JP4854327B2 - 重ねレーザ溶接方法 - Google Patents

重ねレーザ溶接方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4854327B2
JP4854327B2 JP2006053136A JP2006053136A JP4854327B2 JP 4854327 B2 JP4854327 B2 JP 4854327B2 JP 2006053136 A JP2006053136 A JP 2006053136A JP 2006053136 A JP2006053136 A JP 2006053136A JP 4854327 B2 JP4854327 B2 JP 4854327B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plate
overlapped
welding
flange
weld
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006053136A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007229752A (ja
Inventor
健二 才田
康信 宮崎
裕滋 井上
吉弘 藤川
史朗 中野
誠 岩瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp, Toyota Motor Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2006053136A priority Critical patent/JP4854327B2/ja
Publication of JP2007229752A publication Critical patent/JP2007229752A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4854327B2 publication Critical patent/JP4854327B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、複数の板材を重ね合わせ、この重ね合わせた板材の端部近傍に重ね合わせ方向からレーザ光を照射しつつ、レーザ光を前記端部に沿って移動させて、重ね合わせた板材を互いに溶接する重ねレーザ溶接方法に関する。
自動車の車体パネルとして、高張力鋼よりなる薄板材から形成され、フランジ部2および折り曲げ部3を有する断面が図1aに示すようにハット形状の構造部材1を、互いに対向させてそのフランジ部2を重ね合わせ、その重ね合わせ部をスポット溶接などで接合したフレーム部材や、図1b、cに示すように前記フランジ部2と板材4あるいはフランジ部間に板材4を介在させてそれらを重ね合わせ、それらを同様に接合したフレーム部材、さらには、図1dに示すように複数枚の構造部材1を同一方向に重ね合わせたフレーム部材が使用されている。
上記重ね合わせ部の接合に、レーザ溶接を採用した場合には、連続溶接により接合強度が高く、ビード幅が狭いために、従来用いられていたスポット溶接やアーク溶接に比べて接合部の設計自由度が大きく、フランジ部の幅を狭くし、構造部材を小型化、軽量化することが可能となるなどの利点がある。
従来、板材の重ね溶接継ぎ手のレーザ溶接では、重ね合せ部の板材間の間隔にばらつきがあると溶接品質が低下することから、板材間の間隔の適正化に主眼がおかれていた。
例えば、レーザ照射側から重ね合せ部にローラを押し付け、ローラをレーザ光とともに移動させ、一方の板材を他方の板材に押し付けて両者の間隔を調整しながら溶接を行うことや、互いに重ね合わせた板材のフランジ部相互を、1対のローラで両側から挟みこみ同様に溶接することが、特許文献1に示されている。
しかしながら、高張力鋼よりなる構造部材において、フランジ部の幅を短くして部材を軽量化し、重ね合わせ部端部近傍を、下側の板材裏面まで溶融するように溶接してより接合強度を高めようとすると、本発明者らの研究では、さらに、溶接凝固割れが問題になることがわかった。
すなわち、図2aに示すように、断面がハット形状の構造部材の両側フランジ部を相互に重ね合わせたフレーム部材のフランジ部に、重ね合せ方向、すなわちフランジに交差する方向からレーザ光を照射して、下側の板材裏面まで溶融するように溶接するとともに、フランジの長手方向端部から溶接を開始する場合には、図2bに示すように、溶接始端部側が外側に広がるように変形し、割れが発生する。
