ト溶接が施された車両フレーム部材の断面係数よりも大
きくすることができるので、曲げ等に対する剛性を向上
させることが可能となる。
【0019】
【実施例】本発明の一実施例について図1ないし図11
に基づいて説明すれば、以下の通りである。尚、以下の
説明においては、図1に示す車両フレーム部材としての
フロントフレーム10と同一の大きさ、材質、板厚等を
備えたフレームモデルを形成し、このフレームモデルを
構成するフレーム部材のフランジ部と、パネルとを、高
密度エネルギビームとしてのレーザ光によって溶接する
ビーム溶接方法を例に挙げることとする。
【0020】図2に示すように、本実施例にかかるビー
ム溶接(以下、レーザ溶接と称する)を施すフレームモ
デル1は、幅方向の断面が略ハット状のフレーム部材2
と、このフレーム部材2のフランジ部2a・2aと接合
することにより閉断面を形成するパネル3とからなって
いる。そして、上記のフランジ部2a・2aとパネル3
とを重ね合わせ、フランジ部2a・2aの幅方向の側縁
部とパネル3とをレーザ溶接することにより、フレーム
モデル1が組み立てられる。
【0021】図3および図4に示すように、フレーム部
材2の長手方向(即ち、フロントフレーム10における
車両の前後方向)に沿って、溶接部位5…が複数箇所形
成されるように、各フランジ部2aの幅方向の側縁部に
断続的にレーザ溶接を施し、フレームモデル1を組み立
てた(図3および図4中、溶接部位5…を便宜上、網掛
けで示す)。このフレームモデル1に長手方向から衝撃
エネルギとして荷重を加えてフレームモデル1の変位を
測定し、図7に示すように荷重−変位曲線を作成し、最
大荷重Pmax 、および荷重を受けた初期のエネルギ吸収
を差し引いた平均荷重Pmeanを算出した。尚、上記の最
大荷重Pmax および平均荷重Pmeanは、フレームモデル
1のエネルギ吸収量を示す数値である。また、上記の荷
重は、フレームモデル1を垂直に立て、静的に20mm/分
の速度で上方(即ち、長手方向)からフレームモデル1
に掛けた。
【0022】荷重を加えると、フレームモデル1は折れ
曲がることなく潰れた。このようにフレームモデル1が
折れ曲がらずに潰れるのは、溶接部位5…が複数箇所形
成されるように、各フランジ部2aの幅方向の側縁部に
断続的にレーザ溶接を施しているので、フランジ部2a
・2aがリジッドに近い状態とならないためである。
【0023】尚、レーザ溶接では、レーザ光を精度良く
各フランジ部2aの側縁部に照射することが可能であ
り、また、フランジ部2a・2aの側縁部にレーザ溶接
を施してもチリや火花が発生しない。これに対し、フラ
ンジ部2a・2aの側縁部にスポット溶接を施すとチリ
や火花が発生すると共に、溶着不良が起こり、フレーム
モデル1、即ちフロントフレーム10の品質低下を引き
起こしてしまう。従って、レーザ溶接と同様に、スポッ
ト溶接をフランジ部2a・2aの側縁部に施すことは困
難となっている。
【0024】また、比較のために、図5および図6に示
すように、フレーム部材2の長手方向に沿って、溶接部
位5’…が複数箇所形成されるように、各フランジ部2
aの内縁部、即ちフレーム部材2の立ち上がり部分近傍
に断続的にレーザ溶接(以下、比較レーザ溶接と称す
る)を施し、フレームモデル1’を組み立てた(図5お
よび図6中、溶接部位5’…を便宜上、網掛けで示
す)。このフレームモデル1’に上記と同様にして長手
方向から荷重を加えてフレームモデル1’の変位を測定
し、最大荷重Pmax'および平均荷重Pmean' を算出し
た。そして、図8に示すように、レーザ溶接を施した場
合の最大荷重Pmax および平均荷重Pmeanと、比較レー
ザ溶接を施した場合の最大荷重Pmax'および平均荷重P
mean' との大小を比較した。
【0025】図8に示すように、フランジ部2a・2a
の側縁部に断続的にレーザ溶接を施したときの最大荷重
max および平均荷重Pmeanは、フランジ部2a・2a
の内縁部に断続的に比較レーザ溶接を施したときの最大
荷重Pmax'および平均荷重Pmean' に較べて、何れも数
値が大きくなっていることがわかる。即ち、フランジ部
2a・2aの側縁部に断続的にレーザ溶接を施すことに
より、フランジ部2a・2aの内縁部に断続的に比較レ
ーザ溶接を施すよりもエネルギの吸収量がより大きくな
っていることがわかる。
