JPH1094890A - 溶接部継手靭性に優れた鋼板のレーザー溶接方法 - Google Patents

溶接部継手靭性に優れた鋼板のレーザー溶接方法

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JPH1094890A
JPH1094890A JP8252103A JP25210396A JPH1094890A JP H1094890 A JPH1094890 A JP H1094890A JP 8252103 A JP8252103 A JP 8252103A JP 25210396 A JP25210396 A JP 25210396A JP H1094890 A JPH1094890 A JP H1094890A
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toughness
steel plate
welding
less
joint
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JP8252103A
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Tadashi Koseki
正 小関
Toshinaga Hasegawa
俊永 長谷川
Hidesato Mabuchi
秀里 間渕
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K2103/00Materials to be soldered, welded or cut
    • B23K2103/02Iron or ferrous alloys
    • B23K2103/04Steel or steel alloys

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接後熱処理なしで開先精度が悪く2mm以下
のルートギャップがある場合にレーザー溶接継手部靭性
がvE-0℃≧70Jを満足するための490MPa超高張
力鋼板のレーザー溶接方法を提供するものである。 【解決手段】 重量比にて、C:0.02〜0.16
%、Si:0.1〜0.7%、Mn:0.5〜2.0%
を含有し、必要に応じてさらにCu,Ni,Cr,M
o,V,Al,Ti,Nb,Bを含有し、焼入れ臨界直
径Diが12.7〜381mmの範囲を満たす2mm以下の
ルートギャップを有するI形突き合わせ開先の鋼板を、
溶接金属幅WとDi(cal) との関係が一定の式を満足す
る条件でフィラワイヤを供給しながら板厚を貫通させて
レーザー溶接し、下部ベイナイト主体からなる溶接部の
組織を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は産業プラント、機
械、船舶、建築、鉄鋼構造物等に適用する溶接継手部靭
性に優れた490MPa 超高張力鋼板のレーザー溶接方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザー溶接は深溶け込みの高速溶接が
可能であり、また電子ビーム溶接のように真空を必要と
せず高能率溶接方法として脚光をあびている。また大容
量のレーザー溶接機も製作され厚鋼板の溶接が可能とな
った。しかし、溶接金属幅が非常に狭いため冷却速度が
速く溶接金属部及び熱影響部(以下溶接継手部という)
が硬化して、溶接靭性が低下する場合がある。
【0003】またレーザー溶接ではビーム径が小さいた
め突き合わせ溶接継手の場合、開先精度が悪くルートギ
ャップがあるとレーザーはそのまま通り抜けてしまうた
め健全な溶接ができず、そのため、通常はルートギャッ
プを0.5mm以下にして行う。
【0004】最近、レーザー切断の適用において開先加
工精度は向上しているが長尺切断の場合や、ガス切断に
よる板そりなどで2mm程度のルートギャップを生じるこ
とが問題となっている。しかし、ルートギャップを0.