また、図3のように、溶接開始点5をフランジの長手方向端部としないで、該端部から所定距離隔てた点を溶接開始点とした場合でも、溶接後に溶接部6の中央部分が膨出し、割れ7が発生する場合がある。なお、図において、8はレーザ溶接ヘッドである。
これは、重ね合わせた下側の板材の裏面まで溶融するようにレーザ光を照射して溶接する場合、レーザ光の照射により形成された溶融部が凝固するまで、溶融部より端部側のフランジ部位は、フランジ本体から切り離された状態になる。このとき、該部位の幅が小さいと、溶接部からの熱伝導により熱膨張して該部位が変形し、凝固途中の溶接ビードを引っ張り、凝固時に割れが発生するためと考えられる。
従来、レーザ溶接における溶接部の割れや変形を防止する技術として、特許文献2や特許文献3が知られている。
特許文献2には、高炭素鋼よりなる部材とステンレス鋼などよりなる部材の重ね継ぎ手をレーザ溶接する際、溶融凝固時に発生する収縮応力などにより収縮割れが発生すること、および、その割れを、継ぎ手部の位置を工夫して引張応力が溶融部に多くかからないようにして防止することが記載されている。
また、特許文献3には、一方の板材に対し、幅の狭いもう一方の板材を突き合わせて、突合せ部をレーザ溶接する場合、幅の狭い方の板材が熱による変形を受けて突き合せ部の間隔が広がるため、あらかじめ両方の板材の突合せ部を仮付けして、板材の変形を防止することが記載されている。
しかし、これらの文献では、上記のような凝固割れや、それに対する解決手段については何ら触れられていない。
以上のように、高張力鋼よりなる薄板材のレーザ溶接において、部材の軽量化のためにフランジ部の幅を短くし、さらに、重ね合わせ部端部近傍を、下側の板材裏面まで溶融するように溶接してより接合強度を高めるように溶接する場合、溶接凝固割れが生じることは従来知られていなかった。
特開平8−90264号公報 特開平11−245065号公報 特開昭59−215288号公報
そこで、本発明は、上記のごとき状況に鑑み、少なくとも1枚の板材は高張力鋼よりなる複数の板材を重ね合わせ、この重ね合わせた板材の端部近傍に、重ね合わせた下側の板材の裏面まで溶融するように重ね合わせ方向からレーザ光を照射しつつ、レーザ光を前記端部に沿って移動させて、重ね合わせた板材を互いに溶接する際、上記のような凝固割れのないレーザ溶接方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は次のようにしたことを特徴とする。
請求項1の重ねレーザ溶接方法の発明は、板材のうち少なくとも1枚は高張力鋼よりなる板材を複数重ね合わせ、この重ね合わせた板材に、重ね合わせた下側の板材の裏面まで溶融するように重ね合わせ方向からレーザ光を照射しつつ、レーザ光を前記重ね合わせた板材の端部に沿って移動させて連続的に溶接部を形成し、重ね合わせた板材を互いに溶接するレーザ溶接方法において、
前記複数の板材のうち、少なくとも1枚の板材は、少なくとも片側に折り曲げ部およびそれに続くフランジ部を有し、薄板材から形成された構造部材であり、該構造部材のフランジ部と他の板材を相互に重ね合わせた際の重ね合せ部分の幅を8mm以内とし、重ね合わせる板材の組み合わせによって、前記溶接部の溶接金属が0.05≦C≦0.08質量%となる、またはC<0.05質量%でP+S≧0.03質量%となるような溶接をするにあたり、前記溶接部を板材の前記端部から3.5mm以上離れた位置に形成することを特徴とする。なお、以下でも、元素の含有量の%は質量%とする。
請求項2の重ねレーザ溶接方法の発明は、板材のうち少なくとも1枚は高張力鋼よりなる板材を複数重ね合わせ、この重ね合わせた板材に、重ね合わせた下側の板材の裏面まで溶融するように重ね合わせ方向からレーザ光を照射しつつ、レーザ光を前記重ね合わせた板材の端部に沿って移動させて連続的に溶接部を形成し、重ね合わせた板材を互いに溶接するレーザ溶接方法において、