【0026】このようにフランジ部2a・2aの側縁部
にレーザ溶接を施した場合に、エネルギの吸収量が大き
くなるのは、以下の理由による。即ち、図4に示したよ
うにフランジ部2a・2aの側縁部に溶接部位5…を有
するフレームモデル1の幅方向における溶接部位5・5
間の断面積は、図6に示したようにフランジ部2a・2
aの内縁部に溶接部位5’…を有するフレームモデル
1’の幅方向における溶接部位5’・5’間の断面積よ
りも、ほぼフランジ部2a・2aの断面積分だけ増大し
ている。これにより、フレームモデル1’が荷重を受け
た場合には、図10に示すように、フランジ部2a・2
aを除いた部分が変形してエネルギを吸収するのに対
し、フレームモデル1が荷重を受けた場合には、図9に
示すように、フランジ部2a・2aを含むフレームモデ
ル1全体が変形してエネルギを吸収する。従って、フレ
ームモデル1は、フレームモデル1’よりも、荷重を受
けたときに変形してエネルギの吸収に寄与する部位が増
大するので、荷重即ち衝撃エネルギの吸収量が大きくな
っている。
【0027】上記の測定結果から、フランジ部2a・2
aの幅方向の側縁部とパネル3とを断続的にレーザ溶接
することにより、例えば、フレーム部材2およびパネル
3の板厚を厚くしたり、あるいはこれらフレーム部材2
およびパネル3の材質のグレード・アップを行わなくと
も、衝撃エネルギをより充分に吸収することができるよ
うに、フレームモデル1、即ちフロントフレーム10
(図1)の衝撃エネルギ吸収特性を向上させることが可
能となっていることがわかる。
【0028】また、フレーム部材2のフランジ部2a・
2aの幅方向の側縁部とパネル3とをレーザ溶接するの
で、各フランジ部2aの幅(凡そ10mm〜12mm)を、例え
ばスポット溶接を施す際に必要な従来の幅(凡そ18mm)
よりも狭くすることができ、フランジ部2a・2aを小
さくすることができる。それゆえ、フロントフレーム1
0の軽量化を図ることが可能となると共に、フロントフ
レーム10の断面係数を、スポット溶接を施す従来のフ
ロントフレームの断面係数よりも大きくすることができ
るので、曲げ等に対する剛性を向上させることが可能と
なる。
【0029】さらに、フランジ部2a・2aの側縁部と
パネル3とを断続的にレーザ溶接するので、レーザ溶接
が施されない部分のフランジ部2aおよびパネル3間に
若干の隙間が生じる。このため、例えばフロントフレー
ム10に電着塗装を施す際に、電着液槽からフロントフ
レーム10を引き上げると、フロントフレーム10内部
に入り込んだ電着液が上記の隙間から外部に素早く排出
される。また、走行時や洗車時にフロントフレーム10
内部に水が入り込んだ場合にも、この水が排出され易く
なる。
【0030】尚、フランジ部2a・2aの側縁部にレー
ザ溶接を施す際の溶接部位5…の数や長さ、あるいは長
手方向の溶接部位5・5間の間隔(ピッチ)等は、例え
ばフロントフレーム10の大きさや材質、板厚等に応じ
て、フロントフレーム10の衝撃エネルギ吸収特性が最
適となるように適宜設定すればよい。
【0031】また、上記の実施例においては、フランジ
部2a・2aの側縁部にビーム溶接としてレーザ溶接を
施す場合を例に挙げて説明したが、ビーム溶接方法は上
記のレーザ溶接を用いた方法に限定されず、レーザ溶接
の他に、例えば高密度エネルギビームとしての高密度エ
ネルギ熱源を用いたプラズマ溶接や、ティグ(tungsten
inert gas:TIG)溶接、ミグ(metal inert gas :
MIG)溶接等を用いた方法であってもよい。そして、
例えばミグ溶接を施す場合には、図11(a)に示す
ように、フランジ部2aとパネル3とを若干ずらして重
ね合わせ、この重ね合わせ部分の幅方向の端部を斜め方
向(矢印ア方向)から溶接する、同図(b)に示すよ
うに、フランジ部2aとパネル3とを重ね合わせ、この
重ね合わせ部分の幅方向の端部を横方向(矢印イ方向)
から溶接する、同図(c)に示すように、フランジ部
2aの幅方向の端部およびパネル3の端部を互いに逆方
向に曲げたのち重ね合わせ、この重ね合わせ部分に形成
されたフレアー部を横方向(矢印ウ方向)から溶接す
る、同図(d)に示すように、フロントフレーム10
の長手方向の開口部から溶接を施すことが可能な場合に
は、フランジ部2aとパネル3とを治具9・9で挟んで
