JP5132019B2 - 溶接継手部靱性に優れた極低炭素鋼溶接継手の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶、貯槽、パイプライン等の溶接構造物に用いて好適な引張強さ490MPa以上700MPa以下を有する溶接構造用鋼材の溶接方法に係り、とくにレーザビーム溶接継手部における靱性改善に関する。なお、本発明における鋼材は、鋼管、鋼板および形鋼を含むものとする。
【0002】
【従来の技術】
レーザビームを用いた溶接は、高いエネルギー密度を得ることができるため、深溶け込みの高速溶接が可能であり、高能率溶接法として期待されている。レーザ出力は光学系の改良、制御機器の信頼性向上により、年々増大してきている。例えば、炭酸ガスレーザにおいては利用可能な出力は50kWにも達し、数十mm厚の鋼材を貫通溶接できるまでになっている。また、最近では高出力のYAGレーザも市販されており、ビーム伝送の柔軟性からレーザ溶接機としての利用が拡大されつつある。
【0003】
しかし、このレーザビームを用いた溶接は、極めて局所的な溶融となるため、板厚あたりに投入される熱量が従来のアーク溶接に比べて著しく小さい、いわゆる小入熱溶接となる。このため、溶接部の冷却速度が速くなり、溶接金属は著しく硬化し、溶接金属靱性が劣化する場合が多いという問題がある。
このような問題に対し、レーザビーム溶接と同様に冷却速度が速い電子ビーム溶接についてではあるが、例えば、特開昭62−64486 号公報には、鋼の酸素量を高め、鋼の焼入れ性を低減することにより、溶接部の硬化性を低下させる技術が提案されている。しかしながら、鋼中酸素量の増加は母材靱性を著しく劣化させる場合があり、実用的な改善策とはいい難い。
【0004】
また、特開平2−282446号公報には、レーザビーム溶接と同様に深溶け込み溶接が可能な電子ビーム溶接における、溶接性に優れた降伏強さ60kgf/mm2 (588MPa)以上の高張力鋼が提案されている。特開平2−282446号公報に記載された技術では、鋼材の焼入れ性を、靱性劣化の生じやすい上部べイナイト組織ではなく、下部べイナイトあるいは下部べイナイトとマルテンサイトの混合組織が生成しやすいように調整することにより、電子ビーム溶接部の靱性が飛躍的に向上するとしている。しかし、特開平2−282446号公報に記載された技術では、対象としている鋼は、引張強さ686MPa以上の高強度鋼に限られる。
【0005】
一方、本発明が対象としている引張強さが490 〜700MPaの汎用実用鋼に、レーザビーム溶接のような冷却速度の速い溶接を適用すると、溶接部では硬質のマルテンサイトや、粗大炭化物あるいは島状マルテンサイトを多く含んだ上部べイナイトが形成されやすく、溶接金属の著しい硬化や靱性劣化が発生することを阻止できない。
【0006】
また、特開平8−155658号公報には、Ti:0.003 〜0.06%およびsol.Al:0.001 〜0.015 %を含有する鋼材を高エネルギー密度ビーム溶接を行うにあたり、シールドガスに適量の酸素を混合することにより、溶接金属中にAlやTiの微細な酸化物が分散し、これによって溶接金属の組織を微細化し、溶接部の靱性を向上させる溶接方法が提案されている。
【0007】
しかし、特開平8−155658号公報に記載された技術では、鋼材の強度を確保する観点から対象とする鋼材はC含有量が0.02質量%以上の低合金高張力鋼に限定されている。特開平8−155658号公報に記載された技術によれば、溶接金属の組織は微細化され高靱性化するが、溶接熱影響部(HAZ)の高靱性化には効果が認められないという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の問題点を有利に解決し、引張強さ490 〜700MPaの鋼材をレーザビーム溶接により溶接接合する溶接継手の製造方法において、優れた溶接継手部靱性が得られる極低炭素鋼溶接継手の製造方法を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するため、溶接入熱が低く、冷却速度の速いレーザビーム溶接により、鋼材を溶接接合して得られる溶接継手部の靱性に及ぼす各種要因について鋭意研究した。従来から、低温靱性が最も優れている組織はアシキュラーフェライトであるということが数多く報告されている(例えば、溶接部の組織と靱性,堀井 行彦:第128 回西山記念講座など)。
【0010】