前記複数の板材のうち、少なくとも1枚の板材は、少なくとも片側に折り曲げ部およびそれに続くフランジ部を有し、薄板材から形成された構造部材であり、該構造部材のフランジ部と他の板材を相互に重ね合わせた際の重ね合せ部分の幅を8mm以内とし、重ね合わせる板材の組み合わせによって、前記溶接部の溶接金属が0.05≦C≦0.08質量%となる、またはC<0.05質量%でP+S≧0.03質量%となるような溶接をするにあたり、一方の板材を他方の板材の溶接方向に沿った端部より5mm以上突出するように重ね合わせ、前記他方の板材の溶接方向に沿った端部から1.5mm以上離れた位置に溶接部を形成することを特徴とする。
請求項3の重ねレーザ溶接方法の発明は、該請求項に記載されているように、前記重ね合わせた板材の溶接方向端部より離れた位置で溶接を開始することを特徴とする。
請求項4の重ねレーザ溶接方法の発明は、該請求項に記載されているように、前記重ね合わせられた板材の溶接方向端部より溶接を開始し、前記他方の板材の溶接方向に沿ったから2.5mm以上離れた位置に溶接部を形成することを特徴とする。
求項の重ねレーザ溶接方法の発明は、該請求項に記載されているように、前記少なくとも1枚の板材が、両側に折り曲げ部およびフランジ部を有する断面がハット形状の構造部材であることを特徴とする。
請求項1、2の発明によれば、少なくとも1枚の板材は高張力鋼よりなる構造部材を重ねレーザ溶接する場合であって、溶接部の溶接金属が凝固割れの発生しやすい成分組成となるような場合に、構造部材の重ね合わせた下側の板材裏面まで充分に溶け込みを行っても、溶接部に凝固割れを発生させずにレーザ溶接することができるので、重ね合せ部の幅が狭くても強度の高い溶接部を形成することができ、構造部材を小型化、軽量化することが可能となる。
請求項3、4の発明によれば、請求項1、2の発明のレーザ溶接方法を重ね継ぎ手の形状に応じた形態でより効果的に実施することができる。
請求項の発明によれば、フランジを有する構造部材をさらに小型化、軽量化することが可能となる。
以下、本発明の一実施の形態を、さらに図4〜8を用いて詳細に説明する。
高張力鋼よりなり、図4で示される断面形状がハット型の構造部材のような端部にフランジを有する板状部材を、同様のフランジや板材と重ね、両者の間をレーザ溶接してフレーム部材を製造する際、例えば8mm以内というようなよりフランジ幅(板材が重なっている幅)Aの狭い構造部材を用いて、フレーム部材全体をより軽量化しようとすると、溶接部からフランジ端部までの距離Bは1.5mm以上の範囲のうちのより短い距離にならざるを得ず、このような条件では、図3に示されるように、フランジ長手方向端部から離れた位置で溶接を開始したとしても、前記したように、溶接部からの熱伝導により変形した部位が凝固途中の溶接ビードを引っ張り、凝固割れが発生する場合があった。
なお、構造部材を軽量化するには、フランジ幅を8mm以内とするのがより効果的であり、そのようなフランジ幅において、溶接部の溶接ビード中心からフランジ端部までの距離を1.5mm以上とするのは、1.5mm未満では、フランジ端部側が、フランジ端まで溶融してそのまま溶け落ち易くなるためである。
そこで、本発明らは、凝固割れの発生原因を調べ、溶接部のフランジ端部からの位置や溶接金属成分と上記凝固割れの発生との関連について検討した。
図5は、薄板の重ねレーザ溶接における凝固過程の温度と溶接部周辺で発生する歪の関係を示す。図は、炭素量が0.06%、珪素量が0.5%、マンガン量が1.5%よりなる板厚1.2mmの引張強さ590MPaの鋼を用い、レーザ加工点出力2kW、溶接速度2m/minの条件で重ねレーザ溶接して得た試料を用いて得られたものである。
図5により、液相温度直下から溶接部には引張方向の力が働き、液相温度から温度が充分に低下すると、逆に溶接部には圧縮の力が働く。レーザ光照射位置後方の、凝固過程にある(2)の領域において、引っ張り方向の大きな歪が発生し、これが凝固割れにつながるものといえる。
そして、そのような歪の発生と凝固割れの関係は、図6に示されるような、一般的に知られている凝固温度脆性範囲(BTR)と収縮変位(P)の関係から説明できる。
すなわち、溶接部の温度と凝固収縮にともなう部材の変位量との間には、図中斜線で示す凝固割れ感受性の高い脆化域(D)があり、温度の降下にともない凝固収縮変位(P)の値が大きくなり、それが脆化域を通過すると凝固割れが発生すると考えられている。また液相温度直下では、最低延性値(Dmin)が小さく脆化域は広いが、液相率が高いので、たとえ柱状晶間に凝固割れが発生しても、液相により充填され凝固割れは発生しない。
