JPH10263817A - 耐割れ性に優れた高強度溶接継手の作製方法 - Google Patents

耐割れ性に優れた高強度溶接継手の作製方法

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JPH10263817A
JPH10263817A JP7152197A JP7152197A JPH10263817A JP H10263817 A JPH10263817 A JP H10263817A JP 7152197 A JP7152197 A JP 7152197A JP 7152197 A JP7152197 A JP 7152197A JP H10263817 A JPH10263817 A JP H10263817A
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健次 大井
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文丸 川端
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接継手に必要とされる強度を十分に上回
る、引張り強さが950MPa以上の高強度溶接継手を、従来
対比で低い温度域の予熱によっても溶着金属に割れが発
生することなしに作製し得る方法について、提案する。 【解決手段】 C:0.07〜0.16wt%, Si:0.20wt%以
下,Mn:0.60〜1.20wt%,Cu:0.5 wt%以下,Ni:1.0 〜3.0
wt%,Cr:0.30〜1.20wt%,Mo:0.30 〜0.80wt%, V:0.
01〜0.1 wt%,Nb:0.005〜0.03wt%,Al:0.015 〜0.10wt
%,B:0.0005〜0.0020wt%, P:0.010wt%以下,S:
0.005 wt%以下およびN:0.005 wt%以下を含み残部が
実質的にFeからなる、硬さが310 〜360 HVの鋼材に、溶
着金属の化学組成がC:0.07wt%以下,Ni:3.0 〜4.0
wt%およびO:0.030〜 0.050wt%を含みかつ炭素当量が
0.6 〜0.9 wt%となる溶接材料を用いた、被覆アーク溶
接法による突き合わせの多層盛り溶接を、入熱量:15kJ
/cm以上35kJ/cm以下、予熱温度:75℃以上120 ℃未満
およびパス間温度:100 ℃以上250 ℃以下の条件にて施
し、硬さが290 〜340HV の溶着金属で接合部を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐割れ性に優れ
た高強度溶接継手の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、揚水発電所を初めとして、圧力容
器、橋梁または海洋構造物などの溶接構造物において大
型化がより一層促進されている。一方、構造物の大型化
に伴う重量の増加に対しては、構造材として高張力鋼板
を使用して、その軽量化が図られている。すなわち、高
張力鋼板を使用することによって構造物の軽量化が実現
する上、軽量化による運搬効率の向上、さらには各構造
材の薄肉化による溶接施工性の向上等の効果も得られ
る。
【0003】しかし、この種の高張力鋼板は、所定の強
度および靱性を得るのに多くの合金成分が含有されてい
るため、溶接性は不十分である。とくに980MPa級になる
と溶接性の低下が顕著であり、溶接に先立って120 ℃以
上の予熱を行って溶着金属の割れを防止することが不可
欠である。この予熱温度が比較的高温になるところか
ら、溶接施工コストの増加をまねくことが問題になって
いる。
【0004】ここに、溶着金属の耐割れ性を改善させる
には、低強度の溶接材料を用いて溶接を行うことが有効
であるが、この場合、溶接継手部が軟質になるため、継
手の板幅方向長さを板厚の5倍以上にしなければ、継手
に必要とする強度を確保できないことが知られている。
従って、板幅方向長さが板厚の5倍未満の継手では、例
えば950MPa級の鋼板を溶接した場合に、その継手部に要
求される、950MPa以上の強度は得られないことになり、
実際的手法ではない。なお、継手強度が満足されるよう
に、鋼材強度より溶着金属強度を高くするために、溶着
金属を高合金組成にしたり、溶接条件(入熱およびパス
間温度)を制限する、施工方法を用いた場合にも、溶着
金属の割れ防止のために、120 ℃以上の予熱が必要にな
り、溶接施工コストの上昇が問題となる。
【0005】いずれにしても、高強度の溶接継手を、溶
着金属に割れが発生しないように作製するには、120 ℃
以上の高温予熱を行うことが必須であり、コストの増加
は避けることができなかった。そこで、この発明は、溶
接継手に必要とされる強度を十分に上回る、引張り強さ
が950MPa以上の高強度溶接継手を、従来対比で低い温度
域の予熱によっても溶着金属に割れが発生することなし
に作製し得る方法について、提案することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、比較的低
温、すわわち120 ℃未満、好ましくは 100℃以下の予熱
工程によっても溶着金属に割れを発生することなく、高
強度の溶接継手を作製する条件について鋭意研究を重ね
たところ、所望の強度、さらには靱性を備えた溶接材料
および母材を適切に組み合わせるとともに、溶接条件を
適正化することによって、継手強度を満足し、かつ溶接
部の低温割れ感受性が改善されることを見出した。すな
わち、溶着金属の強度、靱性および耐割れ性は、溶着金
属の硬さを所定範囲に規制することで満足され、また溶
着金属が軟質であっても、該溶着金属を所定硬さの鋼材
で拘束することによって、継手強度は確保されること
を、新たに知見し、この発明を完成するに到った。
【0007】この発明は、C:0.07〜0.16wt%,Si:0.