本発明者らは、アシキュラーフェライトに注目し、レーザ溶接においても溶接金属組織をアシキュラーフェライト主体の組織にできれば、溶接金属の高靱性化が可能であるとの考えに到達した。本発明者らは、さらに研究の結果、被溶接材としてCを極低炭素域まで低減し、さらにB、Tiを適正範囲内で含む鋼材組成と、鋼材の組織を炭化物を極めて少量しか含まない極低炭素ベイナイト相を主体とする鋼材組織とを有する鋼材を用いるとともに、レーザビーム溶接のシールドガス組成を調整することにより、溶接継手部の高靱性化が達成されることを知見した。具体的には、レーザビーム溶接のシールドガスを、適正量の酸素供給ガスを混合した不活性ガスとし、シールドガスから溶接金属中に酸素を供給することにより、溶接金属中のTi等を酸化しTi含有複合酸化物とし溶接金属中に析出分散させ、それにより溶接金属組織を、靱性に富むアシキュラーフェライト相を主体とする微細な組織とすることができ、さらに極低炭素域まで鋼材のC含有量を低減することにより、HAZ靱性の劣化を抑制できることを見いだした。
【0011】
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加え完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨は下記(1)〜(4)のとおりである。
(1)質量%で、C:0.005 〜0.025 %、Si:0.1 〜0.5 %、Mn:2.5 %以下、S:0.003 %以下、Al:0.05%以下、Ti:0.005 〜0.08%、B:0.0003〜0.0060%、N:0.0035%以下を含み、好ましくは残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材組成と、面積比率で、90%以上の極低炭素べイナイトと5%以下の炭化物を含む鋼材組織を有する鋼材を、レーザビーム溶接により溶接接合し溶接継手を製造するにあたり、前記レーザビーム溶接が、フィラワイヤを使用するレーザビーム溶接であり、前記フィラワイヤが、質量%で、C:0.010 〜0.10%、Mn:0.6 〜2.5 %、Ti:0.010 〜0.220 %、B:0.0020〜0.0200%、Si:0.30〜0.58%、Al:0.003 〜0.006 %を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、前記レーザビーム溶接のシールドガスを1〜40 vol%の酸素供給ガスを混合した不活性ガスとすることにより溶接金属組織をアシキュラーフェライトを主体とする組織とすることを特徴とする優れた溶接継手部靱性を有する極低炭素鋼溶接継手の製造方法。
(2)(1)において、前記鋼材が、前記鋼材組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.05〜2.00%、Ni:0.05〜3.00%、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、Nb:0.08%以下、V:0.08%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする極低炭素鋼溶接継手の製造方法。
(3)(1)または(2)において、前記鋼材が、前記鋼材組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0040%、REM :0.0020〜0.0080%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする極低炭素鋼溶接継手の製造方法。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、次(1)式
Ceq =C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15 ・・・ (1)(ここに、C、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni:各元素の含有量(質量%))
で定義されるCeq が質量%で0.15〜0.35%を有する溶接金属を形成することを特徴とする極低炭素鋼溶接継手の製造方法。
【0012】
なお、本発明でいう極低炭素べイナイトとは、quasi-polygonal α(αq )、granular Zw −α(αB )、Bainitic ferrite(α°B )およびこれらの混合組織をいう。なお、αq 、αB 、α°B は「(極) 低炭素鋼のべイナイト組織と変態挙動に関する最近の研究」((社)日本鉄鋼協会基礎共同研究会 べイナイト調査研究部会 最終報告書、平成6年7月30日発行:第8頁、Table 1)に記載された組織と同一の組織を意味するものとする。
【0013】
また、本発明でいう極低炭素べイナイト、アシキュラーフェライト、炭化物の面積比率とは、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡観察により得られた面積率の平均値をいうものとする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明では、適正な鋼材組成と鋼材組織を有する鋼材をレーザビーム溶接により溶接接合して極低炭素鋼溶接継手を製造する。