重ね合わせ、この重ね合わせ部分を裏側(矢印エ方向)
から溶接する、等の方法を行うことが可能である。
【0032】そして、上記のプラズマ溶接、ティグ溶
接、およびミグ溶接等を施した場合においても、レーザ
溶接を施した場合と同様に、フレーム部材2およびパネ
ル3の板厚を厚くしたり、あるいはこれらフレーム部材
2およびパネル3の材質のグレード・アップを行わなく
とも、衝撃エネルギをより充分に吸収することができる
ように、フロントフレーム10の衝撃エネルギ吸収特性
を向上させることが可能となっている。
【0033】また、上記の実施例においては、車両フレ
ーム部材としてフロントフレーム10を例に挙げて説明
したが、勿論、フロントフレーム10以外の車両フレー
ム部材においても、本ビーム溶接方法を用いることによ
り、衝撃エネルギをより充分に吸収することができるよ
うに、車両フレーム部材の衝撃エネルギ吸収特性を向上
させることが可能となっている。
【0034】
【発明の効果】請求項1に係る発明の車両フレーム部材
のビーム溶接方法は、以上のように、フランジ部の幅方
向の側縁部とパネルとを断続的に溶接する方法である。
【0035】それゆえ、車両フレーム部材は、その幅方
向における溶接部位間の断面積が、例えばフランジ部の
幅方向の中央付近にレーザ溶接もしくはスポット溶接を
施した従来の車両フレーム部材の溶接部位間の断面積よ
りも、ほぼフランジ部の断面積分だけ増大するので、衝
突時に変形して衝撃エネルギの吸収に寄与する部位が増
大し、衝撃エネルギの吸収量がより大きくなる。また、
フランジ部の幅方向の側縁部とパネルとを断続的にビー
ム溶接するので、フランジ部はリジッドに近い状態とな
らず、車両フレーム部材は衝撃エネルギが加わったとき
に折れ曲がることなく潰れる。
【0036】これにより、例えば、車両フレーム部材の
板厚を厚くしたり、あるいは車両フレーム部材の材質の
グレード・アップを行わなくとも、衝撃エネルギをより
充分に吸収することができるように、車両フレーム部材
の衝撃エネルギ吸収特性を向上させることが可能となる
という効果を奏する。
【0037】また、フレーム部材のフランジ部の幅を、
例えば上記従来のレーザ溶接もしくはスポット溶接を施
した従来のフレーム部材のフランジ部の幅よりも短くす
ることができ、車両フレーム部材の軽量化を図ることが
可能となると共に、車両フレーム部材の断面係数を、例
えば上記従来のレーザ溶接もしくはスポット溶接を施し
た従来の車両フレーム部材の断面係数よりも大きくする
ことができるので、曲げ等に対する剛性を向上させるこ
とが可能となるという効果も併せて奏する。
【0038】請求項2に係る発明の車両フレーム部材の
ビーム溶接方法は、以上のように、車両フレーム部材に
長手方向から荷重が加えられたときに衝撃エネルギの吸
収に寄与する部位の断面積が閉断面全体の面積となるよ
うにフランジ部の幅方向の側縁部とパネルとを溶接し、
上記衝撃エネルギの吸収に際して車両フレーム部材が折
れ曲がることなく潰れるように溶接部位を長手方向に沿
って複数箇所形成する方法である。
【0039】それゆえ、衝突時に車両フレーム全体が変
形して衝撃エネルギの吸収量がより大きくなる。これに
より、請求項1に係る発明と同様に、車両フレーム部材
の衝撃エネルギ吸収特性の向上、軽量化、および曲げ等
に対する剛性の向上が可能となるという効果を奏する。
【0040】請求項3に係る発明の車両フレーム部材
は、以上のように、フランジ部の幅方向の側縁部とパネ
ルとが断続的に溶接されている構成である。
【0041】それゆえ、フレーム部材のフランジ部の幅
方向の側縁部とパネルとがビーム溶接されているので、
車両フレーム部材は、その幅方向における溶接部位間の
断面積が、例えばフランジ部の幅方向の中央付近にレー
ザ溶接もしくはスポット溶接が施された従来の車両フレ
ーム部材の溶接部位間の断面積よりも、ほぼフランジ部
の断面積分だけ増大する。従って、衝突時に変形して衝
撃エネルギの吸収に寄与する部位が増大するので、衝撃
エネルギの吸収量がより大きくなる。また、フランジ部
の幅方向の側縁部とパネルとを断続的にビーム溶接され
ているので、フランジ部はリジッドに近い状態となら
ず、車両フレーム部材は衝撃エネルギが加わったときに
折れ曲がることなく潰れる。
【0042】これにより、例えば、車両フレーム部材の
