JP3599556B2 - 母材および大入熱溶接熱影響部の靱性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 - Google Patents

母材および大入熱溶接熱影響部の靱性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雰囲気温度または環境温度が0℃となる様な寒冷条件に曝されることのある橋梁、船舶等の溶接構造物の重要強度部材を対象として、降伏強度が460N/mm 以上、引張強さが570N/mm 以上で、さらに母材における vE−40 (平均)46J以上、 vE−40 (最小)32以上を満足し、且つ10〜50kJ/mmの大入熱溶接を行った際のボンドを含む熱影響部(以下、HAZと称す)において vE−40 (平均)が47J以上を保証する高張力鋼板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年各種構造物は大型化し、なかでもコンテナ船の大型化は著しく、同船殻の強度部材としては、降伏強度355N/mm 級、更には390N/mm へと次第に高強度鋼が適用される様になっている。他方積荷個数は更なる増加傾向にあり、積荷空間を更に拡大するため、重要強度部材として、より高い降伏強度、例えば460N/mm 級の厚肉(例えば50〜70mm)のHT(ハイテン)570級の鋼材を用いることが要望されている。
【0003】
また上記鋼材は、船殻の中でもシャーストレーキや上甲板上に付置されるハッチコーミング等に用いられるが、上記構造物の溶接施工には従来立向姿勢の多層CO 溶接が適用されていた。このような現状に対して、溶接施工の高能率化および建造コスト低減を追究する観点から、最近では1パスの簡易エレクトロガスアーク溶接(SEGARC)が採用されるようになっている。
【0004】
そのため、同部材に適用される鋼材には、降伏強度の向上のみならず、10〜50kJ/mmの大入熱溶接のHAZにおいても vE−40 (平均)47J以上の高靱性を確保することが要望されている。
【0005】
上記大型コンテナ船用鋼材に関する従来技術としては、これ迄の最大強度鋼材であるEH40(ロイド船級)にも適用可能な特開昭62−149812記載の発明が知られている。当該発明はNb−Tiを基本添加成分とし、TiNを粒内フェライトの核生成サイトとして利用することを骨子とするものであり、母材降伏強度を390N/mm 級、15kJ/mmの再現HAZで vTrs−20℃以下を20〜30mm厚で具現させることを特徴としたものである。
【0006】
また、特開平9−104949記載の発明は、SM490クラスを主対象としており、Ti、B、Nの量的制約で所定のTiN、BNを析出させることにより50〜100kJ/mmの大入熱溶接HAZで vE−20 39J以上を具現させるものである。
【0007】
これらの発明の具体的製造方法は、オーステナイト(γ)未再結晶域の低温側で圧延を仕上げることを主体とする制御圧延と、その後の制御冷却を基本としたものである。
【0008】
しかしながら本発明の主眼とする大入熱溶接用の降伏強度460N/mm 級厚肉HT570に対しては、上記両公知発明をもってしても強度不足となる。即ち仮令、これらの鋼種における圧延仕上温度を、γ未再結晶域内で、しかもより高温側に制御したとしても、これによって若干の強度上昇が図れるに止まり、要求強度を満足するには到らない。また、−40℃における母材靱性も延性−脆性遷移領域に入って吸収エネルギーのばらつきが極めて大きくなり、 vE−40 (平均)46J以上且つ、 vE−40 (最小)32J以上という要求母材靱性を満足できないという問題があった。
【0009】
また大入熱溶接HAZ靱性についても、降伏強度460N/mm 級鋼に要求される vE−40 (平均)47J以上を保証し得るものではない。
【0010】
一方、ハイテン570級鋼板は、橋梁や貯蔵タンク等で一応実用化されてはいるが、要求強度を得るためには厚肉ではCeq(JIS)で0.39%[Ceq(IIW)≒0.38%]以上の炭素当量が必要となり、この様な高い炭素量では、大入熱溶接を施すとHAZ靱性が著しく低位になる。そのため、最低使用環境温度が0℃のものでも構造設計上要求されるHAZ靱性を保証させるという観点から、入熱量を約6kJ/mm以下に抑制するという制限が設けられているのが現状である。
【0011】
これらに対して、実用化されている大入熱対策鋼としては、製鉄研究第326号(1987)P.45、及び新日鉄技報第348号(1993)P.3に開示された低温用鋼板がある。本鋼はTi−B処理とTMCPを活用することによって、降伏点325、365N/mm 級を達成したものである。本鋼のポイントは、溶接熱の影響により加熱されて固溶したBが、その後冷却される過程でB化合物として析出すると共に、この析出が鋼中に分散しているTiN析出物上に現れてこれをフェライト核生成サイトとして活用するというものである。