まず、本発明で使用する鋼材の鋼材組成限定理由について説明する。以下、組成における質量%は単に%で記す。
【0015】
C:0.005 〜0.025 %
Cは、鋼材の母材および溶接熱影響部(HAZ)の組織を支配する重要な元素であり、本発明では、母材、HAZともに平衡状態でセメンタイト(炭化物の一つ)の生成をなくし、かつレーザビーム溶接継手部において、HAZ組織で靱性を劣化させる硬質マルテンサイトの生成を抑制するために、Cは0.025 %以下の極低炭素とした。Cを0.025 %以下の極低炭素とし、適切な合金元素を添加することにより、冷却速度に依存せずに、母材組織を極低炭素ベイナイト組織とすることができ、引張強さ490MPa以上の比較的高強度を有する鋼材とすることができる。
【0016】
また、Cを0.025 %以下の極低炭素とすることにより、冷却速度の速いレーザビーム溶接においてもHAZ組織を炭化物が極めて少量の極低炭素ベイナイトとすることができる。また、さらにレーザビーム溶接継手部の溶接金属においても、鋼材のC含有量を0.025 %以下の極低炭素とすることにより、靱性を劣化させる硬質マルテンサイトの生成が抑制される。さらにこの鋼材の極低炭素化と、後述するレーザビーム溶接におけるシールドガスを酸素供給ガスを混合した不活性ガスとすることを組合せることにより、溶接金属の組織を靱性に富むアシキュラーフェライトを主体とする微細な組織とすることができ、靱性に優れた溶接金属が得られ、靱性に優れたレーザビーム溶接継手とすることができる。
【0017】
なお、C含有量の減少に伴い、固溶Cが減少するため粒界強度が低下し、粒界破壊を起こしやすくなり、鋼材の靱性が低下する。このため、Cは0.005 %以上の含有を必要とする。このようなことから、本発明では、Cは0.005 〜0.025 %の範囲に限定した。なお、好ましくは0.020 %以下である。
Si:0.1 〜0.5 %
Siは、脱酸剤として作用し、鋼材の靱性を向上させる元素である。このような効果は0.1 %以上の含有で顕著となる。一方、0.5 %を超えて含有すると、Siがフェライト形成元素であるため、鋼材組織が極低炭素ベイナイト組織から粒状フェライト(polygonal ferrite (αp)) となりやすく、強度が低下するとともに鋼材靱性が著しく劣化する場合がある。このため、Siは0.1 〜0.5 %に限定した。なお、好ましくは、0.3 %以下である。
【0018】
Mn:2.5 %以下
Mnは、極低炭素域の鋼材の連続冷却変態挙動に大きく影響する元素であり、形成されるラス(ベイナイトの内部構造)が微細化した靱性に富む極低炭素ベイナイト組織を得るためには、0.5 %以上含有するのが望ましい。一方、2.5 %を超えて含有すると、全C量を少なくしても島状マルテンサイト等の靱性の低い組織が生成する。このため、Mnは2.5 %以下に限定した。なお、好ましくは、強度、靱性の観点から、0.8 〜1.8 %である。
【0019】
S:0.003 %以下
レーザビーム溶接では、通常溶加材は使用されないため、溶接金属は、鋼材組成とほとんど同一となる。このため、溶接時の凝固割れ発生を防止するためには、鋼材組成を凝固割れの発生がない組成とする必要がある。Sは、硫化物を形成し、延性、および耐凝固割れ性を低下させる元素であり、鋼材のSをできるだけ低減するのが望ましい。とくに、極低炭素化することにより、液相−固相温度が接近して凝固割れを起こしやすくなるため、Sの低減は重要になる。Sが0.003 %を超えると、溶接時に溶接金属の最終凝固部に溶接凝固割れが多発するため、本発明ではSは0.003 %以下に限定した。なお、好ましくは0.001 %以下である。
【0020】
Al:0.05%以下
Alは、脱酸剤として作用するが、多量に添加すると介在物中のAl2O3 濃度が増加し、大型クラスター介在物を生成する。このため、Alは0.05%以下に限定した。
Ti:0.005 〜0.08%
Tiは、Nとの結合力が大きく、Bと結合するNをTiN として固定し、Bの有効利用を促進する。Bの有効利用により、鋼材の組織を微細な極低炭素ベイナイトを主体とする組織とすることができ、鋼材の強度、靱性が増加する。また、TiはTiN として析出し、高温における粒成長を抑制し、靱性を向上させる効果も有している。このような効果は、0.005 %以上の含有で認められる。
【0021】
一方、0.08%を超える含有は、不溶な析出物を増加させるだけでなく、鋼材中においても炭化物を形成し、粒界強度を低下させ靱性を低下させる。このため、Tiは0.005 〜0.08%に限定した。なお、Tiは脱酸剤としての作用もある。Tiを、脱酸剤として、十分に作用させるためには、0.025 %以上含有させるのが好ましい。