5mm以下におさえると大幅なコストアップとなる。
【0005】さらにレーザー溶接は、引張強度490MP
a 未満の鋼材の場合、溶接金属幅が狭く冷却速度が速く
ても継手部の硬さが比較的低く、また強度及び靭性への
要求も低いことから溶接継手部の材質的課題は小さい。
一方、引張強度490MPa 以上になると焼入れ性元素の
添加量が多くなって溶接継手部の硬さは高くなり、特に
溶接継手部の靭性が問題となる場合がある。しかし、引
張強度780MPa 以上でもビード幅が狭く溶接継手部の
硬さが高くても靭性が良好である場合もあり、継手靭性
に対する溶接金属幅と鋼材成分の影響が明確でない。
【0006】一般に、鋼材における強度・靭性の確保
は、鋼材成分と熱処理とで達成できる。まず、鋼材成分
においては、C量が強度を確保する最も重要な元素であ
り、靭性との兼ね合いでその量及び他の合金成分の量が
決定される。次に、熱処理においては、変態点以上に加
熱後、冷却速度の変化で所要の強度と靭性を達成するこ
とができる。さらに、近年、圧延による加工と熱処理を
合わせた加工熱処理の適用によって優れた母材靭性の確
保が可能となっている。しかしながら、レーザー溶接継
手部における強度及び靭性の確保は、鋼材の成分と溶接
時の冷却速度によってのみ決定される。
【0007】ところで、レーザー溶接で溶接金属幅を確
保する方法は種々検討されている。例えば溶接学会講演
会概要第48集P104に示されているようにレーザー
のミラーを振動させて溶接金属幅を広くする方法やWeld
ing Journal,Vol.71,No.6,P201S に示されているように
適切な溶接材料を添加して溶接金属幅を広くする方法な
どがある。
【0008】また、特開平5−201283号公報には
ビード幅を広くするレーザー溶接法として、I形開先の
ルートギャップ中心線から0.25〜1.25mm離れた
位置を中心として板厚貫通ビードで溶接したあと、2分
以内にルートギャップ中心線から逆方向に0.25〜
1.25mm離れた位置を中心に同溶接を実施することが
開示されている。
【0009】また、特開昭60−54287号公報に
は、電子ビーム溶接では既存の鋼に対して溶接時の冷却
速度に対応した適正量のNiを添加することで良好な材
質を確保する方法が提案されている。さらに、溶接継手
部靭性の向上には溶接後、変態点以下の加熱による熱処
理を行って、靭性に良好となる組織とする方法が考えら
れる。
【0010】なお、産業プラント、機械、船舶、建築、
鉄鋼構造物等で使用する場合、鋼板及び溶接継手部に要
求される靭性は、使用環境及び設計によって異なるがv
E-0℃≧70J(0℃における2mmVノッチシャルピー
試験値)程度である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記溶接学会講演会概
要第48集P104は溶接金属幅を広くする方法であっ
て継手部の靭性を向上させるための方法としての記載は
ない。特開平5−201283号公報には継手靭性が向
上する旨の記載はあるが、継手靭性に対する鋼材成分の
記載がない。また、特開昭60−54287号公報には
溶接金属部において良好な靭性が得られても、溶接熱影
響部ではその効果が小さく良好な靭性が得られない。さ
らに継手部靭性向上のために熱処理を行う方法がある
が、現場施工中にある大型構造物を熱処理することは作