一般的に、凝固割れに影響を与える因子の一つとして、液相−固相間の凝固温度幅があげられる。Feに対する2元系において、少量の添加でも凝固温度幅を広げる元素としては、C、P、Sが知られている(例えば、松田著「溶接冶金学」1972年日刊工業新聞社発行、第158頁参照)。
また、C、P、Sは平衡分配係数が小さく、溶質が溶融金属中に排出され柱状晶間に残留するため、見かけの固相温度より最終凝固位置の温度は図6中の太字破線のように低下し、BTRを広げやすく凝固割れを起こしやすい元素であると考えられる。
さらに、その成分範囲で凝固過程の粒界強度が低くなるような、成分的に特に割れに敏感な成分範囲があると考えられ、その成分範囲は、概略C量とP+S量の範囲で決まると考えられる。
そこで、凝固割れの発生するC量とP+S量の範囲について調べた。
実験は、種々のC量とP+S量を有する引張強度が270MPaから1470MPaの範囲の鋼板を用い、それらを同一種同士または異種を組み合わせて、図4で示されるようにハット型の構造部材と板状部材とをフランジ幅Aが8mmとなるように重ね合わせた。
そして、溶接ビード中心と板材の端部までの距離B:3.0mm、フランジ部長手方向端部から溶接開始点までの距離C:5mm、レーザ加工点出力3.5kW、溶接速度2m/minの条件でレーザ溶接を行った。
溶接後の割れの発生の有無を、溶接金属のC含有量とP+S量で整理した結果を図7で示す。図7中の(1)、(3)が凝固割れの発生しない領域、(2)が凝固割れの発生する領域である。
この結果より、引張強度が270MPaから1470MPaの範囲の鋼板、特に、少なくとも1枚の板材は440MPa以上の高張力鋼板よりなる複数の板材を重ね合わせ、この重ね合わせた板材の端部近傍に重ね合わせ方向から、重ね合わせた下側の板材の裏面まで溶融するようにレーザ光を照射しつつ、レーザ光を前記端部に沿って移動させて重ね合わせた板材を互いに溶接する際、溶接部の溶接ビード中心からフランジ端部までの距離を1.5mm以上のより短い距離とした場合、溶接部の溶接金属の炭素含有量が、0.05≦C≦0.08%であるとP+S量にかかわらず凝固割れを起こすことがわかった。また、C<0.05%の場合は、P+S≧0.03%の範囲で凝固割れを起こすことがわかった。
そこで、そのようなCやP+Sの含有範囲においても凝固割れを起こさないような施工上の条件についてさらに検討した。
上記のように割れの原因となる凝固収縮変位量Pを小さくするための手段として、重ね合わせた板材の溶接方向端部より離れた位置から溶接を開始するとともに、溶接部と板材の重ね合せ部(フランジ部)端部との距離を大きくすれば、その部分は両端が拘束されたうえでさらに強度が大きくなるため、前記変位量が小さくなることが考えられる。
そこで、重ね合せ部の端部が揃っている場合と揃っていない場合に分けて、凝固割れを生じない条件について検討した。
その結果、図4のように揃っている場合には、フランジ幅Aが8mm以内であっても、重ね合わせた板材の溶接方向端部より離れた位置から溶接を開始し、揃っている端部から3.5mm以上離れた位置、すなわち距離Bが3.5mm以上になるように溶接部を形成すれば、図3に示されるような途中で膨出する凝固割れを起こさないで溶接が可能であることがわかった。
なお、上記において、フランジ幅を8mm以内とし、端部から3.5mm以上離れた位置に溶接部を形成する場合、図4のように溶接することは、折り曲げ部とレーザ溶接ヘッドとの干渉により困難な場合が生じるが、図1b、dの場合では、折り曲げ部とは反対の側からレーザを照射することにより、端部から充分離れた位置に溶接部を形成することができる。
また、図8aに示されるように、一方の板材4が他方の板材1から突出するように重ね合わされており、重ね合せ部の端部が揃っていない場合には、一方の板材4が他方の板材1から突出する距離Dを5mm以上とすることにより、重ね合わせた板材の溶接方向端部より離れた位置から溶接を開始すれば、板材1の端部から溶接部までの距離Bを1.5mm以上としても同様に凝固割れを発生することなく溶接できることがわかった。
さらに、前記距離Dを5mm以上とした上で、上記他方の板材1の端部から溶接部までの距離Bを2.5mm以上とすると、図8bに示されるように、重ね合わせた板材の溶接方向端部より溶接を開始しても凝固割れを発生することなく溶接することができることもわかった。
以上の場合において、重ね合わせた板材の溶接方向端部より離れた位置から溶接を開始する場合、端部から溶接開始点までの距離Cは、溶接部の溶接ビード中心からフランジ幅方向端部までの距離Bと同じかそれ以上の距離とするのが好適である。