20wt%以下,Mn:0.60〜1.20wt%,Cu:0.5 wt%以下,Ni:1.
0 〜3.0 wt%,Cr:0.30〜1.20wt%,Mo:0.30 〜0.80wt
%, V:0.01〜0.1 wt%,Nb:0.005〜0.03wt%,Al:0.01
5 〜0.10wt%,B:0.0005〜0.0020wt%, P:0.010wt%
以下,S:0.005 wt%以下およびN:0.005 wt%以下を
含み残部が実質的にFeからなる、硬さが310 〜360 HVの
鋼材に、溶着金属の化学組成がC:0.07wt%以下,Ni:
3.0 〜4.0 wt%およびO:0.030〜 0.050wt%を含みかつ
下記式(1) で定義されるCeq が0.6 〜0.9 wt%となる溶
接材料を用いた、被覆アーク溶接法による突き合わせの
多層盛り溶接を、入熱量:15kJ/cm以上35kJ/cm以下、
予熱温度:75℃以上120 ℃未満およびパス間温度:100
℃以上250℃以下の条件にて施し、硬さが290 〜340HV
の溶着金属で接合部を形成することを特徴とする溶接継
手の作製方法である。 記 Ceq=C+ Mn /6+(Cr+ Mo +V)/5+(Ni+Cu) /15----(1)
【0008】また、この発明は、C:0.07〜0.16wt%,
Si:0.20wt%以下,Mn:0.60〜1.20wt%,Cu:0.5 wt%以
下,Ni:1.0 〜3.0 wt%,Cr:0.30〜1.20wt%,Mo:0.30 〜
0.80wt%, V:0.01〜0.1 wt%,Nb:0.005〜0.03wt%,A
l:0.015 〜0.10wt%,B:0.0005〜0.0020wt%, P:0.0
10wt%以下,S:0.005 wt%以下およびN:0.005 wt%
以下を含み残部が実質的にFeからなる、硬さが310 〜36
0 HVの鋼材に、溶着金属の化学組成がC:0.07wt%以
下,Ni:3.0 〜4.0 wt%およびO:0.020〜 0.040wt%を
含みかつ上記式(1) で定義されるCeq が0.8 〜1.2 wt%
となる溶接材料を用いた、ミグ溶接法による突き合わせ
の多層盛り溶接を、入熱量:15kJ/cm以上30kJ/cm以
下、予熱温度:75℃以上120 ℃未満およびパス間温度:
100 ℃以上250℃以下の条件にて施し、硬さが290 〜340
HV の溶着金属で接合部を形成することを特徴とする溶
接継手の作製方法である。
【0009】さらに、この発明は、C:0.07〜0.16wt
%,Si:0.20wt%以下,Mn:0.60〜1.20wt%,Cu:0.5 wt%
以下,Ni:1.0 〜3.0 wt%,Cr:0.30〜1.20wt%,Mo:0.30
〜0.80wt%, V:0.01〜0.1 wt%,Nb:0.005〜0.03wt
%,Al:0.015 〜0.10wt%,B:0.0005〜0.0020wt%,
P:0.010wt%以下,S:0.005 wt%以下およびN:0.00
5 wt%以下を含み残部が実質的にFeからなる、硬さが31
0 〜360 HVの鋼材に、溶着金属の化学組成がC:0.07wt
%以下,Ni:3.0 〜4.0 wt%およびO:0.015〜 0.035wt
%を含みかつ上記式(1) で定義されるCeq が0.9 〜1.2
wt%となる溶接材料を用いた、サブマージアーク溶接法
による突き合わせの多層盛り溶接を、入熱量:25kJ/cm
以上55kJ/cm以下、予熱温度:75℃以上120 ℃未満およ
びパス間温度:150 ℃以上300 ℃以下の条件にて施し、
硬さが290 〜340HV の溶着金属で接合部を形成すること
を特徴とする溶接継手の作製方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体的に説明す
る。まず、この発明において、鋼材の成分組成を上記の
範囲に限定した理由について説明する。 C:0.07〜0.16wt% Cは、鋼板の強度確保のために必要な元素であるが、含
有量が0.07wt%未満ではその添加効果に乏しく、一方0.
