JP2013104065A - 溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板およびその製造方法 - Google Patents

溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大型鋼構造物に用いて好適な多層溶接部の低温靭性に優れる板厚が50mm以上の厚肉高張力鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.005〜0.02%、Si:0.3%以下、Mn:0.5〜5%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Ni:0.5〜5%、Cr:0.02〜3%、Al:0.01〜0.08%、N:0.007%以下、B:0.0003〜0.003%、必要に応じて、Cu、Mo、 V、 Nb、Ca、REMの中から1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼板。上記成分を含有するスラブを、Ac点〜1150℃に再加熱し、累積圧下率が50%以上となるように熱間鍛造および/または熱間圧延を行い所定の板厚とした後、直接焼入れまたは再加熱焼入れし、450〜650℃で焼戻す。
【選択図】なし

Description

本発明は、大型鋼構造物に用いて好適な厚肉高張力鋼板およびその製造方法に関し、特に溶接部の低温靭性に優れるものに関する。
海洋構造物など大型鋼構造物には板厚が厚い鋼が用いられることが多く、一般に、多層溶接が施工される。引張強さ500〜550MPa級鋼を用いた海洋構造物の場合、板厚50mm、75mmの厚肉材を2電極サブマージアーク溶接により多層溶接するが、その複雑な熱履歴によりボンド部(溶接金属と母材の境界)の他にボンド部が2相域に再加熱される部分(1サイクル目の溶接で粗粒となり、後続の溶接パスによりフェライトとオーステナイトの2相域に加熱される領域)(以下、2相域再加熱部)が局所脆化域となり、CTOD特性を劣化させる。
そのため、特許文献1,2には低C、低Si化した成分組成として、2相域再加熱により、オーステナイトに逆変態した領域に炭素が濃化し、冷却中に島状マルテンサイトが生成することを抑制し、多量に含有させるCuの時効析出により母材強度を確保する技術が記載されている。
また、特許文献3には最大板厚が3インチとなる降伏強度500〜550MPa級鋼の多層溶接HAZで優れたCTOD特性を確保するため、ボンド部近傍が微細でMA量の少ない組織となるように、Mg添加系とした鋼組成においてTi,Al添加量を調整し、更にCu,Ni,Cr,Moを削減することが記載されている。
引張強さ780MPa級鋼の場合、母材強度と靭性を確保するため焼入れ性の高い成分組成となるため溶接熱影響部には粗大なベイナイトやマルテンサイトが生成して靭性が劣化する。そのため、大入熱溶接は施されず、小入熱多層溶接のHAZ靭性も後続パスによるテンパー効果で改善されるため、厚肉材では溶接部靭性より、溶接性の改善が課題とされていた(例えば、特許文献4)。
しかしながら、特許文献5には、加工熱処理により製造される引張強さ780MPa級鋼の場合、再加熱焼入れ焼戻し材より母材成分の焼入れ性が低く、ボンド部がベイナイト主体組織となるため、後続パスによるテンパー効果が低いことが記載され、成分組成と溶接条件の両者の観点から、多層溶接HAZ靭性を改善することが提案されている。
また、特許文献6は、建設機械や産業機械に用いられるNiを含まない引張り強さ780MPa以上の高張力厚鋼板の製造方法に関し、加速冷却後の焼戻し処理を施さない製造方法において、鋼組成中のC量を低減する一方Mn量を増大して母材の強度靭性を確保し、更にMo,Si,V,Ti,Bを無添加とすることでHAZでの島状マルテンサイトとTiNの生成を抑制しシャルピー衝撃値を改善させることが記載されている。
このように、引張強さ780MPa以上の高張力厚鋼板の場合、製造方法の多様化と、その適用範囲の拡大に伴い、多層溶接部のHAZ靭性の確保が課題となっている。
特開平5−186823号公報 特開2001−335884号公報 特開2002−332536号公報 特開2007−138203号公報 特開2002−224835号公報 特開2009−263772号公報
