JP5552967B2 - 溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板およびその製造方法 - Google Patents

溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、大型鋼構造物に用いて好適な降伏強度が630MPa以上、板厚が75mm以上の厚肉高張力鋼板およびその製造方法に関し、特に多層溶接部の低温靭性に優れるものに関する。
海洋構造物やペンストックなど大型鋼構造物には板厚が75mm〜200mm程度となる厚肉材が用いられるが、使用環境が苛酷となり経済性も重視される傾向のため、母材の強度、靭性や溶接性、溶接部靭性など諸特性に対する要求水準が次第に高度化されている。
厚肉材では、板厚方向に均一な特性を確保することが難しく、特に高強度とするため焼入れ焼戻し処理を施す場合、冷却速度が低下する板厚中心部での母材性能の確保が課題となる。
特許文献1は海洋構造物用鋼およびペンストック向け厚鋼板に適した780MPa級高張力鋼板の製造方法に関し、高強度と溶接部での低温靭性を両立させるため、Nb、Tiを無添加とし、Bの焼入れ性向上効果を活用する技術思想により設計された成分組成の鋼を適正な圧延条件で圧延し、所定時間経過後、焼入れし、焼戻すことが記載されている。
特許文献2には、その実施例に、板厚が100および150mmで海洋構造物用鋼として適した引張強度80kgf/mm以上の極厚調質高張力鋼板の製造方法に関し、Bを有効活用する熱処理法により、高価な合金元素の含有量を減らした成分組成で板厚中心部で優れた低温靭性を達成することが記載されている。
一方、厚肉材を用いた大型構造物の溶接部では多層溶接が施されるため、複雑な熱サイクルを受ける溶接熱影響部の靭性確保が課題となる。
特許文献3は主に海洋構造物に用いられる最大板厚が76.2mm(3インチ)の、溶接熱影響部のCTOD特性に優れた500〜550MPa級の降伏強度を有する厚鋼板に関し、海洋構造物を軽量化するため降伏強度を高くした鋼板において、溶融線近傍のHAZ組織をTiオキサイドにより制御して切欠き位置を溶融線とした場合で−10℃で0.2mmのCTODを得ることが記載されている。
特許文献4は、板厚25.4mm(1インチ)以上で引張り強さが700MPa以上で海洋構造物などに好適な、CTOD特性に優れた高強度厚鋼板及びその製造方法に関し、低C、低Si化した成分組成とすることにより溶接熱影響部の島状マルテンサイト(MA:martensite−austenite constituent)の生成を抑制し、Cuを0.70〜1.75%添加して時効析出することにより母材強度を確保することが記載されている。
特開2009−270194号公報 特開平1−219121号公報 特開2002−332536号公報 特開2001−335884号公報
近年、石油掘削現場が氷海域にまで拡大され海洋構造物用鋼の溶接熱影響部の低温靭性に対する重要性が増大しつつある。
従来、多層溶接による厚肉材の溶接熱影響部では、特許文献3、4のように微小な局所脆化域であるボンド部やボンド部が2相域に再加熱されて靭性が更に低下する領域に支配されるCTOD特性の向上が課題で、多層溶接の再熱効果の恩恵を受けるシャルピー衝撃特性による低温靭性が問題とされることは少なかった。
そのため、シャルピー衝撃試験で評価される低温靭性を向上させる母材成分組成やその製造方法に関する知見は少ない。
なお、特許文献3記載の鋼はTiオキサイド鋼であり、特許文献4に開示されている高強度鋼は時効処理によるCuの析出により強度を高めるために多量のCuを含有するものであり、いずれも製造性に劣る特殊な成分組成である。
そこで、本発明は、多層溶接部の低温靭性に優れる降伏強度が630MPa以上、板厚が75mm以上の厚肉高張力鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、母材成分組成が溶接熱影響部における島状マルテンサイトの性状と靭性に及ぼす影響について鋭意検討し、母材中に含まれるC量を低減することで、1.島状マルテンサイトの生成量を低下させ、2.島状マルテンサイトとマトリックスの間の硬度差を小さくし、破壊起点になりにくくすることにより溶接熱影響部の靭性を向上させることが可能であることを見出した。本発明は得られた知見を基に更に検討を加えてなされたもので、すなわち本発明は、