16wt%を超えると溶接低温割れ感受性が高くなる等の問
題が生じるので、C量は0.07〜0.16wt%の範囲に限定し
た。
【0011】Si:0.20wt%以下 Siは、鋼の脱酸および強度確保のために有用な元素であ
るが、0.20wt%を超えて添加されると島状マルテンサイ
トの生成に起因して靱性とくに溶接継手部や溶接熱影響
部の靱性が劣化するので、Si量は0.20wt%以下に限定し
た。
【0012】Mn:0.60〜1.20wt% Mnは、鋼の脱酸に寄与するだけでなく、焼入性を確保す
る上でも有用な元素であるが、含有量が0.60wt%未満で
はその添加効果に乏しく、一方1.20wt%を超えると溶接
性および母材靱性の劣化を招くので、Mn量は0.60〜1.20
wt%の範囲に限定した。
【0013】Cu:0.5 wt%以下 Cuは、靱性の劣化なしに強度を高める有用元素である
が、0.5 wt%を超えて添加してもその効果は飽和に達
し、むしろコストの上昇を招くので、Cu量は 0.5wt%以
下に限定した。
【0014】Ni:1.0 〜3.0 wt% Niは、焼入れ性のみならず低温靱性の改善に有効に寄与
するが、含有量が 1.0wt%未満では高張力鋼板として必
要な強度・靱性を付与することができず、一方3.0 wt%
を超えて添加してもその効果は飽和に達し、むしろコス
トアップにつながるので、Ni量は 1.0〜3.0 wt%の範囲
に限定した。
【0015】Cr:0.30〜1.20wt% Crは、鋼の焼入性と強度を確保する上で有用な元素であ
るが、含有量が0.30wt%未満ではその添加効果に乏し
く、一方1.20wt%を超えると溶接性のみならず母材特性
の劣化を招くので、Cr量は0.30〜1.20wt%の範囲に限定
した。
【0016】Mo:0.30〜0.80wt% Moは、焼入性の改善に寄与するだけでなく、焼戻し軟化
抵抗性を高めて強度を向上させる有用元素であるが、含
有量が0.30wt%未満ではその添加効果に乏しく、一方0.
80wt%を超えると溶接性の著しい劣化を招くので、Mo量
は0.03〜0.80wt%の範囲に限定した。
【0017】V:0.01〜0.1 wt% Vは、鋼の強度向上に有効に寄与するが、含有量が0.01
wt%に満たないとその添加効果に乏しく、一方 0.1wt%
を超えると母材靱性のみならず溶接性が著しく劣化する
ので、V量は0.01〜0.1 wt%の範囲に限定した。
【0018】Nb:0.005 〜0.03wt% Nbは、鋼中に微細に析出し、そのピン止め効果によって
オーステナイト粒の成長を抑制し、ひいてはオーステナ
イト粒を細粒化する有用元素であるが、含有量が 0.005
wt%未満ではかような微細化効果が得られず、一方0.03
wt%を超えると溶接性が損なわれるので、Nb量は 0.005
〜0.30wt%の範囲に限定した。
【0019】Al:0.015 〜0.10wt% Alは、脱酸剤として有用であり、そのためには少なくと
も 0.015wt%を必要とするが、含有量が0.10wt%を超え
るとアルミナ等の脱酸生成物が増大しかえって靱性の劣
化を招くので、Al量は 0.015〜0.10wt%の範囲に限定し
た。
【0020】B:0.0005〜0.0020wt% Bは、微量の添加で焼入性を向上させ、ひいては鋼の強
度・靱性を向上させる極めて有用な成分であるが、含有
量が0.0005wt%未満ではその添加効果に乏しく一方0.00
20wt%を超えるとその効果は飽和に達するので、B量は
0.0005〜0.0020wt%の範囲に限定した。
【0021】P:0.010 wt%以下 Pは、鋼の焼戻し脆性を促進させ、靱性を劣化させるの
で、極力低減することが望ましいが、含有量が 0.010wt
%以下であれば許容できるので、P量は 0.010wt%以下
に限定した。
【0022】S:0.005 wt%以下 Sは、鋼中にMnSの形態で存在すると、圧延によって展
伸され、特に高強度鋼においては展伸した介在物に起因
して靱性の著しい劣化を招くので、極力低減することが