ところで、海洋構造物に用いられる引張強さ780MPa級鋼は板厚50〜200mmと厚肉で、サブマージアーク溶接による多層溶接部の低温靭性として−60℃でのシャルピー衝撃値(切欠き位置:ボンド部)として70J以上が要求される。海構材の場合、大量に使用されるため、母材製造方法として直接焼入れ焼戻し処理が前提となるが、再加熱焼入れ焼戻し処理でも製造されることが望ましい。
特許文献4、5、6記載の引張強さ780MPa級鋼は板厚が25〜40mm程度と薄く、また、特許文献5記載の引張強さ780MPa級鋼は、TIG溶接による多層溶接を前提とした成分組成で海構材に用いることはできず、上記要求を満足する引張強さが720MPa以上の高張力鋼板、特に、引張強さ780MPa級鋼の成分組成は明らかにされていない。
そこで、本発明は、母材強度がTS≧720MPa、YP≧630MPa、母材靭性がvE−60≧120J、さらに、溶接部(切欠き位置:ボンド)で、vE−60≧70J以上の優れた低温靭性を有する板厚50mm以上の厚肉高張力鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、直接焼入れまたは再加熱焼入れで板厚50〜200mmで降伏強度が630MPa以上の強度と靭性が得られる母材成分組成と当該母材成分組成がボンド部靭性に及ぼす影響について鋭意検討し、以下の知見を得た。
1.母材中に含まれるC量を低減することにより、(イ)島状マルテンサイトの生成量を低下させ、(ロ)島状マルテンサイトとマトリックスの間の硬度差を小さくし、破壊起点になりにくくすることが、ボンド部の靭性向上に極めて有効である。
2.また、母材中に含まれるC量を低減しても、B添加系においてMn、Ni、Cr量を適切に調整することにより、再加熱焼入れ焼戻し処理でも直接焼入れ焼戻し処理でも所望する強度・靭性を備えた板厚50〜200mmの降伏強度が630MPa以上の引張り強さ780MPa級鋼が得られる。
本発明は得られた知見を基に更に検討を加えてなされたもので、すなわち本発明は、
1.質量%で、C:0.005〜0.02%、Si:0.30%以下、Mn:0.5〜5%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Cr:0.02%〜3%以下、Ni:0.5〜5%、Al:0.01〜0.08%、N:0.007%以下、B:0.0003〜0.003%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる溶接熱影響部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板。
2.さらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Mo:1%以下、V:0.2%以下、Nb:0.1%以下の中から1種または2種以上を含有することを特徴とする1記載の溶接熱影響部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板。
3.さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.003%、REM:0.0003−0.003%の中から1種または2種を含有することを特徴とする1または2記載の溶接熱影響部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板。
4.1乃至3のいずれか一つに記載の成分を含有するスラブを、Ac点〜1150℃に加熱後、累積圧下率が50%以上、終了温度Ar点以上の熱間鍛造および/または熱間圧延を行った後、直ちに板厚中心部が350℃以下になるまで急冷し、または放冷後、Ac点〜1050℃に再加熱した後、板厚中心部が350℃以下になるまで急冷し、その後、450〜650℃で焼戻すことを特徴とする溶接熱影響部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板の製造方法。
本発明によれば、海構材として好適な、板厚が50〜200mmの溶接熱影響部の靭性に優れた降伏強度が630MPa以上の厚肉高張力鋼板、特に引張強さ780MPa級鋼が得られ、産業上極めて有用である。
成分の限定理由を説明する。説明において%は質量%とする。
C:0.005〜0.02%
Cは、構造用鋼に求められる強度を得るため必要不可欠の元素であるが、多すぎると、溶接部に生成する島状マルテンサイトの生成量が多くなり、さらに島状マルテンサイト中のC濃度を上昇させ、その硬度を上昇させて靭性を低下させるので上限を0.02%とする。一方、0.005%より少なくすると、強度が得られず、合金元素の多量含有が必要になり製造コストが高くなるので、下限を0.005%とする。好ましくは0.01〜0.02%である。