業が困難である。
【0012】本発明は以上の問題に鑑み、溶接後熱処理
なしで開先精度が悪い場合を想定し、2mm以下のルート
ギャップがある場合において、レーザー溶接継手部靭性
がvE-0℃≧70Jを満足するための490MPa 超高張
力鋼板のレーザー溶接方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、この溶接
後熱処理なしで2mm以下のルートギャップがある突き合
わせI開先においてレーザー溶接の継手部靭性に優れた
490MPa 超高張力鋼板のレーザー溶接方法とするため
に種々検討を重ねた。その結果、(1)フィラワイヤを
供給しながら板厚貫通レーザー溶接すること、(2)継
手部がマルテンサイト組織主体となることを避けるこ
と、(3)継手部が上部ベイナイト組織主体となる領域
を極力避け、下部ベイナイトを含んだ組織とすること、
(4)そのためにはビード幅と焼入れ臨界直径Diの関
係をある特定範囲とし、下部ベイナイト主体からなる組
織を得ることとすれば、2mm以下のルートギャップがあ
っても良好な継手靭性の得られることを確認した。
【0014】すなわち本発明の要旨とするところは下記
の通りである。(1)重量比にて、 C :0.02〜0.16%、 Si:0.1〜0.7%、 Mn:0.5〜2.0%、 P :0.050%以下、 S :0.050%以下、 N :0.0100%以下 で残部Fe及び不可避成分からなり、また下記の(1)
式に示す焼入れ臨界直径Diが12.7〜381mmの範
囲を満たす鋼板であって、2mm以下のルートギャップを
有するI形突き合わせ開先を形成し、溶接金属幅WとD
i(cal)との関係が下記(2)式〜(4)式を満足する
条件で、鋼板成分と同一成分、あるいはそれよりNiの
高いフィラワイヤを供給しながら板厚貫通レーザー溶接
することを特徴とする溶接部継手靭性に優れた厚鋼板の
レーザー溶接方法。 Di(cal) = 0.367√C(1+0.7Si)(1+3.33Mn)(1+0.35Cu)(1+0.36Ni)(1+2.16Cr) (1+3.0Mo)(1+1.75V)(1+1.77Al) ×fB×25.4(mm)・・・・・・(1) 但し、fB=1+1.5(0.9-C)(B:0.0003〜0.0030%含有した場合) W(mm)≧ 0.5Di0.278 ・・・・・・・・(2) W(mm)≦ 2.8Di0.120 ・・・・・・・・(3) W(mm)≦ 4.5 ・・・・・・・・(4) (2)前記(1)記載の鋼板が、さらに重量比で Cu:0.1〜2.5%、 Ni:0.1〜5.0%、 Cr:0.1〜1.0%、 Mo:0.1〜1.5%、 V :0.005〜0.05%、 Al:0.005〜0.080%、 Ti:0.005〜0.080%、 Nb:0.005〜0.05%、 B :0.0003〜0.0030%の1種以上 を含有することを特徴とする前記(1)の溶接部継手靭
性に優れたレーザー溶接方法。
【0015】
【発明の実施の形態】まず本発明においてこのように化
学成分を限定したのは次の理由による。レーザー溶接は
狭い溶接金属幅が特徴であり、その断面組織は被溶接材
側から凝固が進行し、中央部で結晶が突きあたったもの
になる。このため偏析度の高い成分、あるいは低融点物
質を形成する成分を多く含有すると、溶接金属中央部で
凝固割れが発生する。このためCは、0.20%を超え
