JP3487262B2 - Ctod特性に優れた高強度厚鋼板及びその製造方法 - Google Patents
Ctod特性に優れた高強度厚鋼板及びその製造方法Info
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板及びその製造方法に関し、更に詳しくは、低温環境で
使用される船舶、海洋構造物、ラインパイプ、低温タン
ク及び橋梁等の溶接構造物に使用され、溶接性に優れる
とともに、母材及び溶接熱影響部のCTOD(亀裂先端
開口変位)特性にも優れ大きな限界CTOD値を有する
高強度厚鋼板とその製造方法に関するものである。
度、高靱性で且つ溶接性が良好な厚肉鋼板が用いられて
おり、その素材鋼には例えば、ASTM A710で規
定された1.0〜1.3質量%のCuを含有する鋼が知
られている。上記の鋼は、時効処理してCuを析出させ
ることによって、低C且つ低炭素当量の成分系で強度を
確保し、高強度と高い溶接性とを両立させようとするも
のである。
で規定された鋼は析出強化による強度確保のために多量
のCuを含むので、熱間圧延中に「Cu−クラック」を
引き起こしたり、Cuの時効析出による強度の上昇によ
って低温靱性が著しく低下するなどの製造上、材質上の
問題があった。このため、低CのCu析出型鋼の熱間加
工性や低温靱性を高めるための技術が、例えば、特開昭
61−149430号公報や特公昭62−5216号公
報に提案されている。このうち特開昭61−14943
0号公報で提案された「低温靱性及び溶接性の優れた低
C−Cu析出型高張力鋼の製造方法」は、C含有量を
0.01〜0.10質量%と低くするとともに、Cuを
0.7〜1.5質量%含有させて時効析出させることで
溶接性と高強度化を達成し、更に、900〜700℃間
で30%以上の圧下を加える制御圧延を行うことによっ
て母材の低温靱性を確保しようとする技術である。
「溶接性及び低温靱性の優れたCu添加鋼の製造法」
は、(イ)900〜1150℃という低温での鋼片加
熱、(ロ)S含有量を0.003%以下とする低S化、
(ハ)Nb添加と、900℃以下の累積圧下率が60〜
85%で仕上げ温度が800〜700℃の制御圧延、の
組み合わせによって、熱間圧延時の割れ防止と母材の低
温靱性とを確保させる技術である。
や低温でのシャルピー衝撃特性に改善が見られる。しか
し、鋼板の更なる高強度厚肉化に対しては、前記の技術
をもってしても、母材靱性と溶接熱影響部靱性とを同時
に満足させるには不十分であった。特に、厚さが1イン
チ(25.4mm)以上で引張強さが700MPa以上
の厚肉高強度材の場合には、−30℃において母材で
0.5mm以上且つ溶接熱影響部で0.25mm以上、
という大きな限界CTOD値を確保させることができ
ず、特に、CTOD試験における「ポップイン(pop
−in)」と称される不安定破壊の抑制が果たせなかっ
た。
鑑みなされたもので、その目的は、低温環境で使用され
る船舶、海洋構造物、ラインパイプ、低温タンク及び橋
梁等の大型溶接構造物の素材として好適な、CTOD特
性に優れた高強度厚鋼板とその製造方法を提供すること
で、特に、1インチ(25.4mm)以上の厚さ及び7
00MPa以上の引張強さを有し、しかも、−30℃に
おいて母材で0.5mm以上且つ溶接熱影響部で0.2
5mm以上という限界CTOD値を有する高強度厚鋼板
とその製造方法を提供することである。
(1)に示すCTOD特性に優れた高強度厚鋼板及び
(2)に示すその製造方法にある。
%、Mn:0.50〜2.00%、Cu:0.70〜
1.75%、Ni:0.50〜3.50%、Ti:0.
004〜0.02%、B:0.0005〜0.0015
%、Si:0.15%以下、Al:0.01%以下、C
r:1.0%以下、Mo:0.80%以下、Nb:0.