【0022】
また、Tiは、レーザビーム溶接による溶接金属の高靱性化に寄与する。レーザビーム溶接を、酸素供給ガスを混合した不活性ガスのシールドガス中で行うことにより、溶接金属中で、鋼材に含まれるTiが、酸素との親和力の大きな他の元素と共に複合酸化物を形成する。このTiを含む複合酸化物が、アシキュラーフェライト等の微細な組織の核生成サイトとして有効に働き、溶接金属組織を微細なアシキュラーフェライト主体の組織とする。これにより、高靱性の溶接金属となる。
【0023】
B:0.0003〜0.0060%
Bは、焼入れ性を向上させる元素であり、軟質なフェライトや、粗い針状フェライトの生成を抑制し、均一で微細な極低炭素ベイナイト相を安定して得るために有効であり、本発明においては重要な元素の一つである。鋼材組織を、靱性に富む極低炭素ベイナイトとするためには、Bを少なくとも0.0003%以上含有することが必要となる。また、Bは、酸素供給ガスを混合した不活性ガスのシールドガス中で行うレーザビーム溶接の溶接金属における、粒界フェライトの生成を抑制する効果もあり、溶接金属の靱性劣化を防止できる。一方、0.0060%を超える含有は、Fe−B系析出物を生成するため、靱性を増加させる効果が得られなくなる。このようなことから、Bは0.0003〜0.0060%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.0010〜0.0025%である。
【0024】
N:0.0035%以下
Nは、Bと結合しBNとなり、有効Bを低減する。有効Bの低減は粒界から発生しやすいフェライトや粗い上部べイナイトの生成を助長させるため、靱性に富む微細な極低炭素べイナイトが形成され難くなる。また、Nは固溶Nとしてオーステナイトの安定化に寄与し、島状マルテンサイトのような微視的な硬質相の生成を助長し、靱性を劣化させる。このため、本発明ではできるだけNを低減する。しかし、極端なN含有量の低減は、製造コストの増加を招くため、本発明ではNの許容上限を0.0035%とした。
【0025】
本発明で使用する鋼材は、上記した成分に加えて、さらに、下記の成分を含有することが好ましい。
Cu:0.05〜2.00%、Ni:0.05〜3.00%、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、Nb:0.08%以下、V:0.08%以下のうちの1種または2種以上
Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、Vは、いずれも強度を増加させる元素であり、必要に応じ、これらのうちの1種または2種以上を選択して含有できる。
【0026】
Cuは、強度を増加させるとともに、ベイナイト変態温度を調節する効果を有している。鋼材組織、HAZ組織靱性に富む極低炭素ベイナイトを主体とする組織にするために、0.05%以上含有するのが好ましい。一方、2.00%を超える含有は、マトリックスへのC固溶濃度が減少し島状マルテンサイトを形成させやすくし、靱性を劣化させる。このため、Cuは0.05〜2.00%の範囲に限定するのが好ましい。
【0027】
Niも、Cuと同様に、強度を増加させるとともに、ベイナイト変態温度を調節する効果を有する。鋼材組織、HAZ組織を、靱性に富む極低炭素ベイナイトを主体とする組織にするために、0.05%以上含有するのが好ましい。一方、3.00%を超える含有は、マトリックスへのC固溶濃度が減少して島状マルテンサイトを形成させやすくし、靱性を劣化させる。このため、Niは0.05〜3.00%の範囲に限定するのが好ましい。
【0028】
Crは、鋼の強度を増加させる元素であるが、1.0 %を超える含有は、それ以上の強度増加が望めず、逆に靱性の劣化を招く。このため、Crは1.0 %以下に限定するのが好ましい。なお、より好ましくは0.1 〜0.8 %である。
Moは、鋼の強度を増加させる元素であるが、1.0 %を超える含有は、それ以上の強度増加が望めず、逆に靱性の劣化を招く。このため、Moは1.0 %以下に限定するのが好ましい。なお、より好ましくは0.1 〜0.8 %である。
【0029】
Vは、固溶して、あるいは炭化物、窒化物を形成して、強度を増加させる元素であるが、0.08%を超える含有は、フェライトの形成傾向が大きくなる。このため、Vは0.08%以下とするのが好ましい。なお、強度向上の観点から、より好ましくは、0.002 %以上である。
Nbは、オーステナイトの加工歪の蓄積を容易とし、強度の増加を促進する。このような効果を得るためには、0.01%以上含有するのが好ましい。しかし、0.08%を超えて含有すると、炭化物を形成し鋼材の粒界強度を低下させ、靱性を低下させる。このため、Nbは0.08%以下に限定するのが好ましい。なお、より好ましくは、母材の強度靱性の向上、HAZ靱性向上の観点から、0.010 〜0.050 %である。