【0012】
一方、R&D神戸製鋼技報VOL.29(1979)、No.4、P.9に開示される再加熱焼入れ−焼戻し型の低C−B系ハイテン570級鋼は、低C領域における固溶Bの焼入性を利用してPCM(溶接割れ感受性指数)を低減したものである。本鋼では、Bは母材強度向上の為に添加するものであり、本鋼に大入熱溶接を施すとHAZが著しく脆化するものであった。
【0013】
上述の様に、従来技術ではBは析出BNとして、あるいは固溶Bとしての単独の効果を利用したものであり、結果として、ハイテン570級鋼として、厚肉で降伏強度460N/mm 以上と−40℃での母材靱性に加えて、10〜50kJ/mmもの大入熱溶接のHAZで vE−40 (平均)47J以上という高靱性を保証し得るものは全く知られていなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記要求に応えて、最低使用温度を0℃とする造船や橋梁等の溶接構造の重要部材を対象として降伏強度が460N/mm 以上、引張強さ570N/mm 以上で vE−40 (平均)46J以上、 vE−40 (最小)32J以上の靱性を有するとともに、ハイテン570級としての従来の入熱量を上回る10〜50kJ/mmもの大入熱溶接に対してボンドを含むHAZで vE−40 (平均)47J以上の靱性を具備する引張強さ570N/mm 級高張力鋼板を提供しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
具体的に述べれば、本発明者等は(i)まず母材について、460N/mm 以上の降伏強度と−40℃での靱性を確保し、(ii)一方溶接部については、−40℃での大入熱HAZ靱性を具備させるという観点から、引張強さ570N/mm 級鋼板の化学組成および製造条件について鋭意研究を行った。
【0016】
一般的には、母材の高強度化にはCeqの増加が、またHAZの高靱性化にはCeqの低減が夫々必要であり、この両者を両立させることは容易でない。そこで種々検討した結果、(i)母材に関しては、固溶Nbによる変態強化効果と固溶Bによる焼入性向上効果の両者を積極的に活用することでCeqを低減すること、(ii)溶接部における大入熱HAZ靱性に対しては、有害な粒界フェライトやフェライトサイドプレートの生成抑制とフリーNの低減を狙うという観点からTi、B、Nbの量バランスを適正化すると共に、母材のCeq低減による相乗効果とを期待して高靱性化させること、(iii)Nb、Bの添加による逆効果として島状マルテンサイトの生成、Nb炭窒化物の析出による母材靱性の劣化が問題となり得る点については、再結晶域圧延に引き続いてDQ(直接焼戻し)を行うことによって、変態過程でのC分配が均一なベイナイト組織を形成すること、及び不溶Nb量の規制によって高靱性化できること、を利用すれば解決し得ることを見い出した。こあれらの知見の下、従来技術の延長線上では成し得なかった上述の要求特性を全て満足することができ、ここに本発明を完成するに到った。
【0017】
本発明の基本構成を述べれば、
C :0.05〜0.10%
Ti:0.005〜0.025%
B :0.0003〜0.0020%
全Nb :0.005〜0.025%
不溶Nb:全Nb量×0.8以下に抑え、
N :以下の式を満足する量
−0.004≦X≦0
(X=N−0.293×Ti−1.296×B−0.151×Nb)
を夫々満足する他、以下の条件式を満足し、
Ceq(IIW)が0.30〜0.38%である
[Ceq(IIW)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5]
更に擬ポリゴナイルフェライト(αq)を面積分率で5%以下とした均質なベイナイト組織を有することによって、母材および大入熱HAZの靱性に優れた降伏強度460N/mm 級高張力鋼板が提供されることとなったのである。
【0018】
上記降伏強度460N/mm 級高張力鋼板の化学成分については、更にSi:0.5%以下(好ましくは0.05%以上)、Mn:1.8%以下(好ましくは0.5%以上)、Al:0.06%以下(好ましくは0.005%以上)の各元素を含有することができ、更に以下述べるような選択元素を含有することができる。
【0019】
第1の群としては、Ca:0.005%以下、REM:0.05%以下よりなる群から選択される1種以上の元素が示され、
第2の群としては、Cu:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Ni:1.0%以下、V:0.1%以下よりなる群から選択される1種以上の元素が示される。
【0020】
上記した本発明の高張力鋼板を製造する方法については特に制限されるものではないが、本発明者らは、最も好ましい方法として次の2つの方法を提供する。