03%以下、V:0.10%以下、Ca:0.0030
%以下を含み、残部はFe及び不純物からなり、不純物
中のPは0.010%以下、Sは0.005%以下、N
は0.0040%以下で、更に下記 (1)式で表されるM
1*の値が1.0%以下、下記 (2)式で表されるM2*
の値が0.80以下を満足するCTOD特性に優れた高
強度厚鋼板 M1*=5C+2Si+20Al+70N・・・ (1) M2*=(Mn+2Cr+Mo)/(3Ni)・・・ (2) なお、各式における元素記号はその元素の質量%での含
有量を示す。
る鋼片を、950〜1200℃の温度に加熱して熱間圧
延を行った後、650℃以上の温度から3℃/秒以上の
冷却速度で400℃以下の温度まで冷却することを特徴
とするCTOD特性に優れた高強度厚鋼板の製造方法。
をそれぞれ(1)の発明、(2)の発明という。
めに種々検討を行い、下記の知見を得た。 (a)厚さが1インチ以上の厚鋼板に引張強さで700
MPa以上の高強度を確保させるとともに、−30℃に
おいて母材及び溶接熱影響部にそれぞれ0.5mm以上
及び0.25mm以上という高いCTOD値を確保させ
るためには、素材鋼の基本成分系を低C−高Cu−微量
B系とすればよい。
性は、組織の微細化と組織中に発生する硬質相の生成量
の抑制、及びその硬質相の形状を制御することによって
向上する。
イト」(あるいは「MA」)と呼ばれるもので、高炭素
のマルテンサイトやベイナイトを多く含むために極めて
硬く、脆い相である。以下、本明細書においてはこの硬
質相を「島状マルテンサイト」という。
状制御とは、応力集中が生じやすい針状、板状の形態か
ら、応力集中の程度が低い球状、塊状の形態に変化させ
ることを示す。
量B系とした上で、C、Si、Al及びNの含有量、並
びに、Mn、Cr、Mo及びNiの各含有量の関係をそ
れぞれ適正範囲に調整することによって、組織が極めて
微細化するとともに、島状マルテンサイトの生成が極め
て抑制されるので、母材と溶接熱影響部の両方について
のCTOD値を大幅に高めることができる。
項が明らかとなった。
である鋼に対し、それぞれ前記 (1)式と (2)式で表され
るM1*とM2*の値の両方を適正化すれば、高強度材
の母材、溶接熱影響部のCTOD試験時に発生しやすい
「ポップイン」現象が抑制されるので、母材の引張強さ
が700MPa以上の高強度材においても安定してCT
OD値を高めることができる。
減することによって、母材及び溶接熱影響部で生成する
第二相(島状マルテンサイト)の硬さが著しく低減する
とともに、この第二相は微細分散化する。
2*値の同時低減が、第二相へのCの拡散を抑制すると
ともに第二相中でのセメンタイトの生成を促進する結果
生ずるもので、硬質で脆い島状マルテンサイトの生成が
極めて抑制される効果と対応するものである。
島状マルテンサイトの形状応力集中の生じやすい針状や
板状から、応力集中の生じにくい塊状に変化させること
もできるので、CTOD特性を飛躍的に高めることがで
きる。
たものである。
しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は
「質量%」を意味する。 (A)鋼板の化学組成 C:0.01〜0.04%、 Cは、強度確保に必要な元素で、その含有量が0.01
%未満では700MPa以上の引張強さが得られない。
一方、0.04%を超えて含有させると溶接性が損なわ
れるとともに、母材及び溶接熱影響部の靱性、特にCT
OD特性が損なわれ、−30℃において母材で0.5m
m以上、溶接熱影響部で0.25mm以上という所望の
限界CTOD値が得られない。したがって、Cの含有量
を0.01〜0.04%とした。なお、CTOD特性向
上の点からCの上限値は0.025%にするのが望まし
い。
そのためには0.50%以上含有させることが必要であ
る。しかし、Mnを2.00%を超えて含有させると溶
接性並びに母材及び溶接熱影響部のCTOD特性が損な
われる。このため、Mnの含有量を0.50〜2.00
%とした。
度、溶接性及び母材と溶接熱影響部の靱性を確保させる
のに有効な元素である。更に、Cuには耐環境腐食性を
高める作用もある。しかし、その含有量が0.70%未
満では添加効果に乏しい。一方、1.75%を超える
と、特に母材の低温靱性が損なわれる。したがって、C
uの含有量を0.70〜1.75%とした。なお、より
安定した母材と溶接熱影響部のCTOD特性を得るため
に、Cuの上限は1.0%とすることが望ましい。
る熱間加工時の加工性向上に効果を有するだけではな
く、母材及び溶接熱影響部の靱性向上に対して著しい効
果がある。これらの効果を安定して得るには、Niを
0.50%以上含有させることが必要である。一方、
3.50%を超えて含有させても前記の効果は飽和しコ
ストが嵩むばかりである。したがって、Niの含有量を
0.50〜3.50%とした。
に有害なNを固定する作用を有することから、母材及び
溶接熱影響部のCTOD特性向上に不可欠な元素で、
0.004%以上含有させる必要がある。しかし、0.