【0030】
Ca:0.0005〜0.0040%、REM (希土類元素):0.0020〜0.0080%のうちの1種または2種
Ca、REM は、いずれも溶接熱影響部の粗粒化を抑制する作用を有し、必要に応じ、Ca、REM のうちから1種または2種を含有できる。
Ca、REM は、いずれも介在物(析出物)を形成し、高温における鋼材の粒粗大化を抑制する効果を有している。このような効果は、Ca:0.0005%以上、REM :0.0020%以上の含有で認められる。一方、Ca:0.0040%、REM :0.0080%を超えて含有すると、介在物が過剰となるとともに、クラスター状介在物となり、破壊の起点となりむしろ靱性に悪影響を及ぼす。このため、Caは0.0005〜0.0040%、REM は0.0020〜0.0080%の範囲に限定するのが好ましい。なお、REM は、Sc、Y、および原子番号57のLaから原子番号71のLuまでの元素のうちの1種または2種以上とするのが好ましい。なかでも、Ceおよび/またはLaとするのが材料の入手のしやすさから好ましい。
【0031】
上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としてはP:0.005 %以下、O:0.0035%以下が許容できる。
つぎに、本発明で使用する鋼材の鋼材組織限定理由について説明する。
本発明で使用する鋼材は、上記した組成に加えて、面積比率で90%以上の極低炭素ベイナイトと、5%以下の炭化物を含む組織を有する。なお、本発明でいう、組織における面積比率とは鋼材断面を観察した際に各組織が占める面積率をいうものとする。
【0032】
極低炭素べイナイトを、面積比率で90%以上含有することにより、強度、靱性ともに優れた鋼材となる。極低炭素べイナイトの面積比率が90%未満ではフェライトが生成し強度が低下したり、炭化物を含む粗い上部べイナイトや島状マルテンサイトが生成し、母材およびHAZの靱性が劣化する。このため、本発明では、鋼材組織における極低炭素べイナイトの面積比率を90%以上に限定した。
【0033】
また、本発明の鋼材では、炭化物が面積比率で、5%以下含有される。炭化物量が、5%を超えるとHAZの靱性が劣化する。鋼材およびHAZの靱性は、基地(マトリックス)中に含まれる硬質相によっても低下する。硬質相としては、炭化物があるが、こうした硬質相の影響は基地と硬質相の硬さの違いが大きいほど大きくなる。したがって、良好な靱性を有する鋼材とするためには、硬質相である炭化物の量を制限する必要がある。このため、炭化物は5%以下に限定した。
【0034】
上記した極低炭素べイナイトおよび炭化物以外の相、たとえば、粒状・針状フェライト、上部べイナイト、下部べイナイト、マルテンサイトなどは、炭化物よりも硬さが低いため、これらの相の合計量が、面積比率で10%未満であれば、靱性に対しとくに強い悪影響は与えない。ただし、島状マルテンサイトは、6%以下とするのが好ましい。
【0035】
本発明では、上記した鋼材組成と鋼材組織を有する極低炭素鋼材を、レーザビーム溶接により、溶接接合し、極低炭素鋼溶接継手を製造する。
本発明で使用するレーザビーム溶接のビーム源としては、炭酸ガスレーザまたはYAGレーザが好ましいが、これらに限定されるものではない。公知のビーム源がいずれも適用することができる。
【0036】
本発明では、レーザビーム溶接におけるシールドガスを、酸素供給ガスを混合した不活性ガスとする。シールドガスが、酸素供給ガスを含むことにより、溶接中に溶接金属に酸素が供給され、溶接金属中に鋼材から供給されたTi等が酸化され、Tiを含む複合酸化物が生成し、溶接金属中に分散される。これら複合酸化物が、アシキュラーフェライト等の微細な組織の核生成サイトとして作用し、溶接金属の組織を靱性に富む微細な組織とし、溶接金属の靱性が向上する。この微細な組織はアシキュラーフェライトを主体とするのが好ましく、これにより溶接金属の靱性がさらに向上する。
【0037】
なお、ここでいう、アシキュラーフェライトを主体とする組織とは、アシキュラーフェライト相が含有比率で60%以上含まれる組織をいうものとする。なお、アシキュラーフェライト相以外の溶接金属の残部組織は、ベイナイトあるいは粒界フェライトとなる。
シールドガス中の、酸素供給ガスの含有量は1〜40vol %とする。不活性ガスとしては、入手の容易さからHeガスまたはArガスが好ましい。シールドガス中の、酸素供給ガス含有量が1vol %未満では、溶接金属組織の顕著な微細化が得られず、一方、40vol %を超えると激しい酸化が生じ、気泡等の欠陥が生じるほか、溶接金属中に粒界フェライトが多く発生し、溶接金属の靱性が劣化する。このようなことから、シールドガス中の酸素供給ガスの含有量は1〜40vol %とする。