【0021】
第1の方法は、上記化学組成要件を満足する鋼スラブを、当該スラブに含有されるNb及びBが完全に固溶する温度以上に再加熱して熱間圧延し、オーステナイト再結晶温度域で熱間圧延を完了させた後、そのまま直接焼入れすることを要旨とする方法であり、
第2の方法は、該第1の方法における直接焼入れの後、675℃以下の温度で焼戻しすることを要旨とする方法である。
【0022】
これらの方法によって、460N/mm 以上の降伏強度を有し、且つ母材および大入熱溶接のボンド部を含むHAZにおいて、試験温度−40℃で高位の靱性を有する引張強さ570N/mm 級の厚肉鋼板が比較的簡単に製造される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の特徴とする母材の高強度かつ高靱性、並びに大入熱HAZ靱性を達成する為の化学組成、ミクロ組織および製造条件のそれぞれについて説明する。
【0024】
本発明者らは、表1に示す化学組成の鋼を常法で溶製し、連続鋳造法でスラブを作製し、このスラブを表2に示す製造条件で圧延して55〜70mmの厚板に仕上げ、そのまま直接焼入れ(DQ)したものおよびその後焼戻し(T)したものを作製した。
【0025】
これらの鋼板を用い、(検討−1)では母材の機械特性、ミクロ組織および不溶Nb量の調査を、(検討−2)では大入熱溶接HAZ靱性およびミクロ組織の調査を行った。
【0026】
(検討−1)
本発明者らは大入熱HAZ靱性の確保にはCeqの低減が有効と考えた。そこで、低Ceqで460N/mm 級のハイテン60キロ鋼を厚物で得る方策として、固溶Nbによる変態強化、及び固溶Bによる焼入性向上効果の活用を指向した。
【0027】
図1は、Nb−Ti,Ti−B,Nb−Ti−B系の各化学組成を有する板厚55mm厚材について、強度並びに靭性に及ぼすCeq(IIW)の影響を調べた結果を示すグラフである。製造条件は各鋼種とも一定とし、具体的には、スラブを1150℃で加熱した後、950℃で圧延を仕上げ、その後直接焼入れおよび焼戻し(550℃)を行った。
【0028】
図1によれば、Nb−Ti−B系鋼が最も高強度であり、Ceq(IIW)値0.30%以上の要件さえ満足できれば、所望強度を達成でき、Nb−Ti系、Ti−B系鋼に比べて大幅な低Ceq化が図れる。
【0029】
図2はCeq(IIW)値0.31%のNb−Ti−B系について、強度、靱性、ミクロ組織、不溶Nb量の分率におよぼすスラブ再加熱温度の影響を調べた結果を示す。これより、スラブ加熱温度が下がると靱性が劣化し、ばらつきも大きくなることが分かった。この結果は、擬ポリゴナイルフェライト(αq)が増加すること、及び不溶Nb分率が増えることによって、靱性の劣化及び不安定化が招来されることを意味するものと考えられる。
【0030】
これらの結果を総合すれば、母材の強度、靱性を安定確保するには、厚板圧延に当ってのスラブの再加熱温度を、鋼中Nb及びBが、いずれも完全に固溶する温度以上とすることが第一義的に重要であることが分かる。
【0031】
図3はCeq(IIW)値0.31%のNb−Ti−B系鋼について、強度、靱性、ミクロ組織、不溶Nb量の分率におよぼす圧延仕上温度の影響を調べた結果を示す。従来技術(γ未再結晶域の810℃で圧延仕上りとする)では、要求靱性は満足できても要求強度は満足できない。他方γ未再結晶域での圧延仕上り温度を高温化すると強度は上昇しても、シャルピー吸収エネルギーの平均値が低位になると共に個々の値のばらつきも大きくなり、要求靱性を安定確保できなかった。即ち強度と靱性の両方を満足することは困難なことと考えられた。しかしながら本発明者らの研究によれば、圧延仕上温度がγ再結晶域に入ると、シャルピー吸収エネルギーの平均値が再び上昇すると共にばらつきも縮小し、0.31%という低Ceqでも強度、靱性を両立して達成できることを見い出した。
【0032】
これらの事実をミクロ組織の観点から解析すると、スラブ再加熱温度および圧延仕上温度の上昇に伴い、αqが減少し、ベイナイト単相組織へと変化することと対応している。一方スラブ再加熱温度および圧延仕上温度が低いと焼入性が下がり、αqが生成する様になると共に、その生成場所の近傍に島状マルテンサイトあるいは焼戻しによって島状マルテンサイトの一部が分解する過程で高C濃縮部が生成し、これらの結果として、靱性が劣化するに至ったものと考えられる。
【0033】
この変態強化を最大限に発揮するためには、DQプロセスの活用と合わせて、固溶Bによる焼入性向上および固溶Nbによる変態強化の各効果を重ね合わせることが有効である。すなわち、B、Nbが完全に固溶する温度にスラブを再加熱することおよび圧延仕上温度を該鋼種のγ再結晶温度域に設定することで、焼入性向上効果の発現に寄与する固溶B量(約3ppm以上)を確保できると共に、変態強化に寄与せず、靱性に対しても悪影響を及ぼすNb炭窒化物の析出を低位に抑えることができる。