02%を超えて含有させると、溶接熱影響部の靱性、特
にCTOD特性を逆に低下させてしまう。したがって、
Tiの含有量を0.004〜0.02%とした。CTO
D特性を一層安定して高めるためには、Tiの含有量を
0.004〜0.010%とすることが望ましい。
る。一方、Bは微量添加で母材及び溶接熱影響部のCT
OD特性に影響を及ぼすので、他の合金元素の含有量や
M1*値、M2*値が適正に調整されている条件下での
みCTOD特性を損うことなく前記高強度化が達成され
る。低C−高Cu型の鋼板に700MPa以上の高い引
張強さを確保させるためには、Bを0.0005%以上
含有させる必要がある。しかし、0.0015%を超え
て含有させると、他の合金元素の含有量やM1*値、M
2*値を調整しても、−30℃において母材で0.5m
m以上、溶接熱影響部で0.25mm以上という所望の
CTOD特性が得られなくなる。したがって、Bの含有
量を0.0005〜0.0015%とした。CTOD特
性を一層安定して高めるためには、Bの含有量を0.0
005〜0.0010%とすることが望ましい。
する。又、Siには強度を高める作用もある。これらの
効果を確実に得るには、Siを0.01%以上含有させ
ることが望ましい。しかし、その含有量が0.15%を
超えると、母材及び溶接熱影響部のCTOD特性の著し
い低下をきたす。したがって、Siの含有量を0.15
%以下とした。なお、CTOD特性をより安定して高め
るために、Si含有量を0.07%以下にすることが望
ましい。
作用がある。この効果を確実に得るには、Alは0.0
01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、A
lの含有量が0.01%を超えると溶接熱影響部のCT
OD特性が劣化する。このため、Alの含有量を0.0
1%以下とした。なお、良好なCTOD特性を安定して
確保するためには、Alの含有量を0.005%以下と
することが好ましい。
させる効果や強度を高める作用を有する。こうした効果
を確実に得るには、Crは0.05%以上の含有量とす
ることが望ましい。しかし、その含有量が1.0%を超
えると、溶接性や溶接熱影響部のCTOD特性が劣化す
る。したがって、Crの含有量を1.0%以下とした。 Mo:0.80%以下 Moは添加しなくてもよい。添加すれば、母材の強度と
靱性を高めるのに有効である。更に、Cu及びNbと複
合添加することで、焼入れ性向上と制御圧延の相乗作用
による顕著な組織微細化効果がもたらされ、母材の高強
度化とCTOD特性の向上に著しい効果を発揮する。こ
の効果を確実に選るには、Moは0.05%以上の含有
量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.8
0%を超えると、溶接性及びCTOD特性が劣化する。
したがって、Moの含有量を0.80%以下とした。良
好なCTOD特性を安定して確保するためには、Moの
含有量を0.30%以下とすることが好ましい。
高める作用がある。更に、Cu及びMoと複合添加する
ことで、母材の高強度化とCTOD特性の向上に著しい
効果を発揮する。この効果を確実に得るには、Nbは
0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しか
し、その含有量が0.03%を超えると、溶接性及びC
TOD特性が劣化する。したがって、Nbの含有量を
0.03%以下とした。安定して良好なCTOD特性を
確保するためには、Nbの含有量を0.015%以下に
することが望ましい。
溶接性をあまり損なうことなく母材を高強度化できる。
この効果を確実に得るには、Vは0.01%以上の含有
量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.1
0%を超えると、溶接熱影響部のCTOD特性が劣化す
る。このため、Vの含有量を0.10%以下とした。安
定して良好なCTOD特性を確保するためには、Vの含
有量を0.03%以下とすることが好ましい。
として含まれる介在物の生成量と形態を制御し、耐食性
向上や母材靱性向上に効果がある。この効果を確実に得
るには、Caは0.0010%以上の含有量とすること