Si:0.30%以下
Siは脱酸成分として含有するが、0.30%より多く含有すると、母材靭性および溶接熱影響部の靭性を著しく低下させることから0.30%以下に制限する必要がある。
Mn:0.5〜5%
本発明では溶接熱影響部における島状マルテンサイトの生成量と硬度を低下させるためCの含有量を少なくし、母材強度を確保する観点から0.5%以上含有する。一方、5%より多く含有すると、過剰に焼入性を高め、溶接熱影響部の靭性を著しく低下させることから、5%以下とする。
P:0.015%以下
Pは、0.015%を超えて含有すると、母材および溶接熱影響部の靭性を低下させるため0.015%以下に制限する。
S:0.005%以下
Sは、0.005%を超えて含有すると、母材および溶接熱影響部の靭性を低下させるため、0.005%以下とする。
Cr:0.02〜3%
Crは、母材の高強度化に有効な元素のため0.02%以上添加するが、多量に含有すると靭性を低下させるので、0.02〜3%とする。好ましくは0.1〜2.7%とする。
Ni:0.5〜5%
Niは、鋼の強度および溶接熱影響部の低温靭性の向上に有効な元素で、そのような効果を得るため0.5%以上とする。しかし、他の合金元素に比べて高価であるため上限を5%とする。好ましくは0.8〜5%とする。
Al:0.01〜0.08%
Alは溶鋼を脱酸するため、また、鋼中でAl窒化物を形成して固溶窒素量を低下させることでBNの析出を抑制し、鋼中にBを十分に固溶させて焼入性を確保するため、0.01%以上とする。一方、0.08%より多く含有すると、母材中に固溶するAl量が多くなり、母材靭性を低下させるとともに、溶接時に母材から溶接金属中に拡散し、溶接熱影響部の靭性を低下させるので0.01〜0.08%とする。
N:0.007%以下
Nは、母材中に固溶すると著しく母材靭性を低下させ、さらに溶接部においても粗大な炭窒化物を形成し靭性を低下させるので、0.007%以下とする。
B:0.0003〜0.003%
Bは、オーステナイト粒界に偏析することで粒界からのフェライト変態を抑制し、ベイナイト分率を増加させて母材強度を高めるため、0.0003%以上とする。一方、0.003%を超えて含有すると、炭窒化物として析出し焼入性を低下させ、靭性が低下するようになるので0.0003〜0.003%とする。好ましくは0.0005〜0.002%である。
以上が本発明の基本成分組成であるが、さらに強度・靭性を高める目的でCu、Mo、 V、 Nb、Ca、REMの中から1種または2種以上を含有することができる。
Cu: 0.5%以下
Cuは低温靭性を損なうことなく鋼の強度の向上が図れるが、0.5%より多く含有すると熱間脆性によって熱間圧延時に鋼板表面に割れを生じるので含有させる場合は0.5%以下とする。
Mo:1%以下
Moは、母材の高強度化に有効な元素であるが、多量に含有すると合金炭化物の析出による硬度の上昇を引き起こし、靭性を低下させるので含有させる場合は1%以下とする。
V:0.2%以下
Vは母材の強度・靭性の向上に効果があり、また、VNとして析出することで固溶Nの低下に有効であるが、0.2%より多く含有すると硬質なVCの析出により靭性が低下するので含有させる場合は0.2%以下にする。好ましくは、0.1%以下である。
Nb:0.1%以下
Nbは鋼の強化に有効な元素であるが、0.1%を超える含有は溶接熱影響部の靭性を著しく低下させるので含有させる場合は0.1%以下とする。
Ca:0.0005〜0.003%
Caを0.0005%以上含有すると、有害なOおよびSを酸化物および硫化物として固定し鋼の材質を改善する。しかし、0.003%を超えて含有しても、その効果が飽和するため含有させる場合は0.0005〜0.003%以下とする。
REM:0.0003〜0.003%
REMはCe、Laをはじめとする希土類金属を指す。REMもCaと同様に0.0003%以上含有すると鋼中で酸化物および硫化物を形成して材質の改善効果がある。しかし、0.003%を超えて含有してもその効果が飽和するため、含有させる場合は0.0003〜0.003%とする。
本発明鋼の好ましい製造方法について以下に説明する。
上記組成の溶鋼を、常法により転炉、電気炉、真空溶解炉等で溶製後、鋳造して、スラブやビレットなどの熱間加工素材を製造し、一旦冷却後に再加熱してから、または熱片状態から直接、1.熱間鍛造、2.熱間圧延、3.熱間鍛造および熱間圧延の両方のいずれかを圧延素材の大きさにあわせて適宜選択して行って、所望の板厚とする。以下の説明において温度は、本発明に係る鋼は厚肉材のため、板厚中心部での温度とする。板厚中心部の温度は、板厚、表面温度および冷却条件等から、シミュレーション計算等により求められる。例えば、差分法を用い、板厚方向の温度分布を計算することにより、板厚中心温度が求められる。
熱間鍛造および/または熱間圧延条件
スラブやビレットなどの熱間加工素材を、一旦冷却後に再加熱してから、または熱片状態から直接、熱間鍛造および/または熱間圧延を開始する。以下の説明では、必要に応じ、熱間鍛造および/または熱間圧延を、熱間加工と総称することもある。
熱間加工開始温度は、スラブを再加熱してから熱間加工する場合、および、熱片状態から直接、熱間加工を行う場合のいずれであっても、Ac点〜1150℃の範囲とする。熱間加工開始温度がAc点未満では、後述の熱処理の前組織が層状組織となり板厚方向の焼入れ性が低下するため、Ac点以上とする。熱片状態から直接鍛造や圧延を行う場合は、鍛造や圧延などの熱間加工開始温度がAr点以上であれば、熱間加工後、後述の熱処理前の組織が複相組織とはならないが、熱間加工の能率が著しく低下するので、再加熱の場合と同様にAc点以上の温度で熱間加工を開始する。
一方、1150℃を超えると粗大組織となって靭性が低下するようになるため、上限を1150℃とする。
なお、Ac点、Ar点は、たとえば下記の式により計算して求めることができるが、実測して求めることもできる。
Ac(℃)=937.2C-476.5+56Si−19.7Mn−16.3Cu−26.6Ni−4.9Cr+38.1Mo+124.8V+136.3Ti+35Zr−19.1Nb+198.4Al+3315B
Ar(℃)=910−273C−74Mn−56Ni−16Cr−9Mo−5Cu
各元素記号は含有量(質量%)、含有しない元素については0とする。
板厚中心部まで加工を加え組織を微細化するため、累積圧下率が50%以上となるように熱間鍛造および/または熱間圧延を行う。
また、熱間加工後に直接急冷する場合、焼入れ性を確保するために、Ar点以上で熱間鍛造および/または熱間圧延を終了することが好ましい。
熱処理条件
熱間加工により所望の板厚とされた鋼板に、焼入れ・焼戻しの熱処理を施す。具体的には、[1]熱間加工後、Ar点以上の温度から直接、板厚中心部がMs点以下になるまで急冷、または[2]熱間加工後放冷し、Ac点〜1050℃の間に再加熱し、板厚中心部がMs点以下になるまで急冷を行った後、450℃〜650℃で焼戻しを行う。
焼入れ開始温度は、1050℃を超えるとオーステナイト粒の粗大化による、母材強度および靭性の低下が著しいため1050℃以下とする。一方、ミクロ組織の均質性を確保するため、オーステナイト単相組織から焼入れ開始する必要があるので、焼入れ開始温度は、熱間加工後に直接急冷する場合にはAr点以上、また、熱間加工後に放冷してから再加熱する場合にはAc点以上、であることが必要である。
熱間圧延後に直接焼入れすると、焼入れのための再加熱が不要となるので、省エネルギーの観点から好ましい。一方、板厚が100mmを超える極厚鋼板の場合、特に130mm以上の場合には、板厚全体にわたってより均質に目標の強度と靭性を得る上で、圧延後に再加熱して焼入れ焼戻しするプロセスをとることが好ましい。
焼入れ処理の急冷は、板厚中心部を350℃以下になるまで実施する。これにより、板厚全体にわたってベイナイト変態が確実に開始するので、後述の焼戻し処理まで完了した時点において焼戻しベイナイト主体の組織を得ることができる。ここで、本発明における急冷とは、板厚中心部の冷却速度が1.1℃/s以上の冷却を指すものとする。
焼戻し温度は、450℃未満では残留応力の除去効果が少なく、一方、650℃を超える温度では、種々の炭窒化物が析出するとともに、母材の組織が粗大化し、強度・靭性が大幅に低下するため、450〜650℃とする。
本発明鋼は、厚肉材であるため、鋼の強靭化を目的に、焼入れを複数回しても良い。但し、最終の焼入れ後、焼戻し処理を行う。
種々の化学成分のスラブを熱間鍛造および/または熱間圧延後、焼入れ焼戻しして板厚50〜200mmの厚鋼板を製造した。得られた鋼板について、引張試験およびシャルピー試験を実施した。