【0038】
本発明でいう酸素供給ガスとは、溶接時に溶接金属に酸素を供給する働きをもつガスである。酸素供給ガスとしては、コスト的にも廉価であるCO2 ガスが好ましいが、CO2 ガスの一部または全てをO2ガスで置換してもなんら問題はない。
また、本発明では、上記したレーザビーム溶接において、フィラワイヤを使用してレーザビーム溶接を行う。
【0039】
フィラワイヤを使用すると、ルートギャップを埋めながら溶接できるため、開先角度が大きくでき、高速で安定した溶接が可能となる。つぎに、フィラワイヤの組成限定理由について説明する。上記したレーザビーム溶接に好適なフィラワイヤは、質量%で、C:0.010 〜0.10%、Mn:0.6 〜2.5 %、Ti:0.010 〜0.220 %、B:0.0020〜0.0200%、Si:0.30〜0.58%、Al:0.003 〜0.006 %を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成のワイヤである。以下、組成における質量%は単に%で記す。
【0040】
C:0.010 〜0.10%
Cは、焼入れ性を増加させる元素であり、レーザビーム溶接では溶接金属が急冷されるため、溶接金属中のC含有量が多くなるとマルテンサイト、 ベイナイトを生成しやすく、溶接金属を硬化させ靭性を劣化させる傾向を示す。このため、フィラワイヤ中のC含有量はできるだけ低減することが溶接金属の高靭性化の観点から好ましい。本発明で溶接継手の製造に使用される鋼材は、C:0.025 %以下の極低炭素鋼材であり、また、シールドガスが酸素供給ガスを含むため、溶接金属中のCは酸素と反応してCOガスとなり、溶接金属中のC含有量は減少する。このため、フィラワイヤ中のC含有量が0.10%以下であれば、溶接金属の硬化、靭性の低下は抑制できる。しかし、フィラワイヤ中のC含有量を0.010 %未満に低減すると、溶接金属の粒界強度が低下し、粒界破壊を起こしやすくなり、溶接金属の靭性が低下する。このため、フィラワイヤ中のCは0.010 〜0.10%の範囲に限定することが好ましい。
【0041】
Mn:0.6 〜2.5 %
Mnは、焼入れ性を増加させる元素であるが、レーザビーム溶接のシールドガス中に酸素供給ガスが含まれる場合は、酸素と結合してスラグとして溶接金属から排出される割合が多くなる。そのため、溶接金属の強度を確保するために、Mnはフィラワイヤ中に0.6 %以上含有することが好ましい。一方、フィラワイヤ中に2.5 %を超えて含有すると、C含有量を低減しても島状マルテンサイト等の低靭性組織の生成を避けることができない。このため、フィラワイヤ中のMnは0.6 〜2.5 %の範囲に限定することが好ましい。なお、 より好ましくは0.8 〜1.8 %である。
【0042】
Ti:0.010 〜0.220 %
Tiは、レーザビーム溶接における溶接金属の高靭性化に寄与する元素である。酸素供給ガスを混合した不活性ガスをシールドガスとするレーザビーム溶接に際し、Tiは、酸素との親和力の強い元素とともに酸素と結合し複合酸化物を形成する。このTiを含む複合酸化物は、アシキュラーフェライト等の微細組織の核生成サイトとして有効に働き、溶接金属を微細なアシキュラーフェライト主体の組織とし、高靭性の溶接金属とする作用を有する。このような効果は、溶接金属中にTiが0.010 %以上含有される場合に顕著となるが、一方、0.220 %を超えて含有しても効果が飽和するとともに溶接金属中に不要な析出物を増加させることになる。このため、フィラワイヤ中のTiは0.010 〜0.220 %の範囲に限定することが好ましい。なお、フィラワイヤ中のTiは全量が複合酸化物として溶接金属中に残留するとは限らず、スラグとして系外に排出されるものある。
【0043】
B:0.0020〜0.0200%
Bは、結晶粒界に偏析し粒界フェライトの発生を抑制して、溶接金属の高靭性化に大きく寄与する元素である。シールドガスから酸素を供給し、Tiを含む複合酸化物を形成させる本発明の場合には粒界フェライトが生成しやすく、溶接金属の高靭性化の観点からは、Bの添加は特に有効となる。溶接金属中へのBの添加は、 被溶接材である鋼材のみからの希釈としてもよいが、粒界フェライト生成を抑制するためには、鋼材中にBを0.0030%を超えて含有することが必要となる。しかし、0.0200%を超えるBの含有は、溶接熱影響部の靭性を低下させる。このため、Bはフィラワイヤから供給することが好ましい。フィラワイヤ中のB含有量が0.0020%未満では粒界フェライトの生成を抑制することが困難であり、一方、0.0200%を超えて含有すると、BN、をはじめとするB化合物を形成して溶接金属の靭性を低下させる。このため、フィラワイヤ中のBは0.0020〜0.0200%の範囲に限定することが好ましい。