【0034】
図4はCeq(IIW)値0.31%のNb−Ti−B系鋼について、その強度、靱性、不溶Nb量の分率に及ぼすDQ後の焼戻温度の影響を調べた結果を示す。
【0035】
前述の知見から圧延仕上温度をγ再結晶域の950℃に設定した場合、低Ceq材ではDQままで要求温度、靱性を十分満足できることが分かっている。一方図4の結果によれば、残留応力低減の為に焼戻しを施す場合においては、強度は焼戻温度の如何に関わらない(殆ど変化しない)が、靱性は焼戻温度の高温化につれて劣化し、675℃を超えると、シャルピー吸収エネルギーのばらつきも増大して要求最小値を下回る様になる。
【0036】
これは、焼戻温度の高温化に伴い、固溶NbがNb炭窒化物としてマトリックスに整合析出して硬化すると共に衝撃特性を劣化させる為であると推察され、先に述べた不溶Nb量についての考察と関連付けられる。
【0037】
そこで、靱性に対して悪影響因子となるαqと不溶Nbの分率と母材靱性との関係をとりまとめて考察したところ、図5に示す様な結果を得た。図5から、母材強度を満足させた上で、靱性が要求値(最小でも vE−40 :32J以上)を満足させるには、αqを5%以下で且つ不溶Nbを80%以下に抑制することが必要であるとの結論が得られる。
【0038】
以上をまとめると、母材の強度、靱性の要求値、すなわち降伏強度460N/mm 以上、引張強さ570N/mm 以上、 vE−40 (平均)46J以上、 vE−40 (最小)32J以上の各物性を、厚物(例えば50mm〜70mm厚)で満足させるには、
(i)基本化学組成として、Nb−Ti−B系でCeq(IIW)を0.30%以上とすること、
(ii)αqを5%以下とすること、
(iii)不溶Nb量・全Nb量を80%以下にすること、
(iv)前記(ii)および(iii)を達成するための具体的製造方法と
しては、上記該鋼種に対して、
(a) B,Nbが完全に固溶する温度にスラブを再加熱すること、
(b) 圧延仕上温度をγ再結晶温度域に設定すること、
(c) その後DQするかあるいはDQ後残留応力の除去を主目的とし
て、675℃以下の焼戻しを行うこと、
が有効である。
これを本発明の完成における第一の知見とする。
【0039】
(検討−2)
本発明者らは、大入熱HAZ靱性の確保にはCeqの低減が前提条件であると考え、その場合でも母材の強度、靱性を確保することのできる手段を検討した結果、前記(検討−1)において述べた様に、Nb−Ti−B系の化学組成とDQ(−T)を組合せることでこれらを達成できることを見い出した。
【0040】
一般に大入熱溶接におけるHAZの靱性向上策としては、P、Sといった不純物元素の低減やTiN、AlNといった窒化物の微細析出物を析出させて固溶Nの固定を図ると共に、オ−ステナイト粒の粗大化を防止する方法が一般的に採られる。
【0041】
しかしながら、大入熱溶接ではHAZ、とりわけボンド部は溶融点直下の高温に加熱されるためにTiNの一部やAlNは固溶してしまい、固溶Nが過剰に存在して靱性に悪影響を及ぼすと考えられる。そこで本発明者らは、N量の制限が重要との考えから、化学組成をNb−Ti−B系に固定した上で、HAZの要求靱性[ vE−40 (平均)47J以上]を、Nb、Ti、BとNの量バランスを図ることによって満足させる必要があると考え、検討を開始した。具体的な大入熱溶接条件としては、1パスSEGARC溶接で入熱量45kJ/mmとして、ボンド部のシャルピー吸収エネルギーをHAZ靱性の指標とした。
【0042】
その結果、本発明者らは、次のような新知見を得た。すなわち大入熱溶接の冷却過程において、
(i)Nの固定にはTi、B、Nbのすべてが作用すること、
(ii)HAZでは平衡状態よりも過冷された状態にある為、Ti、B、Nbの一部はフェライト変態前の組織中に固溶状態で存在すること(HAZの抽出残渣分析で確認)。
【0043】
(iii)そのため、特開昭58−213855に開示されている条件式:
1/1.7×0.0060<N−1/1.7(0.3Ti+1.3B)や特開平9−104949に開示されている条件式:
0<(N−0.292Ti−1.292B)<0.0020
に従って鋼中N量を制御しても、実際には不溶元素の化学当量分のNしか固定されず、固溶Nが上式以上に多く存在し、マトリックスの靱性を阻害することを見い出した。そこで本発明者らは、固溶Nの算定に際し、NbによるNの固定効果を組み入れた下記のパラメータXを導出した上で、このパラメータとHAZ靱性の関係を詳細に調査したのである。
Figure 0003599556
調査結果を図6に示す。
【0044】