ると溶接条件にもよるが凝固割れが発生しやすくなる
が、良好な継手部靭性を確保するためには、0.16%
以下に限定する必要がある。一方、0.02%未満であ
ると490MPa 継手部の強度を得ることが難しい。そこ
でその含有量は0.02〜0.16%とする。
【0016】Siは脱酸及び強度確保を目的に0.%以
上含ませるが、0.7%超の含有は結晶粒の粗大化を起
こして凝固割れが発生するため、その含有量を0.1〜
0.7%とする。
【0017】Mnは0.5%未満であると脱酸あるいは
強度確保が困難であり、2.0%を超えると溶接時のM
n蒸発が大きく、気孔あるいは溶接金属の垂れの原因と
なるので、その含有量を0.5〜2.0%とする。
【0018】Pは偏析率が高く、且つ低融点物質を形成
して凝固割れの原因となるため、極力少ない方がよく、
その量を0.05%以下とする。SもPと同様多いと凝
固割れを発生するため、その量を0.050%以下とす
る。さらにNは多いと継手部靭性を低下させるので、そ
の量を0.0100%以下とする。
【0019】さらに必要によりCu:0.1〜2.5
%、Ni:0.1〜5.0%、Cr:0.1〜1.0
%、Mo:0.1〜1.5%、V:0.005〜0.0
5%、Al:0.005〜0.080%、Ti:0.0
05〜0.080%、Nb:0.005〜0.05%、
B:0.0003〜0.0030%の1種または2種以
上を強度、硬度、耐食性の調整等の目的で含有すること
ができ、さらに残部Fe及び不可避成分からなる。以下
にCu〜Bの各元素の上下限とその限定理由を述べる。
【0020】まずCuは強度を向上させる元素として有
効であるが、0.1%未満では強度の向上の効果は見ら
れず、一方、2.5%超では溶接時に熱間割れを生じや
すくするため、その添加量を0.1〜2.5%以下とす
る。
【0021】Niは焼入れ性を高めて強度を上昇させ
る。この効果を得るにはその添加量は0.1%以上必要
であるが、5.0%を超えると溶接継手部の組織はベイ
ナイトからマルテンサイト主体となって溶接継手部の靭
性を低下させる。そこでその添加量を0.1〜5.0%
とする。
【0022】Crは焼入れ性を高めて強度を確保する上
で0.1%以上必要である。一方、1.0%を超えると
Niと同様、溶接継手部の組織はベイナイトからマルテ
ンサイト主体となって溶接継手部の靭性を低下させる。
そこでその添加量を0.1〜1.0%とする。
【0023】Moは強度を高める他焼戻し脆性を防止す
る。また未再結晶温度域を拡大して低温圧延による細粒
化効果を助長する。これ等の効果は0.1%未満では十
分に現れない。また、1.5%を超えると粗大な炭化物
を生成して靭性を低下させる他溶接継手部を著しく硬化
させる。従って、その添加量を0.1〜1.5%とす
る。
【0024】Vは焼戻し時に炭・窒化物を生成して析出
硬化により強度を上昇させる。そのため0.005%以
上の添加が必要であるが0.05%を超えると溶接継手
部の靭性を低下させる。従って、その添加量を0.00
5〜0.05%とする。
【0025】Alは脱酸元素として必要であり、また鋼
中の不純物として存在するNを固定し、溶接継手部の靭
性を向上させる。この効果を得るにはsol Alとして
0.005%以上必要であり、またその量が0.08%
を超えると、鋼中にAl2 3系のクラスターを多く生
じ、溶接時の割れの問題を生じるので、その範囲を0.