また、重ね合わせた板材の溶接方向端部より溶接を開始することができない場合でも、端部が図2のように開かないよう、端部をクランプ冶具で拘束すれば、上記条件を採用することにより図3に示されるように途中で膨出することなく溶接することができる。
上記のように、溶接対象となる高張力鋼板の成分組成の組み合わせによって、溶接部の溶接金属が、0.05≦C≦0.08%の範囲、またはC<0.05%で、かつP+S≧0.03%の範囲になるような場合であっても、上記のような条件でレーザ溶接を行えば、凝固割れを発生することなく溶接を実施することができる。
本発明が対象とする板材の材質としては、複数の板材のすべてが高張力鋼である場合と、板材の少なくても1枚が高張力鋼である場合のいずれでもよく、板材の組み合わせによって、溶接金属が0.05≦C≦0.08%、またはC<0.05%でP+S≧0.03%となるような鋼の組み合わせを対象とする。ここで、高張力鋼の範囲は、引張強度で440MPa以上である。
なお、P+S量が高くなると凝固割れが起こりやすくなるため、本発明が対象とする溶接金属中のP+Sの上限は0.05%が望ましい。
レーザ溶接では、溶接金属の成分は、フィラー等の溶加材を別途添加しない場合、重ね合わせた各板材の母材成分値及びその板厚から計算される平均成分であるから(なお、3枚以上の板材を重ね合わせた場合には、隣り合った2枚の全ての組合せにおける、母材成分値及びその板厚から計算される平均成分で表現される場合もある。)、対象とする構造部材の材質から計算される溶接金属中のCの値が0.05≦C≦0.08%の範囲となる場合や、CとP+Sの値が、C<0.05%で、かつP+S≧0.03%の範囲となる場合に、本発明を適用することにより凝固割れを起こさずにレーザ溶接することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、実施例で採用した条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するための一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載される事項によってのみ規定されており、上記以外の実施の形態も実施可能である。本発明を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
供試材として、厚さが1.2mmで引張強度が590MPa以上の高張力鋼(SPFC590)よりなる断面ハット形状の構造部材を、同じく高張力鋼よりなる平板状の板材に、一部は端部が揃うように、また他の一部は下側の平板が突出するように重ね合わせた。それぞれ重ね合せ部の幅は8mmであった。また、下側の板材の突出量Dは3mmと6mmとした。高張力鋼は、C量およびP+S量が異なる試料を用いた。そして、重ね合せ部を次の条件でレーザ溶接した。
レーザ溶接は、YAGレーザを用い、加工点出力を3.5kW、溶接速度を2.0m/minとした。また、レーザビームは、鋼板上に集光し、集光スポットは直径0.6mmとした。フランジ幅方向端部からレーザ照射位置までの距離Bを2.5〜4mmとし、フランジ長手方向端部から5.0mmはなれた点を開始位置とした。下側の板材の突出量Dを6mmとしたものについては、フランジ長手方向端部を開始位置とする溶接も行った。
得られた結果を表1に示す。表1より、本発明の条件を満たす場合は、割れを生じることなく溶接できることがわかる。
Figure 0004854327
重ね継ぎ手を有する部材の例を示す図である。 凝固割れの1例を示す図である。 凝固割れの他の例を示す図である。 フランジ幅と溶接部位置とを説明する図である。 溶接後の凝固過程の温度と歪の関係を示す図である。 凝固脆性範囲と収縮変位の関係を示す図である。 凝固割れの発生と成分の関係を示す図である。 他の例におけるフランジ幅と溶接部位置とを説明する図である。
符号の説明
1 断面ハット形状の構造部材
2 構造部材のフランジ部
3 構造部材の折り曲げ部
4 板材
5 溶接開始点
6 溶接部(溶接ビード)
7 凝固割れ部
8 レーザ溶接ヘッド
A フランジ幅
B 溶接部からフランジ端部までの距離
C フランジ長手方向端部から溶接開始点までの距離
D 一方の板材が他方の板材から突出する距離