好ましいが、含有量が 0.005wt%以下であれば許容され
る。
【0023】N:0.005 wt%以下 固溶B量を確保して焼入性を向上させ、母材の強度およ
び靱性を向上させるためには、N含有量は少ない方が好
ましく、特にNを0.005 wt%以下にすると共にAlを 0.0
15〜0.10wt%に調整してやれば、固溶Bの焼入性向上効
果によって効果的に母材の強度・靱性が向上するので、
N量は0.005 wt%以下に限定した。
【0024】なお、鋼材は、調質型の高張力鋼に適用さ
れる製造方法である、直接焼き入れ焼き戻し法、再加熱
焼き入れ焼き戻し法あるいは繰り返し焼き入れ焼き戻し
法のいずれにおいても製造可能である。すなわち、上記
の成分組成範囲に従う鋼スラブの熱間圧延材を常温まで
冷却したのち焼き入れ焼き戻し処理を施すに当たり、焼
き入れ温度あるいは焼き戻し温度を調整して、得られる
鋼材の硬さ範囲を310〜360HV にすることによって、優
れた強度、靱性および耐割れ性が得られる。すなわち、
硬さが310HV 未満の場合は強度不足となり所定の継手強
度が得られない。また、360HV をこえる場合は、耐割れ
性と靱性の確保が困難になるのである。
【0025】また、この発明では、溶着金属の化学組成
が、被覆アーク溶接法による場合は、C:0.07wt%以
下、Ni:3.0 〜4.0 wt%およびO:0.020〜 0.040wt%を
含みかつ上記した式(1) で定義されるCeq が0.6 〜0.9
wt%となる溶接材料、ミグ溶接法による場合は、C:0.
07wt%以下、Ni:3.0 〜4.0 wt%およびO:0.030〜 0.0
50wt%を含みかつ上記した式(1) で定義されるCeq が0.
8 〜1.2 wt%となる溶接材料、そしてサブマージアーク
溶接法による場合は、C:0.07wt%以下、Ni:3.0 〜4.
0 wt%およびO:0.015〜 0.035wt%を含みかつ上記した
式(1) で定義されるCeq が0.9 〜1.2 wt%となる溶接材
料、をそれぞれ用いる。次に、溶着金属の化学組成を限
定した理由について説明する。
【0026】C:0.07wt%以下 Cは、耐割れ性の観点から制限され、その含有量が0.07
wt%をこえると、溶着金属の割れを回避するために、予
熱温度を120 ℃以上にしなければならないため、0.07wt
%以下に制限する。
【0027】Ni:3.0 〜4.0 wt% Niは、溶着金属の割れ性および靱性を確保するために適
正量が必要であり、3.0 wt%未満では靱性の確保が困難
であり、一方4.0 wt%をこえると焼入れ性が極端に良く
なって割れを誘発するため、Niの添加量は3.0 〜4.0 wt
%に限定した。
【0028】 O:0.030〜 0.050wt%(被覆アーク溶接法) O:0.020〜 0.040wt%(ミグ溶接法) O:0.015〜 0.035wt%(サブマージアーク溶接法) O量は靱性を確保するために制限する必要であり、上限
をこえると所定の靱性が確保できなくなる。一方、下限
未満では、溶着金属中の酸化物が減少し、それを核とし
た変態の組織制御が不能になり、組織微細化による靱性
の確保が困難になる。
【0029】上記した式(1) で定義されるCeq を規制す
るのは、上記組成範囲を満足しながら、所定の強度およ
び靱性を得るための焼入れ性を確保するためである。す
なわち、下限未満では、十分な強度が得られず、一方、
上限をこえると焼入れ性が高くなりすぎて良好な靱性が
得られなくなる。
【0030】ここで、溶着金属の硬さは、290 〜340 HV
とする必要がある。なぜなら、290HV未満では、継手強
度を満足することができず、340 HVをこえると、溶接金
属の靱性が満足されない。
【0031】次に、この発明において、溶接条件を上記
の範囲に限定した理由について説明する。 予熱温度:75℃以上120 ℃未満 予熱温度は、溶着金属の割れを防止するのに、従来は12
0 ℃以上は必要であったが、この発明では、溶着金属の
硬さを規定することによって120 ℃未満に低下すること