005〜0.08%とした。
【0026】Tiは鋼中の不純物として存在するNを固
定することによって、TiNを生成して溶接継手部のオ
ーステナイト粒の粗大化を抑制するとともに固溶Nを低
下させ溶接継手部の靭性を向上させる。さらにBがBN
として析出することを抑える効果もある。その量は0.
005%未満では効果がなく、多いとTiCを生成して
母材靭性低下の原因になるので、0.005〜0.08
%とした。
【0027】Nbは0.005%以上の添加でMoと同
じく未再結晶温度域を拡大して低温圧延による細粒化効
果を助長するほか焼戻し時に炭・窒化物を生成して強度
を上昇させる。しかし、0.05%を超えると溶接継手
部の靭性を低下させる。従って、その量を0.005〜
0.05%とする。
【0028】Bは0.0003%以上あればオーステナ
イト粒界に偏析して溶接継手部の焼入性を上げるが、
0.003%超では、BN及びB化合物を生成して溶接
継手部の靭性を低下させる。そこで、その量を0.00
03〜0.003%とした。
【0029】次に2mm以下のルートギャップを有するI
型突き合わせ開先のレーザー溶接であるが、ルートギャ
ップにフィラワイヤを供給したもとでレーザービームを
照射すれば、フィラワイヤを溶融すると同時に開先面も
溶融し、レーザービームが通り抜けることなく健全な溶
接継手部を得ることができる。しかし、ルートギャップ
が広いとフィラワイヤを溶融しても開先面が溶融できず
健全な溶接継手部が得られないため、ルートギャップを
2mm以下とした。
【0030】さらに本発明においては(1)式に示す焼
入れ臨界直径Di(cal) が12.7〜381mmの範囲
で、また溶接金属の幅WとDi(cal) との関係から成る
(2)式から(4)式に囲まれた領域にあることを重要
な構成としている。図1に本発明による溶接金属幅Wと
Di(cal) との関係で、下部ベイナイト主体からなる溶
接部の組織を得ることによってvE-0℃≧70Jの良好
な靭性と490MPa 以上の強度確保が得られる範囲を示
す。
【0031】次に成分による焼入れ臨界直径Di(cal)
が12.7〜381(mm)であることを限定した理由を
述べる。Di(cal) とは丸棒をできるだけはやく水冷し
た時に、中心まで焼きの入る(中心部50%マルテンサ
イト)最大直径の成分回帰計算式を表すもので、その値
が大きいほど焼入れ性が高くなる。このDi(cal) は下
記(1)式としてmm単位で示される。
【0032】 Di(cal) = 0.367√C(1+0.7Si)(1+3.33Mn)(1+0.35Cu)(1+0.36Ni)(1+2.16Cr) (1+3.0Mo)(1+1.75V)(1+1.77Al) ×fB×25.4(mm)・・・・・・(1) 但し、fB= 1+1.5(0.9-C) (B:0.0003〜0.0030%含有
した場合)であってこの式はGrossman氏が1979年9
月25日、日刊工業新聞社初版発行の「焼入性」の34
頁5行で提案した式より導かれたものであり、C%と結
晶粒度(この場合Nγ=8とした)から決まるDi値
に、各種添加元素の影響力を、各元素の倍数に元素量
(重量%)をかけて求めたものである。ここで、Di(c
al) が12.7mm未満では焼入れ性が低く、継手部靭性
は良好であるが、強度が490MPa を確保することが困
難となる。また、381mm超になるとマルテンサイト組
織主体となって硬化し継手部靭性は劣化するため、その
範囲を12.7〜381mmとする。
【0033】さらに溶接金属幅WとDi(cal) との関係
であるが、これを適正なものとする必要がある。そこ
で、種々の成分系の鋼材についてレーザー溶接を実施
し、溶接継手部靭性がvE-0℃≧70Jを満足する溶接
金属幅WとDi(cal) との関係の回帰式を求めた。その
結果、溶接金属幅Wが0.5Di0.276 より小さいと継
手部はマルテンサイト主体となり、下部ベイナイト主体
からなる溶接部の組織を得られず継手靭性は劣化する。
また溶接金属幅Wが2.8Di0.120 より大きいと継手
部はフェライト及び上部ベイナイト組織主体となり、下
部ベイナイト主体からなる溶接部の組織が得られず継手
靭性は劣化する。また本溶接で検討した20kwレーザー
溶接機では、フィラワイヤを供給しても欠陥なしに溶接
できる溶接金属幅Wの限界は4.5mm以下である。従っ
て溶接金属幅WとDi(cal) との関係を(2)式の溶接
金属幅W(mm)≧0.5Di0.276 、(3)式の溶接金
属幅W(mm)≦2.8Di0.120 、(4)式の溶接金属
幅W(mm)≦4.5とする。
【0034】次にフィラワイヤの成分限定理由を述べ
る。溶接金属は供給されるフィラワイヤと溶融する鋼材
によって形成されるため、靭性確保としてフィラワイヤ
成分は鋼板成分と同一成分とすること、またNiは靭性
向上に有効な元素であることから鋼材成分より高いこと
が必要となる。従って、フィラワイヤの成分は鋼材成分
と同一成分、あるいはそれよりNiの高いものとする。
つまり、鋼材のNi含有量を0.1〜5.0%の範囲で
調整するので、フィラワイヤのNi含有量は0.1〜1
0%の範囲が好ましい。Niを高くする場合は、鋼材中
Niが0.1%の時に、フィラワイヤ中Niを0.11
%としても良いし、10%以上のものでも良い。ただ
し、Ni含有量を増やすほど靭性は改善されるが、5.
0%を超えるとコスト的に好ましくないので、鋼材中N
iが3.0%未満であればフィラワイヤ中Niも3%以
下で選定するのが好ましい。また、鋼材中にNiが3.