が好ましい。しかし、その含有量が0.0030%を超
えると、却って耐食性と靱性が低下してしまう。したが
って、Caの含有量を0.0030%以下とした。
P、S及びNの含有量を下記のとおりに制限する。
でなく、溶接性をも低下させるので、その含有量はでき
るだけ低くすることが好ましいが、P含有量の過度な低
減はコスト上昇を招く。したがって、実害を生じさせな
い範囲として、Pの含有量を0.010%以下とした。
より良好なCTOD特性を安定して確保するためには、
Pの含有量を0.004%以下とすることが好ましい。
でなく、溶接性をも低下させるので、その含有量はでき
るだけ低くすることが好ましいが、S含有量の過度な低
減はコスト上昇を招くので、実害を生じさせない範囲と
して、Sの含有量を0.005%以下とした。より良好
なCTOD特性を安定して確保するためには、Sの含有
量を0.002%以下とすることが望ましい。
D特性を著しく低下させるため、Nの含有量はできるだ
け低くすることが望ましい。しかし、過度な低N化はコ
スト増をもたらす。したがって、Nの含有量を0.00
40%以下とした。より良好なCTOD特性を安定して
確保するためには、Nの含有量を0.0020%以下と
することが望ましい。
CTOD特性の向上、更に溶接性の確保を同時に達成す
るためには、化学組成を既に述べた値に規定することに
加え、前記したM1*の値及びM2*の値を同時に制御
する必要がある。
の値は、母材及び溶接熱影響部の組織中に発生する島状
マルテンサイトの生成量と形状に大きく関係して、母材
及び溶接熱影響部の靱性、特にCTOD特性に著しい影
響を及ぼす。このM1*の値が1.0%を超えると、母
材及び溶接熱影響部のCTOD特性が著しく低下してし
まう。したがって、M1*の値を1.0%以下とした。
なお、良好なCTOD特性を安定して得るためには、M
1*の値を0.80%以下にすることが望ましい。
Mo)/(3Ni)の式で規定されるM2*の値をも制
限することが極めて重要である。すなわち、M2*の値
は高強度鋼、なかでも引張強さが700MPa以上であ
る高強度鋼の母材及び溶接熱影響部の組織中に発生する
島状マルテンサイトと大きく関係し、M2*の値を低減
することによって、第二相である島状マルテンサイトの
硬さが著しく低減すると同時に島状マルテンサイトの形
状も塊状や球状になって、高強度鋼の母材及び溶接熱影
響部の靱性、特にCTOD特性が著しく向上するのであ
る。このM2*の値が0.80を超えると、前記の島状
マルテンサイト中でのセメンタイトの析出が生じ難く、
又、島状マルテンサイトの形状も塊状や球状に変化し難
く針状や板状のままであるため、母材及び溶接熱影響部
のCTOD特性は低下する。したがって、M2*の値を
0.80以下と定めた。なお、鋼板強度が引張強さで7
00MPa以上の場合に、良好なCTOD特性を安定し
て得るためには、M2*の値を0.60%以下にするこ
とが望ましい。 (B)鋼板の製造条件 (B−1)鋼片の加熱温度 鋼片の加熱温度は950〜1200℃とするのがよい。
加熱温度が950℃未満では、加熱中に十分なオーステ
ナイト化が行えず、所望の引張強さで700MPa以上
の高強度を得ることができない場合がある。一方、加熱
温度が1200℃を超えると、オーステナイト粒が粗大
化して、所望の母材CTOD特性(−30℃で0.5m
mの限界CTOD値)が得られなくなったり、「Cu−
クラック」による割れが生じやすくなったりすることが
ある。したがって、鋼片の加熱温度は950〜1200
℃とするのがよい。なお、極めて安定したCTOD特性
を得るために、鋼片の加熱温度は950〜1050℃と
するのが一層望ましい。
を得るには、鋼片を前記(B−1)項に記載の温度に加
熱して熱間圧延した後、650℃以上の温度から3℃/
秒以上の冷却速度で400℃以下の温度まで冷却するの
がよい。これは、圧延仕上げ後、上記の条件で冷却する
ことによって、母材組織の微細均一化が図られ、母材C
TOD特性が向上するためである。又、この母材組織の
微細均一化は溶接熱影響部の組織にも影響を及ぼすの
で、溶接熱影響部のCTOD特性向上にも効果がある。
却を停止する温度が400℃を超える場合には、均一微