【0044】
また、フィラワイヤを使用する場合に、さらに、溶接金属を高靱性とするには、溶接金属の組成を、次(1)式
Ceq =C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15 ・・・(1)
ここに、C、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni:各元素の含有量(質量%)
で定義されるCeq が質量%で、0.15〜0.35%となるように、被溶接材である鋼材の組成、溶接条件に応じ、使用するフィラワイヤの組成を調整することが好ましい。
【0045】
溶接金属の炭素当量Ceq が0.35%を超えると、レーザ溶接のように冷却速度の速い溶接においては、溶接金属が著しく硬化し、靱性が低下する。一方、溶接金属の炭素当量Ceq が0.15%未満となると、レーザ溶接のような冷却速度の速い溶接においても粗大な粒界フェライトが発生し、靱性が低下する。このようなことから、溶接金属の炭素当量Ceq を0.15〜0.35%の範囲内とすることが好ましい。
【0046】
【実施例】
次に、本発明の効果を実施例に基づき、詳細に説明する。
(実施例1)
表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製したのち、連続鋳造法により310mm 厚のスラブに鋳造した。ついで、これらのスラブを1120℃に加熱したのち、980 ℃以下の温度域での累積圧下率が50%以上、圧延終了温度が750 〜850 ℃となる熱間圧延を施し、熱間圧延後空冷して、板厚12mmの鋼板とした。
【0047】
得られた鋼板について、組織調査、引張試験、シャルピー衝撃試験を実施し鋼材特性を調査した。引張試験ではJIS Z 2201の規定に準拠してJIS 4号試験片、シャルピー衝撃試験ではJIS Z 2202の規定に準拠してJIS 4号試験片を用いた。
また、鋼材の組織調査では、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行い、炭化物量および組織の含有比率を求めた。組織については、光学顕微鏡(400 倍) で少なくとも5視野観察し、粒状フェライト、パーライト、マルテンサイトの面積率を計測し、残りをαq 、αB 、α゜B の極低炭素ベイナイト相の面積率とし、各視野の平均値を求め、極低炭素ベイナイト相の含有比率とした。また、炭化物については、電解二段エッチイングを行ったのち、SEM写真(1000倍)を無作為に5視野撮影し、各々の面積率を求め、各視野の平均値を炭化物の含有比率とした。
【0048】
また、得られた鋼板について、表2に示すレーザビーム溶接条件でビードオンプレート溶接を行い、溶接継手を作製した。また、レーザ溶接機は、最大出力50kWの炭酸ガスレーザ溶接機を用い、横向き貫通溶接とした。
レーザビーム溶接では、表3に示すガス組成のシールドガスを用いた。
得られた溶接継手の溶接金属中央部、HAZから採取したシャルピー衝撃試験片を用い、溶接金属の延性−脆性破面遷移温度(vTrs)を求めた。このvTrsが低いほど、優れた靱性を持つ溶接継手であるといえる。なお、シャルピー衝撃試験片は、シャルピー衝撃試験時に亀裂が母材側に逃れる現象(Fracture Pass Deviation )を防止するため、JIS 4号試験片に0.5mm 深さのサイドノッチを導入した3ノッチ試験片を用いた。
【0049】
また、溶接金属の組織は、ナイタールエッチングした試片を光学顕微鏡を用いて観察し、アシキュラーフェライトの含有比率を測定した。アシキュラーフェライトの含有比率は、光学顕微鏡(400 倍)で少なくとも5視野を観察し、各視野におけるアシキュラーフェライトの面積率を求め、その平均値を含有比率とした。
【0050】
これらの結果を表3に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
参考例では、HAZの靱性も破面遷移温度vTrsが−30℃以下と優れており、さらに溶接金属のvTrsが−50℃以下と、優れた溶接継手部靱性を示している。
これに対して、比較例では、HAZ、溶接金属の両方が良好な靱性を示す例はない。
(実施例2)
表4に示す組成の溶鋼を転炉で溶製したのち、連続鋳造法により310mm 厚のスラブに鋳造した。ついで、これらのスラブを1120℃に加熱したのち、980 ℃以下の温度域での累積圧下率が50%以上、圧延終了温度が750 〜850 ℃となる熱間圧延を施し、熱間圧延後空冷して、板厚12mmの鋼板とした。
【0055】
得られた鋼板について、実施例1と同様に、組織調査、引張試験、シャルピー衝撃試験を実施し鋼材特性を調査した。