0%以上の場合、フィラワイヤ中Niも3.0%以上と
するが、この場合の溶接継手部の靭性は十分確保されて
いるので、フィラワイヤ中Niを極端に多くする必要は
ない。最大でも10%以下で選定するのが好ましい。
【0035】以上の結果、溶接金属幅WとDiの関係は
図1に示す斜線の領域となり、溶接欠陥なしに良好な継
手靭性を得ることができる。なお、レーザー溶接継手部
の靭性及び溶接欠陥のない適切な条件範囲としては、溶
接金属幅Wで2〜3.5mmが好ましい。
【0036】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例によりさらに具
体的に示す。供試鋼は表1に示す化学成分の鋼A〜Pを
溶製し、連続鋳造にて厚さ250mm×幅1800mm×長
さ6000mmのスラブを作り、さらに加熱・圧延によっ
て12mmとしたものを用いた。レーザー溶接は、レーザ
ー切断したI形の端面同士を0〜3mmルートギャップを
とった突き合わせI開先とし、20kwのCO2 レーザー
溶接機を用い溶接条件を変化させ、フィラワイヤを供給
しながら溶接金属幅を変化させて行った。なお、フィラ
ワイヤは溶製した鋼A〜Pを線引き加工し、1.2mmと
したものである。
【0037】溶接後は、溶接金属部の割れ及び気孔の調
査、溶接継手部の引張強度及び靭性試験を実施した。溶
接継手部の強度試験は、継手部が試験片の中央に一致す
る全厚引張試験片によって行った。溶接継手部の靭性試
験は、図2に示すように溶接金属部1の中央部A及び溶
接ボンド部B(溶接熱影響部の粗粒部)に2mmのVノッ
チを入れたシャルピー試験によって行った。図2におい
て2は被溶接材、3は試験片である。
【0038】表2は試験結果で、1〜5は本発明例で、
6〜25は比較例を示した。これより、2mmまでのルー
トギャップがあっても本発明方法は、溶接金属部におい
て溶接割れ及び気孔の発生がなく、また溶接継手部の強
度は490MPa 以上で、さらに溶接金属部及び溶接ボン
ド部の靭性は0℃で70J以上と高く、総て良好であっ
た。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】レーザー溶接は深溶け込みの高速溶接が
可能であり、また電子ビーム溶接のように真空を必要と
せず高能率溶接方法として脚光をあびている。しかし現
在まで2mmまでのルートギャップがある厚板のレーザー
溶接用490MPa 超高張力鋼板の溶接継手部靭性に優れ
た溶接方法の指針が得られていない。しかし上記の実施
例からも明らかな如く本発明に従い、成分範囲を限定し
た鋼板をフィラワイヤを供給しながら板厚貫通レーザー
溶接し、その場合、溶接金属幅Wと臨界直径Diとの関
係を(2)式〜(4)式を満足しそれを可能とした。従
って、産業プラント、機械、船舶、建築、鉄鋼構造物等
のレーザー溶接継手部靭性に優れた溶接後熱処理なし溶
接用490MPa 超高張力鋼板の溶接方法として、産業上
極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接金属幅WとDi(cal) との関係において良
好な溶接部靭性を示す概念図。
【図2】シャルピー試験片採取位置を示す図。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比にて、 C :0.02〜0.16%、 Si:0.1〜0.7%、 Mn:0.5〜2.0%、 P :0.050%以下、 S :0.050%以下、 N :0.0100%以下で残部Fe及び不可避成分か
    らなり、下記の(1)式に示す焼入れ臨界直径Diが1
    2.7〜381mmの範囲を満たす鋼板を、2mm以下のル
    ートギャップを有するI形突き合わせ開先を形成して、
    溶接金属幅WとDi(cal) との関係が下記(2)〜
    (4)式を満足する条件で、鋼板成分と同一成分、ある
    いはそれよりNiの高いフィラワイヤを供給しながら板
    厚貫通レーザー溶接することを特徴とする溶接部継手靭
    性に優れた厚鋼板のレーザー溶接方法。 Di(cal) = 0.367√C(1+0.7Si)(1+3.33Mn)(1+0.35Cu)(1+0.36Ni)(1+2.16Cr) (1+3.0Mo)(1+1.75V)(1+1.77Al) ×fB×25.4(mm)・・・・・・(1) 但し、fB= 1+1.5(0.9-C) (B:0.0003〜0.0030%含有した場合) W(mm)≧ 0.5Di0.278 ・・・・・・・・(2) W(mm)≦ 2.8Di0.120 ・・・・・・・・(3) W(mm)≦ 4.5 ・・・・・・・・(4)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の鋼板がさらに重量比で、 Cu:0.1〜2.5%、 Ni:0.1〜5.0%、 Cr:0.1〜1.0%、 Mo:0.1〜1.5%、 V :0.005〜0.05%、 Al:0.005〜0.080%、 Ti:0.005〜0.080%、 Nb:0.005〜0.05%、 B :0.0003〜0.0030%の1種以上を含有
    することを特徴とする請求項1記載の溶接部継手靭性に
    優れた厚鋼板のレーザー溶接方法。
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