1.質量%で、C:0.02〜0.05%、Si:0.3%以下、Mn:0.5〜3%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Ni:0.5〜5%、Al:0.01〜0.08%、N:0.007%以下、B:0.0003〜0.003%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板。
2.鋼組成として、さらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Mo:1%以下、Cr:3%以下、V:0.2%以下、Nb:0.1%以下の中から選ばれる少なくとも1種または2種以上を含有することを特徴とする1記載の溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板。
3.鋼組成として、さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.003%、REM:0.0003〜0.003%の中から選ばれる少なくとも1種または2種を含有することを特徴とする1または2に記載の溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板。
4.1乃至3のいずれか一つに記載の成分を含有する鋼素材に対して、Ac3点〜1150℃の温度域にて熱間圧延を開始し、累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延を行い所定の板厚とした後、Ar3点以上の温度から、板厚中心部が350℃以下になるまで急冷し、その後、焼戻すことを特徴とする溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板の製造方法。
5.1乃至3のいずれか一つに記載の成分を含有する鋼素材に対して、Ac3点〜1150℃の温度域にて熱間圧延を開始し、累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延を行い所定の板厚とした後、放冷し、Ac3点〜1000℃に再加熱を行い、板厚中心部が350℃以下になるまで急冷し、その後、焼戻すことを特徴とする溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板の製造方法。
本発明によれば、溶接熱影響部の靭性に優れた降伏強度が630MPa以上、板厚が75mm以上の厚肉高張力鋼板およびその製造方法が得られ、産業上極めて有用である。
成分の限定理由を説明する。説明において%は質量%とする。
C:0.02〜0.05%
Cは、構造用鋼に求められる強度を得るため必要不可欠の元素であるが、過剰に含有すると、溶接部に生成する島状マルテンサイトの生成量が多くなり、さらに島状マルテンサイト中のC濃度を上昇させ、その硬度を上昇させて靭性を低下させるので上限を0.05%とする。一方、0.02%より少なくすると、強度が得られず、合金元素の多量含有が必要になり製造コストが高くなるので、下限を0.02%とする。好ましくは0.02%〜0.04%である。
Si:0.3%以下
Siは脱酸成分として0.05%以上含有することが好ましい。しかし、0.3%より多くおよび溶接熱影響部の靭性を含有すると、母材靭性著しく低下させることから0.3%以下に制限する必要があり、島状マルテンサイト生成抑制の観点から、0.2%以下にすることが好ましい。
Mn:0.5〜3%
本発明では溶接熱影響部における島状マルテンサイトの生成量と硬度を低下させるためCの含有量を少なくし、母材強度を確保する観点からMnを0.5%以上、好ましくは、0.7%以上含有するものとする。一方、3%より多く含有すると、過剰に焼入性を高め、溶接熱影響部の靭性を著しく低下させることから、3%以下とする。
P:0.015%以下
Pは、0.015%を超えて含有すると、母材および溶接熱影響部の靭性を低下させるため0.015%以下に制限する。
S:0.005%以下
Sは、0.005%を超えて含有すると、母材および溶接熱影響部の靭性を低下させるため、0.005%以下とする。
Ni:0.5〜5%