これより、該鋼種vE−40(平均)が要求レベル(47J以上)を満足させる為には、Xを−0.004〜0の範囲に納めることが有効であるとの結論を得た。この範囲では、固溶Bの旧γ粒界への偏析、および固溶Nbの存在によるフェライト変態抑制によって、靭性に有害な粒界初析フェライトの生成や旧γ粒界から特定結晶方位へのフェライトサイドプレートの成長生成を最小限に抑えると共に、Ti、BN、Nb(CN)の複合した化合物を粒内に分散させてフェライト核生成サイトが導入されることとなって、良好なHAZ靭性が確保できるものと考えられる。
【0045】
次にマトリックスの靱性を向上させるべく、該Nb−Ti−B系鋼のHAZ靱性に及ぼすCeq(IIW)の影響を調査した。結果を図7に示す。図7によれば、ボンド部の靱性はCeq(IIW)の上昇に伴って劣化する。所望靱性である vE−40 (平均)47J以上を満足させるためには、Ceq(IIW)を0.38%以下に抑えることが必要である。
【0046】
大入熱溶接で要求HAZ靱性を得るための上記方策をとりまとめると、
(i)Nb−B−Ti系を基本化学組成として、N含有量に関する上記パラメータXの値を−0.004〜0の範囲内に制御すること、
(ii)前記Ceq(IIW)を0.38%以下とすること、
が有効である。
これを本発明の完成における第二の知見とする。
次に、本発明における化学成分の限定理由について説明する。
【0047】
C:0.05〜0.10%
高張力鋼板としての強度を確保するための必要元素であり、含有量が0.05%未満では引張強さ570N/mm 級以上の強度は得難い。他方0.10%を超えるとHAZ靱性が劣化して要求値を満足できない。したがって、C含有量は0.05〜0.10%の範囲とするが、好ましい下限量は0.06%、好ましい上限は0.09%である。
【0048】
Ti:0.005〜0.025%
溶製時の脱酸作用が期待される他、母材においては、Nの固定化によるBの焼入性向上効果の促進作用、HAZにおいては、TiNの生成により、γ結晶粒粗大化防止、フェライト変態核生成サイトとしての作用を有する。0.005%未満ではこれらの効果が得られず、他方0.025%を超えると介在物の増加により靱性が劣化する。したがってTi含有量は0.005〜0.025%の範囲とするが、好ましい下限量は0.007%、好ましい上限は0.017%である。
【0049】
B:0.0003〜0.0020%
微量であっても母材において焼入性の向上をもたらす元素である。また溶接による加熱時にγ粒界に偏析してHAZ靱性に悪影響を及ぼす粗大な粒界初析フェライトの析出を抑制し、組織を分断微細化する粒内フェライトの析出を促進し、TiとNの効果をより大きなものとする。また溶接後の冷却中にBNとして析出し、固溶Nを固定して靱性を改善する効果を有する。0.0003%未満ではこれらの効果は得られず、他方0.0020%を超えると靱性が劣化して要求値を満足できない。したがって、B含有量は0.0003〜0.0020%の範囲とするが、好ましい下限量は0.0007%、好ましい上限は0.0015%である。
【0050】
全Nb:0.005〜0.025%
不溶Nb:全Nb量×0.8以下
Nbは母材において変態強化や析出強化作用、オーステナイト未再結晶化温度の高温化をもたらす元素である。また大入熱溶接HAZにおいてもγ粒界の焼入性を高め、生成する粒界初析フェライトやフェライトサイドプレートのサイズを小さくすることでHAZ組織の微細化に貢献する。そのためには0.005%以上の含有が必要である。しかしNbが多すぎると析出硬化によって母材およびHAZの靱性を劣化させる。そのため、上限を0.025%とするとともに、母材の要求靱性を満足させるために、不溶Nb量を全Nb量×0.8以下に抑える必要がある。全Nbについての好ましい下限量は0.007%、好ましい上限は0.020%である。また不溶Nbについての好ましい上限は全Nb量×0.5である。
【0051】
N:以下の式を満足する量
−0.004≦X≦0
(X=N−0.293×Ti−1.296×B−0.151×Nb)
NはTiN,BNを形成してHAZ靭性を向上させるが、過度のNb(CN)の形成は析出硬化を発現させて、母材およびHAZの靭性を劣化させる。本発明のNb−Ti−B含有鋼におけるN含有量が上記式で求められるXが正の値であるときは、Ti,B,NbがNと化合した上で未だ過剰のNが存在することになり、固溶Nにより靭性を劣化させる。他方X<−0.004の場合は、Nが不足して固溶Ti,B,NBが多くなり過ぎるので、HAZの焼入性が増して、マトリックスの靭性を劣化させることになる。したがってNは、Nb,B,Tiとの量的バランスを図りつつ、パラメータXが−0.004≦X≦0を満足する様にその含有量を制御する必要がある。Xについての好ましい下限は−0.003である。
【0052】
Ceq(IIW):0.30〜0.38%