細な組織が得られないために所望のCTOD特性が得ら
れないことがある。又、冷却速度が3℃/秒未満の場合
には、所望の700MPa以上の引張強さを得ることが
難しくなったり、所望のCTOD特性を確保することが
難しくなることがある。したがって、熱間圧延した後、
650℃以上の温度から3℃/秒以上の冷却速度で40
0℃以下の温度まで冷却するのがよい。この冷却処理は
例えば、通常の水冷、油冷やミスト冷却の処理とすれば
よい。
しを施すことによって、Cuの時効析出効果をより確実
に得ることができる。したがって、厚鋼板には冷却後に
焼戻しを施すことが好ましく、その際の焼戻し温度は4
50〜650℃とすることが望ましい。
る。
設備にて製造した鋼片を用い、表2に示す種々の条件で
板厚30〜80mmの厚鋼板を製造した。又、その厚鋼
板を入熱2.5〜15kJ/mmのGMAW溶接及びS
AW溶接によってK開先の突き合わせ溶接して溶接継ぎ
手部を作製した。
からJIS Z 2201(1998)に記載の4号引張試験片とJIS Z
2202(1998)の図1に記載のVノッチシャルピー試験片
を、又、溶接継ぎ手部については、K開先溶接のストレ
ート部側の溶接線(以下、この「K開先溶接のストレー
ト部側の溶接線」をFL部という)上に試験片のノッチ
部が一致するようにして板厚中心部から上記のVノッチ
シャルピー試験片を採取し、母材部の引張特性(降伏強
さ及び引張強さ)とシャルピー衝撃特性(破面遷移温度
vTs(℃))、及び溶接継手部の−30℃でのシャル
ピー衝撃特性(吸収エネルギーvE(J))を調査し
た。
た。すなわち、母材については全厚の3点曲げ試験片を
圧延方向に直角の方向から採取して、−30℃でCTO
D試験を実施した。溶接継ぎ手部については、CTOD
試験片の疲労ノッチがFL部上になるように試験片を作
製し、同じく−30℃でCTOD試験を実施した。
表2に併せて示した。表2から、本発明に係る厚鋼板の
場合、いずれも引張強さ700MPa以上の強度と、母
材及び溶接継ぎ手部の良好なシャルピー衝撃特性が得ら
れている。しかも、母材及び溶接熱影響部(FL部)は
−30℃においてそれぞれ0.5mm以上、0.25m
m以上という大きな限界CTOD値を有し、CTOD特
性に優れていることが明らかである。
る範囲から外れる鋼を用いた厚鋼板の場合、所望の強度
と限界CTOD値とを同時に確保することはできない。
mm)以上の厚さで700MPa以上の引張強さを有
し、しかも、−30℃において母材で0.5mm以上且
つ溶接熱影響部で0.25mm以上という限界CTOD
値を有するので、低温環境で使用される船舶、海洋構造
物、ラインパイプ、低温タンク及び橋梁などの溶接構造
物の素材として利用することができる。この厚鋼板は本
発明の方法によって比較的容易に製造することができ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】質量%で、C:0.01〜0.04%、M
n:0.50〜2.00%、Cu:0.70〜1.75
%、Ni:0.50〜3.50%、Ti:0.004〜
0.02%、B:0.0005〜0.0015%、S
i:0.15%以下、Al:0.01%以下、Cr:
1.0%以下、Mo:0.80%以下、Nb:0.03
%以下、V:0.10%以下、Ca:0.0030%以
下を含み、残部はFe及び不純物からなり、不純物中の
Pは0.010%以下、Sは0.005%以下、Nは
0.0040%以下で、更に下記 (1)式で表されるM1
*の値が1.0%以下、下記 (2)式で表されるM2*の
値が0.80以下を満足するCTOD特性に優れた高強
度厚鋼板。 M1*=5C+2Si+20Al+70N・・・ (1) M2*=(Mn+2Cr+Mo)/(3Ni)・・・ (2) なお、各式における元素記号はその元素の質量%での含
有量を示す。 - 【請求項2】請求項1に記載の化学組成を有する鋼片
を、950〜1200℃の温度に加熱して熱間圧延を行
った後、650℃以上の温度から3℃/秒以上の冷却速
度で400℃以下の温度まで冷却することを特徴とする
CTOD特性に優れた高強度厚鋼板の製造方法。
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