ができた。とりわけ、溶接の施工コストを低減するに
は、100℃以下、より好ましくは80℃以下にすること
が、推奨される。一方、予熱温度が75℃未満になると、
溶着金属に割れが発生し易くなるため、75℃を下限とす
る。
【0032】パス間温度:100 ℃以上250 ℃以下 パス間温度は、溶着金属の硬さの範囲を決定する重要な
条件の一つであり、上記範囲を逸脱して施工した場合、
所要の特性を満足できない。すなわち、パス間温度が10
0 ℃未満では、溶接後の冷却速度が大きくなって硬さが
目標範囲をこえてしまうため、割れが発生したり溶接金
属の靱性の確保が困難になる。一方、パス間温度が250
℃をこえると、溶接後の冷却速度が遅くなり、継手強度
の確保が困難になる。とりわけ予熱温度の上限を100
℃、より好ましくは85℃とすることが、溶接コスト削減
の点で有利である。
【0033】 入熱量:15kJ/cm以上35kJ/cm以下(被覆アーク溶接法) 15kJ/cm以上30kJ/cm以下(ミグ溶接法) 25kJ/cm以上55kJ/cm以下(サブマージアーク溶接法) 入熱量は、パス間温度と同様に作用し、すなわち入熱量
が上限値をこえると、溶接後の冷却速度が遅くなって、
継手強度の確保が困難になる。また、入熱量が下限値未
満になると、溶接後の冷却速度が大きくなって、硬さが
目標の範囲をこえるため、割れが発生したり溶着金属の
靱性を確保することが困難になる。
【0034】
【実施例】表1に示す成分組成に調整した溶鋼から、表
2に示す条件に従って板厚:50mmの厚鋼板を製造した。
なお、該厚鋼板における、表面から厚み方向へ板厚の1
/4の深さの部分の硬さ、強度および靱性に関して調べ
た結果を表2に併記する。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】得られた各鋼板の中で硬さが310 〜360HV
の範囲を満足したものについて、表3,4,5に示す溶
接条件にて突き合わせの多層盛り溶接を行って継手を作
製し、JIS Z 3121に準拠した引張試験によって継手強度
を評価し、さらに耐割れ性の評価を、被覆アーク溶接法
およびミグ溶接法については30℃で80%雰囲気下でJIS
Z 3158に準じたy形溶接割れ試験を、サブマージアーク
溶接法についてはWES3005 に準じた多層盛り溶接割れ試
験を、それぞれ行って評価した。さらにまた、溶接後の
継手断面を観察することによって溶接施工時の割れにつ
いても評価した。その評価結果を、表3,4,5に併記
する。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】表3,4,5に示す結果から明らかなよう
に、この発明で規定する条件通りに製造された溶接継手
は、その強度が950MPa以上を満足し、かつ予熱温度が12
0 ℃未満でも耐割れ性に優れること、とりわけ予熱温度
が75℃においても割れの発生しないこと、がわかる。
【0042】これに対して、同じ成分組成の鋼材を用い
たとしても、処理方法がこの発明の条件から外れる場
合、あるいは成分がこの発明の範囲から外れた場合は、
ともに所期した性能が達成できない。
【0043】
【発明の効果】この発明によれば、所定の溶接材料およ
び鋼板を用いて適切な条件の下に溶接を行うことによっ
て、予熱温度を低温にしても溶着金属に割れのない、か
つ継手の引張り強度が950MPa以上の高強度溶接継手を安
定して作製することが可能となり、産業上極めて有用な
効果がもたらされる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/54 C22C 38/54

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.07〜0.16wt%,Si:0.20wt%以
    下,Mn:0.60〜1.20wt%,Cu:0.5 wt%以下,Ni:1.0 〜3.0
    wt%,Cr:0.30〜1.20wt%,Mo:0.30 〜0.80wt%, V:0.