Ceq(IIW)値はC+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5の計算式から求められるもので、本発明のNb−B−Ti含有鋼を本発明の製造条件で製造する場合において所望強度を満足させるために0.30%以上必要である。他方0.38%を超えると大入熱溶接HAZで要求靱性の確保が困難になる。したがってCeq(IIW)は0.30〜0.38%の範囲とするが、Ceq(IIW)値についての好ましい上限は0.36である。
【0053】
本発明の課題を達成する上での必須的要件元素は以上の通りであるが、鋼として一般的に含有されている以下の元素は本発明鋼に含まれていてよいことは言うまでもない。
【0054】
Si:0.5%以下
Siは脱酸作用を示す元素であり、一般的には0.05%以上配合されるが、本発明においては下限を限定しない。ただし上限については、0.5%を超えて添加すると、溶接性およびHAZ靱性が劣化する。これらを総合してSiの好ましい含有量は0.05〜0.5%の範囲とする。好ましい下限は0.08%、好ましい上限は0.35%である。
【0055】
Mn:1.8%以下
Mnは焼入性を向上させて母材の強度を確保する元素であるが、本発明においては下限を限定しない。ただし上限については、1.8%を超えるとHAZ靭性を劣化させ、スラブの偏析を助長して溶接性を劣化させる。これらを綜合してMnの好ましい含有量は1.8%以下とする。より好ましい下限は1.0%、好ましい上限は1.7%である。
【0056】
Al:0.060%以下
Alは脱酸作用を示す元素であり、一般的にはSol.Alとして0.005%以上配合されるが、本発明においては下限を限定しない。ただし上限については、0.060%を超えるとかえってHAZのみならず、溶接金属の靱性も劣化させる。これらを総合してAlの好ましい含有量は0.005〜0.060%の範囲とする。好ましい下限は0.010%、好ましい上限は0.050%である。
次に本発明におけるその他の選択元素について説明する。
【0057】
まず本発明においてはCa:0.005%以下、REM:0.05%以下よりなる群から選択される1種以上の元素を含有することができる。
【0058】
Ca:0.005%以下
Caは、Mnsの形態を制御して、母材およびHAZの靱性を向上するのに効果がある。しかし本発明においては下限を限定しない。ただし上限については、0.005%を超えると介在物の増加により、靱性を劣化させる。したがって、Ca含有量は0.0005〜0.005%の範囲とする。これらを総合してCaの好ましい含有量は0.0005〜0.005%の範囲とする。好ましい下限は0.0005%、好ましい上限は0.002%である。
【0059】
REM:0.05%以下
REMは、硫・酸化物として析出し、TiNやBNの析出核として作用することにより、Ti、B、Nの効果を促進する。その結果大入熱溶接HAZの靱性向上に寄与する。しかし本発明においては下限を限定しない。ただし上限については、0.05%を超えると介在物の増加により靱性を劣化させる。これらを総合してREMの好ましい含有量は0.003〜0.05%の範囲とする。好ましい下限は0.003%、好ましい上限は0.03%である。
【0060】
本発明においてはCu:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Ni:1.0%以下、V:0.1%以下よりなる群から選択される1種以上の元素を含有することができる。
【0061】
Cu、Ni、Cr、Mo、Vはいずれも強度上昇に有効な元素である。しかし本発明においては下限を限定しない。他方上限については、Cu、Cr、Moの各々については0.5%超え、またNiについては1.0%超え、またVについては0.1%超えの夫々の場合は、溶接割れ感受性を増大させる。さらにCr、Mo、Vの炭化物の過度の析出は母材およびHAZにおける靱性を劣化させて本発明の要求値を満足しなくなる。これらを総合して、Cu、Cr、Moの含有量は各々0.5%以下、Niの含有量は1.0%以下、Vの含有量は0.1%以下の範囲とする。各元素についての好ましい下限、好ましい上限は以下の通りである。即ちCuの好ましい下限0.3%、Niの好ましい下限0.5%、Crの好ましい下限0.3%、Moの好ましい下限0.3%、Vの好ましい下限0.05%である。本発明の鋼は必要に応じてその他の合金元素を含有することもできるが、最も一般的には上記の必須元素や選択元素を含み、残部は鉄及び不可避的不純物よりなるものである。
次に本発明におけるミクロ組織の限定理由について述べる。
【0062】
αqは旧γ粒界が微細であったり、焼入性が低い場合に、これを直接焼入すると粒界初析生成物として発現する変態組織である。この析出物の周囲はC濃化部を有するベイナイト組織あるいは島状マルテンサイトを形成するため、母材靱性の劣化並びにばらつきの増大を招く。したがって本発明の課題を達成するためには、αqの面積率を抑制することが必須となり、上記不都合を生じないようにするための限界を求めたところ、後記実施例でも明らかにする様に、αqの生成を5%以下、更に好ましくは3%以下に抑える必要があるとの結論を得た。