板厚を厚くしたり、あるいは車両フレーム部材の材質の
グレード・アップを行わなくとも、衝撃エネルギをより
充分に吸収することができるように、車両フレーム部材
の衝撃エネルギ吸収特性を向上させることが可能となる
という効果を奏する。
【0043】また、フレーム部材のフランジ部の幅を、
例えば上記従来のレーザ溶接もしくはスポット溶接が施
されるフレーム部材のフランジ部の幅よりも短くするこ
とができ、車両フレーム部材の軽量化を図ることが可能
となると共に、車両フレーム部材の断面係数を、例えば
上記従来のレーザ溶接もしくはスポット溶接が施された
車両フレーム部材の断面係数よりも大きくすることがで
きるので、曲げ等に対 する剛性を向上させることが可能
となるという効果も併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車のボディにおけるフロントフレームの位
置を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例におけるビーム溶接方法とし
てのレーザ溶接を施すフレームモデルの断面図である。
【図3】上記フレームモデルにレーザ溶接を施す際の、
溶接部位の位置を網掛けで示す平面図である。
【図4】図3におけるA−A矢視断面図である。
【図5】上記フレームモデルに比較レーザ溶接を施す際
の、溶接部位の位置を網掛けで示す平面図である。
【図6】図5におけるB−B矢視断面図である。
【図7】レーザ溶接を施したフレームモデルにおける、
変位と荷重との関係を示すグラフである。
【図8】レーザ溶接を施したフレームモデルの最大荷重
および平均荷重と、比較レーザ溶接を施したフレームモ
デルの最大荷重および平均荷重との数値の大小を比較す
るグラフである。
【図9】レーザ溶接を施したフレームモデルが潰れる様
子を示す説明図である。
【図10】比較レーザ溶接を施したフレームモデルが潰
れる様子を示す説明図である。
【図11】フレームモデルにビーム溶接方法としてのミ
グ溶接を施す際の、溶接部位の位置を示す説明図であ
る。
【図12】従来のフロントフレームを示す概略の側面図
である。
【図13】上記従来のフロントフレームが潰れる様子を
示す説明図である。
【符号の説明】
1 フレームモデル 2 フレーム部材 2a フランジ部 3 パネル 5 溶接部位 10 フロントフレーム(車両フレーム部材)
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 26/00 - 26/26 B62D 65/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高密度エネルギビームを用いて、幅方向の
    断面が略ハット状のフレーム部材と、このフレーム部材
    のフランジ部と接合することにより閉断面を形成するパ
    ネルとを溶接する車両フレーム部材のビーム溶接方法で
    あって、 上記フランジ部の幅方向の側縁部とパネルとを断続的に
    溶接することを特徴とする車両フレーム部材のビーム溶
    接方法。
  2. 【請求項2】 高密度エネルギビームを用いて、幅方向の
    断面が略ハット状のフレーム部材と、このフレーム部材
    のフランジ部と接合することにより閉断面を形成するパ
    ネルとを溶接する車両フレーム部材のビーム溶接方法で
    あって、 車両フレーム部材に長手方向から荷重が加えられたとき
    に衝撃エネルギの吸収に寄与する部位の断面積が上記閉
    断面全体の面積となるように上記フランジ部の幅方向の
    側縁部とパネルとを溶接し、上記衝撃エネルギの吸収に
    際して車両フレーム部材が折れ曲がることなく潰れるよ
    うに溶接部位を長手方向に沿って複数箇所形成すること
    を特徴とする車両フレーム部材のビーム溶接方法。
  3. 【請求項3】 幅方向の断面が略ハット状のフレーム部材
    と、高密度エネルギビームを用いて上記フレーム部材の
    フランジ部と接合されることにより閉断面を形成するパ
    ネルとを有する車両フレーム部材であって、 上記フランジ部の幅方向の側縁部とパネルとが断続的に
    溶接されていることを特徴とする車両フレーム部材。
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