Niは、鋼の強度および溶接熱影響部の低温靭性の向上に有効な元素で、そのような効果を得るため0.5%以上とする。しかし、他の合金元素に比べて高価であるため上限を5%とする。また、2%を超えて含有しても含有量に応じた靱性向上効果が飽和気味になるので、含有量は2%以下であることが好ましい。
Al:0.01〜0.08%
Alは溶鋼を脱酸するために、0.01%以上含有する必要があり、好ましくは0.02%以上の含有とする。一方、0.08%より多く含有すると、母材中に固溶するAl量が多くなり、母材靭性を低下させるとともに、溶接時に母材から溶接金属中に拡散し、その靭性を低下させるので、0.08%以下であることが必要で、0.07%以下であることが好ましい。
N:0.007%以下
Nは、母材中に固溶すると著しく母材靭性を低下させ、さらに溶接部においても粗大な炭窒化物を形成し靭性を低下させるので、0.007%以下、好ましくは0.005%以下に制限する。
B:0.0003〜0.003%
Bは、オーステナイト粒界に偏析することで粒界からのフェライト変態を抑制し、ベイナイト分率を増加させて母材強度を高めるため、0.0003%以上含有するものとする。一方、0.003%を超えて含有すると、炭窒化物として析出し焼入性を低下させ、靭性が低下するようになるので上限を0.003%とする。好ましくは0.0005〜0.002%である。
以上が本発明の基本成分組成であるが、さらに強度・靭性を高める目的でCu、Mo、 Cr、 V、 Nb、Ca、REMの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
Cu: 0.5%以下
Cuは低温靭性を損なうことなく鋼の強度の向上が図ることができ、この効果を得るには0.2%以上含有することが好ましい。しかし、0.5%を超えて含有すると熱間脆性によって熱間圧延時に鋼板表面に割れを生じるので、含有する場合は0.5%以下とすることが好ましい。
Mo:1%以下
Moは、母材の高強度化に有効な元素であり、この効果を得るには0.3%以上含有することが好ましい。しかし、多量に含有すると合金炭化物の析出による硬度の上昇を引き起こし、靭性を低下させるので含有する場合は1%以下とすることが好ましく、0.08%以下とすることがより好ましい。
Cr:3%以下
Crは、母材の高強度化に有効な元素であり、この効果を得るには0.5%以上含有することが好ましい。しかし、多量に含有すると靭性を低下させるので、含有する場合は3%以下とすることが好ましい。
V:0.2%以下
Vは母材の強度の向上に有効である。これらの効果を得るには0.02%以上含有することが好ましい。しかし、0.2%より多く含有すると硬質なVCの析出により靭性が低下するので含有する場合は0.2%以下にすることが好ましく、0.1%以下とすることがより好ましく、さらに好ましくは0.06%以下である。
Nb:0.1%以下
Nbは鋼の強化に有効な元素であり、この効果を得るには0.01%以上含有することが好ましい。しかし、0.1%を超えて含有すると溶接熱影響部の靭性を著しく低下させるので含有する場合は0.1%以下であることが好ましく、0.03%以下であることがさらに好ましい。
Ca:0.0005〜0.003%
Caを0.0005%以上含有すると、有害なOおよびSを酸化物および硫化物として固定し鋼の材質を改善することができる。しかし、0.003%を超えて含有しても、その効果が飽和するため、含有する場合は0.0005〜0.003%以下とすることが好ましい。
REM:0.0003〜0.003%
REMとはCe、Laをはじめとする希土類金属を指す。REMもCaと同様に0.0003%以上含有すると鋼中で酸化物を形成して、材質を改善する効果がある。しかし、0.003%を超えて含有してもその効果が飽和するため、含有する場合は0.0003〜0.003%とすることが好ましい。
本発明鋼の好ましい製造方法について以下に説明する。
上記組成の溶鋼を、常法により転炉、電気炉、真空溶解炉等で溶製後、鋳造してスラブ、ビレットなどの圧延素材を製造し、一旦冷却後に再加熱してから、または熱片状態から直接、熱間圧延を行う。以下の説明において温度は、本発明に係る鋼は厚肉材のため、板厚中心部での温度とする。板厚中心部の温度は、板厚、表面温度および冷却条件等から、シミュレーション計算等により求められる。例えば、差分法を用い、板厚方向の温度分布を計算することにより、板厚中心温度が求められる。
熱間圧延条件