次に、本発明における好ましい製造条件について述べる。
【0063】
スラブは常法で溶製したものを連続鋳造あるいは分塊圧延のいずれで作製しても本発明の効果を発揮することができる。すなわちスラブ自体の製造プロセス如何は本発明の技術的範囲を逸脱する理由とはならない。
【0064】
スラブの再加熱温度は、焼入性向上および変態強化の各効果を最大限有効に活用に活用するという観点から、Nb、Bが完全固溶する温度以上とする。完全固溶しない温度では、αqを過剰に生成させると共に、Nb炭窒化物の析出により母材靱性を劣化させる。なおより好ましくはNb、Bが完全固溶する下限温度以上であって、該下限温度+150℃以下とする。スラブを上記の温度範囲で十分に加熱しておけば、スラブ加熱後の初期γ粒の粗大化による母材靱性の劣化が防止される。
【0065】
熱間圧延方法としては、同じく焼入性向上および変態強化の各効果を最大限有効に活用に活用するという観点から、γ再結晶温度域で熱間圧延を完了させ、そのまま直接焼入れすることとする。γ未再結晶域温度域未満で圧延を仕上げることになると、焼入性が低くなり、要求強度を満足するための手段としてCeqを増大させざるを得なくなって、結果的にHAZ靱性を劣化させる。またNb炭窒化物が生成して母材靱性を劣化させることになる。本発明の化学組成要件を満足する鋼においては、DQままで要求母材靱性を十分満足できる。この圧延仕上温度はオーステナイト再結晶温度以上で、該再結晶温度+100℃以下の範囲とすることが最も好ましく、この下限温度はフェライト核生成サイトとして作用する結晶格子欠陥の導入を防止するためであり、上限温度はγ粒の過度の粗大化を防止して靱性劣化の防止を図るために定められる。
【0066】
焼戻しは、鋼板の残留応力除去を必要とする場合などに、DQに引き続いて施すこととする。ただし焼戻温度が675℃を超えると、固溶NbがNb炭窒化物に変化して析出硬化作用が顕著に発現するため、マトリックスの靭性を劣化させると共にばらつきも増大して要求値の確保が困難になる。従って、焼戻しは675℃以下の温度で実施する。これによって母材靭性の平均値を高度に確保してそのばらつきを防止することができる。
【0067】
【実施例】
本発明の実施例について説明する。
表1〜3に示す化学成分を有するスラブを、表4〜8の条件で板厚55〜75mmに厚板圧延した後、直接焼入れまま、あるいは直接焼入れに引き続いて焼戻しを行った。
【0068】
【表1】
Figure 0003599556
【0069】
【表2】
Figure 0003599556
【0070】
【表3】
Figure 0003599556
【0071】
表1〜3に示した鋼種の内、本発明の化学組成要件を満足しないものについて説明すると、鋼種1,13はBを含有せず、鋼種2,14はNbを含有せず、鋼種4(または5)はNが少ない(または多い)ことによってパラメーターXが低過ぎる(または高過ぎる)値となり、鋼種7はNbが多過ぎるために結果的にNが不十分となってパラメーターXが低過ぎる値となり、鋼種9はC含有量が少ないことによってCeqが低く、鋼種10はC含有量が下限値一杯であると共に合金元素の含有量が相対的に少ないことによってCeqが低く、鋼種13,14,15はC含有量が多過ぎると共にその影響もあってCeqが高く(これらの内、鋼種13はBを含有せず、鋼種14はNbを含有せず)、鋼種21は合金元素が相対的に多くなってCeqが高いものとなっている。
【0072】
上記の様にして得られた供試鋼鋼板について、t/4(表面から板厚1/4の深さ)位置から試験片を採取し、母材の引張試験、シャルピー衝撃試験、ミクロ組織調査および抽出残渣分析を行った。またこれらの鋼板を用いて入熱量約45kJ/mmの1パスSEGARC溶接を行い、ボンド部のt/2から試験片を採取してシャルピー衝撃試験を行った。結果を表4〜8に示す。
【0073】
【表4】
Figure 0003599556
【0074】
【表5】
Figure 0003599556
【0075】
【表6】
Figure 0003599556
【0076】
【表7】
Figure 0003599556
【0077】
【表8】
Figure 0003599556
【0078】