    01〜0.1 wt%,Nb:0.005〜0.03wt%,Al:0.015 〜0.10wt
    %,B:0.0005〜0.0020wt%, P:0.010wt%以下,S:
    0.005 wt%以下およびN:0.005 wt%以下を含み残部が
    実質的にFeからなる、硬さが310 〜360 HVの鋼材に、溶
    着金属の化学組成がC:0.07wt%以下,Ni:3.0 〜4.0
    wt%およびO:0.030〜 0.050wt%を含みかつ下記式で定
    義されるCeq が0.6 〜0.9 wt%となる溶接材料を用い
    た、被覆アーク溶接法による突き合わせの多層盛り溶接
    を、入熱量:15kJ/cm以上35kJ/cm以下、予熱温度:75
    ℃以上120 ℃未満およびパス間温度:100 ℃以上250℃
    以下の条件にて施し、硬さが290 〜340HV の溶着金属で
    接合部を形成することを特徴とする溶接継手の作製方
    法。 記 Ceq=C+ Mn /6+(Cr+ Mo +V)/5+(Ni+Cu)
    /15
  2. 【請求項2】 C:0.07〜0.16wt%,Si:0.20wt%以
    下,Mn:0.60〜1.20wt%,Cu:0.5 wt%以下,Ni:1.0 〜3.0
    wt%,Cr:0.30〜1.20wt%,Mo:0.30 〜0.80wt%, V:0.
    01〜0.1 wt%,Nb:0.005〜0.03wt%,Al:0.015 〜0.10wt
    %,B:0.0005〜0.0020wt%, P:0.010wt%以下,S:
    0.005 wt%以下およびN:0.005 wt%以下を含み残部が
    実質的にFeからなる、硬さが310 〜360 HVの鋼材に、溶
    着金属の化学組成がC:0.07wt%以下,Ni:3.0 〜4.0
    wt%およびO:0.020〜 0.040wt%を含みかつ下記式で定
    義されるCeq が0.8 〜1.2 wt%となる溶接材料を用い
    た、ミグ溶接法による突き合わせの多層盛り溶接を、入
    熱量:15kJ/cm以上30kJ/cm以下、予熱温度:75℃以上
    120 ℃未満およびパス間温度:100 ℃以上250 ℃以下の
    条件にて施し、硬さが290 〜340HV の溶着金属で接合部
    を形成することを特徴とする溶接継手の作製方法。 記 Ceq=C+ Mn /6+(Cr+ Mo +V)/5+(Ni+Cu)
    /15
  3. 【請求項3】 C:0.07〜0.16wt%,Si:0.20wt%以
    下,Mn:0.60〜1.20wt%,Cu:0.5 wt%以下,Ni:1.0 〜3.0
    wt%,Cr:0.30〜1.20wt%,Mo:0.30 〜0.80wt%, V:0.
    01〜0.1 wt%,Nb:0.005〜0.03wt%,Al:0.015 〜0.10wt
    %,B:0.0005〜0.0020wt%, P:0.010wt%以下,S:
    0.005 wt%以下およびN:0.005 wt%以下を含み残部が
    実質的にFeからなる、硬さが310 〜360 HVの鋼材に、溶
    着金属の化学組成がC:0.07wt%以下,Ni:3.0 〜4.0
    wt%およびO:0.015〜 0.035wt%を含みかつ下記式で定
    義されるCeq が0.9 〜1.2 wt%となる溶接材料を用い
    た、サブマージアーク溶接法による突き合わせの多層盛
    り溶接を、入熱量:25kJ/cm以上55kJ/cm以下、予熱温
    度:75℃以上120 ℃未満およびパス間温度:150 ℃以上
    300 ℃以下の条件にて施し、硬さが290 〜340HV の溶着
    金属で接合部を形成することを特徴とする溶接継手の作
    製方法。 記 Ceq=C+ Mn /6+(Cr+ Mo +V)/5+(Ni+Cu)
    /15
  4. 【請求項4】 請求項1、2および3において、予熱温
    度が75℃以上100 ℃以下である溶接継手の作製方法。
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