スラブやビレットなどの圧延素材を一旦冷却後に再加熱してから、または、熱片状態から直接、熱間圧延を開始する。
熱間圧延の開始温度は、圧延素材である鋼素材を再加熱して圧延する場合、および、熱片状態から直接圧延する場合、のいずれの場合も、Ac点〜1150℃の範囲とする。
圧延開始温度の下限値は、再加熱時の圧延開始温度がAc点未満の場合、熱間圧延後、熱処理前の組織が複相組織になり板厚方向の焼入れ性が低下するためAc点以上とする。熱片状態から直接圧延を行う場合は、圧延開始温度がAr点以上であれば熱間圧延後、熱処理前の組織が複相組織とはならないが、圧延能率が著しく低下するので、再加熱の場合と同様にAc点以上の温度で圧延を開始する。
一方、圧延開始温度が1150℃を超えると粗大組織となって靭性が低下するため、圧延開始温度は1150℃以下とする。
上記の理由から、圧延素材である鋼素材を再加熱してから圧延する場合の再加熱温度は、Ac点〜1150℃の範囲とすることが好ましい。
なお、Ac点、Ar点は、たとえば下記の式により計算して求めることができるが、実測して求めることもできる。
Ac(℃)=937.2-476+56Si−19.7Mn−16.3Cu−26.6Ni−4.9Cr+38.1Mo+124.8V+136.3Ti+35Zr−19.1Nb+198.4Al+3315B
Ar(℃)=910−273C−74Mn−56Ni−16Cr−9Mo−5Cu
各元素記号は含有量(質量%)。
板厚中心部まで加工を加え組織を微細化するため、累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延を行う。
また、圧延後直接急冷する場合、焼入れ性を確保するために、Ar点以上で熱間圧延を終了することが好ましい。
熱処理条件
熱間圧延後の鋼板に、焼入れ・焼戻しの熱処理を施す。具体的には、[1]熱間圧延後、Ar点〜1000℃の温度から直接、板厚中心部が350℃以下になるまで急冷、または、[2]熱間圧延後放冷し、Ac点〜1000℃の間に再加熱し、板厚中心部が350℃以下になるまで急冷を行った後、450℃〜650℃で焼戻しを行う。
焼入れ開始温度は、1000℃を超えるとオーステナイト粒の粗大化による、母材強度および靭性の低下が著しいため、1000℃以下とする。一方、ミクロ組織の均質性を確保するため、オーステナイト単相組織から焼入れ開始する必要があるので、焼入れ開始温度は、熱間圧延後に直接急冷する場合にはAr点以上、また、熱間圧延後に放冷してから再加熱する場合にはAc点以上、であることが必要である。
熱間圧延後に直接焼入れすると、焼入れのための再加熱が不要となるので、省エネルギーの観点から好ましい。一方、板厚が100mmを超える極厚鋼板の場合、特に130mm以上の場合には、板厚全体にわたってより均質に目標の強度と靭性を得る上で、圧延後に再加熱して焼入れ焼戻しするプロセスをとることが好ましい。
焼入れ処理の急冷は、板厚中心部を350℃以下になるまで実施する。これにより、板厚全体にわたってベイナイト変態が確実に開始するので、後述の焼戻し処理まで完了した時点において焼戻しベイナイト主体の組織を得ることができる。ここで、本発明における急冷とは、板厚中心部の冷却速度が1.1℃/s以上の冷却を指すものとする。
焼戻し温度は、450℃未満では残留応力の除去効果が少なく、一方、650℃を超えると、種々の炭窒化物が粗大に析出するとともに、強度・靭性が大幅に低下するため、450℃〜650℃とする。
本発明鋼は、厚肉材であるため、鋼の強靭化を目的に、焼入れを複数回実施しても良い。但し、最終の焼入れ後、焼戻し処理を行う。
種々の化学成分のスラブを熱間圧延後、焼入れ焼戻しして板厚75〜200mmの厚鋼板を製造した。得られた鋼板について、引張試験およびシャルピー試験を実施した。
引張試験はJISZ2241に準拠して行い、各鋼板の板厚の1/4の位置から圧延方向にJIS4号引張試験片を採取し、引張強度(TS)および降伏強度(YP)を求めた。また、板厚1/4部よりVノッチ試験片(10mm幅)を試験片の長手軸の方向が圧延方向と平行となるように採取して、シャルピー衝撃試験をJISZ2242に準拠して行い、−60℃における吸収エネルギー(vE−60)を3回の平均値として求めた。