また、得られた鋼板について、表5に示すレーザビーム溶接条件で、表6に示す組成のフィラワイヤ(1.2mm φ)を使用し、1.4 mmのルートギャップを持つI型突合せ開先を用いてレーザビーム溶接を行い溶接継手を作製した。なお、フィラワイヤの供給速度は8.0mm/min とした。なお、レーザ溶接機は、最大出力50kWの炭酸ガスレーザ溶接機を用い、横向き貫通溶接とした。また、レーザビーム溶接におけるシールドガスは、表7に示すガス組成のシールドガスとした。
【0056】
得られた溶接継手の溶接金属中央部、HAZから採取したシャルピー衝撃試験片を用い、実施例1と同様に、溶接金属の延性−脆性破面遷移温度(vTrs)を求めた。このvTrsが低いほど、優れた靱性を持つ溶接継手であるといえる。なお、シャルピー衝撃試験片は、シャルピー衝撃試験時に亀裂が母材側に逃れる現象(Fracture Pass Deviation )を防止するため、実施例1と同様に、JIS 4号試験片に0.5mm 深さのサイドノッチを導入した3ノッチ試験片を用いた。
【0057】
また、溶接金属の組織は、実施例1と同様に、ナイタールエッチングした試片を光学顕微鏡を用いて観察し、アシキュラーフェライトの面積比率を測定した。
これらの結果を表7に示す。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
本発明例では、HAZの靱性も破面遷移温度vTrsが−30℃以下と優れており、さらに溶接金属のvTrsが−50℃以下と、優れた溶接継手部靱性を示している。
これに対して、本発明の範囲を外れる比較例では、HAZ、溶接金属の両方が良好な靱性を示す例はない。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、引張強さ490 〜700MPaの鋼材にレーザビーム溶接を行っても、優れた溶接部靱性を有する溶接継手が製造でき、高能率溶接が安定して実施可能となり、産業上格段の効果を奏する。
Claims (4)
- 質量%で、
C:0.005 〜0.025 %、 Si:0.1 〜0.5 %、
Mn:2.5 %以下、 S:0.003 %以下、
Al:0.05%以下、 Ti:0.005 〜0.08%、
B:0.0003〜0.0060%、 N:0.0035%以下
を含む鋼材組成と、面積比率で、90%以上の極低炭素べイナイトと5%以下の炭化物を含む鋼材組織とを有する鋼材を、レーザビーム溶接により溶接接合し溶接継手を製造するにあたり、前記レーザビーム溶接が、フィラワイヤを使用するレーザビーム溶接であり、前記フィラワイヤが、質量%で、
C:0.010 〜0.10%、 Mn:0.6 〜2.5 %、
Ti:0.010 〜0.220 %、 B:0.0020〜0.0200%、
Si:0.30〜0.58%、 Al:0.003 〜0.006 %
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、前記レーザビーム溶接のシールドガスを1〜40 vol%の酸素供給ガスを混合した不活性ガスとすることにより溶接金属組織をアシキュラーフェライトを主体とする組織とすることを特徴とする優れた溶接継手部靱性を有する極低炭素鋼溶接継手の製造方法。 - 前記鋼材が、前記鋼材組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.05〜2.00%、Ni:0.05〜3.00%、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、Nb:0.08%以下、V:0.08%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の極低炭素鋼溶接継手の製造方法。
- 前記鋼材が、前記鋼材組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0040%、REM :0.0020〜0.0080%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の極低炭素鋼溶接継手の製造方法。
- 下記(1)式で定義される炭素当量Ceq が質量%で0.15〜0.35%を有する溶接金属を形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の極低炭素鋼溶接継手の製造方法。
記
Ceq =C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15 ・・・ (1)
ここに、C、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni:各元素の含有量(質量%)
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