Claims (5)

  1. 板材のうち少なくとも1枚は高張力鋼よりなる板材を複数重ね合わせ、この重ね合わせた板材に、重ね合わせた下側の板材の裏面まで溶融するように重ね合わせ方向からレーザ光を照射しつつ、レーザ光を前記重ね合わせた板材の端部に沿って移動させて連続的に溶接部を形成し、重ね合わせた板材を互いに溶接するレーザ溶接方法において、
    前記複数の板材のうち、少なくとも1枚の板材は、少なくとも片側に折り曲げ部およびそれに続くフランジ部を有し、薄板材から形成された構造部材であり、該構造部材のフランジ部と他の板材を相互に重ね合わせた際の重ね合せ部分の幅を8mm以内とし、重ね合わせる板材の組み合わせによって、前記溶接部の溶接金属が0.05≦C≦0.08質量%となる、またはC<0.05質量%でP+S≧0.03質量%となるような溶接をするにあたり、前記溶接部を板材の前記端部から3.5mm以上離れた位置に形成することを特徴とする重ねレーザ溶接方法。
  2. 板材のうち少なくとも1枚は高張力鋼よりなる板材を複数重ね合わせ、この重ね合わせた板材に、重ね合わせた下側の板材の裏面まで溶融するように重ね合わせ方向からレーザ光を照射しつつ、レーザ光を前記重ね合わせた板材の端部に沿って移動させて連続的に溶接部を形成し、重ね合わせた板材を互いに溶接するレーザ溶接方法において、
    前記複数の板材のうち、少なくとも1枚の板材は、少なくとも片側に折り曲げ部およびそれに続くフランジ部を有し、薄板材から形成された構造部材であり、該構造部材のフランジ部と他の板材を相互に重ね合わせた際の重ね合せ部分の幅を8mm以内とし、重ね合わせる板材の組み合わせによって、前記溶接部の溶接金属が0.05≦C≦0.08質量%となる、またはC<0.05質量%でP+S≧0.03質量%となるような溶接をするにあたり、一方の板材を他方の板材の溶接方向に沿った端部より5mm以上突出するように重ね合わせ、前記他方の板材の溶接方向に沿った端部から1.5mm以上離れた位置に溶接部を形成することを特徴とする重ねレーザ溶接方法。
  3. 前記重ね合わせた板材の溶接方向端部より離れた位置で溶接を開始することを特徴とする請求項1または2に記載の重ねレーザ溶接方法。
  4. 前記重ね合わせた板材の溶接方向端部より溶接を開始し、前記他方の板材の端から2.5mm以上離れた位置に溶接部を形成することを特徴とする請求項2に記載の重ねレーザ溶接方法。
  5. 前記少なくとも1枚の板材が、両側に折り曲げ部およびフランジ部を有する断面がハット形状の構造部材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の重ねレーザ溶接方法。
JP2006053136A 2006-02-28 2006-02-28 重ねレーザ溶接方法 Expired - Fee Related JP4854327B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006053136A JP4854327B2 (ja) 2006-02-28 2006-02-28 重ねレーザ溶接方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006053136A JP4854327B2 (ja) 2006-02-28 2006-02-28 重ねレーザ溶接方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007229752A JP2007229752A (ja) 2007-09-13
JP4854327B2 true JP4854327B2 (ja) 2012-01-18