表4〜8に示した結果の中から、本発明の課題を達成し得ていないものについて説明すると、No.1(または2)はB(またはNb)を含有していない鋼1(または2)を用いたため、母材の降伏強度及び引張強さが共に低く、No.4,7はパラメーターXが低過ぎる鋼種4,7を用いたためHAZ靱性が低く、No.5はパラメーターXが高過ぎる鋼種5を用いたためHAZ靱性が低く、No.9,10はCeqが低過ぎる鋼種9,10を用いたため母材の降伏強度及び引張強さが共に低く、No.13はCeqが高過ぎる鋼種15を用いたためHAZ靱性が低く、No.19はCeqが高過ぎる鋼種15を用いたためHAZ靱性が低く、No.20,21,22は圧延仕上温度が低過ぎたため、母材靱性が低いか、もしくはばらつき、No.25,26はCeqが高過ぎる鋼種13,14を用いたためHAZ靱性が低く、No.27は熱間圧延のためのスラブ加熱温度が低過ぎたため母材中にαqが多く現れて低温靱性が低く、No.35はDQ後の焼戻し温度が高過ぎたため不溶Nbが多くなって母材の低温靱性が低くなっている。No.37,40,43は母材靱性あるいはHAZ靱性の面で本発明を満足してない。尚鋼種13,14,15はCeqの条件を満足せず(比較例)、鋼種20はCeqの条件を満足する(実施例)が、両者のCeqの違いは非常に僅かである。それにもかかわらずこれらの間でHAZ靱性に大きな差が生じたのは、前者のC量が多く(0.12%)、後者のC量が少ない(0.06%)からであると説明できる。
【0079】
図8は光学顕微鏡組織を示すもので、αq分率を出す為に測定した複数の検鏡視野の内から選んだ代表カットである。尚図中FRTは圧延仕上温度を示し、上側は実施例8、下側は実施例21である。
【0080】
【発明の効果】
本発明によればNb−Ti−B系の化学組成とDQプロセスによる変態強化を最大限に活用することにより、降伏強度460N/mm 以上を有する引張強さ570N/mm 級厚肉鋼板が従来よりも大幅に低いCeqで得られると共に、Ceqの低減効果およびNb、B、TiとNの量的バランスの適正化によって、10〜50kJ/mmもの大入熱溶接でも−40℃でのHAZ靱性が要求値を満足するものであり、橋梁や大型コンテナ船の靱性要求の厳しい重要強度部材の製作に適用でき、溶接施工の大幅な能率向上と大幅なコストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】母材の強度、靱性におよぼすCeq(IIW)、化学組成の影響を示す。
【図2】母材の強度、靱性、αqの面積分率、不溶Nb量/全Nb量におよぼすスラブ再加熱温度の影響を示す。
【図3】同じく圧延仕上温度の影響を示す。
【図4】母材の強度、靱性、不溶Nb量/全Nb量におよぼす焼戻温度の影響をしめす。
【図5】αq、不溶Nbの分率と母材靱性との関係を示す。
【図6】大入熱溶接のボンド部の靱性におよぼすパラメータXの影響を示す。
【図7】Nb−Ti−B系鋼における大入熱溶接のボンド部の靱性におよぼすCeq(IIW)の影響を示す。
【図8】光学顕微鏡組織を示す図面代用写真である。

Claims (5)

  1. C :0.05〜0.10%(質量%、以下同じ)
    Si:0.5%以下
    Mn:1.8%以下
    Al:0.06%以下
    Ti:0.005〜0.025%
    B :0.0003〜0.0020%
    全Nb:0.005〜0.025%
    不溶Nb:全Nb量×0.8以下
    N :以下の式を満足する量
    −0.004≦X≦0
    (X=N−0.293×Ti−1.296×B−0.151×Nb)
    を夫々満足する他、以下の条件式を満足し、残部がFeおよび不可避不純物よりなり、
    Ceq(IIW)が0.30〜0.38%である
    [Ceq(IIW)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5]
    更に擬ポリゴナイルフェライト(αq)を面積分率で5%以下とした均質なベイナイト組織を有することを特徴とする母材および大入熱溶接熱影響部の靱性に優れた降伏強度460N/mm2級高張力鋼板。
  2. 更にCa:0.005%以下、REM:0.05%以下よりなる群から選択される1種以上の元素を含有する請求項1に記載の高張力鋼板。
  3. 更にCu:0.5%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Ni:1.0%以下、V:0.1%以下よりなる群から選択される1種以上の元素を含有する請求項1または2に記載の高張力鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれかを満足する化学組成を有する鋼スラブを、当該含有するNb及びBが完全に固溶する温度以上に再加熱して熱間圧延し、オーステナイト再結晶温度域で熱間圧延を完了させた後、そのまま直接焼入れすることを特徴とする母材および大入熱溶接熱影響部の靱性に優れた降伏点460N/mm2級高張力鋼板の製造方法。
  5. 請求項における直接焼入れの後、675℃以下の温度で焼戻しすることを特徴とする母材および大入熱溶接熱影響部の靱性に優れた降伏点460N/mm2級高張力鋼板の製造方法。
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