また、溶接部靱性の評価は、各鋼板から採取した溶接試験板にX開先(開先角度45°)を加工し、市販の高強度鋼用溶接ワイヤを用いて、入熱50kJ/cmのサブマージアーク溶接を行って溶接継手を作製し、その溶接継手の板厚の1/4の位置からVノッチ試験片(10mm幅)を試験片の長手軸の方向が圧延方向と平行となるように、そしてボンド部をノッチ位置として採取して、シャルピー衝撃試験をJISZ2242に準拠して行い、−60℃における吸収エネルギー(vE−60)を3回の平均値として求めた。
なお、Ac点、Ar点は、下式で求めた。
Ac(℃)=937.2-476.5C+56Si−19.7Mn−16.3Cu−26.6Ni−4.9Cr+38.1Mo+124.8V+136.3Ti+35Zr−19.1Nb+198.4Al+3315B
Ar(℃)=910−273C−74Mn−56Ni−16Cr−9Mo−5Cu
各元素記号は含有量(質量%)。
表1に化学成分を、表2に製造条件と試験結果を併せて示す。本発明例の鋼材(鋼1〜15)は、いずれも母材強度がTS≧720MPa、YP≧630MPa、母材の吸収エネルギーがvE−60≧120Jで、母材の強度・靭性に優れている。さらに、溶接ボンド部で、vE−60≧70Jの良好な特性を有していることが認められる。
一方、比較例の鋼(鋼16〜20)は、母材の引張強度、降伏強度、靭性もしくは溶接ボンド部における靭性の少なくとも1つの特性が本発明鋼より劣っていることが認められる。
Figure 0005552967
Figure 0005552967

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.02〜0.05%、Si:0.3%以下、Mn:0.5〜3%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Ni:0.5〜5%、Al:0.01〜0.08%、N:0.007%以下、B:0.0003〜0.003%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
    板厚が75mm以上であり、
    母材強度がTS≧720MPa、YP≧630MPa、vE−60≧120Jを満たし、溶接ボンド部がvE−60≧70Jを満たすことを特徴とする溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板。
  2. 鋼組成として、さらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Mo:1%以下、Cr:3%以下、V:0.2%以下、Nb:0.1%以下の中から選ばれる少なくとも1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板。
  3. 鋼組成として、さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.003%、REM:0.0003〜0.003%の中から選ばれる少なくとも1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の厚肉高張力鋼板の製造方法であって、
    素材に対して、Ac3点〜1150℃の温度域にて熱間圧延を開始し、累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延を行い所定の板厚とした後、Ar3点以上の温度から、板厚中心部が350℃以下になるまで急冷し、その後、焼戻すことを特徴とする溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板の製造方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の厚肉高張力鋼板の製造方法であって、
    素材に対して、Ac3点〜1150℃の温度域にて熱間圧延を開始し、累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延を行い所定の板厚とした後、放冷し、Ac3点〜1000℃に再加熱を行い、板厚中心部が350℃以下になるまで急冷し、その後、焼戻すことを特徴とする溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板の製造方法。
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