Family

ID=38550869

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006053136A Expired - Fee Related JP4854327B2 (ja) 2006-02-28 2006-02-28 重ねレーザ溶接方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4854327B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5073526B2 (ja) * 2008-02-19 2012-11-14 新日本製鐵株式会社 構造部材の重ねレーザ溶接方法
JP5000578B2 (ja) * 2008-04-17 2012-08-15 新日本製鐵株式会社 薄鋼板の重ねレーザ溶接方法
JP2010116300A (ja) * 2008-11-13 2010-05-27 Chofu Seisakusho Co Ltd 燃料電池用改質器の製造方法
JP2010279991A (ja) * 2009-06-08 2010-12-16 Nippon Steel Corp 薄鋼板のレーザ重ね溶接方法
US9649725B2 (en) 2010-10-12 2017-05-16 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Laser welding method
JP2018001197A (ja) * 2016-06-29 2018-01-11 株式会社神戸製鋼所 レーザ溶接継手およびレーザ溶接継手の製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3124399B2 (ja) * 1992-12-08 2001-01-15 マツダ株式会社 車両フレーム部材およびそのビーム溶接方法
JP3077576B2 (ja) * 1995-12-18 2000-08-14 住友金属工業株式会社 低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造方法
JPH1094890A (ja) * 1996-09-24 1998-04-14 Nippon Steel Corp 溶接部継手靭性に優れた鋼板のレーザー溶接方法
JP2002079388A (ja) * 2000-09-06 2002-03-19 Nippon Steel Corp 軸圧潰時の衝撃吸収に優れた衝撃吸収部材のレーザ溶接方法
JP2002079387A (ja) * 2000-09-06 2002-03-19 Nippon Steel Corp 重ね継手のレーザ溶接方法
JP2002180181A (ja) * 2000-12-15 2002-06-26 Kawasaki Steel Corp 極低炭素系高張力鋼溶接継手の製造方法および溶接鋼構造物
JP2006007237A (ja) * 2004-06-23 2006-01-12 Nissan Motor Co Ltd レーザ溶接用ワーククランプ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007229752A (ja) 2007-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4841970B2 (ja) 重ねレーザ溶接方法
JP4854327B2 (ja) 重ねレーザ溶接方法
JP2000197969A (ja) 一体化成形用ブランクおよびその成形方法
JP2008178905A (ja) 鋼板で構成された構造体のレーザー溶接方法
CN112743228A (zh) 激光焊接接头及汽车用骨架零件
JP4326492B2 (ja) レーザ溶接を用いた異材の接合方法
JP2017113781A (ja) 重ねレーザスポット溶接継手および該溶接継手の製造方法
JP4299705B2 (ja) SnまたはPb系めっき鋼板のヘリ継ぎ手レーザー溶接方法
JP6635235B1 (ja) 重ねレーザ溶接継手、重ねレーザ溶接継手の製造方法および自動車用骨格部品
JP2010279991A (ja) 薄鋼板のレーザ重ね溶接方法
JP5000578B2 (ja) 薄鋼板の重ねレーザ溶接方法
WO2018003341A1 (ja) レーザ溶接継手およびレーザ溶接継手の製造方法
JP4987453B2 (ja) 鋼板の重ねレーザ溶接継手及び重ねレーザ溶接方法
JP6236852B2 (ja) レーザ溶接方法及び溶接継手
JPH10328861A (ja) レーザ重ね溶接方法
CN113573838B (zh) 搭接激光焊接接头及其制造方法以及汽车车身用结构部件
JP2018108602A (ja) 重ねレーザスポット溶接継手および該溶接継手の製造方法
JP2009056492A (ja) 異材接合体及びその製造方法
JP7325021B2 (ja) 接合構造及び接合方法
JP5861443B2 (ja) レーザ溶接方法及びレーザ溶接継手
JP2023087674A (ja) 重ねレーザ溶接継手、重ねレーザ溶接継手の製造方法、及び自動車車体用構造部材
JP2019523711A (ja) 抵抗スポット溶接電極および電極の使用
CN112118932B (zh) 搭接激光焊接接头、搭接激光焊接接头的制造方法和汽车用骨架部件
JP2004306083A (ja) 突合せ溶接された金属板
JP4754426B2 (ja) 重ねレーザ溶接方法および装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101004

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101012

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101213

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110502

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110623

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110927

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111025

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141104

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4854327

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141104

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees