JP4492028B2 - レーザビーム溶接継手およびレーザビーム溶接継手の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶、建築、鉄鋼構造物等の溶接構造物に用いて好適な鋼材の溶接方法に係り、とくにレーザビームを用いて溶接接合したレーザビーム溶接継手部における靱性改善に関する。なお、本発明における鋼材は、鋼板、形鋼、鋼管を含むものとする。
【0002】
【従来の技術】
高エネルギービーム溶接は高いエネルギー密度を有することから、深溶け込みの高速溶接が可能であり、高能率溶接法として期待されている。高エネルギービームの一種であるレーザビームは、光学系の改良、 制御機器の信頼性向上等により、その出力が年々増大してきている。なかでも、炭酸ガスレーザにおいては、利用可能な出力は50kWにも達し、数十mm厚の鋼材を貫通できるまでになっている。また、最近では高出力のYAGレーザも市販されており、ビーム伝送の柔軟性からレーザ溶接機としての利用が拡大されつつある。
【0003】
しかし、この高エネルギービーム溶接では、極めて局所的な溶融となるため、板厚あたりに投入される熱量が従来のアーク溶接に比べて著しく小さい、いわゆる小入熱溶接となる。このため、溶接部の冷却速度が速くなり、例えば、溶接金属は著しく硬化し、溶接金属および熱影響部(以下、HAZ:Heat Affected Zoneともいう) の靱性が劣化する場合が多いという問題がある。
【0004】
このような問題に対し、例えば特許文献1には、鋼の酸素量を高め鋼の焼入れ性を低減することにより、高エネルギー溶接の一種である電子ビーム溶接の溶接部硬化性を低減させる技術が提案されている。しかしながら、鋼中酸素量の増加は母材靱性を著しく劣化させる場合があるため、実用的な改善策とはいい難い。また、特許文献2には、Ti:0.003 〜0.06%および固溶Al:0.001 〜 0.015%を含有する鋼材に高エネルギー密度ビーム溶接を行うに当り、シールドガスに適量の酸素を混合することにより、溶接金属中にAlやTiの微細な酸化物が分散し、これによって溶接金属の組織を微細化し、溶接部の靱性を向上させる溶接方法が提案されている。しかし、特許文献2に記載された技術では、溶接金属の組織は微細化され高靱性化されるが HAZの高靭化には効果が認められないという問題がある。
【0005】
さらに、高エネルギービーム溶接では、ビーム径が小さいため、開先精度が悪くルートギャップがある突き合わせ溶接継手の場合、ビームがそのまま通り抜けてしまうことが多々あり、健全な溶接ができないという問題がある。健全な高エネルギービーム溶接を行うために、厳しい精度で開先を形成することが要求されている。このような開先精度の厳しさが、高エネルギービーム溶接の普及を妨げている原因の一つであると言われている。
【0006】
また、特許文献3には、レーザビーム溶接用ワイヤが開示されている。特許文献3に記載された技術では、B、TiまたはZrを同時に含有し、かつ炭素当量の低いフィラワイヤを用いて溶接金属組成を制御し溶接金属の焼入れ性を低下させて、溶接金属組織を微細なアシキュラーフェライト組織とすることにより、レーザビーム溶接継手部靭性を高靭性とする技術である。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−64486 号公報
【特許文献2】
特開平8−155658号公報
【特許文献3】
特開平5−185280号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3に記載された技術では、レーザビーム溶接継手の溶接金属靭性は改善されるが、HAZ靭性を高めるまでには至っていない。
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、溶接金属靭性およびHAZ靱性に優れたレーザビーム溶接継手およびその製造方法を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するため、溶接金属の成分組成、溶接金属の組織、被溶接材である鋼材の成分組成、シールドガスについて、種々の検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、鋼材をレーザビーム溶接により溶接接合したレーザビーム溶接継手であって、前記溶接継手の溶接金属が、mass%で、Ti:0.008 〜 0.032%、B:0.0004〜0.0028%、Al: 0.005〜0.028 %を含み、かつAl/Oが 0.7〜1.1 であり、さらに次(1)式
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15 ……(1)
(ここで、Ceq:炭素当量(mass%)、C、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni:各合金元素の含有量(mass%))
で定義される炭素当量Ceqが0.190 〜0.401 %である溶接金属組成と、面積率で68%以上のアシキュラーフェライト相を含む溶接金属組織と、を有することを特徴とする溶接金属部靱性に優れたレーザビーム溶接継手である。
【0010】
また、本発明は、鋼材を溶接材料を用いるレーザビーム溶接により溶接接合して溶接継手を製造するにあたり、前記鋼材を、mass%で、C:0.04〜0.17%、Ti: 0.008〜0.021 %、B:0.0001〜0.0008%、さらにAl:0.005 〜0.037 %を含み、かつ次(1)式
Ceq =C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15 ・・・(1)
(ここで Ceq:炭素当量(mass%)、C、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni:各合金元素の含有量(mass%))
で定義される炭素当量Ceqが0.210 〜0.417 %である鋼材組成を有する鋼材とし、前記溶接材料を、mass%で、Ti:0.015 〜0.160 %、B:0.0010〜0.0100%を含み、かつ下記(1)式で定義される炭素当量Ceqが0.212 〜0.463 %である溶接材料組成を有する溶接材料とし、前記レーザビーム溶接のシールドガスを、酸素供給ガスを含有するガスとし、好ましくはルートギャップを 1.0〜1.4mm として、溶接接合することを特徴とする溶接金属部靱性に優れたレーザビーム溶接継手の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、鋼材を、溶接材料を用いるレーザビーム溶接により溶接接合して溶接継手を製造する。本発明で使用する鋼材は、mass%で、C:0.04〜0.17%、Ti: 0.008〜0.021 %、B:0.0001〜0.0008%、Al:0.005 〜0.037 %を含有し、かつ炭素当量Ceqが0.210 〜0.417 %である鋼材とすることが好ましい。
【0012】
まず、本発明で使用する鋼材の鋼材組成の限定理由について説明する。以下、組成におけるmass%は単に%で記す。
C:0.04〜0.17%
Cは、鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度に応じ含有できる。本発明では、0.04%以上含有する。しかし、0.17%を超えてCを含有すると、溶接熱影響部の硬さが増加し、耐溶接割れ性、靭性を劣化させる。このため、Cは0.04〜0.17%の範囲とする。
Ti: 0.008〜0.021 %
Tiは、Nとの結合力が大きく、TiN として析出し、HAZ組織の粗大化を抑制しHAZ靱性を向上させる効果を有している。これらの効果は0.008 %以上の含有で認められる。一方、0.021 %を超えて含有しても効果が飽和するうえ、不要な析出物が増加する。このため、Tiは 0.008〜0.021 %の範囲に限定する。なお、鋼材中に含有されるTiは、溶接時に鋼材からの希釈により溶接金属中に移行し溶接金属の高靭化にも寄与する。
【0013】
B:0.0001〜0.0008%
Bは、オーステナイト粒界に偏析し、焼入れ性を向上させる元素であり、レーザビーム溶接に際しては、溶接熱影響部(HAZ)の焼入れ性を増加させ、HAZ靱性を著しく低下させる。このため、HAZ靭性向上の観点から、鋼材中にはBはできるだけ含有させないことが望ましい。しかし、Bは溶接金属中に極僅かに存在するだけで溶接金属の粒界フェライト抑制の効果がある。このため、本発明では、鋼材中にBを少量、具体的には0.0008%以下0.0001%以上含有させておき、溶接時に鋼材からの希釈により溶接金属の靭性向上に必要なB量を確保する。
【0014】
Al:0.005 〜0.037 %
Alは、脱酸剤として作用するとともに、結晶粒の微細化に寄与する元素であり、0.005 %以上含有することが好ましいが、0.037 %を超えて多量に含有すると介在物中のAl2 O3 濃度が増加し、大型クラスター介在物を生成し、延性、靭性を低下させる。レーザ溶接継手の溶接金属組成は、鋼材組成の影響を強く受けるため、鋼材がAlを多く含有していると、溶接金属中のAl含有量も多くなる。溶接金属中のAl含有量が多くなると、溶接金属組織をアシキュラーフェライト組織とするために必要な条件である、Al/O: 0.7〜1.1 を満足させるために、溶接金属中のO含有量を多くする必要があり、そのため、必要以上の酸化物が形成され、靭性低下の要因となる。このようなことから、鋼材中のAlは0.037 %以下に限定する。なお、より好ましくは0.005 〜0.010 %である。
【0015】
Ceq :0.20〜0.42%
本発明では、Ceq (炭素当量)は、次(1)式
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15 ……(1)
(ここで、Ceq:炭素当量(%)、C、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni:各合金元素の含有量(%))
で定義される。
【0016】
(1)式で定義される炭素当量Ceq は、鋼板の強度および焼入れ性に及ぼす化学成分の影響を示す指数であり、Ceq の値が高くなるほど焼入れ性が増加し、鋼板の強度が高くなりやすい。本発明では、Ceq が0.210 %未満では所望の鋼材強度が得られない。一方、Ceq が0.417 %を超えると、レーザビーム溶接を行った場合にHAZ組織がマルテンサイト組織となり、高いHAZ靱性が得られない。このようなことから、鋼材のCeq は0.210 〜0.417 %に限定する。なお、より好ましくは Ceq:0.24〜0.29%である。
【0017】
本発明で使用される鋼材は、HAZ靭性および溶接金属部靱性に優れたレーザビーム溶接継手を得るために、上記したように基本成分を限定する。なお、それ以外の成分は特に限定されないが、高強度、 高靭性鋼材とするために、下記のような組成とすることが好ましい。
【0018】
Si:1.0 %以下
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼の強度を増加させる作用を有する元素である。このような効果は、0.01%以上の含有で顕著となる。一方、 1.0%を超えて含有すると、鋼材靱性が低下する。このため、Siは1.0 %以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.05〜0.35%である。
【0019】
Mn:2.0 %以下
Mnは、鋼の強度を増加させる作用を有する元素であり、他の強化元素の含有量とのバランスをとりつつ含有することができる。本発明では所望の強度を確保するために0.5 %以上含有することが好ましい。一方、 2.0%を超えて含有すると、鋼材靱性が低下する。このため、Mnは2.0 %以下とすることが好ましい。なお、 より好ましくは 0.5〜 1.4%である。
【0020】
P:0.030 %以下
Pは、不純物として鋼の靱性を劣化させ、さらに溶接割れを起こしやすくするため、できるだけ低減することが好ましい。しかし、0.030 %以下に低減することにより、溶接割れは防止できる。このため、Pは0.030 %までは許容できる。
S:0.030 %以下
Sは、不純物として鋼の靱性を劣化させ、さらに溶接割れを起こしやすくするため、できるだけ低減することが好ましい。しかし、0.030 %以下に低減することにより、溶接割れは防止できる。このため、Sは0.030 %までは許容できる。
【0021】
本発明で使用する鋼材は、上記した成分に加えてさらに、下記の成分を含有することが好ましい。
Cu:1.0 %以下、Ni:5.0 %以下、Cr:1.0 %以下、Mo:1.5 %以下、Nb:0.2 %以下、V:0.1 %以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、Vは、いずれも鋼の強度を上昇させる作用を有する元素であり、必要に応じて選択して含有することができる。しかし、Cu:1.0 %、Ni:5.0 %、Cr:1.0 %、Mo:1.5 %、Nb:0.2 %、V:0.2 %をそれぞれ超えて含有しても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。
【0022】
Ca:0.0040%以下、REM (希土類元素):0.0080%以下のうちから選ばれた1種または2種
Ca、REM は、いずれもHAZの粗粒化を抑制する作用を有し、必要に応じ、選択して含有できる。このような効果は、Ca:0.0005%以上、REM :0.0020%以上の含有で顕著に認められる。一方、Ca:0.0040%、REM :0.0080%を超える含有は、介在物が過剰となるとともに、クラスター状となり靭性に悪影響を及ぼす。
【0023】
上記した成分以外の残部は、好ましくはFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、O:0.005 %以下が許容できる。
上記した組成の鋼材を、溶接材料を用いるレーザビーム溶接により溶接接合して、レーザビーム溶接継手を製造する。
本発明で使用するレーザビーム溶接のビーム源としては、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ等が好適であるが、これに限定されるものではなく、公知のレーザビームがいずれも適用できることはいうまでもない。
【0024】
本発明では、レーザビーム溶接は、シールドガスとして酸素供給ガスを含むガスを用いる。酸素供給ガスを含有するガスとしては、酸素ガス、炭酸ガスあるいはそれらの混合ガスを含む不活性ガスが例示される。酸素供給ガスを含有する酸化性雰囲気中で溶接することにより、酸素が溶接金属中に供給され、主として溶接材料に含有されるTiが酸素との親和力の比較的大きな他の元素(例えば、Mn)と共に酸化され、Ti系複合酸化物を形成し、溶接金属中に分散される。Ti系複合酸化物に、例えばMnを含有する酸化物を含むことにより、周辺にはMnの少ないMn欠乏層が形成され、その部分の炭素当量が低下し、フェライト相が形成されやすくなるとともに、このTi系複合酸化物は、フェライトとの整合性に優れるため、アシキュラーフェライトの核生成サイトとして有効に働き、溶接金属組織を微細なアシキュラーフェライト主体の組織とし、高い溶接金属靱性が得られるようになる。また、Tiは、Bより酸素との親和力が強いため、溶接金属中のBの酸化を抑制し、Bによる粒界フェライト抑制作用が低下することを防止でき、したがって、アシキュラーフェライト主体の溶接金属組織の形成をより促進できるという効果もある。
【0025】
なお、酸素供給ガスを含有するガスとして、酸素ガス、炭酸ガスあるいはそれらの混合ガスを含有する不活性ガスを用いる場合は、次(2)式
1 ≦VO2+0.2 VCO2 ≦ 15 ………(2)
ここで、VO2 :シールドガス中の酸素ガスの体積分率(vol %)
VCO2 :シールドガス中の炭素ガスの体積分率(vol %)
を満足するガス組成とすることが好ましい。
【0026】
シールドガス中のVO2+ 0.2VCO2 が1vol %未満では、溶接金属組織の顕著な微細化が得られず、一方、VO2+ 0.2VCO2 が 15vol%を超えると、溶接金属の激しい酸化が生じ、気泡等の欠陥が生じるほか、溶接金属中に粒界フェライトが多量に生成し、アシキュラーフェライトの生成が抑制され、溶接金属の靱性が劣化する。なお、不活性ガスとしては入手の容易さからHeガスまたはArガスとすることが好ましい。なお、より好ましくはVO2+ 0.2VCO2 が3〜6 vol%以下である。
【0027】
本発明では、レーザビーム溶接において、溶接材料を供給して溶接するため、開先のルートギャップは、溶接材料を供給しない場合にくらべ広いルートギャップが許容できる。しかし、ルートギャップが 1.0〜1.4mm を外れると溶接材料を供給しても開先面を溶融できず、健全な溶接継手が得られず好ましくない。このため、ルートギャップは 1.0〜1.4mm に限定する。なお、本発明では、ビームのオシレーションを行ってもよく、これによりギャップ間隔をより広くすることができる。
【0028】
また、本発明における溶接手段にはレーザビームだけでなく TIGあるいは MIG、MAG といったアーク溶接方法を併用することも可能である。これらのアーク熱源を併用することにより、さらに要求される突合わせ精度を緩和することが可能となる。また、溶接材料がアークにより容易に融解されるため、溶接材料の供給も容易になる。更に、アークからの入熱により冷却速度を低減することも可能となり、継手部靱性をより向上させることも可能である。なお、溶接金属中へ供給する酸素は、この併用するアーク溶接のシールドガスから供給してもよい。
【0029】
また、本発明で使用するフィラワイヤ等の溶接材料は、mass%で、Ti:0.015 〜0.160 %、B:0.0010〜0.0100%を含み、かつ炭素当量Ceqが0.212 〜0.463 %である溶接材料とすることが好ましい。
つぎに、本発明で使用する溶接材料の組成限定理由について説明する。
Ti:0.015 〜0.160 %
Tiは、Ti系複合酸化物を介し均一なアシキュラーフェライト生成に有効に働き、溶接金属の高靱性化に寄与する。酸素供給ガスを含むシールドガス中でレーザビーム溶接を行うことにより、溶接材料中に含まれるTiは、酸素との親和力の大きな他の元素(例えば、Mnなど)と共に複合酸化物を形成し、溶接金属中に分散する。このTi系複合酸化物が、アシキュラーフェライト等の微細組織の核生成サイトとして有効に働くとともに、TiがBの酸化を防止することによりBの粒界フェライト生成抑制能の低下を防止し、溶接金属組織を微細なアシキュラーフェライト主体の組織とする。これにより、高靱性の溶接金属が得られる。このような効果は、溶接金属中のTi量が 0.008〜 0.032%であればよい。溶接材料中のTi量は被溶接材である鋼材からの希釈およびスラグとして排出される分を考慮して0.015 〜0.160 %とする。溶接材料中のTi量が0.015 %未満では、溶接金属中に十分な量のTi系複合酸化物を得ることができない。一方、0.160 %を超えて含有しても、効果が飽和するとともに、溶接金属中に不要な析出物が増加する。このため、溶接材料中のTiは0.015 〜0.160 %に限定する。
【0030】
B:0.0010〜0.0100%
Bは、結晶粒界に偏析し粒界フェライトの発生を抑制して、溶接金属の高靭性化に大きく寄与する元素である。シールドガスから酸素を供給し、Tiを含む複合酸化物を形成させる本発明の場合には、粒界フェライトが生成しやすく、溶接金属の高靭性化の観点から、Bの添加は特に有効となる。溶接金属中へのBの添加は、 被溶接材である鋼材のみからの希釈としてもよいが、粒界フェライトの生成を抑制するためには、鋼材中にBを0.0008%を超えて含有することが必要となる。しかし、溶接継手部の溶接熱影響部の靭性を低下させないためには鋼材中のBはできるだけ低減しておくことが望ましい。このため、本発明ではBは溶接材料から主として供給する。
【0031】
フィラワイヤ等の溶接材料中のB含有量が0.0010%未満では粒界フェライトの生成を抑制することが困難であり、一方、0.0100%を超えて含有すると、BN、B化合物を形成して溶接金属の靭性を低下させる。このため、溶接材料中のBは0.0010〜0.0100%の範囲とする。なお、より好ましくは0.0030〜0.0060%である。
【0032】
Ceq:0.212 〜0.463 %
溶接金属をさらに高靱性とするには、溶接金属の組成を、前記(1)式で定義される炭素当量Ceq を0.212 〜0.463 %とする。Ceq が0.463 %を超えて高くなると焼入れ性が増加して溶接金属の硬さが増加し、靭性が劣化しやすくなる。一方、Ceq が0.212 %未満では粒界フェライトが生成しやすくなり、 溶接金属靭性が劣化する。したがって、溶接金属のCeq を0.190 〜0.401 %となるように、鋼材の組成、溶接条件に応じ、溶接材料のCeq を0.212 〜0.463 %とする。
【0033】
高靭性の溶接金属を得るためには、溶接材料は、上記した基本組成としたうえで、さらに、下記に示す成分を含有することが好ましい。
C:0.24%以下
Cは、焼入れ性を増加させる元素であり、C含有量が多くなるとレーザビーム溶接では溶接金属が急冷されるため、溶接金属中のC含有量が多くなり、マルテンサイト、 ベイナイトを生成しやすく、溶接金属を硬化させ靭性を劣化させる傾向を有する。このため、溶接材料溶中のC含有量はできるだけ低減するほうが溶接金属の高靭性化のためには好ましい。本発明で溶接継手の製造に使用される鋼材のC含有量が0.02〜0.20%であり、また、シールドガスが酸素供給を含み、溶接金属中のCは酸素と反応してCOガスとなり、溶接金属中のC含有量は減少する。このため、溶接材料中のC含有量が0.24%以下であれば、溶接金属の硬化、靭性の低下は抑制できる。
【0034】
Mn:0.80〜2.60%
Mnは、酸素との親和力が強く、また炭素当量Ceqへの寄与も大きく、焼入れ性を増加させる元素である。シールドガスを酸素供給ガスとしてレーザ溶接する本発明の場合には、溶接金属中でMn酸化物が形成されると、その周辺ではMn欠乏層が形成される。そのMn欠乏層では炭素当量が低下しアシキュラーフェライト相が生成する。本発明では、Mnは溶接金属組織をアシキュラーフェライト組織とし溶接金属の靭性向上に寄与する重要な元素である。
【0035】
レーザビーム溶接のシールドガス中に酸素含有ガスが含まれる本発明の場合には、Mnは酸素と結合してスラグとして溶接金属から排出される割合が多くなる。そのため、溶接金属の強度を確保するために、Mnは溶接材料中に0.80%以上含有することが好ましい。一方、材料中に2.60%を超えて含有すると、C含有量を低減しても島状マルテンサイト等の低靭性組織の生成を避けることができない。このため、溶接材料中のMnは0.80〜2.60%の範囲に限定することが好ましい。なお、 より好ましくは0.80〜1.40%である。
【0036】
なお、 本発明に使用する溶接材料は、上記した成分以外にさらに、Cu,Ni,Cr,Mo,Vのうちから選ばれた1種または2種以上を前記した炭素当量Ceqの範囲内で含有することができる。また、Nb:0.80%以下を溶接金属の強度増加のために必要に応じ含有することもできる。
本発明に使用する溶接材料は、上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物としては、P:0.030 %以下、S:0.030 %以下、が許容できる。
【0037】
上記した組成の鋼材、溶接材料、溶接方法を用いてレーザビーム溶接継手を得る。
レーザビーム溶接継手の溶接金属の靱性はその化学組成に大きく影響され、本発明においては溶接材料を用いるため、溶接材料の化学組成と鋼材からの希釈により溶接金属の靱性が決定される。本発明のレーザビーム溶接継手における溶接金属は、mass%で、Ti:0.008 〜 0.032%、B:0.0004〜0.0028%、Al: 0.005〜0.028 %を含み、かつAl/Oが 0.7〜1.1 であり、さらに前記(1)式で定義される炭素当量Ceqが0.190 〜0.401 %である溶接金属組成と、面積率で68%以上のアシキュラーフェライト相を含む溶接金属組織と、を有する。
【0038】
以下、溶接金属の組成、組織の限定理由について説明する。
Ti:0.008 〜 0.032%
Tiは、前記したように、Ti系複合酸化物を介し均一なアシキュラーフェライト生成に有効に働き、レーザビーム溶接における溶接金属の高靱性化に寄与する。レーザビーム溶接を酸素供給ガスを含むシールドガス中で行うことにより、溶接材料、鋼材に含まれるTiは酸素との親和力の大きな他の元素(例えば、Mn)と共に複合酸化物を形成する。このTi系複合酸化物が、アシキュラーフェライト等の微細組織の核生成サイトとして有効に働くとともに、TiがBの酸化を防止することによりBの粒界フェライト生成抑制能の低下を防止し、溶接金属組織を微細なアシキュラーフェライト主体の組織とする。これにより高靱性の溶接金属が得られる。
【0039】
このような効果を得るには、溶接金属中のTi量を 0.008〜 0.032%とする。 0.008%未満では、溶接金属中に十分な量のTi系複合酸化物を得ることができない。また、 0.032%を超えて含有すると、その効果が飽和するだけでなく、溶接金属中に不要な析出物を増加させ、靱性が向上しない。このようなことから、溶接金属中のTiは0.008 〜 0.032%の範囲とした。なお、好ましくは0.01〜0.02%である。
【0040】
B:0.0004〜0.0028%
Bは、結晶粒界に偏析し粒界フェライトの発生を抑制して、溶接金属の高靭性化に大きく寄与する元素である。シールドガスから酸素を供給し、Tiを含む複合酸化物を形成させる本発明の場合にはこのシールドガスからの酸素添加により溶接金属には粒界フェライトが生成しやすく、溶接金属の高靭性化の観点から、Bは特に有効となる。B含有量が、0.0004%未満では粒界フェライト抑制の効果が得られず、一方、0.0028%を超える場合はBNおよびB化合物を生成して溶接金属靱性を低下させる。このため、溶接金属中のBは0.0004〜0.0028%の範囲とした。
【0041】
Al: 0.005〜0.028 %
Alは、Ti、Mnよりも酸素との親和力が強く、溶接金属の凝固過程の初期(高温)に酸化物(Al2O3 )を形成する。しかし、Al2O3 はアシキュラーフェライトの核生成サイトとして機能しない酸化物であり、またAlは炭素当量にも影響を与えないため、Alは溶接金属の組織をアシキュラーフェライト化することには何の効果も示さない。したがって、本発明では、溶接金属組織のアシキュラーフェライト化という観点からは溶接金属中のAl含有量はできるだけ低減することが好ましいが、0.028 %までは許容できる。Alを0.028 %超えて含有すると、溶接金属組織をアシキュラーフェライトするためには、多量の酸素を含有することが必要となり、酸化物が過剰となり靭性が低下する。このため、Alは 0.005〜0.028 %に限定した。なお、少ない酸素含有量で溶接金属組織をアシキュラーフェライト化するために、Alは0.01%以下とすることがより好ましい。
【0042】
Al/O: 0.7〜1.1
溶接金属組織のアシキュラーフェライト化の観点から、Mn、Ti系の複合酸化物を形成させるためには、Al2O3 形成により消費される以上の酸素が溶接金属中に存在する必要があり、そのためには、溶接金属中のAl含有量とO含有量の比、Al/Oが1.1 以下となるようにAl含有量とO含有量を調整することが好ましい。Al/Oが0.7 未満となると、溶接金属中の酸素含有量が多くなりすぎ、酸化物量が多くなり、延性破壊の起点となる酸化物が多くなり、衝撃試験の吸収エネルギーが低下する。また、Al/Oが小さくなりすぎると、Bが酸化され、粒界フェライト生成を抑制することができず、溶接金属靭性が低下する。このため、Al/Oを0.7 以上に調整する。なお、好ましくは0.8 〜1.0 である。
【0043】
Ceq:0.190 〜0.401 %
前記した(1)式で定義されるCeq は、溶接金属靱性に大きな影響を与える。レーザビーム溶接のように冷却速度の速い溶接においては、溶接金属のCeq が0.401 %を超えると、溶接金属が著しく硬化し、靱性が低下する。一方、溶接金属のCeq が0.190 %未満と低い場合は、レーザビーム溶接のような冷却速度の速い溶接においても、粗大な粒界フェライトが発生し、靱性が低下する。このため、溶接金属の炭素当量Ceq は0.190 〜0.401 %とした。
【0044】
溶接金属の組成は、上記した基本成分以外の成分は特に限定されるものではないが、上記した基本成分に加えて、さらに、下記成分を含有することが好ましい。
C:0.02〜0.20%
Cは、溶接金属の強度を所望の強度とするために、 本発明では、0.02%以上含有することが好ましい。しかし、0.20%を超えてCを含有すると、溶接金属の硬さが増加し、耐溶接割れ性、靭性を劣化させる。このため、Cは0.02〜0.20%の範囲とすることが好ましい。
【0045】
Si:1.0 %以下
Siは、溶接金属の強度を増加させる作用を有し、0.01%以上含有することがより好ましいが、1.0 %を超えて含有すると、溶接金属の靱性が低下する。このため、溶接金属のSiは 1.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.7 %以下である。
【0046】
Mn:0.5 〜 2.00 %
Mnは、酸素との親和力が強く、また炭素当量Ceqへの寄与も大きく、焼入れ性を増加させ溶接金属の強度を増加させる元素であるが、溶接金属の強度を所望の強度とするためには、0.5 %以上含有することが好ましい。一方、 2.00 %を超えて含有すると、溶接金属靱性が低下する。このため、溶接金属のMnは0.5 〜 2.00 %の範囲内とすることが好ましい。
【0047】
Mnは、酸素との親和力が強く、また炭素当量Ceqへの寄与も大きく、焼入れ性を増加させる。シールドガスを酸素供給ガスとするレーザ溶接の場合には、Mnは溶接金属中で酸化物を形成すると同時に、その周辺ではMn欠乏層が形成される。そのMn欠乏層では炭素当量が低下しアシキュラーフェライト相が生成しやすくなる。Mnは溶接金属組織をアシキュラーフェライト組織とし溶接金属の靭性向上させる重要な元素である。
【0048】
レーザビーム溶接のシールドガス中に酸素含有ガスが含まれる本発明の場合には、Mnは酸素と結合してスラグとして溶接金属から排出される割合が多くなる。そのため、溶接金属の強度を確保するために、Mnは溶接金属中に0.50%以上含有することが好ましい。一方、2.00%を超えて含有すると、C含有量を低減しても島状マルテンサイト等の低靭性組織の生成を避けることができない。このため、溶接金属中のMnは0.50〜2.00%の範囲に限定することが好ましい。なお、 より好ましくは0.8 〜1.8 %である。
【0049】
本発明における溶接金属は、上記した成分に加えてさらに、下記の成分を含有してもよい。
Cu:1.0 %以下、Ni:5.0 %以下、Cr:1.0 %以下、Mo:1.5 %以下、V:0.1 %以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Cu、Ni、Cr、Mo、Vは、いずれも溶接金属の強度を上昇させる作用を有する元素であり、必要に応じて選択して、上記したCeq の範囲内で含有することができる。しかし、Cu:1.0 %、Ni:5.0 %、Cr:1.0 %、Mo:1.5 %、V:0.1 %をそれぞれ超えて含有しても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなる。
【0050】
また、本発明の溶接金属ではNb:0.2 %以下含有してもよい。Nbが 0.2%超えて含有すると、強度が増加しすぎて溶接金属の靭性が劣化する。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、P:0.030 %以下、S:0.030 %以下が許容できる。
なお、本発明の溶接方法では、シールドガスに酸素供給ガスを含有させているため、溶接金属中には、0.0050〜0.0300%の酸素(O)が含有されている。この酸素は、アシキュラーフェライトの核生成サイトとなる複合酸化物として含有されている酸素を含んでいる。
【0051】
また、本発明の溶接継手の溶接金属の組織は、十分な靱性を確保するためにアシキューフェライト相が面積率で68%以上である組織とする。アシキューフェライト相以外の組織としてはベイナイト相および/または粒界フェライト相である。なお、組織分率は、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡により5箇所以上で倍率:400 倍で撮像した組織を画像解析装置により求めた平均値を使用するものとする。
【0052】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
表1に示す組成を有する鋼板(板厚:7mm)と、表2に示す溶接材料(フィラワイヤ:直径0.9mm または 1.0mm)と、を用いて、表3に示す溶接条件(溶接速度、シールドガス、ガス流量、ワイヤ供給速度)でレーザビーム溶接を行った。なお、溶接装置はレーザ出力5.5kWのレーザ溶接装置を用いた。開先はI開先とし、ルートギャップ:1.4 mmまたは 1.0mmとした。なお、開先は切削加工により形成した。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
得られたレーザビーム溶接継手の溶接金属(WM)中央部、HAZから、 シャルピー衝撃試験片を採取し、JIS Z 2202の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施し、0℃における吸収エネルギー(vE0 )および延性−脆性破面遷移温度(vTrs)を求め、溶接金属(溶接金属中央部)およびHAZの靭性を評価した。また、溶接金属中央部から分析試料を採取し、溶接金属組成を調査した。
【0057】
なお、シャルピー衝撃試験片は、鋼板の厚さの制限と、衝撃試験時に亀裂が母材側に逃れる現象(Fracture Pass Deviation )を防止するため、深さ0.5mm のサイドノッチを付与したハーフサイズ2mmVノッチシャルピー衝撃試験片とした。また、溶接金属部の組織観察を行い、溶接金属中に占めるアシキュラーフェライトの組織分率を測定した。組織観察は、光学顕微鏡( 400倍)で少なくとも5視野観察して、画像解析装置により各視野におけるアシキュラーフェライトの面積率を計測し、観察した視野における平均値を求め、溶接金属中のアシキュラーフェライトの面積率とした。得られた結果を表4に示す。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
本発明例はいずれも、0℃での吸収エネルギー(vE0 )が、溶接金属で 58J以上、HAZで50J以上と高く、vTrsも溶接金属で−40℃未満、HAZで−43℃以下と低温であり、良好な溶接金属靭性、およびHAZ靭性を有する溶接継手となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例では、溶接金属、HAZのいずれかで、0℃での吸収エネルギーvE0 が低いか、vTrsが高温となっており、溶接金属靭性および/またはHAZ靭性が低下している。
【0061】
使用した鋼板の組成が本発明の好適範囲を外れる継手No.19 〜No.22 では、溶接金属靭性が劣化している。また、使用した溶接材料が本発明の好適範囲を外れる継手No.13 、No.15 、No.16 、No.18 〜No.20 、No.28 、No.29 、No.31 、No.40 では、溶接金属靱性が低下している。
また、使用したシールドガスが本発明の好適範囲から外れるHeガスを使用して溶接した継手No.1、No.3、No.5、No.7、No.9、No.11 、No.19 〜No.22 では、溶接金属組織が本発明範囲から外れ、溶接金属靭性が劣化している。
【0062】
また、溶接金属中のAl含有量と酸素(O)含有量の比、Al/Oが本発明の好適範囲から外れる継手(No.1〜7 、No.9 、No.11 、No.14 〜No.26 、No.33 、No.34 、No.37 )では、アシキュラーフェライトの生成量が少なくなる傾向を示し、溶接金属靭性が低下する傾向を示す。
【0063】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、溶接金属靱性、および溶接熱影響部靭性に優れたレーザビーム溶接継手およびレーザビーム溶接継手の製造方法を提供でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、船舶、建築、鉄鋼構造物等の溶接構造物の分野でレーザビーム溶接の適用が可能となり、工業的意義は極めて大きい。
Claims (3)
- 鋼材をレーザビーム溶接により溶接接合したレーザビーム溶接継手であって、前記溶接継手の溶接金属が、mass%で、Ti:0.008 〜 0.032%、B:0.0004〜0.0028%、Al: 0.005〜0.028 %を含み、かつAl/Oが 0.7〜1.1 であり、さらに下記(1)式で定義される炭素当量Ceqが0.190 〜0.401 %である溶接金属組成と、面積率で68%以上のアシキュラーフェライト相を含む溶接金属組織と、を有することを特徴とする溶接金属部靱性に優れたレーザビーム溶接継手。
記
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15 ……(1)
ここで、Ceq:炭素当量(mass%)
C、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni:各合金元素の含有量(mass%) - 鋼材を溶接材料を用いるレーザビーム溶接により溶接接合して溶接継手を製造するにあたり、前記鋼材を、mass%で、C:0.04〜0.17%、Ti: 0.008〜0.021 %、B:0.0001〜0.0008%、さらにAl:0.005 〜0.037 %を含み、かつ下記(1)式で定義される炭素当量Ceqが0.210 〜0.417 %である鋼材組成を有する鋼材とし、前記溶接材料を、mass%で、Ti:0.015 〜0.160 %、B:0.0010〜0.0100%を含み、かつ下記(1)式で定義される炭素当量Ceqが0.212 〜0.463 %である溶接材料組成を有する溶接材料とし、前記レーザビーム溶接のシールドガスを、酸素供給ガスを含有するガスとすることを特徴とする溶接金属部靱性に優れたレーザビーム溶接継手の製造方法。
記
Ceq =C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15 ・・・(1)
ここで Ceq:炭素当量(mass%)
C、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni:各合金元素の含有量(mass%) - 前記レーザビーム溶接におけるルートギャップを 1.0〜1.4mm とすることを特徴とする請求項2に記載のレーザビーム溶接継手の製造方法。
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