引張試験はJIS2241に準拠して行い、各鋼板の板厚の1/4の位置から圧延方向にJIS4号引張試験片を採取し、引張強度(TS)および降伏強度(YP)、を求めた。また、各鋼板の板厚の1/4の位置から、Vノッチ試験片(10mm幅)を試験片の長手軸の方向が圧延方向と平行となるように採取して、シャルピー衝撃試験をJISZ2242に準拠して行い、−60℃における吸収エネルギー(vE−60)を3回の平均値として求めた。
また、溶接部靱性の評価は、各鋼板から採取した溶接試験板にX開先(開先角度45°)を加工し、市販の高強度鋼用溶接ワイヤを用いて、入熱50kJ/cmのサブマージアーク溶接を行って溶接継手を作製し、板厚の1/4の位置から圧延方向にVノッチ試験片(10mm幅)を試験片の長手軸の方向が圧延方向と平行となるように、そしてボンド部をノッチ位置として採取し、シャルピー衝撃試験をJISZ2242に準拠して行い、−60℃における吸収エネルギー(vE−60)を3回の平均値として求めた。
なお、Ac、Arは、以下の式で求めた。
Ac(℃)=937.2-476.5C+56Si−19.7Mn−16.3Cu−26.6Ni−4.9Cr+38.1Mo+124.8V+136.3Ti+35Zr−19.1Nb+198.4Al+3315B
Ar(℃)=910−273C−74Mn−56Ni−16Cr−9Mo−5Cu
各元素記号は含有量(質量%)、含有しない元素については0とする。
表1に化学成分を、表2に製造条件と試験結果を併せて示す。試料No.1〜12は本発明例の鋼材(鋼番1〜12)による試験結果を示し、いずれも母材強度がTS≧720MPa、YP≧630MPa、母材靭性がvE−60≧120Jで、母材の強度・靭性に優れている。また、溶接部(切欠き位置:ボンド部)で、vE−60≧70Jの良好な特性を有していることが認められた。
一方、試料No.17〜26の比較例の鋼(鋼13〜22)は、母材強度、降伏強度、母材靭性もしくは溶接部での靭性の少なくとも1つの特性が本発明鋼より劣っていることが認められる。また、表2の比較例の試料No.13、14、15、16に示すように成分が本発明の範囲内である場合でも、焼入温度または焼戻温度が本発明の範囲外である場合、母材組織の特性が低化し、母材の強度、靭性および溶接部の靭性のいずれか一つ以上の特性が劣っていることが認められる。
Figure 2013104065
Figure 2013104065

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.005〜0.02%、Si:0.30%以下、Mn:0.5〜5%、P:0.015%以下、S:0.005%以下、Cr:0.02〜3%、Ni:0.5〜5%、Al:0.01〜0.08%、N:0.007%以下、B:0.0003〜0.003%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる溶接熱影響部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板。
  2. さらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Mo:1%以下、V:0.2%以下、Nb:0.1%以下の中から1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の溶接熱影響部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板。
  3. さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.003%、REM:0.0003〜0.003%の中から1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2記載の溶接熱影響部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の成分を含有するスラブを、Ac点〜1150℃に加熱後、累積圧下率が50%以上、終了温度Ar点以上の熱間鍛造および/または熱間圧延を行った後、直ちに板厚中心部が350℃以下になるまで急冷し、または放冷後、Ac点〜1050℃に再加熱した後、板厚中心部が350℃以下になるまで急冷し、その後、450〜650℃で焼戻すことを特徴とする溶接熱影響部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板の製造方法。
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